説明

フェロマンガン微粉、フェロクロム微粉及びフェロシリコン微粉などの合金鉄微粉の塊体形成方法

10mmサイズ未満の合金鉄微粉を準備するステップと、3mm未満のサイズの部分を篩い分けし、3mm未満の微粉を作るために3mm〜10mmの部分を破壊するステップと、結果として得られた微粉を容器内でフェノール・ホルムアルデヒド・レゾール樹脂バインダと混合するステップと、混合された微粉を塊体形成のためにバッチ式で圧縮機械で成形するステップと、塊体を温度範囲150℃〜200℃に維持される炉内で約60分〜90分間加熱して硬化させるステップとを含む、フェロマンガン微粉、フェロクロム微粉及びフェロシリコン微粉などの合金鉄微粉の塊体の形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェロマンガン微粉、フェロシリコン微粉、ケイ素マンガン微粉及びフェロクロム微粉などの合金鉄微粉の塊体を形成する方法に関するものである。より詳しくは、本発明は、整粒されたフェロマンガンのケーキからフェロマンガン微粉の塊体を形成する方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
平炉でより良好な品質の鋼を製造するために、シリコン、クロム、リン等を、投入量の少ない場合は5パーセントから多い場合は85パーセントまでを含む合金鉄の形態で、装填物、浴、取鍋及び鋳型に加えることが必要である。重要な合金鉄の物品は、通常電気炉で製造されるフェロシリコン、高炭素フェロマンガン及びフェロクロム、ケイ素マンガン、及びカルシウムシリサイド(calcium silicide)である。しかし、低品位の合金鉄は、溶鉱炉でシリコン、マンガン又はクロムを含有する鉱石又は精鉱からより安価に生産される。そのような合金鉄は、ケーキ(固まり)の形態で生産される。フェロマンガン、フェロシリコン又はフェロクロムなどの合金鉄ケーキは一般に、10mm〜150mmのサイズの小片に小さく割られる。異なるサイズの小片を破壊することにより10mm未満のサイズの合金鉄微粉が発生する。このようにして生じた合金鉄微粉は、相対的に安価である。
【0003】
最新技術では、造粒(nodulizing)、ペレタイジング又はブリケット化及び焼結の手段による鉱石及び精鉱の塊体の形成が知られている。しかし、合金鉄微粉の塊体の形成は、この技術分野では未だ開発途上である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、より安価な合金鉄を製造するために、フェロアロイ微粉、具体的にはフェロマンガン微粉、フェロクロム微粉及びフェロシリコン微粉を塊体に形成する方法を提案することが本発明の1つの目的である。
【0005】
本発明の別の目的は、微粉を収用整粒し、この微粉を特定のバインダと混合し成形することによる、合金鉄微粉からの塊体形成を開発することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、試験評価によって、従来型のケイ酸ナトリウム又はベントナイト・バインダとは異なる材料特性を有する、塊体の形成のための具体的なバインダを選択することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
提案される本発明は、Fe−Mn微粉の塊体の形成のための一具体例によって例示されるが、フェロマンガン微粉塊体の形成に関して開示される方法と同じステップ及び条件で、Fe−Si及びFe−Cr微粉を塊体形成するのにも適用可能である。
【0008】
鉱石微粉の塊体の形成のための、市販の様々な種類のバインダが存在する。フェロマンガン微粉(0mm〜3mm)の性質は鉄鉱石の性質と極めて異なり、従来型のバインダ(ケイ酸ナトリウム又はベントナイト)および公知の方法では、プラント規模動作のための適切な取り扱い特性(タンブラー指数(Tumbler Index)、圧縮強度及び引張強さ)を有する合金鉄の塊体を生産できない。本発明によれば、所望の強度を得るための特性試験により、樹脂用のフェノール・ホルムアルデヒド(Phenolformaldehyde)が、塊体の形成のためのフェロマンガン微粉(0mm〜3mm)用のバインダとして選択されて使用される。
【0009】
重量%で2%〜10%の範囲の様々な比率のバインダがフェロマンガン微粉について試験され、3%〜5%のバインダ含有量が最小のコストで所望の特性を達成するのに最適な含有量であることが見出された。
【0010】
したがって、合金鉄ケーキを3mmサイズまで破壊するステップと、タンブラー指数による所望の強度、すなわち圧縮強度及び引張強さを有する塊体の特性評価により選択されたフェノール・ホルムアルデヒド樹脂(レゾール樹脂(Resol Resin))などのバインダを少なくとも混合するステップと、少なくとも5トンの荷重能力の圧縮機械でこの混合物を成形するステップと、150℃〜200℃に維持された炉内で、60分〜90分間この成形体を硬化させるステップとを含む、合金鉄微粉の塊体の形成の方法が提供される。
【0011】
この提案される発明は、添付の図面からより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】所望の強度を有するフェロマンガン塊体を生産するための方法の流れ図。
【実施例】
【0013】
図1に示す合金鉄微粉の塊体の形成のステップは以下の通りである。
a.整粒し、必要以上に大きい(>3mm)粒を破壊するステップ。鋳込まれたフェロマンガン・ケーキの整粒工程では、10mm未満の材料は合金鉄産業では微粉と呼ばれる。3mm未満の微粉は直接塊体化することができるが、3mm超の微粉は従来型の塊体の形成方法によって適切に塊体化することができず、3mm未満のサイズ範囲に小さくするために破壊することが必要である。
b.バインダ混合ステップ。バインダが材料内で適切に分布するために重量%のバインダが微粉と混合される。バインダの特性は表1に与えられる。
【0014】
【表1】

