説明

フェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法

【解決手段】 フェロ−マンガン−アルミ合金の表面を洗浄する段階と、アルカリ性溶液を利用してフェロ−マンガン−アルミ合金の表面の油脂を除去すると同時に、フェロ−マンガン−アルミ合金の表面を活性化する段階と、アルカリ性溶液の電解方式を利用してフェロ−マンガン−アルミ合金の表面を活性化する段階と、フェロ−マンガン−アルミ合金の表面に対してめっきを行う段階とを含むフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【効果】 フェロ−マンガン−アルミ合金の表面の活性化を保持し、さらに再び鈍化するのを避けることができることにより、後続のめっき時におけるめっき層の付着性を改善することができるため、フェロ−マンガン−アルミ合金の表面のめっき品質を高め、めっき層が剥げ落ちる確率を減らし、さらに耐食性を相対的に増やすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法に関するもので、特に高濃度のアルカリ性溶液と超音波の振動のエネルギーでフェロ−マンガン−アルミ合金の表面を活性化することにより、めっきの付着性を高めるめっき前の処理方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
フェロ−マンガン−アルミ合金の研究の主な目的はステンレスの代わりを探すものであり、ステンレスのニッケルとクロムの成分はその価格が高いだけではなく、取得し難いという問題点があった。仮にクロムの代わりにアルミを、ニッケルの代わりにマンガンを採用するができれば、価格が安いだけではなく、取得が簡単という利点がある。一般として合金の耐食性がよくないという問題点に対して、充分なクロムの元素を添加することによって改善することができ、ステンレスのクロムの含有量は約12%以上で、合金の表面において酸化皮膜が生じることにより、合金がさらに酸化し続けるのを避けることができる。しかし、中華民国特許出願番号第89121645号「低密度高伸展性鉄基のゴルフクラブヘッドの合金材料」において、フェロ−マンガン−アルミ合金の耐食性が悪いことを知ることができ、もしクロムの含有量が5.5w.t.%より低い場合、上記合金は5%の塩スプレー・テストの標準を通過することができず、もしクロムの含有量が9.0w.t.%より高い場合、上記合金の脆さが増え、延性が低くなるため、機械的性質が悪くなる。上記の要素により、フェロ−マンガン−アルミ合金のクロムの含有量は充分な量まで添加することができないため、フェロ−マンガン−アルミ合金を優良な機械的性質の条件に制御するべく、めっき表面の処理は比較的よい防錆の手段になる。
【0003】
また、フェロ−マンガン−アルミ合金は低比重、高吸震性と適当な構造強度などの良好な機械的性質を有するため、フェロ−マンガン−アルミ合金により製造されたゴルフクラブヘッドを使用すると、フェロ−マンガン−アルミ合金によりヘッドの重心位置を低くし、ヘッドの体積を広げ、打球の面積を相対的に増やし、さらにヘッドの打球の性能を相対的に高めることができる。しかし、実際に使用すると、フェロ−マンガン−アルミ合金により製造されたゴルフクラブヘッドは耐食性が不足するという欠点を有するため、業界においては通常としてめっきまたは無電解めっき(electroless plating)の方式を利用してゴルフクラブヘッドの表面において一層のめっき層をめっきすることにより、ゴルフクラブヘッドに錆または腐蝕が生じてしまうのを避けることができる。さらに、めっきの品質を高めるべく、めっきを行う前に業界においては通常として予め一連の前処理の段階を行うことにより、めっき層がゴルフクラブヘッドの表面に緊密に付着するのを確保することができ、さらにめっき層が剥げたり脱落したりするのを避けることができる。
【0004】
また、従来の合金の表面めっき処理方法としては、図2を参照すると、超音波洗浄、脱脂、垢消し、電解、活性化とめっきなどの段階が含まれる。先ず、超音波を利用して合金の表面を洗浄し、体積の比較的大きい汚物を除去する。それから、化学溶液を利用し、例えば水酸化ナトリウムを利用して2分間浸して合金の表面の油脂を除去し、再び清水を利用して洗浄を行う。それから、酸性溶液を利用し、例えば5%〜30%の塩酸を利用して合金が高温加工時に生じた錆を除去し、再び清水を利用して洗浄を行う。それから、陽極電解を利用し、例えば5%〜9%の硫酸で電流密度が5〜40A/dm2を利用して合金の表面の酸化皮膜または不動態皮膜を除去し、再び清水を利用して洗浄を行う。それから、合金の表面を酸性溶液(15g/lから150g/lの塩酸溶液または硫酸溶液)を利用して洗浄することにより、上記合金の表面を活性化し、再び清水を利用して洗浄を行う。さらに適当なめっきの方式を選択してめっきを行うようにようにとしたものがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の合金の表面めっき処理方法は、業界において広く採用されており、そして合金鋼または低炭素鋼により製成された表面に適用されているが、上記方法がフェロ−マンガン−アルミ合金の表面の処理に使用されると、めっき層の付着性を有効に高めることができない。電気化学の原理によってその理由を分析すると、フェロ−マンガン−アルミ合金に含まれたアルミ元素には高度な活性化を有し、さらにアルミ元素が酸化し易いため、フェロ−マンガン−アルミ合金の表面の鈍化が生じ易くなる。このように、フェロ−マンガン−アルミ合金の表面のアルミ元素が電解の段階を利用して酸化皮膜を除去した時、上記アルミ元素が高濃度の酸性溶液の中に浸され、さらに電流の加速作用で活性化により酸化層(酸化アルミニウム)を除去することができないだけではなく、上記酸性溶液によりアルミ元素がさらに酸化し鈍化するのを促してしまうため、さらに多い酸化層が生じてしまい、その結果としてフェロ−マンガン−アルミ合金の表面は活性化が失われてしまうため、めっき層が付着するのに大変不利になるという問題点があった。