説明

フェニルアルキル−イミダゾール−ビスホスホネート化合物

(非置換または置換フェニル)−アルキル−置換[(イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン、ならびにその製造方法もしくは工程、医薬製剤の製造におけるそれらの使用、疾患の処置におけるそれらの使用、疾患の処置におけるそれらの使用方法、それらを含む医薬製剤および/または疾患の処置において使用するための該化合物が開示される。該化合物は過剰なまたは不適切な骨吸収を阻止できる。該化合物は、式I


のものであり、ここで、RおよびRは明細書に記載の通りであり、遊離形、エステルの形、および/または塩の形であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規(非置換または置換フェニル)−アルキル−置換[(イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸類、ならびにその製造方法もしくは工程、医薬製剤の製造におけるそれらの使用、疾患の処置におけるそれらの使用、疾患の処置におけるそれらの使用方法、それらを含む医薬製剤および/または疾患の処置において使用するための該化合物(ここで、疾患は特に以下に記載する通りである)に関する。本化合物は、過剰なまたは不適切な骨吸収を阻止できる。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、第一の面において、特に式I
【化1】

〔式中、RおよびRの一方は水素であり、他方は非置換または置換フェニル−アルキルである。〕
の化合物、またはそのエステルおよび/または塩に関する。
【0003】
上記および下記において使用する一般的表現は、好ましくは以下の意味を有し、各一般的な表現を、互いに独立して、個々に置き換えてよく、または2個以上または特に全てをより具体的な定義に置き換えてよく、それにより、本発明のより好ましい態様を規定する:
【0004】
低級アルキルは、例えばC−Cアルキル、例えばメチル、エチル、プロピルまたはブチル、およびまたイソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、またはペンチル、例えばn−ペンチル、イソペンチル、neo−ペンチル、sec−ペンチルまたはtert−ペンチルである。
【0005】
置換または非置換であるフェニル−アルキルは、好ましくはフェニル−C−C10−アルキル、より好ましくはフェニル−低級アルキル、さらに好ましくはフェニル−C−C−アルキルであり、ここで、アルキルは分枝鎖または直鎖であり、そしてフェニルは非置換であるか、または好ましくはC−C−アルキル、ヒドロキシル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、ハロ、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキル、フェニル−C−C−アルキル、C−C−アルカノイル、C−C−アルコキシ−カルボニルおよび/またはC−Cアルカンスルホニル)−アミノ、カルボキシ、C−C−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキルおよび/またはフェニル−C−C−アルキル)−カルバモイル、スルファモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキルおよび/またはフェニル−C−C−アルキル)−スルファモイルおよびシアノから成る群から独立して選択される1個以上、例えば5個まで、より好ましくは3個までの置換基で置換されている(置換フェニルとして)。
【0006】
フェニル−低級アルキルは、例えばフェニル−C−C−アルキル、例えばベンジルであるか、または式IにおけるRおよびRの場合、好ましくはフェニル−エチル、フェニルプロピル、フェニルブチルまたはフェニルペンチルであり、ここで、プロピル、ブチルまたはペンチルは分枝鎖でも直鎖でもよく、または式IIIにおけるRの場合、好ましくはベンジルである。
【0007】
ハロ(ゲノ)(およびまたハロゲニド)は、好ましくはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。
“約”は、好ましくは記載した数字が、その記載した値から最大±20%、より好ましくは最大±10%、最も好ましくは±5%まで逸脱し得ることを意味する。
【0008】
式Iの化合物の塩は、特に薬学的に許容される塩基との塩(薬学的に許容される塩)、例えば、Ia族、Ib族、IIa族およびIIb族の金属由来の非毒性金属塩、例えばアルカリ金属塩、好ましくはリチウム塩またはより好ましくはナトリウム塩またはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、好ましくはカルシウム塩またはマグネシウム塩、銅、アルミニウム塩または亜鉛塩、およびまたアンモニアまたは有機アミン類または第4級アンモニウム塩基、例えば遊離またはC−ヒドロキシル化脂肪族アミン類、好ましくはモノ−、ジ−またはトリ−低級アルキルアミン類、例えばメチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミンまたはジエチルアミン、モノ−、ジ−またはトリ−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミン類、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンまたは2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、またはN−(ヒドロキシ−低級アルキル)−N,N−ジ−低級アルキルアミン類またはN−(ポリヒドロキシ−低級アルキル)−N−低級アルキルアミン類、例えば2−(ジメチルアミノ)エタノールまたはD−グルカミン、または第4級脂肪族水酸化アンモニウム類、例えばテトラブチル水酸化アンモニウムとのアンモニウム塩である。
【0009】
式Iの化合物およびその塩は、価値ある薬理学的特性を有する。特に、それらは細胞内のメバロン酸経路を阻害し、温血動物のカルシウム代謝に対し著しい制御作用を有する。
【0010】
最も具体的に、それらは、Hornby et al. Calcified Tiss Int 2003; 72: 519-527 and Gasser et al. J Bone Miner Res 2008; 23: 544-551に記載されている実験方法で証明できる、約1〜500μg/kgの用量で静脈内または皮下投与後、エストロゲン欠乏ラットにおける骨吸収の著しい阻害をもたらす。腫瘍関連骨溶解も、同様に、Peyruchaud et al. J Bone Miner Res 2001; 16: 2027-2034の方法を使用して、約1〜500μg/kgの用量範囲の静脈内または皮下投与後に阻止される。加えて、 Newbould, Brit. J. Pharmacology 21, 127 (1963)およびRordorf et al. Int J Tissue React. 1987; 9(4): 341-7に従う実験方法で同様に投与したとき、式Iの化合物およびその塩は、それぞれアジュバントおよびコラーゲン関節炎を有する齧歯類の関節炎状態の進行の著しい阻害をもたらす。
【0011】
新規ビスホスホネート類は、特に1種以上の疾患(この用語は状態または障害を含む)の処置におけるヒトおよび獣医使用のための薬剤として有用であり、特に過剰なまたは不適切な骨吸収、特に骨および関節の疾患、例えば
