フェヌグリーク種子加工物およびその製造方法
【課題】本発明はフェヌグリーク種子成分が有するα-アミラーゼ阻害作用を増強することを目的とする。本発明はまた、フェヌグリーク種子が有する苦味を副次的に抑制する。
【解決手段】本発明はフェヌグリーク種子に由来する材料等にβ-グルコシダーゼを作用させて得られるフェヌグリーク種子加工物、およびその製造方法に関する。
【解決手段】本発明はフェヌグリーク種子に由来する材料等にβ-グルコシダーゼを作用させて得られるフェヌグリーク種子加工物、およびその製造方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はα-アミラーゼ阻害作用が増強されたフェヌグリーク種子加工物およびその製造方法に関する。
【0002】
本発明はまた、フェヌグリーク種子が持つ強い苦味が副次的に低減された、摂取しやすい風味を有するフェヌグリーク種子加工物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
α-アミラーゼは体内において澱粉を糖へと加水分解する作用を有する酵素である。α-アミラーゼの活性を抑制することができれば、糖の体内への吸収を抑制することができる。従ってα-アミラーゼ阻害物質はダイエットや抗糖尿病のための食品素材、タブレット等の有効成分として有用である。
【0004】
一方、フェヌグリークはマメ科の1年草である。フェヌグリークの種子はカレー用の香辛料として古くから知られている。
非特許文献1には、フェヌグリーク粉末を30%エタノールで抽出したエキスを使用したin vitro実験が開示されている。当該実験ではそのエキスにα-アミラーゼ阻害作用があることが確認された。しかしながら非特許文献1に示されるフェヌグリーク粉末のα-アミラーゼ阻害作用は決して満足できるものではない。
【0005】
一方非特許文献2には、犬にフェヌグリークのサポニンを摂取させると、消化管内でアグリコンとなり排泄されること、ならびに、サポニンをβ-グルコシダーゼ処理をすると26位の糖は外れるが3位は切れないことが記載されている。しかしながら非特許文献2にはα-アミラーゼ阻害作用については一切言及がない。
【0006】
【非特許文献1】Mol Cell Biochem. 2006 Jan;281(1-2):173-83. Biochemical study of the anti-diabetic action of the Egyptian plants Fenugreek and Balanites.
【非特許文献2】Lipids. 1991 Mar;26(3):191-7. Implication of steroid saponins and sapogenins in the hypocholesterolemic effect of fenugreek.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はフェヌグリーク種子成分が有するα-アミラーゼ阻害作用を増強することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは驚くべきことにフェヌグリーク種子に由来する材料にβ-グルコシダーゼを作用させて得られるフェヌグリーク種子加工物が、処理前の材料と比較して顕著に高いα-アミラーゼ阻害作用を有し、且つ苦味が抑制されていることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は以下の発明を包含する。
(1) フェヌグリーク種子またはそれに由来する材料にβ-グルコシダーゼを作用させて得られるフェヌグリーク種子加工物。
(2) 前記β-グルコシダーゼが微生物由来のものであることを特徴とする(1)記載のフェヌグリーク種子加工物。
(3) 前記β-グルコシダーゼとして、β-グルコシダーゼを含む酵素製剤が使用されることを特徴とする(1)または(2)記載のフェヌグリーク種子加工物。
(4) 前記酵素製剤が、多糖類分解酵素を含有するものであることを特徴とする(3)記載のフェヌグリーク種子加工物。
(5) 前記フェヌグリーク種子に由来する材料が、フェヌグリーク種子の粉末、フェヌグリーク種子から調製されるペースト状物、およびフェヌグリーク種子の抽出エキスからなる群から選択される少なくとも一種を含むものであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか記載のフェヌグリーク種子加工物。
(6) (1)〜(5)のいずれか記載のフェヌグリーク種子加工物を有効成分として含有するα−アミラーゼ阻害用医薬組成物。
(7) (1)〜(5)のいずれか記載のフェヌグリーク種子加工物を含有する食品組成物。
(8) フェヌグリーク種子の粉末に水を加えて混合しペースト化するか、あるいはフェヌグリーク種子またはその蒸煮物を水と共に磨砕してペースト化するペースト化工程と、
ペースト化工程により得られたペースト状物、あるいはペースト化工程に用いられる原料にβ-グルコシダーゼを添加混合する酵素添加工程と、
ペースト化工程および酵素添加工程を経て得られた混合物中にて酵素反応を進行させる酵素反応工程と、
を含むことを特徴とするフェヌグリーク種子加工物の製造方法。
(9) 乾燥工程を更に含むことを特徴とする(8)記載の方法。
(10) フェヌグリーク種子の粉末にβ-グルコシダーゼを添加混合した水を加えて混合しペースト化するか、あるいはフェヌグリーク種子またはその蒸煮物をβ-グルコシダーゼを添加混合した水と共に磨砕してペースト化するペースト化工程と、
ペースト化工程を経て得られた混合物中にて酵素反応を進行させる酵素反応工程と、
を含むことを特徴とするフェヌグリーク種子加工物の製造方法。
(11) 乾燥工程を更に含むことを特徴とする(10)記載の方法。
(12) フェヌグリーク種子またはその粉末から溶媒を使用して抽出を行い抽出エキスを得る抽出工程と、
当該抽出エキスにβ-グルコシダーゼを添加混合する酵素添加工程と、
酵素添加工程で得られた混合物中にて酵素反応を進行させる酵素反応工程と、
を含むことを特徴とするフェヌグリーク種子加工物の製造方法。
(13) 乾燥工程を更に含むことを特徴とする(12)記載の方法。
(14) (1)〜(5)のいずれか記載のフェヌグリーク種子加工物を有効成分として含有するα−アミラーゼ阻害剤。
【発明の効果】
【0009】
フェヌグリーク種子をβ-グルコシダーゼで酵素処理することにより、α-アミラーゼ阻害効果を増強したフェヌグリーク種子加工物が得られる。そして、当該加工物を医薬や食品、飲料などに利用した場合、未処理のフェヌグリーク種子に比べて少量の添加で、α-アミラーゼ阻害効果が期待できる。同時にフェヌグリーク種子特有の苦味を低減させるができる。また、4-ヒドロキシ イソロイシン(以下、4-OHイソロイシンと記する。)などの成分量変化や風味変化が少ないので容易に摂取することが可能になる。従って、本発明のフェヌグリーク種子加工物は、体内に入った澱粉をα−アミラーゼが糖へ分解する作用を阻害することができ、ダイエットや抗糖尿病のための医薬組成物や食品組成物、食品素材、タブレット等に活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
1. フェヌグリーク種子
本発明において使用するフェヌグリークは、種子そのまま、あるいは種子を粉砕した全粒粉、あるいは種子の胚乳や種皮など特定の部分から成る粉末を用いることができる。
【0011】
本明細書における「フェヌグリーク種子」には発芽前の種子だけでなく、発芽後の種子も包含される。
【0012】
使用するフェヌグリーク種子の水分含量は特に限定されないが、8〜12%程度が好ましく、約10%が最も好ましい。
【0013】
2. フェヌグリーク種子に由来する材料
本発明において「フェヌグリーク種子に由来する材料」とは特に限定されないが、典型的にはフェヌグリーク種子の粉末、フェヌグリーク種子から調製されるペースト状物、およびフェヌグリーク種子の抽出エキスなどが挙げられる。
【0014】
フェヌグリーク種子の粉末は種子を粉砕することにより得られるものであれば、粒子の大きさ、形状などは特に限定されない。粉砕の手段は特に限定されず、例えばロールミル等で粉砕することができる。また種子の胚乳や種皮など特定の部分から成る粉末を含めたフェヌグリーク種子粉末を使用することもできる。使用するフェヌグリーク種子粉末の水分含量は特に限定されないが、8〜12%程度が好ましく、約10%が最も好ましい。
【0015】
「フェヌグリーク種子から調製されるペースト状物」は代表的には2つの方法により調製することができる。第一はフェヌグリーク種子粉末から調製する方法である。第二はフェヌグリーク種子またはその蒸煮物から調製する方法である。
【0016】
ペースト状物の第一の製造方法では、前記フェヌグリーク種子粉末に水を加えて混合してペースト状物を得る。加水されていることにより後述するβ-グルコシダーゼ酵素反応が効果的に達成される。加水量としては、特に限定されるものではないが、フェヌグリーク種子粉末の重量に対して、1倍以上、好ましくは1〜20倍、より好ましくは3〜10倍である。この加水量が少なくなりすぎると粘度が高くなり過ぎて均一なペースト状物を得ることが難しくなる可能性がある。反対に加水量が多くなり過ぎると乾燥時間が長くなり、作業効率が低下すると共に、コスト的に好ましくないという問題が生じる可能性がある。なお、こうして得られるペースト状物は、β-グルコシダーゼ等の酵素を添加する前に、加熱処理を施しておくことが好ましい。なぜなら、加熱処理により殺菌すると共に、青臭みの発生原因であるリポキシゲナーゼや蛋白を分解するプロテアーゼ等の酵素を失活させ、かつ、組織から成分を溶出し易くさせ、β-グルコシダーゼ等の酵素反応をスムーズに行うことができるからである。加熱温度としては、100℃で5分間程度が好ましい。
【0017】
ペースト状物の第二の製造方法では、フェヌグリーク種子またはその蒸煮物を水と共に磨砕してペースト状物を得る。ここで「蒸煮物」とは種子を煮るおよび/または蒸すことにより得られるものである。当該方法の典型例について説明する。まず、フェヌグリーク種子を沸騰水(例えば、フェヌグリーク種子の重量の3倍以上、好ましくは3〜20倍、より好ましくは3〜10の沸騰水)に入れて、5分間程度加熱処理する。この加熱によって、種子の殺菌が行われると共に種子中のリポキシゲナーゼ等の酵素も失活し、青臭みの発生を阻止することができる。さらに、組織からフェヌグリーク特有の苦味成分が溶出され易くなることで後工程におけるβ-グルコシダーゼの反応をスムーズに行うことができる。こうして得られたフェヌグリーク種子蒸煮物を水と共に磨砕してペースト状物を得る。磨砕の方法は、上記煮汁と種子の混合物を磨砕処理することが簡便であるが、これには限定されない。磨砕は、フードプロセッサー、ホモジナイザー、マスコロイダー等によって滑らかなペースト状になるまで行う。その後、40℃程度にして、可食性の酸やアルカリでβ-グルコシダーゼの至適pH付近に前記ペースト状物を調整することが好ましい。
【0018】
フェヌグリーク種子の抽出エキスは通常のエキスの抽出方法、すなわち溶媒を用いた抽出方法により得られたものであれば特に限定されない。フェヌグリーク種子の抽出エキスは、典型的には、フェヌグリーク種子の粉末から溶媒を使用して抽出を行い、得られた抽出物を濃縮することにより得ることができる。濃縮物を適宜溶媒で希釈したものも、また、本発明における「抽出エキス」に包含される。
【0019】
抽出用溶媒としては、熱水または水、低級アルコール(メタノール、エタノール等)、これらの混合物が挙げられ、なかでも熱水または水とエタノールの混合液を使用することが好ましい。
【0020】
濃縮物(粘性のある固形状物)をβ-グルコシダーゼによる酵素反応に利用するには、加水することが好ましい。加水量は、前記濃縮物(粘性のある固形状物)の1gに対して、1ml〜100mlが好ましく、更には4ml〜20mlが好ましい。前記濃縮物の量が多くなり過ぎると風味への悪影響をもたらすと共に沈殿が生成し易くなる傾向がある。
【0021】
3. β-グルコシダーゼ
本発明に使用するβ-グルコシダーゼとしては、微生物由来、植物由来等、特に限定されるものではないが、微生物由来のものを使用することの方が酵素活性の強さ、基質の適合性の点から好ましく、当該微生物としては、Trichoderma reesei(Trichoderma reesei RUT-C30(ATCC No.56765)、Trichoderma reesei QM9414(ATCC No.26921))を例示することができる。植物由来のものとしては、アーモンド由来のβ-グルコシダーゼが挙げられる。
【0022】
また、β-グルコシダーゼとしては、精製したβ-グルコシダーゼの他に、β-グルコシダーゼを含む酵素製剤を用いることもできる。酵素製剤としては、微生物由来のMultifect BGL、SPEZYME CP(ジェネンコア協和)、ナリンギナーゼ(田辺製薬)等が挙げられる。なお、Multifect BGLやSPEZYME CP(ジェネンコア協和)は液状の酵素製剤であり、ナリンギナーゼは粉末状の酵素製剤である。当該酵素製剤は、β-グルコシダーゼのほかに、マンナナーゼ等の多糖類分解酵素を含むものが好ましい。また多糖類分解酵素としてセルラーゼを含むものであってもよい。フェヌグリーク種子やそれに由来する材料をβ-グルコシダーゼで処理する場合には、フェヌグリーク種子が有する多糖類の影響により反応混合物が高粘度化してβ-グルコシダーゼの反応が進み難くなることがあるが、前記マンナナーゼ等の多糖類分解酵素が共存していれば前記多糖類が当該多糖類分解酵素で分解されるため、反応混合物の粘性を低く抑えて反応効率が向上すると共に、製造時の機械適性を向上させることができるからである。
【0023】
β-グルコシダーゼの添加量は特に限定されないが、例えば反応原料としてフェヌグリーク種子の粉末を使用し、β-グルコシダーゼ含有酵素製剤としてSPEZYME CPを使用する場合、粉末20gに対して適量の水を加えた後、0.001mlから20mlのSPEZYME CPを加えるか、又は適量の水に0.001mlから20mlのSPEZYME CPを添加した後に粉末20gに加えるのが好ましい。
【0024】
あるいは、反応原料としてフェヌグリーク種子の粉末を使用し、β-グルコシダーゼ含有酵素製剤としてSPEZYME CPを使用する場合、粉末1gに対して適量の水を加えた後、0.001mlから20mlのSPEZYME CPを加えるか、又は適量の水に0.001mlから20mlのSPEZYME CPを添加した後に粉末1gに加えることも可能である。
【0025】
