説明

フェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体

本発明は、新規フェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体、該化合物を調製する方法、該化合物を含んでいる作用剤、並びに、生物学的に活性な化合物としての、特に、植物保護及び材料物質の保護において有害な微生物を防除するための生物学的に活性な化合物としての、及び、植物成長調節剤としての、該化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規フェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体、それら化合物を調製する方法、それら化合物を含んでいる組成物、並びに、生物学的に活性な化合物としての、特に、作物保護及び材料物質の保護において有害な微生物を防除するための生物学的に活性な化合物としての、及び、植物成長調節剤としての、該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
作物保護において特定のフェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体を殺菌剤及び/又は成長調節剤として使用することができるということは既に知られている(cf. DE−A 3905317、JP−A 58−124772、EP−A 0298332、EP−A 0028755、EP−A 0061835、EP−A 0040345、EP−A 0001399、EP−A 0793657、及び、EP−A 0594963)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第3905317号明細書
【特許文献2】JP−A58−124772
【特許文献3】欧州特許出願公開第0298332号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0028755号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0061835号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第0040345号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0001399号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第0793657号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第0594963号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現代の活性化合物(例えば、殺菌剤)に求められる生態学的及び経済学的な要求、例えば、活性スペクトル、毒性、選択性、施用量、残留物の形成及び望ましい製造などに関する要求は、継続的に増大しており、また、例えば抵抗性に関する問題も存在し得るので、少なくとも一部の領域において既知殺菌剤よりも有利な新規殺菌剤を開発することが絶えず求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、従って、式(I)
【0006】
【化1】

〔式中、
Xは、5−ピリミジニル、1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル、3−ピリジニル、1H−1,3−イミダゾール−1−イルメチル又は2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン−1−イルメチルを表し;
Yは、O、S、SO、SO又はCHを表し;
Zは、臭素又はヨウ素を表し;
Rは、tert−ブチル、イソプロピル、1−ハロシクロプロピル、1−(C−C−アルキル)シクロプロピル、1−(C−C−アルコキシ)シクロプロピル又は1−(C−C−アルキルチオ)シクロプロピルを表す〕
で表される新規フェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体及びその農薬的に活性な塩を提供する〔但し、以下の化合物を除く:
1−(4−ブロモフェノキシ)−3,3−ジメチル−2−(ピリジン−3−イル)ブタン−2−オール;
1−(4−ブロモフェニルチオ)−3,3−ジメチル−2−(ピリジン−3−イル)ブタン−2−オール;
1−(4−ブロモフェニルチオ)−3−メチル−2−(ピリジン−3−イル)ブタン−2−オール;
2−(4−ブロモフェノキシ)−1−(1−クロロシクロプロピル)−1−(ピリジン−3−イル)エタノール;
1−(4−ブロモフェノキシ)−3,3−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ブタン−2−オール;
1−(4−ブロモフェニル)−4,4−ジメチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ペンタン−3−オール;
4−(4−ブロモフェニル)−2−(1−メチルシクロプロピル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール;
4−(4−ブロモフェニル)−2−(1−クロロシクロプロピル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール〕。
【0007】
このようにして得ることができる塩も、殺菌特性及び/又は植物成長調節特性を有している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に従って使用することが可能なフェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体の一般的な規定は、式(I)によって与えられる。上記及び下記において示されている式に関する基の好ましい規定が、以下に与えられている。これらの規定は、式(I)で表される最終生成物に適用され、及び、同様に、全ての中間体にも適用される(以下の「調製方法及び中間体の例証」も参照されたい)。
【0009】
Xは、好ましくは、5−ピリミジニル、1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル、3−ピリジニル又は2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン−1−イルメチルを表す。
【0010】
Xは、特に好ましくは、5−ピリミジニルを表す。
【0011】
Xは、同様に、特に好ましくは、1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチルを表す。
【0012】
Xは、同様に、特に好ましくは、2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン−1−イルメチルを表す。
【0013】
Xは、極めて特に好ましくは、5−ピリミジニルを表す。
【0014】
Xは、同様に、極めて特に好ましくは、1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチルを表す。
【0015】
Yは、好ましくは、O、S又はCHを表す。
【0016】
Yは、特に好ましくは、O又はCHを表す。
【0017】
Yは、極めて特に好ましくは、Oを表す。
【0018】
Zは、好ましくは、臭素を表す。
【0019】
Zは、同様に、好ましくは、ヨウ素を表す。
【0020】
Zは、特に好ましくは、4位に位置している臭素を表す。
【0021】
Zは、同様に、特に好ましくは、3位に位置している臭素を表す。
【0022】
Zは、同様に、特に好ましくは、2位に位置している臭素を表す。
【0023】
Zは、同様に、特に好ましくは、4位に位置しているヨウ素を表す。
【0024】
Zは、同様に、特に好ましくは、3位に位置しているヨウ素を表す。
【0025】
Zは、同様に、特に好ましくは、2位に位置しているヨウ素を表す。
【0026】
Rは、好ましくは、tert−ブチル、イソプロピル、1−クロロシクロプロピル、1−フルオロシクロプロピル、1−メチルシクロプロピル、1−メトキシシクロプロピル又は1−メチルチオシクロプロピルを表す。
【0027】
Rは、特に好ましくは、tert−ブチル、イソプロピル、1−クロロシクロプロピル、1−フルオロシクロプロピル又は1−メチルシクロプロピルを表す。
【0028】
Rは、極めて特に好ましくは、tert−ブチルを表す。
【0029】
Rは、同様に、極めて特に好ましくは、イソプロピルを表す。
【0030】
Rは、同様に、極めて特に好ましくは、1−クロロシクロプロピルを表す。
【0031】
Rは、同様に、極めて特に好ましくは、1−フルオロシクロプロピルを表す。.
Rは、同様に、極めて特に好ましくは、1−メチルシクロプロピルを表す。
【0032】
本発明のさらなる実施形態は、式(I−a)
【0033】
【化2】

〔式中、Y、Z及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物に関する。
【0034】
本発明のさらなる実施形態は、式(I−b)
【0035】
【化3】

〔式中、Y、Z及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物に関する。
【0036】
本発明のさらなる実施形態は、式(I−c)
【0037】
【化4】

〔式中、Y、Z及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物に関する。
【0038】
この式(I−c)において、Zは、好ましくは、ヨウ素を表す。
【0039】
本発明のさらなる実施形態は、式(I−d)
【0040】
【化5】

〔式中、Y、Z及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物に関する。
【0041】
この式(I−d)において、Zは、好ましくは、ヨウ素を表す。
【0042】
本発明のさらなる実施形態は、式(I−e)
【0043】
【化6】

〔式中、Y、Z及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物に関する。
【0044】
本発明のさらなる実施形態は、式(I−f)
【0045】
【化7】

〔式中、Y、Z及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物に関する。
【0046】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、及び、Rはtert−ブチルを表す〕で表される化合物である。
【0047】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、及び、Rはイソプロピルを表す〕で表される化合物である。
【0048】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、及び、Rは1−クロロシクロプロピルを表す〕で表される化合物である。
【0049】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、及び、Rは1−フルオロシクロプロピルを表す〕で表される化合物である。
【0050】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、及び、Rは1−メチルシクロプロピルを表す〕で表される化合物である。
【0051】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、及び、Rはtert−ブチルを表す〕で表される化合物である。
【0052】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、及び、Rはイソプロピルを表す〕で表される化合物である。
【0053】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、及び、Rは1−クロロシクロプロピルを表す〕で表される化合物である。
【0054】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、及び、Rは1−フルオロシクロプロピルを表す〕で表される化合物である。
【0055】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、及び、Rは1−メチルシクロプロピルを表す〕で表される化合物である。
【0056】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rはtert−ブチルを表し、及び、Xは5−ピリミジニルを表す〕で表される化合物である。
【0057】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rはtert−ブチルを表し、及び、Xは1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0058】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rはtert−ブチルを表し、及び、Xは3−ピリジニルを表す〕で表される化合物である。
【0059】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rはtert−ブチルを表し、及び、Xは2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0060】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rはイソプロピルを表し、及び、Xは5−ピリミジニルを表す〕で表される化合物である。
【0061】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rはイソプロピルを表し、及び、Xは1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0062】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rはイソプロピルを表し、及び、Xは3−ピリジニルを表す〕で表される化合物である。
【0063】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rはイソプロピルを表し、及び、Xは2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0064】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rは1−クロロシクロプロピルを表し、及び、Xは5−ピリミジニルを表す〕で表される化合物である。
【0065】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rは1−クロロシクロプロピルを表し、及び、Xは1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0066】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rは1−クロロシクロプロピルを表し、及び、Xは3−ピリジニルを表す〕で表される化合物である。
【0067】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rは1−クロロシクロプロピルを表し、及び、Xは2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0068】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rは1−フルオロシクロプロピルを表し、及び、Xは5−ピリミジニルを表す〕で表される化合物である。
【0069】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rは1−フルオロシクロプロピルを表し、及び、Xは1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0070】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rは1−フルオロシクロプロピルを表し、及び、Xは3−ピリジニルを表す〕で表される化合物である。
【0071】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rは1−フルオロシクロプロピルを表し、及び、Xは2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0072】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、Rはtert−ブチルを表し、及び、Xは5−ピリミジニルを表す〕で表される化合物である。
【0073】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、Rはtert−ブチルを表し、及び、Xは1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0074】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、Rはtert−ブチルを表し、及び、Xは3−ピリジニルを表す〕で表される化合物である。
【0075】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、Rはtert−ブチルを表し、及び、Xは2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0076】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、Rはイソプロピルを表し、及び、Xは5−ピリミジニルを表す〕で表される化合物である。
【0077】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、Rはイソプロピルを表し、及び、Xは1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0078】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、Rはイソプロピルを表し、及び、Xは3−ピリジニルを表す〕で表される化合物である。
【0079】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、Rはイソプロピルを表し、及び、Xは2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0080】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、Rは1−クロロシクロプロピルを表し、及び、Xは5−ピリミジニルを表す〕で表される化合物である。
【0081】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、Rは1−クロロシクロプロピルを表し、及び、Xは1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0082】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、Rは1−クロロシクロプロピルを表し、及び、Xは3−ピリジニルを表す〕で表される化合物である。
【0083】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、Rは1−クロロシクロプロピルを表し、及び、Xは2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0084】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、Rは1−フルオロシクロプロピルを表し、及び、Xは5−ピリミジニルを表す〕で表される化合物である。
【0085】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、Rは1−フルオロシクロプロピルを表し、及び、Xは1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0086】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、Rは1−フルオロシクロプロピルを表し、及び、Xは3−ピリジニルを表す〕で表される化合物である。
【0087】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zはヨウ素を表し、Rは1−フルオロシクロプロピルを表し、及び、Xは2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0088】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rは1−メチルシクロプロピルを表し、及び、Xは5−ピリミジニルを表す〕で表される化合物である。
【0089】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rは1−メチルシクロプロピルを表し、及び、Xは1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0090】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rは1−メチルシクロプロピルを表し、及び、Xは3−ピリジニルを表す〕で表される化合物である。
【0091】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)〔式中、Zは臭素を表し、Rは1−メチルシクロプロピルを表し、及び、Xは2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン−1−イルメチルを表す〕で表される化合物である。
【0092】
しかしながら、一般的な範囲又は好ましい範囲において上記で示されている基の規定及び説明は、必要に応じて互いに組み合わせることも可能である。即ち、それぞれの範囲と好ましい範囲の間で組合せることも可能である。それらは、最終生成物とそれに対応する前駆物質及び中間体の両方に適用される。さらに、個々の規定は適合しないこともあり得る。
【0093】
全ての基が上記で挙げられている好ましい意味を有している式(I)の化合物は、好ましい。
【0094】
全ての基が上記で挙げられている特に好ましい意味を有している式(I)の化合物は、特に好ましい。
【0095】
調製方法及び中間体の例証
式(I)で表されるフェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体は、さまざまな経路で調製することができる。最初に、実施可能な調製方法が以下の図式的に示されている。特に別途示されていない限り、記載されている基は、上記で与えられている意味を有する。
【0096】
【化8】

【0097】
【化9】

【0098】
【化10】

【0099】
【化11】

【0100】
【化12】

【0101】
上記及び下記において示されている式及びスキームに関する基の好ましい規定は、上記で既に与えられている。これらの規定は、式(I)で表される最終生成物に対して適用されるのみではなく、全ての中間体に対しても同様に適用される。
【0102】
調製方法A
本発明による調製方法Aを実施するための出発物質として必要とされる式(II)のオキシラン誘導体は、化合物「2−[2−(4−ブロモフェニル)エチル]−2−(1−メチル−シクロプロピル)オキシラン」を除き、新規である。それらは、既知調製方法によって、式(VI)で表されるフェニルオキシ(チオ)ケトンから調製することができる(cf. EP−A 0040345)。
【0103】
式(III)で表される1,2,4−トリアゾール及び1,3−イミダゾールは、新規である。
【0104】
本発明による調製方法Aは、希釈剤の存在下、及び、適切な場合には塩基の存在下で、実施する。適切な場合には、次いで、得られた式(I−g)で表される化合物に酸又は金属塩を添加する(下記参照)。
【0105】
本発明による反応に適する希釈剤は、不活性な全ての有機溶媒である。そのような有機溶媒としては、好ましくは、以下のものを挙げることができる:アルコール類、例えば、エタノール及びメトキシエタノール;ケトン類、例えば、2−ブタノン;ニトリル類、例えば、アセトニトリル;エステル類、例えば、酢酸エチル;エーテル類、例えば、ジオキサン;芳香族炭化水素類、例えば、ベンゼン及びトルエン;又は、アミド類、例えば、ジメチルホルムアミド。
【0106】
本発明による反応に適する塩基は、慣習的に使用することが可能な全ての有機塩基及び無機塩基である。そのような塩基としては、好ましくは、以下のものを挙げることができる:炭酸アルカリ金属塩、例えば、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム;アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム;アルカリ金属アルコキシド、例えば、ナトリウムメトキシド及びカリウムメトキシド並びにナトリウムエトキシド及びカリウムエトキシド;アルカリ金属水素化物、例えば、水素化ナトリウム;並びに、さらに、低級第3級アルキルアミン、シクロアルキルアミン及びアラルキルアミン、例えば、特に、トリエチルアミン。
【0107】
本発明による調製方法を実施する場合、その反応温度は、比較的広い範囲内で変えることができる。一般に、該調製方法は、0℃〜200℃、好ましくは、60℃〜150℃の温度で実施する。
【0108】
適切な場合には、本発明による反応は、高圧下で実施することができる。一般に、該反応は、1〜50バールで、好ましくは、1〜25バールで実施する。
【0109】
本発明による調製方法Aを実施する場合、一般式(II)で表されるオキシランの1モル当たり、好ましくは、1〜2molの式(III)で表される1,2,4−トリアゾール又は1,3−イミダゾール、及び、適切な場合には、1〜2molの塩基を使用する。最終生成物の単離は、概して慣習的な方法で行う。
【0110】
調製方法B
本発明による調製方法Bを実施するための出発物質として必要とされる式(IV)のオキシラン誘導体の一部は、新規である。それらは、既知調製方法によって、対応するトリアゾリルケトン類から調製することができる(cf. DE−A 3111238、EP−A 0157712)。
【0111】
式(IV−a)
【0112】
【化13】

〔式中、
は、イソプロピル、1−ハロシクロプロピル、1−(C−C−アルキル)シクロプロピル、1−(C−C−アルコキシ)シクロプロピル又は1−(C−C−アルキルチオ)シクロプロピルを表し;
Aは、CH又はNを表す〕
は、好ましくは、イソプロピル、1−クロロシクロプロピル、1−メチルシクロプロピル、1−メトキシシクロプロピル又は1−メチルチオシクロプロピルを表す。
【0113】
は、特に好ましくは、イソプロピル、1−クロロシクロプロピル又は1−メチルシクロプロピルを表す。
【0114】
は、極めて特に好ましくは、イソプロピルを表す。
【0115】
式(IV−b)
【0116】
【化14】

