フェンス
【課題】従来のフェンスは、そのフェンス面が金属製のメッシュやパネルを用いており、重く取扱いが容易ではなかった。そこで、金属製のメッシュやパネルに代えてシート状部材を用いたフェンスが提案されている。しかしながら、これらのシート状部材を用いたフェンスは、特有の部材や複雑な構造を採用すること等により価格が高く普及に至らないという問題がある。
【解決手段】上記課題を解決するために、固定枠と、固定枠に沿って配置され複数に分割された張設枠と、張設枠で外周を保持された張設材とからなるフェンスなどを提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、固定枠と、固定枠に沿って配置され複数に分割された張設枠と、張設枠で外周を保持された張設材とからなるフェンスなどを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事や建設工事などの工事現場において、その周囲に巡らせて立ち入りを規制するためなどに用いられるフェンスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフェンスは、金属製の枠体に金属製のパネルや柵体などを取り付けてフェンス面としたものであった。このようなフェンスは、すべて金属により作られているため重く取扱いが容易ではなかった。
【0003】
そこで、特許文献1には、金属製のパネルや柵体に換えて、金属製の枠体にメッシュシートを展張することでフェンス面を構成する仮設フェンスに係る考案が開示されている。これにより、運搬などの取り扱いを容易にすることが可能となっている。
【0004】
上記考案においては、メッシュシートを枠体に展張するにあたり、メッシュシートの周縁に設けられる穴を、枠体に設けられるフックに掛止するように構成されている。したがって、十分にメッシュシートが張られた状態となるように掛止するためには相当の力が必要となり展張や張り替えの作業は容易ではない。一方、作業の容易さを優先して掛止し易いように孔とフックの相対位置を調整した場合には、展張した際にメッシュシートに弛みが生じてしまう。
【0005】
そこで、特許文献2には、フェンス面を構成するシート状部材の両側縁部を一対の添設部材で把持し、この添設部材を、連結用ボルトを介してシート状部材の両側に位置する支柱部材に連結する発明が開示されている。連結用ボルトを締め付けることにより、適宜十分な張力をシート状部材に与えることで弛みが生じないようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平7−26516号公報
【特許文献2】特開2002−69934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の金属製のフェンスにおける問題点を解消するための技術が少なからず提案されている。しかしながら、金属製のパネルに換えてシート状部材などをフェンス面とするフェンスは普及しておらず、相変わらず従来のフェンスが使用されているのが現状である。
【0008】
このような現状となっている最大の要因として、コストの問題がある。つまり、従来のフェンスと比較して価格が高いため普及しないのである。コストアップをもたらす原因は特有の部材を用いることや複雑な構造を採用することにある。例えば、上記特許文献2における添設部材は特有の形状を有するものであり、そのための金型の製作や、既存の製品や部材を流用することができないなどの諸要因により、低廉な価格で提供することが困難となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、上記課題を解決するために本発明において、以下のフェンスを提供する。すなわち、第一の発明としては、固定枠と、固定枠に沿って配置され複数に分割された張設枠と、張設枠で外周を保持された張設材と、からなるフェンスを提供する。
【0010】
第二の発明としては、張設材の外周縁の全部又は一部は筒状であり前記張設枠は筒状の部分に挿通されて保持されている第一の発明に記載のフェンスを提供する。
【0011】
第三の発明としては、張設材は座布団の袋の四隅に穴をあけたような袋体であり、前記張設枠は袋体内の各縁にそって配置される第一の発明に記載のフェンスを提供する。
【0012】
第四の発明としては、張設枠と固定枠とは着脱機構により着脱自在であり、この着脱機構は、張設枠を固定枠に配置するために仮配置と本配置が可能であり、仮配置から本配置にかけて張設材に対する張力が大きくなるように構成されている第一の発明から第三の発明のいずれか一に記載のフェンスを提供する。
【0013】
第五の発明としては、前記着脱機構は張設材に対して直交する二つの方向から張力を大きくできるように構成されている第四の発明に記載のフェンスを提供する。
【0014】
第六の発明としては、前記固定枠又は/及び張設枠は発光機能を備えている第一の発明から第五の発明のいずれか一に記載のフェンスを提供する。
【0015】
第七の発明としては、前記複数に分割された張設枠に代えて、分割されていない、又は結合された伸縮性を有する一体張設枠とした第一の発明から第六の発明のいずれか一に記載のフェンスを提供する。
【0016】
第八の発明としては、固定枠と、固定枠に沿って配置される内枠と、内枠で外周を保持された面材とからなるフェンスを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、簡易な構造で枠体にシート状の部材を張設することのできるフェンスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1に係るフェンスの概念図
【図2】実施形態1に係る張設枠と張設材の概念図
【図3】実施形態1に係る固定枠、張設枠、張設材の断面を示す概念図
【図4】実施形態1に係るフェンスの形状の例を示す概念図
【図5】実施形態1に係る張設枠の形状の例を示す概念図
【図6】実施形態1に係る外周縁を筒状とする張設材の概念図
【図7】スタンド及びスタンドを利用したフェンスの概念図
【図8】実施形態2に係る張設材の概念図
【図9】実施形態3に係るフェンスの概念図
【図10】実施形態4に係る張設枠の概念図
【図11】実施形態5に係る張設枠の概念図
【図12】実施形態5に係る張設枠の概念図
【図13】実施形態6に係るフェンスの概念図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0020】
実施形態1は、主に請求項1、請求項2などに関する。実施形態2は、主に請求項3などに関する。実施形態3は、主に請求項4、請求項5などに関する。実施形態4は、主に実施形態6に関する。実施形態5は、主に請求項7などに関する。実施形態6は、主に請求項8などに関する。
<実施形態1>
<実施形態1 概要>
【0021】
