説明

フェース部に光導孔と光センサを有する練習用ゴルフクラブとその製造方法

【課題】ゴルフクラブのヘッドのフェースに打球が当った位置を知りたい願望は多くあった。従来の公開された技術では、実質的に、願望の羅列が多く、また位置決定方法が不明で実用化できる技術開示が無かった。他方、高速度カメラや磁気装置などの外部装置で行う方法は簡便でなく、他方、感圧変色紙の貼付けによる方法は、一々張り替えなければならないと言う重大な欠点があった。それらを改良した簡便なゴルフ打球練習クラブを提供する。
【解決手段】フェース面203の相当数の孔の位置204に孔を設け、導光素材で埋め、内部にそれぞれにフォトセンサを設け、更に衝撃センサも設け一定以上の衝撃を感知した時、フォトセンサを駆動し、減光した孔の位置と数から、定義した計算式に従って実質的に正しい打撃位置を知ることを可能にした練習用クラブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は練習用の新規なゴルフクラブ、特にクラブヘッドのフェースでの「打撃位置」を正しく知ることができる光導孔と光センサ(センサーとも記す)とを併せ持つ手段の練習用ゴルフクラブと、その製法に関する。
【背景技術】
【0002】
古くから、演習用(練習用)ゴルフクラブとして、ボールの打撃位置、すなわちクラブヘッドの球(ボールとも言う)当り面(フェース、フェース部とも言う)の何処にボールが当ったかや、打撃応力や打撃角度を知りたいということは、練習者、初心者(または、下手な人)にとって、重大な関心事であった。
【0003】
そのため、ある種の感知器(センサ=抽象名詞「感知素子」)、表現を変えれば、他の抽象名詞トランスデューサ(物理量を電気信号に変えて出す素子、広義には一つのエネルギー形態を別のエネルギー形態にすること)を取り付け、それを表示器(モニタ)等で表示して見たいと言うのは、極めて古くからゴルフ仲間で交わされる願望的表現としての会話の中にあった。
【0004】
すなわちこれらは古くからの願望であった。従って、具体的にどのような手段か明らかにせず、抽象的に感知器と表示装置付きのゴルフクラブというだけでは、願望であって発明ではない。しかしながら、現実にこの願望を具体化する具体的技術・方法が全く分からないため、多くの願望としての提案があるものの実質的には長らく未解決のまま実用化されず放置されてきた。
【0005】
願望だけではなく、証明のあるどういう機能を持つセンサを、何処に、どのように配置し、どう言う信号を、どのタイミングでデータ(データーとも言う)が取れるように処理し、どのように演算処理し、どのような表示形態・姿で、何処に、どのように表示し、しかも実験により正しく処理できたかなどの具体的実験に基づく内容の開示が乏しかったのである。
【0006】
他方、高速度カメラで撮影して見るのは、設備が大げさで高額の費用がかかり、各コマの短いシャッター時間での感度との関係で明るいライトが必要で、あり、眩しさなどが欠点で、更に打球が飛んで来る前側から撮影しなければならないし、正面からボールが飛んで来るので撮影者に危険であり、カメラを壊さないための保護なども含め重大な欠陥があった。
【0007】
本発明者の知る限りにおいて、具体化されたのは、ヘッドに感圧変色紙を貼り付け、その紙の変色により何処にボールが当たったかを知る紙が市場に出ている。これは、クラブのフェースに、紙を貼り付け、また剥がさなければなければならないと言う面倒さの繰り返しや紙による打撃感が異なるという重大な欠陥があった。
【0008】
これまでに、古く米国エヴァンスの特許群(特許文献1、2,3)には、ゴルフクラブヘッドに加速度計や、シャフトに曲げ応力計、歪み計を取り付け、それを離れたモニター(表示装置:具体的例:オシロスコープ)に表示すると言う提案が示されている。また継続するスイングでのそれらを対比して、表示する試みも示しているが、フェースのどの部分に当たったかについては、表示に成功していない。またそれらの特許には既にそれより以前の特許が多数引用や参考にされており、古くからの上述の願望があったことが認められる。
【0009】
ハモンドの米国特許群(特許文献4で代表させる)には、加速度計をヘッド内に直行する三方向に向けて配置し、事前の打点データ信号と現実の信号を対比してフェースの何処にヒットしたかを推定するとしているが、詳細には示していないし、ボールには、強弱、回転、ボールの種類・メーカーの差異、湿り差、汚れ差、温度差などがあり加速度計だけでは、成功したとは見なすのに十分ではない。
【0010】
ファーマの米国特許(特許文献5)には、一つの加速度センサ(トランスデューサでもある)を介して得た衝撃値により加速度の減衰と飛距離との予備的試験結果との関係のグラフから、液晶デスプレイ(LCD)や、発光ダイオード(LED)に示すと言う提案がなされているが、打撃位置の表示には、成功していない。
【0011】
浅野らの特許(特許文献6)には、スイートスポットに当てる練習機が、記されており、外部に特殊光源を置き、球の代わりに、孔の開いたゴム板の様な物を置き、クラブのスイートスポットの中央に孔を開けたフェースとし、その裏(内側=ヘッド内部)に受光素子を設け、正しくスイング時のみ、ゴム板の穴を通過し、受光素子に、特殊光が到達するので、その信号は、結果の伝達手段(音、光等)で知ると言う内部・外部の双方に仕掛けを組み込んだ概念が提案されている。
【0012】
また、そこには、全く逆も同様だとしており、フェース内に発光素子があり、球が正しく当たった時、外部の受光素子に達するので、正しく振れたと知り得ると言うもので、他の詳細は、読んだ者の理解の範囲を超えている。ゴルフコースでは、そのような外部装置(仕掛け)は、組み込めないと言う重大な欠陥を有する。
【0013】
イガラシの米国特許(特許文献7)には、ゴルフクラブヘッド内に空洞を設けウレタンフォームで穴埋めし、トランスデューサを用いCRT(ブラウン管)のようなところに表示するなど有効な打撃範囲を決めることが、提案されているが、かかる改造品でのスイートスポットであり、改造品で無い品のそれとはかけ離れていると見做せるし、真の打撃位置特定化手段は明らかにされていない。
【0014】
出海の特許(特許文献8)には、構造物における音からその発生する位置を割り出す一つの手段が開示されている。クラブでの音による打撃位置特定化には、成功していない。
【0015】
ヤスダらの米国特許(特許文献9)には、打ち放し練習場の様な所でのボールをセットする場の下に磁気センサを設け、スイングによる金属の移動により発生する信号を解析し、ヘッド速度、スイング軌跡、フェース角などを測る方法が提案されている。これは、打つべき打球の下に仕掛けが必要であり、大きく異なる多くのクラブの種類に左右されそれぞれの打点位置データを明らかにし難く、係る仕掛けの設置が大げさすぎて、簡便ではない。打点位置を特定化することに成功したとは見なせない。クラブ内ではなく、外部であり、対象から外れている。コースに出て歩けば、最早測定できない。