− 良性状態、例えば骨粗鬆症、骨減少症、骨髄炎、骨関節症、リウマチ性関節炎、骨髄浮腫、骨痛、反射性交感神経性ジストロフィー、強直性脊椎炎(別名ベヒテレフ病)、骨のパジェット病または歯周病、
− 悪性状態、例えば悪性腫瘍の高カルシウム血症、固形腫瘍および血液系腫瘍に関連する骨転移、
− 整形外科的状態、例えば人工関節の緩み、人工関節移動、インプラント固定、インプラントコーティング、骨折治癒、仮骨延長法、脊椎固定術、無血管性骨壊死、移植骨、骨代用材、
または、かかる状態の2種以上の任意の組合せと関連する過剰なまたは不適切な骨吸収を阻止できる。
【0012】
非エンドサイトーシス細胞にビスホスホネートが入ることを必要とする疾患に対するビスホスホネート類の効果は、かかる細胞による一般的ビスホスホネート類の取り込みが極めて低いため、極めて制限されている。これは、イバンドロネートでは−3.3およびゾレドロネートでは−3.0と計算されるその低いオクタノール/水分配係数(clogP)から明らかとなるその高い親水性によるものである。対照的に、ここに記載するフェニルアルキル−イミダゾールビスホスホネート化合物は、0に近いまたは0を超えるclogP値を有する。これは親水性低下および親油性上昇を意味し、これは非エンドサイトーシス細胞への取り込みのために有益である。細胞透過性の増加は、破骨細胞以外の細胞、マクロファージまたは他のエンドサイトーシス細胞におけるメバロン酸経路の完全なまたは部分的な阻害が望まれる疾患の処置を容易にする。エンドサイトーシスは、細胞が、細胞の外部由来の物質を、細胞膜から形成された小胞と共に貪食することにより吸収する過程である。
【0013】
ビスホスホネート類(ゾレドロン酸)をスタチン類(プラバスタチン)と組み合わせることにより優れた効果が細胞実験ならびにヒト早老、例えばハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群のマウスモデルで示されている(Nature Medicine (2008) 14, 767-772)。本発明の化合物を用いて、高い親油性および低い骨への結合により細胞膜を容易に通過できるために、これらのモデルにおける効力または有効性が高まることが期待される。去力である本発明の化合物は、これらのモデルで、スタチンの非存在下でさえ活性であることが予測される。
【0014】
一般に、高い親油性により、本発明の化合物は、破骨細胞以外の細胞、マクロファージまたは他のエンドサイトーシス細胞におけるメバロン酸経路を阻害すべき疾患の処置のためにより強力であるか、または効率的であることが期待される。これは、以下のものを含み、それらに限定されない:
− 閉経前乳癌における内分泌療法でゾレドロン酸について先に証明されたビスホスホネート類での直接抗腫瘍(Gnant et al. (2009) N Engl J Med 360, 679-91)。
【0015】
− FPPSおよびHMG CoAレダクターゼが両方ともメバロン酸経路の酵素であるための、コレステロール低下剤としての本発明の化合物の使用。実際、ゾレドロン酸で処置した骨髄腫患者では血清コレステロールレベルが低いことが報告されているが(Gozzetti, A. et al. (2008) Calcif Tissue Int 82, 258-62)、本発明のビスホスホネート類の効果は、高い細胞透過性のためにより顕著である可能性がある。
【0016】
− 抗寄生虫剤としての本発明の化合物の使用。ビスホスホネート類は、リーシュマニア症、マラリア、クリプトスポリジウム症およびシャーガス病を起こす寄生原虫に対して有効であることが示されているが(Docampo, R. & Moreno, S. N. (2001) Current Drug Targets: Infectious Disorders 1, 51-61により総括)、本発明の化合物は、親油性増加のためより適している可能性がある。
【0017】
以下の刊行物(その各々は、特に以下に記載するアッセイまたは方法に関する記載に関して、引用により本明細書に包含させる)は、式Iの化合物の有利な生物学的プロファイルを確認するために使用できる種々のアッセイおよび方法を記載する:
Calcif. Tissue Int. (2003) 72, 519-527に記載の通り(1)骨ターンオーバーおよび大腿骨密度(BMD)の生化学マーカーの一過性の変化を解明するため、(2)静的および動的組織形態計測的パラメータ、骨微小構造および機械的強度の変化を測定するため、および(3)これらのパラメータに対する式Iの化合物での慢性処置の予防効果を評価するための、閉経後骨粗鬆症のためのモデルとしての成熟、卵巣摘出(OVX)ラットへの一回i.v.投与の効果を証明できる。高活性を、ここで見ることができる。
【0018】
ARTHRITIS & RHEUMATISM (2004), 50(7), 2338-2346に示す通り、ラットにおける、コラーゲン誘発関節炎(CIA)のエフェクター相中の滑膜炎症、構造的関節損傷、および骨代謝に対する、式Iの化合物の効果を証明できる。
【0019】
J. Bone Joint Surg. (2005), 87-B, 416-420に記載の通り、骨内殖に対する式Iの化合物の効果を、イヌの尺骨内に多孔性タンタルインプラントを両側性に置いた動物モデルにおいて試験できる。
【0020】
J. Natl. Cancer. Inst. (2007), 99, 322 - 30に記載された方法に従って、マウスモデルにおける骨格腫瘍増殖の阻害を証明できる。
【0021】
Nat. Medicine (2008), 14, 767-772に記載の通り、プラバスタチンと組み合わせたゾレドロン酸の有利な効果が、細胞実験ならびにハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群のマウスモデルにおいて証明されている。本発明の化合物を用いて、それらが細胞膜をより容易に通過できるため、効果の増強が期待される。
【0022】
ファルネシルピロリン酸シンターゼに結合したときの式Iの化合物のx線構造は、Chem. Med. Chem. (2006), 1, 267 - 273に記載された方法により、またはそれに準じて得ることができる。41kDaサブユニットのホモ二量体酵素であるヒトFPPSは、C5イソプレノイド類ジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)およびイソペンテニルピロリン酸からC15代謝物ファルネシルピロリン酸(FPP)の二段階合成を触媒する。FPPは、必須GTPaseシグナリングタンパク質、例えばRasおよびRhoの翻訳後プレニル化のために必要であり、またコレステロール、ドリコール、およびユビキノンの合成前駆体でもある。
【0023】
例えば、無細胞インビトロアッセイにおいて、既知化合物より式Iの化合物が優れていることを示すことができる。簡単に言うと、反応を酵素および式Iの阻害剤の存在下で進行させ、反応産物(ファルネシルピロリン酸)をLC/MS/MSで定量する。
詳細には、阻害剤および酵素を基質添加前にプレインキュベートする。
【0024】
本アッセイは、LC/MS/MSに基づく、ファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS)の無標識アッセイである。この方法は、インビトロで非標識ファルネシルピロリン酸(FPP)を定量し、FPPSの阻害剤を発見するためのハイスループットシステム(HTS)および候補化合物のIC50値の決定に適する。分析時間は2.0分間であり、総サイクル時間は2.5分間である。本分析は、384ウェルプレート用に構築でき、プレートあたりの分析時間16時間となる。