そのため、上記のような従来のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法をさらに改良しなければならない。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、超音波による洗浄、加熱による脱脂、超音波によるアルカリ性活性化とアルカリ性溶液電解の段階を利用してフェロ−マンガン−アルミ合金の表面を処理し、上記超音波によるアルカリ性活性化の段階では高濃度のアルカリ性溶液を使用してフェロ−マンガン−アルミ合金の表面の酸化層を除去すると同時に、超音波の振動のエネルギーを利用して活性化の速度を速める。これにより、フェロ−マンガン−アルミ合金の表面の活性化を保持し、さらに再び鈍化するのを避けることができることにより、後続のめっき時におけるめっき層の付着性を改善することができるため、フェロ−マンガン−アルミ合金の表面のめっき品質を高め、めっき層が剥げ落ちる確率を減らし、さらに耐食性を相対的に増やすことができるフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法を提供しようとするものである。
【0007】
本発明の第一の目的は、アルカリ性溶液電解を利用してフェロ−マンガン−アルミ合金の表面の酸化層を除去すると同時に、超音波の振動のエネルギーを利用して活性化の速度を速めることにより、後続のめっき層の付着性を改善することができるため、めっき層の品質を高め、めっき層が剥げ落ちを減らし、さらにフェロ−マンガン−アルミ合金の耐食性を相対的に増やすことができるフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法を提供しようとするものである。
【0008】
本発明の第二の目的は、フェロ−マンガン−アルミ合金の表面のめっき層の付着性を改善することにより、フェロ−マンガン−アルミ合金を利用してゴルフクラブヘッドを製造した時、ゴルフクラブヘッドの表面には比較的よいめっき層が形成されるため、ヘッドのめっきの品質を高め、さらにヘッドの使用寿命を相対的に延ばすことができるフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法を提供しようとするものである。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明によるフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法は、下記のようになるものである。すなわち、
フェロ−マンガン−アルミ合金の表面を洗浄する段階と、アルカリ性溶液を利用してフェロ−マンガン−アルミ合金の表面の油脂を除去すると同時に、フェロ−マンガン−アルミ合金の表面を活性化する段階と、アルカリ性溶液の電解方式を利用してフェロ−マンガン−アルミ合金の表面を活性化する段階と、フェロ−マンガン−アルミ合金の表面に対してめっきを行う段階とを含む。
【0010】
本発明によるフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法は、上記油脂を除去するアルカリ性溶液は水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜燐酸ナトリウムまたは上記グループによる組合せからなることもできる。また、上記油脂を除去する段階は加熱の下でアルカリ性溶液による脱脂を行うこともできる。また、上記アルカリ性溶液の濃度は30%から85%であることもできる。また、上記加熱の温度は40℃から85℃の間に介在することもできる。また、上記フェロ−マンガン−アルミ合金の表面を電解するアルカリ性溶液は水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜燐酸ナトリウムまたは上記グループによる組合せからなることもできる。また、上記アルカリ性溶液の濃度は20%から80%であることもできる。また、上記フェロ−マンガン−アルミ合金を活性化する段階は加熱の下で行うこともできる。また、上記加熱の温度は40℃から85℃の間に介在することもできる。また、上記フェロ−マンガン−アルミ合金の表面を活性化する時、同時に超音波を利用して上記アルカリ性溶液を振動することもできる。また、上記超音波による活性化段階の操作時間は5分から15分まで介在することもできる。また、上記フェロ−マンガン−アルミ合金の表面を洗浄するのに有機溶剤が利用されることもできる。また、上記アルカリ性溶液が脱脂した後、およびフェロ−マンガン−アルミ合金を電解する前、フェロ−マンガン−アルミ合金を酸性溶液に入れて全ての表面を浸して静かに放置することにより、上記金属の酸化物、水酸化物と塩基類を除去することもできる。また、上記フェロ−マンガン−アルミ合金の酸性溶液による垢消しの段階は加熱の下で行うこともできる。また、上記酸性溶液は塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、弗化水素酸または上記グループによる組合せからなることもできる。また、上記電解を利用してフェロ−マンガン−アルミ合金を活性化した後、フェロ−マンガン−アルミ合金を酸性溶液に浸して上記アルカリ性を中和することもできる。また、上記酸性溶液の濃度は10%以下であることもできる。また、上記酸性溶液は塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、弗化水素酸または上記グループによる組合せからなることもできる。また、上記フェロ−マンガン−アルミ合金の表面を洗浄するのに超音波による振動が利用されることもできる。また、上記フェロ−マンガン−アルミ合金はゴルフクラブヘッドであることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法によれば、アルカリ性溶液電解を利用してフェロ−マンガン−アルミ合金の表面の酸化層を除去すると同時に、超音波の振動のエネルギーを利用して活性化の速度を速めることにより、後続のめっき層の付着性を改善することができるため、めっき層の品質を高め、めっき層が剥げ落ちを減らし、さらにフェロ−マンガン−アルミ合金の耐食性を相対的に増やすことができるという利点がある。
