説明

フォトニックバンドギャップファイバとその製造方法

【課題】 導波帯域幅が広く、伝送損失が低いフォトニックバンドギャップファイバ(PBGF)の提供。
【解決手段】 石英部分に多数の空孔がファイバ長手方向に沿って設けられたPBGFであって、ファイバ横断面において第1のピッチΛで多数の六角形の空孔21が隔壁25を介して一列に並べられた第1の空孔列22と、前記第1のピッチの2倍である第2のピッチΓで多数の六角形の空孔が六角形の石英部分20を介して並べられた第2の空孔列23とが交互に多数重ねられ、前記石英部分の対向する2辺間の長さωが前記第1のピッチΛよりも小さい拡張三角格子状の空孔周期構造をクラッドに有し、且つ空孔コア又は多数の六角形の空孔が三角格子状に並べられたコアを有することを特徴とするPBGF。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石英部分に多数の空孔がファイバ長手方向に沿って設けられたフォトニックバンドギャップファイバに関する。本発明のフォトニックバンドギャップファイバは、通常のフォトニックバンドギャップファイバに特有な表面モードを抑制することができ、ファイバの伝送帯域を広げることができるので、極低損失光伝送、UV領域から可視光領域及び遠赤外領域における光伝送、ファイバレーザ光伝送などに用いることができる。
【背景技術】
【0002】
フォトニックバンドギャップファイバ(photonic bandgap fiber:以下、PBGFと記す。)は、空孔の周期構造をクラッドに用いることにより、そのフォトニックバンドギャップを利用して光をコアに閉じ込める。そのため、コアは空気であっても導波が可能である(非特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、クラッドに設けた空孔の周期構造がバンドギャップを形成しても、光がコア中心に集中するコアモードは、光がコアエッジ近傍の石英に集中する表面モードに結合し、大きな伝送損失をもたらすので、バンドギャップの波長帯域全域における光導波が得られない問題がある(非特許文献2参照。)。
【0004】
表面モードの存在は、コア径の大小に依存する。図1は、その依存性を示す図である。図1に示す従来のPBGFは、ファイバ横断面において石英部分10に多数の円形の空孔11が三角格子状に設けられ、中心の空孔が空孔コア12になっている。以下、このようにファイバ横断面において多数の円形の空孔10が一定のピッチで三角格子の周期構造を形成している空孔構造を「通常の三角格子の周期構造」と記す。
【0005】
図1中の「バルクモード」とは、空孔の周期構造がバンドギャップを構成しているときに、そのバンドギャップの下部通過帯域(バンド)内最高周波数を有するΓ点(波長ベクトルが伝搬方向成分のみを有する点)のモードを指す。
図1に示すような構造のPBGFにおいて、コア12のエッジがバルクモードを横切る場合に表面モードが存在し、横切らない場合には表面モードが存在しないことが知られている(非特許文献3参照。)
【0006】
図2および図3は、通常の三角格子の周期構造を有する従来のPBGFにおける空孔コア12とバルクモードとの位置関係を例示する図である。図2に示す従来のPBGFは、ファイバ横断面においてクラッドとなる石英部分10に多数の円形の空孔11が三角格子状に設けられ、中心の1つの空孔とそれを囲む6つの空孔を含む領域を空孔とすることによって形成された空孔コア12を備えている。また、図3に示す従来のPBGFは、ファイバ横断面において石英部分10に多数の円形の空孔11が三角格子状に設けられ、中心の1つの空孔とそれを囲む2層18個の空孔を含む領域を空孔とすることによって形成された空孔コア12を備えている。
【非特許文献1】R. F. Cregan, B. J. Mangan, J. C. Knight, T. A. Birks, P. St. J. Russell, P. J. Roberts, and D. C. Allan, “Single-mode photonic band gap guidance of light in air,” Science, vol. 285, no. 3, pp. 1537-1539, 1999.
【非特許文献2】J. A. West, C. M. Smith, N. F. Borrelli, D. C. Allan, and K. W. Koch, “Surface modes in air-core photonic band-gap fibers,” Opt. Express, vol. 12, no. 8, pp. 1485-1496, 2004.
【非特許文献3】H. K. Kim, J. Shin, S. Fan, M. J. F. Digonnet, and G. S. Kino, “Designing air-core photonic-bandgap fibers free of surface modes,” IEEE J. Quant. Electron., vol. 40, no. 5, pp. 551-556, 2004.