【0025】
試薬:
ペンタノール、メタノール、およびイソプロピルアルコールはHPLCグレートであり、Fisher Scientificから得る。DMIPAはSigma-Aldrichからである。水は、社内Milli-Qシステムからである。アッセイ緩衝液(20mM HEPES、5mM MgClおよび1mM CaCl)は、Sigma-Aldrichから得た1mM原液の希釈により調製する。ゲラニルピロリン酸(GPP)、イソプレニルピロリン酸(FPP)、およびファルネシルS−チオロピロリン酸(FSPP)はEchelon Biosciences(Salt Lake City, UT)からである。ヒトファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS, Swissprot ID: P14324)(13.8mg/mL)をRondeau et al (ChemMedChem 2006, 1, 267-273)に記載の通り製造する。
【0026】
アッセイ:
LC/MS/MS分析を、Agilent 1100 binary LC pump Agilent Technologies, Inc., Santa Clara, CA, USA)と連動したMicromass Quattro Microタンデム四重極質量分析器(Waters Corp., Milford, MA, USA)で行う。CTC Analyticsオートサンプラー(Leap Technologies Inc., Carrboro, NC, USA)を用いて、2.5μLの注入ループサイズを使用して注入する。クロマトグラフィーを、ガードカラムホルダー(P/N 186000262)に入れられたWaters 2.1×20mm Xterra MS C18 5μmガードカラム(P/N 186000652)(Waters Corp., Milford, MA, USA)で、0.1%DMIPA/メタノールを溶媒Aとして、および0.1%DMIPA/水を溶媒Bとして使用して行う(DMIPAはジメチルイソプロピルアミンである)。勾配は、5%Aを0.00〜0.30分間、50%Aを0.31分目、80%Aを1.00分目、および5%Aを1.01〜2.00分間である。流速は0.3mL/分であり、この流れを0.00〜0.50分間および1.20〜2.00分間に再び迂回させて廃棄する。
【0027】
モニターする多重反応モニタリング(MRM)遷移は、22eVの衝突エネルギーおよびArの2.1×10−3mbarの衝突セル圧力で、FPPについて381−>79−およびF
SPPについて397−>159−である。遷移あたりの滞留時間は、0.4Daのスパンで400ミリ秒である。チャネル間遅延およびスキャン間(interscan)遅延はいずれも0.02秒である。他の質量分光学操作パラメータは:キャピラリー、2.0kV;コーン、35V;エキストラクター、2.0V、熱源温度、100℃;脱溶媒和ガス温度、250℃;脱溶媒和ガス流、650L/時間;コーンガス流、25L/時間;乗算器、650V。
【0028】
サンプルあたりの総サイクル時間は2.5分間である。分析が384ウェルプレート用に構築されているため、プレートを16時間で分析する。クロマトグラムをQuanlynxソフトウェアで処理し、それは、各FPPピーク面積をFSPPピーク面積(内部標準)で割る。得られた値を、対応するサンプルウェルについての相対的応答として報告する。
【0029】
FPPSアッセイ方法
384ウェルプレートの各ウェルに、20%DMSO/水中5μLの化合物を入れる。10μLのFPPS(アッセイ緩衝液で1対80000に希釈)を各ウェルに添加し、化合物と5分間プレインキュベートさせる。その時点で、25μLのGPP/IPP(アッセイ緩衝液中各5μM)を添加して、反応を開始させる。30分間後、2%DMIPA/IPA中10μLの2μM FSPPの添加により反応を停止させる。反応混合物を、ボルテックス混合を使用して50μLのn−ペンタノールで抽出する。相分離後、25μLの上部(n−ペンタノール)層を新しい384ウェルプレートに移し、ペンタノールを真空遠心を使用して蒸発させる。乾燥させた残留物をLC/MS/MS法で分析するために、50μLの0.1%DMIPA/水に再構成する。
【0030】
FSPPを、マススペクトルの内部標準として使用する。リン酸基は、スペクトル内の基準ピークとして(M−H)−イオンを生じる。
【0031】
本発明の化合物は、好ましくは、この試験系で、0.8〜10nMの範囲のIC50を有し、好ましいものは、好ましくは1.2〜3.6nMの範囲のIC50を有する。特に、それらは、先行文献の化合物、例えば[2−(5−フェニル−プロピル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸を超える驚くほどの優位性を示す。これらの化合物の優位性は、オクタノール/水分配係数(clogP)から判断してこれらの化合物の親水性が低下していることを考慮すると、さらに驚くことである。
【0032】
IC50決定のためのこのアッセイの有用性は、既知のビスホスホネートFPPS阻害剤であるゾレドロン酸を使用して確認される。
【0033】
本発明は、特に、Rが非置換または置換フェニル−C−C−アルキル、特にフェニル−エチル、フェニル−プロピルまたはフェニル−イソプロピルまたはさらにフェニル−n−ブチル、フェニル−sec−ブチル、フェニル−tert−ブチルまたはフェニル−イソブチルであり(ここで、置換フェニルは好ましくは上に定義した通り、特にトリル(=メチルフェニル)、例えばp−トリルである)、そしてRが水素である式Iの化合物、またはそのエステル、および/または(特に薬学的に許容される)その塩に関する。
【0034】
本発明は、特に、また、Rが水素であり、そしてRが非置換または置換フェニル−C−C−アルキル、特にフェニル−エチル、フェニル−プロピル、フェニル−イソプロピルまたはトリルプロピル、特にp−トリルプロピル、またはさらにフェニル−n−ブチル、フェニル−sec−ブチル、フェニル−tert−ブチルまたはフェニル−イソブチルである式Iの化合物、またはそのエステル、および/または(特に薬学的に許容される)その塩に関する。
【0035】
好ましいのは、Rが水素であり、そしてRが非置換または置換フェニル−プロピル、特に非置換または置換3−フェニル−プロピルである(ここで、置換フェニルは、好ましくは上に定義した通りである)式Iの化合物、またはそのエステル、および/または(特に薬学的に許容される)その塩である。
【0036】
より好ましいのは、Rが非置換または置換フェニル−プロピル、特に非置換または置換3−フェニル−プロピルであり(ここで、置換フェニルは、好ましくは上に定義した通りである)、そしてRが水素である式Iの化合物、またはそのエステル、および/または(特に薬学的に許容される)その塩である。
【0037】
最も好ましいのは、Rがフェニル−プロピル、特に3−フェニル−プロピルである式Iの化合物、またはそのエステル、および/または(特に薬学的に許容される)その塩である。
【0038】
本発明の化合物は、別の化合物については当分野で既知である方法に従い製造できる。例えば、少なくとも得られる新規生成物および/または用いる新規遊離体に基づき、新規方法は、好ましくは、式II
【化2】