〔式中、
Rは、上記で与えられている意味を有し;及び、
Aは、CH又はNを表す;
ここで、AがCHを表す場合、Rは、tert−ブチルを表すことはない〕
で表されるオキシラン誘導体も、新規である。
【0117】
Rは、好ましくは特に好ましくは、及び、極めて特に好ましくは、上記で与えられている意味を有するが、ここで、何れの場合にも、AがCHを表す場合、Rは、tert−ブチルを表すことはない。
【0118】
式(V)で表される(チオ)フェノールは、既知である。
【0119】
本発明による調製方法Bは、希釈剤の存在下、及び、適切な場合には塩基の存在下で、実施する。適切な場合には、次いで、得られた式(I−h)で表される化合物に酸又は金属塩を添加する(下記参照)。
【0120】
本発明による反応に適する希釈剤は、不活性な全ての有機溶媒である。そのような有機溶媒としては、好ましくは、以下のものを挙げることができる:アルコール類、例えば、エタノール及びメトキシエタノール;ケトン類、例えば、2−ブタノン;ニトリル類、例えば、アセトニトリル;エステル類、例えば、酢酸エチル;エーテル類、例えば、ジオキサン;芳香族炭化水素類、例えば、ベンゼン及びトルエン;又は、アミド類、例えば、ジメチルホルムアミド。
【0121】
本発明による反応に適する塩基は、慣習的に使用することが可能な全ての有機塩基及び無機塩基である。そのような塩基としては、好ましくは、以下のものを挙げることができる:炭酸アルカリ金属塩、例えば、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム;アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム;アルカリ金属アルコキシド、例えば、ナトリウムメトキシド及びカリウムメトキシド並びにナトリウムエトキシド及びカリウムエトキシド;アルカリ金属水素化物、例えば、水素化ナトリウム;並びに、さらに、低級第3級アルキルアミン、シクロアルキルアミン及びアラルキルアミン、例えば、特に、トリエチルアミン。水素化ナトリウムを使用するのが特に好ましい。
【0122】
本発明による調製方法を実施する場合、その反応温度は、比較的広い範囲内で変えることができる。一般に、該調製方法は、0℃〜200℃、好ましくは、60℃〜150℃の温度で実施する。
【0123】
適切な場合には、本発明による反応は、高圧下で実施することができる。一般に、該反応は、1〜50バールで、好ましくは、1〜25バールで実施する。
【0124】
本発明による調製方法Bを実施する場合、一般式(IV)で表されるオキシランの1モル当たり、好ましくは、1〜2molの式(V)で表される(チオ)フェノール、及び、適切な場合には、1〜2molの塩基を使用する。最終生成物の単離は、概して慣習的な方法で行う。
【0125】
調製方法C
本発明による調製方法Cを実施するための出発物質として必要とされる式(VI)〔式中、Zが臭素を表す場合、Yは、OもCHも表すことはない〕で表されるフェニル(オキシ/チオ)ケトンは、新規である。それらは、既知調製方法で調製することができる(cf. EP−A 0040345、EP−A 0001399)。
【0126】
式(VII)で表されるハロゲン化物は既知である。式(VII)において、Haiは、好ましくは、塩素又は臭素である。
【0127】
本発明による調製方法Cは、希釈剤の存在下、及び、有機アルカリ金属化合物の存在下で、実施する。適切な場合には、次いで、得られた式(I−i)で表される化合物に酸又は金属塩を添加する(下記参照)。
【0128】
本発明による反応にとって好ましい希釈剤は、不活性有機溶媒である。そのような有機溶媒としては、好ましくは、凝固点が低い有機溶媒、例えば、特に、エーテル類、例えば、ジエチルエーテル又はテトラヒドロフランなどを挙げることができる。これら2種類のエーテルの混合物を用いて実施するのが好ましい。
【0129】
本発明による反応に使用される好ましい有機アルカリ金属化合物は、アルカリ金属アルキル類、例えば、特に、n−ブチルリチウムなどを挙げることができる;しかしながら、フェニルリチウムなどのアルカリ金属アリール類を使用することも可能である。
【0130】
本発明による該調製方法において、その反応温度は、特定の範囲内で変えることができる。一般に、該調製方法は、−150℃〜−50℃、好ましくは、−120℃〜−80℃の温度で、実施する。
【0131】
本発明による反応は、好ましくは、不活性ガス下で、例えば、特に、窒素下又はアルゴン下で、実施する。
【0132】
本発明による調製方法を実施する場合、式(VI)で表されるフェニルオキシ(チオ)ケトンと式(VII)で表されるハロゲン化物は、ほぼ等モル量で使用する;しかしながら、この比率よりも最大で約20mol%多いことも又は少ないことも可能である。有機アルカリ金属化合物は、有利には、5〜75mol%過剰量で、好ましくは、10〜50mol%過剰量で、使用する。
【0133】
ここで、該有機アルカリ金属化合物は、最初に、式(VII)で表されるハロゲン化物と反応させ、次いで、式(VI)で表されるケト化合物を添加することができる;しかしながら、最初に当該ケト化合物とハロゲン化物を入れ、次いで、有機アルカリ金属化合物を低温で(例えば、−100℃〜−130℃で)加えることも可能である。式(I−b)で表される化合物の単離は、当該反応において最初に形成されたアルカリ金属アルコキシド(例えば、リチウムアルコキシド)を水で加水分解することによって実施する。次いで、慣習的な方法でさらなる後処理を行う。
【0134】
調製方法D
式(VIII)で表される臭化物は、既知である。式(V)で表される(チオ)フェノールも、既知である。
【0135】
本発明による調製方法Dを実施するための中間体として存在する式(IX)〔式中、Xが3−ピリジニルを表す場合、Zは、臭素を表すことはない〕で表されるフェニル(オキシ/チオ)ケトンは、新規である。それらは、既知方法で調製することができる(cf. JP−A 62−084061、WO 01/87878)。
【0136】
式(X)で表される有機金属化合物は既知であり、ここで、式(X)におけるMは、好ましくは、リチウム又はマグネシウムを表す。
【0137】
本発明による調製方法D(段階1)は、希釈剤の存在下、及び、適切な場合には塩基の存在下で、実施する。本発明による反応に適する希釈剤は、不活性な全ての有機溶媒である。そのような有機溶媒としては、好ましくは、以下のものを挙げることができる:アルコール類、例えば、エタノール及びメトキシエタノール;ケトン類、例えば、2−ブタノン;ニトリル類、例えば、アセトニトリル;エステル類、例えば、酢酸エチル;エーテル類、例えば、ジオキサン;芳香族炭化水素類、例えば、ベンゼン及びトルエン;又は、アミド類、例えば、ジメチルホルムアミド。
【0138】
本発明による反応に適する塩基は、慣習的に使用することが可能な全ての有機塩基及び無機塩基である。そのような塩基としては、好ましくは、以下のものを挙げることができる:炭酸アルカリ金属塩、例えば、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム;アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム;アルカリ金属アルコキシド、例えば、ナトリウムメトキシド及びカリウムメトキシド並びにナトリウムエトキシド及びカリウムエトキシド;アルカリ金属水素化物、例えば、水素化ナトリウム;並びに、さらに、低級第3級アルキルアミン、シクロアルキルアミン及びアラルキルアミン、特に、特に、トリエチルアミン。
【0139】
本発明による調製方法を実施する場合、その反応温度は、比較的広い範囲内で変えることができる。一般に、該調製方法は、0℃〜200℃、好ましくは、20℃〜100℃の温度で実施する。
【0140】
適切な場合には、本発明による反応は、高圧下で実施することができる。一般に、該反応は、1〜50バールで、好ましくは、1〜25バールで実施する。
【0141】
本発明による調製方法D(段階1)を実施する場合、一般式(VIII)で表されるブロモケトンの1モル当たり、好ましくは、1〜2molの式(V)で表される(チオ)フェノール、及び、適切な場合には、1〜3molの塩基を使用する。最終生成物の単離は、概して慣習的な方法で行う。
【0142】
本発明による調製方法D(段階2)は、希釈剤の存在下、及び、有機アルカリ金属化合物の存在下で、実施する。適切な場合には、次いで、得られた式(I−k)で表される化合物に酸又は金属塩を添加する(下記参照)。
【0143】
式(IX)で表される化合物の式(I−k)で表される化合物への本発明による変換にとって好ましい希釈剤は、不活性有機溶媒である。そのような有機溶媒としては、特に、エーテル類、例えば、ジエチルエーテル又はテトラヒドロフランなどを挙げることができる。本発明による反応に使用される好ましい有機アルカリ金属化合物は、アルカリ土類金属アルキル類、例えば、特に、tert−ブチルマグネシウムクロリドなどを挙げることができる;しかしながら、t−ブチルリチウムなどのアルカリ金属アリキル類を使用することも可能である。
【0144】
本発明による該調製方法において、その反応温度は、特定の範囲内で変えることができる。一般に、該調製方法は、−100℃〜+20℃、好ましくは、−78℃〜0℃の温度で、実施する。
【0145】
本発明による反応は、好ましくは、不活性ガス下で、例えば、特に、窒素下又はアルゴン下で、実施する。
【0146】
本発明による調製方法を実施する場合、式(IX)で表されるケトンと式(X)で表される有機金属化合物は、ほぼ等モル量で使用する;しかしながら、この比率よりも最大で約20mol%多いことも又は少ないことも可能である。有機金属化合物は、有利には、5〜75mol%過剰量で、好ましくは、10〜50mol%過剰量で、使用する。
【0147】
ここで、ケトン(IX)を最初に入れ、次いで、式(X)で表される有機金属化合物を適切な温度で(例えば、0℃で)、添加することができる。式(I−k)で表される化合物の単離は、当該反応において最初に形成された金属アルコキシド(例えば、マグネシウムアルコキシド)を水で加水分解することによって実施する。次いで、慣習的な方法でさらなる後処理を行う。
【0148】
調製方法E
式(I−c)で表されるフェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体の式(I−e)で表されるフェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体への変換は、2つの異なった経路によって実施することが出来る(cf. EP−A 0793657)。
【0149】
式(I−c)で表されるフェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体を、
(α) 希釈剤の存在下で強塩基及び硫黄と連続して反応させ、次いで、適切な場合には酸の存在下で、水で加水分化する;又は、
(β) 高沸点希釈剤の存在下で硫黄と反応させ、次いで、必要に応じて、水で処理し、及び、必要に応じて、酸で処理する。
【0150】
本発明による調製方法Eの変形態様(α)を実施するのに適する塩基は、そのような反応に関して慣習的な全ての強アルカリ金属塩基である。好ましくは、以下のものを使用する:n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、及び、さらに、テトラメチルエチレンジアミン(=TMEDA)と混合されているカリウムtert−ブトキシド。
【0151】
本発明による調製方法Eの変形態様(α)を実施するのに適する希釈剤は、そのような反応に関して慣習的な全ての不活性有機溶媒である。好ましくは、以下のものを使用する:エーテル類、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル及び1,2−ジメトキシエタン、さらに、液体アンモニア、又は、強極性溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド。
【0152】
硫黄は、好ましくは、粉末の形態で使用する。本発明による調製方法Eの変形態様(α)を実施する場合、加水分解を行うために、水(適切な場合には、酸の存在下)を使用する。適切な酸は、そのような反応に関して慣習的な全ての無機酸又は有機酸である。好ましくは、酢酸、希硫酸及び希塩酸を使用する。しかしながら、塩化アンモニウム水溶液を用いて加水分解することも可能である。
【0153】
変形態様(α)を実施する場合、その反応温度は、特定の範囲内で変えることができる。一般に、該変形態様は、−70℃〜+20℃、好ましくは、−70℃〜0℃の温度で、実施する。
【0154】
本発明による調製方法Eは、一般に、大気圧下で実施する。しかしながら、高圧下又は減圧下で実施することも可能である。かくして、変形態様(α)を実施する場合、特に、高圧下で実施することが可能である。
【0155】
変形態様(α)に従って本発明による調製方法Eを実施する場合、式(I−c)で表されるフェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体の1モル当たり、一般に、2〜3当量、好ましくは、2.0〜2.5当量の強塩基を使用し、続いて、等量又は過剰量の硫黄を使用する。該反応は、保護ガスの雰囲気下で、例えば、窒素下又はアルゴン下で、実施することができる。後処理は、慣習的な方法で行う。
【0156】
本発明による調製方法Eの変形態様(β)を実施するのに適する希釈剤は、そのような反応に関して慣習的な全ての高沸点有機溶媒である。好ましくは、以下のものを使用する:アミド類、例えば、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド、さらに、ヘテロ環式化合物、例えば、N−メチルピロリドン、及び、さらに、エーテル類、例えば、ジフェニルエーテル。
【0157】
変形態様(β)に従って本発明による調製方法Eを実施する場合、一般に、硫黄は粉末の形態でも使用する。該反応の後、場合により、水での処理及び適切な場合には酸での処理を実施することができる。これは、変形態様(α)を実施するときの加水分解と同様に行われる。
【0158】
本発明による調製方法Eの変形態様(β)を実施する場合、その反応温度は、同様に、比較的広い範囲内で変えることができる。一般に、該変形態様は、150℃〜300℃、好ましくは、180℃〜250℃の温度で実施する。
【0159】
変形態様(β)に従って本発明による調製方法Eを実施する場合、式(I−c)で表されるフェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体の1モル当たり、一般に、1〜5mol、好ましくは、1.5〜3molの硫黄を使用する。後処理は、慣習的な方法で行う。
【0160】
本発明による調製方法A〜調製方法Eによって得ることが可能な一般式(I)で表される化合物は、酸付加塩又は金属塩錯体に変換することができる。
【0161】
一般式(I)で表される化合物の生理学的に許容される酸付加塩を調製するのに適しているものは、好ましくは、以下の酸である:ハロゲン化水素酸、例えば、塩酸及び臭化水素酸、特に、塩酸、さらに、リン酸、硝酸、硫酸、単官能性及び二官能性のカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸、例えば、酢酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、ソルビン酸、乳酸、並びに、さらに、スルホン酸、例えば、p−トルエンスルホン酸及び1,5−ナフタレンジスルホン酸。
【0162】
一般式(I)で表される化合物の酸付加塩は、塩を形成させるための慣習的な方法によって、例えば、一般式(I)で表される化合物を適切な不活性溶媒に溶解させ、そして、酸(例えば、塩酸)を添加することによって、容易に得ることが可能であり、及び、既知方法で、例えば、濾過によって、単離することが可能であり、及び、必要に応じて、不活性有機溶媒で洗浄することにより精製することが可能である。
【0163】
一般式(I)で表される65の化合物の金属塩錯体を調製するのに好ましいものは、周期系の第II主族〜第IV主族並びに第I遷移族及び第II遷移族及び第IV遷移族〜第VIII遷移族の金属(挙げることができる例は、銅、亜鉛、マンガン、マグネシウム、錫、鉄及びニッケルである)の塩である。
【0164】
上記塩の適切なアニオンは、以下の酸から好ましくは誘導されるアニオンである:ハロゲン化水素酸、例えば、塩酸及び臭化水素酸、さらに、リン酸、硝酸及び硫酸。
【0165】
一般式(I)で表される化合物の金属塩錯体は、慣習的な方法によって、例えば、当該金属塩をアルコール(例えば、エタノール)に溶解させ、その溶液を一般式(I)で表される化合物に添加することによって、容易に得ることができる。金属塩錯体は、既知方法で、例えば、濾過することにより、単離することが可能であり、及び、必要に応じて、再結晶により精製することができる。
【0166】
本発明は、さらに、本発明による活性化合物を含んでいる、望ましくない微生物を防除するための組成物にも関する。これらは、好ましくは、農業において適切な補助剤、溶媒、担体、界面活性剤又は増量剤を含んでいる殺菌剤組成物である。
【0167】
さらに、本発明は、望ましくない微生物を防除する方法にも関し、ここで、該方法は、本発明による活性化合物を当該植物病原性菌類及び/又はそれらの生息環境に施用することを特徴とする。
【0168】
本発明によれば、担体は、特に植物又は植物の部分又は種子への施用に関して、適用性を良好にするために、当該活性化合物と混合又は結合させる天然又は合成の有機物質又は無機物質である。このような担体は、固体又は液体であり得るが、一般に、不活性であり、そして、農業において使用するのに適しているべきである。
【0169】
適切な固体又は液体の担体は、以下のものである:例えば、アンモニウム塩、並びに、粉砕された天然鉱物、例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト又はケイ藻土、並びに、粉砕された合成鉱物、例えば、微粉砕シリカ、アルミナ及び天然又は合成のシリケート、樹脂、蝋、固形肥料、水、アルコール、特に、ブタノール、有機溶媒、鉱油及び植物油、並びに、それらの誘導体。そのような担体の混合物も使用し得る。粒剤に適している固体担体は、以下のものである:例えば、粉砕して分別した天然石、例えば、方解石、大理石、軽石、海泡石、苦灰岩、並びに、無機及び有機の粗挽き粉からなる合成顆粒、並びに、さらに、有機材料、例えば、おがくず、ココナッツ殻、トウモロコシ穂軸及びタバコの葉柄などからなる顆粒。
【0170】
適切な液化ガス増量剤又は担体は、周囲温度及び大気圧下では気体である液体、例えば、エーロゾル噴射剤、例えば、ハロゲン化炭化水素類、さらに、ブタン、プロパン、窒素及び二酸化炭素などである。
【0171】
上記製剤において、粘着付与剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、並びに、粉末又は顆粒又はラテックスの形態にある天然ポリマー及び合成ポリマー、例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニル、又は、天然のリン脂質、例えば、セファリン及びレシチン、及び、合成リン脂質などを使用することができる。可能な別の添加剤は、鉱油及び植物油である。
【0172】
使用する増量剤が水である場合、例えば、有機溶媒を補助溶媒として使用することもできる。本質的に、適する液体溶媒は、以下のものである:芳香族化合物、例えば、キシレン、トルエン又はアルキルナフタレン類、塩素化芳香族化合物及び塩素化脂肪族炭化水素、例えば、クロロベンゼン類、クロロエチレン類又はジクロロメタン、脂肪族炭化水素、例えば、シクロヘキサン又はパラフィン類、例えば、鉱油留分、鉱油及び植物油、アルコール類、例えば、ブタノール又はグリコールとそれらのエーテル及びエステル、ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン、強極性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシド、及び、さらに、水。
【0173】
本発明の組成物には、例えば界面活性剤などの、さらなる付加的な成分も含有させることができる。適切な界面活性剤は、イオン特性若しくは非イオン特性を有する乳化剤及び/若しくは泡形成剤、分散剤又は湿潤剤であるか、又は、そのような界面活性剤の混合物である。これらの例は、以下のものである:ポリアクリル酸の塩、リグノスルホン酸の塩、フェノールスルホン酸若しくはナフタレンスルホン酸の塩、エチレンオキシドと脂肪アルコールの重縮合物若しくはエチレンオキシドと脂肪酸の重縮合物若しくはエチレンオキシドと脂肪アミンの重縮合物、置換されているフェノール(好ましくは、アルキルフェノール又はアリールフェノール)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(好ましくは、アルキルタウレート)、ポリエトキシル化アルコールのリン酸エステル若しくはポリエトキシル化フェノールのリン酸エステル、ポリオールの脂肪酸エステル、並びに、硫酸アニオン、スルホン酸アニオン及びリン酸アニオンを含んでいる該化合物の誘導体、例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル類、アルキルスルホネート類、アルキルスルフェート類、アリールスルホネート類、タンパク質加水分解物、リグノスルファイト廃液及びメチルセルロースなど。該活性化合物のうちの1種類及び/又は該不活性担体のうちの1種類が水不溶性であり且つ施用が水で行われる場合は、界面活性剤を存在させることが必要である。界面活性剤の割合は、本発明組成物の5重量%〜40重量%である。
【0174】
着色剤、例えば、無機顔料、例えば、酸化鉄、酸化チタン及びプルシアンブルー(Prussian Blue)、並びに、有機染料、例えば、アリザリン染料、アゾ染料及び金属フタロシアニン染料、並びに、微量栄養素、例えば、鉄塩、マンガン塩、ホウ素塩、銅塩、コバルト塩、モリブデン塩及び亜鉛塩などを使用することができる。
【0175】
適切な場合には、付加的な別の成分、例えば、保護コロイド、結合剤、粘着剤、増粘剤、揺変性物質、浸透剤、安定化剤、金属イオン封鎖剤、錯体形成物質なども存在させることができる。一般的に、該活性化合物は、製剤目的で慣習的に使用される固体又は液体の任意の添加剤と組み合わせることが可能である。
【0176】
本発明による組成物及び製剤は、一般に、0.05〜99重量%、0.01〜98%重量%、好ましくは、0.1〜95重量%、特に好ましくは、0.5〜90重量%の活性化合物を含有し、極めて特に好ましくは、10〜70重量%の活性化合物を含有する。
【0177】
本発明による活性化合物又は組成物は、そのままで使用することが可能であるか、又は、それらのそれぞれの物理的及び/若しくは化学的特性に応じて、以下のようなそれらの製剤の形態若しくはその製剤から調製される使用形態で使用することが可能である:エーロゾル、カプセル懸濁液剤、冷煙霧濃厚剤(cold−fogging concentrate)、温煙霧濃厚剤(warm−fogging concentrate)、カプセル化粒剤、細粒剤、種子処理用フロアブル剤、即時使用可能な溶液剤(ready−to−use solution)、散粉性粉剤、乳剤、水中油型エマルション剤、油中水型エマルション剤、大型粒剤、微粒剤、油分散性粉剤、油混和性フロアブル剤、油混和性液剤、泡剤(foam)、ペースト剤、農薬粉衣種子、懸濁製剤(suspension concentrate)、サスポエマルション製剤、可溶性濃厚剤(soluble concentrate)、懸濁液剤(suspension)、水和剤、可溶性粉剤(soluble powder)、粉剤及び粒剤、水溶性顆粒剤又は錠剤、種子処理用水溶性粉剤、水和剤、活性化合物が含浸されている天然生成物及び合成物質、並びに、さらに、ポリマー物質中にマイクロカプセル化されているもの及び種子用のコーティング物質中にマイクロカプセル化されているもの、並びに、さらに、ULV冷煙霧製剤(ULV cold−fogging formulation)及びULV温煙霧製剤(ULV warm−fogging formulation)。
【0178】
上記製剤は、自体公知の方法で、例えば、当該活性化合物を少なくとも1種類の慣習的な増量剤、溶媒又は希釈剤、乳化剤、分散剤及び/又は結合剤又は固着剤、湿潤剤、撥水剤、適切な場合には、乾燥剤及び紫外線安定剤、並びに、適切な場合には、染料及び顔料、消泡剤、防腐剤、第2の増粘剤、粘着剤、ジベレリン類、並びに、さらに、さらなる加工助剤と混合させることによって、調製することができる。
【0179】
本発明による組成物には、既に使用し得る状態にあって適切な装置を用いて植物又は種子に対して施用可能な製剤のみではなく、使用前に水で希釈することが必要な商業的な濃厚物も包含される。
【0180】
本発明による活性化合物は、それだけで存在し得るか、又は、その(商業用)製剤中に、及び、そのような製剤から調製された使用形態中に、殺虫剤、誘引剤、不妊剤、殺細菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、成長調節剤、除草剤、肥料、薬害軽減剤及び/又は情報化学物質などの別の(既知)活性化合物との混合物として、存在し得る。
【0181】
上記活性化合物又は組成物を用いた植物及び植物の部分の本発明による処理は、慣習的な処理方法を用いて、例えば、浸漬、散布、噴霧、灌漑、気化、散粉、煙霧、ばらまき、泡状化、塗布、拡散(spreading−on)、灌水(灌注(drenching))、点滴潅漑などによって、直接的に行うか、又は、該活性化合物又は組成物を植物及び植物の部分の周囲、生息環境若しくは貯蔵空間に作用させることにより行い、また、繁殖器官(propagation material)の場合、特に種子の場合は、さらに、乾燥種子処理用粉末として、種子処理用溶液として、スラリー処理用水溶性粉末として行うか、また、被覆することによって、1層以上のコーティングを施すことによっても行う。さらに、該活性化合物を微量散布法(ultra−low volume method)によって施用することも可能であり、又は、該活性化合物調製物若しくは活性化合物自体を土壌中に注入することも可能である。
【0182】
本発明は、さらに、種子を処理する方法も包含する。
【0183】
本発明は、さらに、前の段落において記述されている方法のうちの1つに従って処理された種子にも関する。本発明による種子は、望ましくない微生物から種子を保護するための方法において使用される。これらの方法においては、本発明による少なくとの1種類の活性化合物で処理された種子を使用する。
【0184】
本発明による活性化合物又は組成物は、種子を処理するのにも適している。有害な生物に起因する作物植物に対する被害の大部分は、貯蔵中に、又は、播種後、植物が発芽している最中及び発芽の後に、種子が感染することによって引き起こされる。この相は特に危険である。それは、生長している植物の根及び苗条は特に感受性が高く、少量の損傷であってもその植物が死に至り得るからである。従って、適切な組成物を用いて種子及び発芽中の植物を保護することに、大きな関心が持たれている。
【0185】
植物の種子を処理することによる植物病原性菌類の防除は、長い間知られており、継続的に改良が加えられている。しかしながら、種子の処理は、必ずしも満足のいくように解決することができるわけではない一連の問題を伴っている。かくして、播種後又は植物の出芽後に作物保護剤を追加で施用することを不要とするか又は少なくとも著しく低減させるような、種子及び発芽中の植物を保護する方法を開発することは望ましい。さらに、使用する活性化合物によって植物自体に損傷を与えることなく、植物病原性菌類による攻撃から種子及び発芽中の植物が最適に保護されるように、使用する活性化合物の量を最適化することも望ましい。特に、種子を処理する方法では、最少量の作物保護剤を使用して種子及び発芽中の植物の最適な保護を達成するために、トランスジェニック植物の内因性の殺菌特性も考慮に入れるべきである。
【0186】
従って、本発明は、植物病原性菌類による攻撃から種子及び発芽中の植物を保護する方法にも関し、ここで、該方法は、当該種子を本発明の組成物で処理することによる。本発明は、さらに、種子及び発芽中の植物を植物病原性菌類から保護するために種子を処理するための本発明の組成物の使用にも関する。さらに、本発明は、植物病原性菌類に対して保護されるように、本発明の組成物で処理された種子にも関する。
【0187】
出芽後の植物に損傷を与える植物病原性菌類の防除は、主として、土壌及び植物の地上部を作物保護剤で処理することによって行われる。作物保護剤は、環境並びにヒト及び動物の健康に対して影響を及ぼし得ることに関して懸念があるので、施用する活性化合物の量を低減する努力が成されている。
【0188】
本発明の有利な点の1つは、本発明の活性化合物及び組成物が有している際立った浸透移行特性によって、その活性化合物及び組成物で種子を処理することにより、植物病原性菌類から、その種子自体が保護されるのみではなく、出芽後に生じる植物も保護されるということである。このようにして、播種時又は播種後間もなくの作物の即時的な処理を省くことができる。
【0189】
さらにまた、本発明による活性化合物又は組成物が、特に、トランスジェニック種子(ここで、その種子から成長した植物は、害虫に対して作用するタンパク質を発現することができる)に対しても使用可能であるということも、有利な点として見なされる。そのような種子を本発明の活性化合物又は組成物で処理することで、例えば殺虫性タンパク質の発現によってさえ、特定の害虫は防除可能である。驚くべきことに、本発明において、さらなる相乗効果が観察される場合がある。そのような相乗効果は、害虫による攻撃に対する保護の有効性をさらに改善する。
【0190】
本発明による組成物は、農業において、温室内で、森林で又は園芸及びブドウ栽培において使用される全ての植物品種の種子を保護するのに適している。特に、これは、禾穀類(例えば、コムギ、オオムギ、ライムギ、ライコムギ、ソルガム/アワ、及び、エンバク)、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、イネ、ジャガイモ、ヒマワリ、インゲンマメ、コーヒー、ビート(例えば、テンサイ、及び、飼料用ビート)、ラッカセイ、ナタネ、ケシ、オリーブ、ココナッツ、カカオ、サトウキビ、タバコ、野菜(例えば、トマト、キュウリ、タマネギ、及び、レタス)、芝生及び観賞植物の種子である(下記も参照されたい)。禾穀類(例えば、コムギ、オオムギ、ライムギ、ライコムギ、及び、エンバク)、トウモロコシ及びイネの種子を処理することは、特に重要である。
【0191】
以下でもさらに記載されているように、本発明の活性化合物又は組成物によるトランスジェニック種子の処理は、特に重要である。これは、殺虫特性を有するポリペプチド又はタンパク質の発現を可能にする少なくとも1種類の異種遺伝子を含んでいる植物の種子である。トランスジェニック種子内の異種遺伝子は、例えば、バシルス(Bacillus)種、リゾビウム(Rhizobium)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、セラチア(Serratia)種、トリコデルマ(Trichoderma)種、クラビバクテル(Clavibacter)種、グロムス(Glomus)種又はグリオクラジウム(Gliocladium)種の微生物に由来し得る。好ましくは、この異種遺伝子は、その遺伝子産物がアワノメイガ(European corn borer)及び/又はウェスタンコーンルートワーム(Western corn rootworm)に対して活性を示すバシルス属種(Bacillus sp.)に由来する。特に好ましくは、該異種遺伝子は、バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する。
【0192】
本発明に関連して、本発明による組成物は、種子に対して、単独で施用するか、又は、適切な製剤中に含ませて施用する。好ましくは、種子は、処理中の損傷を回避するのに充分なほど安定な状態で処理する。一般に、種子は、収穫と播種の間の任意の時点で処理することができる。通常使用される種子は、植物から分離されていて、穂軸、殻、葉柄、外皮、被毛又は果肉を伴っていない。かくして、例えば、収穫され、不純物が取り除かれ、含水量が15重量%未満となるまで乾燥された種子を使用することができる。あるいは、乾燥後に例えば水で処理され、その後再度乾燥された種子を使用することもできる。
【0193】
種子を処理する場合、種子の発芽が悪影響を受けないように、又は、種子から生じた植物が損傷を受けないように、種子に施用する本発明組成物の量及び/又はさらなる添加剤の量を選択することに関して一般に注意しなくてはならない。このことは、とりわけ、特定の施用量で薬害作用を示し得る活性化合物の場合には、留意しなくてはならない。
【0194】
本発明による組成物は、直接的に施用することが、即ち、別の成分を含ませることなく、また、希釈することなく、施用することが可能である。一般に、該組成物は、適切な製剤の形態で種子に施用するのが好ましい。種子を処理するための適切な製剤及び方法は、当業者には知られており、例えば、以下の文献に記載されている:US 4,272,417A、US 4,245,432A、US 4,808,430A、US 5,876,739A、US 2003/0176428A1、WO 2002/080675A1、WO 2002/028186A2。
【0195】
本発明に従って使用することが可能な活性化合物は、慣習的な種子粉衣製剤、例えば、溶液剤、エマルション剤、懸濁液剤、粉末剤、泡剤、スラリー剤又は種子用の別のコーティング材料や、及び、さらに、ULV製剤などに変換することができる。
【0196】
これらの製剤は、既知方法で、該活性化合物を、慣習的な添加剤、例えば、慣習的な増量剤、及び、さらに、溶媒又は希釈剤、着色剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、防腐剤、第2の増粘剤、粘着剤、ジベレリン類などと混合させ、及び、さらに、水と混合させることによって、調製する。
【0197】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる着色剤は、そのような目的に関して慣習的な全ての着色剤である。これに関連して、水中であまり溶解性しない顔料のみではなく、水中で溶解する染料も使用し得る。挙げることができる例は、「Rhodamin B」、「C.I.Pigment Red 112」、及び、「C.I.Solvent Red 1」の名称で知られている着色剤である。
【0198】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる適切な湿潤剤は、農薬活性化合物の製剤に関して慣習的に使用される、湿潤を促進する全ての物質である。好ましくは、アルキルナフタレンスルホネート類、例えば、ジイソプロピルナフタレンスルホネート又はジイソブチルナフタレンスルホネートなどを使用する。
【0199】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる適切な分散剤及び/又は乳化剤は、農薬活性化合物の製剤に関して慣習的に使用される非イオン性、アニオン性及びカチオン性の全ての分散剤である。好ましくは、非イオン性若しくはアニオン性の分散剤又は非イオン性若しくはアニオン性の分散剤の混合物を使用する。挙げることができる適切な非イオン性分散剤は、特に、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー類、アルキルフェノールポリグリコールエーテル類及びトリスチリルフェノールポリグリコールエーテル類、並びに、それらのリン酸化誘導体又は硫酸化誘導体である。適切なアニオン性分散剤は、特に、リグノスルホネート類、ポリアクリル酸塩類及びアリールスルホネート/ホルムアルデヒド縮合物である。
【0200】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる消泡剤は、農薬活性化合物の製剤に関して慣習的に使用される全ての泡抑制物質である。好ましくは、シリコーン消泡剤及びステアリン酸マグネシウムを使用することができる。
【0201】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる防腐剤は、農薬組成物中で当該目的のために使用することが可能な全ての物質である。ジクロロフェン及びベンジルアルコールヘミホルマールを例として挙げることができる。
【0202】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる第2の増粘剤は、農薬組成物中で当該目的のために使用することが可能な全ての物質である。セルロース誘導体、アクリル酸誘導体、キサンタン、変性クレー及び微粉砕シリカが好ましい。
【0203】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる粘着剤は、種子粉衣製品中で使用可能な全ての慣習的な結合剤である。ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール及びチロースを好ましいものとして挙げることができる。
