説明

フェノキシ酢酸エステル誘導体の製造方法

【課題】医薬等の製造において重要な合成中間体となり得る、フェノキシ酢酸エステル誘導体類の製造法及びその合成中間体をみいだすこと。
【解決手段】下記式


で表される一般式化合物(II)[R1はC1-3アルキル基、R2は水素原子、C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、フッ素原子]に、溶媒中、臭化水素酸及び亜硝酸ナトリウムを加えて撹拌した後、アクリル酸エステル(i)[R3はC1-20アルキル基又は置換されていてもよいC5-6シクロアルキル基]と、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジノ-1-オキシル、4-メトキシフェノール及び臭化銅の存在下反応させることを特徴とする、一般式化合物(I)[R1、R2及びR3は前述したものと同義]の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬等の製造において、重要な合成中間体となり得る、フェノキシ酢酸エステル誘導体類の製造法及びその合成中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
4-(2-ブロモ-2-ブトキシカルボニルエチル-1-イル)フェノキシ酢酸エステル誘導体については、医薬等の中間体としての利用とその製法が開示されているが(例えば、特許文献1参照)、その製法は煩雑であり、収率も充分なものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願平8-137930(対応する米国特許5,886,014号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者等は、4-(2-ブロモ-2-ブトキシカルボニルエチル-1-イル)フェノキシ酢酸エステル誘導体の効率的な製造法について種々考察した結果、その効率的な製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
本発明は、
(1)下記一般式(II)
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、R1はC1-3アルキル基を示し、R2は水素原子、C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基若しくはフッ素原子を示す]で表される化合物を、溶媒中、臭化水素酸及び亜硝酸ナトリウムを加えて撹拌した後、下記一般式(i)

【0009】
[式中、R3はC1-20アルキル基又はC5-6シクロアルキル基(該シクロアルキル基は、C1-6アルキル基に1-3個置換されていてもよい)を示す] で表されるアクリル酸エステルと、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジノ-1-オキシル、4-メトキシフェノール及び臭化銅の存在下反応させることを特徴とする、下記一般式(I)
【0010】
【化2】

【0011】
[式中、R 1、R2及びR3は前述したものと同意義を示す] で表される化合物の製造方法、
(2)アクリル酸エステルが、アクリル酸ブチルである上記(1)に記載の製造方法、
(3)R1がメチル基であり、R2が水素原子である上記(1)又は(2)に記載の製造方法、
(4)臭化銅が臭化銅(II)である上記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の製造方法、
(5)溶媒がアセトン又はアセトンを含む混合溶媒である上記(1)乃至(4)のいずれか一つに記載の製造方法である。
【0012】
本発明において、「C1-C3アルキル基」とは、炭素原子を1個乃至3個有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル基を挙げることができる。R1及びR2においては、好適にはメチル又はエチル基であり、さらに好適にはメチル基である。
【0013】
本発明において、「C1-C20アルキル基」とは、炭素原子を1個乃至8個有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であり、例えば、上記「C1-C3アルキル基」で挙げた基、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、2-メチルブチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、イソヘキシル、4-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、1-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、1-プロピルブチル、4,4-ジメチルペンチル、オクチル、1-メチルヘプチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、1-プロピルペンチル、2-エチルヘキシル、5,5-ジメチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコサニル基を挙げることができる。R3においては、好適にはメチル、エチル、n-ブチル基であり、更に好適にはn-ブチル基である。
【0014】
本発明において、「C5-6シクロアルキル基」とは、シクロペンチル又はシクロヘキシル基を挙げることができる。R3においては、好適には、シクロヘキシル基である。
【0015】
本発明において、「C1-3アルコキシ基」とは、前記「C1-3アルキル基」が酸素原子に結合した基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシのような炭素数1乃至3個の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基を挙げることができる。R2においては、好適にはメトキシ基である。
【0016】
本発明において、「アクリル酸エステル」とは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸テトラデシル、アクリル酸シクロヘキシルを挙げることができ、好適にはアクリル酸n-ブチルである。
【0017】
R1は、好適には、メチル基である。
R2は、好適には、水素原子である。
R3は、好適には、n-ブチル基である。
【0018】
本発明のフェノキシ酢酸エステル誘導体を製造する方法及び製造方法について、以下に詳細に説明する。
【0019】
出発物質である化合物(II)は、以下の方法又は公知の方法に準じて製造することができる。
【0020】
【化3】