本実施形態の概念図を図1に示す。フェンスの固定枠(0101)に沿って分割された張設枠(0102)が複数配置される。図におけるフェンスは略四角形の形状となっており、四つの各辺に沿って四つに分割された張設枠が配置されている。張設枠は張設材(0103)の外周を保持しつつ固定枠に沿って配置される。図1下方に記したのは、フェンスの正面図におけるA−A線における断面図である。張設材(0103)はその外周を張設枠(0102)に巻き付けるようにして保持されている。そして、張設枠は、張設材を保持しつつ固定枠(0101)に配置される。張設枠を分割して複数配置することにより、張設材に対して上下方向および左右方向の張力を付与することができ、張りのあるフェンス面を構成することができる。
<実施形態1 構成>
【0022】
本実施形態のフェンスは、固定枠と、固定枠に沿って配置され複数に分割された張設枠と、張設枠で外周を保持された張設材とからなる。「固定枠」とは、フェンスの外形を構成するものであり、少なくとも一の閉じられた領域を構成するものである。すなわち、図1においては、略長方形の閉じられた領域が固定枠により構成されている。また、フェンスには設置の便宜のため脚が設けられることが多く、固定枠を、この脚を含むものとしてもよい。
【0023】
図2を用いて、さらに張設枠と張設材について説明する。図2は、本実施形態のフェンスにおける張設枠の作用を説明するための図である。固定枠(0201)により構成される閉じられた領域は略長方形である。四つに分割された張設枠の各々(0202〜0205)は、固定枠により構成される略長方形の各辺に沿って配置される。そして、張設枠は張設材(0206)の外周を保持する。
【0024】
図2においては、張設材を保持する張設枠を固定枠の内側から配置する態様を示している。この際に、固定枠の各辺に対応する張設枠は、固定枠に配置されることにより保持する張設材を上下および左右の相対する方向へ引っ張ることになる。このようにして配置される張設枠により、張設材に対して直交する二つの方向に張力を付与することができ張りのあるフェンス面を構成することができる。なお、「固定枠に沿って配置」とは、必ずしも固定枠の内側に配置することのみを意味するものではなく、固定枠の外側に配置するなどしてもよい。
【0025】
図3は、張設枠を固定枠の内側に沿って配置する態様の一例を示す断面図である。張設材(0303)を保持する張設枠(0302)には、ネジを挿通するための孔が設けられるとともにナット(0304)が設けられる。そして、同様の孔を設けた固定枠(0301)を介して張設枠をネジで締める。すると、ネジを締めるとともに張設枠は固定枠に引きつけられて配置される。このときに張設枠に保持される張設材も固定枠に引きつけられることで張力が付与される。なお、図2においては、上下、左右の四方向に対して引き付けることを矢印により記しているが、ネジによる締め付けを行う箇所はその四辺のすべてに限られるものではなく、上下の辺のいずれか一方と左右の辺のいずれか一方において設けることで、同様の作用を得ることができる。
【0026】
張設枠が張設材を保持する態様は種々あり得るが、例えば、図1や図3に示したように張設材の外周を張設枠に巻きつけるようにして固定し保持するようにしてもよい。また、張設材を張設枠に接着して保持してもよく、あるいは、ネジやリベットなどの部材を用いて保持するようにしてもよい。また、張設材の外周部分を多層に折りたたみ板状としたり筒状になるように巻いたりして張設枠の機能をも備えるようにすることで、張設材と張設枠とを一体的に構成し、あるいは、同質材料にてそれらを構成するようにしてもよい。
【0027】
「張設材」(0206)は、張設枠にその外周が保持される。そして、張設枠が固定枠に沿って配置されることにより張力が付与されフェンス面を構成する。「フェンス面」とは、固定枠が構成する閉じられた領域の一部又は全部を覆う面であり、固定枠を含めて覆う面であってもよい。張設材は、例えば、合成樹脂製のシートなどを用いることができる。また、フェンスの用途に応じた張設材を用いることができる。フェンスの用途としては、仮囲いや目隠しの他、防風、防音、防雪、防砂、防塵、防炎など多様である。張設材は、これらの用途に応じた材質からなるものを用いることができる。また、張設材の一部にファスナーなどを設けることにより開閉自在にすることで出入り可能なフェンス面としてもよい。また、張設材に草木や花などの絵や写真を描画・印刷等したうえで、草木や花が描かれた位置にそれらに応じた香りを染み込ませておいてもよい。あるいは、フェンスに囲われた内側から張設材に向けてプロジェクター等を用いて、工事案内や広告などの画像を投影するようにしてもよい。このように張設材を活用することにより、目隠しや防塵などの機能を発揮することに加えて工事現場の景観向上やイメージアップに資することが可能である。
【0028】
また、張設材は、シート状の部材に限らず、複数の板状部材を連結等して張設材としてもよい。この場合には、連結のための部材に伸縮性を備えたものを用いることにより、複数の板状部材からなる張設材に対してこれを張設枠とともに固定枠に配置した際に張力を付与することができ、張りのあるフェンス面を構成することができる。
【0029】
固定枠の形状は、図1に示すような略四角形に限られない。図4に他の形状の固定枠を用いたフェンスの概念図を示す。図4(a)は、円形の固定枠を用いたフェンスである。円形の固定枠(0401)の内側に沿って四つに分割された張設枠(0402〜0405)が配置される。図4(b)は、三角形の固定枠を用いたフェンスである。三角形の固定枠(0411)の内側に沿って三つに分割された張設枠(0412〜0414)が配置される。また、この他にも、例えば、五角形や六角形などの多角形、あるいは楕円形などとすることができ、フェンスの用途等に応じて定めることができる。なお、固定枠は、図1などに示すような平面状である場合に限られず、曲面状であってもよい。また、固定枠の全部又は一部を蛇腹のようにして形状の変化が可能なように構成することで多様なフェンス面を形成することができる。
【0030】
図5は、張設枠の形状の例を示すものである。張設枠の形状は柱状に限られるものではなく、板状部材を折り曲げたり湾曲させたりしたものを用いてもよい。例えば、図5(a)は、板状部材をコの字型に折り曲げて形成した張設枠(0502)と、固定枠(0501)及び張設材(0503)を示すものである。また、図5(b)は、同様に湾曲させて形成した張設枠(0512)などを示すものである。このように形成された張設枠は、金型などを用いることなく容易かつ廉価に作ることが可能となる。また、湾曲させた場合には、張設枠に角がなくなり、張設材に対して摩擦などによる損傷を与えにくくなる。
【0031】