【0204】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤中に存在させることができるジベレリン類は、好ましくは、ジベレリンA1、ジベレリンA3(=ジベレリン酸)、ジベレリンA4及びジベレリンA7である。特に好ましくは、ジベレリン酸を使用する。ジベレリン類は知られている(cf. R.Wegler “Chemie der Pflanzenschutz− und Schadlingsbekampfungsmittel” [Chemistry of plant protection agents and pesticides], vol.2, Springer Verlag, 1970, p.401−412)。
【0205】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤は、広い範囲の種子(これは、トランスジェニック植物の種子を包含する)を処理するために、直接的に使用することができるか、又は、予め水で希釈したあとで使用することができる。これに関連して、発現により形成された物質と協力して、付加的な相乗効果が生じることもあり得る。
【0206】
種子粉衣を実施するのに慣習的に使用可能な全ての混合機は、本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤又は水を添加することによってその種子粉衣製剤から調製される調製物を用いて種子を処理するのに適している。具体的にいえば、種子を混合機の中に入れる種子粉衣工程中に、所望される特定量の種子粉衣製剤を、そのままで添加するか又は予め水で希釈したあとで添加し、及び、該製剤が当該種子の表面に均質に分配されるまで全てのものを混合させるような手順に従う。適切な場合には、続いて、乾燥工程を行う。
【0207】
本発明の活性化合物又は組成物は、強力な殺微生物活性(microbicidal activity)を有しており、作物保護と材料物質(materials)の保護において、菌類及び細菌類などの望ましくない微生物を防除するために使用することができる。
【0208】
殺菌剤は、作物保護において、ネコブカビ類(Plasmodiophoromycetes)、卵菌類(Oomycetes)、ツボカビ類(Chytridiomycetes)、接合菌類(Zygomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)及び不完全菌類(Deuteromycetes)を防除するために、使用することができる。
【0209】
殺細菌剤(bactericide)は、作物保護において、シュードモナス科(Pseudomonadaceae)、リゾビウム科(Rhizobiaceae)、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、コリネバクテリウム科(Corynebacteriaceae)及びストレプトミセス科(Streptomycetaceae)を防除するために、使用することができる。
【0210】
本発明による殺菌剤組成物は、植物病原性菌類を治療的又は保護的に防除するために使用することができる。従って、本発明は、本発明による活性化合物又は組成物を使用して植物病原性菌類を防除するための治療的方法又は保護的方法にも関し、ここで、該活性化合物又は組成物は、種子、植物若しくは植物の部分、果実又は植物がそこで生育している土壌に施用される。
【0211】
作物保護において植物病原性菌類を防除するための本発明による組成物は、有効で且つ植物に対して毒性を示さない量の本発明による活性化合物を含んでいる。「有効で且つ植物に対して毒性を示さない量(effective, but non−phytotoxic amount)」は、植物の菌類病を満足のいくように防除するか又は植物の菌類病を完全に根絶するのに充分でありながら、同時に、植物毒性の重大などのような症状も引き起こすことのない、本発明組成物の量を意味する。一般に、そのような施用量は、比較的広い範囲内で変動し得る。それは、複数の要因に依存し、例えば、防除対象の菌類、植物、気候条件及び本発明の組成物の成分などに依存する。
【0212】
植物病害を防除するために必要とされる濃度の該活性化合物に対して植物が充分な耐性を示すという事実により、植物の地上部の処理、栄養繁殖器官及び種子の処理、並びに、土壌の処理が可能である。
【0213】
本発明に従って、全ての植物及び植物の部分を処理することができる。ここで、植物というのは、望ましい及び望ましくない野生植物又は作物植物(自然発生した作物植物を包含する)のような全ての植物及び植物群を意味するものと理解される。作物植物は、慣習的な育種法及び最適化法により、又は、生物工学的方法及び遺伝子工学的方法により、又は、それら方法を組み合わせたものにより得ることが可能な植物であることができる。そのような作物植物には、トランスジェニック植物も包含され、また、品種の所有権により保護することができるか又は保護することができない植物品種も包含される。植物の部分は、植物の地上及び地下の全ての部分及び全ての器官、例えば、枝条、葉、花及び根などを意味するものと理解され、挙げることができる例は、葉、針状葉、茎、幹、花、子実体、果実、種子、根、塊茎及び根茎である。植物の部分には、さらに、収穫された植物、並びに、栄養繁殖器官及び生殖繁殖器官(vegetative and generative propagation material)、例えば、実生、塊茎、根茎、挿木(cutting)及び種子なども包含される。
【0214】
本発明による活性化合物は、植物及び植物の器官を保護するのに適しており、収穫高を増大させるのに適しており、収穫された作物の質を向上させるのに適しているが、一方、本発明による活性化合物は、植物に充分に許容され、温血種に対する毒性は望ましい程度であり、及び、環境に害を及ぼさない。それらは、好ましくは、作物保護剤として使用される。それらは、通常の感受性種及び抵抗性種に対して有効であり、また、全ての発育段階又は一部の発育段階に対して有効である。
【0215】
以下の植物を、本発明に従って処理することが可能な植物として挙げることができる: ワタ、アマ、ブドウの木、果実、野菜、例えば、バラ科各種(Rosaceae sp.)(例えば、仁果、例えば、リンゴ及びナシ、さらに、核果、例えば、アンズ、サクラの木、アーモンド及びモモ、並びに、小果樹、例えば、イチゴ)、リベシオイダエ科各種(Ribesioidae sp.)、クルミ科各種(Juglandaceae sp.)、カバノキ科各種(Betulaceae sp.)、ウルシ科各種(Anacardiaceae sp.)、ブナ科各種(Fagaceae sp.)、クワ科各種(Moraceae sp.)、モクセイ科各種(Oleaceae sp.)、マタタビ科各種(Actinidaceae sp.)、クスノキ科各種(Lauraceae sp.)、バショウ科各種(Musaceae sp.)(例えば、バナナ植物及びバナナ園)、アカネ科各種(Rubiaceae sp.)(例えば、コーヒー)、ツバキ科各種(Theaceae sp.)、アオギリ科各種(Sterculiceae sp.)、ミカン科各種(Rutaceae sp.)(例えば、レモン、オレンジ及びグレープフルーツ); ナス科各種(Solanaceae sp.)(例えば、トマト)、ユリ科各種(Liliaceae sp.)、キク科各種(Asteraceae sp.)(例えば、レタス)、セリ科各種(Umbelliferae sp.)、アブラナ科各種(Cruciferae sp.)、アカザ科各種(Chenopodiaceae sp.)、ウリ科各種(Cucurbitaceae sp.)(例えば、キュウリ)、ネギ科各種(Alliaceae sp.)(例えば、リーキ、タマネギ)、マメ科各種(Papilionaceae sp.)(例えば、エンドウ); 主要作物植物、例えば、イネ科各種(Gramineae sp.)(例えば、トウモロコシ、芝、禾穀類、例えば、コムギ、ライムギ、イネ、オオムギ、エンバク、アワ、及び、ライコムギ)、キク科各種(Asteraceae sp.)(例えば、ヒマワリ)、アブラナ科各種(Brassicaceae sp.)(例えば、白キャベツ、赤キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、タイサイ、コールラビ、スモールラディッシュ、さらに、ナタネ、カラシナ、セイヨウワサビ、及び、コショウソウ)、マメ科各種(Fabacae sp.)(例えば、インゲンマメ、ピーナッツ)、マメ科各種(Papilionaceae sp.)(例えば、ダイズ)、ナス科各種(Solanaceae sp.)(例えば、ジャガイモ)、アカザ科各種(Chenopodiaceae sp.)(例えば、テンサイ、飼料用ビート、フダンソウ、ビートルート); 庭及び森林における有用な植物及び観賞植物;
さらに、何れの場合にもこれら植物の遺伝子組み換えが行われたタイプ。
【0216】
上記で既に述べたように、本発明によって、全ての植物及びそれらの部分を処理することができる。好ましい実施形態では、野生の植物種及び植物品種、又は、交雑若しくはプロトプラスト融合のような慣習的な生物学的育種法により得られた植物種及び植物品種、並びに、それらの部分を処理する。好ましいさらなる実施形態では、適切な場合には慣習的な方法と組み合わせた遺伝子工学的方法により得られたトランスジェニック植物及び植物品種(遺伝子組換え生物)及びそれらの部分を処理する。用語「部分(parts)」又は「植物の部分(parts of plants)」又は「植物の部分(plant parts)」については、既に上記で説明した。特に好ましくは、いずれの場合も市販されているか又は使用されている植物品種の植物を、本発明によって処理する。植物品種は、慣習的な育種又は突然変異誘発又は組換えDNA技術によって得られた、新しい特性(「形質」)を有する植物を意味するものと理解されるべきである。これらは、品種、変種、生物型又は遺伝子型であることができる。
【0217】
本発明による処理方法は、遺伝子組換え生物(GMO)、例えば、植物又は種子などの処理において使用することができる。遺伝子組換え植物(又は、トランスジェニック植物)は、異種遺伝子がゲノムに安定的に組み込まれている植物である。表現「異種遺伝子」は、本質的に、供給されたか又は当該植物の外部で構築された遺伝子であって、核のゲノム、葉緑体のゲノム又はミトコンドリアのゲノムの中に導入されたときに、興味深いタンパク質若しくはポリペプチドを発現することにより、又は、その植物体内に存在している別の1つ若しくは複数の遺伝子をダウンレギュレート若しくはサイレンシングすることにより、当該形質転換された植物に新しい又は改善された作物学的特性又は別の特性を付与する遺伝子を意味する〔例えば、アンチセンス技術、コサプレッション技術又はRNAi技術[RNA干渉]などを使用する〕。ゲノム内に位置している異種遺伝子は、導入遺伝子とも称される。植物ゲノム内におけるその特異的な位置によって規定される導入遺伝子は、形質転換又は遺伝子導入イベントと称される。
【0218】
植物種又は植物品種、それらの生育場所及び生育条件(土壌、気候、生育期、養分(diet))に応じて、本発明の処理により、相加効果を超える効果(「相乗効果」)も生じ得る。かくして、例えば、以下の効果(ここで、該効果は、予期された効果を超える)などが可能である:本発明により使用し得る活性化合物及び組成物の施用量の低減及び/又は活性スペクトルの拡大及び/又は活性の増強、植物の生育の向上、高温又は低温に対する耐性の向上、渇水又は水中若しくは土壌中に含まれる塩分に対する耐性の向上、開花能力の向上、収穫の容易性の向上、促進された成熟、収穫量の増加、果実の大きさの増大、植物の高さの増大、葉の緑色の向上、より早い開花、収穫された生産物の品質の向上及び/又は栄養価の増加、果実内の糖度の上昇、収穫された生産物の貯蔵安定性の向上及び/又は加工性の向上。
【0219】
特定の施用量において、本発明による活性化合物は、植物において強化効果(strengthening effect)も示し得る。従って、本発明の活性化合物は、望ましくない植物病原性の菌類及び/又は微生物類及び/又はウイルス類による攻撃に対して植物の防御システムを動員させるのに適している。これは、適切な場合には、本発明による組合せの例えば菌類に対する強化された活性の理由のうちの1つであり得る。植物を強化する(抵抗性を誘導する)物質は、本発明に関連して、処理された植物が、その後で望ましくない植物病原性菌類を接種されたときに、それらの望ましくない植物病原性菌類に対して実質的な程度の抵抗性を示すように、植物の防御システムを刺激することができる物質又は物質の組合せも意味するものと理解される。かくして、処理後ある一定の期間、上記病原体による攻撃から植物を保護するために、本発明の物質を用いることができる。保護がもたらされる期間は、植物が該活性化合物で処理されてから、一般に、1〜10日間、好ましくは、1〜7日間に及ぶ。
【0220】
本発明に従って処理するのが好ましい植物及び植物品種には、特に有利で有用な形質を植物に付与する遺伝物質を有している全ての植物(育種によって得られたものであろうと、及び/又は、生物工学的手段によって得られたものであろうと)が包含される。
【0221】
本発明に従って処理するのが同様に好ましい植物及び植物品種は、1以上の生物的ストレス因子に対して抵抗性を示す。即ち、そのような植物は、害虫及び有害微生物に対して、例えば、線虫類、昆虫類、ダニ類、植物病原性の菌類、細菌類、ウイルス類及び/又はウイロイド類などに対して、良好な防御を示す。
【0222】
本発明に従って同様に処理し得る植物及び植物品種は、1以上の非生物的ストレス因子に対して抵抗性を示す植物である。非生物的なストレス状態としては、例えば、渇水、低温にさらされること、熱にさらされること、浸透ストレス、湛水、土壌中の増大した塩分、鉱物により多くのさらされること、オゾンにさらされること、強い光にさらされること、利用可能な窒素養分が限られていること、利用可能なリン養分が限られていること、日陰回避などを挙げることができる。
【0223】
本発明に従って同様に処理し得る植物及び植物品種は、増大した収量特性を特徴とする植物である。そのような植物における増大した収量は、例えば、改善された植物の生理機能、生長及び発育、例えば、水の利用効率、水の保持効率、改善された窒素の利用性、強化された炭素同化作用、改善された光合成、上昇した発芽効率及び促進された成熟などの結果であり得る。収量は、さらに、改善された植物の構成(architecture)によっても影響され得る(ストレス条件下及び非ストレス条件下)。そのような改善された植物の構成としては、早咲き、ハイブリッド種子産生のための開花制御、実生の活力、植物の寸法、節間の数及び距離、根の成長、種子の寸法、果実の寸法、鞘の寸法、鞘又は穂の数、1つの鞘又は穂当たりの種子の数、種子の体積、強化された種子充填、低減された種子分散、低減された鞘の裂開及び耐倒伏性などがある。収量についてのさらなる形質としては、種子の組成、例えば、炭水化物含有量、タンパク質含有量、油含有量及び油の組成、栄養価、抗栄養化合物の低減、改善された加工性並びに向上した貯蔵安定性などがある。
【0224】
本発明に従って処理し得る植物は、雑種強勢(これは、結果として、一般に、増加した収量、向上した活力、向上した健康状態並びに生物的及び非生物的ストレス因子に対する向上した抵抗性をもたらす)の特性を既に呈しているハイブリッド植物である。そのような植物は、典型的には、雄性不稔交配母体近交系(inbred male sterile parent line)(雌性親)を別の雄性稔性交配母体近交系(inbred male fertile parent line)(雄性親)と交雑させることによって作られる。ハイブリッド種子は、典型的には、雄性不稔植物から収穫され、そして、栽培者に販売される。雄性不稔植物は、場合により(例えば、トウモロコシにおいて)、雄穂を除去することによって〔即ち、雄性繁殖器官又は雄花を機械的に除去することによって〕、作ることができる。しかしながら、より典型的には、雄性不稔性は、植物ゲノム内の遺伝的決定基の結果である。その場合、及び、特に種子がハイブリッド植物から収穫される所望の生産物である場合、典型的には、雄性不稔性に関与する遺伝的決定基を含んでいる該ハイブリッド植物において雄性稔性を確実に完全に回復させることは有用である。これは、雄性不稔性に関与する遺伝的決定基を含んでいるハイブリッド植物において雄性稔性を回復させることが可能な適切な稔性回復遺伝子を雄性親が有していることを確実なものとすることによって達成することができる。雄性不稔性に関する遺伝的決定基は、細胞質内に存在し得る。細胞質雄性不稔(CMS)の例は、例えば、アブラナ属各種(Brassica species)に関して記述された。しかしながら、雄性不稔性に関する遺伝的決定基は、核ゲノム内にも存在し得る。雄性不稔性植物は、遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によっても得ることができる。雄性不稔性植物を得る特に有用な方法は、WO 89/10396に記載されており、ここでは、例えば、バルナーゼなどのリボヌクレアーゼを雄ずい内のタペータム細胞において選択的に発現させる。次いで、タペータム細胞内においてバルスターなどのリボヌクレアーゼインヒビターを発現させることによって、稔性を回復させることができる。
【0225】
本発明に従って処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得られたもの)は、除草剤耐性植物、即ち、1種類以上の所与の除草剤に対して耐性にされた植物である。そのような植物は、遺伝的形質転換によって得ることができるか、又は、当該除草剤耐性を付与する突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることができる。
【0226】
除草剤耐性植物は、例えば、グリホセート耐性植物、即ち、除草剤グリホセート又はその塩に対して耐性にされた植物である。例えば、グリホセート耐性植物は、酵素5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸シンターゼ(EPSPS)をコードする遺伝子で植物を形質転換させることによって得ることができる。そのようなEPSPS遺伝子の例は、以下のものである:細菌サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)のAroA遺伝子(突然変異CT7)、細菌アグロバクテリウム属各種(Agrobacterium sp.)のCP4遺伝子、ペチュニアのEPSPSをコードする遺伝子、トマトのEPSPSをコードする遺伝子又はオヒシバ属(Eleusine)のEPSPSをコードする遺伝子。それは、突然変異EPSPSであることも可能である。グリホセート耐性植物は、さらにまた、グリホセートオキシドレダクターゼ酵素をコードする遺伝子を発現させることによって得ることもできる。グリホセート耐性植物は、さらにまた、グリホセートアセチルトランスフェラーゼ酵素をコードする遺伝子を発現させることによって得ることもできる。グリホセート耐性植物は、さらにまた、上記遺伝子の自然発生突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることもできる。
【0227】
別の除草剤抵抗性植物は、例えば、酵素グルタミンシンターゼを阻害する除草剤(例えば、ビアラホス、ホスフィノトリシン又はグルホシネート)に対して耐性にされている植物である。そのような植物は、当該除草剤を解毒する酵素を発現させるか、又は、阻害に対して抵抗性を示す突然変異グルタミンシンターゼ酵素を発現させることによって、得ることができる。そのような有効な一解毒酵素は、例えば、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼをコードする酵素である(例えば、ストレプトマイセス属各種(Streptomyces species)に由来するbarタンパク質又はpatタンパク質)。外因性のホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼを発現する植物は、記述されている。
【0228】
さらなる除草剤耐性植物は、さらにまた、酵素ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)を阻害する除草剤に対して耐性にされている植物である。ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ類は、パラ−ヒドロキシフェニルピルベート(HPP)がホモゲンチセートに変換される反応を触媒する酵素である。HPPD阻害薬に対して耐性を示す植物は、自然発生抵抗性HPPD酵素をコードする遺伝子を用いて、又は、突然変異HPPD酵素をコードする遺伝子を用いて、形質転換させることができる。HPPD阻害薬に対する耐性は、さらにまた、HPPD阻害薬による天然HPPD酵素の阻害にもかかわらずホモゲンチセートを形成させることが可能な特定の酵素をコードする遺伝子を用いて植物を形質転換させることによっても得ることができる。HPPD阻害薬に対する植物の耐性は、さらにまた、HPPD耐性酵素をコードする遺伝子に加えて酵素プレフェナートデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子を用いて植物を形質転換させることによって改善することもできる。
【0229】
さらなる除草剤抵抗性植物は、アセトラクテートシンターゼ(ALS)阻害薬に対して耐性にされている植物である。既知ALS阻害薬としては、例えば、スルホニル尿素系除草剤、イミダゾリノン系除草剤、トリアゾロピリミジン系除草剤、ピリミジニルオキシ(チオ)ベンゾエート系除草剤、及び/又は、スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン系除草剤などがある。ALS酵素(「アセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)」としても知られている)における種々の突然変異体は、種々の除草剤及び除草剤の群に対する耐性を付与することが知られている。スルホニル尿素耐性植物及びイミダゾリノン耐性植物の作製については、国際公開WO 1996/033270に記述されている。さらなるスルホニル尿素耐性植物及びイミダゾリノン耐性植物についても、例えば、WO 2007/024782に記述されている。
【0230】
イミダゾリノン及び/又はスルホニル尿素に対して耐性を示す別の植物は、誘導された突然変異誘発によって得ることができるか、当該除草剤の存在下での細胞培養における選抜によって得ることができるか、又は、突然変異育種によって得ることができる。
【0231】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得られたもの)は、昆虫抵抗性トランスジェニック植物、即ち、特定の標的昆虫による攻撃に対して抵抗性にされた植物である。そのような植物は、遺伝的形質転換によって得ることができるか、又は、そのような昆虫抵抗性を付与する突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることができる。
【0232】
本明細に関連して、用語「昆虫抵抗性トランスジェニック植物」には、以下のものをコードするコード配列を含んでいる少なくとも1の導入遺伝子を含んでいる任意の植物が包含される:
(1) バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する殺虫性結晶タンパク質又はその殺虫活性を示す一部分、例えば、オンライン「http://www.lifesci.sussex.ac.uk/Home/Neil_Crickmore/Bt/」において記載されている殺虫性結晶タンパク質又はその殺虫活性を示す一部分、例えば、Cryタンパク質類(Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry2Ab、Cry3Ae、又は、Cry3Bb)のタンパク質又はその殺虫活性を示す一部分;又は、
(2) バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する第2の別の結晶タンパク質又はその一部分の存在下において殺虫活性を示す、バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する結晶タンパク質又はその一部分、例えば、Cry34結晶タンパク質とCry35結晶タンパク質で構成されているバイナリートキシン;又は、
(3) バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する2種類の異なった殺虫性結晶タンパク質の一部分を含んでいる殺虫性ハイブリッドタンパク質、例えば、上記(1)のタンパク質のハイブリッド、又は、上記(2)のタンパク質のハイブリッド、例えば、トウモロコシイベントMON98034で産生されるCry1A.105タンパク質(WO 2007/027777);又は、
(4) 上記(1)〜(3)のいずれか1つのタンパク質において、標的昆虫種に対するさらに強い殺虫活性を得るために、及び/又は、影響を受ける標的昆虫種の範囲を拡大するために、及び/又は、クローニング若しくは形質転換に際してコード化DNA中に誘導された変化に起因して、幾つかのアミノ酸(特に、1〜10のアミノ酸)が別のアミノ酸で置き換えられていているもの、例えば、トウモロコシイベントMON863若しくはMON88017におけるCry3Bb1タンパク質又はトウモロコシイベントMIR604におけるCry3Aタンパク質;又は、
(5) バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)又はバシルス・セレウス(Bacillus cereus)に由来する殺虫性分泌タンパク質又はその殺虫活性を示す一部分、例えば、「http://www.lifesci.sussex.ac.uk/home/Neil_Crickmore/Bt/vip.html」において挙げられている栄養生長期殺虫性タンパク質(vegetative insecticidal protein)(VIP)、例えば、VIP3Aaタンパク質類のタンパク質;又は、
(6) バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)又はバシルス・セレウス(Bacillus cereus)に由来する第2の分泌タンパク質の存在下において殺虫活性を示す、バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)又はバシルス・セレウス(Bacillus cereus)に由来する分泌タンパク質、例えば、VIP1aタンパク質とVIP2Aタンパク質で構成されているバイナリートキシン;又は、
(7) バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)又はバシルス・セレウス(Bacillus cereus)に由来する異なった分泌タンパク質の一部分を含んでいる殺虫性ハイブリッドタンパク質、例えば、上記(1)のタンパク質のハイブリッド、又は、上記(2)のタンパク質のハイブリッド;又は、
(8) 上記(1)〜(3)のいずれか1つのタンパク質において、標的昆虫種に対するさらに強い殺虫活性を得るために、及び/又は、影響を受ける標的昆虫種の範囲を拡大するために、及び/又は、クローニング若しくは形質転換に際してコード化DNA中に誘導された変化(それでも、まだ、殺虫性タンパク質をコードしている)に起因して、幾つかのアミノ酸(特に、1〜10のアミノ酸)が別のアミノ酸で置き換えられていているもの、例えば、ワタイベントCOT102におけるVIP3Aaタンパク質。
【0233】
もちろん、「昆虫抵抗性トランスジェニック植物」は、本明細書中で使用されている場合、上記クラス(1)〜(8)のいずれか1つのタンパク質をコードする遺伝子の組合せを含んでいる任意の植物も包含する。一実施形態では、影響を受ける標的昆虫種の範囲を拡大するために、又は、同一の標的昆虫種に対して殺虫活性を示すが作用機序は異なっている(例えば、当該昆虫体内の異なった受容体結合部位に結合する)異なったタンパク質を用いることによって当該植物に対する昆虫の抵抗性の発達を遅延させるために、昆虫抵抗性植物は、上記クラス(1)〜(8)のいずれか1つのタンパク質をコードする2つ以上の導入遺伝子を含んでいる。
【0234】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得られたもの)は、非生物的ストレス因子に対して耐性を示す。そのような植物は、遺伝的形質転換によって得ることができるか、又は、そのようなストレス抵抗性を付与する突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることができる。特に有用なストレス耐性植物としては、以下のものなどがある:
(a) 植物細胞内又は植物体内におけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)遺伝子の発現及び/又は活性を低減させることが可能な導入遺伝子を含んでいる植物;
(b) 植物又は植物細胞のPARGコード化遺伝子の発現及び/又は活性を低減させることが可能なストレス耐性を強化する導入遺伝子を含んでいる植物;
(c) ニコチンアミダーゼ、ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ、ニコチン酸モノヌクレオチドアデニルトランスフェラーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドシンテターゼ又はニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼを包含するニコチンアミドアデニンジヌクレオチドサルベージ生合成経路の植物機能性酵素(plant−functional enzyme)をコードするストレス耐性を強化する導入遺伝子を含んでいる植物。
【0235】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得られたもの)は、収穫された生産物の改変された量、品質及び/若しくは貯蔵安定性、並びに/又は、収穫された生産物の特定の成分の改変された特性を示す。例えば:
(1) 野生型の植物細胞又は植物において合成された澱粉と比較して、その物理化学的形質〔特に、アミロース含有量若しくはアミロース/アミロペクチン比、枝分かれ度、平均鎖長、側鎖の分布、粘性挙動、ゲル抵抗(gel resistance)、澱粉粒径及び/又は澱粉の粒子形態〕に関して改変されていて、特定の用途により適した変性澱粉を合成するトランスジェニック植物;
(2) 非澱粉炭水化物ポリマーを合成するか、又は、遺伝子組換えがなされていない野生型植物と比較して改変された特性を有する非澱粉炭水化物ポリマーを合成する、トランスジェニック植物〔その例は、ポリフルクトース(特に、イヌリン型及びレバン型のポリフルクトース)を産生する植物、α−1,4−グルカン類を産生する植物、α−1,6−分枝 α−1,4−グルカン類を産生する植物、及び、アルテルナンを産生する植物である〕;
(3) ヒアルロナンを産生するトランスジェニック植物。
【0236】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得られたもの)は、改変された繊維特性を有する植物(例えば、ワタ植物)である。そのよう植物は、遺伝的形質転換によって得ることができるか、又は、そのような改変された繊維特性を付与する突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることができる。そのような植物としては、以下のものなどがある:
(a) セルロースシンターゼ遺伝子の改変された形態を含んでいる植物(例えば、ワタ植物);
(b) rsw2相同核酸又はrsw3相同核酸の改変された形態を含んでいる植物(例えば、ワタ植物);
(c) スクロースリン酸シンターゼの発現が増大している植物(例えば、ワタ植物);
(d) スクロースシンターゼの発現が増大している植物(例えば、ワタ植物);
(e) 繊維細胞に基づいた原形質連絡のゲーティングのタイミングが(例えば、繊維選択的β−1,3−グルカナーゼのダウンレギュレーションを介して)改変されている植物(例えば、ワタ植物);
(f) 反応性が(例えば、nodCを包含するN−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ遺伝子の発現及びキチンシンターゼ遺伝子の発現を介して)改変されている繊維を有する植物(例えば、ワタ植物)。
【0237】
本発明に従って同様に処理し得る植物又は植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得られたもの)は、改変されたオイルプロフィール特性を有する植物(例えば、ナタネ植物又は関連するアブラナ属植物)である。そのよう植物は、遺伝的形質転換によって得ることができるか、又は、そのような改変されたオイル特性を付与する突然変異を含んでいる植物を選抜することによって得ることができる。そのような植物としては、以下のものなどがある:
(a) オレイン酸含有量が高いオイルを産生する植物(例えば、ナタネ植物);
(b) リノレン酸含有量が低いオイルを産生する植物(例えば、ナタネ植物);
(c) 飽和脂肪酸のレベルが低いオイルを産生する植物(例えば、ナタネ植物)。
【0238】
本発明に従って処理し得る特に有用なトランスジェニック植物は、1種類以上の毒素をコードする1種類以上の遺伝子を含んでいる植物であり、以下の商品名で入手可能なトランスジェニック植物である:YIELD GARD(登録商標)(例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、KnockOut(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、BiteGard(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、BT−Xtra(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、StarLink(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Bollgard(登録商標)(ワタ)、Nucotn(登録商標)(ワタ)、Nucotn 33B(登録商標)(ワタ)、NatureGard(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Protecta(登録商標)及びNewLeaf(登録商標)(ジャガイモ)。挙げることができる除草剤耐性植物の例は、以下の商品名で入手可能なトウモロコシ品種、ワタ品種及びダイズ品種である:Roundup Ready(登録商標)(グリホセートに対する耐性、例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、Liberty Link(登録商標)(ホスフィノトリシンに対する耐性、例えば、ナタネ)、IMI(登録商標)(イミダゾリノン系に対する耐性)及びSCS(登録商標)(スルホニル尿素系に対する耐性、例えば、トウモロコシ)。挙げることができる除草剤抵抗性植物(除草剤耐性に関して慣習的な方法で品種改良された植物)としては、Clearfield(登録商標)(例えば、トウモロコシ)の商品名で販売されている品種などがある。
【0239】
本発明に従って処理し得る特に有用なトランスジェニック植物は、形質転換イベント又は形質転換イベントの組合せを含んでいる植物であり、それらは、例えば、国又は地域のさまざまな規制機関に関するデータベースに記載されている〔例えば、「http://gmoinfo.jrc.it/gmp_browse.aspx」及び「http://www.agbios.com/dbase.php」を参照されたい〕。
【0240】
さらに、材料物質の保護においては、望ましくない微生物(例えば、菌類)及び昆虫類による攻撃及び破壊から工業材料を保護するするために、本発明による活性化合物又は組成物を用いることができる。
【0241】
さらに、本発明の化合物は、単独で、又は、別の活性化合物と組み合わせて、防汚組成物として用いることもできる。
【0242】
本発明に関連して、工業材料とは、工業において使用するために調製された非生体材料を意味するものと理解される。例えば、本発明の活性化合物で微生物による変性又は破壊から保護することが意図されている工業材料は、接着剤、サイズ、紙、壁紙及び板紙、織物、カーペット、皮革、木材、塗料及びプラスチック製品、冷却用潤滑油、並びに、微生物によって汚染又は破壊され得る別の材料などであり得る。微生物の増殖により損なわれ得る建築物及び製造プラントの部品、例えば、冷却水循環路、冷却装置及び暖房装置、並びに、換気設備及空調設備なども、保護すべき材料の範囲内のものとして挙げることができる。本発明の範囲内に挙げることができる工業材料は、好ましくは、接着剤、サイズ、紙及び板紙、皮革、木材、塗料、冷却用潤滑油及び熱媒液であり、特に好ましくは、木材である。本発明による活性化合物又は組成物は、腐朽、腐敗、変色、脱色又は黴発生などの、不利な効果を防止することができる。
さらに、本発明による化合物は、海水又は淡海水と接触するもの(特に、船体、障壁(screen)、網、建造物、係船設備及び信号システム)を付着物に対して保護するために使用することもできる。
