説明

フェムト基地局、通信方法、通信プログラム、通信回路、及び集積回路、並びに無線通信システム及び通信方法

【課題】一次基地局が送信する報知情報の隣接セル情報に二次基地局の情報を追加すること無しに移動端末を一次基地局の通信エリアから二次基地局の通信エリアに在圏変更させる。
【解決手段】一次基地局または二次基地局が移動端末と通信する通信システム。前記一次基地局は、前記一次基地局のセルを識別する識別情報を含む報知信号を前記移動端末および前記二次基地局に送信し、前記二次基地局は、前記報知信号を受信した場合に、前記二次基地局のセルの情報から成る隣接セル情報と前記識別情報とを含む疑似報知信号を移動端末へ送信し、前記移動端末は、前記報知信号および前記疑似報知信号を受信した場合、前記一次基地局から受信する信号と、前記二次基地局から受信する信号との受信電力を比較し、受信電力が大きいいずれかの基地局と通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェムト基地局、通信方法、通信プログラム、通信回路、及び集積回路、並びに無線通信システム及び通信方法に関する。
本願は、2008年10月20日に出願された特願2008−269995号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
一般的な移動体通信システムは、広い範囲の通信エリアを有する基地局を多数備えることで、広範囲での通信を可能としている。しかし、地下や建造物の中では、基地局からの電波強度が微弱となるために通信が困難となる場所が生じることがある。この問題を解決するために、ピコ基地局やフェムト基地局と呼ばれる、小さな範囲の通信エリアを有する二次基地局が用いられている。
【0003】
図9は、一般的なフェムト基地局を備える通信システムの構成図である。
通信システムは、周辺基地局910と、端末920と、フェムト基地局930とを備える。
周辺基地局910のサービス周波数は周波数αである。フェムト基地局930のサービス周波数は周波数γである。
【0004】
また、フェムト基地局930は、フェムト基地局報知情報を一定の送信タイミングにおいて周波数γで送信する(ステップS95)。
ステップS94によって端末920が隣接セルサーチを行っている場合、端末920は周波数γでフェムト基地局930からフェムト基地局報知情報を受信する(ステップS96)。
このとき、端末920において周辺基地局910の電波よりフェムト基地局930の電波のほうが強い場合、端末920は周辺基地局910からフェムト基地局930の通信エリアの通信エリアに在圏変更を行う。これにより、フェムト基地局930を介しての発着信が可能となる。
なお、端末920においてフェムト基地局930の電波より周辺基地局910の電波のほうが強い場合、端末920は在圏変更を行わず、周辺基地局910を介しての発着信を行う。
【0005】
なお、特許文献1に、周辺基地局910が送信する周辺基地局報知情報に含まれる隣接セルの情報を更新する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−219645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記通信システムでは、周辺基地局910が保持する隣接セルリストの中にフェムト基地局930が含まれていない場合、周辺基地局910が作成する周辺基地局報知情報の隣接セル情報にフェムト基地局930が含まれない。
この場合、端末920が周辺基地局910の通信エリアに在圏しているときにフェムト基地局930がサーチの対象とならないため、フェムト基地局930の通信エリアに在圏することができない。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、基地局が送信する報知情報(周辺基地局報知情報)の隣接セル情報にフェムト基地局の情報を追加すること無しに移動端末(端末)を基地局の通信エリアからフェムト基地局の通信エリアに在圏変更させることができるフェムト基地局、通信方法、通信プログラム、通信回路、及び集積回路、並びに無線通信システム及び通信方法を提供することにある。