図6は、張設材の外周縁の一部を筒状とした態様を示す概念図である。図6(a)は、この張設材を構成するためのシート状部材の展開図を示したものである。シート状部材(0601)は、折り線(0602、0603)で折り返すことで、四隅を欠いた四角形となるように形成される。この四角形の各辺に相当する折り線にて折返し、さらに、接着部分(0604、0605)にて接着する。同様に各辺においても接着する。このようにすると、図6(b)に示すように四隅を欠いた四角形の外周縁が折返して接着(0612)されることで筒状となる。このような張設材(0611)の外周縁の筒状部分に、その開口(0613、0615)から張設枠(0614、0616)を挿通することで張設材は保持される。なお、予め張設枠を筒状部分に挿通するなどして、張設材の外周面の全部が筒状となるようにしてもよい。
【0032】
上記の四隅を欠く形状は図示したように直角に切り欠くことに限られるものではなく、筒状部分に張設枠を挿通できるように開口させるものであればどのような形状でもよい。また、開口のために欠く部分は四隅に限られるものではなく、二つの隅を欠き、それぞれの欠いた部分から二本ずつ張設枠を挿通してもよい。また、図4(a)に示したような円形の固定枠の場合には、筒状の外周縁の一部分を開口することで複数の張設枠を順次挿通することもできる。
【0033】
このように、張設枠を張設材の外周縁の筒状部分に挿通させて固定枠に配置することで、接着等により張設材を張設枠に保持させることなく、張設枠を固定枠に配置することで張設材を引っ張りつつ保持することができる。また、張設材と張設枠との分離が容易なため、張設材の交換や保管なども容易に行うことができる。なお、本実施形態のフェンスにおいて、張設枠と固定枠の他にフェンスの補強など種々の目的のための第三の枠が含まれることを妨げるものではない。
【0034】
本実施形態のフェンスを複数用いる場合には、例えば、図7に示すようなスタンドを利用することができる。図7は、スタンド及びスタンドを利用したフェンスの概念図を示すものである。スタンド(0701)は、フェンス(0704)の固定枠が管状になっている場合には、その開口部に挿通できるような突起(0702、0703)を備える。図では、一のスタンド(0701)に二のフェンス(0704、0705)を立てることができ、同様に一のスタンド(0701)に二のフェンス(0705、0706)を立てることができ複数のフェンスを略面一に配置することができる。また、直交するように配置することもできる。スタンドの突起の数を3つや4つにすることで、一のスタンドに立たせることのできるフェンスの数を増やすこともできる。突起の数や位置は適宜定めることができ、これにより、様々な態様にてフェンスを配置することができる。
<実施形態1 効果>
【0035】
本実施形態のフェンスにより、簡易な構造で十分な張力を張設材に与えることのできるフェンスを提供することができる。
<実施形態2>
<実施形態2 概要>
【0036】
本実施形態は、実施形態1を基本とし、張設材を座布団の袋の四隅に穴をあけたような袋体とするものである。張設材を袋体とすることで、袋体の前面側と背面側とをそれぞれフェンス面とすることができ、防風や防砂などのフェンスの効果を増加させることができる。また、張設材の内部に空間が生じることになり、例えば、防音材などを充填することができる。
<実施形態2 構成>
【0037】
本実施形態の張設材は、座布団の袋の四隅に穴をあけたような袋体であり、張設枠は袋体内の各縁にそって配置される。図8は、本実施形態の張設材を示す概念図である。張設材(0801)は、略直方体の四隅(0802〜0805)を四角に切り欠いて開口させた形状の袋体としている。「座布団の袋の四隅に穴をあけたような袋体」とは、四角形の袋における四つの隅、すなわち、四角形の角の部分に穴をあけたものである。図7においては、説明の便宜のため当該袋体を略直方体の四隅に穴をあけたように示しているが、このような形状を袋体自身が維持することを示すものではない。このような張設材は、例えば、略同じ大きさの四角形のシート状部材を二枚重ねて、その外周縁を接着等することにより袋にして四隅に穴をあけてもよいし、あるいは、一枚のシート状部材を折返し、その外周縁を接着等して四隅に穴をあけて形成してもよい。
【0038】
張設枠(0806)は、例えば、穴があけられた四隅のいずれか(0805)から袋体の中に入れ、袋体内の各縁に配置される。なお、あけられる穴は、図示したような四角に切り欠いてなるものに限られず、張設枠が入るようにあけられていればよい。
【0039】
このような袋体を張設材に用いることにより、袋体の表面側と背面側とをそれぞれフェンス面とすることができ、一枚のフェンス面の場合に比較して防風や防砂などの効果をより高めることが可能となる。また、異なる性能のシート状部材をそれぞれフェンスの表面と背面とになるように袋体を構成することにより、一のフェンスで二つの効果を発揮し得る。
【0040】
また、張設材を袋体とすることで、袋の内部に防音材や防炎材などを充填することができ、それら充填材による効果をも発揮することが可能となる。
【0041】
なお、本実施形態においては、とくに四隅に穴をあけた袋体の張設材について説明したが、穴をあける位置を四隅に限定せず、張設枠を袋体内に入れることのできる一又は複数の穴をあけた張設材を備えるフェンスを他の実施形態とすることもできる。
<実施形態2 効果>
【0042】
本実施形態のフェンスにより、防音や防風などの効果をより高めることのできるフェンスを提供することが可能となる。
<実施形態3>
<実施形態3 概要>
【0043】
本実施形態のフェンスは、実施形態1又は2を基本とし、張設枠と固定枠とは着脱機構により着脱自在に構成される。この着脱機構により、張設枠を固定枠に配置する作業が容易に行えるとともに、十分な張力を張設材に付与して配置することができる。
<実施形態3 構成>
【0044】
本実施形態のフェンスは、張設枠と固定枠とが着脱機構により着脱自在であり、この着脱機構は、張設枠を固定枠に配置するために仮配置と本配置が可能であり、仮配置から本配置にかけて張設材に対する張力が大きくなるように構成されている。
【0045】
図9は、本実施形態のフェンスの概念図である。図9(a)は、張設枠を仮配置した状態であり、図9(b)は、張設枠を本配置した状態である。仮配置とは、張設材を保持する張設枠を、配置すべき固定枠に対して仮に配置することである。そして、本配置とは、フェンスとして使用するにあたり、張設材が十分に張られる状態で張設枠が固定枠に配置されることである。張設材(0903)を保持する張設枠(0902)と固定枠(0901)とは、着脱機構(0904、0905)により着脱自在である。この着脱機構は、固定枠の各辺に設けられることが好ましい。着脱機構は、例えば、レバーを倒すことにより張設枠を固定枠に引き付けて配置するように構成される。このような着脱機構は種々の公知技術により構成することができる。
【0046】
着脱機構は、仮配置から本配置にかけて張設枠を固定枠に引きつけるように構成されることから、張設枠が保持する張設材に対する張力が大きくなる。これにより、本配置されるときに張りのあるフェンス面が構成される。
【0047】
また、固定枠が四角形の場合には、対向する上下辺および対向する左右辺に着脱機構を設けることにより、張設材に対して上下方向の張力と左右方向の張力とを与えることができ、それぞれの張力は直交する方向に作用する。これにより、張設材に対して万遍なく張力が働き、弛みなどのない張りのあるフェンス面を構成することができる。