【0012】
本発明のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法によれば、フェロ−マンガン−アルミ合金の表面のめっき層の付着性を改善することにより、フェロ−マンガン−アルミ合金を利用してゴルフクラブヘッドを製造した時、ゴルフクラブヘッドの表面には比較的よいめっき層が形成されるため、ヘッドのめっきの品質を高め、さらにヘッドの使用寿命を相対的に延ばすことができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態について、以下、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明の実施例のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法によるブロック図である。本発明は主にフェロ−マンガン−アルミ合金により製成されたゴルフクラブヘッドの表面の処理に使用されるため、ヘッドの表面はめっきに適用される。
【0015】
図1を参照すると、本発明の実施例のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法の第一段階は、フェロ−マンガン−アルミ合金により製成されたヘッドの表面を洗浄する。本発明においては好ましくは超音波を利用して洗浄を行い、超音波の高周波の振動によりヘッドの表面の汚物と不純物を除去する。超音波による洗浄を行う時、先ずフェロ−マンガン−アルミ合金により製成されたヘッドを超音波の機台に置き入れ、上記超音波の機台において液体を利用してヘッドの全ての表面を洗浄し、上記液体は軟水、アルコール類または有機溶剤で、例えばメチルアルコール、アルコール、トルエン、アセトン、臭化プロパンである。上記超音波の機台が使用する周波は好ましくは16KHzから60KHzまで介在する。これにより、本発明において初歩的にヘッドの表面に付着された比較的大きい汚物を除去することができる。
【0016】
再び図1を参照すると、本発明の実施例のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法の第二段階は、超音波とアルカリ性溶液を利用して油脂を除去すると同時に、ヘッドの表面を活性化する。超音波による洗浄を行った後、再び上記ヘッドをアルカリ性溶液に置き入れてヘッドの全ての表面を浸して静かに放置し、その他に上記アルカリ性溶液を例えば超音波の機台を利用して振動を行う。上記アルカリ性溶液の温度は常温の温度で、好ましくは40℃から85℃の間まで加熱する。上記超音波の機台が使用する周波も好ましくは16KHzから60KHzまで介在し、さらに上記アルカリ性溶液の濃度は好ましくは約30%から85%の水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜燐酸ナトリウムまたは上記グループによる組合せからなり、さらに適量の界面活性剤を添加することができ、例えば陰イオン性、非イオン性界面活性剤である。電気化学原理において、上記高濃度のアルカリ性溶液によりヘッドのフェロ−マンガン−アルミ合金の表面の酸化層(主に酸化アルミニウムである)および油脂を除去することができ、さらにフェロ−マンガン−アルミ合金の表面を活性化することができる。また、上記超音波の振動のエネルギーにより同時に上記活性化の反応の速度を速めることができる。これにより、本発明においては上記ヘッドのフェロ−マンガン−アルミ合金の表面の活性化を確保し、さらに上記表面が再び鈍化するのを避けることができるため、後続のめっきの段階においてめっき層の付着性を高め、さらにめっきの品質を高めることができる。また、本発明における超音波のアルカリ性溶液による油脂除去の段階の処理時間は好ましくは5分から15分まで制御することにより、上記高濃度のアルカリ性溶液が超音波の促進により上記フェロ−マンガン−アルミ合金のアルミ元素を過度に侵蝕するのを避けることができるため、フェロ−マンガン−アルミ合金の表面において孔食(pitting)が生じるのを防止することができる。
【0017】
再び図1を参照すると、本発明の実施例のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法の第三段階は、酸性溶液による洗浄を利用して高温加工、焼き戻しを経た金属材料から生成された厚い錆を除去する。上記第二階段におけるアルカリ性溶液による脱脂を経た後、ヘッドを酸性溶液に置き入れ、ヘッドの全ての表面を浸して静かに放置することにより、上記金属の酸化物、水酸化物と塩基類を除去する。その他に、上記酸性溶液を例えば超音波の機台を利用して振動を行うことができ、上記酸性溶液の温度は常温の温度で、好ましくは40℃から80℃の間まで加熱する。上記超音波の機台が使用する周波も好ましくは16KHzから60KHzまで介在し、さらに上記酸性溶液の濃度は好ましくは約5%から30%の塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、弗化水素酸または上記グループによる組合せからなる。また、本発明における酸性溶液による洗浄の段階の処理時間は好ましくは30秒から2分まで制御することにより、過度の浸しにより粗さ、孔食、変色などの問題点が生じるのを避けることができる。