【0016】
クスタノヴィッチの米国特許(特許文献10)には、選択的導電電極部と感圧インピーダンス測定部を同心円的に配置し、インパクトの力と位置を割り出す方法が、提案されている。ピッチャーの投球練習やゴルフ等のスポーツでの測定に使えるとしているが、ゴルフの打撃時の衝撃は、驚くべき高圧であり、これを何処に配置するか、ヘッドの外部に設置する場合は、耐久性が低いなど、また内部ならば衝撃がフェース金属板のためにぼやけるとみなせるなどの重大な欠陥があった。特に打点位置の特定化には、成功していない。
【0017】
坂本の特許出願(特許文献11)には、ゴルフクラブに、圧力センサを取り付け、ボールに関する情報をマイクロコンピュータで、適宜場所・部位で表示させる概念が示されている。特に、シャフト下部に固定した圧力センサで、打撃力値を測定し、表示することも記載されている。これは、前述のエヴァンスの米国特許に似ていて、打撃位置判別には成功していない。
【0018】
プットの米国特許(特許文献12)には、パターには着脱式のもの(ウッドには、埋め込み式)で、トランスデューサをフェイス部に配置し、前後の方向の位置に対し何処に当ったかを知るもので、直接ボールが触れて当たると、驚くべき高い衝撃値(例:1トン/平方センチメートルと推定)の繰り返しに耐えないという重大な欠陥を有する。更にフェースの値は前後(トウ側か、ヒール側か)のみで、フェース面の上下方向が不明と言う欠陥を有する。
【0019】
石橋の実用新案(特許文献13)には、光センサを複数か所配設し、それぞれに発光装置を設ければ、そこが光るので何処に当たったを判断できるとの提案がある。同じ場所での表示も行うことは、困難、耐久性が劣る、重くなるなどが、考えられる。また、感知することから、表示までの過程が、具体手的に如何にすれば良いか明らかでない。
【0020】
ウイルヘルム特許(特許文献14)には、最大打撃力とその打撃位置を、表示部に示すゴルフスイング評価システムが開示され、その目的達成のための具体的内容が少なく、願望のようなクレームの表現をとっている。具体例としては、ピエゾ エレクトリック センサの配置が開示され、電圧と時間の関係から解析する手段も開示されている。グリップの他端、腕時計のようにグリップ部へ表示部を設けることも開示されている。耐久性と正確性の観点からは、打撃位置表示には未だ達成されたとは見なせられない。
【0021】
東久保らの特許(特許文献15、16)には、フェースには孔があり、光ファイバーを束ねてシャフトを通し、判別部で解析すると言うものが示されている。光ファイバなので、▲1▼大変重くなり、また、▲2▼光ファイバはもろく、衝撃の繰り返しなので切断し易い、▲3▼繊維を束ねて入れて作る作業が極めて困難か不可能、で、少々太く改造しても時間と手間が掛る、▲4▼束ねる時に乱れ、精度が悪くなる、▲5▼シャフト部に空間的な制限があり多数本化は、実質不可能、などの諸欠点があった。
【0022】
渡部の考案(特許文献17)には、上記願望が記されていると共に、具体的にはゴルフクラブのフェース外面から内面に至る「接触子」があり内面に設けられた多数の(碁盤目状に配置し)接点ユニット(ゴム)を設け、ボールが当ると接触子が押され接触通電し、位置を検出し、結果を表示装置に表示させるものの開示があるが通常、打撃と同時に複数の接触子が動作するが、その演算即ちどの様に計算すると正しく表示されるかは不明で、具体的で無いし耐久性に問題が残っている。
【0023】
ゲッドニ特許には(特許文献18)には、上記坂本特許の基本的概念や、ウイルヘルム特許を用い、衝撃力または伸長力のピーク値を用いて解析するなど、より細かく限定的表現をして、ヘッドに設けた複数のセンサにより衝撃力を検出し、該衝撃力と球の移動方向(スライスやフックに相当)を表示することが記載されている。打点位置の特定については、明確ではない。
【0024】
マーシュ特許(特許文献19)には、複数のセンサ素子からなる圧電フイルムをフェースに接着すること及びセンサ素子を直交アレイや偏心円パターンなどにすることが記載されている。
【0025】
鈴木らの特許(特許文献20)には、ヘッドにボールの当たり位置を検出する衝撃センサ等の検出手段を複数設けその当たり位置を表示する液晶表示方式、点灯表示方式等による表示手段をシャフト部に設けること、及び当たり位置によるボールの飛距離を理解させる願望が記載されているが、これも渡部の考案と同様の問題がある。
【0026】
一家らの特許(特許文献21)には、音による位置特定で特に同心円的にセンサを配した特長を生かしたものが、記されている。
【0027】
【特許文献1】USP3,270,564(1964−5−18出願 1966.9,6公開:エヴァンス)
【特許文献2】USP3,792,863(1972−5−30出願 1974.2.19公開:エヴァンス)
【特許文献3】USP3,806,131(1972−3−29出願 1974.4.23公開:エヴァンス)
【0028】
【特許文献4】USP3,945,646(1974−12−23出願 1976.3.23公開:ハモンド)
【特許文献5】USP4,088,324(1976−12−6出願 1978.5.9公開:ファーマ)
【特許文献6】特開昭56−31766(1979.8.24出願 1981.3.31公開:浅野)
【0029】
【特許文献7】USP4,523,759(1983−5−11出願 1985.6.18公開:イガラシ)
【特許文献8】特開昭59−231462(1983−6−15出願 1984.12.16公開:出海)
【特許文献9】USP4,615,526(1985−10−25出願 1986.10.7公開:安田ら)
【0030】
【特許文献10】USP4,659,090(1985−8−21出願 1987.4.21公開:クスタノヴィチ)
【特許文献11】特開昭62−192186(1986−2−17出願 1987.8.22公開:坂本ら)
【0031】
【特許文献12】USP4,898,389(1987−9−8出願 1990.2.6公開:プット)
【特許文献13】実公平6−11027(1988.8.20出願 1990.2.27公開:石橋)
【特許文献14】USP4,991,850(1988−12−22出願 1991.2.12公開:ウイルヘルム)
【0032】
【特許文献15】特開平3−146079(1989−11−2出願、1991.6.21公開、東久保ら)