<実施形態3 効果>
【0048】
本実施形態のフェンスにより、張設枠を本配置することが容易になり、さらに、弛みなどのない張りのあるフェンス面を構成することができる。
<実施形態4>
<実施形態4 概要>
【0049】
本実施形態のフェンスは、固定枠又は/及び張設枠が発光機能を備えることにより夜間などのように周囲が暗い場合であっても視認性に優れるフェンスが実現する。
<実施形態4 構成>
【0050】
本実施形態のフェンスは、実施形態1から3のいずれかを基本とし、固定枠又は/及び張設枠は発光機能を備えるものである。
【0051】
図10は、本実施形態の張設枠を示す概念図である。図10(a)は、角柱状の張設枠を用いたものである。固定枠(1001)の内側に配置される張設枠(1002)には、発光機能を有するLED(1003)が複数備えられる。LED以外の他の電球等により発光させてもよい。また、蓄光材や蛍光材などを張設枠に設けて発光機能を備えさせてもよい。発光機能は、対向して配置される張設枠に向けて備えられることが、張設材を照らすうえで好ましい。
【0052】
図10(b)は、湾曲した板状部材を張設枠に用いたものである。固定枠(1011)に配置される張設枠(1012)には、LED(1013)が設けられる。ここで、LEDが設けられる張設枠の表面(1014)を、鏡面状に仕上げることにより、この鏡面による反射光を利用することができ、さらに張設材を良好に照らすことができる。
【0053】
また、張設材を実施形態2で説明した座布団の四隅に穴をあけたような袋体のものとした場合には、張設材の内部から照らすことがででき、張設材の視認性がより高まる。
【0054】
なお、ここまで張設枠に発光機能を備える態様にて説明をしたが、例えば、張設枠が固定枠の外側に配置される場合などでは、張設材を照らすことができるように固定枠に発光機能を備えることが好ましい場合もある。したがって、張設材を良好に照らし得るように固定枠又は張設枠のいずれか、あるいは双方に発光機能を備えるものであればよい。
<実施形態4 効果>
【0055】
本実施形態のフェンスにより、周囲が暗い場合であっても視認性に優れるフェンスが実現する。
<実施形態5>
<実施形態5 概要>
【0056】
本実施形態は、張設枠が分割されずに一体的に形成されているものである。これにより、枠の形を維持した状態で張設枠を取り扱うことができる。
<実施形態5 構成>
【0057】
本実施形態のフェンスは、実施形態1から4における分割された張設枠に代えて、分割されていない、又は結合された伸縮性を有する一体張設枠としたフェンスである。
【0058】
図11は、本実施形態の張設枠を示す概念図である。張設枠(1101)は、角を丸くした略四角形をしており、その角を丸くした部分(1102〜1105)のそれぞれが伸縮性を有する部材により構成される。このように伸縮性を有する部材を張設枠の一部又は全部に用いることにより、張設材に張力を与えることができるとともに、張設枠を固定枠に配置しないときでも枠の形を維持することができる。したがって、張設材を保持したまま枠の形を維持しつつ取り扱うことが可能となり、フェンス面の交換や保管において便宜である。
【0059】
図12は、本実施形態の張設枠の他の態様を示す概念図である。管状部材を用いた四つの張設枠(1201〜1204)とそれらを連結する伸縮性の部材(1205〜1208)とからなる。この張設枠は、伸縮性の部材により一体的な張設枠を構成しつつ、張設枠により閉じられる領域を拡張するようにそれぞれの張設枠を外側に動かすことができる。これにより、張設材に張力を与えることができる。
<実施形態5 効果>
【0060】
本実施形態のフェンスにより、枠の形を維持した状態で張設枠を取り扱うことができる。
<実施形態6>
<実施形態6 概要>
【0061】
本実施形態は、パネルや金網などのフェンスの面を構成する部材を保持する内枠と、この内枠が配置される固定枠とからなるフェンスである。従来は防音や防塵などの用途ごとにフェンスを作る必要があったが、用途に応じた内枠を配置することで固定枠はそのままで用途に応じたフェンスが実現する。
<実施形態6 構成>
【0062】
本実施形態のフェンスは、固定枠と、固定枠に沿って配置される内枠と、内枠で外周を保持された面材とからなる。図13(a)は本実施形態のフェンスの概念図である。「固定枠」(1301)は、基本的に実施形態1などにおける固定枠と同様である。「内枠」(1302)は、固定枠にそって配置される。図においては固定枠の内側にそって配置される。「面材」(1303)は、その外周を内枠により保持される。面材は、例えば、仮囲いや目隠しの他、防風、防音、防雪、防砂、防塵、防炎などの用途に応じて適宜定めることができる。例えば、防音のためであれば、防音材を充填した板状部材を面材とすることができる。
【0063】
固定枠に内枠を配置するにあたり、ネジなどを用いて取付け及び取外しを自在に配置することが好ましい。例えば、図13(b)に示すように、メッシュ状の面材(1313)を保持する内枠(1312)や、柵状の面材(1323)を保持する内枠(1322)などのように種々の面材を保持する内枠を、用途等に応じて固定枠(1301)に配置することができる。
<実施形態6 効果>
【0064】
本実施形態のフェンスにより、用途に応じた内枠を配置することで固定枠はそのままで用途に応じたフェンスが実現する。
【符号の説明】
【0065】
0101 固定枠
0102 張設枠
0103 張設材
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事や建設工事などの工事現場において、その周囲に巡らせて立ち入りを規制するためなどに用いられるフェンスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフェンスは、金属製の枠体に金属製のパネルや柵体などを取り付けてフェンス面としたものであった。このようなフェンスは、すべて金属により作られているため重く取扱いが容易ではなかった。
【0003】
そこで、特許文献1には、金属製のパネルや柵体に換えて、金属製の枠体にメッシュシートを展張することでフェンス面を構成する仮設フェンスに係る考案が開示されている。これにより、運搬などの取り扱いを容易にすることが可能となっている。
【0004】
上記考案においては、メッシュシートを枠体に展張するにあたり、メッシュシートの周縁に設けられる穴を、枠体に設けられるフックに掛止するように構成されている。したがって、十分にメッシュシートが張られた状態となるように掛止するためには相当の力が必要となり展張や張り替えの作業は容易ではない。一方、作業の容易さを優先して掛止し易いように孔とフックの相対位置を調整した場合には、展張した際にメッシュシートに弛みが生じてしまう。
【0005】