【0021】
上記式中及び以下の記載において、R 1、R2及びR3は前述したものと同意義を示す。
【0022】
以下に化合物(I)を製造する方法について詳しく説明する。
(第1工程)
本工程は、4-ニトロフェノキシ酢酸エステル誘導体化合物(III)を製造する工程であり、4-ニトロフェノール誘導体化合物(IV)に不活性溶媒中、塩基存在下、ハロゲン化酢酸エステルを反応させることにより達成される。
【0023】
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するもので
あれば特に限定はないが、好適には、アセトニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル類、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドのようなアミド類が挙げられる。
【0024】
塩基としては、通常の反応において塩基として使用されるものであれば、特に限定は
ないが、好適には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムのようなアルカリ金属炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウムのようなアルカリ金属炭酸水素塩類が挙げられる。
【0025】
ハロゲン化酢酸エステルとしては、クロロ酢酸メチル、ブロモ酢酸メチル等が挙げられる。好適には、クロロ酢酸メチルである。
【0026】
本工程で用いる塩基の量は、用いられる化合物(IV)に対して1当量以上であれば特に限定はないが、好適には1から2当量、さらに好適には1から1.2当量である。
【0027】
本工程の反応温度は特に限定はないが、通常0℃から還流温度、好適には室温から90℃である。
【0028】
本工程の反応時間には特に限定はないが、通常1時間から24時間、好適には3時間から7時間である。
【0029】
(第2工程)
本工程は、4-アミノフェノキシ酢酸エステル誘導体化合物(II)を製造する工程であり、4-ニトロフェノキシ酢酸エステル誘導体化合物(III)のニトロ基を還元することにより達成される。
【0030】
本工程は通常溶媒中で行われる。接触還元において使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質を溶解するものであれば特に限定はないが、好適にはメタノール、エタノールのようなアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、酢酸のような脂肪酸、酢酸エチルのようなエステル類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、アセトニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル類を挙げることができる。更に好適には、アセトニトリル、メタノール、酢酸エチル又はアセトンである。
【0031】
使用される触媒としては、通常、接触還元反応に使用されるものであれば、特に限定はないが、好適には、パラジウム炭素、パラジウム黒、ラネーニッケル、酸化白金、白金黒、ロジウム−酸化アルミニウム、トリフェニルホスフィン−塩化ロジウム、パラジウム−硫酸バリウムが用いられる。
【0032】
圧力は、特に限定はないが、通常0.1乃至1.0MPaの水素加圧下で行なわれる。
【0033】
反応温度及び反応時間は、出発物質、溶媒及び触媒の種類等により異なるが、通常、0℃乃至100℃(好適には、20℃乃至70℃)、5分乃至48時間(好適には、1時間乃至24時間)である。
【0034】
(第3工程)
本工程は、4-(2-ブロモ-2-ブトキシカルボニルエチル-1-イル)フェノキシ酢酸エステル誘導体化合物(I)を製造する工程であり4-アミノフェノキシ酢酸エステル誘導体化合物(II)をハロゲン化銅の存在下アクリル酸エステルと反応させることにより達成される。
【0035】
使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質を溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、アセトニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル類、メタノール、エタノールのようなアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類又はそれらの混合溶媒を挙げることができる。更に好適には、アセトン又はアセトンとアセトニトリルの混合溶媒である。
【0036】
アクリル酸エステルは、好適には、アクリル酸ブチルである。
【0037】
ハロゲン化銅は、好適には、臭化銅(I)又は臭化銅(II)であり、更に好適には、臭化銅(II)である。
【0038】
反応温度及び反応時間は、出発物質、溶媒及び触媒の種類等により異なるが、通常、-15℃乃至70℃、5分乃至48時間である。
【0039】
各工程の反応終了後は後処理することなく引き続く工程を実施してもよいし、必要であれば通常の後処理のあと生成物を単離してもよい。生成物を単離する場合は後処理のあと、抽出、濾別等の操作によって単離する。単離後、生成物はそのまま使用してもよいし、あるいは必要に応じ、蒸留、再結晶、昇華、分配、もしくはクロマトグラフィー等の通常の精製法で精製したのち使用してもよい。
【発明の効果】
【0040】
本発明は、公知の医薬等の製造中間体であるフェノキシ酢酸エステル誘導体(I)の製造方法を提供する。本発明の製造方法を用いることにより収率良く、安価な試薬を用いて簡便な操作で目的化合物を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に本発明の実施例等を示し、さらに詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。使用する原料は、公知の方法に従って製造することができる。
【実施例】
【0042】
(実施例1)4-(2-ブロモ-2-ブトキシカルボニルエチル-1-イル)フェノキシ酢酸メチルの製造1