【特許文献16】特開平3−146080(1989−11−2出願、1991.6.21公開、東久保ら)
【特許文献17】実開平4−92273(1990−12−27出願 1992.8.11公開:渡部ら)
【0033】
【特開文献18】
特開平05−115586(1992−4−20出願 :ゲッドニら)
【特許文献19】特開平10−118238(1997−9−9出願 :マーシュ)
【特許文献20】特開2000−84133(1998−9−9出願 :鈴木ら)
【0034】
【特許文献21】特開2004−81407(2002−8−26出願 :一家ら

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
しかしながら、従来の技術には、誰しもが容易に考える抽象名詞「感知部(センサ)」やトランスデューサを取り付けて測定したいと言う一般人の「願望の羅列」であって、打撃位置特定の願望を解決する手段が具体的には乏しく、実用に耐える「完成された技術」がいずれも開示されておらず、実質的に正しい打撃位置の特定化に成功していない、実験していない、重くなり過ぎる、そのシステムが簡単ではない(複雑)、特に打撃時の衝撃に耐えない(耐久性)、壊れやすい、判定方法が曖昧、ヘッドに収まり切らないなどのいずれかが欠けており、実現化あるいは実用化困難と言う重大な欠点があった。
【0036】
例えて言うならば、前者は「月に乗り物で行きたい(=宇宙船)」とか、「ロボットで不在の時に、部屋の掃除をしておいて欲しい(=自動走行掃除機)」と言うがごとき願望の羅列表現だけなのに、「月に行ける機能を有する宇宙船」「一定時間以上人間を感知しない時、部屋中を掃除する自動掃除機」などとして具体的手段が未解決なのに特許出願の請求項目化されて出願されているに等しいものが多い。
【0037】
ゴルフクラブについては、具現化した実施例の詳細が乏しく、具体的な位置特定化に成功したとはみなせないし、または市場にも見かけない。また、解決手段の「上位概念」的表現が多いために、特許などで、権利化できないのであれば研究して実施しても真似物がすぐに出るので、研究投資は無駄などの考えがでて、現実化の技術の発展・進歩を妨げ,特許出願制度の悪い面が出てきていた。
【0038】
具体的達成手段・技術が特許とされなければならないのに、願望的表現、または抽象的表現の請求項が記載され、多くの技術的進歩への弊害が生じている。特にゴルフクラブフェースでの打撃位置特定化手段については願望手段と言えるものであった。
【0039】
また、上記は未だに、市場に出ていないと言うことからしても実施困難または打撃位置の判定が困難、または直ぐに壊れる等といういずれかの重大な欠陥があったと見られる。
【0040】
なお、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)という圧電素子(トランスジューサ)は、ヘッドの打撃部の表面に硬い金属板があるので(前提としている)同じように動いて起電力が小さく、壊れやすくまたは、変形してしまうという欠点があった。また、硬い材料で背部から支えると言う重要な記載が無いのて、起電力が小さいこと、位置特定化の精度が低いことは申すまでもない。
【0041】
本発明は上記の諸欠陥の無い、工業化可能な実用的技術を具体的に提供することを目的とする。また、特に軽量化と精度という相互矛盾の最大の課題が未だに解決していないという欠点を改良しつつ、同時に多くのトレードオフ関係にある課題を同時に満足する手段を提供することを目的とする。この種のトレードオフの課題は公知の文献では、明らかになっていないし、解決もされていない。そのために、市場に出せる発明が提供されなければならない。
【0042】
特に解決すべき主な課題としては、次の通りであり、他の諸目的は詳細説明中で明らかにするであろう。即ち従来の提案の未達部分を、飛躍的かつ現実に会うように改良する事にある。
▲1▼当り位置が実質的に正しく表示され、その証明・確認が取れていること
▲2▼打撃の瞬間を捉えていること(振り上げている時や打った後のデータではないこと)、
▲3▼どういう手段でまたは計算で、打撃位置を判定したかの真の開示があること、
▲4▼軽いこと(軽重量化、電源部も含む)
▲5▼小さくできること(ヘッド内に納まること)
【0043】
▲6▼繰り返しの衝撃に耐えること(耐久性)
▲7▼実用的な正確さの範囲で、正しく位置表示できること(精度)
▲8▼消費電力が小さいこと(電力)
▲9▼生産化に当って高価でないこと(工業化フィージビリティ、安定性、再現性、経済性)
▲10▼使用者に操作上の負担をかけないこと(イージーケア、見易さ、扱い易さ、リセット性、即応性)
【0044】
▲11▼出来上がりがよいこと、少なくとも見苦しくないこと(感性視点高位可能化)
▲12▼検出部の数が少ないこと
▲13▼外部、すなわちグランド側に、特殊な仕掛けの設置の不要なこと
▲14▼結果が、見易いこと、
▲15▼節電が出来る事
【0045】
▲16▼結果の見逃しが、復元できること、
等の総合的諸項目をバランスよく解決することを目的とする。特に工業的実施化できる課題に答える手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0046】
本発明の骨子は、次の通りである。すなわち、
【0047】
ゴルフクラブの打撃面フェースに孔が三孔以上設けられており、該背部(内部)には光センサが設けられており、打撃(衝撃)を受けたことを認識するセンサ部(衝撃センサやねじれセンサ)を有し、(球がフェースに触れている時間は約500マイクロセカンド以内の範囲と見ているが)打撃球により外部からの光が減光された複数孔に対応した各光センサから、本発明で言う定義の「重心」にボールが当ったと実質的にみなし処理する(後記の式を用い)演算機能ソフト回路付きマイクロコンピュータ部と、該フェースの近似的外形と打撃位置とを同時表示する表示部と、電源部が同時に付属していることを特徴とする打撃位置検出練習用ゴルフクラブである。
【0048】
ここでは、光と言う物理量を、センサ(またはセンサー)すなわちトランスデューサであり、他の衝撃や捩れ〔撓みも含む〕と言う物理量を電気量に変換させるものと同等であるが、フェース部にボールが当たり始めた瞬間から、離れるまでの間の短い時間内での測定でなければならないことを見逃してはならない。
【0049】
球がフェースに当っているその瞬間でなければ、当たる前、当った後は、意味の無いデータを沢山拾っているだけで、データの価値は全く無い。なお一般では、窪んだような、凹みは穴、小さく貫通した場合は、孔と区別しているとみなせるが、ここでは、径の大小に係わらず孔または穴とし、両方を用いる。特に孔を透明樹脂等で、埋めても孔と言う。
【0050】