【非特許文献4】S. G. Johnson and J. D. Joannopoulos, “Block-iterative frequency-domain methods for Maxwell's equations in planewave basis,” Opt. Express, vol. 8, no. 3, pp. 173-190, 2001.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、図2および図3に示すような通常の三角格子の周期構造をクラッドに用いる場合、空孔コア12のエッジが、バルクモード13の存在する領域を横切ってしまうため、表面モードを避けることが困難である。その結果、コアモードの光が表面モードに結合し、大きな伝送損失をもたらし、バンドギャップの波長帯域全域における光導波が得られず、導波帯域幅が狭くなり、また伝送損失が増加してしまう問題がある。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みてなされ、導波帯域幅が広く、伝送損失が低いPBGFの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、石英部分に多数の空孔がファイバ長手方向に沿って設けられたPBGFであって、ファイバ横断面において一定のピッチΓで六角形の多数の石英部分が三角格子状に並び、該石英部分の間が空孔とされ、前記石英部分の対向する2辺間の長さωが前記ピッチΓの半分の長さΛよりも小さい周期構造をクラッドに有し、且つ空孔コア又は多数の六角形の空孔が三角格子状に並べられたコアを有することを特徴とするPBGFを提供する。
【0010】
また本発明は、石英部分に多数の空孔がファイバ長手方向に沿って設けられたPBGFであって、ファイバ横断面において第1のピッチΛで多数の六角形の空孔が隔壁を介して一列に並べられた第1の空孔列と、前記第1のピッチの2倍である第2のピッチΓで多数の六角形の空孔が六角形の石英部分を介して並べられた第2の空孔列とが交互に多数重ねられ、前記石英部分の対向する2辺間の長さωが前記第1のピッチΛよりも小さい拡張三角格子状の空孔周期構造をクラッドに有し、且つ空孔コア又は多数の六角形の空孔が三角格子状に並べられたコアを有することを特徴とするPBGFを提供する。
【0011】
前記PBGFにおいて、前記空孔を囲む石英の隔壁の厚さωが0.005Λ≦ω≦0.2Λの範囲であることが好ましい。
【0012】
前記PBGFにおいて、前記空孔を囲む石英の隔壁の厚さωが0.05Λ≦ω≦0.5Λの範囲であることが好ましい。
【0013】
本発明のPBGFにおいて、前記石英部分の対向する2辺間の長さωが0.4Λ≦ω<Λの範囲であることが好ましい。
【0014】
本発明のPBGFにおいて、前記コアの直径Dは、ピッチΛに対し、0.7Λ≦D≦3.3Λの関係であることが好ましい。
【0015】
本発明のPBGFにおいて、前記コアの直径Dは、ピッチΛに対し、4.7Λ≦D≦7.3Λの関係としてもよい。
【0016】
本発明のPBGFにおいて、前記コアの直径Dは、ピッチΛに対し、8.7Λ≦D≦11.3Λの関係としてもよい。
【0017】
本発明のPBGFにおいて、前記クラッドに設けられた拡張三角格子状の空孔周期構造がコアの外側に3層以上設けられていることが好ましい。
【0018】
本発明のPBGFにおいて、伝搬パワーの60%以上が空孔コアの領域に集中するコアモードであり、且つ表面モードが実質的に存在しない光学特性を有していることが好ましい。
【0019】
本発明のPBGFにおいて、単一のコアモード(ただし、縮退する全てのモードはモード数1とする)のみが存在する光学特性を有していることが好ましい。
【0020】
本発明のPBGFにおいて、波長λが、0.6≦Γ/λ≦1.7を満たす範囲内でコアモードが存在する光学特性を有していることが好ましい。
【0021】
本発明のPBGFにおいて、波長λが、1.5≦Γ/λ≦2.4を満たす範囲内でコアモードが存在する光学特性を有していてもよい。
【0022】
本発明のPBGFにおいて、波長λが、2.1≦Γ/λ≦3.5を満たす範囲内でコアモードが存在する光学特性を有していてもよい。
【0023】
本発明のPBGFにおいて、波長λが、0.7≦Γ/λ≦2.4を満たす範囲内でコアモードが存在する光学特性を有していてもよい。
【0024】
また本発明は、石英製の多数のキャピラリが一列に並べられた第1の空孔列と、前記キャピラリとそれよりも肉厚の中空石英管とを交互に並べた第2の空孔列とが交互に重なって横断面のキャピラリ配置が拡張三角格子状となるように組み合わせ、且つ中央の中空石英管又は中央の中空石英管とその周りのキャピラリ及び中空石英管を無くして空孔コア領域とし、又は中空石英管をキャピラリに置換してキャピラリコア領域としたキャピラリ束を作製し、次いでキャピラリ内部空間の圧力を高く中空石英管内部空間の圧力を低く保持したまま、該キャピラリ束を加熱一体化し、中空石英管の内部空間が潰れると共にキャピラリの空孔が六角形状となって維持されたファイバ紡糸用母材を作製し、次いで該ファイバ紡糸用母材を紡糸して本発明に係る前記PBGFを得ることを特徴とするPBGFの製造方法を提供する。
【0025】
本発明のPBGFの製造方法において、前記キャピラリが断面円環状であり、前記中空石英管がキャピラリと外径が等しく肉厚の断面円環状であることが好ましい。
【0026】
本発明のPBGFの製造方法において、前記キャピラリ束を石英管の孔内に挿入した状態で一体化してファイバ紡糸用母材を作製することが好ましい。
【0027】
本発明のPBGFの製造方法において、前記石英管の孔内に挿入したキャピラリ束のうち、キャピラリ内部空間のみを大気圧又はそれ以上の圧力に保持し、中空石英管の内部空間を含むキャピラリ内部空間以外の空間部分を減圧状態として前記一体化を行うことが好ましい。
【0028】
本発明のPBGFの製造方法において、前記キャピラリ束の横断面の中心にある1つの中空石英管を無くして空孔コア領域を形成してもよい。
【0029】