【0243】
望ましくない菌類を防除するための本発明による方法は、貯蔵品を保護するために使用することもできる。ここで、貯蔵品は、長期間の保護が望まれる、植物若しくは動物起源の天然物質又は自然起源のそれら天然物質の加工製品を意味するものと理解される。植物起源の貯蔵品、例えば、植物若しくは植物の分部、例えば、茎、葉、塊茎、種子、果実、穀粒などは、新たに収穫されたものを保護することができるか、又は、(予備)乾燥、加湿、粉砕、摩砕、加圧成形又は焙焼によって加工された後で保護することができる。貯蔵品には、さらに、未加工の材木(例えば、建築用材木、電柱及び柵)又は完成品の形態にある材木(例えば、家具)の両方とも包含される。動物起源の貯蔵品は、例えば、皮革、革製品、毛皮及び獣毛などである。本発明による活性化合物は、腐朽、腐敗、変色、脱色又は黴発生などの、不利な効果を防止することができる。
【0244】
本発明に従って治療することが可能な菌類病の何種類かの病原体について、非限定的に例として挙げることができる:
・ 例えば以下のような、うどんこ病病原体に起因する病害: ブルメリア属各種(Blumeria species)、例えば、ブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis); ポドスファエラ属各種(Podosphaera species)、例えば、ポドスファエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha); スファエロテカ属各種(Sphaerotheca species)、例えば、スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea); ウンシヌラ属各種(Uncinula species)、例えば、ウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator);
・ 例えば以下のような、さび病病原体に起因する病害: ギムノスポランギウム属各種(Gymnosporangium species)、例えば、ギムノスポランギウム・サビナエ(Gymnosporangium sabinae); ヘミレイア属各種(Hemileia species)、例えば、ヘミレイア・バスタトリクス(Hemileia vastatrix); ファコプソラ属各種(Phakopsora species)、例えば、ファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)及びファコプソラ・メイボミアエ(Phakopsora meibomiae); プッシニア属各種(Puccinia species)、例えば、プッシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)又はプッシニア・トリシチナ(Puccinia triticina); ウロミセス属各種(Uromyces species)、例えば、ウロミセス・アペンジクラツス(Uromyces appendiculatus);
・ 例えば以下のような、卵菌類(Oomycetes)の群の病原体に起因する病害: ブレミア属各種(Bremia species)、例えば、ブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae); ペロノスポラ属各種(Peronospora species)、例えば、ペロノスポラ・ピシ(Peronospora pisi)又はペロノスポラ・ブラシカエ(P. brassicae); フィトフトラ属各種(Phytophthora species)、例えば、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans); プラスモパラ属各種(Plasmopara species)、例えば、プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola); プセウドペロノスポラ属各種(Pseudoperonospora species)、例えば、プセウドペロノスポラ・フムリ(Pseudoperonospora humuli)又はプセウドペロノスポラ・クベンシス(Pseudoperonospora cubensis); ピシウム属各種(Pythium species)、例えば、ピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum);
・ 例えば以下のものに起因する、斑点病(leaf blotch disease)及び萎凋病(leaf wilt disease): アルテルナリア属各種(Alternaria species)、例えば、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani); セルコスポラ属各種(Cercospora species)、例えば、セルコスポラ・ベチコラ(Cercospora beticola); クラジオスポリウム属各種(Cladiosporium species)、例えば、クラジオスポリウム・ククメリヌム(Cladiosporium cucumerinum); コクリオボルス属各種(Cochliobolus species)、例えば、コクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)(分生子形態:Drechslera, 同義語:Helminthosporium); コレトトリクム属各種(Colletotrichum species)、例えば、コレトトリクム・リンデムタニウム(Colletotrichum lindemuthanium); シクロコニウム属各種(Cycloconium species)、例えば、シクロコニウム・オレアギヌム(Cycloconium oleaginum); ジアポルテ属各種(Diaporthe species)、例えば、ジアポルテ・シトリ(Diaporthe citri); エルシノエ属各種(Elsinoe species)、例えば、エルシノエ・ファウセッチイ(Elsinoe fawcettii); グロエオスポリウム属各種(Gloeosporium species)、例えば、グロエオスポリウム・ラエチコロル(Gloeosporium laeticolor); グロメレラ属各種(Glomerella species)、例えば、グロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata); グイグナルジア属各種(Guignardia species)、例えば、グイグナルジア・ビドウェリ(Guignardia bidwelli); レプトスファエリア属各種(Leptosphaeria species)、例えば、レプトスファエリア・マクランス(Leptosphaeria maculans); マグナポルテ属各種(Magnaporthe species)、例えば、マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea); ミクロドキウム属各種(Microdochium species)、例えば、ミクロドキウム・ニバレ(Microdochium nivale); ミコスファエレラ属各種(Mycosphaerella species)、例えば、ミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)及びミコスファエレラ・フィジエンシス(M. fijiensis); ファエオスファエリア属各種(Phaeosphaeria species)、例えば、ファエオスファエリア・ノドルム(Phaeosphaeria nodorum); ピレノホラ属各種(Pyrenophora species)、例えば、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres); ラムラリア属各種(Ramularia species)、例えば、ラムラリア・コロ−シグニ(Ramularia collo−cygni); リンコスポリウム属各種(Rhynchosporium species)、例えば、リンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis); セプトリア属各種(Septoria species)、例えば、セプトリア・アピイ(Septoria apii); チフラ属各種(Typhula species)、例えば、チフラ・インカルナタ(Typhula incarnata); ベンツリア属各種(Venturia species)、例えば、ベンツリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis);
・ 例えば以下のものに起因する、根及び茎の病害: コルチシウム属各種(Corticium species)、例えば、コルチシウム・グラミネアルム(Corticium graminearum); フサリウム属各種(Fusarium species)、例えば、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum); ガエウマンノミセス属各種(Gaeumannomyces species)、例えば、ガエウマンノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis); リゾクトニア属各種(Rhizoctonia species)、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani); タペシア属各種(Tapesia species)、例えば、タペシア・アクホルミス(Tapesia acuformis); チエラビオプシス属各種(Thielaviopsis species)、例えば、チエラビオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola);
・ 例えば以下のものに起因する、穂の病害(ear and panicle disease)(トウモロコシの穂軸を包含する): アルテルナリア属各種(Alternaria species)、例えば、アルテルナリア属種(Alternaria spp.); アスペルギルス属各種(Aspergillus species)、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus); クラドスポリウム属各種(Cladosporium species)、例えば、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides); クラビセプス属各種(Claviceps species)、例えば、クラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea); フサリウム属各種(Fusarium species)、例えば、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum); ジベレラ属各種(Gibberella species)、例えば、ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae); モノグラフェラ属各種(Monographella species)、例えば、モノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis); セプトリア属各種(Septoria species)、例えば、セプトリア・ノドルム(Septoria nodorum);
・ 例えば以下のものなどの、黒穂病菌類(smut fungi)に起因する病害: スファセロテカ属各種(Sphacelotheca species)、例えば、スファセロテカ・レイリアナ(Sphacelotheca reiliana); チレチア属各種(Tilletia species)、例えば、チレチア・カリエス(Tilletia caries)、チレチア・コントロベルサ(T. controversa); ウロシスチス属各種(Urocystis species)、例えば、ウロシスチス・オクルタ(Urocystis occulta); ウスチラゴ属各種(Ustilago species)、例えば、ウスチラゴ・ヌダ(Ustilago nuda)、ウスチラゴ・ヌダ・トリシチ(U. nuda tritici);
・ 例えば以下のものに起因する、果実の腐敗(fruit rot): アスペルギルス属各種(Aspergillus species)、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus); ボトリチス属各種(Botrytis species)、例えば、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea); ペニシリウム属各種(Penicillium species)、例えば、ペニシリウム・エクスパンスム(Penicillium expansum)及びペニシリウム・プルプロゲヌム(P. purpurogenum); スクレロチニア属各種(Sclerotinia species)、例えば、スクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum); ベルチシリウム属各種(Verticilium species)、例えば、ベルチシリウム・アルボアトルム(Verticilium alboatrum);
・ 例えば以下のものに起因する、種子及び土壌によって媒介される腐敗病及び萎凋病(seed− and soil−borne rot and wilt disease)並びに実生の病害: フサリウム属各種(Fusarium species)、例えば、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum); フィトフトラ属各種(Phytophthora species)、例えば、フィトフトラ・カクトルム(Phytophthora cactorum); ピシウム属各種(Pythium species)、例えば、ピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum); リゾクトニア属各種(Rhizoctonia species)、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani); スクレロチウム属各種(Sclerotium species)、例えば、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii);
・ 例えば以下のものに起因する、癌性病害(cancerous disease)、こぶ(gall)及び天狗巣病(witches’ broom): ネクトリア属各種(Nectria species)、例えば、ネクトリア・ガリゲナ(Nectria galligena);
・ 例えば以下のものに起因する、萎凋病(wilt disease): モニリニア属各種(Monilinia species)、例えば、モニリニア・ラキサ(Monilinia laxa);
・ 例えば以下のものに起因する、葉、花及び果実の奇形: タフリナ属各種(Taphrina species)、例えば、タフリナ・デホルマンス(Taphrina deformans);
・ 例えば以下のものに起因する、木本植物の衰退性病害(degenerative disease): エスカ属各種(Esca species)、例えば、ファエモニエラ・クラミドスポラ(Phaemoniella clamydospora)及びファエオアクレモニウム・アレオフィルム(Phaeoacremonium aleophilum)及びフォミチポリア・メジテラネア(Fomitiporia mediterranea;
・ 例えば以下のものに起因する、花及び種子の病害: ボトリチス属各種(Botrytis species)、例えば、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea);
・ 例えば以下のものに起因する、植物塊茎の病害: リゾクトニア属各種(Rhizoctonia species)、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani); ヘルミントスポリウム属各種(Helminthosporium species)、例えば、ヘルミントスポリウム・ソラニ(Helminthosporium solani);
・ 例えば以下のものなどの、細菌性病原体に起因する病害: キサントモナス属各種(Xanthomonas species)、例えば、キサントモナス・カムペストリス pv.オリザエ(Xanthomonas campestris pv. oryzae); シュードモナス属各種(Pseudomonas species)、例えば、シュードモナス・シリンガエ pv.ラクリマンス(Pseudomonas syringae pv. lachrymans); エルビニア属各種(Erwinia species)、例えば、エルビニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)。
【0245】
好ましいのは、ダイズの以下の病害の防除である:
・ 例えば以下のものに起因する、葉、茎、鞘及び種子の菌類病:
アルテルナリア斑点病(alternaria leaf spot)(Alternaria spec. atrans tenuissima)、炭疽病(Colletotrichum gloeosporoides dematium var. truncatum)、褐紋病(brown spot)(Septoria glycines)、紫斑病(cercospora leaf spot and blight)(Cercospora kikuchii)、コアネホラ葉枯病(choanephora leaf blight)(Choanephora infundibulifera trispora(Syn.))、ダクツリオホラ斑点病(dactuliophora leaf spot)(Dactuliophora glycines)、べと病(Peronospora manshurica)、ドレクスレラ胴枯病(drechslera blight)(Drechslera glycini)、斑点病(frogeye leaf spot)(Cercospora sojina)、そばかす病(leptosphaerulina leaf spot)(Leptosphaerulina trifolii)、灰星病(phyllostica leaf spot)(Phyllosticta sojaecola)、黒点病(pod and stem blight)(Phomopsis sojae)、うどんこ病(Microsphaera diffusa)、ピレノカエタ斑点病(pyrenochaeta leaf spot)(Pyrenochaeta glycines)、葉腐病(rhizoctonia aerial, foliage, and web blight)(Rhizoctonia solani)、さび病(Phakopsora pachyrhizi, Phakopsora meibomiae)、黒とう病(Sphaceloma glycines)、ステムフィリウム葉枯病(stemphylium leaf blight)(Stemphylium botryosum)、褐色輪紋病(Corynespora cassiicola);
・ 例えば以下のものに起因する、根及び茎基部の菌類病:
黒根腐病(Calonectria crotalariae)、炭腐病(Macrophomina phaseolina)、赤かび病(fusarium blight or wilt, root rot, and pod and collar rot)(Fusarium oxysporum、Fusarium orthoceras、Fusarium semitectum、Fusarium equiseti)、ミコレプトジスクス根腐病(mycoleptodiscus root rot)(Mycoleptodiscus terrestris)、根腐病(neocosmospora)(Neocosmopspora vasinfecta)、黒点病(Diaporthe phaseolorum)、茎腐爛病(stem canker)(Diaporthe phaseolorum var. caulivora)、茎疫病(phytophthora rot)(Phytophthora megasperma)、落葉病(brown stem rot)(Phialophora gregata)、根茎腐敗病(pythium rot)(Pythium aphanidermatum、Pythium irregulare、Pythium debaryanum、Pythium myriotylum、Pythium ultimum)、リゾクトニア根腐病(rhizoctonia root rot, stem decay, and damping−off)(Rhizoctonia solani)、菌核病(sclerotinia stem decay)(Sclerotinia sclerotiorum)、スクレロチニアサウザンブライト病(sclerotinia southern blight)(Sclerotinia rolfsii)、チエラビオプシス根腐病(thielaviopsis root rot)(Thielaviopsis basicola)。
【0246】
工業材料を劣化又は変化させることができる微生物として挙げることができるものは、例えば、細菌類、菌類、酵母類、藻類及び粘菌類(slime organisms)などである。本発明の活性化合物は、好ましくは、菌類、特に、カビ類、材木を変色させる菌類及び材木を破壊する菌類(担子菌類(Basidiomycetes))、並びに、粘菌類(slime organisms)及び藻類に対して作用する。以下の属の微生物を例として挙げることができる: アルテルナリア(Alternaria)、例えば、アルテルナリア・テヌイス(Alternaria tenuis); アスペルギルス(Aspergillus)、例えば、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger); カエトミウム(Chaetomium)、例えば、カエトミウム・グロボスム(Chaetomium globosum); コニオホラ(Coniophora)、例えば、コニオホラ・プエタナ(Coniophora puetana); レンチヌス(Lentinus)、例えば、レンチヌス・チグリヌス(Lentinus tigrinus); ペニシリウム(Penicillium)、例えば、ペニシリウム・グラウクム(Penicillium glaucum); ポリポルス(Polyporus)、例えば、ポリポルス・ベルシコロル(Polyporus versicolor); アウレオバシジウム(Aureobasidium)、例えば、アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans); スクレロホマ(Sclerophoma)、例えば、スクレロホマ・ピチオフィラ(Sclerophoma pityophila); トリコデルマ(Trichoderma)、例えば、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride); エシェリキア(Escherichia)、例えば、エシェリキア・コリ(Escherichia coli); シュードモナス(Pseudomonas)、例えば、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa); スタフィロコッカス(Staphylococcus)、例えば、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)。
【0247】
さらに、本発明による活性化合物は、極めて優れた抗真菌活性も示す。それらは、極めて広い抗真菌活性スペクトルを有しており、特に、皮膚糸状菌、並びに、酵母菌、カビ及び二相性真菌類に対して〔例えば、カンジダ属各種(Candida species)、例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)に対して〕、並びに、エピデルモフィトン・フロコスム(Epidermophyton floccosum)、アスペルギルス属各種(Aspergillus species)、例えば、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)及びアスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)、トリコフィトン属各種(Trichophyton species)、例えば、トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、ミクロスポロン属各種(Microsporon species)、例えば、ミクロスポロン・カニス(Microsporon canis)及びミクロスポロン・アウドウイニイ(Microsporon audouinii)などに対して、極めて広い抗真菌活性スペクトルを有している。これら菌類のリストは、包含される真菌スペクトルを決して限定するものではなく、単に例示のためのものである。
【0248】
従って、本発明による活性化合物は、医薬用途と非医薬用途の両方で使用することができる。
【0249】
本発明の活性化合物を殺菌剤として使用する場合、その施用量は、施用の種類に応じて、比較的広い範囲内で変えることができる。本発明による活性化合物の施用量は、以下のとおりである:
・ 植物の部分、例えば、葉を処理する場合: 0.1〜10000g/ha、好ましくは、10〜1000g/ha、特に好ましくは、50〜300g/ha(当該施用を灌水又は滴下によって実施する場合、特に、ロックウール又はパーライトなどの不活性底土を用いる場合は、上記施用量はさらに低減させることができる);
・ 種子を処理する場合: 種子100kg当たり2〜200g、好ましくは、種子100kg当たり3〜150g、特に好ましくは、種子100kg当たり2.5〜25g、極めて特に好ましくは、種子100kg当たり2.5〜12.5g;
・ 土壌を処理する場合: 0.1〜10000g/ha、好ましくは、1〜5000g/ha。
【0250】
上記施用量は、例としてのみ挙げられており、本発明の意味において限定するものではない。
【0251】
本発明による活性化合物又は組成物は、かくして、処理後ある一定の期間、上記病原体による攻撃に対して植物を保護するために用いることができる。保護がもたらされる期間は、植物が該活性化合物で処理されてから、一般に、1〜28日間、好ましくは、1〜14日間、特に好ましくは、1〜10日間、極めて特に好ましくは、1〜7日間に及び、又は、種子処理後、最大で200日間に及ぶ。
【0252】
さらに、本発明の処理によって、収穫物並びにその収穫作物から作られる食料及び飼料におけるマイコトキシンの含有量を低減させることが可能である。ここで、限定するものではないが、特に、以下のマイコトキシンを挙げることができる:デオキシニバレノール(DON)、ニバレノール、15−Ac−DON、3−Ac−DON、T2−トキシン、HT2−トキシン、フモニシン類、ゼアラレノン、モニリホルミン、フザリン、ジアセトキシシルペノール(DAS)、ベアウベリシン(beauvericin)、エンニアチン、フサロプロリフェリン(fusaroproliferin)、フサレノール(fusarenol)、オクラトキシン類、パツリン、エルゴットアルカロイド類及びアフラトキシン類〔これらは、例えば、以下の菌類によって産生される:とりわけ、フサリウム属各種(Fusarium spec.)、例えば、フサリウム・アクミナツム(Fusarium acuminatum)、フサリウム・アベナセウム(F. avenaceum)、フサリウム・クロオクウェレンセ(F. crookwellense)、フサリウム・クルモルム(F. culmorum)、フサリウム・グラミネアルム(F. graminearum)(ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae))、フサリウム・エクイセチ(F. equiseti)、フサリウム・フジコロイ(F. fujikoroi)、フサリウム・ムサルム(F. musarum)、フサリウム・オキシスポルム(F. oxysporum)、フサリウム・プロリフェラツム(F. proliferatum)、フサリウム・ポアエ(F. poae)、フサリウム・プセウドグラミネアルム(F. pseudograminearum)、フサリウム・サムブシヌム(F. sambucinum)、フサリウム・シルピ(F. scirpi)、フサリウム・セミテクツム(F. semitectum)、フサリウム・ソラニ(F. solani)、フサリウム・スポロトリコイデス(F. sporotrichoides)、フサリウム・ラングセチアエ(F. langsethiae)、フサリウム・スブグルチナンス(F. subglutinans)、フサリウム・トリシンクツム(F. tricinctum)、フサリウム・ベルチシリオイデス(F. verticillioides)など、及び、さらに、とりわけ、アスペルギルス属各種(Aspergillus spec.)、ペニシリウム属各種(Penicillium spec.)、クラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea)、スタキボトリス属各種(Stachybotrys spec.)など〕。
【0253】
適切な場合には、本発明の化合物は、特定の濃度又は特定の施用量において、除草剤、薬害軽減剤、成長調節剤若しくは植物の特性を改善する作用薬としても使用し得るか、又は、殺微生物剤(microbicide)として、例えば、殺菌剤(fungicide)、抗真菌剤(antimycotic)、殺細菌剤若しくは殺ウイルス剤(これは、ウイロイドに対する作用薬も包含する)としても使用し得るか、又は、MLO(マイコプラズマ様生物)及びRLO(リケッチア様生物)に対する作用薬としても使用し得る。適切な場合には、それらは、別の活性化合物を合成するための中間体又は前駆物質としても使用することができる。
【0254】
本発明による活性化合物は、植物の代謝を妨害し、従って、成長調節剤として使用することができる。
【0255】
植物成長調節剤は、植物に対してさまざまな効果を及ぼし得る。該化合物の効果は、本質的に、植物の成育段階に基づいた施用の時期に依存し、また、植物又はそれらの環境に対して施用される活性化合物の量及び施用のタイプにも依存する。何れの場合にも、成長調節剤は、作物植物に対して特定の望ましい効果を有しているべきである。
【0256】
植物の成長を調節する化合物は、例えば、植物の栄養成長を阻害するために使用することができる。成長に対するそのような阻害は、例えば芝生の場合、観賞用庭園、公園及びスポーツ施設において、路傍において、空港において、又は、果樹栽培において、芝生を刈り込む頻度を低減することが可能であるので、経済的に興味深い。さらにまた、路傍において、及び、パイプライン若しくは高架線の周辺において、又は、極めて一般的には、植物の力強い成長が望まれていない区域において、草本植物及び木本植物の成長を抑制することも重要である。
【0257】
禾穀類の縦成長を阻害するために成長調節剤を使用することも重要である。このようにして、収穫前に植物が倒伏するリスクを低減させるか又は完全に排除することが可能である。さらに、禾穀類においては、成長調節剤は稈を強化すること可能であり、倒伏に対抗するようにも作用する。稈を安定化及び強化するために成長調節剤を施用することによって、禾穀類が倒伏するリスクを伴うことなく、収量を増大させるためにそれまでよりも高い施用量の肥料を使用することが可能となる。
【0258】
多くの種類の作物植物において、栄養成長を抑制することによってより密集した植え付けが可能となり、従って、土壌の表面に基づいて、より高い収穫量を達成することが可能である。このようにして得られる矮小な植物の別の有利点は、作物の栽培及び収穫が容易であるということである。
【0259】
植物の栄養成長を阻害することにより、栄養素及び同化産物が植物の茎葉部(vegetative part)に対してよりも花及び果実の形成に対して多く利用されるので、収量も増大し得る。
【0260】
しばしば、成長調節剤は、栄養成長を促進するためにも使用され得る。このことは、植物の茎葉部を収穫する場合、極めて有益である。しかしながら、栄養成長を促進することにより、より多くの同化産物が形成され、その結果、より多くの又はより大きな果実が形成されるので、生殖成長も促進され得る。
【0261】
場合によっては、収量の増大は、栄養成長の検出可能な変化を伴うことなく、植物の代謝を操作することによって達成され得る。さらに、成長調節剤を使用して植物の組成を変えることが可能であり、植物の組成が変えられると、結果として、収穫された生成物の質が改善され得る。かくして、例えば、テンサイ、サトウキビ、パイナップルの糖度を高めることが可能であり、さらに、柑橘類果実の糖度を高めることも可能であり、又は、ダイズ若しくは穀類のタンパク質含有量を高めることが可能である。さらに、成長調節剤を用いて、収穫前又は収穫後に、例えば、望ましい成分(例えば、テンサイ又はサトウキビにおける糖分)の劣化を抑制することも可能である。さらに、植物の第2の成分の産生又は排除に対する好ましい効果も存在し得る。挙げることができる例は、ゴムの木におけるラテックスの流れである。
【0262】
成長調節剤の影響下において、単為結果果実が形成され得る。さらに、花の性別に影響を及ぼすことも可能であり得る。不稔花粉を産生することも可能であり、これは、育種において、及び、交雑種子の産生において、極めて重要である。
【0263】
成長調節剤を使用することにより、植物の分枝を制御することができる。一方では、頂芽優性を乱すことにより、側枝の発育を促進することが可能であり、これは、成長の抑制との組合せにおいても、特に観賞植物の栽培において、望ましいであろう。しかしながら、他方では、側枝の成長を抑制することも可能である。この効果は、例えば、タバコの栽培において、又は、トマトの栽培において、特に興味深い。
【0264】
成長調節剤の影響下において、植物の葉の量を制御することが可能であり、その結果、望ましい時点において植物を落葉させることができる。そのような落葉は、ワタの機械収穫において極めて重要であるが、同様に、別の作物(例えば、ブドウ栽培)における収穫を容易なものとするためにも興味深い。植物の落葉は、植物を移植する前にその植物の蒸散作用を低下させるためにも実施することが出来る。
【0265】
成長調節剤は、果実の裂開を調節するために使用することも可能である。一方では、果実の時期尚早の裂開を防止することが可能である。他方では、果実の裂開を促進することも可能であるか、又は、交互(alternation)を打破するために望ましい集団(「間引き」)を達成するために花の成育不良(flower abortion)を促進することさえ可能である。交互(alternation)は、内生要因に起因して毎年毎年収穫量が大きく変動する果実種の特徴であると理解される。最後に、収穫時に成長調節剤を使用することで、果実を切り離すのに必要とされる力を低減して、機械収穫を可能とし得るか、又は、手作業による収穫を容易なものとすることができる。
【0266】
成長調節剤は、さらに、収穫前又は収穫後に、収穫物の熟成を早めるために又は遅くするために使用することも可能である。このことは、市場の要求に対して最適に適合させることを可能とするので、特に有利である。さらに、場合によっては、成長調節剤は、果実の色合いを改善し得る。さらに、成長調節剤は、特定の期間内に凝縮された成熟を達成させるために使用することも可能である。これによって、例えばタバコ、トマト又はコーヒーなどの場合において、機械的な又は手作業による単一操作での完全な収穫が可能となる。
【0267】
成長調節剤を使用することによって、さらに、植物の種子又は芽の休眠に影響を及ぼすことも可能であり、その結果、植物(例えば、苗畑におけるパイナップル又は観賞植物など)は、通常であればそのようなことはない時点において、発芽するか、萌芽するか、又は、開花する。霜のリスクがある地域においては、晩霜に起因する損傷を回避するために、成長調節剤を用いて芽生え又は種子の発芽を遅延させることは望ましいであろう。
【0268】
最後に、成長調節剤は、霜、渇水又は土壌の高塩分に対する植物の抵抗性を誘発し得る。これによって、通常であれば植物の栽培には適さない地域において植物を栽培することが可能となる。
【0269】
上記で挙げられている植物は、一般式(I)で表される化合物及び/又は本発明による組成物を用いて、本発明に従って特に有利に処理することができる。該活性化合物及び組成物に関して上記で示されている好ましい範囲は、これら植物の処理にも当てはまる。特に重要なのは、本明細書中において具体的に挙げられている化合物又は組成物を用いた植物の処理である。
【実施例】
【0270】
下記実施例によって、本発明について例証する。しかしながら、本発明は、それら実施例に限定されない。
【0271】
調製実施例
化合物番号11の調製(調製方法C)
【0272】
【化15】