ここで、マイクロコンピュータの打撃位置を決める「重心」演算ソフトは、直交軸x、yに対して、光が減衰した複数のn(n=1,2,3,4・・・)孔の位置を(x,y)として、各重み付けは、均一として重心位置(x,y)は、
(x,y)=((x+x+x・・・+x)/n,(y+y+y・・・+y)/n)
より、演算処理しその重心部にボールがあったと見なし処理して表示するものとする。このような見なし処理にも拘わらず、本発明者の多くの実験で、実に正しく表示できた事は、予想外のことであった。
【0051】
ゴルフボールの打撃の瞬間は、一般的に、平方センチ当たり、プロ級で1トンに及ぶ高圧が掛かるとされており、フェースにボールが当たり再びボールが離れるまでの時間は、打ち方にも勿論左右されるが約500マイクロセカンド前後とされている。本発明では、係る点を特に重視し、巧みに用いている。
【0052】
これらを、実験するために、発明者らは、先ず打撃機械(打撃ロボット)を作成した。それによると、さすがに機械だけあって、打撃位置に関しては、1〜2mmと違わない反復性能が確認できた。市販の打撃検証シートを張って変色位置を調べ、何度も何度も繰り返し、確認できたし、また打撃検証シート(紙でも微弱な光を通すので測定可能だが、孔の部分はくり貫く)を貼り付けても同じ位置を示す色の変色マークが、同じ位置に再現された。なお、他方、機械で作られた球とは言え、いびつなボールもあるので、同じ打点位置でも、全て同じ方向に飛んだとは、述べていない。
【0053】
本発明に関して、上記打撃ロボット、市販のインパクトハンマおよびボールを頭に付けたハンマ類似品で、同じ所を叩いて、検証した結果、いずれの実験についても上記の計算方法が良く、数多くの実験の範囲内で例外なく、打撃した場所の通りの結果を正しく検知したのは、驚くべきことであった。ここでは、「重心」計算法(演算とも言う)と名付ける方法は、十分に正しい事が証明された。その方法は、上記の計算式に示す通りである。
【0054】
これらの荷重に耐え、また短い時間に測定が完了しなければならないので、感知部がこの両者に対応しなければならない。多くの公表されたセンサには応答の速度・瞬間圧力に耐えて働くかは、全く不明なのが多く、(遅いのろまなセンサかも知れない)、実施して確認してみてなければ全く分からない発明の類と言える。
【0055】
しかも余りにも大きな衝撃でも、想定通り作動するか否かは、実施してみなければ、全く期待も予測も出来ないものであった。本発明は、繰り返し実験の結果によるものである。このような、重心から求める方法は、光が、打撃時に遮断されただけであり、質量のあるものとは異なるので、「重さ」ではないので、真の意味の「重心」ではない。「重心」と言う表現は適当ではないと言う考えがあるかも知れないが、手法が極めて似ているので、ここでは、「重心」と言う形式的表現を用いている。
【0056】
フェースに設けた孔には、土や塵が詰まるので、ある程度以上の光の通る透明性のある高分子やガラス類似物、ゴム類似物(ビスコエラスチック材料)等で埋めておくことが、好ましい。驚くべき打撃圧力なので、フェース面に孔を沢山空けることは、好ましく無い。しかし、打撃位置を正しく特定するには、普通3箇所以上は、必要である。孔を多くすれば、判定精度は向上するが、フェース面が弱くなる。音や反発性能も変化する。二律背反的事項となる。精度の限界は、後述する説明で、明らかにするであろう。
【0057】
孔の大きさと、光の透過性とも相反する関係である。孔が、小さければ光の通過性能は、微弱となる。逆にすると強度や音が変化しすぎる。他の目的と解決手段などの説明すべき事項は、以後順次補足していく。
【0058】
第二の請求項に関し本発明は、第一の発明を円滑に実施するための、「製造方法」に関するものである。即ち、ゴルフクラブの打撃面フェースに孔を三孔以上設け、該背部にはそれにつながる光センサを設け、打撃・衝撃を受けた時に働くセンサ部(衝撃センサや、ねじれや撓みのセンサー)設け、打撃による(ボールが孔を塞ぎ、そのため減光した複数孔の「重心」(後に説明する定義の位置計算法に従う)ボールが当ったと実質的にみなし処理する演算機能ソフト付きマイクロコンピュータを設け、該フェース部の近似外形と打撃位置とを表示する表示部を設け、同時に電源部を付属させる方法を含むことを特徴とする打撃位置検出可能な練習用ゴルフクラブの製造方法である。かかる手段で、生産するのが好ましい。
【0059】
ここで、「重心」演算機能ソフトは、直交軸x、yに対して、光量が一定以上、減少した複数のn孔(n=1,2,3,4・・・)の位置を(x,y)として、各重み付けは、均一として重心位置(x、y)は、
(x,y)=((x+x+x・・・+x)/n,(y+y+y・・・+y)/n)
より、演算するものとする。
【0060】
本発明は、光フェース面の初期振動(衝撃)を検知して打撃開始時点を検知させる衝撃センサ部、それにより光センサが計測駆動を開始する回路部とを設けてなることを特徴とする打撃位置検出練習用ゴルフクラブである。光センサが計測駆動を開始する時点の設定は、本願発明では、極めて重要な事項である。
【0061】
光計測可能時間は、球がフェースに触れているざっと500マイクロセコンド位以内であるので、つまり、触れている間に測定しなければならないので、衝撃センサによる検知は、極めて早い応答が求められる。ここでの重要な秘訣は、衝撃センサが、衝撃を受けたら直ぐに作動し(例えば、衝撃後100マイクロセコンド)、球がフェースからはなれるまでの時間内に光センサを働かせなければならない。球が飛び離れた後に「光センサ」が測定開始したのでは、遅すぎなのである。
【0062】
幸い本実験で使用した衝撃センサは、100マイクロセコンド以下で反応することを見出し、確認できたので、この手法を用いることは、画期的な手法といえる。すなわち換言すれば、ボールがフェースに当たっている間に光センサを駆動させ、光の減光測定は可能だったという驚くべき利用価値の高い事実を見出し、それを利用し、正にフェースがボールに当っている瞬間に測定でき、遂にボールにより隠された孔の減光を捉えることができ、それらの情報から、計算で、目的の打撃中心位置の測定が可能になり、遂に目的の打点位置を捉える事に成功した。
【0063】
反応の早い衝撃センサ(広義)、および光センサを選定しなければならないことと、それらの選定が秘訣となる。打撃時点は、衝撃センサ(少なくとも1個)で検知させることを含む。衝撃センサとしては、フェース面の振動(衝撃)を検知するセンサでもよいし、シャフト軸の捩れや撓みを検知するセンサでもよい。ここでは、全てを代表させて衝撃センサと呼ぶ。
【0064】