また、反応原料として、フェヌグリーク種子の粉末20gからなるペースト状物を使用し、β-グルコシダーゼ含有酵素製剤としてSPEZYME CPを使用する場合、ペースト状物に0.001mlから20mlのSPEZYME CPを加えるのが好ましい。
【0026】
あるいは、反応原料として、フェヌグリーク種子の粉末1gからなるペースト状物を使用し、β-グルコシダーゼ含有酵素製剤としてSPEZYME CPを使用する場合、ペースト状物に0.001mlから20mlのSPEZYME CPを加えることも可能である。
【0027】
また、反応原料としてフェヌグリーク種子の抽出エキスを使用し、β-グルコシダーゼ含有酵素製剤としてSPEZYME CPを使用する場合、抽出物(例えば抽出物の約70倍濃縮物)(粘性のある固形状物)1gの場合に、0.05mlから10mlのSPEZYME CPを加えるのが好ましい。また、これを基準として実施者は酵素製剤の添加量を適宜決定することもできる。
【0028】
なお、フェヌグリーク種子から調製されるペースト状物にβ-グルコシダーゼを添加する場合には、上記手順でペースト状物を調製した後にβ-グルコシダーゼを添加してもよいし、ペースト化工程の前にその原料(すなわち上記第一の方法におけるフェヌグリーク種子、その粉末、または水、あるいは、上記第二の方法におけるフェヌグリーク種子、その蒸煮物、または水)にβ-グルコシダーゼを添加した後にペースト化工程を行ってもよい。
【0029】
4. 酵素反応
本発明において「酵素反応」とはβ-グルコシダーゼによる反応を意味するが、酵素製剤中にマンナナーゼ、セルラーゼ等の多糖類分解酵素が含まれる場合にはそれらの酵素による反応をも意味する。
【0030】
酵素反応を行うためには、酵素の至適温度域、至適pH域で行うのが好ましい。酵素反応のための温度としては20℃以上であることが好ましく、更には40℃〜60℃が好ましい。反応時間は48時間以下が好ましく、更には2時間〜24時間が好ましい。当該温度が60℃を超える温度になってくると、β-グルコシダーゼの活性が低下する可能性がある。
【0031】
上記反応温度を保つためには適当な加温手段を用いることができる。また酵素反応中は静置しておくよりも、振盪や攪拌を行うことが好ましい。これによって、酵素を均一に分散し、酵素反応の効率化を行うと共に、不均一な塊の発生を効果的に防ぐことができる。振盪や攪拌の方法は、実施者において適宜決定することができる。
【0032】
酵素反応のpHとしては、反応混合物中に可食性の酸やアルカリを添加して至適pH域に調整することが好ましい。
【0033】
5. 酵素失活
食品または食品原材料として使うことを考慮すると、酵素反応後、目的を達成し機能を果したβ-グルコシダーゼ等の酵素を加熱失活させる方が好ましい。加熱失活の処理条件としては特に限定されないが、例えば80℃〜100℃で5分間〜10分間の加熱処理をすることができる。
【0034】
6. 乾燥・粉末化
酵素失活後の混合物は、そのまま本発明のフェヌグリーク種子加工物として使用することもできるが、更に乾燥を行ってもよく、例えば、水分含量6質量%以下、好ましくは2〜6質量%にまで乾燥する。また乾燥物は適宜粉砕してもよい。
【0035】
乾燥方法は、熱風乾燥や噴霧乾燥等の一般的な方法でよいが、風味面から凍結乾燥が好ましい。凍結乾燥方法は、常法により実施すればよい。
【0036】
粉砕に用いる粉砕手段としては、例えばスタンプミル、マスコロイダー、コミトロール、擂粉木等が挙げられる。粉砕物の粒度は必要に応じて篩で調整することもできる。
【0037】
7. フェヌグリーク種子加工物の形状
本発明の方法により製造されるフェヌグリーク種子加工物は粉末状、ペースト状、高粘度固形物状、種子加工物からのエキスなどの種々の形状で提供される。
【0038】
8. フェヌグリーク種子加工物の用途
本発明のフェヌグリーク種子加工物は、原料であるフェヌグリーク種子またはそれに由来する材料と比較して増強されたα−アミラーゼ阻害作用を有する。従って本発明のフェヌグリーク種子加工物はα−アミラーゼ阻害剤として用いることができる。
【0039】
本発明のフェヌグリーク種子加工物は、医薬上許容される担体、添加物、賦形剤等と必要に応じて組み合わせて製剤化し、α−アミラーゼ阻害作用を有する医薬組成物の形態で使用することができる。当該医薬組成物の投与形態としては、特に制限はなく、必要に応じ適宜選択されるが、一般には錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤等の経口剤、又は注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、貼付剤、軟膏剤等の非経口剤として投与され得る。当該医薬組成物における担体、添加物、賦形剤等は、投与経路に応じて適宜選択され得る。当該医薬組成物が治療または予防し得る疾患としては糖尿病、肥満等が挙げられる。
【0040】
本発明のフェヌグリーク種子加工物は、食品として許容される他の材料と必要に応じて組み合わせて、α−アミラーゼ阻害作用を有する食品組成物の形態で使用することができる。当該食品組成物は、その本体、包装、説明書、宣伝物又は宣伝用電子的情報に効能の表示、例えば、α−アミラーゼ阻害作用を有する旨の表示、血糖値を下げる旨の表示などが付されたものであってもよい。食品組成物の形態は特に限定されず、固形、半固形、液体等の種々の形態のものであってよい。
【実施例】
【0041】
以下の実施例において「フェヌグリーク」とは特に断らない限りフェヌグリーク種子を意味する。
【0042】
以下の実験で使用した酵素製剤(SPEZYME CP、Multifect BGL、ナリンギナーゼ)は、それぞれ、β-グルコシダーゼ活性を持つ酵素以外に、セルラーゼ活性、マンナナーゼ活性等を持つ酵素を含むものである。
【0043】
実施例1
市販酵素製剤SPEZYME CPを用いたエキスの作製法とα-アミラーゼ阻害効果測定方法
エキスの作製法、及びエキスの酵素処理は、以下の方法で行った。
フェヌグリーク(インド産)粉末400gをソックスレー抽出器を使用して、ジエチルエーテル1500mlにて85℃3時間脱脂処理後に粉末を風乾した。
【0044】
脱脂粉末50gを30%メタノール500mlで2時間抽出し、得られたメタノール画分を濃縮して、黄褐色固体7.0gを得た。以降、この固体を36mMの4-モルホリノエタンスルホン酸(以下MES)水溶液に溶解した液体をエキスとした。濃度は、単位量のエキスに含まれる黄褐色固体重量で表記した。濃度0.25g/mlのエキス200ulにSPEZYME CP(ジェネンコア協和)を35ul、36mMのMESを4765ul混合し、混合物を55℃で2時間保持して酵素反応を進行させた。反応後、100℃で10分間加熱して、酵素を失活させた。この失活後に得られた酵素反応物を、酵素処理エキス(この時点で0.01g/mlである)とした。一方、対照として用いるために、濃度0.25g/mlのエキスをMESで希釈して0.01g/mlのものを調製し、未処理エキスとした。
【0045】
エキスのα-アミラーゼ阻害効果測定方法は、以下の方法で行った。
45mMの4-モルホリノエタンスルホン酸、45 mMの塩化ナトリウム、312.5 mMのチオシアン酸カリウム、1.5 mMの酢酸カルシウム、0.2 mMの2-クロロ-4-ニトロフェニルマルトトリオシド(オリエンタル酵母)の組成からなる基質溶液を用意した。また、ブタ膵臓α-アミラーゼ(シグマ)(23U/mg)を36mMのMES溶液で、0.25mg/mlの濃度に溶解した酵素液を調製した。吸光度測定時でのエキス濃度が0.5mg/ml、1.0mg/ml、1.5mg/mlになるように酵素処理エキスと36mM MES溶液を混合した溶液100ulに、酵素液10ulを添加してから32℃で5分間プレインキュベートした。そして基質溶液を400ul添加して、2分間反応させた後、分光光度計(島津製作所)を用いて405nmの吸光度を測定した。また、対照として、酵素処理エキスの代わりに、同濃度の未処理エキスを用いて、同様の実験を行った。
【0046】
α-アミラーゼ阻害率計算には以下の式を用いた。「阻害率=(エキスなしのときの吸光度増加−エキス(未処理エキス、または酵素処理エキス)添加時の吸光度増加)/エキスなしのときの吸光度増加×100、吸光度増加=酵素ありのときの吸光度−酵素なしの吸光度」
【0047】
エキス濃度と阻害率の関係を表1および図1に示した。エキス濃度は、最終の測定サンプルに含まれるフェヌグリーク由来の黄褐色個体の重量で表記した。SPEZYME処理により、α-アミラーゼ阻害効果が高まった(各n=3)。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例2
分画β-グルコシダーゼを用いて作製したエキスのα-アミラーゼ阻害効果測定
5mMリン酸buffer(pH7.0)で平衡化したイオン交換樹脂DE52(OH-タイプ)を、10mm×200mmのカラムに、約16g充填した後、SPEZYME CP 1ml(タンパク量72mg相当)をカラムにアプライし、5mMリン酸buffer pH7.0で展開、1フラクション 0.5ml(2.5min)で110フラクション分画した。フラクション10〜40を集め、セルラーゼ活性を持たず、β-グルコシダーゼ活性を持つ画分を得た。実施例1と同じ0.25g/mlのエキス40ulに、分画して得たβ-グルコシダーゼ画分140ul、36mMのMES溶液を820ul混合し、実施例1と同様の操作で酵素処理を行った。α-アミラーゼ阻害効果測定についても、同様に行った。
【0050】
エキス濃度と阻害率の関係を表2および図2に示した。SPEZYME CPから分画したβ-グルコシダーゼ活性画分による処理により、SPEZYME CPで処理した場合と同程度に阻害効果が増強した。
【0051】
【表2】
【0052】
実施例3
β-グルコシダーゼ(アーモンド)を用いて作製したエキスのα-アミラーゼ阻害効果測定
実施例1と同じ0.25g/mlのエキス40ulに、アーモンド由来β-グルコシダーゼ(オリエンタル酵母)(37U/mg)を0.1mg、36mMのMES溶液を860ul混合し、混合物を37℃で4日間保持して酵素反応を進行させた。反応後、100℃で10分間加熱して、酵素を失活させた。以後、α-アミラーゼ阻害効果測定について実施例1と同様に行った。
【0053】
エキス濃度と阻害率の関係を表3および図3に示した。β-グルコシダーゼ活性画分による処理により、SPEZYME CPで処理した場合と同程度以上に阻害効果が増強した。
【0054】
【表3】
【0055】
実施例4
酵素処理粉末のα-アミラーゼ阻害効果測定
フェヌグリーク粉末の酵素処理は、以下の方法で行った。
【0056】
フェヌグリーク粉末20gに水115gを加えて混合し、ペースト状物を得た。当該ペースト状物のpHを塩酸で5.0に調節した。SPEZYME CP(ジェネンコア協和)1.9mlを添加して、55℃で6時間インキュベートして酵素反応させた。反応後100℃で10分間失活処理を行い、ペースト状物を冷却後、凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。こうしてSPEZYME CP処理済フェヌグリーク粉末を得た。
【0057】
粉末のα-アミラーゼ阻害効果測定については、試薬は実施例1と同じものを用いた。36mMのMES溶液を200ulと酵素液20ulを混合し、前記SPEZYME CP処理済フェヌグリーク粉末10mgを加えてよく混合した。37℃で5分間プレインキュベート後に、基質溶液を800ul添加して5分間反応させた。反応後に10分間煮沸して酵素反応を止めてから、13000rpmで10分間遠心分離をして上清を得た。上清は0.45umフィルターに通してから、HPLC(島津製作所製、カラム:PEGASIL ODS-2 4.6φ×250mm(センシュー科学)、移動相:メタノールと31.25mMリン酸バッファーpH6.79を2:8で混合した溶液、流速:0.5ml/min)にインジェクションして、405nmでの吸光度を測定した。保持時間が13.2分程度のピークが酵素反応による生成物であり、このピーク面積比から阻害率を計算した(表4)。阻害率=(粉末なしのときのピーク面積−粉末添加時のピーク面積)/粉末なしのときのピーク面積×100
代表的なチャートを図4、5に、処理法と阻害率の関係を図6に示した(各n=2)。
【0058】
【表4】
【0059】
実施例5
種子の苦味程度及び4-OHイソロイシン量測定
なべに130〜180gの水を量りこみ、沸騰させた後、フェヌグリーク種子(インド産)20gを加え沸騰水中で1〜5分加熱した後、総量135gになるように加水した。加水後1M HClを2ml添加し、Excel Auto Homogenizer(日本精機)で9,000rpm 1分間磨砕した。1分経過後、磨砕をとめ、SPEZYME CP(ジェネンコア協和)を1.9ml添加し再び9,000rpmで4分間磨砕した。磨砕して得られたペースト状物を50mlの遠沈管に移し、55℃の恒温水槽で3〜9時間インキュベートした。インキュベート後、沸騰水中で2分加熱し、SPEZYME CPを失活させた後、冷却し、pHを中性付近に合わせた。こうして得られたSPEZYME CP処理済ペースト状物を官能評価した(対照の苦味を10点、苦味がまったくしない場合を0点として点数付けをした。パネルは10人無作為に選んだ。官能評価時は、順序効果も考慮した)。対照には、SPEZYME CPを添加しない以外は同様の処理をして得られたペースト状物を用いた。官能検査の結果、10人中10人苦味が低減したと判断し、2点比較法で0.1%の危険率で有意差が認められた。結果を表5に示す。
【0060】
4-OHイソロイシンの測定は、上記処理後のペースト状物を凍結乾燥し、70%エタノールで抽出したものを検液とし、アミノ酸アナライザー(島津製作所)で分析した。対照には、フェヌグリーク種子を70%エタノール中で粉砕し抽出した検液を用いた。結果を表6に示す。各処理区の4-OHイソロイシン量を1元配置分散分析した結果、危険率5%で有意差が認められなかった。従って、処理物は風味的にも優れ、4-OHイソロイシンなどの他の成分変化を伴わないものであることがわかった。
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
実施例6
酵素製剤SPEZYME CPを用いたペーストのα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子20gを、沸騰水180gに添加し5分間加熱する。その後、冷却して全量を135gに水あわせし、1Mの塩酸を2.7ml添加した後にホモジナイザーで9000rpm、5分間処理してpH5.0のペーストを得た。