【0043】
(実施例1−1)4-ニトロフェノキシ酢酸メチル
4-ニトロフェノール120g(0.8626モル)のアセトニトリル480mL溶液を、室温、窒素雰囲気下で炭酸カリウム131.15g(0.9489モル)、クロロ酢酸メチル112.35g(1.0351モル)を加え、内温80〜86℃で5時間撹拌した。室温まで冷却後、水960mL、80%酢酸適量を加え、pH6.0〜6.5とした。減圧下溶媒を留去し、内圧8.6kPa、内温40℃まで濃縮した。水534mLを加え、内温0〜5℃とし、0.5時間以上攪拌し、析出した結晶をろ過した。結晶を冷水600mL、冷メタノール240mLで順次洗浄し、減圧下乾燥し4-ニトロフェノキシ酢酸メチル172.9g(収率94.9%)を得た。
【0044】
(実施例1−2)4-アミノフェノキシ酢酸メチル
実施例1−1で得た4-ニトロフェノキシ酢酸メチル170gのメタノール850mL溶液に室温下5%パラジウム−炭素50%湿品0.43gを加え、窒素雰囲気とした。水素雰囲気とし0.4MPaの水素加圧下、内温20〜42℃で2.5時間撹拌した。窒素置換、室温まで冷却を行なった後パラジウム−炭素を濾去し、メタノール170mLで洗浄した。濾洗液を減圧下溶媒を留去し、内圧6kPa、内温40℃まで濃縮し、4-アミノフェノキシ酢酸メチルの濃縮液を得た。本溶液にアセトン190mLで希釈し、4-アミノフェノキシ酢酸メチルのアセトン溶液を得た。
【0045】
(実施例1−3)4-(2-ブロモ-2-ブトキシカルボニルエチル-1-イル)フェノキシ酢酸メチル
47%臭化水素酸415.74gのアセトン376mL溶液を0℃以下に冷却し、実施例1−2で得た4-アミノフェノキシ酢酸メチルのアセトン溶液を内温-10〜-5℃で滴下した。アセトン31mLで洗い込んだ後、亜硝酸ナトリウム61.10g水153mL溶液を-10〜-5℃で滴下した。同温で15分間攪拌した後、内温-5〜0℃を保ちながら40%炭酸カリウム水142gを加え、pH3.0〜4.0とした。本溶液に10%4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジノ-1-オキシルのアクリル酸ブチル溶液0.782mL、10%4-メトキシフェノールのアクリル酸ブチル溶液0.459mL、アクリル酸ブチル345mL、臭化銅(II)8.99gを順次加えた。内温25〜35℃とし、7時間攪拌した。10%4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジノ-1-オキシルのアクリル酸ブチル溶液1.564mL、10%4-メトキシフェノールのアクリル酸ブチル溶液0.782mL、キシレン1020mL、水714mLを順次加え、室温に冷却後、分液した。有機層に10%4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジノ-1-オキシルのアクリル酸ブチル溶液0.782mL、水362mL、20%食塩水318mLを加え、分液した。有機層に10%4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジノ-1-オキシルのアクリル酸ブチル溶液0.782mL、水362mL、20%食塩水318mLを加え、分液した。有機層に10%4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジノ-1-オキシルのアクリル酸ブチル溶液0.782mL、水362mL、20%食塩水318mLを加え、分液した。有機層をろ過後、キシレン50mLで洗い込み、得られたろ洗液に10%4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジノ-1-オキシルのアクリル酸ブチル溶液0.782mLを加え、減圧下溶媒を留去し、内圧3.3kPa、内温70℃まで濃縮した。メタノール544mLを加え、減圧下溶媒を留去し、内圧3.3kPa、内温70℃まで濃縮し、4-(2-ブロモ-2-ブトキシカルボニルエチル-1-イル)フェノキシ酢酸メチル濃縮液290.66g(収率96.7%)を油状物として得た。本品一部をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、少量のサンプルを得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ:0.85(3H,t,J=7.5Hz),1.25(2H,m),1.50(2H,m),3.12(1H,dd,J=7.5,14.1Hz),3.30(1H,dd,J=8.3,14.1Hz),3.69(3H,s),4.06(2H,m),4.71(1H,dd,J=7.5,8.3Hz),4.76(2H,s),6.85(2H,d,J=8.7Hz),7.19(2H,d,J=8.7Hz).
【0046】
(実施例2)4-(2-ブロモ-2-ブトキシカルボニルエチル-1-イル)フェノキシ酢酸メチルの製造2