広義の衝撃センサには、極めて多くの種類がある。しかし、それらには、本発明者の知る限りにおいては、多くの市販のセンサに確かな応答速度の記述が殆ど無い、またはマイクロセカンドレベルの応答速度の記述に乏しい。しかし、本発明を知った後は、関連業者ならば、本目的のためにそれらを測り比較し、選ぶことができる。
【0065】
また、孔の開いたゴルフクラブのフェース部とフェース部背部に光センサ部、マイクロコンピュータと表示部と、電源部とを併せ持つゴルフクラブにおいて、ゴルフクラブのフェース部に対応する図形または画像に、打撃ボールの中心部を実質的に「・」点表示、または、「十」型の十字表示、「×」型の×表示、または、「○」、「●」、「◎」型の丸表示の中から選ばれた少なくとも一種を光らせ、表示部としたことを特徴とする打撃位置検出可能な練習用クラブである。
【0066】
また、これらの組み合わせでも良い。シャフトのグリップ近くに、邪魔にならない程度の小さな表示部であるので、非常に判り易くしなければならず、極めて重要である事を見出した。
【0067】
打撃位置の表示において、上記の表示或いは符号を更に「点滅」機能を持たせた表示部を備えてなることを特徴とする打撃位置検出可能な練習用クラブである。点滅により小さな表示部にもかかわらず格段に見易く変化したことも見出した。更に加えて赤色にすると(カラー表示すると)、点滅、非点滅如何に拘わらず、判別性能が何倍にも判り易く(見やすく)なった。
【0068】
本発明において、打撃面フェースに孔が、少なくとも4孔以上あり、その孔の配置が、実質的に碁盤目、またはその近傍に配置されていることを特徴とする打撃位置表示確度を高めた練習用クラブである。光孔の配置は、スイートスポットの中心を基点として、同心円状(波紋状)配置が普通考えられるが、そのやり方は、センサの立体的混雑または限界(スペースの限界)、製造の困難性、位置判定計算が困難などの致命的欠点がある。
【0069】
本発明では、少ない数のセンサ部で、十分な判定精度が出せることを、実験により見出した。実施した者にしか判らない知見に基づくものである。
【0070】
配置の例を、図1に示す。101はクラブヘッドの外形、102は、クラブシャフトの下端であり、103は、フェース面、104(丸部)は、フェースに設けた孔の配置を指し、105は、孔の配置を判り易くするために敢えて設けた点線で、碁盤目状の点線105は、あくまでも理解を助け・説明のためのものである。後述の実験では、碁盤目の間隔(以後、2Dと表現することがある)は一例として16mmを採用した。なお、後に述べる「てれこ」の説明のために、点線は、その半分(D)の間隔で、設けてある。
【0071】
図1の例では、現実のフェース面が、四角ではないので、上から2列目は、左右に一孔ずつ追加配置でき、16+2=18孔となっている。
打点位置の判定としては、本発明の場合の独特の表現法の「重心」の式に従い、その計算結果を、打点の中心とする。
【0072】
現実のヘッドに対する孔数は、好ましくは、9〜61、特に好ましくは、11〜27、更に好ましくは14〜18である。次の(1)(2)(3)(4)(5)のようになる。極端に少ない孔数での誤差を避けることができる。
(1)一つだけの光センサの反応に対しては、その孔を打点位置と判定する。
(2)二つの孔の光センサの反応に対しては、二つの孔の中間位置を打点位置と判定する。
(3)三つの孔の光センサの反応に対しては、3点を頂点とする3角形の外接円の中心とする。
【0073】
(4)四つの孔の光センサの反応に対しては、4点を頂点とする4角形の外接円の中心とする。
(5)以後、N孔の光センサの反応に対しては、重心計算手法に準じて、本発明で言う「重心」を、打点位置と判定する。
【0074】
図1において、円(106)は、ボールがこの円より小さい時は、どの孔にも触れない(どの孔も減光しない)ので、測定できないという意味での最小接触面円である。この直径をRとする。R=√2×2D と計算される。
【0075】
更に、打撃面フェースに孔が、少なくとも4孔以上あり、その孔の配置が、実質的碁盤目、またはその近傍に配置されており、奇数列目に対し、偶数目が半周期ずれている「てれこ」状態になっていることを特徴とする打撃位置表示角度を高めた練習用クラブである。その配置の例を図2に示す。
【0076】
本発明での「てれこ」配置は、孔数を減らすことと、位置判定精度を更に向上させるために、碁盤目状の孔の配置を、改良したものである。図2にその様子を示す。配置の改良例を、図2に示す。201はクラブヘッドの外形、202は、クラブシャフトの下端であり、203はフェース面、204はフェースに設けた孔の配置を指し、205は孔の配置を判り易くするために敢えて設けた点線で、丸204は孔を示し、碁盤目の点線205は、あくまでも理解を助けるための線である。各孔204は、ヘッドの一列毎に、半周ずらしてある。ここでは「テレコ」という表現を用いている。
【0077】
206は、3孔を頂点とする3角形の外接円とする円であり、207は、その直径(R)である。換言すれば「最小検出半径」である。R=2.5Dと計算できる。依って12%ほど《(2√2−2.5)/2√2》向上できることを認めた。この関係は、打点位置の検出誤差についても、同様に言える。ここで「てれこ」にするのは、列でテレコにしても、行でテレコにしても良いし、また、行・列の基準線は、傾斜していても良い。
【0078】
また、間隔の厳密な二分の一ずらしでなくとも、よいことは、容易に理解できるであろう。すなわち、少し「ずらし」でも、改良効果が発揮でき、ずらしの程度は、限定されない。
【0079】
例えば、テレコの場合は碁盤目の間隔(周期)を8mmずらして採用した。すなわち、8mm宛ずれている。この改良効果も驚くべき、新知見である。これもやった者しか判らない驚くべき新知見であった。
【0080】
本発明において、更にクラブのシャフトまたはヘッドの少なくとも一部が発電材料で覆われてなり、センサまたはセンサの電源または、表示部の電源を供給する接続がなされていることを特徴とする発電機能付打撃位置検出練習用クラブである。これらは、クラブヘッドの上面部やシャフトに巻きつけることによって達成される。
【0081】
ゴルフクラブバッグを、カントリークラブから次のカントリークラブへ直送する人がいる。そのため電池を忘れる人が多いだろう。それを、避けるために、電池不要化、または電池の長寿命化が、極めて重要である。最近には、受光発電フイルムの急速な性能進歩を受けて、クラブシャフトの表面に太陽電池(フイルムが多い)を巻きつけ、または、貼り付けると、電池が不要化できる。ゴルフは、明るいところで実施するので、光源は確保され易い。
【0082】