【0064】
次に当該ペースト30gを2つ用意し、一方に酵素SPEZYME CP 422μlを添加混合する。もう一方には、無添サンプルとして、前記ペースト物30gに水422μlを添加混合する。よって得られた上記2サンプンを55℃で6時間インキュベートした後、90℃、15分間の条件で加熱して、酵素処理サンプル中の酵素を失活させた。その後、水で室温に戻してpH7.0に調製し、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。
【0065】
よって得られた2つの粉末のα−アミラーゼの阻害活性を測定した。測定方法は以下の方法で行った。
【0066】
基質溶液は、酢酸カルシウムの濃度を4.5mMとすること以外は実施例1と同じものを用いた。36mMのMES溶液200μlと前記SPEZYME CP処理済みのフェヌグリーク粉末10mgを加えて軽く混合した。これに実施例1と同様の酵素液を20μlを軽く混合して37℃で5分間インキュベートし、αアミラーゼの反応時間を37℃10分にする以外は実施例4と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。その結果を表7に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素SPEZYME CPで処理した場合の方が、酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より2倍強増強した。
【0067】
【表7】
【0068】
実施例7
アーモンド由来のβ−グルコシダーゼを使用したα−アミラーゼの阻害効果
フェヌグリーク種子20gを、沸騰水180gに添加し5分間加熱する。その後、冷却して全量を135gに水あわせし、1Mの塩酸を2.6ml添加した後にホモジナイザーで9000rpm、5分間処理してpH5.3のペーストを得た。
【0069】
次に当該ペースト10gを用意し、アーモンド由来のβ−グルコシダーゼ30mgを蒸留水500μlと混合したものを加えた後、37℃で48時間反応させる。その後、90℃、15分間の条件で加熱して、酵素処理サンプル中の酵素を失活させた。その後、水で室温に戻してpH7.0に調製し、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。
【0070】
よって得られた2つの粉末のα−アミラーゼの阻害活性を測定した。測定方法は、実施例6と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。その結果を表8に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素アーモンド由来のβ−グルコシダーゼで処理した場合の方が、酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より2倍強増強した。
【0071】
【表8】
【0072】
実施例8
酵素製剤SPEZYME CPを用いたペーストのα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子をロールミルで粉砕し、60メッシュパス前後の粉末を得た。得られた60メッシュパス前後のフェヌグリーク粉末10gに水57.5gを添加混合してペースト物を得た。次に、前記ペースト物25gを2つ用意し、一方に酵素SPEZYME CP826μlを添加混合する。もう一方には、無添サンプルとして、前記ペースト物25gに蒸留水826μlを添加混合する。
【0073】
よって得られた上記2サンプンを55℃で24時間インキュベートした後、90℃、15分間の条件で加熱して、酵素処理サンプル中の酵素を失活させた。その後、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。よって得られた2つの粉末のα−アミラーゼの阻害活性を測定した。測定方法は、実施例6と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。その結果を表9に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素SPEZYME CPで処理した場合の方が、酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より増強した。
【0074】
【表9】
【0075】
実施例9
酵素製剤SPEZYME CPを用いたペーストのα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子をロールミルで粉砕して得た60メッシュパス前後のフェヌグリーク粉末20gを、沸騰水180gに添加し5分間加熱した後、合計135gになるように水あわせする。その後に、得られたペースト25gを2つ用意し、一方に酵素SPEZYME CP 826μlを添加混合する。もう一方には、無添サンプルとして、前記ペースト物25gに水826μlを添加混合する。
【0076】
よって得られた上記2サンプンを55℃で24時間インキュベートした後、90℃、15分間の条件で加熱して、酵素処理サンプル中の酵素を失活させた。その後、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。よって得られた2つの粉末のα−アミラーゼの阻害活性を測定した。測定方法は、実施例6と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。その結果を表10に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素SPEZYME CPで処理した場合の方が、酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より増強した。
【0077】
【表10】
【0078】
実施例10
酵素濃度の添加量とα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子20gを、沸騰水180gに添加し5分間加熱する。その後、冷却して全量を135gに水あわせし、1Mの塩酸を2.6ml添加した後にホモジナイザーで9000rpm、5分間処理してpH4.8のペーストを得た。この処理を2回行い、得られたペーストを40gずつに分け、酵素SPEZYME CPの濃度がフェヌグリーク種子20gに対し1μl、10μl、100μl、20mlの4通りのサンプルを用意した。すなわち、酵素SPEZYME CPの濃度が1μlの場合は、ペースト40gに酵素SPEZYME CPの100倍希釈液を22μl加える。酵素SPEZYME CPの濃度が10μlの場合は、ペースト40gに酵素SPEZYME CPの100倍希釈液を222μl加える。酵素SPEZYME CPの濃度が100μlの場合は、ペースト40gに酵素SPEZYME CPの10倍希釈液を222μl加える。酵素SPEZYME CPの濃度が20mlの場合は、ペースト40gに酵素SPEZYME CP液を4.4ml加える。
【0079】
よって得られた上記4サンプンを55℃で10日間インキュベートした後、90℃、15分間の条件で加熱して、酵素処理サンプル中の酵素を失活させた。その後、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。よって得られた2つの粉末のα−アミラーゼの阻害活性を測定した。測定方法は、実施例6と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。その結果を表11に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素処理の方が酵素未処理もα−アミラーゼの阻害活性が優れていた。また、酵素SPEZYME CPの濃度が1μlと少ない程、優れていた。
【0080】
【表11】
【0081】
実施例11
ペースト時の加水量1倍の場合のα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子をロールミルで粉砕して得た60メッシュパス前後のフェヌグリーク粉末25gに水25g添加し撹拌混合して得たペーストから20gずつを取り、一方に酵素SPEZYME CP 2.85mlを添加混合する。もう一方には水2.85mlを添加混合する。その後、55℃で24時間インキュベートした後、90℃、15分間加熱して酵素を失活させ、その後、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。これにより、加水量1倍での酵素処理品を得た。
【0082】
よって得られた2つの粉末のα−アミラーゼの阻害活性を測定した。測定方法は、実施例6と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。その結果を表12に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素SPEZYME CPで処理した場合の方が、酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より増強した。
【0083】
【表12】
【0084】
実施例12
ペースト時の加水量20倍の場合のα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子をロールミルで粉砕して得た60メッシュパス前後のフェヌグリーク粉末10gに水200g添加し撹拌混合して得たペーストから100gずつを取り、一方に酵素SPEZYME CP 2.26mlを添加混合する。もう一方には水2.26mlを添加混合すること以外は、実施例11と同様の方法、条件で行った。その結果を表13に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素SPEZYME CPで処理した場合の方が、酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より増強した。
【0085】
【表13】
【0086】
実施例13
沸騰時の加水量9倍と3倍の場合のα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子20gを沸騰水180g中で5分間煮た後、冷却して合計135gになるように水あわせする。それに1Mの塩酸2.6mlを添加し、ホモジナイザーで9000rpm、5分間の条件で粉砕してpH4.9のペースト状物を得る。その後、ペースト30gずつを採り、一方に酵素SPEZYME CP 422μlを添加混合し、もう一方に蒸留水 422μlを添加混合した。酵素添加区を処理区、蒸留水添加区を見処理区とした。その後、55℃で22.5時間インキュベートした後、90℃、15分間加熱して酵素を失活させ、その後、水で室温に戻してpH7.0に調製し、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。
【0087】
よって得られた2つの粉末のα−アミラーゼ阻害活性を測定した。測定方法は、実施例6と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。
【0088】
また、フェヌグリーク種子20gを沸騰水60g中で5分間煮た後、冷却して合計80gになるように水あわせすること、粉砕してpH5.0のペースト状物を得ること、ペースト30gに酵素SPEZYME CP 712.5μlを添加混合すること以外は、沸騰時の加水量9倍の場合と同様の方法、条件で行った。その結果を表14に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、加水量9倍での酵素SPEZYME CPの方が3倍での酵素SPEZYME CPよりも優れていたが、双方ともに酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より増強した。
【0089】
【表14】
【0090】
実施例14
フェヌグリーク種子の磨砕時に酵素SPEZYME CPを添加した場合のα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子1kgを沸騰水5.75kg中で5分間煮た後、冷却して合計6.75kgになるように水あわせする。それに酵素SPEZYME CP 95gを添加し、よく撹拌した後に20分間浸漬しておく。その後マスコロイダー(増幸産業株式会社)でクリアランス300μmの条件で粉砕し、12Mの塩酸でpH5.0に調整したペースト状物を得る。その後、得られたペーストを、斜軸釜に移し55℃で8時間インキュベートした後、90℃、15分間加熱して酵素を失活させ、その後、水で室温に戻してpH7.0に調製し、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。一方、酵素酵素未処理品として、フェヌグリーク種子をロールミルで粉砕し、60メッシュパス前後の粉末を得た。
【0091】
よって得られた2つの粉末のα−アミラーゼ阻害活性を測定した。測定方法は、実施例6と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。その結果を表15に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素SPEZYME CPで処理した場合の方が、酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より増強した。
【0092】
【表15】
【0093】
実施例15
熱水抽出エキスのα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子から95℃15分の条件で熱水抽出したエキス25gを2つ用意し、一方に酵素SPEZYME CP 275μlを添加混合する。もう一方には蒸留水275μlを添加混合する。その後、55℃で24時間インキュベートした後、90℃、15分間加熱して酵素を失活させた。よって得られた2つの熱水抽出エキスのα−アミラーゼの阻害活性を測定した。測定方法は、以下のとおりである。
【0094】
基質溶液は実施例6と同じものを用いた。熱水抽出エキス200mgと前記酵素SPEZYME CP処理済みフェヌグリーク粉末10mgとを軽く混合した。その後、実施例1と同様の酵素液20ulを添加して軽く撹拌し、37℃で5分間プレインキュベートし、以降は実施例6と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。