【0273】
アルゴン雰囲気下、20mLの乾燥テトラヒドロフランの中の2.0g(7.4mmol)の1−(4−ブロモフェノキシ)−3,3−ジメチルブタン−2−オンと1.35g(8.5mmol)の5−ブロモピリミジンの混合物を−120℃まで冷却する。次いで、n−ブチルリチウム(3.54mL、2.5M、8.9mmol)を撹拌しながらゆっくりと添加する。添加が完了した後、その反応混合物を一晩ゆっくりと室温まで昇温させる。その反応混合物に20mLの10%強度塩化アンモニウム溶液を添加し、有機相を除去する。次いで、その有機相を1N塩酸及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過する。その濾液を濃縮する。次いで、その粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:1)で精製する。これにより、1.89g(73%)の所望生成物が得られる。
【0274】
化合物番号13の調製(調製方法B)
【0275】
【化16】

【0276】
アルゴン雰囲気下、室温で、25mLのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた0.93g(4.9mmol)の4−ブロモチオフェノールに0.19g(60%、4.9mmol)の水素化ナトリウムを添加し、その反応混合物を室温で1時間撹拌する。次いで、0.8g(4.5mmol)の5−(2−tert−ブチルオキシラン−2−イル)ピリミジンを添加し、その反応混合物を100℃で12時間撹拌する。室温まで冷却した後、溶媒を減圧下に除去し、その残渣に飽和塩化ナトリウム水溶液及び酢酸エチルを添加する。その有機相を分離除去し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮する。次いで、その粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:1)で精製する。これにより、0.50g(29%)所望生成物が得られる。
【0277】
5−(2−tert−ブチルオキシラン−2−イル)ピリミジンの調製
【0278】
【化17】