【0015】
c.成形ステップ。60グラム〜80グラムの混合された材料が3cmの直径の金型内に入れられ、最大5トンの荷重の圧縮機械を使用して成形される。作製された塊体が取り出され、次の処理のために貯蔵される。
この塊体のグリーン強度は500cm高さからの7回の落下に耐えるものである。この塊体は、直径3cmで長さ2.0cmの円筒状ブリケットである。
d.硬化処理ステップ。作製された塊体は、150℃〜200℃で60分〜90分間硬化処理される。次いでこの製品は貯蔵され、フェロマンガン小片の代わりに使用できる。
e.試験ステップ。この塊体化された材料の取り扱い特性は、プラント規模の動作で極めて重要な役割を演じ、微粉の発生は好ましくない。この塊体の圧縮強さは、UTM機械を使用して試験され、その特性は以下に表2に記載されている。
【0016】
【表2】

【0017】
本発明により生産されたフェロマンガンの結果として得られた塊体と、公知のフェロマンガン小片との強度特性の比較試験結果を以下に表3に列挙する。
【0018】
【表3】

【0019】
本発明の利点
本発明により作製された塊体は、フェロマンガン小片の代替品として使用できる。この塊体の物理的特性は、市販のフェロマンガン小片と同程度である。これらの塊体は、取鍋容器内での鋼の精錬などの工程で使用ができる。塊体の嵩密度は、5208kg/m〜5210kg/mであることが分かっており、それらはスラグ上に浮かばず、金属内に適切に沈み、より良好な溶解特性を示す。材料の圧縮強度及びタンブラー指数(TI)は輸送網に適しており、必要以上の微粉を発生させない。
【0020】
本明細書で順序立てて述べた提案される本発明は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲及び領域内で、方法ステップ及び方法条件に関して様々な適応、改変及び変更が可能なので、限定的に読むべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェロマンガン微粉、フェロクロム微粉及びフェロシリコン微粉などの合金鉄微粉の塊体形成方法において、該塊体形成方法が、
10mm未満のサイズの合金鉄微粉を準備するステップと、
3mm未満のサイズの部分を篩い分けし、3mm〜10mmの部分を3mm未満の微粉をつくるために粉砕するステップと、
結果として得られた微粉を容器内でフェノール・ホルムアルデヒド・レゾール樹脂バインダと混合するステップと、
前記混合された微粉をバッチで圧縮機械により成形して塊体を形成するステップと、
前記塊体を150℃〜200℃の温度範囲に維持された炉内で約60分〜90分間加熱して硬化させるステップと
を含む、合金鉄微粉の塊体形成方法。
【請求項2】
前記バインダとして、PH(1%溶液)7.15、比重1.18、固形分含有量70.65%、25℃での最小粘度200cps、及び炭素38%を有するフェノール・ホルムアルデヒド樹脂(レゾール樹脂)が選択される、請求項1に記載された合金鉄微粉の塊体形成方法。
【請求項3】
前記バインダが重量で3%〜5%の比率で前記合金鉄微粉と混合される、請求項1又は請求項2に記載された合金鉄微粉の塊体形成方法。
【請求項4】
前記混合された微粉が、500cm高さからの7回の落下に耐えるグリーン強度を有する前記塊体を得るように、前記圧縮機械で成形される、請求項1に記載された合金鉄微粉の塊体形成方法。
【請求項5】
前記硬化された塊体が、直径3cmで高さ2cmのサイズの円筒形であり、面積0.0007065、体積0.000014、重量0.073グラム、嵩密度5208kg/m〜5210kg/m、破壊荷重39,000ニュートン、圧縮強度55Mpa、タンブラー・インデックス94%、アブレーション・インデックス3%を有する、請求項1に記載された合金鉄微粉の塊体形成方法。
【請求項6】
前記塊体が、55MPa〜70MPaの圧縮強度、および5208kg/M〜5210kg/Mの嵩密度を有する、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された合金鉄微粉の塊体形成方法。

【公表番号】特表2012−504189(P2012−504189A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528497(P2011−528497)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/IN2009/000532
【国際公開番号】WO2010/035289
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(508029516)タータ スチール リミテッド (5)
【Fターム(参考)】