【0018】
再び図1を参照すると、本発明の実施例のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法の第四段階は、電解方式を利用して再びヘッドを活性化することにより、ヘッドの表面に残った酸化層と油脂を徹底的に除去する。酸性溶液の洗浄による垢消しの段階を行った後、再び清水を利用してヘッドを洗浄する。それから、ヘッドを電解槽の中に置き入れ、そして陽極電解または陰極電解を選択して使用する。上記電解槽はアルカリ性溶液を使用し、上記アルカリ性溶液は好ましくは約20%から80%の水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜燐酸ナトリウムまたは上記グループによる組合せからなり、さらに適量の界面活性剤を添加することができ、例えば陰イオン性、非イオン性界面活性剤である。上記アルカリ性溶液の温度は常温の温度で、好ましくは40℃から85℃の間まで加熱する。これにより、通電を行った後、陰極に連接されたヘッドの表面には激烈な反応気体が生じるため、ヘッドのフェロ−マンガン−アルミ合金の表面の油脂、酸化層または不純物を徹底的に除去する。また、本発明における電解の段階の処理時間は好ましくは30秒から2分まで制御することにより、上記アルカリ性溶液がフェロ−マンガン−アルミ合金のアルミ元素を過度に侵蝕することにより孔食(pitting)が生じるのを避けることができる。
【0019】
上記第四段階におけるアルカリ性溶液による電解を経た後、残留のアルカリ性溶液がフェロ−マンガン−アルミ合金を過度に侵蝕することによりその表面に孔食が生じるのを避けるべく、本発明のフェロ−マンガン−アルミ合金を酸性溶液に浸して上記アルカリ性溶液を中和する。上記電解の段階を完成した後、清水を利用してヘッドを洗浄し、それからフェロ−マンガン−アルミ合金を酸性溶液に浸し、時間が約1分間以下である。また、上記酸性溶液の濃度は好ましくは10%以下の塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、弗化水素酸または上記グループによる組合せからなる。
【0020】
再び図1を参照すると、本発明の実施例のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法の第五段階は、ヘッドの表面に対してめっきを行う。製品の使用上の需要性に応じて適当なめっき方法を選ぶことができ、例えば一般のめっき(metal electroplating)、無電解めっき(electroless plating)、物理的蒸着(PVD, physical vapor deposition)またはイオンめっき(IP, ion plating)などのめっき方法。通常として、ヘッドのフェロ−マンガン−アルミ合金の表面にはクロムのめっき層が最もよく形成される。クロムのめっき層を行う場合、先ず一般のめっきまたは無電解めっきの方式を利用してフェロ−マンガン−アルミ合金の表面においてニッケルのめっき層をめっきすることにより、上記フェロ−マンガン−アルミ合金の表面とは比較的よい初歩的な付着が形成される。それから、ニッケルのめっき層の表面において従来のクロムの製造工程を行う。これにより、後続において一般のめっきまたは無電解めっきの方式を利用してクロムのめっき層をめっきするのに大変有利になるため、クロムのめっき層の付着性を確実かつ有効に高めることができる。また、本発明におけるヘッドのフェロ−マンガン−アルミ合金の表面が上記第一から第四段階による前処理を経た後、フェロ−マンガン−アルミ合金の表面にはニッケルとクロムをめっきする他に、使用上の需要性に応じてその他の金属を選択することができ、例えばニッケル、亜鉛、銅、マグネシウム、チタン、金、銀、プラチナ、コバルトなどを選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
上述の如く、図2に示す従来のゴルフクラブヘッドの表面めっき処理方法によれば、酸性溶液による電解を利用してヘッドのフェロ−マンガン−アルミ合金の表面を活性化することができないだけではなく、反対にフェロ−マンガン−アルミ合金の表面には鈍化などの欠点が生じてしまうという問題点があったが、図1に示す本発明のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法によれば、高濃度のアルカリ性溶液による電解を利用してヘッドのフェロ−マンガン−アルミ合金の表面を確実に活性化することにより、酸化層を有効に除去し、さらに後続のめっき層の付着性を高めることができるため、めっき層の品質を高め、めっき層の剥げ落ちを減らし、さらにヘッドの使用寿命を相対的に延ばすことができる。
【0022】
本発明は、その精神及び必須の特徴事項から逸脱することなく他のやり方で実施することができる。従って、本明細書に記載した好ましい実施例は例示的なものであり、限定的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法のブロック図である。
【図2】従来の合金の表面めっき処理方法のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)フェロ−マンガン−アルミ合金の表面を洗浄する段階と、
b)アルカリ性溶液を利用してフェロ−マンガン−アルミ合金の表面の油脂を除去すると同時に、フェロ−マンガン−アルミ合金の表面を活性化する段階と、
c)アルカリ性溶液の電解方式を利用してフェロ−マンガン−アルミ合金の表面を活性化する段階と、
d)フェロ−マンガン−アルミ合金の表面に対してめっきを行う段階と、