なお、上記ではフェムト基地局の例を示して発明の課題が説明されたが、フェムト基地局ではなく一般的な基地局または基地局相当の通信装置においても同様の課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、移動端末と、第1のセルを有し前記第1のセルに在圏する前記移動端末と第1の周波数で通信する基地局と、第2のセルを有し前記第2のセルに在圏する前記移動端末と前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で通信するフェムト基地局と、を有する無線通信システムの前記フェムト基地局であって、前記第1のセルに在圏する前記移動端末を前記第2のセルに在圏変更させるための擬似報知信号を、前記第1の周波数で送信する手段、を有するフェムト基地局を提供する。
【0010】
また、本発明は、移動端末と、第1のセルを有し前記第1のセルに在圏する前記移動端末と第1の周波数で通信する基地局と、第2のセルを有し前記第2のセルに在圏する前記移動端末と前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で通信するフェムト基地局と、を有する無線通信システムの前記フェムト基地局の通信方法であって、前記第1のセルに在圏する前記移動端末を前記第2のセルに在圏変更させるための擬似報知信号を、前記第1の周波数で送信するステップ、を有する通信方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、移動端末と、第1のセルを有し前記第1のセルに在圏する前記移動端末と第1の周波数で通信する基地局と、第2のセルを有し前記第2のセルに在圏する前記移動端末と前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で通信するフェムト基地局と、を有する無線通信システムの前記フェムト基地局にて実行させる通信プログラムであって、
前記第1のセルに在圏する前記移動端末を前記第2のセルに在圏変更させるための擬似報知信号を、前記第1の周波数で送信する処理、を前記フェムト基地局に実行させる通信プログラムを提供する。
【0012】
また、本発明は、移動端末と、第1のセルを有し前記第1のセルに在圏する前記移動端末と第1の周波数で通信する基地局と、第2のセルを有し前記第2のセルに在圏する前記移動端末と前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で通信するフェムト基地局と、を有する無線通信システムの前記フェムト基地局に備えられる通信回路であって、前記第1のセルに在圏する前記移動端末を前記第2のセルに在圏変更させるための擬似報知信号を、前記第1の周波数で送信する、通信回路を提供する。
【0013】
また、本発明は、移動端末と、第1のセルを有し前記第1のセルに在圏する前記移動端末と第1の周波数で通信する基地局と、第2のセルを有し前記第2のセルに在圏する前記移動端末と前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で通信するフェムト基地局と、を有する無線通信システムの前記フェムト基地局に備えられる集積回路であって、前記第1のセルに在圏する前記移動端末を前記第2のセルに在圏変更させるために、前記第1の周波数で送信される擬似報知信号を生成する生成部、を有する集積回路を提供する。
【0014】
また、本発明は、移動端末と、第1のセルを有し前記第1のセルに在圏する前記移動端末と第1の周波数で通信する基地局と、第2のセルを有し前記第2のセルに在圏する前記移動端末と前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で通信するフェムト基地局と、を有する無線通信システムによる通信方法であって、前記フェムト基地局が、前記第1のセルに在圏する前記移動端末を前記第2のセルに在圏変更させるための擬似報知信号を、前記第1の周波数で送信するステップ、を有する通信方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、移動端末と、第1のセルを有し前記第1のセルに在圏する前記移動端末と第1の周波数で通信する基地局と、第2のセルを有し前記第2のセルに在圏する前記移動端末と前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で通信するフェムト基地局と、を有する無線通信システムによる通信方法であって、前記フェムト基地局が、前記第1のセルに在圏する前記移動端末を前記第2のセルに在圏変更させるための擬似報知信号を、前記第1の周波数で送信するステップ、を有する通信方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