〔式中、RおよびRは式Iの化合物について定義した通りである。〕
のカルボン酸化合物と、オキシハロゲン化リンを反応させて式Iの化合物、またはその塩を得て、
必要であれば、得られる遊離の式Iの化合物をその塩に変換し、得られる式Iの化合物の塩を遊離化合物に変換しおよび/または得られる式Iの化合物の塩をその異なる塩に変換することを含む。
【0039】
オキシハロゲン化リンとして、オキシ塩化リン(POCl)が特に好ましい。本反応は、好ましくは一般的な溶媒または溶媒混合物中、例えば芳香族性炭化水素、例えばトルエン中、好ましくは高温で、例えば50℃から反応混合物の還流温度で、例えば(約)80〜(約)120℃で、HPOの存在下に行う。
【0040】
遊離の式Iの化合物を、上に記載した塩基の一つを用いる部分的なまたは完全な中和により塩基性塩に変換できる。
【0041】
塩を、それ自体既知の方法で、例えば酸試薬、例えば鉱酸での処理により、遊離化合物に変換できる。
【0042】
本化合物は、その塩を含み、水和物の形で得ることもでき、または結晶構造内に結晶化に使用した溶媒を含み得る。
【0043】
遊離形の新規化合物とその塩の形態の密接な関係から、本明細書中の遊離化合物およびその塩に関する記載は、同様に対応する塩および遊離化合物にも適用される。
【0044】
本発明はまた、本方法の任意の段階で中間体として得られる化合物を出発物質として使用して、残りの工程を行うか、または出発物質をその塩の形で、または、好ましくは、その反応条件下に形成させる、方法の態様にも関する。
【0045】
出発物質は、例えば、好ましくは、式III
【化3】