本発明のPBGFの製造方法において、前記キャピラリ束の横断面の中心にある1つの中空石英管とその周りを囲む1層以上5層以下のキャピラリ及び中空石英管を無くして空孔コア領域を形成してもよい。
【0030】
本発明のPBGFの製造方法において、前記キャピラリ束の横断面の中心にある1つの中空石英管をキャピラリに置換してキャピラリコア領域を形成してもよい。
【0031】
本発明のPBGFの製造方法において、前記キャピラリ束の横断面の中心にある1つの中空石英管とその周りを囲む中空石英管をキャピラリに置換してキャピラリコア領域を形成してもよい。
【0032】
本発明のPBGFの製造方法において、前記キャピラリ束は、コア領域を囲む拡張三角格子状の空孔周期構造が、径方向外方に向けて3層以上の中空石英管を有するように設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明のPBGFは、拡張三角格子状の空孔周期構造をクラッドに有するものなので、中心にコアを形成する場合にコアエッジがバルクモードを横切らずに構成でき、表面モードが発生せずにコアモードのみが存在する光学特性が得られ、導波帯域幅を広くすることができ、伝送損失を下げることができる。
また、前記周期構造において六角形の石英部分を六角形の空孔のピッチΛより小さくしたことで、石英部分と空孔のピッチΛとが等しい周期構造と比べ、バンドギャップが広くなり、バンドギャップの位置が上昇するので、同じ波長通過帯域を実現するために必要となるファイバの寸法が大きくなり、製造が容易になる。
本発明のPBGFの製造方法は、キャピラリの一部をそれよりも肉厚の中空石英管に置換して組み合わせること以外は、従来のキャピラリを用いた方法と同様にして、簡単に拡張三角格子状の空孔周期構造を有するPBGFを製造できるので、従来のPBGFよりも優れた光学特性を有するPBGFを従来のPBGFと同様の方法によって簡単且つ安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図4は、本発明のPBGFのクラッド部分に用いた拡張三角格子(ETL:extended triangular lattice)状の空孔周期構造の一例を示す図であり、この図中、符号20は石英部分、21は六角形の空孔、22は第1の空孔列、23は第2の空孔列、25は隔壁である。
【0035】
この拡張三角格子状の空孔周期構造は、図4(a)に示すように、ファイバ横断面において第1のピッチΛで多数の六角形の空孔21が隔壁25を介して一列に並べられた第1の空孔列22と、前記第1のピッチΛの2倍である第2のピッチΓ(Γ=2Λ)で多数の六角形の空孔21が六角形の石英部分20を介して並べられた第2の空孔列23とを交互に多数重ねた周期構造(以下、六角形空孔拡張三角格子又は六角形空孔拡張三角格子構造と記す。)になっている。本例示において、六角形の空孔21は、正六角形ではなく、石英部分20と接する2辺が他の2辺よりも短く、且つ石英部分20と接する2辺間の長さが他の二辺間の長さ(Λ)よりも長い六角形状となっている。
【0036】
図4(b)は、この六角形空孔拡張三角格子のユニットセル構造を示す図である。このユニットセルにおいて、石英部分20の対向する2辺間の長さωは、前記第1のピッチΛよりも小さい(ω<Λ)。また、格子の周期性を表す基本ベクトルであるa,aは、それぞれx軸に対して30度と−30度に傾き、第2のピッチΓは2Λである。
【0037】
本発明において、石英部分20は、隔壁25を含む空孔21よりも小さいことが好ましい。石英部分20の対向する2辺間の長さωと前記第1のピッチΛとは、0.4Λ≦ω<Λの関係、好ましくは0.5Λ≦ω<Λの関係であることが好ましい。
【0038】
この拡張三角格子状の空孔周期構造をPBGFのクラッドに用いる場合、適切にコア領域を設計すると、コアとクラッド間に空孔層を設けることができる。その結果、表面モードを避けることができ、広い伝送帯域が実現できる(非特許文献3参照。)。
【0039】
また、本例示の六角形空孔拡張三角格子は、石英部分20を空孔21よりも小さくしたこと、即ち、ω<Λの関係としたことによって、ω=Λである六角形空孔拡張三角格子とは異なる光学特性を得ることができる。
【0040】
図5は、参考例として、ω=Λである六角形空孔拡張三角格子構造を例示する図であり、また図6はそのバンド構造を示すグラフである。ただし、図5は、ω=Λであると共に、隔壁厚さω=0とした六角形空孔拡張三角格子構造である。図5において六角形の黒色部分が石英部分20であり、白色部分が空孔21である。また、図6のバンド構造は、非特許文献4に記載されている平面波展開法を用いて計算した。図6において、βは伝搬方向(周期構造と垂直な方向)の波数、Γ=2Λは拡張三角格子の格子定数、ωは角周波数、cは光速を表す。また、ライトラインは光が真空媒質中で伝搬するときの分散曲線を表し、バンドで囲まれる領域は、周期構造断面内にどの方向にも光が伝搬できない領域、すなわちバンドギャップを表す。ファイバのクラッドにこの周期構造を用い、コアに空孔を用いた場合、ファイバのコアに光が導波可能になる領域はライトラインに隣接し、その上部に存在するバンドギャップとなる。この場合、Γ/λ(=ωΓ/2πc)が0.82〜1.30の範囲で第1導波領域、1.58〜2.13で第2導波領域が存在する。ここで、λは波長を表す。
【0041】
一方、図7に示す本発明に係る六角形空孔拡張三角格子構造のバンド構造を図8に示す。図7は、ファイバ横断面において一定のピッチΓで六角形の多数の石英部分20が三角格子状に並び、該石英部分20の間が空孔21とされ、石英部分20の対向する2辺間の長さωを前記ピッチΓの半分の長さΛよりも小さく(ω/Λ=0.9)し、隔壁厚さω=0とした六角形空孔拡張三角格子構造を示す図である。ただし、実際には石英部分20を保持するために、図示していないが、断続的な隔壁等があってよい。
【0042】