移動端末が基地局の通信エリアに在圏し、基地局のセルの識別情報を含む報知信号を受信する場合、移動端末において基地局が送信する報知信号の電波よりもフェムト基地局が送信する擬似報知信号の電波のほうが強いとき、移動端末はフェムト基地局が送信する擬似報知信号を受信し、フェムト基地局の通信エリアに在圏変更できる。
従って、基地局が送信する報知信号中の隣接セル情報にフェムト基地局を登録すること無しに移動端末を基地局からフェムト基地局の通信エリアに在圏させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の参考例による通信システムの概略図である。
【図2】本発明の第2の参考例によるフェムト基地局の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による通信システムの構成図である。
【図4】同第1の実施形態によるフェムト基地局の構成を示す概略ブロック図である。
【図5】同第1の実施形態による通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】周辺基地局とフェムト基地局の距離と受信電界の関係を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態による通信システムの構成図である。
【図8】同第2の実施形態による通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図9】一般的な、フェムト基地局を備える通信システムの構成図である。
【図10】一般的な通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の参考例)
図1は、本発明の第1の参考例による通信システムの概略図である。
通信システムは、周辺基地局10(一次基地局)と端末20(移動端末)とフェムト基地局30(二次基地局)とを備える。
周辺基地局10の通信エリア(セル)の識別情報はαである。
周辺基地局10は、識別情報αを含む報知信号(報知情報)を、端末20とフェムト基地局30に送信する。
フェムト基地局30のセルの識別情報はγである。
フェムト基地局30は、報知信号を受信すると、識別情報αと隣接セル情報とを含む疑似報知信号を端末20に送信する。ここで、隣接セル情報は、フェムト基地局30のセルの識別情報γに設定される。
【0019】
端末20は、報知信号および疑似報知信号を受信した場合、周辺基地局10から受信する信号と、フェムト基地局30から受信する信号との受信電力を比較し、受信電力が大きいいずれかの基地局と通信を行う。
したがって、端末20が周辺基地局10の通信エリア(セル)に在圏し、周辺基地局10のセルの識別情報を含む報知信号を受信する場合、端末20において周辺基地局10が送信する報知信号の電波よりもフェムト基地局30が送信する擬似報知信号の電波のほうが強いとき、端末20は、フェムト基地局30が送信する擬似報知信号を受信し、フェムト基地局30の通信エリアに在圏変更することができる。
【0020】
本発明において、識別情報とは、通信エリア(セル)を識別する情報を示す。識別情報の一例は、周波数または拡散符号、またはそれらの組合せがある。
拡散符号の一例として、チャネライゼーションコードまたはスクランブリングコード等がある。
ここでは、識別情報の例を挙げたが、セルを識別する情報であればよく、これらに限定されない。
【0021】
また、本発明において、隣接セル情報とは、対象とする通信エリア(セル)の周辺セルの識別情報を示すものである。
例えば、本実施形態の場合は、周辺基地局10の少なくとも一つの周辺セルの識別情報(周波数、拡散符号またはそれらの組合せ)を示す。
【0022】
(第2の参考例)
図2は、本発明の第2の参考例によるフェムト基地局の構成を示す概略ブロック図である。
フェムト基地局30は、少なくとも受信部301と、作成部302と、送信部303とを備える。
受信部301は、周辺基地局10のセルを識別する識別情報(例えば、周波数)を含む報知信号を受信する。
作成部302は、受信部301が受信した報知信号に基づいて、フェムト基地局30自体のセルの情報から成る隣接セル情報と周辺基地局10のセルの識別情報とを含む疑似報知信号を作成する。
送信部303は、作成部302が作成した疑似報知信号を、周辺基地局10のセルの識別情報に基づいて送信する。
したがって、端末20が周辺基地局10の通信エリア(セル)に在圏し、周辺基地局10の識別情報を含む報知信号を受信する場合、端末20において周辺基地局10が送信する報知信号の電波よりもフェムト基地局30が送信する擬似報知信号の電波のほうが強いとき、端末20は、フェムト基地局30が送信する擬似報知信号を受信し、フェムト基地局30の通信エリアに在圏変更できる。