【0095】
その結果を表16に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素SPEZYME CPで処理した場合の方が、酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より増強した。
【0096】
【表16】
【0097】
実施例16
ナリンギナーゼを使用した場合のα-アミラーゼ阻害効果
脱脂粉末50gを30%メタノール500mlで2時間抽出し、得られたメタノール画分を濃縮して、黄褐色固体7.0gを得た。以降、この固体を36mMの4-モルホリノエタンスルホン酸(以下MES)水溶液に溶解した液体をエキスとした。濃度は、単位量のエキスに含まれる黄褐色固体重量で表記した。濃度0.25g/mlのエキス200ulにナリンギナーゼ(田辺製薬)100mg/mlを1.8ml、36mMのMESを3ml混合し、混合物を70℃で12時間保持して酵素反応を進行させた。反応後、100℃で10分間加熱して、酵素を失活させた。この失活後に得られた酵素反応物を、酵素処理エキス(この時点で0.01g/mlである)とした。一方、対照として用いるために、濃度0.25g/mlのエキスをMESで希釈して0.01g/mlのものを調製し、未処理エキスとした。
【0098】
エキスのα‐アミラーゼ阻害効果測定方法は、実施例1と同様の方法で行った。その結果を表17に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素ナリンギナーゼで処理した場合の方が、酵素ナリンギナーゼで処理しない場合の方より増強した。
【0099】
【表17】
【0100】
実施例17
発芽フェヌグリークのα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子20gに水53.1g添加し、酵素SPEZYME CPを1.9ml添加し、恒温槽で25℃温度下で48時間静置し、その後、恒温槽から取り出して発芽した種子のみを取り出し、水20mlを添加し、更に残存した浸漬液を、残存した浸漬液量(ml)×サンプリングした発芽種子(g)/種子全量(g) だけ加える。その後に、ホモジナイザー(日本精機)で9000rpm、5分間粉砕処理を施し、その後に酵素失活のために100℃で10分間加熱した。その後、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。一方、酵素未処理品として、フェヌグリーク種子をロールミルで粉砕し、60メッシュパス前後の粉末を得た。
【0101】
よって得られた粉末のα−アミラーゼの阻害活性を測定した。測定方法は、実施例6と同様の方法で行った。その結果を表18に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素SPEZYME CPで処理した発芽フェヌグリーク粉末でも増強した。
【0102】
【表18】
【0103】
実施例18
酵素製剤SPEZYME CPを用いたエキスのα-アミラーゼ阻害効果測定方法
エキスの作製法、及びエキスの酵素処理は、以下の方法で行った。
【0104】
フェヌグリーク種子(インド産)をロールミルで粉砕し、60メッシュパス前後の粉末400gをソックスレー抽出器を使用して、ジエチルエーテル1500mlにて85℃3時間脱脂処理後に粉末を風乾した。
【0105】
脱脂粉末50gを30%メタノール500mlで2時間抽出し、得られたメタノール画分を濃縮して、黄褐色固体7.0gを得た。以降、この固体を36mMの4-モルホリノエタンスルホン酸(以下MES)水溶液に溶解した液体をエキスとした。濃度は、単位量のエキスに含まれる黄褐色固体重量で表記した。濃度0.25g/mlのエキス200ulにSPEZYME CP(ジェネンコア協和)を35ul、36mMのMESを4765ul混合し、混合物を55℃で2時間保持して酵素反応を進行させた。反応後、100℃で10分間加熱して、酵素を失活させた。この失活後に得られた酵素反応物を、酵素処理エキス(この時点で0.01g/mlである)とした。一方、対照として用いるために、濃度0.25g/mlのエキスをMESで希釈して0.01g/mlのものを調製し、未処理エキスとした。
【0106】
エキスのα-アミラーゼ阻害効果測定方法は、以下の方法で行った。
45mMの4-モルホリノエタンスルホン酸、45 mMの塩化ナトリウム、312.5 mMのチオシアン酸カリウム、1.5 mMの酢酸カルシウム、0.2 mMの2-クロロ-4-ニトロフェニルマルトトリオシド(オリエンタル酵母)の組成からなる基質溶液を用意した。また、ブタ膵臓α-アミラーゼ(シグマ)(23U/mg)を36mMのMES溶液で、0.25mg/mlの濃度に溶解した酵素液を調製した。吸光度測定時でのエキス濃度が0.5mg/ml、1.0mg/ml、1.5mg/mlになるように酵素処理エキスと36mM MES溶液を混合した溶液100ulに、酵素液10ulを添加してから37℃で5分間プレインキュベートした。そして基質溶液を400ul添加して、32℃で2分間反応させた後、分光光度計(島津製作所)を用いて405nmの吸光度を測定した。また、対照として、酵素処理エキスの代わりに、同濃度の未処理エキスを用いて、同様の実験を行った。
【0107】
α-アミラーゼ阻害率計算には以下の式を用いた。「阻害率=(エキスなしのときの吸光度増加−エキス(未処理エキス、または酵素処理エキス)添加時の吸光度増加)/エキスなしのときの吸光度増加×100、吸光度増加=酵素ありのときの吸光度−酵素なしの吸光度」
【0108】
エキス濃度と阻害率の関係を表19および図7に示した。エキス濃度は、最終の測定サンプルに含まれるフェヌグリーク由来の黄褐色個体の重量で表記した。SPEZYME処理により、
α-アミラーゼ阻害効果が高まった(各n=3)。
【0109】
【表19】
【0110】
実施例19
分画β-グルコシダーゼを用いて作製したエキスのα-アミラーゼ阻害効果測定
5mMリン酸buffer(pH7.0)で平衡化したイオン交換樹脂DE52(OH-タイプ)を、10mm×200mm
のカラムに、約16g充填した後、SPEZYME CP 1ml(タンパク量72mg相当)をカラムにアプライし、5mMリン酸buffer pH7.0で展開、1フラクション 0.5ml(2.5min)で110フラクション分画した。フラクション10〜40を集め、セルラーゼ活性を持たず、β-グルコシダーゼ活性を持つ画分を得た。実施例18と同じ0.25g/mlのエキス40ulに、分画して得たβ-グルコシダーゼ画分140ul、36mMのMES溶液を820ul混合し、実施例18と同様の操作で酵素処理を行った。エキスのα-アミラーゼ阻害効果測定方法は、以下の方法で行った。
【0111】
45mMの4-モルホリノエタンスルホン酸、45 mMの塩化ナトリウム、312.5 mMのチオシアン酸カリウム、4.5 mMの酢酸カルシウム、2 mMの2-クロロ-4-ニトロフェニルマルトトリオシド(オリエンタル酵母)の組成からなる基質溶液を用意した。また、ブタ膵臓α-アミラーゼ(シグマ)(23U/mg)を36mMのMES溶液で、0.25mg/mlの濃度に溶解した酵素液を調製した。吸光度測定時でのエキス濃度が0.5mg/ml、1.0mg/ml、1.5mg/mlになるように酵素処理エキスと36mM MES溶液を混合した溶液100ulに、酵素液10ulを添加してから37℃で5分間プレインキュベートした。そして基質溶液を400ul添加して、37℃で5分間反応させた後、分光光度計(島津製作所)を用いて405nmの吸光度を測定した。また、対照として、酵素処理エキスの代わりに、同濃度の未処理エキスを用いて、同様の実験を行った。
【0112】
エキス濃度と阻害率の関係を表20および図8に示した。SPEZYME CPから分画したβ-グルコシダーゼ活性画分による処理により、SPEZYME CPで処理した場合と同程度に阻害効果が増強した。
【0113】
【表20】
【0114】
実施例20
β-グルコシダーゼ(アーモンド)を用いたエキスのα-アミラーゼ阻害効果測定
実施例18と同じ0.25g/mlのエキス40ulに、アーモンド由来β-グルコシダーゼ(オリエンタル酵母)(37U/mg)を0.1mg、36mMのMES溶液を860ul混合し、混合物を37℃で4日間保持して酵素反応を進行させた。反応後、100℃で10分間加熱して、酵素を失活させた。以後、α-アミラーゼ阻害効果測定について実施例18と同様に行った。
【0115】
エキス濃度と阻害率の関係を表21および図9に示した。β-グルコシダーゼ活性画分による処理により、SPEZYME CPで処理した場合と同程度以上に阻害効果が増強した。
【0116】
【表21】
【0117】
実施例21
酵素処理粉末のα-アミラーゼ阻害効果測定
フェヌグリーク粉末の酵素処理は、以下の方法で行った。
【0118】
フェヌグリーク粉末20gに水115gを加えて混合し、ペースト状物を得た。当該ペースト状物のpHを塩酸で5.0に調節した。SPEZYME CP(ジェネンコア協和)1.9mlを添加して、55℃で6時間インキュベートして酵素反応させた。反応後100℃で10分間失活処理を行い、ペースト状物を冷却後、−80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。こうしてSPEZYME CP処理済フェヌグリーク粉末を得た。
【0119】
粉末のα-アミラーゼ阻害効果測定については、基質溶液は酢酸カルシウムの濃度を4.5mMとすること、2-クロロ-4-ニトロフェニルマルトトリオシドの濃度を2mMにすること以外は実施例18と同じものを用いた。36mMのMES溶液を200ulと酵素液20ulを混合し、前記SPEZYME CP処理済フェヌグリーク粉末10mgを加えて軽く撹拌混合した。37℃で5分間プレインキュベート後に、基質溶液を800ul添加し軽く撹拌混合して5分間反応させた。反応後に10分間煮沸して酵素反応を止めてから、13000rpmで10分間遠心分離をして上清を得た。上清は0.45umフィルターに通してから、HPLC(島津製作所製、カラム:PEGASIL ODS-2 4.6φ×250mm(センシュー科学)、移動相:メタノールと31.25mMリン酸バッファーpH6.79を2:8で混合した溶液、流速:1.0ml/min)にインジェクションして、405nmでの吸光度を測定した。保持時間が13.2分程度のピークが酵素反応による生成物であり、このピーク面積比から阻害率を計算した(表22)。阻害率=(粉末なしのときのピーク面積−粉末添加時のピーク面積)/粉末なしのときのピーク面積×100
代表的なチャートを図10、11に、処理法と阻害率の関係を図12に示した(各n=2)。
【0120】
【表22】
【0121】
参考例
実施例1〜21において使用したフェヌグリーク種子及びフェヌグリーク種子粉末の水分含量はいずれも10%であった。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1は、SPEZYME CPにより処理したフェヌグリーク種子抽出エキスの濃度とα-アミラーゼ活性阻害率の関係を示す図である。
【図2】図2は、SPEZYME CPから分画されたβ-グルコシダーゼにより処理したフェヌグリーク種子抽出エキスの濃度とα-アミラーゼ活性阻害率の関係を示す図である。
【図3】図3は、アーモンド由来β-グルコシダーゼにより処理したフェヌグリーク種子抽出エキスの濃度とα-アミラーゼ活性阻害率の関係を示す図である。
【図4】図4は、実施例4におけるHPLCの代表的なチャートを示す。
【図5】図5は、実施例4におけるHPLCの代表的なチャートを示す。
【図6】図6は、フェヌグリーク種子粉末におけるSPEZYME CPによる処理の有無とα-アミラーゼ活性阻害率の関係を示す図である。
【図7】図7は、SPEZYME CPにより処理したフェヌグリーク種子抽出エキスの濃度とα-アミラーゼ活性阻害率の関係を示す図である。
【図8】図8は、SPEZYME CPから分画されたβ-グルコシダーゼにより処理したフェヌグリーク種子抽出エキスの濃度とα-アミラーゼ活性阻害率の関係を示す図である。
【図9】図9は、アーモンド由来β-グルコシダーゼにより処理したフェヌグリーク種子抽出エキスの濃度とα-アミラーゼ活性阻害率の関係を示す図である。
【図10】図10は、実施例21におけるHPLCの代表的なチャートを示す。
【図11】図11は、実施例21におけるHPLCの代表的なチャートを示す。
【図12】図12は、フェヌグリーク種子粉末におけるSPEZYME CPによる処理の有無とα-アミラーゼ活性阻害率の関係を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明はα-アミラーゼ阻害作用が増強されたフェヌグリーク種子加工物およびその製造方法に関する。
【0002】
本発明はまた、フェヌグリーク種子が持つ強い苦味が副次的に低減された、摂取しやすい風味を有するフェヌグリーク種子加工物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
α-アミラーゼは体内において澱粉を糖へと加水分解する作用を有する酵素である。α-アミラーゼの活性を抑制することができれば、糖の体内への吸収を抑制することができる。従ってα-アミラーゼ阻害物質はダイエットや抗糖尿病のための食品素材、タブレット等の有効成分として有用である。
【0004】
一方、フェヌグリークはマメ科の1年草である。フェヌグリークの種子はカレー用の香辛料として古くから知られている。
非特許文献1には、フェヌグリーク粉末を30%エタノールで抽出したエキスを使用したin vitro実験が開示されている。当該実験ではそのエキスにα-アミラーゼ阻害作用があることが確認された。しかしながら非特許文献1に示されるフェヌグリーク粉末のα-アミラーゼ阻害作用は決して満足できるものではない。
【0005】
一方非特許文献2には、犬にフェヌグリークのサポニンを摂取させると、消化管内でアグリコンとなり排泄されること、ならびに、サポニンをβ-グルコシダーゼ処理をすると26位の糖は外れるが3位は切れないことが記載されている。しかしながら非特許文献2にはα-アミラーゼ阻害作用については一切言及がない。
【0006】
【非特許文献1】Mol Cell Biochem. 2006 Jan;281(1-2):173-83. Biochemical study of the anti-diabetic action of the Egyptian plants Fenugreek and Balanites.