この場合、図8に示すように、Γ/λが0.85〜1.45の範囲で第1導波領域、1.82〜2.38の範囲で第2導波領域が存在する。ω=Λ(ω/Λ=1)である六角形空孔拡張三角格子構造のバンド構造と比べると、本例示の六角形空孔拡張三角格子構造は、バンドギャップが広くなり、さらにバンドギャップの位置が上昇している。これは、同じ波長通過帯域を実現するために必要となるファイバの寸法が大きいことを意味するので、製造面においても有利である。
【0043】
また、図9に示す本発明に係る六角形空孔拡張三角格子構造のバンド構造を図10に示す。本例示は、ω/Λ=0.8、ω=0とした六角形空孔拡張三角格子構造を示すものである。この場合、図10に示すように、Γ/λが0.90〜1.65の範囲で第1導波領域、2.02〜2.62の範囲で第2導波領域が存在する。ω/Λ=1である六角形空孔拡張三角格子構造のバンド構造と比べ、本例示のファイバは、バンドギャップが広くなり、さらにバンドギャップの位置が上昇している。
【0044】
空孔21を囲む隔壁25が存在する実際のファイバにおいても同じ傾向がある。
図11は、参考例として、ω/Λ=1、ω/Λ=0.06とした六角形空孔拡張三角格子構造を示す図であり、また図12はそのバンド構造を示すグラフである。この場合、Γ/λが0.79〜1.13の範囲で第1導波領域、1.60〜1.83で第2導波領域が存在する。
【0045】
一方、図13に示す本発明に係る六角形空孔拡張三角格子構造のバンド構造を図14に示す。図13に示す六角形空孔拡張三角格子は、図4(a),(b)と同じく、ファイバ横断面において第1のピッチΛで多数の六角形の空孔21が隔壁を介して一列に並べられた第1の空孔列22と、第1のピッチの2倍である第2のピッチΓで多数の六角形の空孔が六角形の石英部分20を介して並べられた第2の空孔列23とが交互に多数重ねられ、前記石英部分20の対向する2辺間の長さωが前記第1のピッチΛよりも小さくなっており、本例示では、ω/Λ=0.9、ω/Λ=0.06である。
【0046】
この場合、Γ/λが0.86〜1.25の範囲で第1導波領域、1.82〜1.94で第2導波領域が存在する。図7に示すω=0の理想的なファイバと同じように、このファイバは、ω/Λ=1である図11のファイバと比べ、バンドギャップが広くなり、バンドギャップの位置が上昇している。
【0047】
また、石英部分20を更に小さくした図15に示す本発明に係る六角形空孔拡張三角格子構造のバンド構造を図16に示す。本例示は、ω/Λ=0.8、ω/Λ=0.06とした六角形空孔拡張三角格子構造を示すものである。この場合、Γ/λが0.89〜1.33の範囲で第1導波領域が存在する。ω/Λ=1である六角形空孔拡張三角格子構造のバンド構造と比べると、本例示のファイバは、バンドギャップがさらに広くなり、バンドギャップの位置がさらに上昇している。
【0048】
また、石英部分20を更に小さくした図17に示す本発明に係る六角形空孔拡張三角格子構造のバンド構造を図18に示す。本例示は、ω/Λ=0.7、ω/Λ=0.06とした六角形空孔拡張三角格子構造を示すものである。この場合、Γ/λが0.97〜1.46の範囲で第1導波領域、1.93〜2.18の範囲で第2導波領域が存在する。ω/Λ=1である六角形空孔拡張三角格子構造のバンド構造と比べると、本例示のファイバは、バンドギャップがさらに広くなり、またバンドギャップの位置がさらに上昇している。
【0049】
本発明のPBGFは、前述した拡張三角格子状の空孔周期構造をクラッドに有すると共に、中心に空孔コア、又は多数の六角形の空孔が三角格子状に並べられたコア24を有している。なお、本発明のPBGFにおいて、石英部分20の材質は、ファイバ全体で同一とすることができ、例えば、純粋石英(SiO)などが好適に用いられるが、フッ素や酸化ゲルマニウムなどの屈折率調整用ドーパントを添加した石英ガラスなどを用いることもできる。
【0050】
本発明の好ましい実施形態において、隔壁25を設ける構成とした場合、その隔壁の厚さωは0.005Λ≦ω≦0.2Λの範囲、またはωが0.05Λ≦ω≦0.5Λの範囲であることが好ましい。
隔壁25を薄く形成する場合には、図7及び図9に示す隔壁の無いPBGFと同様の光学特性が得られ、バンドギャップが広くなり、広い伝送帯域を確保することができる。
一方、隔壁25を比較的厚く形成する場合には、非常に広い伝送帯域を確保することができ、また、伝送帯域を短波長側にシフトさせることができる。また、隔壁25を比較的厚く形成する場合には、PBGFの製造が容易になるメリットが得られる。
【0051】
本発明の好ましい実施形態において、石英部分20の対向する2辺間の長さωは、0.4Λ≦ω<Λの範囲であることが好ましい。長さωが前記範囲より小さいとバンドギャップが狭くなり、ファイバの動作範囲が狭くなるので、好ましくない。
【0052】
本発明の好ましい実施形態において、コア24の直径Dは、以下の(A)〜(C)の範囲となるように設定することが望ましい。
(A) 0.7Λ≦D≦3.3Λの範囲。
(B) 4.7Λ≦D≦7.3Λの範囲。
(C) 8.7Λ≦D≦11.3Λの範囲。
コア24の直径Dを前記範囲内に設定することで、表面モードを有しないPBGFを提供することができる。コア24の直径Dを小さくすることで、コアモードを単一モードとすることができ、一方、コア24の直径Dを大きくすることで、マルチモードとすることができる。
【0053】
また、クラッドに設けられた拡張三角格子状の空孔周期構造は、コア24の外側に3層以上設けられていることが好ましい。クラッドに設けられた拡張三角格子の層数が2層以下であると光の閉じ込みが不十分になり、損失が大きくなる可能性がある。
【0054】
本発明のPBGFは、伝搬パワーの60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上がコアの領域に集中するコアモードであり、且つ表面モードが実質的に存在しない光学特性を有していることが好ましい。前記コアモードの割合が60%未満であると光が石英中に伝わるようになるので好ましくない。
【0055】