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
(第1の実施形態)
図3は、本発明の第1の実施形態による通信システムの構成図である。
通信システムは周辺基地局10(一次基地局)と端末20(移動端末)とフェムト基地局30(二次基地局)とを備える。
周辺基地局10のサービス周波数は周波数α(第1の周波数)である。
フェムト基地局30は、フェムト基地局報知情報を送信する。なお、フェムト基地局30のサービス周波数は周波数γ(第2の周波数)である。
【0024】
図4は、本第1の実施形態によるフェムト基地局の構成を示す概略ブロック図である。
フェムト基地局30は、周辺基地局周波数α報知情報受信部311と、周辺基地局報知情報擬似データ作成部312と、周辺基地局擬似報知情報送信機313と、フェムト報知情報送信機314とを備える。
周辺基地局周波数α報知情報受信部311は、周辺基地局10が周波数αで送信する周辺基地局報知情報を受信する。
周辺基地局報知情報擬似データ作成部312は、周辺基地局周波数α報知情報受信部311が受信した周辺基地局報知情報に基づいて周辺基地局擬似報知情報を作成する。
周辺基地局擬似報知情報送信機313は、周辺基地局報知情報擬似データ作成部312が作成した周辺基地局擬似報知情報を周波数αで送信する。
フェムト報知情報送信機314は、フェムト基地局報知情報を周波数γで送信する。ここで、隣接セル情報は、フェムト基地局30の周波数γに設定される。
【0025】
次に、本発明の第1の実施形態による通信システムの動作を説明する。
なお、本実施形態では、端末20において周辺基地局10の電波よりフェムト基地局30の電波のほうが強い場合の動作を説明する。
図5は、本通信システムの動作を示すシーケンス図である。
まず、周辺基地局10は、周辺基地局報知情報を作成する(ステップS1a)。
以下、この周辺基地局報知情報中の隣接セル情報には、フェムト基地局30の情報が含まれない場合について説明する。
周辺基地局10は、周辺基地局報知情報を作成すると、作成した周辺基地局報知情報を、一定の送信タイミングにおいて周波数αで送信する(ステップS2a)。
周辺基地局10が周辺基地局報知情報を送信すると、端末20は周波数αで周辺基地局10から周辺基地局報知情報を受信する(ステップS3a)。
なお、この時点で端末20は周辺基地局10の通信エリアに在圏している。
【0026】
また、ステップS2aによって周辺基地局10が周辺基地局報知情報を送信すると、フェムト基地局30の周辺基地局周波数α報知情報受信部311は、周波数αで周辺基地局10から周辺基地局報知情報を受信し、周辺基地局10の周辺基地局報知情報と周辺基地局報知情報の受信タイミングを抽出する(ステップS4a)。
受信タイミングの抽出は、例えば周辺基地局周波数α報知情報受信部311が周辺基地局10から周辺基地局報知情報を複数回受信し、受信間隔の平均を算出することで行う。
周辺基地局周波数α報知情報受信部311が周辺基地局報知情報を受信すると、周辺基地局報知情報擬似データ作成部312は、周辺基地局報知情報の隣接セル情報を、フェムト基地局30の情報を含むように書き換えることで周辺基地局擬似報知情報を作成する(ステップS5a)。
周辺基地局報知情報擬似データ作成部312が周辺基地局擬似報知情報を作成すると、周辺基地局擬似報知情報送信機313は、周辺基地局周波数α報知情報受信部311が抽出した周辺基地局報知情報の(一定の送信タイミングに対応した)受信タイミングを送信タイミングとして、周辺基地局報知情報擬似データ作成部312が作成した周辺基地局擬似報知情報を周波数αで送信する(ステップS6a)。
これにより、フェムト基地局30は、周辺基地局10が送信する周辺基地局報知情報と同期して周辺基地局擬似報知情報を送信することができる。
【0027】
フェムト基地局30が周辺基地局擬似報知情報を送信すると、端末20において周辺基地局10が送信する周辺基地局報知情報の電波よりフェムト基地局30が送信する周辺基地局報知情報の電波ほうが強い場合、フェムト基地局30の周辺基地局擬似報知情報を周波数αで受信し、フェムト基地局30の通信エリアに在圏変更を行う(ステップS7a)。
これにより、端末20は周波数γで報知信号の受信を待機する。
【0028】
また、フェムト報知情報送信機314はフェムト基地局報知情報を作成する(ステップS8a)。フェムト報知情報送信機314は、作成したフェムト基地局報知情報を作成するとフェムト基地局報知情報を周波数γで送信する(ステップS9a)。