【非特許文献2】Lipids. 1991 Mar;26(3):191-7. Implication of steroid saponins and sapogenins in the hypocholesterolemic effect of fenugreek.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はフェヌグリーク種子成分が有するα-アミラーゼ阻害作用を増強することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは驚くべきことにフェヌグリーク種子に由来する材料にβ-グルコシダーゼを作用させて得られるフェヌグリーク種子加工物が、処理前の材料と比較して顕著に高いα-アミラーゼ阻害作用を有し、且つ苦味が抑制されていることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は以下の発明を包含する。
(1) フェヌグリーク種子またはそれに由来する材料にβ-グルコシダーゼを作用させて得られるフェヌグリーク種子加工物。
(2) 前記β-グルコシダーゼが微生物由来のものであることを特徴とする(1)記載のフェヌグリーク種子加工物。
(3) 前記β-グルコシダーゼとして、β-グルコシダーゼを含む酵素製剤が使用されることを特徴とする(1)または(2)記載のフェヌグリーク種子加工物。
(4) 前記酵素製剤が、多糖類分解酵素を含有するものであることを特徴とする(3)記載のフェヌグリーク種子加工物。
(5) 前記フェヌグリーク種子に由来する材料が、フェヌグリーク種子の粉末、フェヌグリーク種子から調製されるペースト状物、およびフェヌグリーク種子の抽出エキスからなる群から選択される少なくとも一種を含むものであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか記載のフェヌグリーク種子加工物。
(6) (1)〜(5)のいずれか記載のフェヌグリーク種子加工物を有効成分として含有するα−アミラーゼ阻害用医薬組成物。
(7) (1)〜(5)のいずれか記載のフェヌグリーク種子加工物を含有する食品組成物。
(8) フェヌグリーク種子の粉末に水を加えて混合しペースト化するか、あるいはフェヌグリーク種子またはその蒸煮物を水と共に磨砕してペースト化するペースト化工程と、
ペースト化工程により得られたペースト状物、あるいはペースト化工程に用いられる原料にβ-グルコシダーゼを添加混合する酵素添加工程と、
ペースト化工程および酵素添加工程を経て得られた混合物中にて酵素反応を進行させる酵素反応工程と、
を含むことを特徴とするフェヌグリーク種子加工物の製造方法。
(9) 乾燥工程を更に含むことを特徴とする(8)記載の方法。
(10) フェヌグリーク種子の粉末にβ-グルコシダーゼを添加混合した水を加えて混合しペースト化するか、あるいはフェヌグリーク種子またはその蒸煮物をβ-グルコシダーゼを添加混合した水と共に磨砕してペースト化するペースト化工程と、
ペースト化工程を経て得られた混合物中にて酵素反応を進行させる酵素反応工程と、
を含むことを特徴とするフェヌグリーク種子加工物の製造方法。
(11) 乾燥工程を更に含むことを特徴とする(10)記載の方法。
(12) フェヌグリーク種子またはその粉末から溶媒を使用して抽出を行い抽出エキスを得る抽出工程と、
当該抽出エキスにβ-グルコシダーゼを添加混合する酵素添加工程と、
酵素添加工程で得られた混合物中にて酵素反応を進行させる酵素反応工程と、
を含むことを特徴とするフェヌグリーク種子加工物の製造方法。
(13) 乾燥工程を更に含むことを特徴とする(12)記載の方法。
(14) (1)〜(5)のいずれか記載のフェヌグリーク種子加工物を有効成分として含有するα−アミラーゼ阻害剤。
【発明の効果】
【0009】
フェヌグリーク種子をβ-グルコシダーゼで酵素処理することにより、α-アミラーゼ阻害効果を増強したフェヌグリーク種子加工物が得られる。そして、当該加工物を医薬や食品、飲料などに利用した場合、未処理のフェヌグリーク種子に比べて少量の添加で、α-アミラーゼ阻害効果が期待できる。同時にフェヌグリーク種子特有の苦味を低減させるができる。また、4-ヒドロキシ イソロイシン(以下、4-OHイソロイシンと記する。)などの成分量変化や風味変化が少ないので容易に摂取することが可能になる。従って、本発明のフェヌグリーク種子加工物は、体内に入った澱粉をα−アミラーゼが糖へ分解する作用を阻害することができ、ダイエットや抗糖尿病のための医薬組成物や食品組成物、食品素材、タブレット等に活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
1. フェヌグリーク種子
本発明において使用するフェヌグリークは、種子そのまま、あるいは種子を粉砕した全粒粉、あるいは種子の胚乳や種皮など特定の部分から成る粉末を用いることができる。
【0011】
本明細書における「フェヌグリーク種子」には発芽前の種子だけでなく、発芽後の種子も包含される。
【0012】
使用するフェヌグリーク種子の水分含量は特に限定されないが、8〜12%程度が好ましく、約10%が最も好ましい。
【0013】
2. フェヌグリーク種子に由来する材料
本発明において「フェヌグリーク種子に由来する材料」とは特に限定されないが、典型的にはフェヌグリーク種子の粉末、フェヌグリーク種子から調製されるペースト状物、およびフェヌグリーク種子の抽出エキスなどが挙げられる。
【0014】
フェヌグリーク種子の粉末は種子を粉砕することにより得られるものであれば、粒子の大きさ、形状などは特に限定されない。粉砕の手段は特に限定されず、例えばロールミル等で粉砕することができる。また種子の胚乳や種皮など特定の部分から成る粉末を含めたフェヌグリーク種子粉末を使用することもできる。使用するフェヌグリーク種子粉末の水分含量は特に限定されないが、8〜12%程度が好ましく、約10%が最も好ましい。
【0015】
「フェヌグリーク種子から調製されるペースト状物」は代表的には2つの方法により調製することができる。第一はフェヌグリーク種子粉末から調製する方法である。第二はフェヌグリーク種子またはその蒸煮物から調製する方法である。
【0016】
ペースト状物の第一の製造方法では、前記フェヌグリーク種子粉末に水を加えて混合してペースト状物を得る。加水されていることにより後述するβ-グルコシダーゼ酵素反応が効果的に達成される。加水量としては、特に限定されるものではないが、フェヌグリーク種子粉末の重量に対して、1倍以上、好ましくは1〜20倍、より好ましくは3〜10倍である。この加水量が少なくなりすぎると粘度が高くなり過ぎて均一なペースト状物を得ることが難しくなる可能性がある。反対に加水量が多くなり過ぎると乾燥時間が長くなり、作業効率が低下すると共に、コスト的に好ましくないという問題が生じる可能性がある。なお、こうして得られるペースト状物は、β-グルコシダーゼ等の酵素を添加する前に、加熱処理を施しておくことが好ましい。なぜなら、加熱処理により殺菌すると共に、青臭みの発生原因であるリポキシゲナーゼや蛋白を分解するプロテアーゼ等の酵素を失活させ、かつ、組織から成分を溶出し易くさせ、β-グルコシダーゼ等の酵素反応をスムーズに行うことができるからである。加熱温度としては、100℃で5分間程度が好ましい。
【0017】
ペースト状物の第二の製造方法では、フェヌグリーク種子またはその蒸煮物を水と共に磨砕してペースト状物を得る。ここで「蒸煮物」とは種子を煮るおよび/または蒸すことにより得られるものである。当該方法の典型例について説明する。まず、フェヌグリーク種子を沸騰水(例えば、フェヌグリーク種子の重量の3倍以上、好ましくは3〜20倍、より好ましくは3〜10の沸騰水)に入れて、5分間程度加熱処理する。この加熱によって、種子の殺菌が行われると共に種子中のリポキシゲナーゼ等の酵素も失活し、青臭みの発生を阻止することができる。さらに、組織からフェヌグリーク特有の苦味成分が溶出され易くなることで後工程におけるβ-グルコシダーゼの反応をスムーズに行うことができる。こうして得られたフェヌグリーク種子蒸煮物を水と共に磨砕してペースト状物を得る。磨砕の方法は、上記煮汁と種子の混合物を磨砕処理することが簡便であるが、これには限定されない。磨砕は、フードプロセッサー、ホモジナイザー、マスコロイダー等によって滑らかなペースト状になるまで行う。その後、40℃程度にして、可食性の酸やアルカリでβ-グルコシダーゼの至適pH付近に前記ペースト状物を調整することが好ましい。
【0018】
フェヌグリーク種子の抽出エキスは通常のエキスの抽出方法、すなわち溶媒を用いた抽出方法により得られたものであれば特に限定されない。フェヌグリーク種子の抽出エキスは、典型的には、フェヌグリーク種子の粉末から溶媒を使用して抽出を行い、得られた抽出物を濃縮することにより得ることができる。濃縮物を適宜溶媒で希釈したものも、また、本発明における「抽出エキス」に包含される。
【0019】
抽出用溶媒としては、熱水または水、低級アルコール(メタノール、エタノール等)、これらの混合物が挙げられ、なかでも熱水または水とエタノールの混合液を使用することが好ましい。
【0020】
濃縮物(粘性のある固形状物)をβ-グルコシダーゼによる酵素反応に利用するには、加水することが好ましい。加水量は、前記濃縮物(粘性のある固形状物)の1gに対して、1ml〜100mlが好ましく、更には4ml〜20mlが好ましい。前記濃縮物の量が多くなり過ぎると風味への悪影響をもたらすと共に沈殿が生成し易くなる傾向がある。
【0021】
3. β-グルコシダーゼ
本発明に使用するβ-グルコシダーゼとしては、微生物由来、植物由来等、特に限定されるものではないが、微生物由来のものを使用することの方が酵素活性の強さ、基質の適合性の点から好ましく、当該微生物としては、Trichoderma reesei(Trichoderma reesei RUT-C30(ATCC No.56765)、Trichoderma reesei QM9414(ATCC No.26921))を例示することができる。植物由来のものとしては、アーモンド由来のβ-グルコシダーゼが挙げられる。
【0022】
また、β-グルコシダーゼとしては、精製したβ-グルコシダーゼの他に、β-グルコシダーゼを含む酵素製剤を用いることもできる。酵素製剤としては、微生物由来のMultifect BGL、SPEZYME CP(ジェネンコア協和)、ナリンギナーゼ(田辺製薬)等が挙げられる。なお、Multifect BGLやSPEZYME CP(ジェネンコア協和)は液状の酵素製剤であり、ナリンギナーゼは粉末状の酵素製剤である。当該酵素製剤は、β-グルコシダーゼのほかに、マンナナーゼ等の多糖類分解酵素を含むものが好ましい。また多糖類分解酵素としてセルラーゼを含むものであってもよい。フェヌグリーク種子やそれに由来する材料をβ-グルコシダーゼで処理する場合には、フェヌグリーク種子が有する多糖類の影響により反応混合物が高粘度化してβ-グルコシダーゼの反応が進み難くなることがあるが、前記マンナナーゼ等の多糖類分解酵素が共存していれば前記多糖類が当該多糖類分解酵素で分解されるため、反応混合物の粘性を低く抑えて反応効率が向上すると共に、製造時の機械適性を向上させることができるからである。
【0023】
β-グルコシダーゼの添加量は特に限定されないが、例えば反応原料としてフェヌグリーク種子の粉末を使用し、β-グルコシダーゼ含有酵素製剤としてSPEZYME CPを使用する場合、粉末20gに対して適量の水を加えた後、0.001mlから20mlのSPEZYME CPを加えるか、又は適量の水に0.001mlから20mlのSPEZYME CPを添加した後に粉末20gに加えるのが好ましい。
【0024】
あるいは、反応原料としてフェヌグリーク種子の粉末を使用し、β-グルコシダーゼ含有酵素製剤としてSPEZYME CPを使用する場合、粉末1gに対して適量の水を加えた後、0.001mlから20mlのSPEZYME CPを加えるか、又は適量の水に0.001mlから20mlのSPEZYME CPを添加した後に粉末1gに加えることも可能である。
【0025】
また、反応原料として、フェヌグリーク種子の粉末20gからなるペースト状物を使用し、β-グルコシダーゼ含有酵素製剤としてSPEZYME CPを使用する場合、ペースト状物に0.001mlから20mlのSPEZYME CPを加えるのが好ましい。
【0026】
あるいは、反応原料として、フェヌグリーク種子の粉末1gからなるペースト状物を使用し、β-グルコシダーゼ含有酵素製剤としてSPEZYME CPを使用する場合、ペースト状物に0.001mlから20mlのSPEZYME CPを加えることも可能である。
【0027】
また、反応原料としてフェヌグリーク種子の抽出エキスを使用し、β-グルコシダーゼ含有酵素製剤としてSPEZYME CPを使用する場合、抽出物(例えば抽出物の約70倍濃縮物)(粘性のある固形状物)1gの場合に、0.05mlから10mlのSPEZYME CPを加えるのが好ましい。また、これを基準として実施者は酵素製剤の添加量を適宜決定することもできる。
【0028】
なお、フェヌグリーク種子から調製されるペースト状物にβ-グルコシダーゼを添加する場合には、上記手順でペースト状物を調製した後にβ-グルコシダーゼを添加してもよいし、ペースト化工程の前にその原料(すなわち上記第一の方法におけるフェヌグリーク種子、その粉末、または水、あるいは、上記第二の方法におけるフェヌグリーク種子、その蒸煮物、または水)にβ-グルコシダーゼを添加した後にペースト化工程を行ってもよい。
【0029】
4. 酵素反応
本発明において「酵素反応」とはβ-グルコシダーゼによる反応を意味するが、酵素製剤中にマンナナーゼ、セルラーゼ等の多糖類分解酵素が含まれる場合にはそれらの酵素による反応をも意味する。
【0030】
酵素反応を行うためには、酵素の至適温度域、至適pH域で行うのが好ましい。酵素反応のための温度としては20℃以上であることが好ましく、更には40℃〜60℃が好ましい。反応時間は48時間以下が好ましく、更には2時間〜24時間が好ましい。当該温度が60℃を超える温度になってくると、β-グルコシダーゼの活性が低下する可能性がある。
【0031】
上記反応温度を保つためには適当な加温手段を用いることができる。また酵素反応中は静置しておくよりも、振盪や攪拌を行うことが好ましい。これによって、酵素を均一に分散し、酵素反応の効率化を行うと共に、不均一な塊の発生を効果的に防ぐことができる。振盪や攪拌の方法は、実施者において適宜決定することができる。
【0032】
酵素反応のpHとしては、反応混合物中に可食性の酸やアルカリを添加して至適pH域に調整することが好ましい。
【0033】
5. 酵素失活
食品または食品原材料として使うことを考慮すると、酵素反応後、目的を達成し機能を果したβ-グルコシダーゼ等の酵素を加熱失活させる方が好ましい。加熱失活の処理条件としては特に限定されないが、例えば80℃〜100℃で5分間〜10分間の加熱処理をすることができる。
【0034】
6. 乾燥・粉末化
酵素失活後の混合物は、そのまま本発明のフェヌグリーク種子加工物として使用することもできるが、更に乾燥を行ってもよく、例えば、水分含量6質量%以下、好ましくは2〜6質量%にまで乾燥する。また乾燥物は適宜粉砕してもよい。
【0035】
乾燥方法は、熱風乾燥や噴霧乾燥等の一般的な方法でよいが、風味面から凍結乾燥が好ましい。凍結乾燥方法は、常法により実施すればよい。
【0036】
粉砕に用いる粉砕手段としては、例えばスタンプミル、マスコロイダー、コミトロール、擂粉木等が挙げられる。粉砕物の粒度は必要に応じて篩で調整することもできる。
【0037】
7. フェヌグリーク種子加工物の形状