本発明のPBGFにおいて、波長λが、0.6≦Γ/λ≦1.7を満たす範囲内でコアモードが存在する光学特性を有していることが好ましい。前記Γ/λが0.6未満であるとバンドギャップが存在しなくなり、光が伝わらなくなり、またΓ/λが1.7を超えると同様にバンドギャップが存在せず光が伝わらなくなってしまう。
【0056】
また、PBGFが高次バンドギャップで動作する場合、前記Γ/λは、1.5≦Γ/λ≦2.4の範囲内が好ましい。前記Γ/λが1.5未満であると高次バンドギャップ外にあり、動作しなくなり、またΓ/λが2.4を超えると高次バンドギャップの外にあり、動作しなくなってしまう。
また、波長λが、2.1≦Γ/λ≦3.5を満たす範囲内でコアモードが存在する光学特性を有していてもよい。
さらに、波長λが、0.7≦Γ/λ≦2.4を満たす範囲内でコアモードが存在する光学特性を有していてもよい。
【0057】
次に、本発明のPBGFの製造方法の一例を説明する。本例では、図4(a)に示す六角形空孔拡張三角格子構造をクラッドに有し、且つ中心の石英部分20のみが空孔21に置換されたコア24(キャピラリコア)を備えた図19に示すPBGFを製造する場合を説明する。
本製造方法では、まず、石英製のキャピラリと、それよりも肉厚の中空石英管とを用意し、多数のキャピラリが一列に並べられた第1の空孔列と、キャピラリと中空石英管とを交互に並べた第2の空孔列とが交互に重なって横断面のキャピラリ配置が拡張三角格子状となるように組み合わせ、且つ中央の中空石英管をキャピラリに置換してキャピラリコア領域としたキャピラリ束を作製する。本製造方法で用いるキャピラリは、断面円環状であり、また中空石英管は、キャピラリと外径が等しい肉厚の断面円環状であることが好ましい。この中空石英管は、中空部分を潰して石英部分とすることから、その肉厚は製造するPBGFにおけるω/Λの値に応じて適宜選択可能である。
【0058】
なお、本発明のPBGFの製造方法において、前記コア領域の形成方法は前記の例にのみ限定されず、製造するPBGFのコア構造に応じて適宜変更可能である。例えば、図33に示すPBGFを製造する場合には、六角形空孔拡張三角格子構造の中心の中空石英管とそれを囲む6つの中空石英管をキャピラリに置換してキャピラリコア領域を形成している。また、空孔コアを形成する場合には、六角形空孔拡張三角格子構造の中心の中空石英管を無くすか、あるいは中心の中空石英管とその周りを囲む1層以上5層以下のキャピラリ及び中空石英管を無くして空孔コア領域を形成することが好ましい。
【0059】
次に、前記キャピラリ束を加熱一体化してファイバ紡糸用母材を作製する。この加熱一体化工程は、前記キャピラリ束を石英管の孔内に挿入した状態で一体化してファイバ紡糸用母材とすることが望ましい。このようにキャピラリ束を石英管の孔内に挿入した状態で一体化する場合、中空石英管内部を含むキャピラリ周囲の空間内とキャピラリ内部空間との圧力やガス組成を個別に調整することができる。
【0060】
石英管の孔内に前記キャピラリ束を挿入して一体化を行う場合、挿入したキャピラリ束のうち、キャピラリ内部空間のみを大気圧又はそれ以上の圧力に保持し、一方、中空石英管の中空部分とキャピラリ同士間の隙間を減圧状態に保持しながら加熱し、中空石英管の中空部分を潰しながら、キャピラリ同士間の隙間を無くして一体化することが望ましい。
【0061】
次に、前記のように作製したファイバ紡糸用母材を紡糸することによって、図19に示すPBGFを得る。この紡糸工程は、キャピラリ周囲の空間の圧力よりもキャピラリ内部空間の圧力を高く保持し、キャピラリ空孔同士間の圧力がバランスをとった状態で行うことが望ましい。この圧力調整により、キャピラリの空孔が断面六角形になり、且つ石英部分の断面も六角形となる。
【0062】
本例によるPBGFは、前述した六角形空孔拡張三角格子構造をクラッドに有するものなので、中央に空孔コア又はキャピラリコアを形成する場合にコアエッジがバルクモードを横切らずに構成でき、表面モードが発生せずにコアモードのみが存在する光学特性が得られ、導波帯域幅を広くすることができ、伝送損失を下げることができる。
また、前記構造において六角形の石英部分を六角形の空孔のピッチΛより小さくしたことで、石英部分と空孔のピッチΛとが等しい周期構造と比べ、バンドギャップが広くなり、バンドギャップの位置が上昇するので、同じ波長通過帯域を実現するために必要となるファイバの寸法が大きくなり、製造が容易になる。
本例によるPBGFの製造方法は、キャピラリの一部をそれよりも肉厚の中空石英管に置換して組み合わせること以外は、従来のキャピラリを用いた方法と同様にして、簡単に拡張三角格子状の空孔周期構造を有するPBGFを製造できるので、従来のPBGFよりも優れた光学特性を有するPBGFを従来のPBGFと同様の方法によって簡単且つ安価に製造することができる。
【実施例】
【0063】
[実施例1]
図19に示すような、ピッチΛに対する石英部分20の2辺間の長さωの割合が0.9(ω/Λ=0.9)であり、ピッチΛに対する隔壁25の厚さωの割合が0.06(ω/Λ=0.06)である六角形空孔拡張三角格子構造をクラッドに有し、中心の石英部分20を空孔21に置換したコア24(キャピラリコア)を有するPBGFを製造し、コアモードの分散を調べた。図20はこのPBGFの第1バンドギャップ内の分散を示すグラフである。図20において、βは伝搬方向(周期構造と垂直な方向)の波数、Γ=2Λは拡張三角格子の格子定数、ωは角周波数、cは光速を表す。また、ライトラインは光が真空媒質中で伝搬するときの分散曲線を表し、バンドで囲まれる領域は、周期構造断面内にどの方向にも光が伝搬できない領域、すなわちバンドギャップを表す。図20に示すように、Γ/λ(=ωΓ/2πc)=0.89〜1.30のバンドギャップ内では、コアモードのみが存在し、表面モードが存在しない。また、この場合のコアモードは単一モードである(縮退モードを含む)。
【0064】
図21は、そのときのコアモードの典型的なパワー分布を示す図である。また、図22はファイバの誘電率を図19と同スケールで示す図である。図示のように、コアモードのパワーは、コア直近の石英部分20にわずかに分布しているだけで、ほとんど全部がコア24内に分布していることがわかる。