フェムト報知情報送信機314がフェムト基地局報知情報を送信し、ステップS7aによって端末20がフェムト基地局30の通信エリアに在圏変更を行った後、端末20は、フェムト基地局報知情報を周波数γで受信することができるようになる(ステップS10a)。
これにより、端末20はフェムト基地局30を介しての発着信が可能となる。
なお、ステップS7aで端末20においてフェムト基地局30の電波より周辺基地局10の電波のほうが強い場合、端末20は在圏変更を行わず、周辺基地局10を介しての発着信を行う。
この場合、端末20は周波数γで報知信号の受信を待機しないため、ステップS10aでフェムト基地局報知情報を受信できない。
【0029】
図6は、周辺基地局とフェムト基地局の距離と受信電界の関係を示す図である。
図6に示すように、周辺基地局10が発する電波の受信強度は、周辺基地局10から離れるに従って弱くなる。同様に、フェムト基地局30が発する電波の受信強度は、フェムト基地局30から離れるに従って弱くなる。
上述した動作の説明は、端末20において周辺基地局10の電波よりフェムト基地局30の電波のほうが強い場合、すなわち図6に示すフェムト基地局からの周辺基地局擬似報知情報受信エリア内に端末20が存在する場合における動作の説明である。
【0030】
このように、本実施形態によれば、周辺基地局報知情報擬似データ作成部312は、周辺基地局報知情報を、隣接セル情報にフェムト基地局30の情報を含むように書き換えることで周辺基地局擬似報知情報を作成し、周辺基地局擬似報知情報送信機313が周波数αで上記作成した情報を送信する。
これにより、端末20が周辺基地局10の通信エリアに在圏し、周波数αで報知情報を受信する場合、端末20において周辺基地局10が送信する周辺基地局報知情報の電波よりもフェムト基地局30が送信する周辺基地局擬似報知情報の電波のほうが強いとき、端末20は、フェムト基地局30が送信する周辺基地局擬似報知情報を受信し、フェムト基地局30の通信エリアに在圏変更する。
従って、周辺基地局10が送信する周辺基地局報知情報中の隣接セル情報にフェムト基地局30を登録すること無しに端末20を周辺基地局10からフェムト基地局30の通信エリアに在圏させることができる。
そのため、フェムト基地局30を設置する毎に、オペレータが手動で、周辺基地局10の隣接セル情報にフェムト基地局30の情報を設定または更新する煩雑な作業を行う必要がない。また、フェムト基地局30を設置した時点でフェムト基地局30を介した通信を行うことができる。
【0031】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態による通信システムの構成図である。
第2の実施形態は、周辺基地局のサービス周波数が2つである場合における例である。
通信システムは周辺基地局10と端末20とフェムト基地局30とを備える。
周辺基地局10のサービス周波数は周波数α及び周波数βである。フェムト基地局30のサービス周波数は周波数γである。
なお、図示を省略するが、フェムト基地局30は、第1の実施形態のフェムト基地局30の周辺基地局周波数α報知情報受信部311の代わりに周辺基地局周波数αβ報知信号受信部321を備える。
【0032】
次に、本第2の実施形態による通信システムの動作を説明する。なお、本実施形態では第1の実施形態と同様に、端末20において周辺基地局10の電波よりフェムト基地局30の電波のほうが強い場合の動作を説明する。
図8は、本通信システムの動作を示すシーケンス図である。
まず、周辺基地局10は周辺基地局報知情報を作成する(ステップS1b)。
周辺基地局10は、周辺基地局報知情報を作成すると、作成した周辺基地局報知情報を一定の送信タイミングにおいて周波数α及び周波数βで送信する(ステップS2b)。
周辺基地局10が周辺基地局報知情報を送信すると、端末20は周波数αまたは周波数βで周辺基地局10から周辺基地局報知情報を受信する(ステップS3b)。なお、この時点で端末20は周辺基地局10の通信エリアに在圏している。
【0033】
また、ステップS2bによって周辺基地局10が周辺基地局報知情報を送信すると、フェムト基地局30の周辺基地局周波数αβ報知信号受信部321は、周波数α及び周波数βで周辺基地局10から周辺基地局報知情報を受信し、周辺基地局10の周辺基地局報知情報と周辺基地局報知情報の受信タイミングを抽出する(ステップS4b)。