【0047】
(実施例2−1)4-ニトロフェノキシ酢酸メチル
4-ニトロフェノール200.0g(1.438モル)のアセトニトリル800mL溶液に、室温、窒素雰囲気下で炭酸カリウム218.58g(1.582モル)、クロロ酢酸メチル171.64g(1.581モル)を加え、内温80〜86℃で4.5時間撹拌した。アセトニトリル400mLを加え、室温まで冷却し、水800mLを加え、攪拌し、固形分をほぼ溶解させた。分液後有機層にアセトニトリル100mLを加え、4-ニトロフェノキシ酢酸メチルのアセトニトリル溶液を得た。
【0048】
(実施例2−2)4-アミノフェノキシ酢酸メチル
実施例2−1で得た4-ニトロフェノキシ酢酸メチルのアセトニトリル溶液に室温下5%パラジウム−炭素50%湿品0.72g、アセトニトリル100mLを加え、窒素雰囲気とした。内温40℃に加温後、水素雰囲気とし、0.4MPaの水素加圧下、40〜50℃で3時間撹拌した。室温に冷却後パラジウム−炭素を濾去し、アセトニトリル288mLで洗浄し、濾洗液として4-アミノフェノキシ酢酸メチルのアセトニトリル溶液を得た。
【0049】
(実施例2−3)4-(2-ブロモ-2-ブトキシカルボニルエチル-1-イル)フェノキシ酢酸メチル
実施例2−2で得た4-アミノフェノキシ酢酸メチルのアセトニトリル溶液を0℃以下に冷却し、47%臭化水素酸705.37g、亜硝酸ナトリウム103.67g(1.502モル)水260mL溶液を内温0℃以下を保ちながら順次滴下した。内温0〜5℃とし、0.5時間攪拌し、内温0〜5℃を保ちながら40%炭酸カリウム水215mLを加え、pH3.0〜4.0とした。本溶液に10%4-メトキシフェノールのアクリル酸ブチル溶液0.8mL、10%4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジノ-1-オキシルのアクリル酸ブチル溶液1.3mL、アクリル酸ブチル577mL、アセトン144mL、臭化銅(II)15.93gを順次加えた。内温45〜50℃とし、3.5時間攪拌した後、10%4-メトキシフェノールのアクリル酸ブチル溶液2.6mL、10%4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジノ-1-オキシルのアクリル酸ブチル溶液1.3mL、キシレン865mL、水1211mLを順次加え、室温に冷却後、分液した。有機層に10%4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジノ-1-オキシルのアクリル酸ブチル溶液1.3mLを加え、減圧下溶媒を留去し、内圧3.3kPa、内温70℃まで濃縮し、4-(2-ブロモ-2-ブトキシカルボニルエチル-1-イル)フェノキシ酢酸メチルの濃縮液約710mLを得た。
【0050】
(実施例3)4-ニトロフェノキシ酢酸メチルの製造及び単離