【0065】
図23は、本実施例のPBGFにおける第2バンドギャップ内の分散を示すグラフである。図示のようにΓ/λ=1.83〜1.96でコアモードが存在するが、表面モードは存在しない。この場合もコアモードが単一モードである(縮退モードを含む)。
【0066】
図24は、そのときのコアモードの典型的なパワー分布を示す。図示のように、コアモードのパワーは、ほとんど全部がコア24内に分布していることがわかる。
【0067】
[実施例2]
図25に示すような、ω/Λ=0.8、ω/Λ=0.06である六角形空孔拡張三角格子構造をクラッドに有し、中心の石英部分20を空孔21に置換したコア24(キャピラリコア)を有するPBGFを製造し、コアモードの分散を調べた。図26はこのPBGFの第1バンドギャップ内の分散を示すグラフである。図示のように、Γ/λ=0.96〜1.40のバンドギャップ内では、コアモードのみが存在し、表面モードが存在しない。また、この場合のコアモードは単一モードである(縮退モードを含む)。
【0068】
図27は、そのときのコアモードの典型的なパワー分布を示す図である。また、図28はファイバの誘電率を図25と同スケールで示す図である。図示のように、コアモードのパワーは、ほとんど全部がコア24内に分布していることがわかる。
【0069】
[実施例3]
図29に示すような、ω/Λ=0.7、ω/Λ=0.06である六角形空孔拡張三角格子構造をクラッドに有し、中心の石英部分20を空孔21に置換したコア24(キャピラリコア)を有するPBGFを製造し、コアモードの分散を調べた。図30はこのPBGFの第1バンドギャップ内の分散を示すグラフである。図示のように、Γ/λ=1.05〜1.57のバンドギャップ内では、コアモードのみが存在し、表面モードが存在しない。また、この場合のコアモードは単一モードである(縮退モードを含む)。
【0070】
図31は、そのときのコアモードの典型的なパワー分布を示す図である。また、図32はファイバの誘電率を図29と同スケールで示す図である。図示のように、コアモードのパワーは、ほとんど全部がコア24内に分布していることがわかる。
【0071】
[実施例4]
図33に示すような、ω/Λ=0.9、ω/Λ=0.06である六角形空孔拡張三角格子構造をクラッドに有し、中心の石英部分20とその外側の1層6個の石英部分20を空孔21に置換したコア24(キャピラリコア)を有するPBGFを製造し、コアモードの分散を調べた。図34はこのPBGFの第1バンドギャップ内の分散を示すグラフである。図示のように、Γ/λ=0.96〜1.26でコアモード1、Γ/λ=0.92〜1.27でコアモード2が存在し、表面モードは存在しない。ただし、各コアモードは縮退モードを含む。
【0072】
図35は、そのときのコアモード1の典型的なパワー分布を示す図である。また、図36はファイバの誘電率を図33と同スケールで示す図である。図示のように、コアモードのパワーは、ほとんど全部がコア24内に分布していることがわかる。
【0073】
また、図37は、本実施例のPBGFにおける第1バンドギャップ内のコアモード2の典型的なパワー分布を示す図である。
【0074】
図38は、本実施例のPBGFにおける第2バンドギャップ内の分散を示すグラフである。図示のようにΓ/λ=1.85〜2.00でコアモード1、Γ/λ=1.83〜1.97でコアモード2が存在するが、表面モードは存在しない。ただし、各コアモードには縮退モードを含む。また、コアモードの分散がライトライン以下の領域にも存在しているのは、コア24内に隔壁としてわずかに石英が残っているからである。
【0075】
図39は、そのときのコアモード1の典型的なパワー分布を示す図である。また図40は、そのときのコアモード2の典型的なパワー分布を示す図である。
【0076】
[実施例5]
図41に示すような、ω/Λ=0.7、ω/Λ=0.1である六角形空孔拡張三角格子のバンド構造を図42に示す。ただし、石英の屈折率n=1.45とした。図41において、黒色の六角形部分が石英部分20、白色の六角形部分が空孔21、空孔21を区画する実線が隔壁25である。また、バンド構造は平面波展開法(非特許文献4参照)を用いて計算した。図42において、βは伝搬方向(周期構造と垂直な方向)の波数、Γ=2Λは拡張三角格子の格子定数、ωは角周波数、cは光速を表す。また、ライトライン(n=1)は光が真空媒質中で伝搬するときの分散曲線を表し、バンドで囲まれる領域は、周期構造断面内にどの方向にも光が伝搬できない領域、すなわちバンドギャップを表す。ファイバのクラッドにこの周期構造を用い、コアに空孔を用いた場合、ファイバのコアに光が導波可能になる帯域はn=1のライトラインに隣接し、その上部に存在するバンドギャップとなる。この場合、Γ/λ(=ωΓ/2πc)が0.93〜1.16の範囲で導波領域が存在する。ここで、λは波長を表す。しかし、キャピラリコアを用いると、コアの透過屈折率が上昇するので、前記真空媒質中で伝搬するライトラインの替わりに、誘電体中で伝搬するライトラインが適用される。この場合、コアの平均屈折率は、式(1)で近似することができる。
【0077】
【数1】

【0078】
ただし、neff,nair,nsilicaはそれぞれ、コアの平均屈折率、空気の屈折率、石英の屈折率を表し、Sair,Ssilicaはそれぞれ、空気がコア中に占める面積、石英がコア中に占める面積を表す。キャピラリコアは図43に示すように、多数のほぼ正六角形状の空孔21が隔壁25を介して三角格子状に配置された構造になるので、各面積は式(2)及び式(3)で与えられる。
【0079】
【数2】

【0080】
【数3】

【0081】
この例では、neff=1.09になる。図42中、ライトライン(n=1.09)に示されるように、キャピラリコアを有するファイバは、Γ/λが1.11〜2.02の範囲で導波領域が存在し、空孔コア(エアコア)の場合と比べ、はるかに広い導波帯域をもつとともに、波長帯域が短波長側にシフトする。これによって広帯域化が実現できるのみならず、ファイバの製造において微細構造の寸法への制限を緩くする、すなわちファイバ製造を容易化できることにも繋がる。