〔式中、RおよびRは式Iの化合物について定義した通りであり、そしてRは非置換または置換アルキル、特に低級アルキルまたはフェニル−低級アルキルである。〕
の化合物を、適当な酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸の存在下、好ましくは水性溶媒、例えば水の存在下、好ましくは高温で、例えば(約)50〜(約)100℃、例えば80〜100℃の範囲で鹸化して、式IIの化合物、またはその塩を得ることにより得ることができる。
【0046】
式IIIの化合物は、例えば、好ましくは、式IV
【化4】

〔式中、RおよびRは式Iの化合物について定義した通りである。〕
のイミダゾール化合物と、式V
【化5】

〔式中、Rは式IIIの化合物について定義した通りであり、そしてXはハロゲン、特にフルオロ、クロロ、ヨードまたは特にブロモ、低級アルカンスルホニルオキシまたはトルエンスルホニルオキシである。〕
のエステルを、好ましくは強塩基、例えばアルカリ金属アルコラート、特にカリウムtert−ブチラート(KOtBu)の存在下、適当な溶媒または溶媒混合物、例えば環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン中、好ましくは(約)−10〜(約)80℃、例えば20〜30℃の温度で反応させることにより、得ることができる。必要であれば、得られた式IIIの化合物の混合物(一方の化合物では、Rが非置換または置換フェニル−アルキルであり、そしてRが水素であり、他方の化合物では、Rが非置換または置換フェニル−アルキルであり、そしてRが水素である)を、例えばクロマトグラフィー法、差示的結晶化などにより分割できる。
【0047】
式IVおよびVの出発物質、ならびに今まで記載しなかった全ての他の出発物質は、当分野で既知の方法により、またはその方法に準じて得ることができ、市販されておりおよび/または本明細書に、特に実施例に記載する方法に準じて製造できる。
【0048】
本発明はまた、全ての新規方法工程または方法工程の組合せ、ならびに全ての新規出発物質または中間体、またはその塩にも関する。
【0049】
式Iの化合物のエステルは、例えば、類似化合物について先行文献に記載された方法に準じて製造できる。
【0050】
式Iの化合物、またはその薬学的に許容される非毒性塩を含む医薬組成物は、温血動物への経腸投与、例えば経口投与、または直腸投与、および非経腸投与用であり、薬理学的活性成分は単独でまたは薬学的に適切な担体と共に存在する。
【0051】
新規医薬組成物は、例えば約0.0001〜80%、好ましくは約0.001〜10%の活性成分を含む。経腸または非経腸投与用医薬組成物は、例えば投与単位形態、例えば糖衣錠、錠剤、カプセルまたは坐薬、ならびにアンプル、バイアル、予充填シリンジのものである。これらの医薬組成物は、それ自体既知の方法で、例えば慣用の混合、造粒、糖衣、溶解または凍結乾燥法により製造する。例えば、経口投与用医薬組成物は、活性成分と固体担体を合わせ、場合により得られた混合物を造粒し、混合物または顆粒を、望むならばまたは必要であれば、適当な賦形剤の添加後、錠剤または糖衣錠コアに加工することにより得ることができる。
【0052】
適当な担体は、特に増量剤、例えば糖、例えばラクトース、サッカロース、マンニトールまたはソルビトール、セルロース製剤および/またはリン酸カルシウム類、例えばリン酸三カルシウムまたはリン酸二水素カルシウム、およびまた結合剤、例えばデンプンペースト、例えばメイズ、コーン、米またはジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドン、および/または、所望により、崩壊剤、例えば上記デンプン類、さらにカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムである。賦形剤は、特に流動促進剤および滑剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸またはその塩、例えばステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコールである。糖衣錠コアは、とりわけ、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタンを含み得る濃縮糖溶液、適当な有機溶媒または溶媒混合物中のシェラック溶液、または、胃液に抵抗性のコーティングを製造するために、アセチルセルロースフタラートまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラートのような適当なセルロース製剤の溶液を使用して、胃液に抵抗性であり得る適当なコーティングを施す。例えば、同定するため、または異なる量の活性成分を示すために、染料または色素を錠剤または糖衣錠コアに添加できる。
【0053】
経口投与用のさらなる医薬組成物は、ゼラチンまたはヒプロメロース製の乾燥充填カプセルおよびまたゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールから成る軟密閉カプセルである。乾燥充填カプセルは、例えば増量剤、例えばラクトース、結合剤、例えばデンプン類、および/または流動促進剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム、および場合により安定化剤と混合された、活性成分を顆粒の形で含み得る。軟カプセルにおいて、活性成分は、好ましくは適当な液体、例えば脂肪油、パラフィン油または液体ポリエチレングリコールに溶解または懸濁されており、それに添加剤も添加できる。
【0054】
直腸投与用の適当な医薬組成物は、例えば坐薬であり、これは活性成分と坐薬基剤の組合せから成る。適当な坐薬基剤の例は、天然または合成トリグリセライド類、パラフィン炭化水素類、ポリエチレングリコール類および高級アルカノール類である。活性成分と基剤物質の組合せを含むゼラチン直腸カプセルの使用も可能である。適当な基剤物質は、例えば液体トリグリセライド類、ポリエチレングリコール類およびパラフィン炭化水素類である。
【0055】
非経腸投与(これは特に好ましい)のための特に適当な投与形態は、水可溶性形態、例えば水可溶性塩の活性成分の水溶液である。本溶液を、無機酸または有機酸類または塩基類を用いて約4−9または最も好ましくは約5.5−7.5のpHの生理学的に許容されるpH値に調節し得る。本溶液は、さらに無機塩、例えば塩化ナトリウム、または有機化合物、例えば糖類、糖アルコール類、またはアミノ酸類を用いて、最も好ましくはマンニトールまたはグリセロールを用いて等張にし得る。適当な組成物はまた、活性成分の懸濁液、例えば適当な親油性溶媒または媒体、例えば脂肪油類、例えばゴマ油、または合成脂肪酸エステル類、例えばオレイン酸エチルまたはトリグリセライド類が使用される対応する油性注射懸濁液、または粘度を上げる物質、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールおよび/またはデキストラン、および場合によりまた安定化剤を含む水性注射懸濁液である。
【0056】
本発明はまた、好ましくは炎症性状態、主としてカルシウム代謝の障害に関連する疾患、例えばリウマチ性疾患、および、特に、骨粗鬆症の処置のための式Iの化合物およびその塩の使用にも関する。
【0057】
0.1μg/体重kg未満の非経腸投与量は、硬組織代謝に僅かしか影響を与えない。長期毒性副作用は1000μg/体重kgを超える投与量で起こり得る。式Iの化合物およびその塩は経口、ならびに皮下、筋肉内または静脈内に、等張または高張溶液で投与できる。好ましい1日投与量は、経口投与で、約1〜100mg/kgの範囲、静脈内、皮下および筋肉内投与で約20〜500μg/kgの範囲である。
【0058】
式Iの化合物およびその塩の投与量は、しかしながら、不定であり、各状態、例えば病気の性質および重症度、処置期間および各化合物による。非経腸投与、例えば静脈内投与用投与単位形態は、例えば10〜300μg/体重kg、好ましくは15〜150μg/体重kgを含み;そして経口投与単位形態は例えば0.1〜5mg、好ましくは0.15〜3mg/体重kgを含む。経口投与のための好ましい一用量は、10〜200mgであり、静脈内投与のために、1〜10mgである。吸収に限度があるため、経口投与のために高容量が必要である。長期処置において、投与量は、通常最初の高投与量の後、所望の効果を維持するために低用量に減らすことができる。非経腸(例えば静脈内または皮下)投与を、年間1〜52回の一定間隔で間欠的に投与し得る。経口投与を、毎日、毎週、毎月または年4回の投与レジメンで投与し得る。
【0059】
本発明はまた、動物、特にヒトの処置方法であって、処置を必要とする動物、特にヒトに、上に記載した疾患の処置に十分な量の式Iの化合物、そのエステルおよび/または薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法にも関する。
【0060】
本発明はまた、式Iの化合物、そのエステルおよび/または塩、および少なくとも1種の薬学的に許容される担体物質を含む医薬製剤、特に輸液または注射用溶液にも関する。
【0061】
以下の非限定的実施例は、その範囲を限定することなく本発明を説明する。
特にことわらない限り、温度は摂氏度(℃)で示す。温度が記載されていないとき、その反応または他の工程は室温で行う。
【0062】
略語:
【表1】