【0279】
アルゴン雰囲気下、0.96g(4.3mmol)のトリメチルスルホキソニウムヨージドと0.17gの水素化ナトリウム(60%、4.3mmol)に10mLのジメチルスルホキシドを滴下してゆっくりと加える。次いで、その反応混合物を室温で15分間撹拌し、2mLのテトラヒドロフランに溶解させた0.65g(3.9mmol)の2,2−ジメチル−1−(5−ピリミジニル)−1−プロパンを添加する。その反応混合物を50℃で90分間撹拌する。次いで、その反応混合物を減圧下に濃縮し、残渣に飽和塩化ナトリウム水溶液及び酢酸エチルを添加する。その有機相を分離除去し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮する。これにより、0.70g(99%)の所望生成物が得られる。これは、それ以上精製することなく、反応させる。
【0280】
化合物番号21の調製(調製方法B)
【0281】
【化18】

【0282】
アルゴン雰囲気下、室温で、15mLのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた0.34g(1.9
rmnol)の4−ブロモフェノールに78mg(60%、1.9mmol)の水素化ナトリウムを添加し、その反応混合物を1時間撹拌する。次いで、0.29g(1.8mmol)の5−(2−イソプロピルオキシラン−2−イル)ピリミジンを添加し、その反応混合物を100℃で12時間撹拌する。室温まで冷却した後、溶媒を減圧下に除去し、その残渣に飽和塩化ナトリウム水溶液及び酢酸エチルを添加する。その有機相を分離除去し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮する。次いで、その粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:1)で精製する。これにより、82mg(13%)の所望生成物が得られる。
【0283】
5−(2−イソプロピルオキシラン−2−イル)ピリミジンの調製
【0284】
【化19】