そこで、特許文献2には、フェンス面を構成するシート状部材の両側縁部を一対の添設部材で把持し、この添設部材を、連結用ボルトを介してシート状部材の両側に位置する支柱部材に連結する発明が開示されている。連結用ボルトを締め付けることにより、適宜十分な張力をシート状部材に与えることで弛みが生じないようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平7−26516号公報
【特許文献2】特開2002−69934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の金属製のフェンスにおける問題点を解消するための技術が少なからず提案されている。しかしながら、金属製のパネルに換えてシート状部材などをフェンス面とするフェンスは普及しておらず、相変わらず従来のフェンスが使用されているのが現状である。
【0008】
このような現状となっている最大の要因として、コストの問題がある。つまり、従来のフェンスと比較して価格が高いため普及しないのである。コストアップをもたらす原因は特有の部材を用いることや複雑な構造を採用することにある。例えば、上記特許文献2における添設部材は特有の形状を有するものであり、そのための金型の製作や、既存の製品や部材を流用することができないなどの諸要因により、低廉な価格で提供することが困難となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、上記課題を解決するために本発明において、以下のフェンスを提供する。すなわち、第一の発明としては、固定枠と、固定枠に沿って配置され複数に分割された張設枠と、張設枠で外周を保持された張設材と、からなるフェンスを提供する。
【0010】
第二の発明としては、張設材の外周縁の全部又は一部は筒状であり前記張設枠は筒状の部分に挿通されて保持されている第一の発明に記載のフェンスを提供する。
【0011】
第三の発明としては、張設材は座布団の袋の四隅に穴をあけたような袋体であり、前記張設枠は袋体内の各縁にそって配置される第一の発明に記載のフェンスを提供する。
【0012】
第四の発明としては、張設枠と固定枠とは着脱機構により着脱自在であり、この着脱機構は、張設枠を固定枠に配置するために仮配置と本配置が可能であり、仮配置から本配置にかけて張設材に対する張力が大きくなるように構成されている第一の発明から第三の発明のいずれか一に記載のフェンスを提供する。
【0013】
第五の発明としては、前記着脱機構は張設材に対して直交する二つの方向から張力を大きくできるように構成されている第四の発明に記載のフェンスを提供する。
【0014】
第六の発明としては、前記固定枠又は/及び張設枠は発光機能を備えている第一の発明から第五の発明のいずれか一に記載のフェンスを提供する。
【0015】
第七の発明としては、前記複数に分割された張設枠に代えて、分割されていない、又は結合された伸縮性を有する一体張設枠とした第一の発明から第六の発明のいずれか一に記載のフェンスを提供する。
【0016】
第八の発明としては、固定枠と、固定枠に沿って配置される内枠と、内枠で外周を保持された面材とからなるフェンスを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、簡易な構造で枠体にシート状の部材を張設することのできるフェンスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1に係るフェンスの概念図
【図2】実施形態1に係る張設枠と張設材の概念図
【図3】実施形態1に係る固定枠、張設枠、張設材の断面を示す概念図
【図4】実施形態1に係るフェンスの形状の例を示す概念図
【図5】実施形態1に係る張設枠の形状の例を示す概念図
【図6】実施形態1に係る外周縁を筒状とする張設材の概念図
【図7】スタンド及びスタンドを利用したフェンスの概念図
【図8】実施形態2に係る張設材の概念図
【図9】実施形態3に係るフェンスの概念図
【図10】実施形態4に係る張設枠の概念図
【図11】実施形態5に係る張設枠の概念図
【図12】実施形態5に係る張設枠の概念図
【図13】実施形態6に係るフェンスの概念図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0020】
実施形態1は、主に請求項1、請求項2などに関する。実施形態2は、主に請求項3などに関する。実施形態3は、主に請求項4、請求項5などに関する。実施形態4は、主に実施形態6に関する。実施形態5は、主に請求項7などに関する。実施形態6は、主に請求項8などに関する。
<実施形態1>
<実施形態1 概要>
【0021】
本実施形態の概念図を図1に示す。フェンスの固定枠(0101)に沿って分割された張設枠(0102)が複数配置される。図におけるフェンスは略四角形の形状となっており、四つの各辺に沿って四つに分割された張設枠が配置されている。張設枠は張設材(0103)の外周を保持しつつ固定枠に沿って配置される。図1下方に記したのは、フェンスの正面図におけるA−A線における断面図である。張設材(0103)はその外周を張設枠(0102)に巻き付けるようにして保持されている。そして、張設枠は、張設材を保持しつつ固定枠(0101)に配置される。張設枠を分割して複数配置することにより、張設材に対して上下方向および左右方向の張力を付与することができ、張りのあるフェンス面を構成することができる。
<実施形態1 構成>
【0022】
本実施形態のフェンスは、固定枠と、固定枠に沿って配置され複数に分割された張設枠と、張設枠で外周を保持された張設材とからなる。「固定枠」とは、フェンスの外形を構成するものであり、少なくとも一の閉じられた領域を構成するものである。すなわち、図1においては、略長方形の閉じられた領域が固定枠により構成されている。また、フェンスには設置の便宜のため脚が設けられることが多く、固定枠を、この脚を含むものとしてもよい。
【0023】
図2を用いて、さらに張設枠と張設材について説明する。図2は、本実施形態のフェンスにおける張設枠の作用を説明するための図である。固定枠(0201)により構成される閉じられた領域は略長方形である。四つに分割された張設枠の各々(0202〜0205)は、固定枠により構成される略長方形の各辺に沿って配置される。そして、張設枠は張設材(0206)の外周を保持する。
【0024】
図2においては、張設材を保持する張設枠を固定枠の内側から配置する態様を示している。この際に、固定枠の各辺に対応する張設枠は、固定枠に配置されることにより保持する張設材を上下および左右の相対する方向へ引っ張ることになる。このようにして配置される張設枠により、張設材に対して直交する二つの方向に張力を付与することができ張りのあるフェンス面を構成することができる。なお、「固定枠に沿って配置」とは、必ずしも固定枠の内側に配置することのみを意味するものではなく、固定枠の外側に配置するなどしてもよい。
【0025】