【0082】
本発明者らは、端面が図44及び図45で示されるような、キャピラリコアを有する六角形空孔拡張三角格子型PBGFを製造した。なお、図45においては黒色部分が空孔であり、白色部分が石英部分になっている。このPBGFは、Λ=0.75μm、ω/Λ=0.7、ω/Λ=0.1である。このPBGFの第1バンドギャップ内の分散を図46に示す。図46に示すように、このPBGFの第1バンドギャップ内には、Γ/λ=1.15〜1.91の範囲でモード1が存在し、Γ/λ=1.06〜1.74の範囲でモード2が存在する。この場合のモードは縮退モードを含み、モード1が2重縮退し、モード2が4重縮退している。
【0083】
図47は、前記のように製造したPBGF(長さ1m)の透過特性を測定した結果を示すグラフである。図47中で実線は測定値であり、斜線領域は計算により算出した帯域を示す。短波長側の二つの伝送帯域は、高次のバンドギャップに対応している。波長1550nm以上の伝送帯域は第1バンドギャップに対応している。測定値が約2150nmまでしかないのは測定機器の限界による。また、測定値の波長1900nm付近に見られる落ち込みは、ファイバ中の残存OH基の損失によるものである(P. Kaiser, A. R. Tynes, H. W. Astle, A. D. Pearson, W. G. French, R. E. Jaeger, and A. H. Cherinet,“Spectral losses of unclad vitreous silica and soda-lime-silicate fibers”, J. Opt. Soc. Amer., vol. 63, pp.1141-1148, Sept. 1973)。
【0084】
図48と図49はそれぞれ、前記PBGFのモード1とモード2の典型的なパワー分布を示す図である。
また、図50は、前記PBGFの誘電率分布を示す図である。
【0085】
[実施例6]
図51に示すような、ω/Λ=0.8、ω/Λ=0.1である六角形空孔拡張三角格子構造をクラッドに有し、中心の石英部分20とその外側の1層6個の石英部分20を空孔21に置換したコア24(キャピラリコア)を有するPBGFを製造し、伝搬モードの分散を計算した。図52は、このPBGFの第1バンドギャップ内の分散を示すグラフである。
【0086】
図52に示すように、コア24が完全な空孔コア(エアコア)である場合には、空気中を伝搬するライトライン(n=1)の上のバンドギャップ内に伝搬モードが存在し得るので、Γ/λ=0.90〜1.12の範囲で伝搬モードが存在するのに対して、キャピラリコアの場合には、誘電体中のライトライン(n=1.09)の上のバンドギャップ内に伝搬モードが存在し得ることになるので、Γ/λ=1.00〜1.79の範囲で伝搬モードが存在し、伝送帯域が大幅に広くなるとともに、短波長側にシフトする。実際には、Γ/λ=1.05〜1.75の範囲でモード1、Γ/λ=1.00〜1.58の範囲でモード2が存在する。ただし、各モードには縮退モードを含む。
【0087】
図53は、そのときのモード1の典型的なパワー分布を示す図である。図54は、そのときのモード2の典型的なパワー分布を示す図である。
また、図55は、ファイバの誘電率分布を図51と同スケールで示す図である。
【0088】
[実施例7]
図56に示すような、ω/Λ=0.7、ω/Λ=0.1である六角形空孔拡張三角格子構造をクラッドに有し、中心の石英部分20を空孔21に置換したコア24(キャピラリコア)を有するPBGFを製造し、伝搬モードの分散を計算した。図57は、このPBGFの第1バンドギャップ内の分散を示すグラフである。
【0089】
図57に示すように、コア24が完全な空孔コア(エアコア)である場合、空気中を伝搬するライトライン(n=1)の上のバンドギャップ内に伝搬モードが存在し得るので、Γ/λ=0.93〜1.16の範囲で伝搬モードが存在するのに対して、キャピラリコアの場合には、誘電体中のライトライン(n=1.09)の上のバンドギャップ内に伝搬モードが存在し得ることになるので、Γ/λ=1.01〜1.73の範囲で伝搬モードが存在する。この場合、コア直径Dが小さいため、単一モードとなっている。ただし、このモードは2重縮退している。このように、空孔コアファイバと比べキャピラリコアファイバは伝送帯域が大幅に広くなるとともに、短波長側にシフトする。
【0090】
図58は、そのときのモードの典型的なパワー分布を示す図である。
また、図59は、ファイバの誘電率分布を図56と同スケールで示す図である。
【0091】
[実施例8]
図60に示すような、ω/Λ=0.8、ω/Λ=0.1である六角形空孔拡張三角格子構造をクラッドに有し、中心の石英部分20を空孔21に置換したコア24(キャピラリコア)を有するPBGFを製造し、伝搬モードの分散を計算した。図61は、このPBGFの第1バンドギャップ内の分散を示すグラフである。
【0092】
図61に示すように、コア24が完全な空孔コア(エアコア)である場合、空気中を伝搬するライトライン(n=1)の上のバンドギャップ内に伝搬モードが存在し得るので、Γ/λ=0.90〜1.12の範囲で伝搬モードが存在するのに対して、キャピラリコアの場合には、誘電体中のライトライン(n=1.09)の上のバンドギャップ内に伝搬モードが存在し得ることになるので、Γ/λ=0.97〜1.56の範囲で伝搬モードが存在する。この場合、コア直径Dが小さいため、単一モードとなっている。ただし、このモードは2重縮退している。このように、空孔コアファイバと比べキャピラリコアファイバは伝送帯域が大幅に広くなるとともに、短波長側にシフトする。
【0093】
図62は、そのときのモードの典型的なパワー分布を示す図である。
また、図63は、ファイバの誘電率分布を図60と同スケールで示す図である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】通常の三角格子の周期構造をもつPBGFにおけるコア径と表面モードの関係を示す断面図である。