【0285】
アルゴン雰囲気下、8.06g(37 irnnol)のトリメチルスルホキソニウムヨージドと1.47gの水素化ナトリウム(60%、37mmol)に50mLのジメチルスルホキシドを滴下してゆっくりと加える。次いで、その反応混合物を室温で15分間撹拌し、10mLのテトラヒドロフランに溶解させた5.00g(33mmol)の2−メチル−1−(5−ピリミジニル)−1−プロパノンを添加する。その反応混合物を50℃で90分間撹拌する。次いで、その反応混合物を減圧下に濃縮し、残渣に飽和塩化ナトリウム水溶液及び酢酸エチルを添加する。その有機相を分離除去し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮する。これにより、1.36g(25%)の所望生成物が得られる。これは、それ以上精製することなく反応させる。
【0286】
化合物番号3の調製(調製方法B)
【0287】
【化20】

【0288】
アルゴン雰囲気下、室温で、15mLのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた0.40g(1.7mmol)の4−ヨードチオフェノールに68mg(60%、1.7mmol)の水素化ナトリウムを添加し、その反応混合物を室温で1時間撹拌する。次いで、0.28g(1.5mmol)の1−[[2−(1,1−ジメチルエチル)−2−オキシラニル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(調製に関しては、DE 3111238を参照されたい)を添加し、その反応混合物を100℃で12時間撹拌する。室温まで冷却した後、溶媒を減圧下に除去し、その残渣に飽和塩化ナトリウム水溶液及び酢酸エチルを添加する。その有機相を分離除去し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮する。次いで、その粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:1)で精製する。これにより、0.27g(41%)の所望生成物が得られる。
【0289】
上記実施例と同様にして、及び、本発明による調製方法についての一般的な記述に従って、下記表1に記載されている式(I)の化合物を得ることが可能である。
【0290】
【表1】





【0291】
使用実施例
実施例A: スファエロテカ(Sphaerotheca)試験(キュウリ)/保護
溶媒: 49重量部のN,N−ジメチルホルムアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。保護活性について試験するために、キュウリ幼植物に、活性化合物の該調製物を記載されている施用量で噴霧する。その処理の1日後、該植物に、スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)の胞子の懸濁液を用いて接種する。次いで、その植物を、相対大気湿度70%で温度23℃の温室内に置く。評価は、上記接種の7日後に行う。0%は、対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0292】
この試験において、本発明による以下の化合物:1、2、3、4、9、10、11、12、13、21、22、23、30、32、33、35、36及び37
は、活性化合物濃度500ppmで、70%以上の効力を示す。
【0293】
実施例B: レプトスファエリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum)試験(コムギ)/保護
溶媒: 49重量部のN,N−ジメチルホルムアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。保護活性について試験するために、コムギ幼植物に、活性化合物の該調製物を記載されている施用量で噴霧する。その処理の1日後、該植物に、レプトスファエリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum)の胞子の水性懸濁液を用いて接種し、次いで、その植物を、相対大気湿度100%で22℃に48時間維持する。次いで、その植物を、相対大気湿度約90%で温度22℃の温室内に置く。評価は、上記接種の7〜9日後に行う。0%は、対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0294】
この試験において、本発明による以下の化合物:1、2、3、10、11、12、13、21、22、23、30、32、33、35、36、及び、37
は、活性化合物濃度500ppmで、70%以上の効力を示す。
【0295】
実施例C: アルテルナリア(Alternaria)試験(トマト)/保護
溶媒: 24.5重量部のアセトン
24.5重量部のジメチルアセトアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテ
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。保護活性について試験するために、幼植物に、活性化合物の該調製物を記載されている施用量で噴霧する。噴霧による被膜が乾燥した後、該植物に、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)の胞子の水性懸濁液を用いて接種する。次いで、その植物を、約20℃で相対大気湿度100%のインキュベーション室の中に置く。評価は、上記接種の3日後に行う。0%は、対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0296】
【表2】

【0297】
さらに、この試験において、本発明による以下の化合物:2、3、10、9、23、22、12、33、及び、37は、活性化合物濃度100ppmで、70%以上の効力を示す。
【0298】
実施例D: ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)試験(オオムギ)/予防
溶媒: 49重量部のN,N−ジメチルアセトアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。予防活性について試験するために、幼植物に、活性化合物の該調製物を記載されている施用量で噴霧する。噴霧による被膜が乾燥した後、該植物に、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)の胞子の懸濁液を噴霧する。その植物を、20℃で相対大気湿度100%のインキュベーション室の中に48時間維持する。その植物を、温度約20℃で相対大気湿度約80%の温室の中に置く。評価は、上記接種の8日後に行う。0%は、対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0299】
【表3】