本発明の方法により製造されるフェヌグリーク種子加工物は粉末状、ペースト状、高粘度固形物状、種子加工物からのエキスなどの種々の形状で提供される。
【0038】
8. フェヌグリーク種子加工物の用途
本発明のフェヌグリーク種子加工物は、原料であるフェヌグリーク種子またはそれに由来する材料と比較して増強されたα−アミラーゼ阻害作用を有する。従って本発明のフェヌグリーク種子加工物はα−アミラーゼ阻害剤として用いることができる。
【0039】
本発明のフェヌグリーク種子加工物は、医薬上許容される担体、添加物、賦形剤等と必要に応じて組み合わせて製剤化し、α−アミラーゼ阻害作用を有する医薬組成物の形態で使用することができる。当該医薬組成物の投与形態としては、特に制限はなく、必要に応じ適宜選択されるが、一般には錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤等の経口剤、又は注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、貼付剤、軟膏剤等の非経口剤として投与され得る。当該医薬組成物における担体、添加物、賦形剤等は、投与経路に応じて適宜選択され得る。当該医薬組成物が治療または予防し得る疾患としては糖尿病、肥満等が挙げられる。
【0040】
本発明のフェヌグリーク種子加工物は、食品として許容される他の材料と必要に応じて組み合わせて、α−アミラーゼ阻害作用を有する食品組成物の形態で使用することができる。当該食品組成物は、その本体、包装、説明書、宣伝物又は宣伝用電子的情報に効能の表示、例えば、α−アミラーゼ阻害作用を有する旨の表示、血糖値を下げる旨の表示などが付されたものであってもよい。食品組成物の形態は特に限定されず、固形、半固形、液体等の種々の形態のものであってよい。
【実施例】
【0041】
以下の実施例において「フェヌグリーク」とは特に断らない限りフェヌグリーク種子を意味する。
【0042】
以下の実験で使用した酵素製剤(SPEZYME CP、Multifect BGL、ナリンギナーゼ)は、それぞれ、β-グルコシダーゼ活性を持つ酵素以外に、セルラーゼ活性、マンナナーゼ活性等を持つ酵素を含むものである。
【0043】
実施例1
市販酵素製剤SPEZYME CPを用いたエキスの作製法とα-アミラーゼ阻害効果測定方法
エキスの作製法、及びエキスの酵素処理は、以下の方法で行った。
フェヌグリーク(インド産)粉末400gをソックスレー抽出器を使用して、ジエチルエーテル1500mlにて85℃3時間脱脂処理後に粉末を風乾した。
【0044】
脱脂粉末50gを30%メタノール500mlで2時間抽出し、得られたメタノール画分を濃縮して、黄褐色固体7.0gを得た。以降、この固体を36mMの4-モルホリノエタンスルホン酸(以下MES)水溶液に溶解した液体をエキスとした。濃度は、単位量のエキスに含まれる黄褐色固体重量で表記した。濃度0.25g/mlのエキス200ulにSPEZYME CP(ジェネンコア協和)を35ul、36mMのMESを4765ul混合し、混合物を55℃で2時間保持して酵素反応を進行させた。反応後、100℃で10分間加熱して、酵素を失活させた。この失活後に得られた酵素反応物を、酵素処理エキス(この時点で0.01g/mlである)とした。一方、対照として用いるために、濃度0.25g/mlのエキスをMESで希釈して0.01g/mlのものを調製し、未処理エキスとした。
【0045】
エキスのα-アミラーゼ阻害効果測定方法は、以下の方法で行った。
45mMの4-モルホリノエタンスルホン酸、45 mMの塩化ナトリウム、312.5 mMのチオシアン酸カリウム、1.5 mMの酢酸カルシウム、0.2 mMの2-クロロ-4-ニトロフェニルマルトトリオシド(オリエンタル酵母)の組成からなる基質溶液を用意した。また、ブタ膵臓α-アミラーゼ(シグマ)(23U/mg)を36mMのMES溶液で、0.25mg/mlの濃度に溶解した酵素液を調製した。吸光度測定時でのエキス濃度が0.5mg/ml、1.0mg/ml、1.5mg/mlになるように酵素処理エキスと36mM MES溶液を混合した溶液100ulに、酵素液10ulを添加してから32℃で5分間プレインキュベートした。そして基質溶液を400ul添加して、2分間反応させた後、分光光度計(島津製作所)を用いて405nmの吸光度を測定した。また、対照として、酵素処理エキスの代わりに、同濃度の未処理エキスを用いて、同様の実験を行った。
【0046】
α-アミラーゼ阻害率計算には以下の式を用いた。「阻害率=(エキスなしのときの吸光度増加−エキス(未処理エキス、または酵素処理エキス)添加時の吸光度増加)/エキスなしのときの吸光度増加×100、吸光度増加=酵素ありのときの吸光度−酵素なしの吸光度」
【0047】
エキス濃度と阻害率の関係を表1および図1に示した。エキス濃度は、最終の測定サンプルに含まれるフェヌグリーク由来の黄褐色個体の重量で表記した。SPEZYME処理により、α-アミラーゼ阻害効果が高まった(各n=3)。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例2
分画β-グルコシダーゼを用いて作製したエキスのα-アミラーゼ阻害効果測定
5mMリン酸buffer(pH7.0)で平衡化したイオン交換樹脂DE52(OH-タイプ)を、10mm×200mmのカラムに、約16g充填した後、SPEZYME CP 1ml(タンパク量72mg相当)をカラムにアプライし、5mMリン酸buffer pH7.0で展開、1フラクション 0.5ml(2.5min)で110フラクション分画した。フラクション10〜40を集め、セルラーゼ活性を持たず、β-グルコシダーゼ活性を持つ画分を得た。実施例1と同じ0.25g/mlのエキス40ulに、分画して得たβ-グルコシダーゼ画分140ul、36mMのMES溶液を820ul混合し、実施例1と同様の操作で酵素処理を行った。α-アミラーゼ阻害効果測定についても、同様に行った。
【0050】
エキス濃度と阻害率の関係を表2および図2に示した。SPEZYME CPから分画したβ-グルコシダーゼ活性画分による処理により、SPEZYME CPで処理した場合と同程度に阻害効果が増強した。
【0051】
【表2】
【0052】
実施例3
β-グルコシダーゼ(アーモンド)を用いて作製したエキスのα-アミラーゼ阻害効果測定
実施例1と同じ0.25g/mlのエキス40ulに、アーモンド由来β-グルコシダーゼ(オリエンタル酵母)(37U/mg)を0.1mg、36mMのMES溶液を860ul混合し、混合物を37℃で4日間保持して酵素反応を進行させた。反応後、100℃で10分間加熱して、酵素を失活させた。以後、α-アミラーゼ阻害効果測定について実施例1と同様に行った。
【0053】
エキス濃度と阻害率の関係を表3および図3に示した。β-グルコシダーゼ活性画分による処理により、SPEZYME CPで処理した場合と同程度以上に阻害効果が増強した。
【0054】
【表3】
【0055】
実施例4
酵素処理粉末のα-アミラーゼ阻害効果測定
フェヌグリーク粉末の酵素処理は、以下の方法で行った。
【0056】
フェヌグリーク粉末20gに水115gを加えて混合し、ペースト状物を得た。当該ペースト状物のpHを塩酸で5.0に調節した。SPEZYME CP(ジェネンコア協和)1.9mlを添加して、55℃で6時間インキュベートして酵素反応させた。反応後100℃で10分間失活処理を行い、ペースト状物を冷却後、凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。こうしてSPEZYME CP処理済フェヌグリーク粉末を得た。
【0057】
粉末のα-アミラーゼ阻害効果測定については、試薬は実施例1と同じものを用いた。36mMのMES溶液を200ulと酵素液20ulを混合し、前記SPEZYME CP処理済フェヌグリーク粉末10mgを加えてよく混合した。37℃で5分間プレインキュベート後に、基質溶液を800ul添加して5分間反応させた。反応後に10分間煮沸して酵素反応を止めてから、13000rpmで10分間遠心分離をして上清を得た。上清は0.45umフィルターに通してから、HPLC(島津製作所製、カラム:PEGASIL ODS-2 4.6φ×250mm(センシュー科学)、移動相:メタノールと31.25mMリン酸バッファーpH6.79を2:8で混合した溶液、流速:0.5ml/min)にインジェクションして、405nmでの吸光度を測定した。保持時間が13.2分程度のピークが酵素反応による生成物であり、このピーク面積比から阻害率を計算した(表4)。阻害率=(粉末なしのときのピーク面積−粉末添加時のピーク面積)/粉末なしのときのピーク面積×100
代表的なチャートを図4、5に、処理法と阻害率の関係を図6に示した(各n=2)。
【0058】
【表4】
【0059】
実施例5
種子の苦味程度及び4-OHイソロイシン量測定
なべに130〜180gの水を量りこみ、沸騰させた後、フェヌグリーク種子(インド産)20gを加え沸騰水中で1〜5分加熱した後、総量135gになるように加水した。加水後1M HClを2ml添加し、Excel Auto Homogenizer(日本精機)で9,000rpm 1分間磨砕した。1分経過後、磨砕をとめ、SPEZYME CP(ジェネンコア協和)を1.9ml添加し再び9,000rpmで4分間磨砕した。磨砕して得られたペースト状物を50mlの遠沈管に移し、55℃の恒温水槽で3〜9時間インキュベートした。インキュベート後、沸騰水中で2分加熱し、SPEZYME CPを失活させた後、冷却し、pHを中性付近に合わせた。こうして得られたSPEZYME CP処理済ペースト状物を官能評価した(対照の苦味を10点、苦味がまったくしない場合を0点として点数付けをした。パネルは10人無作為に選んだ。官能評価時は、順序効果も考慮した)。対照には、SPEZYME CPを添加しない以外は同様の処理をして得られたペースト状物を用いた。官能検査の結果、10人中10人苦味が低減したと判断し、2点比較法で0.1%の危険率で有意差が認められた。結果を表5に示す。
【0060】
4-OHイソロイシンの測定は、上記処理後のペースト状物を凍結乾燥し、70%エタノールで抽出したものを検液とし、アミノ酸アナライザー(島津製作所)で分析した。対照には、フェヌグリーク種子を70%エタノール中で粉砕し抽出した検液を用いた。結果を表6に示す。各処理区の4-OHイソロイシン量を1元配置分散分析した結果、危険率5%で有意差が認められなかった。従って、処理物は風味的にも優れ、4-OHイソロイシンなどの他の成分変化を伴わないものであることがわかった。
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
実施例6
酵素製剤SPEZYME CPを用いたペーストのα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子20gを、沸騰水180gに添加し5分間加熱する。その後、冷却して全量を135gに水あわせし、1Mの塩酸を2.7ml添加した後にホモジナイザーで9000rpm、5分間処理してpH5.0のペーストを得た。
【0064】
次に当該ペースト30gを2つ用意し、一方に酵素SPEZYME CP 422μlを添加混合する。もう一方には、無添サンプルとして、前記ペースト物30gに水422μlを添加混合する。よって得られた上記2サンプンを55℃で6時間インキュベートした後、90℃、15分間の条件で加熱して、酵素処理サンプル中の酵素を失活させた。その後、水で室温に戻してpH7.0に調製し、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。
【0065】
よって得られた2つの粉末のα−アミラーゼの阻害活性を測定した。測定方法は以下の方法で行った。
【0066】
基質溶液は、酢酸カルシウムの濃度を4.5mMとすること以外は実施例1と同じものを用いた。36mMのMES溶液200μlと前記SPEZYME CP処理済みのフェヌグリーク粉末10mgを加えて軽く混合した。これに実施例1と同様の酵素液を20μlを軽く混合して37℃で5分間インキュベートし、αアミラーゼの反応時間を37℃10分にする以外は実施例4と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。その結果を表7に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素SPEZYME CPで処理した場合の方が、酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より2倍強増強した。
【0067】
【表7】
【0068】
実施例7
アーモンド由来のβ−グルコシダーゼを使用したα−アミラーゼの阻害効果
フェヌグリーク種子20gを、沸騰水180gに添加し5分間加熱する。その後、冷却して全量を135gに水あわせし、1Mの塩酸を2.6ml添加した後にホモジナイザーで9000rpm、5分間処理してpH5.3のペーストを得た。
【0069】
次に当該ペースト10gを用意し、アーモンド由来のβ−グルコシダーゼ30mgを蒸留水500μlと混合したものを加えた後、37℃で48時間反応させる。その後、90℃、15分間の条件で加熱して、酵素処理サンプル中の酵素を失活させた。その後、水で室温に戻してpH7.0に調製し、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。
【0070】
よって得られた2つの粉末のα−アミラーゼの阻害活性を測定した。測定方法は、実施例6と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。その結果を表8に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素アーモンド由来のβ−グルコシダーゼで処理した場合の方が、酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より2倍強増強した。
【0071】
【表8】
【0072】
実施例8
酵素製剤SPEZYME CPを用いたペーストのα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子をロールミルで粉砕し、60メッシュパス前後の粉末を得た。得られた60メッシュパス前後のフェヌグリーク粉末10gに水57.5gを添加混合してペースト物を得た。次に、前記ペースト物25gを2つ用意し、一方に酵素SPEZYME CP826μlを添加混合する。もう一方には、無添サンプルとして、前記ペースト物25gに蒸留水826μlを添加混合する。
【0073】
よって得られた上記2サンプンを55℃で24時間インキュベートした後、90℃、15分間の条件で加熱して、酵素処理サンプル中の酵素を失活させた。その後、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。よって得られた2つの粉末のα−アミラーゼの阻害活性を測定した。測定方法は、実施例6と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。その結果を表9に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素SPEZYME CPで処理した場合の方が、酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より増強した。
【0074】
【表9】
【0075】
実施例9