【0063】
5−(3−フェニル−プロピル)−1H−イミダゾールと、4−ベンジルイミダゾール以外の全ての他のイミダゾール誘導体は、D. Horne et al., Heterocycles, 1994, Vol. 39, No. 1, p.139-153に従って製造する。4−ベンジルイミダゾールは文献法に従って製造する(Chadwick et al., Tetrahedron, 1986, Vol. 42, No. 8, p.2351-2358)。
【0064】
実施例1:{1−ヒドロキシ−2−[5−(3−フェニル−プロピル)−イミダゾール−1−イル]−1−ホスホノ−エチル}−ホスホン酸
1.5g(5.3mmol)の[5−(3−フェニル−プロピル)−イミダゾール−1−イル]−酢酸を58mlのトルエンにrtで窒素下溶解する。1.33g(16.0mmol)のHPOを添加し、混合物を80℃に加熱する。1.47ml(16.0mmol)のPOClを滴下する。得られた混合物を120℃に加熱し、一夜撹拌する。溶媒を傾捨し、35mlの6N HClを添加し、混合物を3時間、加熱還流する。得られた薄黄色溶液を真空で濃縮する。アセトン(40ml)で希釈後、混合物を、灰色固体が形成するまでアセトン(4×35ml)と激しく撹拌する。灰色固体を高真空で乾燥させ、EtOH/水から結晶化して、表題化合物を得る。
HPLC-MS: t = 2.35分, (M-H)- = 389; 1H-NMR (D2O/NaOD): δ = 1.81 (m, 2H), 2.55-2.66 (m, 4H), 4.27-4.33 (m, 2H), 6.64 (s, 1H), 7.07-7.1 (m, 1H), 7.15-7.22 (m, 4H), 7.90 (s, 1H)
31P-NMR (d6-DMSO): δ = 16.50 ppm。
【0065】
合成概略図:
【化6】