また、本発明における他の付加的機能付与として、クラブを振ることにより測定状態にするセンサ部と、消えた画像を元に戻すリセットボタン部を有することを特徴とする打撃位置検出可能な節電型練習用クラブも含める。クラブを振ることによりクラブ内に設けた加速度センサ等が振りを検知して、前の表示画面を消して、測定状態にすることが好ましい。こうすることにより、スウィッチなどを一々押さなくても、自動的に測定状態にすることができる。
【0083】
しかし、時には、前の状態を見たい時がある。うっかり振ってしまったということがあることを、このクラブを使った試験をして初めて認識した。その時は、リセットボタンを押せば、画面を元に戻し得るようにメモリ部を設けたものを含む。
【0084】
なお、前述した公知例の中に、加速度センサや、衝撃センサの言葉があるため、本発明の主要な部分を、それらの使い方と同じだと誤解される恐れがあるので、理解を助ける説明用の想定曲線グラフ[図3]を用いて、説明する。縦軸にセンサの出力電圧、横軸に時間軸をとる。スイングに対して、センサの使われ方の理解をする助けのためである。
【0085】
(1)先ず、クラブを振り始める。
(2)打撃直前で加速度センサの出力電圧(304)が高くなるのでその時点を検出する。
(3)図3の305点に電圧が達すると、計測開始時点(306)のスイッチが、入る。判定後入力するのでタイムラグがあり、312時点で、入力される。
(4)フォトセンサが働き始める(303)。衝撃センサも働き始める(307)。
(5)クラブヘッドフェースにボールが強く当たり始める(目に見えないが、次第にボールがつぶれ変形するだろう)。衝撃センサの出力電圧(307)が変化する。即ち、何処かの孔(光センサ)は、ボールで覆われ光量が減り、電圧が低下しはじめる。衝撃センサが働き続け、電圧上がり続け、ある値(308)に達したとマイコンは判断する。これを打撃時点(309)と呼ぶ。
【0086】
(6)この値(308)をマイコンが受取る。
(7)マイコンは、打撃位置検出状態に移る。極短時間ではあるが、時間がかかる。
(8)その後、極暫くして後、ボールがフェースから離れるまでに、フォトセンサ(311)の出力電圧値を読む。何孔かの覆われた孔は、光が入ってこなくなったことが、検出される。これを、透過光検出時点(310)と呼ぶ。
(9)このデータから、打撃位置の演算が行われ、表示される。
【0087】
(10)打撃が完了すると、ボールは、離れて行くので、ボールが当たった部分のフォトセンサの電圧値は、元のように大きくなる事は、申すまでもない。最早関係のない所なので、図からはみ出した部分で、言うまでもなく描いていない。
(11)節電型は、加速度センサが、余計についており、これなくしても、本発明の主要部は、達成されることは言うまでもない。
【0088】
なお、計測開始時点(306)から、フォトセンサ、及び衝撃センサが、少なくとも一方が働き始めるまでの時間は、マイコンと電子回路によるタイムラグである。
別に、節電や誤検出を問題としないようにクラブフェースを取り扱って、誤検出の心配や節電を考えなければ、電源は常時通電状態でも良い。
【0089】
また、他方、打撃時点(309)から、透過光検出時点(310)の差も、マイコンによる検出までのタイムラグであるが、これは、極めて重要な事項である。311点での検出が遅いと、ボールが既にフェースにはないことになる。マイコンによる素早い検出が重要である。
【0090】
他方、本発明において、更に別に設けられた受信アンテナ付きの表示機器、または、腕時計型表示部に近づけるだけで、クラブに設けてある送信アンテナから受電して作動し、感受した情報が伝達され、または演算処理される受信部とのセットとなっていることを特徴とする打撃位置検出練習用クラブも含めている。受信に必要な電波は、クラブ側から、発するが、受信側からも、発することができる。そのために、プリント型コイルを設けたフイルムが有効に利用できる。
【0091】
その人の癖や、データを統計的に加工したり、統計等の解析をしたい時がある。その時には、別の装置とか、広義の携帯電話、モバイルパソコン、腕時計型マイコンに、データを移すことが、必要である。クラブには、大きな容量のデータの蓄積は、重量が増加し好ましくないので、近傍の装置に移すことが好ましい。これを無線(RFID)で、移すことができる。
【0092】
この目的は、節電型・軽量化型とも言えるものである。スイング速度計測部または加速度センサ計測部を設けるものであるが、この種のセンサは、すでに市場にあるので、本発明品とのドッキングにより、大きな効果を発揮する。
【0093】
本発明に達する以前の試験において、打点位置を示すのに、別に作ったフェース図面に縦・横の番号・記号・符号を設けておき、打撃位置が特定されたら、その番号・記号・符号を小さなモニタで表示すると、その符号を手元の符号付のフェース図面の符号と比べ、打点位置を知る方法が、先ず考えられた。
【0094】
この方法は、一々見比べなければならないと言う重大な欠陥があるものの、反面、モニタが非常に小型にできるので、安価にかつ邪魔にならないように製造できるという長所がある。
【0095】
もし、フェースにアラビア数字1,2,3,4,5,・・と横に番号を振り、縦に、あ、い、う、え、お と記号を振り、再々「1あ」が表示されれば、前方向の上であるので、この人は、「1あ」打ちの癖があると言うことになる。しかし、その表を別に持参しなければならないなど、面白くなく、不便である。
【0096】
何処に当ったかを、表示するには、フェース部の外形を表示して、その何処に当ったかを、モニタ部に、フェース外形表示は極めて重要である。フェース部外形表示か、逆台形に近似させて、表示すると、非常に判り易い。
【0097】
孔の開いたゴルフクラブのフェース部とフェース部背部に光センサー部、マイクロコンピュータと表示部と、電源部とを併せ持つゴルフクラブにおいて、電源をオフにしたり、オンにしたりすると、電源が再入力されると同時に自動的に測定可能な状態になる演算設定を有するコンピュータ部であることを特徴とする打撃位置検出可能な練習用クラブも、勿論含まれている。
【0098】
本発明において、表示部がグリップの直ぐ下のシャフト部に設けられてなることを特徴とする撃位置検出可能な練習用クラブも含まれている。
【0099】
また、本発明において、各孔が実質的に導光材料で埋められていることを特徴とする打撃位置検出練習用クラブも含まれている。孔は光を通せばよいので有機ガラスや、強い無機ガラス、透明性のあるゴム状物などが使用できることを重ねて強調したい。
【0100】
フェースの強度の低下を防ぎ、飛距離の低下を防ぎ、また、塵、土、雨水、草、芝生などの穴への詰りを防ぐ効果、電子部品の悪化を防ぎ、回路の短絡を防止し、絶縁を保つ効果がある。
【0101】