【0300】
実施例E: ベンツリア(Venturia)試験(リンゴ)/保護
溶媒: 24.5重量部のアセトン
24.5重量部のジメチルアセトアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。保護活性について試験するために、幼植物に、活性化合物の該調製物を記載されている施用量で噴霧する。噴霧による被膜が乾燥した後、該植物に、リンゴ黒星病の病原菌であるベンツリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis)の分生子の水性懸濁液を用いて接種し、次いで、その植物を、約20℃で相対大気湿度100%のインキュベーション室内に1日間維持する。次いで、その植物を、約21℃で相対大気湿度約90%の温室内に置く。評価は、上記接種の10日後に行う。0%は、対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0301】
この試験において、本発明による以下の化合物:1、2、3、9、10、11、12、22、23、及び、37は、活性化合物濃度100ppmで、70%以上の効力を示す。
【0302】
実施例F: ブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)試験(オオムギ)/保護
溶媒: 49重量部のN,N−ジメチルアセトアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。保護活性について試験するために、幼植物に、活性化合物の該調製物を記載されている施用量で噴霧する。噴霧による被膜が乾燥した後、該植物に、ブルメリア・グラミニス f.sp.ホルデイ(Blumeria graminis f.sp. hordei)の胞子を振りかけた。その植物を、温度約18℃で相対大気湿度約80%の温室の中に置いて、うどんこ病によるいぼ状隆起(mildew pustule)の発生を促進する。評価は、上記接種の7日後に行う。0%は、対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0303】
この試験において、本発明による以下の化合物:1、2、3、9、10、11、12、22、及び、33は、活性化合物濃度500ppmで、70%以上の効力を示す。
【0304】
実施例G: プッシニア・トリチシナ(Puccinia triticina)試験(コムギ)/保護
溶媒: 49重量部のN,N−ジメチルアセトアミド
乳化剤: 1重量部のアルキルアリールポリグリコールエーテル
活性化合物の適切な調製物を調製するために、1重量部の活性化合物を上記量の溶媒及び乳化剤と混合し、得られた濃厚物を水で希釈して、所望の濃度とする。保護活性について試験するために、幼植物に、活性化合物の該調製物を記載されている施用量で噴霧する。噴霧による被膜が乾燥した後、該植物に、プッシニア・トリチシナ(Puccinia triticina)の胞子の懸濁液を噴霧する。その植物を、20℃で相対大気湿度約100%のインキュベーション室の中に48時間間維持する。その植物を、温度約20℃で相対大気湿度約80%の温室内に置く。評価は、上記接種の8日後に行う。0%は、対照の効力に相当する効力を意味し、100%の効力は、感染が観察されないことを意味する。
【0305】
この試験において、本発明による以下の化合物:1、2、3、9、10、11、12、及び、22は、活性化合物濃度1000ppmで、70%以上の効力を示す。
【0306】
実施例H: フサリウム・プロリフェラツム(Fusarium proliferatum)によるフモニシンFB1の産生
化合物は、マイクロタイタープレート内で、DMSO(0.5%)を含んでいるフモニシン誘導液体培地(1リットル当たり、0.5gの麦芽エキス、1gの酵母エキス、1gのバクトペプトン、20gのフルクトース、1gのKHPO、0.3gのMgSO×7HO、0.3gのKCl、0.05gのZnSO×7HO、及び、0.01gのCuSO×5HO)の中で試験した。接種は、フサリウム・プロリフェラツム(Fusarium proliferatum)の胞子の濃厚懸濁液を用いて、2000胞子/mLの最終濃度で実施した。そのプレートを、高大気湿度下に20℃で5日間インキュベートした。最初と5日後に、ODをOD620で測定して(反復測定:ウェル当たり3×3測定)、増殖の阻害を計算した。5日後、当該液体培地のサンプルを取り出し、50%強度のアセトニトリルで1:1000に希釈した。その希釈されたサンプルのFB1の濃度をHPLC−MS/MSで分析し、その測定値を用いて、活性化合物非含有対照との比較でフモニシンFB1産生の阻害を計算した。
【0307】
HPLC−MS/MSは、以下のパラメータを用いて実施した:
イオン化: ESIポジティブ
イオンスプレー電圧: 5500V
スプレーガス温度: 500℃
デクラスター電位: 114V
衝突エネルギー: 51eV
衝突ガス: N
NMRトレース: 722.3>352.3; 滞留時間: 100ms
HPLCカラム: Waters Atlantis T3(三官能性C18−結合, 密封)
粒径: 3μm
カラム寸法: 50×2mm
温度: 40℃
溶媒A: 水+0.1% HCOOH(v/v)
溶媒B: アセトニトリル+0.1% HCOOH(v/v)
流量: 400μL/分
注入量: 5μL
勾配:
【0308】
【表4】

【0309】
フモニシンFB1産生の阻害の例
実施例番号1、3、9、10、11、12、13、21、22、23及び32は、50μMの濃度で、フモニシンFB1産生の阻害に関して80%を超える活性を示した。上記実施例によるフサリウム・プロリフェラツム(Fusarium proliferatum)の増殖の阻害は、50μMで、36%から100%まで変動した。
【0310】
実施例I: フサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)によるDON/アセチル−DONの産生
化合物は、マイクロタイタープレート内で、DON誘導液体培地(1リットル当たり、1gの(NHHPO、0.2gのMgSO×7HO、3gのKHPO、10gのグリセロール、5gのNaCl、及び、40gのスクロース)とDMSO(0.5%)の中で試験した。接種は、フサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)の胞子の濃厚懸濁液を用いて、2000胞子/mLの最終濃度で実施した。そのプレートを、高大気湿度下に28℃で7日間インキュベートした。最初と3日後に、ODをOD620で測定して(反復測定:ウェル当たり3×3測定)、増殖の阻害を計算した。7日後、1体積のアセトニトリル/水(84/16)を添加し、次いで、各ウェルからその液体培地のサンプルを取り出し、10%強度のアセトニトリルの中で1:100に希釈した。そのサンプルのDON及びアセチル−DONの割合をHPLC−MS/MSで分析し、その測定値を用いて、活性化合物非含有対照との比較で、DON/AcDON産生の阻害を計算した。
【0311】
HPLC−MS/MSの測定は、以下のパラメータを用いて実施した:
イオン化: ESIネガティブ
イオンスプレー電圧: −4500V
スプレーガス温度: 500℃
デクラスター電位: −40V
衝突エネルギー: −22eV
衝突ガス: N
NMRトレース: 355.0>264.9
HPLCカラム: Waters Atlantis T3(三官能性C18−結合, 密封)
粒径: 3μm
カラム寸法: 50×2mm
温度: 40℃
溶媒A: 水/2.5mM NHOAc+0.05% CHCOOH(v/v)
溶媒B: メタノール/2.5mM NHOAc+0.05% CHCOOH(v/v)
流量: 400μL/分
注入量: 11μL
勾配:
【0312】
【表5】

【0313】
DON阻害の例
実施例番号1、3、9、10、11、12、21、22及び32は、50μMで、DON/AcDON産生の阻害に関して80%を超える活性を示した。上記実施例によるフサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)の増殖の阻害は、50μMで、34%から99%まで変動した。
【0314】
実施例J: アスペルギルス・パラシチクス(Aspergillus parasiticus)によるアフラトキシンの産生
化合物は、マイクロタイタープレート(平坦及び透明な底を有する黒色96ウェルプレート)内で、20mMのCavasol(ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)と1%のDMSOが添加されているアフラトキシン誘導液体培地(1リットル当たり、20gのスクロース、4gの酵母エキス、1gのKHPO、及び、0.5gのMgSO×7HO)の中で試験した。接種は、アスペルギルス・パラシチクス(Aspergillus parasiticus)の胞子の濃厚懸濁液を用いて、1000胞子/mLの最終濃度で実施した。そのプレートを、高大気湿度下に20℃で7日間インキュベートした。7日後に、ODをOD620で測定して(反復測定:ウェル当たり4×4測定)、増殖の阻害を計算した。同時に、プレートの底面からEm360nm及びEx426nmで蛍光を測定して(反復測定:ウェル当たり3×3測定)、活性化合物非含有対照との比較でアフラトキシン産生の阻害を計算した。
【0315】
アフラトキシン産生の阻害の例
実施例番号11及び32は、50μMで、アフラトキシン産生の阻害に関して80%を超える活性を示した。上記実施例によるアスペルギルス・パラシチクス(Aspergillus parasiticus)の増殖の阻害は、50μMで、43%から69%までの範囲内で変動した。
【0316】
実施例K: 発生前及び発生後における植物成長調節作用
発生前における植物成長調節作用
木質繊維製ポット内の砂壌土の中に単子葉作物植物又は双子葉作物植物の種子を配置し、土壌で被覆する。次いで、その被覆土壌の表面に、水和剤(WP)の形態に製剤された被験化合物を、0.2%の湿潤剤が添加された600L/ha(変換)の散布水量の水性懸濁液として、種々の薬量で施用する。処理後、ポットを温室内に置き、その被験植物にとって良好な成育条件下に維持する。約3週間の試験期間が経過した後、未処理対照と比較することにより、当該被験植物における成長の抑制を視覚的に評価する〔植物成長調節(phytoregulatory)活性(%):100%の活性=植物成長の最大限の阻害、0%の活性=未処理対照と同様の植物成長〕。
【0317】
発生後における植物成長調節作用
木質繊維製ポット内の砂壌土の中に単子葉作物植物及び双子葉作物植物の種子を配置し、土壌で被覆し、温室内で良好な成育条件下に栽培する。播種後2〜3週間経過した後、被験植物を1葉期で処理する。当該植物の緑色の部分に、水和剤(WP)として製剤された被験化合物を、0.2%の湿潤剤が添加された600L/ha(変換)の散布水量で、種々の薬量で散布する。被験植物を温室内で最適な成育条件下に約3週間維持した後、当該調製物の活性について、未処理対照との比較で視覚的に評価する〔植物成長調節(phytoregulatory)活性(%):100%の活性=植物成長の最大限の阻害、0%の活性=未処理対照と同様の植物成長〕。
【0318】
【表6】

【0319】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
Xは、5−ピリミジニル、1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル、3−ピリジニル、1H−1,3−イミダゾール−1−イルメチル又は2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン−1−イルメチルを表し;
Yは、O、S、SO、SO又はCHを表し;
Zは、臭素又はヨウ素を表し;
Rは、tert−ブチル、イソプロピル、1−ハロシクロプロピル、1−(C−C−アルキル)シクロプロピル、1−(C−C−アルコキシ)シクロプロピル又は1−(C−C−アルキルチオ)シクロプロピルを表す〕
で表されるフェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体及びその農薬的に活性な塩〔但し、以下の化合物を除く:
1−(4−ブロモフェノキシ)−3,3−ジメチル−2−(ピリジン−3−イル)ブタン−2−オール;
1−(4−ブロモフェニルチオ)−3,3−ジメチル−2−(ピリジン−3−イル)ブタン−2−オール;
1−(4−ブロモフェニルチオ)−3−メチル−2−(ピリジン−3−イル)ブタン−2−オール;
2−(4−ブロモフェノキシ)−1−(1−クロロシクロプロピル)−1−(ピリジン−3−イル)エタノール;
1−(4−ブロモフェノキシ)−3,3−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ブタン−2−オール;
1−(4−ブロモフェニル)−4,4−ジメチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ペンタン−3−オール;
4−(4−ブロモフェニル)−2−(1−メチルシクロプロピル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール;
4−(4−ブロモフェニル)−2−(1−クロロシクロプロピル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール〕。
【請求項2】
Xが、5−ピリミジニル、1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル、3−ピリジニル又は2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン−1−イルメチルを表し;
Yが、O、S又はCHを表し;
Zが、4位に位置している臭素又はヨウ素を表し;
Rが、tert−ブチル、イソプロピル、1−クロロシクロプロピル、1−メチルシクロプロピル、1−メトキシシクロプロピル又は1−メチルチオシクロプロピルを表す;
請求項1に記載の式(I)で表されるフェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体。
【請求項3】
式(I−a)
【化2】

〔式中、Y、Z及びRは、請求項1又は2において与えられている意味を有する〕
で表される化合物。
【請求項4】
式(I−c)
【化3】

〔式中、Y、Z及びRは、請求項1又は2において与えられている意味を有する〕
で表される化合物。
【請求項5】
式(I−e)
【化4】

〔式中、Y、Z及びRは、請求項1又は2において与えられている意味を有する〕
で表される化合物。
【請求項6】
有害な植物病原性菌類を防除する方法であって、請求項1又は2に記載の式(I)で表されるフェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体を有害な植物病原性菌類及び/又はそれらの生息環境に施用することを特徴とする、前記方法。
【請求項7】
有害な植物病原性菌類を防除するための組成物であって、増量剤及び/又は界面活性剤に加えて請求項1又は2に記載の式(I)で表されるフェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体のうちの少なくとも1種類を含んでいることを特徴とする、前記組成物。
【請求項8】
有害な植物病原性菌類を防除するための、請求項1又は2に記載の式(I)で表されるフェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体の使用。
【請求項9】
有害な植物病原性菌類を防除するための組成物を調製する方法であって、請求項1又は2に記載の式(I)で表されるフェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体を増量剤及び/又は界面活性剤と混合させることを特徴とする、前記方法。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の式(I)で表されるフェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体を調製する方法であって、
(A) Xが1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル又は1H−1,3−イミダゾール−1−イルメチルを表す場合、
式(II)
【化5】

〔式中、Y、Z及びRは、請求項1において与えられている意味を有する〕
で表されるオキシラン誘導体を、希釈剤の存在下で、式(III)
【化6】

〔式中、Aは、CH又はNを表す〕
で表される1,2,4−トリアゾール又は1,3−イミダゾールと反応させること;
又は、
(B) Xが1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル、1H−1,3−イミダゾール−1−イルメチル、5−ピリミジニル又は3−ピリジニルを表す場合、
式(IV)
【化7】

〔式中、Rは、請求項1において与えられている意味を有する〕
で表されるオキシラン誘導体を、希釈剤の存在下で、式(V)
【化8】

〔式中、Y及びZは、請求項1において与えられている意味を有する〕
で表される(チオ)フェノールと反応させること;
又は、
(C) Xが5−ピリミジニル又は3−ピリジニルを表す場合、
式(VI)
【化9】

〔式中、Y、Z及びRは、請求項1において与えられている意味を有する〕
で表されるフェニル(オキシ/チオ)ケトンを、希釈剤の存在下及び有機アルカリ金属化合物の存在下で、式(VII)
【化10】

〔式中、Halは、ハロゲンを表す〕
で表されるハロゲン化物と反応させること;
又は、
(D) Xが5−ピリミジニル又は3−ピリジニルを表す場合、
第1段階において、式(VIII)
【化11】

で表される臭化物を、希釈剤の存在下で、式(V)
【化12】

〔式中、Y及びZは、請求項1において与えられている意味を有する〕
で表される(チオ)フェノールと反応させ、このようにして得られた式(IX)
【化13】

〔式中、Y及びZは、請求項1において与えられている意味を有する〕
で表されるフェニル(オキシ/チオ)ケトンを、第2段階において、希釈剤の存在下及び有機アルカリ金属化合物の存在下で、式(X)
【化14】

〔式中、Rは、請求項1において与えられている意味を有し、Mは、金属を表す〕
で表される有機金属化合物と反応させること;
又は、
(E) 式(I−c)
【化15】

〔式中、Y、Z及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表されるフェニル(オキシ/チオ)アルカノール誘導体を硫黄と反応させること;
を特徴とする、前記方法。
【請求項11】
式(II)
【化16】

〔式中、Y、Z及びRは、請求項1において与えられている意味を有する〕
で表されるオキシラン誘導体〔但し、化合物2−[2−(4−ブロモフェニル)エチル]−2−(1−メチルシクロプロピル)オキシランは除く〕。
【請求項12】
式(IV−a)
【化17】

〔式中、
は、イソプロピル、1−ハロシクロプロピル、1−(C−C−アルキル)シクロプロピル、1−(C−C−アルコキシ)シクロプロピル又は1−(C−C−アルキルチオ)シクロプロピルを表し;
Aは、CH又はNを表す〕
で表されるオキシラン誘導体。
【請求項13】
式(IV−b)
【化18】

〔式中、
Rは、請求項1において与えられている意味を有し;及び、
Aは、CH又はNを表す;
ここで、AがCHを表す場合、Rは、tert−ブチルを表すことはない〕
で表されるオキシラン誘導体。
【請求項14】
式(VI)
【化19】

〔式中、
Y、Z及びRは、請求項1において与えられている意味を有する;
ここで、Zが臭素である場合、YはOでもCHでもない〕
で表されるフェニル(オキシ/チオ)ケトン。
【請求項15】
式(IX)
【化20】

〔式中、
は、5−ピリミジニル又は3−ピリジニルを表し;及び、
Y及びZは、請求項1において与えられている意味を有する;
ここで、Xが3−ピリジニルである場合、Zは、臭素ではない〕
で表されるフェニル(オキシ/チオ)ケトン。

【公表番号】特表2012−532156(P2012−532156A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518788(P2012−518788)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003908
【国際公開番号】WO2011/003527
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(507203353)バイエル・クロップサイエンス・アーゲー (172)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE AG
【Fターム(参考)】