【0066】
出発物質を次の通り製造する:
a)[5−(3−フェニル−プロピル)−イミダゾール−1−イル]−酢酸エチルエステルおよび[4−(3−フェニル−プロピル)−イミダゾール−1−イル]−酢酸エチルエステル
20.2g(97mmol)の5−(3−フェニル−プロピル)−1H−イミダゾールを100mlのTHFにrtで窒素下溶解する。11.5g(102mmol)のKOtBuを添加し、反応を2時間、rtで撹拌する。11.9ml(107mmol)のブロモ酢酸エチルを45分間にわたり滴下し、得られた混合物をrtで、2.5時間撹拌する。85mlのHOおよび275mlのAcOEtを添加し、有機層を分離し、水層を再び3回250mlのAcOEtで洗浄する。合わせた有機層を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空で濃縮する。反応をクロマトグラフィー(Chiralpak AD 1101、ヘプタン/イソプロパノール)で精製して、それぞれ[5−(3−フェニル−プロピル)−イミダゾール−1−イル]−酢酸エチルエステルおよび[4−(3−フェニル−プロピル)−イミダゾール−1−イル]−酢酸エチルエステルを得る。
【0067】
[5−(3−フェニル−プロピル)−イミダゾール−1−イル]−酢酸エチルエステル:HPLC-MS: t = 1.83分; 100面積%, MH+ = 273; 1H-NMR (d6-DMSO) δ = 1.16 (t, 3H), 1.76-1.84 (m, 2H), 2.42 (t, 2H), 2.60 (t, 2H), 4.10 (q, 2 H), 4.83 (s, 2H), 6.66 (s, 1H), 7.19 (m, 3H), 7.26 (m, 2H), 7.50 (s, 1H)
[4−(3−フェニル−プロピル)−イミダゾール−1−イル]−酢酸エチルエステル:HPLC-MS : t = 1.83分, 100面積%, MH+ = 273; 1H-NMR (d6-DMSO): δ = 1.19 (t, 3H), 1.82 (m, 2H), 2.42 (t, 2H), 2.58 (t, 2H), 4.13 (q, 2H), 4.85 (s, 2H), 6.84 (s, 1H), 7.14-7.19 (m, 3H), 7.26 (m, 2 H), 7.46 (m, 1H)
【0068】
b) [5−(3−フェニル−プロピル)−イミダゾール−1−イル]−酢酸
1.09g(4mmol)の[5−(3−フェニル−プロピル)−イミダゾール−1−イル]−酢酸エチルエステルを15ml(60mmol)の4N HClに溶解し、混合物を加熱還流する。1.5時間後、混合物をrtに冷却し、溶媒を真空で除去する。得られた生成物を、ベージュ色固体が形成されるまでアセトン(15ml)と撹拌する。固体を濾取し、高真空で乾燥させ、さらに精製せずに使用する。
MS: MH+ = 245, 1H-NMR (DMSO): δ = 1.86 (m, 2H), 2.61 (m, 4H), 5.10 (s, 2H), 7.15-7.21 (m, 3H). 7.25-7.29 (m, 2H), 7.52 (s, 1H), 9.05 (s, 1H)
【0069】
上に記載した方法に準じて、以下の実施例化合物を製造する:
実施例2:[2−(4−ベンジル−イミダゾール−1−イル)−1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸
【化7】

HPLC-MS: t = 1.63分, (M -H+)- 333
1H-NMR (NaOD/D2O): δ = 3.64 (s, 2H), 4.21 (broad t, 2H), 6.82 (s, 1H), 7.01-7.07 (m, 1H), 7.08-8.17 (m, 4H), 7.45 (s, 1H)
31P-NMR (NaOD/D2O): δ = 16.87 ppm
【0070】
実施例3:[1−ヒドロキシ−2−(4−フェネチル−イミダゾール−1−イル)−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸
【化8】

HPLC-MS: t = 1.63分, ES- = 375;
1H-NMR (d6-DMSO): δ = 2.80 (d, 2H), 4.49 (m, 2H), 7.16-7.29 (m, 5H), 8.83 (s, 1H)
31P-NMR (d6-DMSO): δ = 15.58 ppm
【0071】
実施例4:[1−ヒドロキシ−2−(5−フェネチル−イミダゾール−1−イル)−1−ホスホノ−エチル]−ホスホン酸
【化9】

HPLC-MS: t = 1.47分, ES- = 375;
1H-NMR (d6-DMSO): δ = 2.88 (t, 2H), 3.05 (t, 2H), 4.48 (t, 2H), 7.11-7.27 (m, 5H), 8.83 (s, 1H)
31P-NMR (d6-DMSO): δ = 15.63 ppm
【0072】
実施例5:{1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−2−[5−(3−p−トリル−プロピル)−イミダゾール−1−イル]−エチル}−ホスホン酸
【化10】

HPLC-MS: t = 1.25分, ES- = 403.1;
1H-NMR (D2O): δ = 1.85 (q, 2H), 2.24 (st, 3H), 2.62 (t, 3H), 2.70 (t, 2H), 4.41 (t, 2H), 6.62 (s, 1H), 7.15 (m, 4H), 7.9 (s, 1H)
31P-NMR (d6-D2O): δ = 17.0 ppm
【0073】
実施例6:注射または輸液用溶液:
0.2%注射または輸液用溶液を、例えば次の通り製造できる:
活性成分、例えば実施例1または2の化合物、またはその塩、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、および注射用水を混合して、2500.0mlとする。
22.0gの塩化ナトリウムを、約2000mLの注射用水に溶解する。活性成分を添加し、pHを、例えばpH6.5に調節する。注射用水を添加して、2500mlとする。溶液を、滅菌グレードのフィルター(例えば孔径0.2μmのもの)を通して濾過する。単位投与形態を製造するために、1.0または2.5mlの溶液を、滅菌し、脱パイロジェン化(depyrogenized)したガラスアンプルまたはバイアルに入れる(各々2.0mgまたは5.0mgの活性成分を含む)。バイアルを、滅菌し、脱パイロジェン化したゴム栓で閉じる。ストッパーをアルミニウムクリンプキャップで固定する。
同様の方法で、実施例3〜10で得た他の式Iの化合物の溶液も製造でき、該化合物はまた、塩基との塩、例えばナトリウム塩であってもよい。後者の場合、溶液を所望のpH値に、酸、例えば希塩酸を用いて調節する。
【0074】
実施例7:実施例1〜5の化合物の阻害データ
上に記載したFPPSアッセイ方法で、実施例1〜5の化合物は次のIC50値を示す:
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