ヘッド内部は、普通空洞であるが、発泡樹脂などで、埋めて、ソリッドステート化しておくことが好ましい。重さを余り増やさないで補強を保ち、電子機器を支持したり、保護するからである。ソリッドステート化材料は、ここで一々示さないが、その種の高分子化学業界や電子材料業界で使われているのが、適宜用いられる。特に発泡体が、軽く出来るので好ましい。
【0102】
また、本発明において、球の当たり難いフェース部の隅部に、打撃による光の変化の比較対照のためのリファレンス用孔部を設けたことを特徴とする打撃位置検出の確度を向上した打撃位置検出練習用クラブも含まれる。また、打撃直前の瞬間は、加速度センサまたは速度センサを搭載しており、加速度または速度が一定値以上になった時を直前と判断する組合せも本発明に含むものである。この時、測定モードに入り、必要な電子回路電源投入や設定を行うことを含む。
【0103】
本発明において、測定状態に入ったら、LEDを点滅して、知らせることは、心理的な意味で、重要である。そのような機構にしてもよい。良い打撃位置に入ったとき「ナイスショット」とか話し掛け、音楽が鳴る、良くない時は、励まし、などの発音や発言機能を持たせることができる。安い本機械の貸し出しで、逆にこの呼びかけに、広告宣伝を入れることもできる。この種の機器の普及にも、この販促手法も、活用できる。
【0104】
このクラブは、あくまでも電子機器にも属するので、シールの強化、撥水の強化、撥水剤・防水剤のコートは、重要である。急な雨もあるからである。防水ゴルフクラブ袋との併用が特に好ましい〔例えば、ペアー売り〕。
【発明の効果】
【0105】
1)打撃練習者にとって極めて良い情報(打撃位置)を提供する事が可能となった。
2)グランド部に、何の仕掛けも無しに打撃位置を知ることができるようになった。
3)外部設備が不要となった。
4)感圧紙を一々貼ったり、剥がしたりする必要がない。
5)レンタルクラブにもなる。打ち放し練習場の繁栄化。
【0106】
6)フェースに孔を開けるが、透明素材で、充填したためか、殆ど気付かない。
7)練習が楽しくなる。(訓練効率の向上、打ち方の変更、音楽、掛け声、レベルアップ)
8)電池の補給が、少ない。
9)打撃位置が、見易い。
10)軽いので、この種の機器を組み込んでいないものに近い。
【0107】
11)広告の媒体化。
12)人知れず持つ事による満足感、非公開優越感のアップ、ステイタス化。
【発明を実施するための最良の形態】
【0108】
【実施例】
【0109】
以下の実施例により、本発明を更に詳細に説明する。しかし、本実施例により、本発明の有効性が,限定解釈されるものではない。
【実施例1】
【0110】
ゴルフクラブ(1番ウッド:ドライバー)に対し、次の孔開け加工を行った。チタン合金製の厚さ2mmのフェース面に孔を図2.のように、径1.2mmの16孔をテレコに設けた。(注:最初は、0.3mmを空けたが、光量不足であった)ヘッドの底を開けられるように、またネジ止めできるように、作成した。
【0111】
次に、穴の部分を透光性の樹脂で充填し、表面を滑らかになるように処理した。穴充填材料は、大型量販店で入手し、透明性の高い材料を使用した。次に、フェース面と同じ位置に穴を開けたゴムパッドを製作し、各穴の部分に日本の電気メーカから入手したフォトセンサを接着固定し、ゴムパッドをフェース裏面に接着固定した。フェース面とフォトセンサの間のゴムパッドはセンサの固定とダンパーを兼ねている。これを市販の耐衝撃性の接着剤で、接合した。
【0112】
電子回路基板は、16個のフォトセンサの信号をマルチプレクサを介して増幅し、A/Dコンバータ内臓のCPUに取り込んだ。即ち、マルチプレクサとオペアンプを用い、CPU(A/D変換速度 7μs/サンプル)に取り込んだ。衝撃センサはヘッド部に、加速度センサは基板上に装着した。
【0113】
CPUは、加速度信号からスイング状態を監視し、打撃の直前に計測モード(312)に入り、打撃時点(309)を衝撃センサで検知して、そのときの16個のフォトセンサの信号から打撃位置を演算により求めさせた。
【0114】
求めた打撃位置は、クラブのグリップの下(ヘッド側)に設けた液晶表示器に表示した。液晶表示器は、32dot×120dotのもの(白黒、STN液晶表示装置)とした。CPUと液晶表示器間の配線は、クラブをできるだけ軽量にするために超極細の撚線(銅線40本の撚線、径は0.185mm)を用いた。
【0115】
各孔のフォトセンサは、1個当たり 約0.3グラム/個、で、計16孔なので、4.8グラムとなった。打撃結果は、極めて良く、打撃ロボットによるテスト結果も、打撃ハンマによるテストも、モニタに実質的なレベルで、正しく表示された。この受光センサの感度は、図5の様であり、実施例2として示す。
【実施例2】
【0116】
次に、打撃テストではなく、ヘッド内に備え付けたフォトセンサの性能試験結果のデータの一例を示すことにする。その時の条件は、図4に示すように、クラブヘッドのフェース401が、地面402となす角(θ=シータ、単位度)である。その結果を、図5(表)に示した。もちろん、θ(シータ)は、ロフト角でもなく、ライ角度でもない。
【0117】
図5で、ボールが孔の上に接触状態になった時の起電力電圧〔mV〕、ボールが非接触の時の起電力電圧〔mV〕、フェース面の照度をルックス〔lx〕で、表している。勿論、天候、環境などが、変われば、照度は変化する事は申すまでも無い。なお、ミノルタ(株)製のミノルタデジタル照度計(T−1H)を用いた。
【0118】
しかし、この実験は、一例であるとは言え、ボールが非接触の時と接触している時とは、図5の図表から判るように3桁も大きくかけ離れている事になっているのは、非常に幸運であった事を物語っている。即ち現実の問題として、少なくともボールがフェースに当ってさえいれば、誤判定が極めて起こり難いことを示していると考えられる。孔の大小は、この特許を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明はヘッド内に中空部分をもつゴルフクラブのドライバーに限定されず、中空部分のないアイアンやパターにおいても光導孔と光センサーを設けることにより実施できる。また本発明は、ゴルフクラブの打撃位置特定化に役立つだけにとどまらない。この特定化技術を利用して、移動体のもつ平面状に、物体が衝突した時の衝突位置の検出、例えば野球のバットや卓球のラケット等のスポーツ用具、工具等に応用できる。更には、ボードを対象とした野球の投球練習、テニスのサーブの練習などに有効に使える。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】は本願発明で採用したクラブヘッド部のフェース部に設けた多数の孔の「碁盤目状」配置の一例を説明するための図である.