図3は、張設枠を固定枠の内側に沿って配置する態様の一例を示す断面図である。張設材(0303)を保持する張設枠(0302)には、ネジを挿通するための孔が設けられるとともにナット(0304)が設けられる。そして、同様の孔を設けた固定枠(0301)を介して張設枠をネジで締める。すると、ネジを締めるとともに張設枠は固定枠に引きつけられて配置される。このときに張設枠に保持される張設材も固定枠に引きつけられることで張力が付与される。なお、図2においては、上下、左右の四方向に対して引き付けることを矢印により記しているが、ネジによる締め付けを行う箇所はその四辺のすべてに限られるものではなく、上下の辺のいずれか一方と左右の辺のいずれか一方において設けることで、同様の作用を得ることができる。
【0026】
張設枠が張設材を保持する態様は種々あり得るが、例えば、図1や図3に示したように張設材の外周を張設枠に巻きつけるようにして固定し保持するようにしてもよい。また、張設材を張設枠に接着して保持してもよく、あるいは、ネジやリベットなどの部材を用いて保持するようにしてもよい。また、張設材の外周部分を多層に折りたたみ板状としたり筒状になるように巻いたりして張設枠の機能をも備えるようにすることで、張設材と張設枠とを一体的に構成し、あるいは、同質材料にてそれらを構成するようにしてもよい。
【0027】
「張設材」(0206)は、張設枠にその外周が保持される。そして、張設枠が固定枠に沿って配置されることにより張力が付与されフェンス面を構成する。「フェンス面」とは、固定枠が構成する閉じられた領域の一部又は全部を覆う面であり、固定枠を含めて覆う面であってもよい。張設材は、例えば、合成樹脂製のシートなどを用いることができる。また、フェンスの用途に応じた張設材を用いることができる。フェンスの用途としては、仮囲いや目隠しの他、防風、防音、防雪、防砂、防塵、防炎など多様である。張設材は、これらの用途に応じた材質からなるものを用いることができる。また、張設材の一部にファスナーなどを設けることにより開閉自在にすることで出入り可能なフェンス面としてもよい。また、張設材に草木や花などの絵や写真を描画・印刷等したうえで、草木や花が描かれた位置にそれらに応じた香りを染み込ませておいてもよい。あるいは、フェンスに囲われた内側から張設材に向けてプロジェクター等を用いて、工事案内や広告などの画像を投影するようにしてもよい。このように張設材を活用することにより、目隠しや防塵などの機能を発揮することに加えて工事現場の景観向上やイメージアップに資することが可能である。
【0028】
また、張設材は、シート状の部材に限らず、複数の板状部材を連結等して張設材としてもよい。この場合には、連結のための部材に伸縮性を備えたものを用いることにより、複数の板状部材からなる張設材に対してこれを張設枠とともに固定枠に配置した際に張力を付与することができ、張りのあるフェンス面を構成することができる。
【0029】
固定枠の形状は、図1に示すような略四角形に限られない。図4に他の形状の固定枠を用いたフェンスの概念図を示す。図4(a)は、円形の固定枠を用いたフェンスである。円形の固定枠(0401)の内側に沿って四つに分割された張設枠(0402〜0405)が配置される。図4(b)は、三角形の固定枠を用いたフェンスである。三角形の固定枠(0411)の内側に沿って三つに分割された張設枠(0412〜0414)が配置される。また、この他にも、例えば、五角形や六角形などの多角形、あるいは楕円形などとすることができ、フェンスの用途等に応じて定めることができる。なお、固定枠は、図1などに示すような平面状である場合に限られず、曲面状であってもよい。また、固定枠の全部又は一部を蛇腹のようにして形状の変化が可能なように構成することで多様なフェンス面を形成することができる。
【0030】
図5は、張設枠の形状の例を示すものである。張設枠の形状は柱状に限られるものではなく、板状部材を折り曲げたり湾曲させたりしたものを用いてもよい。例えば、図5(a)は、板状部材をコの字型に折り曲げて形成した張設枠(0502)と、固定枠(0501)及び張設材(0503)を示すものである。また、図5(b)は、同様に湾曲させて形成した張設枠(0512)などを示すものである。このように形成された張設枠は、金型などを用いることなく容易かつ廉価に作ることが可能となる。また、湾曲させた場合には、張設枠に角がなくなり、張設材に対して摩擦などによる損傷を与えにくくなる。
【0031】
図6は、張設材の外周縁の一部を筒状とした態様を示す概念図である。図6(a)は、この張設材を構成するためのシート状部材の展開図を示したものである。シート状部材(0601)は、折り線(0602、0603)で折り返すことで、四隅を欠いた四角形となるように形成される。この四角形の各辺に相当する折り線にて折返し、さらに、接着部分(0604、0605)にて接着する。同様に各辺においても接着する。このようにすると、図6(b)に示すように四隅を欠いた四角形の外周縁が折返して接着(0612)されることで筒状となる。このような張設材(0611)の外周縁の筒状部分に、その開口(0613、0615)から張設枠(0614、0616)を挿通することで張設材は保持される。なお、予め張設枠を筒状部分に挿通するなどして、張設材の外周面の全部が筒状となるようにしてもよい。
【0032】
上記の四隅を欠く形状は図示したように直角に切り欠くことに限られるものではなく、筒状部分に張設枠を挿通できるように開口させるものであればどのような形状でもよい。また、開口のために欠く部分は四隅に限られるものではなく、二つの隅を欠き、それぞれの欠いた部分から二本ずつ張設枠を挿通してもよい。また、図4(a)に示したような円形の固定枠の場合には、筒状の外周縁の一部分を開口することで複数の張設枠を順次挿通することもできる。
【0033】
このように、張設枠を張設材の外周縁の筒状部分に挿通させて固定枠に配置することで、接着等により張設材を張設枠に保持させることなく、張設枠を固定枠に配置することで張設材を引っ張りつつ保持することができる。また、張設材と張設枠との分離が容易なため、張設材の交換や保管なども容易に行うことができる。なお、本実施形態のフェンスにおいて、張設枠と固定枠の他にフェンスの補強など種々の目的のための第三の枠が含まれることを妨げるものではない。
【0034】
本実施形態のフェンスを複数用いる場合には、例えば、図7に示すようなスタンドを利用することができる。図7は、スタンド及びスタンドを利用したフェンスの概念図を示すものである。スタンド(0701)は、フェンス(0704)の固定枠が管状になっている場合には、その開口部に挿通できるような突起(0702、0703)を備える。図では、一のスタンド(0701)に二のフェンス(0704、0705)を立てることができ、同様に一のスタンド(0701)に二のフェンス(0705、0706)を立てることができ複数のフェンスを略面一に配置することができる。また、直交するように配置することもできる。スタンドの突起の数を3つや4つにすることで、一のスタンドに立たせることのできるフェンスの数を増やすこともできる。突起の数や位置は適宜定めることができ、これにより、様々な態様にてフェンスを配置することができる。