〔式中、RおよびRの一方は水素であり、他方は非置換または置換フェニル−アルキルである。〕
の化合物、またはそのエステル、および/または塩。
【請求項2】
が非置換または置換フェニル−C−C−アルキル、特にフェニル−エチル、フェニル−プロピル、フェニル−イソプロピル、フェニル−n−ブチル、フェニル−sec−ブチル、フェニル−tert−ブチルまたはフェニル−イソブチルであり(ここで、置換フェニルは、C−C−アルキル、ヒドロキシル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、ハロ、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキル、フェニル−C−C−アルキル、C−C−アルカノイル、C−C−アルコキシ−カルボニルおよび/またはC−Cアルカンスルホニル)−アミノ、カルボキシ、C−C−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキルおよび/またはフェニル−C−C−アルキル)−カルバモイル、スルファモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキルおよび/またはフェニル−C−C−アルキル)−スルファモイルおよびシアノから成る群から選択される1個以上の置換基により置換されているフェニルである)、そして
が水素である、
請求項1に記載の式Iの化合物、またはそのエステル、および/または(特に薬学的に許容される)その塩。
【請求項3】
が水素であり、そして
が非置換または置換フェニル−C−C−アルキル、特にフェニル−エチル、フェニル−プロピル、フェニル−イソプロピル、フェニル−n−ブチル、フェニル−sec−ブチル、フェニル−tert−ブチルまたはフェニル−イソブチルである(ここで、置換フェニルは、C−C−アルキル、ヒドロキシル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、ハロ、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキル、フェニル−C−C−アルキル、C−C−アルカノイル、C−C−アルコキシ−カルボニルおよび/またはC−Cアルカンスルホニル)−アミノ、カルボキシ、C−C−アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキルおよび/またはフェニル−C−C−アルキル)−カルバモイル、スルファモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキルおよび/またはフェニル−C−C−アルキル)−スルファモイルおよびシアノ、特にフェニル−プロピルから成る群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されているフェニルである)、
請求項1に記載の式Iの化合物、またはそのエステル、および/または(特に薬学的に許容される)その塩。
【請求項4】
が水素であり、そして
が3−フェニル−プロピルである、
請求項1に記載の式Iの化合物、またはそのエステル、および/または(特に薬学的に許容される)その塩。
【請求項5】
が3−フェニル−プロピルであり、そして
が水素である、
請求項1に記載の式Iの化合物、またはそのエステル、および/または(特に薬学的に許容される)その塩。
【請求項6】
動物、特にヒトの診断的および/または治療的処置に使用するための、請求項1〜5のいずれかに記載の式Iの化合物、そのエステルおよび/または薬学的に許容される塩。
【請求項7】
過剰なまたは不適切な骨吸収の処置に使用するための、請求項1〜5のいずれかに記載の式Iの化合物、そのエステルおよび/または薬学的に許容される塩。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載の式Iの化合物、そのエステルおよび/または薬学的に許容される塩と、少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項9】
動物、特にヒトの処置方法であって、処置を必要とする動物、特にヒトに、過剰なまたは不適切な骨吸収の処置に十分な量の請求項1〜5のいずれかに記載の式Iの化合物、そのエステルおよび/または薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項10】
動物、特にヒトの処置方法であって、処置を必要とする動物、特にヒトに、早老症の処置に十分な量の請求項1〜5のいずれかに記載の式Iの化合物、そのエステルおよび/または薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項11】
過剰なまたは不適切な骨吸収の処置における、請求項1〜5のいずれかに記載の式Iの化合物、そのエステルおよび/または薬学的に許容される塩の使用。
【請求項12】
早老症の処置における、請求項1〜5のいずれかに記載の式Iの化合物、そのエステルおよび/または薬学的に許容される塩の使用。
【請求項13】
過剰なまたは不適切な骨吸収の処置における、請求項1〜5のいずれかに記載の式Iの化合物、そのエステルおよび/または薬学的に許容される塩の使用。
【請求項14】
早老症の処置における、請求項1〜5のいずれかに記載の式Iの化合物、そのエステルおよび/または薬学的に許容される塩の使用。
【請求項15】
請求項1〜5のいずれかに記載の式Iの化合物、そのエステルおよび/または塩の製造方法であって、式II
【化2】

〔式中、RおよびRは請求項1〜5のいずれかに記載の式Iの化合物について定義した通りである。〕
のカルボン酸化合物と、オキシハロゲン化リンと反応させて、式Iの化合物、またはその塩を得て、
必要であれば、得られる遊離の式Iの化合物をその塩に変換し、得られる式Iの化合物の塩を遊離化合物に変換しおよび/または得られる式Iの化合物の塩をその異なる塩に変換する
ことを含む、方法。

【公表番号】特表2012−513443(P2012−513443A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542807(P2011−542807)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067679
【国際公開番号】WO2010/076258
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】