【図2】は、本発明で採用し、更に優れたゴルフクラブヘッド部のフェース部に設けた多数の孔の「碁盤目」対する「テレコ]配置の一例を説明するための図である.
【図3】は、加速度センサと、衝撃センサと、フォトセンサと、マイコンの命令処理時間の諸関係の微小時間での複雑な前後関係を、判りやすく、理解を容易にするためのモデル説明図である。
【図4】は、フェース面が、地面となす角度(θ)を、説明するための模式図である。
【図5】色々なフェース角度を取った時と、ボールある/なしに対応したフォトセンサがだす電圧値とフェース面照度(ルックス)で図表化した例である。
【符号の説明】
【0121】
101は、図1において、フェース面から見たクラブヘッドの外形を示す。
102は、図1において、シャフト部の下端を示す。
103は、外部から見たフェース部を示す。
104は、フェース部から光をヘッド内へ取り入れるための穴を示す。
105は、孔の「碁盤目」配置を、特に判りやすくための補助線を示している。
106は、最小接触面〔円〕を示す。
107は、最小接触面の円の直径を示す。
201は、101と同様に、図2においてのフェース面から見たクラブヘッドの外形を示す。
202は、101と同様に、図2においてのシャフト部の下端を示す。
203は、フェース面を示す。
204は、碁盤目の繰り返しを、交互に半周期ずらせる「てれこ」配置における孔の位置を示す。
205は、碁盤目と、その『てれこ』の関係を理解しやすく説明するための特別な意味の補助線である。
206は、最小接触面〔円〕を示す。
207は、『てれこ』配置における最小接触円の直径を示す。
301は、図3における、センサの出力電圧軸を示す。
302は、図3において、時間軸を示す。
303は、フォトセンサから、マイコンが取り込む電圧を示す。
304は、加速度センサの電圧曲線を示す。
305は、計測開始判定基準電圧を示す。
306は、計測開始時点を示す。
307は、衝撃センサの電圧を示す。
308は、打撃時点判定基準電圧を示す。
309は、打撃時点と判定する時間である。
310は、透過光検出時点である。
311は、フォトセンサから、マイコンが取り込む電圧である。
312は、フォトセンサ等の電源投入点を示す。
401は、図4において、フェース面を示し、
402は、平らな地面を示し、
403は、クラブヘッドを示し、
θは、フェース面と地面のなす角を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブの打撃面フェースに孔が三孔以上設けられており、該背部には光センサが設けられており、打撃衝撃を受けたことを認識するセンサ部を有し、打撃球により光が減光された複数孔の光センサから、但し書きの式に従って計算した重心にボールが当ったと実質的にみなし処理する演算機能ソフト回路付きマイクロコンピュータ部と、該フェースの近似的外形と打撃位置とを同時表示する表示部と、電源部が同時に付属していることを特徴とする打撃位置検出練習用ゴルフクラブ。
但し、ここで、マイクロコンピュータの打撃位置を決める重心演算ソフトは、直交軸x、yに対して、光が減衰した孔の位置を(x,y)として、各重み付けは、均一として重心位置(x,y)は、
(x,y)=((x+x+x・・・+x)/n、(y+y+y・・・+y)/n)
より、演算するものとする。
【請求項2】
ゴルフクラブの打撃面フェースに孔を三孔以上設け、該背部には光センサーを設け、打撃衝撃を受けたことを認識する打撃センサ部を設け、打撃による光の減光した複数孔の「重心」にボールが当ったと実質的にみなし処理する演算機能ソフト付きマイクロコンピュータを設け、該フェース部の近似外形と打撃位置とを表示する表示部を設け、同時に電源部を付属させる各方法を含むことを特徴とする打撃位置検出可能な練習用ゴルフクラブの製造方法。
但し、ここで、「重心」と名付けた部位の演算機能ソフトは、直交軸x、yに対して、光が減衰した孔の位置を(x,y)として、各重み付けは、均一として重心位置(x,y)は、
(x,y)=((x+x+x・・・+x)/n、(y+y+y・・・+y)/n)
より、演算するものとする。
【請求項3】
孔の開いたゴルフクラブのフェース部とフェース部背部に光センサー部、マイクロコンピュータと表示部と、電源部とを併せ持つゴルフクラブにおいて、ゴルフクラブのフェース部に対して、打撃ボールの中心部を実質的に「・」点表示、または、「十」十字表示、「×」×表示、または、「○」、「●」、「◎」丸表示の中から選ばれた少なくとも一種を表示部としたことを特徴とする打撃位置検出可能な練習用クラブ
【請求項4】
請求項3の打撃位置の表示において、表示・符号を「点滅」機能を持たせた表示部を備えてなることを特徴とする打撃位置検出可能な練習用クラブ。
【請求項5】
請求項1において、打撃面フェースに孔が、少なくとも4孔以上あり、その孔の配置が、実質的に「碁盤目」、またはその近傍に配置されていることを特徴とする打撃位置表示確度を高めた練習用クラブ。
【請求項6】
請求項1において、打撃面フェースに孔が、少なくとも4孔以上あり、その孔の配置が、実質的碁盤目、またはその近傍に配置されており、奇数列目に対し、偶数目が実質的に半周期ずれている「てれこの碁盤目」状態になっていることを特徴とする打撃位置表示確度を高めた練習用クラブ。
【請求項7】
請求項1において、更にクラブのシャフトまたはヘッドの少なくとも一部が発電材料で覆われている部分有し、センサまたはセンサの電源または、表示部の電源を供給する接続がなされていることを特徴とする発電機能付打撃位置検出練習用クラブ
【請求項8】
請求項1において、振ることにより測定状態にするセンサー部と、消えた画像を元に戻すリセットボタン部を有することを特徴とする打撃位置検出可能な練習用クラブ。
【請求項9】
請求項1において、更に別に設けられた受信アンテナ付きの表示機器、または、腕時計型表示部に近づけるだけで、クラブに設けてある送信アンテナから受電して作動し、感受した情報が伝達され、または演算処理される受信部とのセットとなっていることを特徴とする打撃位置検出練習用クラブ。
【請求項10】
請求項1に於いて、スイング速度計測部または加速度センサー計測部を設け、スイング速度または加速度が設定した値以上になった時にマイクロコンピュータおよび光センサ部の電源が投入される電源部を有することを有することを特徴とする打撃位置検出練習用クラブ

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−220631(P2010−220631A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212489(P2007−212489)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(302048566)
【出願人】(503183477)
【Fターム(参考)】