を含む、フェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項2】
上記油脂を除去するアルカリ性溶液は水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜燐酸ナトリウムまたは上記グループによる組合せからなることを特徴とする請求項1記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項3】
上記油脂を除去する段階は加熱の下でアルカリ性溶液による脱脂を行うことを特徴とする請求項1記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項4】
上記アルカリ性溶液の濃度は30%から85%であることを特徴とする請求項2記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項5】
上記加熱の温度は40℃から85℃の間に介在することを特徴とする請求項3記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項6】
上記フェロ−マンガン−アルミ合金の表面を電解するアルカリ性溶液は水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜燐酸ナトリウムまたは上記グループによる組合せからなることを特徴とする請求項1記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項7】
上記アルカリ性溶液の濃度は20%から80%であることを特徴とする請求項6記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項8】
上記フェロ−マンガン−アルミ合金を活性化する段階は加熱の下で行うことを特徴とする請求項1記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項9】
上記加熱の温度は40℃から85℃の間に介在することを特徴とする請求項8記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項10】
上記フェロ−マンガン−アルミ合金の表面を活性化する時、同時に超音波を利用して上記アルカリ性溶液を振動することを特徴とする請求項1記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項11】
上記超音波による活性化段階の操作時間は5分から15分まで介在することを特徴とする請求項10記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項12】
上記フェロ−マンガン−アルミ合金の表面を洗浄するのに有機溶剤が利用されることを特徴とする請求項1記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項13】
上記アルカリ性溶液が脱脂した後、およびフェロ−マンガン−アルミ合金を電解する前、フェロ−マンガン−アルミ合金を酸性溶液に入れて全ての表面を浸して静かに放置することにより、上記金属の酸化物、水酸化物と塩基類を除去することを特徴とする請求項1記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項14】
上記フェロ−マンガン−アルミ合金の酸性溶液による垢消しの段階は加熱の下で行うことを特徴とする請求項13記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項15】
上記酸性溶液は塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、弗化水素酸または上記グループによる組合せからなることを特徴とする請求項13記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項16】
上記電解を利用してフェロ−マンガン−アルミ合金を活性化した後、フェロ−マンガン−アルミ合金を酸性溶液に浸して上記アルカリ性を中和することを特徴とする請求項1記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項17】
上記酸性溶液の濃度は10%以下であることを特徴とする請求項16記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項18】
上記酸性溶液は塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、弗化水素酸または上記グループによる組合せからなることを特徴とする請求項16記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項19】
上記フェロ−マンガン−アルミ合金の表面を洗浄するのに超音波による振動が利用されることを特徴とする請求項1記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。
【請求項20】
上記フェロ−マンガン−アルミ合金はゴルフクラブヘッドであることを特徴とする請求項1記載のフェロ−マンガン−アルミ合金の表面めっき処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−9102(P2006−9102A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188904(P2004−188904)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(504173253)
【Fターム(参考)】