酵素製剤SPEZYME CPを用いたペーストのα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子をロールミルで粉砕して得た60メッシュパス前後のフェヌグリーク粉末20gを、沸騰水180gに添加し5分間加熱した後、合計135gになるように水あわせする。その後に、得られたペースト25gを2つ用意し、一方に酵素SPEZYME CP 826μlを添加混合する。もう一方には、無添サンプルとして、前記ペースト物25gに水826μlを添加混合する。
【0076】
よって得られた上記2サンプンを55℃で24時間インキュベートした後、90℃、15分間の条件で加熱して、酵素処理サンプル中の酵素を失活させた。その後、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。よって得られた2つの粉末のα−アミラーゼの阻害活性を測定した。測定方法は、実施例6と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。その結果を表10に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素SPEZYME CPで処理した場合の方が、酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より増強した。
【0077】
【表10】
【0078】
実施例10
酵素濃度の添加量とα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子20gを、沸騰水180gに添加し5分間加熱する。その後、冷却して全量を135gに水あわせし、1Mの塩酸を2.6ml添加した後にホモジナイザーで9000rpm、5分間処理してpH4.8のペーストを得た。この処理を2回行い、得られたペーストを40gずつに分け、酵素SPEZYME CPの濃度がフェヌグリーク種子20gに対し1μl、10μl、100μl、20mlの4通りのサンプルを用意した。すなわち、酵素SPEZYME CPの濃度が1μlの場合は、ペースト40gに酵素SPEZYME CPの100倍希釈液を22μl加える。酵素SPEZYME CPの濃度が10μlの場合は、ペースト40gに酵素SPEZYME CPの100倍希釈液を222μl加える。酵素SPEZYME CPの濃度が100μlの場合は、ペースト40gに酵素SPEZYME CPの10倍希釈液を222μl加える。酵素SPEZYME CPの濃度が20mlの場合は、ペースト40gに酵素SPEZYME CP液を4.4ml加える。
【0079】
よって得られた上記4サンプンを55℃で10日間インキュベートした後、90℃、15分間の条件で加熱して、酵素処理サンプル中の酵素を失活させた。その後、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。よって得られた2つの粉末のα−アミラーゼの阻害活性を測定した。測定方法は、実施例6と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。その結果を表11に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素処理の方が酵素未処理もα−アミラーゼの阻害活性が優れていた。また、酵素SPEZYME CPの濃度が1μlと少ない程、優れていた。
【0080】
【表11】
【0081】
実施例11
ペースト時の加水量1倍の場合のα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子をロールミルで粉砕して得た60メッシュパス前後のフェヌグリーク粉末25gに水25g添加し撹拌混合して得たペーストから20gずつを取り、一方に酵素SPEZYME CP 2.85mlを添加混合する。もう一方には水2.85mlを添加混合する。その後、55℃で24時間インキュベートした後、90℃、15分間加熱して酵素を失活させ、その後、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。これにより、加水量1倍での酵素処理品を得た。
【0082】
よって得られた2つの粉末のα−アミラーゼの阻害活性を測定した。測定方法は、実施例6と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。その結果を表12に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素SPEZYME CPで処理した場合の方が、酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より増強した。
【0083】
【表12】
【0084】
実施例12
ペースト時の加水量20倍の場合のα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子をロールミルで粉砕して得た60メッシュパス前後のフェヌグリーク粉末10gに水200g添加し撹拌混合して得たペーストから100gずつを取り、一方に酵素SPEZYME CP 2.26mlを添加混合する。もう一方には水2.26mlを添加混合すること以外は、実施例11と同様の方法、条件で行った。その結果を表13に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素SPEZYME CPで処理した場合の方が、酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より増強した。
【0085】
【表13】
【0086】
実施例13
沸騰時の加水量9倍と3倍の場合のα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子20gを沸騰水180g中で5分間煮た後、冷却して合計135gになるように水あわせする。それに1Mの塩酸2.6mlを添加し、ホモジナイザーで9000rpm、5分間の条件で粉砕してpH4.9のペースト状物を得る。その後、ペースト30gずつを採り、一方に酵素SPEZYME CP 422μlを添加混合し、もう一方に蒸留水 422μlを添加混合した。酵素添加区を処理区、蒸留水添加区を見処理区とした。その後、55℃で22.5時間インキュベートした後、90℃、15分間加熱して酵素を失活させ、その後、水で室温に戻してpH7.0に調製し、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。
【0087】
よって得られた2つの粉末のα−アミラーゼ阻害活性を測定した。測定方法は、実施例6と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。
【0088】
また、フェヌグリーク種子20gを沸騰水60g中で5分間煮た後、冷却して合計80gになるように水あわせすること、粉砕してpH5.0のペースト状物を得ること、ペースト30gに酵素SPEZYME CP 712.5μlを添加混合すること以外は、沸騰時の加水量9倍の場合と同様の方法、条件で行った。その結果を表14に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、加水量9倍での酵素SPEZYME CPの方が3倍での酵素SPEZYME CPよりも優れていたが、双方ともに酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より増強した。
【0089】
【表14】
【0090】
実施例14
フェヌグリーク種子の磨砕時に酵素SPEZYME CPを添加した場合のα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子1kgを沸騰水5.75kg中で5分間煮た後、冷却して合計6.75kgになるように水あわせする。それに酵素SPEZYME CP 95gを添加し、よく撹拌した後に20分間浸漬しておく。その後マスコロイダー(増幸産業株式会社)でクリアランス300μmの条件で粉砕し、12Mの塩酸でpH5.0に調整したペースト状物を得る。その後、得られたペーストを、斜軸釜に移し55℃で8時間インキュベートした後、90℃、15分間加熱して酵素を失活させ、その後、水で室温に戻してpH7.0に調製し、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。一方、酵素酵素未処理品として、フェヌグリーク種子をロールミルで粉砕し、60メッシュパス前後の粉末を得た。
【0091】
よって得られた2つの粉末のα−アミラーゼ阻害活性を測定した。測定方法は、実施例6と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。その結果を表15に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素SPEZYME CPで処理した場合の方が、酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より増強した。
【0092】
【表15】
【0093】
実施例15
熱水抽出エキスのα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子から95℃15分の条件で熱水抽出したエキス25gを2つ用意し、一方に酵素SPEZYME CP 275μlを添加混合する。もう一方には蒸留水275μlを添加混合する。その後、55℃で24時間インキュベートした後、90℃、15分間加熱して酵素を失活させた。よって得られた2つの熱水抽出エキスのα−アミラーゼの阻害活性を測定した。測定方法は、以下のとおりである。
【0094】
基質溶液は実施例6と同じものを用いた。熱水抽出エキス200mgと前記酵素SPEZYME CP処理済みフェヌグリーク粉末10mgとを軽く混合した。その後、実施例1と同様の酵素液20ulを添加して軽く撹拌し、37℃で5分間プレインキュベートし、以降は実施例6と同様の方法によってα−アミラーゼの阻害活性を測定した。
【0095】
その結果を表16に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素SPEZYME CPで処理した場合の方が、酵素SPEZYME CPで処理しない場合の方より増強した。
【0096】
【表16】
【0097】
実施例16
ナリンギナーゼを使用した場合のα-アミラーゼ阻害効果
脱脂粉末50gを30%メタノール500mlで2時間抽出し、得られたメタノール画分を濃縮して、黄褐色固体7.0gを得た。以降、この固体を36mMの4-モルホリノエタンスルホン酸(以下MES)水溶液に溶解した液体をエキスとした。濃度は、単位量のエキスに含まれる黄褐色固体重量で表記した。濃度0.25g/mlのエキス200ulにナリンギナーゼ(田辺製薬)100mg/mlを1.8ml、36mMのMESを3ml混合し、混合物を70℃で12時間保持して酵素反応を進行させた。反応後、100℃で10分間加熱して、酵素を失活させた。この失活後に得られた酵素反応物を、酵素処理エキス(この時点で0.01g/mlである)とした。一方、対照として用いるために、濃度0.25g/mlのエキスをMESで希釈して0.01g/mlのものを調製し、未処理エキスとした。
【0098】
エキスのα‐アミラーゼ阻害効果測定方法は、実施例1と同様の方法で行った。その結果を表17に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素ナリンギナーゼで処理した場合の方が、酵素ナリンギナーゼで処理しない場合の方より増強した。
【0099】
【表17】
【0100】
実施例17
発芽フェヌグリークのα-アミラーゼ阻害効果
フェヌグリーク種子20gに水53.1g添加し、酵素SPEZYME CPを1.9ml添加し、恒温槽で25℃温度下で48時間静置し、その後、恒温槽から取り出して発芽した種子のみを取り出し、水20mlを添加し、更に残存した浸漬液を、残存した浸漬液量(ml)×サンプリングした発芽種子(g)/種子全量(g) だけ加える。その後に、ホモジナイザー(日本精機)で9000rpm、5分間粉砕処理を施し、その後に酵素失活のために100℃で10分間加熱した。その後、-80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。一方、酵素未処理品として、フェヌグリーク種子をロールミルで粉砕し、60メッシュパス前後の粉末を得た。
【0101】
よって得られた粉末のα−アミラーゼの阻害活性を測定した。測定方法は、実施例6と同様の方法で行った。その結果を表18に示した。α−アミラーゼの阻害活性の効果は、酵素SPEZYME CPで処理した発芽フェヌグリーク粉末でも増強した。
【0102】
【表18】
【0103】
実施例18
酵素製剤SPEZYME CPを用いたエキスのα-アミラーゼ阻害効果測定方法
エキスの作製法、及びエキスの酵素処理は、以下の方法で行った。
【0104】
フェヌグリーク種子(インド産)をロールミルで粉砕し、60メッシュパス前後の粉末400gをソックスレー抽出器を使用して、ジエチルエーテル1500mlにて85℃3時間脱脂処理後に粉末を風乾した。
【0105】
脱脂粉末50gを30%メタノール500mlで2時間抽出し、得られたメタノール画分を濃縮して、黄褐色固体7.0gを得た。以降、この固体を36mMの4-モルホリノエタンスルホン酸(以下MES)水溶液に溶解した液体をエキスとした。濃度は、単位量のエキスに含まれる黄褐色固体重量で表記した。濃度0.25g/mlのエキス200ulにSPEZYME CP(ジェネンコア協和)を35ul、36mMのMESを4765ul混合し、混合物を55℃で2時間保持して酵素反応を進行させた。反応後、100℃で10分間加熱して、酵素を失活させた。この失活後に得られた酵素反応物を、酵素処理エキス(この時点で0.01g/mlである)とした。一方、対照として用いるために、濃度0.25g/mlのエキスをMESで希釈して0.01g/mlのものを調製し、未処理エキスとした。
【0106】
エキスのα-アミラーゼ阻害効果測定方法は、以下の方法で行った。
45mMの4-モルホリノエタンスルホン酸、45 mMの塩化ナトリウム、312.5 mMのチオシアン酸カリウム、1.5 mMの酢酸カルシウム、0.2 mMの2-クロロ-4-ニトロフェニルマルトトリオシド(オリエンタル酵母)の組成からなる基質溶液を用意した。また、ブタ膵臓α-アミラーゼ(シグマ)(23U/mg)を36mMのMES溶液で、0.25mg/mlの濃度に溶解した酵素液を調製した。吸光度測定時でのエキス濃度が0.5mg/ml、1.0mg/ml、1.5mg/mlになるように酵素処理エキスと36mM MES溶液を混合した溶液100ulに、酵素液10ulを添加してから37℃で5分間プレインキュベートした。そして基質溶液を400ul添加して、32℃で2分間反応させた後、分光光度計(島津製作所)を用いて405nmの吸光度を測定した。また、対照として、酵素処理エキスの代わりに、同濃度の未処理エキスを用いて、同様の実験を行った。
【0107】
α-アミラーゼ阻害率計算には以下の式を用いた。「阻害率=(エキスなしのときの吸光度増加−エキス(未処理エキス、または酵素処理エキス)添加時の吸光度増加)/エキスなしのときの吸光度増加×100、吸光度増加=酵素ありのときの吸光度−酵素なしの吸光度」
【0108】
エキス濃度と阻害率の関係を表19および図7に示した。エキス濃度は、最終の測定サンプルに含まれるフェヌグリーク由来の黄褐色個体の重量で表記した。SPEZYME処理により、
α-アミラーゼ阻害効果が高まった(各n=3)。
【0109】
【表19】
【0110】
実施例19
分画β-グルコシダーゼを用いて作製したエキスのα-アミラーゼ阻害効果測定
5mMリン酸buffer(pH7.0)で平衡化したイオン交換樹脂DE52(OH-タイプ)を、10mm×200mm