【0051】
4-ニトロフェノール40.0g(0.2875モル)のアセトニトリル160mL溶液を、窒素雰囲気下で炭酸カリウム43.71g(0.3163モル)、クロロ酢酸メチル37.44g(0.3450モル)を加え、内温80〜86℃で6時間撹拌した。室温に冷却後、水320mLを加え、80%酢酸24.62gを加え、pH6.0〜6.5とした。減圧下溶媒を留去し、内圧8.6kPa、内温40℃まで濃縮した。水178mLを加え、内温0〜5℃とし、0.5時間以上攪拌し、析出した結晶をろ過した。結晶を冷水200mL、冷メタノール80mLで順次洗浄し、減圧下乾燥し、4-ニトロフェノキシ酢酸メチル56.9g(収率93.7%)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ:3.72(3H,s),5.01(2H,s),7.17(2H,ddd,J=3.7,5.8,10.8Hz),8.21(2H,ddd,J=3.7,5.8,10.8Hz).
【0052】
(実施例4)4-アミノフェノキシ酢酸メチルの製造及び単離

【0053】
実施例3で得た4-ニトロフェノキシ酢酸メチル10.0gのメタノール50mL溶液に室温下5%パラジウム−炭素50%湿品0.025gを加え、窒素雰囲気とした。水素雰囲気とし0.2〜0.4MPaの水素加圧下、内温40〜45℃で5.5時間撹拌した。窒素置換後にパラジウム−炭素を濾去した。濾洗液を減圧下溶媒を留去し、得られた乾固物を乳鉢で粉砕した。結晶を減圧下乾燥し、4-アミノフェノキシ酢酸メチル6.92g(収率80.6%)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ:3.67(3H,s),4.59(2H,s),4.66(2H,br.s),6.49(2H,ddd,J=3.3,5.4,10.0Hz),6.64(2H,ddd,J=3.3,5.4,10.0Hz).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(II)
【化1】


[式中、R1はC1-3アルキル基を示し、R2は水素原子、C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基若しくはフッ素原子を示す]で表される化合物を、溶媒中、臭化水素酸及び亜硝酸ナトリウムを加えて撹拌した後、下記一般式(i)


[式中、R3はC1-20アルキル基又はC5-6シクロアルキル基(該シクロアルキル基は、C1-6アルキル基に1-3個置換されていてもよい)を示す] で表されるアクリル酸エステルと、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジノ-1-オキシル、4-メトキシフェノール及び臭化銅の存在下反応させることを特徴とする、下記一般式(I)
【化2】


[式中、R1、R2及びR3は前述したものと同意義を示す]で表される化合物の製造方法。
【請求項2】
アクリル酸エステルが、アクリル酸ブチルである請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
R1がメチル基であり、R2が水素原子である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
臭化銅が臭化銅(II)である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
溶媒がアセトン又はアセトンを含む混合溶媒である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法。

【公開番号】特開2012−62263(P2012−62263A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206453(P2010−206453)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(307010166)第一三共株式会社 (196)
【Fターム(参考)】