<実施形態1 効果>
【0035】
本実施形態のフェンスにより、簡易な構造で十分な張力を張設材に与えることのできるフェンスを提供することができる。
<実施形態2>
<実施形態2 概要>
【0036】
本実施形態は、実施形態1を基本とし、張設材を座布団の袋の四隅に穴をあけたような袋体とするものである。張設材を袋体とすることで、袋体の前面側と背面側とをそれぞれフェンス面とすることができ、防風や防砂などのフェンスの効果を増加させることができる。また、張設材の内部に空間が生じることになり、例えば、防音材などを充填することができる。
<実施形態2 構成>
【0037】
本実施形態の張設材は、座布団の袋の四隅に穴をあけたような袋体であり、張設枠は袋体内の各縁にそって配置される。図8は、本実施形態の張設材を示す概念図である。張設材(0801)は、略直方体の四隅(0802〜0805)を四角に切り欠いて開口させた形状の袋体としている。「座布団の袋の四隅に穴をあけたような袋体」とは、四角形の袋における四つの隅、すなわち、四角形の角の部分に穴をあけたものである。図7においては、説明の便宜のため当該袋体を略直方体の四隅に穴をあけたように示しているが、このような形状を袋体自身が維持することを示すものではない。このような張設材は、例えば、略同じ大きさの四角形のシート状部材を二枚重ねて、その外周縁を接着等することにより袋にして四隅に穴をあけてもよいし、あるいは、一枚のシート状部材を折返し、その外周縁を接着等して四隅に穴をあけて形成してもよい。
【0038】
張設枠(0806)は、例えば、穴があけられた四隅のいずれか(0805)から袋体の中に入れ、袋体内の各縁に配置される。なお、あけられる穴は、図示したような四角に切り欠いてなるものに限られず、張設枠が入るようにあけられていればよい。
【0039】
このような袋体を張設材に用いることにより、袋体の表面側と背面側とをそれぞれフェンス面とすることができ、一枚のフェンス面の場合に比較して防風や防砂などの効果をより高めることが可能となる。また、異なる性能のシート状部材をそれぞれフェンスの表面と背面とになるように袋体を構成することにより、一のフェンスで二つの効果を発揮し得る。
【0040】
また、張設材を袋体とすることで、袋の内部に防音材や防炎材などを充填することができ、それら充填材による効果をも発揮することが可能となる。
【0041】
なお、本実施形態においては、とくに四隅に穴をあけた袋体の張設材について説明したが、穴をあける位置を四隅に限定せず、張設枠を袋体内に入れることのできる一又は複数の穴をあけた張設材を備えるフェンスを他の実施形態とすることもできる。
<実施形態2 効果>
【0042】
本実施形態のフェンスにより、防音や防風などの効果をより高めることのできるフェンスを提供することが可能となる。
<実施形態3>
<実施形態3 概要>
【0043】
本実施形態のフェンスは、実施形態1又は2を基本とし、張設枠と固定枠とは着脱機構により着脱自在に構成される。この着脱機構により、張設枠を固定枠に配置する作業が容易に行えるとともに、十分な張力を張設材に付与して配置することができる。
<実施形態3 構成>
【0044】
本実施形態のフェンスは、張設枠と固定枠とが着脱機構により着脱自在であり、この着脱機構は、張設枠を固定枠に配置するために仮配置と本配置が可能であり、仮配置から本配置にかけて張設材に対する張力が大きくなるように構成されている。
【0045】
図9は、本実施形態のフェンスの概念図である。図9(a)は、張設枠を仮配置した状態であり、図9(b)は、張設枠を本配置した状態である。仮配置とは、張設材を保持する張設枠を、配置すべき固定枠に対して仮に配置することである。そして、本配置とは、フェンスとして使用するにあたり、張設材が十分に張られる状態で張設枠が固定枠に配置されることである。張設材(0903)を保持する張設枠(0902)と固定枠(0901)とは、着脱機構(0904、0905)により着脱自在である。この着脱機構は、固定枠の各辺に設けられることが好ましい。着脱機構は、例えば、レバーを倒すことにより張設枠を固定枠に引き付けて配置するように構成される。このような着脱機構は種々の公知技術により構成することができる。
【0046】
着脱機構は、仮配置から本配置にかけて張設枠を固定枠に引きつけるように構成されることから、張設枠が保持する張設材に対する張力が大きくなる。これにより、本配置されるときに張りのあるフェンス面が構成される。
【0047】
また、固定枠が四角形の場合には、対向する上下辺および対向する左右辺に着脱機構を設けることにより、張設材に対して上下方向の張力と左右方向の張力とを与えることができ、それぞれの張力は直交する方向に作用する。これにより、張設材に対して万遍なく張力が働き、弛みなどのない張りのあるフェンス面を構成することができる。
<実施形態3 効果>
【0048】
本実施形態のフェンスにより、張設枠を本配置することが容易になり、さらに、弛みなどのない張りのあるフェンス面を構成することができる。
<実施形態4>
<実施形態4 概要>
【0049】
本実施形態のフェンスは、固定枠又は/及び張設枠が発光機能を備えることにより夜間などのように周囲が暗い場合であっても視認性に優れるフェンスが実現する。
<実施形態4 構成>
【0050】
本実施形態のフェンスは、実施形態1から3のいずれかを基本とし、固定枠又は/及び張設枠は発光機能を備えるものである。
【0051】
図10は、本実施形態の張設枠を示す概念図である。図10(a)は、角柱状の張設枠を用いたものである。固定枠(1001)の内側に配置される張設枠(1002)には、発光機能を有するLED(1003)が複数備えられる。LED以外の他の電球等により発光させてもよい。また、蓄光材や蛍光材などを張設枠に設けて発光機能を備えさせてもよい。発光機能は、対向して配置される張設枠に向けて備えられることが、張設材を照らすうえで好ましい。
【0052】
図10(b)は、湾曲した板状部材を張設枠に用いたものである。固定枠(1011)に配置される張設枠(1012)には、LED(1013)が設けられる。ここで、LEDが設けられる張設枠の表面(1014)を、鏡面状に仕上げることにより、この鏡面による反射光を利用することができ、さらに張設材を良好に照らすことができる。
【0053】
また、張設材を実施形態2で説明した座布団の四隅に穴をあけたような袋体のものとした場合には、張設材の内部から照らすことがででき、張設材の視認性がより高まる。
【0054】
なお、ここまで張設枠に発光機能を備える態様にて説明をしたが、例えば、張設枠が固定枠の外側に配置される場合などでは、張設材を照らすことができるように固定枠に発光機能を備えることが好ましい場合もある。したがって、張設材を良好に照らし得るように固定枠又は張設枠のいずれか、あるいは双方に発光機能を備えるものであればよい。
<実施形態4 効果>