のカラムに、約16g充填した後、SPEZYME CP 1ml(タンパク量72mg相当)をカラムにアプライし、5mMリン酸buffer pH7.0で展開、1フラクション 0.5ml(2.5min)で110フラクション分画した。フラクション10〜40を集め、セルラーゼ活性を持たず、β-グルコシダーゼ活性を持つ画分を得た。実施例18と同じ0.25g/mlのエキス40ulに、分画して得たβ-グルコシダーゼ画分140ul、36mMのMES溶液を820ul混合し、実施例18と同様の操作で酵素処理を行った。エキスのα-アミラーゼ阻害効果測定方法は、以下の方法で行った。
【0111】
45mMの4-モルホリノエタンスルホン酸、45 mMの塩化ナトリウム、312.5 mMのチオシアン酸カリウム、4.5 mMの酢酸カルシウム、2 mMの2-クロロ-4-ニトロフェニルマルトトリオシド(オリエンタル酵母)の組成からなる基質溶液を用意した。また、ブタ膵臓α-アミラーゼ(シグマ)(23U/mg)を36mMのMES溶液で、0.25mg/mlの濃度に溶解した酵素液を調製した。吸光度測定時でのエキス濃度が0.5mg/ml、1.0mg/ml、1.5mg/mlになるように酵素処理エキスと36mM MES溶液を混合した溶液100ulに、酵素液10ulを添加してから37℃で5分間プレインキュベートした。そして基質溶液を400ul添加して、37℃で5分間反応させた後、分光光度計(島津製作所)を用いて405nmの吸光度を測定した。また、対照として、酵素処理エキスの代わりに、同濃度の未処理エキスを用いて、同様の実験を行った。
【0112】
エキス濃度と阻害率の関係を表20および図8に示した。SPEZYME CPから分画したβ-グルコシダーゼ活性画分による処理により、SPEZYME CPで処理した場合と同程度に阻害効果が増強した。
【0113】
【表20】
【0114】
実施例20
β-グルコシダーゼ(アーモンド)を用いたエキスのα-アミラーゼ阻害効果測定
実施例18と同じ0.25g/mlのエキス40ulに、アーモンド由来β-グルコシダーゼ(オリエンタル酵母)(37U/mg)を0.1mg、36mMのMES溶液を860ul混合し、混合物を37℃で4日間保持して酵素反応を進行させた。反応後、100℃で10分間加熱して、酵素を失活させた。以後、α-アミラーゼ阻害効果測定について実施例18と同様に行った。
【0115】
エキス濃度と阻害率の関係を表21および図9に示した。β-グルコシダーゼ活性画分による処理により、SPEZYME CPで処理した場合と同程度以上に阻害効果が増強した。
【0116】
【表21】
【0117】
実施例21
酵素処理粉末のα-アミラーゼ阻害効果測定
フェヌグリーク粉末の酵素処理は、以下の方法で行った。
【0118】
フェヌグリーク粉末20gに水115gを加えて混合し、ペースト状物を得た。当該ペースト状物のpHを塩酸で5.0に調節した。SPEZYME CP(ジェネンコア協和)1.9mlを添加して、55℃で6時間インキュベートして酵素反応させた。反応後100℃で10分間失活処理を行い、ペースト状物を冷却後、−80℃で凍結した後真空度9Paの雰囲気下で64時間乾燥という条件で凍結乾燥を行った後に粉砕し粉末状にした。こうしてSPEZYME CP処理済フェヌグリーク粉末を得た。
【0119】
粉末のα-アミラーゼ阻害効果測定については、基質溶液は酢酸カルシウムの濃度を4.5mMとすること、2-クロロ-4-ニトロフェニルマルトトリオシドの濃度を2mMにすること以外は実施例18と同じものを用いた。36mMのMES溶液を200ulと酵素液20ulを混合し、前記SPEZYME CP処理済フェヌグリーク粉末10mgを加えて軽く撹拌混合した。37℃で5分間プレインキュベート後に、基質溶液を800ul添加し軽く撹拌混合して5分間反応させた。反応後に10分間煮沸して酵素反応を止めてから、13000rpmで10分間遠心分離をして上清を得た。上清は0.45umフィルターに通してから、HPLC(島津製作所製、カラム:PEGASIL ODS-2 4.6φ×250mm(センシュー科学)、移動相:メタノールと31.25mMリン酸バッファーpH6.79を2:8で混合した溶液、流速:1.0ml/min)にインジェクションして、405nmでの吸光度を測定した。保持時間が13.2分程度のピークが酵素反応による生成物であり、このピーク面積比から阻害率を計算した(表22)。阻害率=(粉末なしのときのピーク面積−粉末添加時のピーク面積)/粉末なしのときのピーク面積×100
代表的なチャートを図10、11に、処理法と阻害率の関係を図12に示した(各n=2)。
【0120】
【表22】
【0121】
参考例
実施例1〜21において使用したフェヌグリーク種子及びフェヌグリーク種子粉末の水分含量はいずれも10%であった。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1は、SPEZYME CPにより処理したフェヌグリーク種子抽出エキスの濃度とα-アミラーゼ活性阻害率の関係を示す図である。
【図2】図2は、SPEZYME CPから分画されたβ-グルコシダーゼにより処理したフェヌグリーク種子抽出エキスの濃度とα-アミラーゼ活性阻害率の関係を示す図である。
【図3】図3は、アーモンド由来β-グルコシダーゼにより処理したフェヌグリーク種子抽出エキスの濃度とα-アミラーゼ活性阻害率の関係を示す図である。
【図4】図4は、実施例4におけるHPLCの代表的なチャートを示す。
【図5】図5は、実施例4におけるHPLCの代表的なチャートを示す。
【図6】図6は、フェヌグリーク種子粉末におけるSPEZYME CPによる処理の有無とα-アミラーゼ活性阻害率の関係を示す図である。
【図7】図7は、SPEZYME CPにより処理したフェヌグリーク種子抽出エキスの濃度とα-アミラーゼ活性阻害率の関係を示す図である。
【図8】図8は、SPEZYME CPから分画されたβ-グルコシダーゼにより処理したフェヌグリーク種子抽出エキスの濃度とα-アミラーゼ活性阻害率の関係を示す図である。
【図9】図9は、アーモンド由来β-グルコシダーゼにより処理したフェヌグリーク種子抽出エキスの濃度とα-アミラーゼ活性阻害率の関係を示す図である。
【図10】図10は、実施例21におけるHPLCの代表的なチャートを示す。
【図11】図11は、実施例21におけるHPLCの代表的なチャートを示す。
【図12】図12は、フェヌグリーク種子粉末におけるSPEZYME CPによる処理の有無とα-アミラーゼ活性阻害率の関係を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェヌグリーク種子またはそれに由来する材料にβ-グルコシダーゼを作用させて得られるフェヌグリーク種子加工物。
【請求項2】
前記β-グルコシダーゼが微生物由来のものであることを特徴とする請求項1記載のフェヌグリーク種子加工物。
【請求項3】
前記β-グルコシダーゼとして、β-グルコシダーゼを含む酵素製剤が使用されることを特徴とする請求項1または2記載のフェヌグリーク種子加工物。
【請求項4】
前記酵素製剤が、多糖類分解酵素を含有するものであることを特徴とする請求項3記載のフェヌグリーク種子加工物。
【請求項5】
前記フェヌグリーク種子に由来する材料が、フェヌグリーク種子の粉末、フェヌグリーク種子から調製されるペースト状物、およびフェヌグリーク種子の抽出エキスからなる群から選択される少なくとも一種を含むものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のフェヌグリーク種子加工物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載のフェヌグリーク種子加工物を有効成分として含有するα−アミラーゼ阻害用医薬組成物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項記載のフェヌグリーク種子加工物を含有する食品組成物。
【請求項8】
フェヌグリーク種子の粉末に水を加えて混合しペースト化するか、あるいはフェヌグリーク種子またはその蒸煮物を水と共に磨砕してペースト化するペースト化工程と、
ペースト化工程により得られたペースト状物、あるいはペースト化工程に用いられる原料にβ-グルコシダーゼを添加混合する酵素添加工程と、
ペースト化工程および酵素添加工程を経て得られた混合物中にて酵素反応を進行させる酵素反応工程と、
を含むことを特徴とするフェヌグリーク種子加工物の製造方法。
【請求項9】
乾燥工程を更に含むことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
フェヌグリーク種子の粉末にβ-グルコシダーゼを添加混合した水を加えて混合しペースト化するか、あるいはフェヌグリーク種子またはその蒸煮物をβ-グルコシダーゼを添加混合した水と共に磨砕してペースト化するペースト化工程と、
ペースト化工程を経て得られた混合物中にて酵素反応を進行させる酵素反応工程と、
を含むことを特徴とするフェヌグリーク種子加工物の製造方法。
【請求項11】
乾燥工程を更に含むことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
フェヌグリーク種子またはその粉末から溶媒を使用して抽出を行い抽出エキスを得る抽出工程と、
当該抽出エキスにβ-グルコシダーゼを添加混合する酵素添加工程と、
酵素添加工程で得られた混合物中にて酵素反応を進行させる酵素反応工程と、
を含むことを特徴とするフェヌグリーク種子加工物の製造方法。
【請求項13】
乾燥工程を更に含むことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれか1項記載のフェヌグリーク種子加工物を有効成分として含有するα−アミラーゼ阻害剤。
【請求項1】
フェヌグリーク種子またはそれに由来する材料にβ-グルコシダーゼを作用させて得られるフェヌグリーク種子加工物。
【請求項2】
前記β-グルコシダーゼが微生物由来のものであることを特徴とする請求項1記載のフェヌグリーク種子加工物。
【請求項3】
前記β-グルコシダーゼとして、β-グルコシダーゼを含む酵素製剤が使用されることを特徴とする請求項1または2記載のフェヌグリーク種子加工物。
【請求項4】
前記酵素製剤が、多糖類分解酵素を含有するものであることを特徴とする請求項3記載のフェヌグリーク種子加工物。
【請求項5】
前記フェヌグリーク種子に由来する材料が、フェヌグリーク種子の粉末、フェヌグリーク種子から調製されるペースト状物、およびフェヌグリーク種子の抽出エキスからなる群から選択される少なくとも一種を含むものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のフェヌグリーク種子加工物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載のフェヌグリーク種子加工物を有効成分として含有するα−アミラーゼ阻害用医薬組成物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項記載のフェヌグリーク種子加工物を含有する食品組成物。
【請求項8】
フェヌグリーク種子の粉末に水を加えて混合しペースト化するか、あるいはフェヌグリーク種子またはその蒸煮物を水と共に磨砕してペースト化するペースト化工程と、
ペースト化工程により得られたペースト状物、あるいはペースト化工程に用いられる原料にβ-グルコシダーゼを添加混合する酵素添加工程と、
ペースト化工程および酵素添加工程を経て得られた混合物中にて酵素反応を進行させる酵素反応工程と、
を含むことを特徴とするフェヌグリーク種子加工物の製造方法。
【請求項9】
乾燥工程を更に含むことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
フェヌグリーク種子の粉末にβ-グルコシダーゼを添加混合した水を加えて混合しペースト化するか、あるいはフェヌグリーク種子またはその蒸煮物をβ-グルコシダーゼを添加混合した水と共に磨砕してペースト化するペースト化工程と、
ペースト化工程を経て得られた混合物中にて酵素反応を進行させる酵素反応工程と、
を含むことを特徴とするフェヌグリーク種子加工物の製造方法。
【請求項11】
乾燥工程を更に含むことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
フェヌグリーク種子またはその粉末から溶媒を使用して抽出を行い抽出エキスを得る抽出工程と、
当該抽出エキスにβ-グルコシダーゼを添加混合する酵素添加工程と、
酵素添加工程で得られた混合物中にて酵素反応を進行させる酵素反応工程と、
を含むことを特徴とするフェヌグリーク種子加工物の製造方法。
【請求項13】
乾燥工程を更に含むことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれか1項記載のフェヌグリーク種子加工物を有効成分として含有するα−アミラーゼ阻害剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−285465(P2008−285465A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274006(P2007−274006)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 1.電気通信回線でのプログラム発表 学会名:第61回 日本栄養・食糧学会大会 講演番号:3K−1p 電気通信回線掲載日:2007年4月13日 掲載アドレス:http://www.eishoku2007.org/ 2.第61回日本栄養・食糧学会大会にて発表 刊行物名:第61回日本栄養・食糧学会大会 講演要旨集 主催者名:社団法人日本栄養・食糧学会 開催日 平成19年5月17日〜20日 講演番号:3K−1p 刊行物発行日:平成19年4月20日 3.第22回日本香辛料研究会にて発表 刊行物名:第22回日本香辛料研究会 講演要旨集 主催者名:日本香辛料研究会 開催日:平成19年9月21日、22日 講演番号:10 刊行物発行日:平成19年9月 4.電気通信回線(出願人自社ホームページ内)でのニュース発表 電気通信回線掲載日:2007年5月17日 掲載アドレス:http://housefoods.jp/company/news/news1536.html
【出願人】(000111487)ハウス食品株式会社 (262)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 1.電気通信回線でのプログラム発表 学会名:第61回 日本栄養・食糧学会大会 講演番号:3K−1p 電気通信回線掲載日:2007年4月13日 掲載アドレス:http://www.eishoku2007.org/ 2.第61回日本栄養・食糧学会大会にて発表 刊行物名:第61回日本栄養・食糧学会大会 講演要旨集 主催者名:社団法人日本栄養・食糧学会 開催日 平成19年5月17日〜20日 講演番号:3K−1p 刊行物発行日:平成19年4月20日 3.第22回日本香辛料研究会にて発表 刊行物名:第22回日本香辛料研究会 講演要旨集 主催者名:日本香辛料研究会 開催日:平成19年9月21日、22日 講演番号:10 刊行物発行日:平成19年9月 4.電気通信回線(出願人自社ホームページ内)でのニュース発表 電気通信回線掲載日:2007年5月17日 掲載アドレス:http://housefoods.jp/company/news/news1536.html
【出願人】(000111487)ハウス食品株式会社 (262)
【Fターム(参考)】
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