周辺基地局周波数αβ報知信号受信部321が周辺基地局報知情報を受信すると、周辺基地局報知情報擬似データ作成部312は、隣接セル情報にフェムト基地局30の情報を含むように周辺基地局報知情報を書き換えることで、周辺基地局擬似報知情報を作成する(ステップS5b)。
周辺基地局報知情報擬似データ作成部312が周辺基地局擬似報知情報を作成すると、周辺基地局擬似報知情報送信機313は、周辺基地局周波数αβ報知信号受信部321が抽出した周辺基地局報知情報の受信タイミングを送信タイミングとして、周辺基地局報知情報擬似データ作成部312が作成した周辺基地局擬似報知情報を周波数α及び周波数βで送信する(ステップS6b)。
これにより、フェムト基地局30は、周辺基地局10が送信する周辺基地局報知情報と同期して周辺基地局擬似報知情報を送信することができる。
【0034】
フェムト基地局30が周辺基地局擬似報知情報を送信すると、端末20において周辺基地局10が送信する周辺基地局報知情報の電波よりフェムト基地局30が送信する周辺基地局報知情報の電波ほうが強い場合、フェムト基地局30の周辺基地局擬似報知情報を周波数αまたは周波数βで受信し、フェムト基地局30の通信エリアに在圏変更を行う(ステップS7b)。
これにより、端末20は周波数γで報知信号の受信を待機する。
【0035】
また、フェムト報知情報送信機314はフェムト基地局報知情報を作成する(ステップS8b)。フェムト報知情報送信機314は、作成したフェムト基地局報知情報を作成するとフェムト基地局報知情報を周波数γで送信する(ステップS9b)。
フェムト報知情報送信機314がフェムト基地局報知情報を送信し、ステップS7bによって端末20がフェムト基地局30の通信エリアに在圏変更を行った後、端末20は、フェムト基地局報知情報を周波数γで受信することができるようになる(ステップS10b)。
これにより、端末20はフェムト基地局30を介しての発着信が可能となる。
なお、ステップS7bで端末20においてフェムト基地局30の電波より周辺基地局10の電波のほうが強い場合、端末20は在圏変更を行わず、周辺基地局10を介しての発着信を行う。
なお、この場合、端末20は周波数γで報知信号の受信を待機しないため、ステップS10bでフェムト基地局報知情報を受信できない。
【0036】
このように、第2の実施形態によれば、フェムト基地局30は、周辺基地局10に合わせて周波数α及び周波数βで周辺基地局擬似報知情報を送信する。
これにより、端末20が周波数α、周波数βのどちらで受信してもフェムト基地局30の通信エリアに在圏変更を行うことができる。
【0037】
以上、図面を参照してこの発明の第1、第2の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、第1、第2の実施形態において、二次基地局がフェムト基地局30である場合を説明したが、これに限られず、例えばナノ基地局やピコ基地局といった他の基地局であっても良い。
【0038】
なお、第2の実施形態において、周辺基地局10が使用する周波数が2つである場合を説明したが、これに限られず、周辺基地局10が使用する周波数が3つ以上の場合も同様に適用することができる。
【0039】
また、第1、第2の実施形態において、周辺基地局10、端末20、フェムト基地局30が1つずつである例を用いて説明したが、これに限られず、周辺基地局10、端末20、フェムト基地局30を複数備えた場合も同様の効果が得られる。
なお、複数備える場合、端末20は複数の周辺基地局10、複数のフェムト基地局30のうち発する電波が最も強い基地局の通信エリアに在圏し、当該基地局を介して通信を行う。
【0040】
上述のフェムト基地局30は、内部にコンピュータシステムを有している。
そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。
ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。
また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0041】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0042】
また、上述した実施の形態においては、周辺基地局10のセルの識別情報が含まれた報知信号(報知情報)がフェムト基地局30に送信されるものとして説明したが、本発明の報知信号(報知情報)は、RNC(Radio Network Controller、無線基地局制御装置)やCN(Core Network、移動体交換局)における上位のノードから有線または無線を介して送信されても良い。