【0055】
本実施形態のフェンスにより、周囲が暗い場合であっても視認性に優れるフェンスが実現する。
<実施形態5>
<実施形態5 概要>
【0056】
本実施形態は、張設枠が分割されずに一体的に形成されているものである。これにより、枠の形を維持した状態で張設枠を取り扱うことができる。
<実施形態5 構成>
【0057】
本実施形態のフェンスは、実施形態1から4における分割された張設枠に代えて、分割されていない、又は結合された伸縮性を有する一体張設枠としたフェンスである。
【0058】
図11は、本実施形態の張設枠を示す概念図である。張設枠(1101)は、角を丸くした略四角形をしており、その角を丸くした部分(1102〜1105)のそれぞれが伸縮性を有する部材により構成される。このように伸縮性を有する部材を張設枠の一部又は全部に用いることにより、張設材に張力を与えることができるとともに、張設枠を固定枠に配置しないときでも枠の形を維持することができる。したがって、張設材を保持したまま枠の形を維持しつつ取り扱うことが可能となり、フェンス面の交換や保管において便宜である。
【0059】
図12は、本実施形態の張設枠の他の態様を示す概念図である。管状部材を用いた四つの張設枠(1201〜1204)とそれらを連結する伸縮性の部材(1205〜1208)とからなる。この張設枠は、伸縮性の部材により一体的な張設枠を構成しつつ、張設枠により閉じられる領域を拡張するようにそれぞれの張設枠を外側に動かすことができる。これにより、張設材に張力を与えることができる。
<実施形態5 効果>
【0060】
本実施形態のフェンスにより、枠の形を維持した状態で張設枠を取り扱うことができる。
<実施形態6>
<実施形態6 概要>
【0061】
本実施形態は、パネルや金網などのフェンスの面を構成する部材を保持する内枠と、この内枠が配置される固定枠とからなるフェンスである。従来は防音や防塵などの用途ごとにフェンスを作る必要があったが、用途に応じた内枠を配置することで固定枠はそのままで用途に応じたフェンスが実現する。
<実施形態6 構成>
【0062】
本実施形態のフェンスは、固定枠と、固定枠に沿って配置される内枠と、内枠で外周を保持された面材とからなる。図13(a)は本実施形態のフェンスの概念図である。「固定枠」(1301)は、基本的に実施形態1などにおける固定枠と同様である。「内枠」(1302)は、固定枠にそって配置される。図においては固定枠の内側にそって配置される。「面材」(1303)は、その外周を内枠により保持される。面材は、例えば、仮囲いや目隠しの他、防風、防音、防雪、防砂、防塵、防炎などの用途に応じて適宜定めることができる。例えば、防音のためであれば、防音材を充填した板状部材を面材とすることができる。
【0063】
固定枠に内枠を配置するにあたり、ネジなどを用いて取付け及び取外しを自在に配置することが好ましい。例えば、図13(b)に示すように、メッシュ状の面材(1313)を保持する内枠(1312)や、柵状の面材(1323)を保持する内枠(1322)などのように種々の面材を保持する内枠を、用途等に応じて固定枠(1301)に配置することができる。
<実施形態6 効果>
【0064】
本実施形態のフェンスにより、用途に応じた内枠を配置することで固定枠はそのままで用途に応じたフェンスが実現する。
【符号の説明】
【0065】
0101 固定枠
0102 張設枠
0103 張設材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定枠と、
固定枠に沿って配置され複数に分割された張設枠と、
張設枠で外周を保持された張設材と、
からなるフェンス。
【請求項2】
張設材の外周縁の全部又は一部は筒状であり前記張設枠は筒状の部分に挿通して保持する請求項1に記載のフェンス。
【請求項3】
張設材は座布団の袋の四隅に穴をあけたような袋体であり、前記張設枠は袋体内の各縁にそって配置される請求項1に記載のフェンス。
【請求項4】
張設枠と固定枠とは着脱機構により着脱自在であり、
この着脱機構は、
張設枠を固定枠に配置するために仮配置と本配置が可能であり、仮配置から本配置にかけて張設材に対する張力が大きくなるように構成されている請求項1から3のいずれか一に記載のフェンス。
【請求項5】
前記着脱機構は張設材に対して直交する二つの方向から張力を大きくできるように構成されている請求項4に記載のフェンス。
【請求項6】
前記固定枠又は/及び張設枠は発光機能を備えている請求項1から5のいずれか一に記載のフェンス。
【請求項7】
前記複数に分割された張設枠に代えて、分割されていない、又は結合された伸縮性を有する一体張設枠とした請求項1から6のいずれか一に記載のフェンス。
【請求項8】
固定枠と、
固定枠に沿って配置される内枠と、
内枠で外周を保持された面材と、
からなるフェンス。
【請求項1】
固定枠と、
固定枠に沿って配置され複数に分割された張設枠と、
張設枠で外周を保持された張設材と、
からなるフェンス。
【請求項2】
張設材の外周縁の全部又は一部は筒状であり前記張設枠は筒状の部分に挿通して保持する請求項1に記載のフェンス。
【請求項3】
張設材は座布団の袋の四隅に穴をあけたような袋体であり、前記張設枠は袋体内の各縁にそって配置される請求項1に記載のフェンス。
【請求項4】
張設枠と固定枠とは着脱機構により着脱自在であり、
この着脱機構は、
張設枠を固定枠に配置するために仮配置と本配置が可能であり、仮配置から本配置にかけて張設材に対する張力が大きくなるように構成されている請求項1から3のいずれか一に記載のフェンス。
【請求項5】
前記着脱機構は張設材に対して直交する二つの方向から張力を大きくできるように構成されている請求項4に記載のフェンス。
【請求項6】
前記固定枠又は/及び張設枠は発光機能を備えている請求項1から5のいずれか一に記載のフェンス。
【請求項7】
前記複数に分割された張設枠に代えて、分割されていない、又は結合された伸縮性を有する一体張設枠とした請求項1から6のいずれか一に記載のフェンス。
【請求項8】
固定枠と、
固定枠に沿って配置される内枠と、
内枠で外周を保持された面材と、
からなるフェンス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−158884(P2012−158884A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17997(P2011−17997)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(593065590)株式会社エスエスシー (51)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(593065590)株式会社エスエスシー (51)
【Fターム(参考)】
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