【0043】
また、上述したフェムト基地局は、W−CDMAだけでなく、cdma2000方式やLTE(Long Term Evolution)方式にも適用可能である。例えば、LTEでは、セルを識別する識別情報が、周波数(EUTRA-DL-CarrierFreq)または物理セル識別番号(physical Cell Identity)あるいはそれらの組合せ等となる。
【0044】
上述した実施の形態においては、フェムト基地局30(二次基地局)は基地局であったが、同様の機能を持つ他の通信装置に転用可能である。
例えば、本発明のフェムト基地局30をリピータ装置(無線中継装置)として用いても良い。また、このリピータ装置は、基地局または移動端末から送出される信号を直接中継するだけでなく、これらから送出される信号を他のリピータ装置を介して中継する用途にも使用可能である。
また、上述したフェムト基地局30の周辺基地局周波数α報知情報受信部311と、周辺基地局報知情報擬似データ作成部312と、周辺基地局擬似報知情報送信機313と、フェムト報知情報送信機314のそれぞれの機能を実行する素子を半導体基板に集積し、通信回路を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
移動端末が一次基地局の通信エリアに在圏し、一次基地局のセルの識別情報を含む報知信号を受信する場合、移動端末において一次基地局が送信する報知信号の電波よりも二次基地局が送信する擬似報知信号の電波のほうが強いとき、移動端末は二次基地局が送信する擬似報知信号を受信し、二次基地局の通信エリアに在圏変更できる。従って、一次基地局が送信する報知信号中の隣接セル情報に二次基地局を登録すること無しに移動端末を一次基地局から二次基地局の通信エリアに在圏させることができる。
【符号の説明】
【0046】
10…周辺基地局 20…端末 30…フェムト基地局 301…受信部 302…作成部 303…送信部 311…周辺基地局周波数α報知情報受信部 312…周辺基地局報知情報擬似データ作成部 313…周辺基地局擬似報知情報送信機 314…フェムト報知情報送信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末と、第1のセルを有し前記第1のセルに在圏する前記移動端末と第1の周波数で通信する基地局と、第2のセルを有し前記第2のセルに在圏する前記移動端末と前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で通信するフェムト基地局と、を有する無線通信システムの前記フェムト基地局であって、
前記第1のセルに在圏する前記移動端末を前記第2のセルに在圏変更させるための擬似報知信号を、前記第1の周波数で送信する手段、
を有するフェムト基地局。
【請求項2】
前記基地局が前記第1の周波数で送信する、前記第1のセルの識別情報を含む報知信号を受信する手段をさらに有し、
前記擬似報知信号は、前記受信する手段が受信した前記報知信号と前記第2のセルの識別情報とを含む信号である、請求項1に記載のフェムト基地局。
【請求項3】
移動端末と、第1のセルを有し前記第1のセルに在圏する前記移動端末と第1の周波数で通信する基地局と、第2のセルを有し前記第2のセルに在圏する前記移動端末と前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で通信するフェムト基地局と、を有する無線通信システムの前記フェムト基地局の通信方法であって、
前記第1のセルに在圏する前記移動端末を前記第2のセルに在圏変更させるための擬似報知信号を、前記第1の周波数で送信するステップ、
を有する通信方法。
【請求項4】
前記基地局が前記第1の周波数で送信する、前記第1のセルの識別情報を含む報知信号を受信するステップをさらに有し、
前記擬似報知信号は、前記受信するステップで受信した前記報知信号と前記第2のセルの識別情報とを含む信号である、請求項3に記載の通信方法。
【請求項5】
移動端末と、第1のセルを有し前記第1のセルに在圏する前記移動端末と第1の周波数で通信する基地局と、第2のセルを有し前記第2のセルに在圏する前記移動端末と前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で通信するフェムト基地局と、を有する無線通信システムの前記フェムト基地局にて実行させる通信プログラムであって、
前記第1のセルに在圏する前記移動端末を前記第2のセルに在圏変更させるための擬似報知信号を、前記第1の周波数で送信する処理、
を前記フェムト基地局に実行させる通信プログラム。
【請求項6】
前記基地局が前記第1の周波数で送信する、前記第1のセルの識別情報を含む報知信号を受信する処理をさらに前記フェムト基地局に実行させ、
前記擬似報知信号は、前記受信する処理により受信した前記報知信号と前記第2のセルの識別情報とを含む信号である、請求項5に記載の通信プログラム。
【請求項7】
移動端末と、第1のセルを有し前記第1のセルに在圏する前記移動端末と第1の周波数で通信する基地局と、第2のセルを有し前記第2のセルに在圏する前記移動端末と前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で通信するフェムト基地局と、を有する無線通信システムの前記フェムト基地局に備えられる通信回路であって、
前記第1のセルに在圏する前記移動端末を前記第2のセルに在圏変更させるための擬似報知信号を、前記第1の周波数で送信する、通信回路。
【請求項8】
前記基地局が前記第1の周波数で送信する、前記第1のセルの識別情報を含む報知信号を受信し、
前記擬似報知信号は、前記受信した前記報知信号と前記第2のセルの識別情報とを含む信号である、請求項7に記載の通信回路。
【請求項9】
移動端末と、第1のセルを有し前記第1のセルに在圏する前記移動端末と第1の周波数で通信する基地局と、第2のセルを有し前記第2のセルに在圏する前記移動端末と前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で通信するフェムト基地局と、を有する無線通信システムの前記フェムト基地局に備えられる集積回路であって、
前記第1のセルに在圏する前記移動端末を前記第2のセルに在圏変更させるために、前記第1の周波数で送信される擬似報知信号を生成する生成部、
を有する集積回路。
【請求項10】
前記基地局が前記第1の周波数で送信する、前記第1のセルの識別情報を含む報知信号を受信する受信部をさらに有し、
前記擬似報知信号は、前記受信部が受信した前記報知信号と前記第2のセルの識別情報とを含む信号である、請求項9に記載の集積回路。
【請求項11】
移動端末と、第1のセルを有し前記第1のセルに在圏する前記移動端末と第1の周波数で通信する基地局と、第2のセルを有し前記第2のセルに在圏する前記移動端末と前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で通信するフェムト基地局と、を有する無線通信システムであって、
前記フェムト基地局は、
前記第1のセルに在圏する前記移動端末を前記第2のセルに在圏変更させるための擬似報知信号を、前記第1の周波数で送信する手段、
を有する無線通信システム。
【請求項12】
前記フェムト基地局は、
前記基地局が前記第1の周波数で送信する、前記第1のセルの識別情報を含む報知信号を受信する手段をさらに有し、
前記擬似報知信号は、前記受信する手段が受信した前記報知信号と前記第2のセルの識別情報とを含む信号である、請求項11に記載の無線通信システム。
【請求項13】
移動端末と、第1のセルを有し前記第1のセルに在圏する前記移動端末と第1の周波数で通信する基地局と、第2のセルを有し前記第2のセルに在圏する前記移動端末と前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で通信するフェムト基地局と、を有する無線通信システムによる通信方法であって、
前記フェムト基地局が、前記第1のセルに在圏する前記移動端末を前記第2のセルに在圏変更させるための擬似報知信号を、前記第1の周波数で送信するステップ、
を有する通信方法。
【請求項14】
前記フェムト基地局が、前記基地局が前記第1の周波数で送信する、前記第1のセルの識別情報を含む報知信号を受信するステップをさらに有し、
前記擬似報知信号は、前記受信するステップで受信した前記報知信号と前記第2のセルの識別情報とを含む信号である、請求項13に記載の通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−9442(P2013−9442A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−225187(P2012−225187)
【出願日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【分割の表示】特願2010−534671(P2010−534671)の分割
【原出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】