【図2】通常の三角格子の周期構造と空孔コアをもつPBGFにおける空孔コアとバルクモードの関係を示す断面図である。
【図3】通常の三角格子の周期構造と空孔コアをもつ別なPBGFにおける空孔コアとバルクモードの関係を示す断面図である。
【図4】本発明のPBGFに使われる六角形空孔拡張三角格子構造を例示する断面図である。
【図5】参考例として挙げたω/Λ=1、ω/Λ=0の六角形空孔拡張三角格子構造を例示する断面図である。
【図6】図5の六角形空孔拡張三角格子構造におけるバンド構造を示すグラフである。
【図7】本発明のPBGFに用いられるω/Λ=0.9、ω/Λ=0である六角形空孔拡張三角格子構造を示す断面図である。
【図8】図7の六角形空孔拡張三角格子のバンド構造を示すグラフである。
【図9】本発明のPBGFに用いられるω/Λ=0.8、ω/Λ=0である六角形空孔拡張三角格子構造を示す断面図である。
【図10】図9の六角形空孔拡張三角格子のバンド構造を示すグラフである。
【図11】参考例として挙げたω/Λ=1、ω/Λ=0.06の六角形空孔拡張三角格子構造を例示する断面図である。
【図12】図11の六角形空孔拡張三角格子構造におけるバンド構造を示すグラフである。
【図13】本発明のPBGFに用いられるω/Λ=0.9、ω/Λ=0.06である六角形空孔拡張三角格子構造を示す断面図である。
【図14】図13の六角形空孔拡張三角格子のバンド構造を示すグラフである。
【図15】本発明のPBGFに用いられるω/Λ=0.8、ω/Λ=0.06である六角形空孔拡張三角格子構造を示す断面図である。
【図16】図15の六角形空孔拡張三角格子のバンド構造を示すグラフである。
【図17】本発明のPBGFに用いられるω/Λ=0.7、ω/Λ=0.06である六角形空孔拡張三角格子構造を示す断面図である。
【図18】図17の六角形空孔拡張三角格子のバンド構造を示すグラフである。
【図19】実施例1で製造したω/Λ=0.9、ω/Λ=0.06の六角形空孔拡張三角格子構造を用いるPBGFの断面図である。
【図20】実施例1のPBGFの第1バンドギャップ内の分散を示すグラフである。
【図21】実施例1のPBGFの第1バンドギャップ内のコアモードのパワー分布を示す図である。
【図22】実施例1のPBGFの誘電率分布を示す図である。
【図23】実施例1のPBGFの第2バンドギャップ内の分散を示すグラフである。
【図24】実施例1のPBGFの第2バンドギャップ内のコアモードのパワー分布を示す図である。
【図25】実施例2で製造したω/Λ=0.8、ω/Λ=0.06の六角形空孔拡張三角格子構造を用いるPBGFの断面図である。
【図26】実施例2のPBGFの第1バンドギャップ内の分散を示すグラフである。
【図27】実施例2のPBGFの第1バンドギャップ内のコアモードのパワー分布を示す図である。
【図28】実施例2のPBGFの誘電率分布を示す図である。
【図29】実施例3で製造したω/Λ=0.7、ω/Λ=0.06の六角形空孔拡張三角格子構造を用いるPBGFの断面図である。
【図30】実施例3のPBGFの第1バンドギャップ内の分散を示すグラフである。
【図31】実施例3のPBGFの第1バンドギャップ内のコアモードのパワー分布を示す図である。
【図32】実施例3のPBGFの誘電率分布を示す図である。
【図33】実施例4で製造したω/Λ=0.9、ω/Λ=0.06の六角形空孔拡張三角格子構造を用いるPBGFの断面図である。
【図34】実施例4のPBGFの第1バンドギャップ内の分散を示すグラフである。
【図35】実施例4のPBGFの第1バンドギャップ内のコアモード1のパワー分布を示す図である。
【図36】実施例4のPBGFの誘電率分布を示す図である。
【図37】実施例4のPBGFの第1バンドギャップ内のコアモード2のパワー分布を示す図である。
【図38】実施例4のPBGFの第2バンドギャップ内の分散を示すグラフである。
【図39】実施例4のPBGFの第2バンドギャップ内のコアモード1のパワー分布を示す図である。
【図40】実施例4のPBGFの第2バンドギャップ内のコアモード2のパワー分布を示す図である。
【図41】実施例5で製造したω/Λ=0.7、ω/Λ=0.1の六角形空孔拡張三角格子構造の断面図である。
【図42】実施例5のPBGFの第1バンドギャップ内の分散を示すグラフである。
【図43】実施例5のPBGFのキャピラリコアの構造を示す断面図である。
【図44】実施例5で製造したω/Λ=0.7、ω/Λ=0.1の六角形空孔拡張三角格子構造を用いるPBGFの断面図である。
【図45】図44の要部拡大図である。
【図46】実施例5のPBGFの第1バンドギャップ内の分散を示すグラフである。
【図47】実施例5のPBGFの透過特性を示すグラフである。
【図48】実施例5のPBGFのモード1のパワー分布を示す図である。
【図49】実施例5のPBGFのモード2のパワー分布を示す図である。
【図50】実施例5のPBGFの誘電率分布を示す図である。
【図51】実施例6で製造したω/Λ=0.8、ω/Λ=0.1の六角形空孔拡張三角格子構造を用いるPBGFの断面図である。
【図52】実施例6のPBGFの第1バンドギャップ内の分散を示すグラフである。
【図53】実施例6のPBGFのモード1のパワー分布を示す図である。
【図54】実施例6のPBGFのモード2のパワー分布を示す図である。
【図55】実施例6のPBGFの誘電率分布を示す図である。
【図56】実施例7で製造したω/Λ=0.7、ω/Λ=0.1の六角形空孔拡張三角格子構造を用いるPBGFの断面図である。
【図57】実施例7のPBGFの第1バンドギャップ内の分散を示すグラフである。
【図58】実施例7のPBGFのモードのパワー分布を示す図である。
【図59】実施例7のPBGFの誘電率分布を示す図である。
【図60】実施例8で製造したω/Λ=0.8、ω/Λ=0.1の六角形空孔拡張三角格子構造を用いるPBGFの断面図である。
【図61】実施例8のPBGFの第1バンドギャップ内の分散を示すグラフである。
【図62】実施例8のPBGFのモードのパワー分布を示す図である。
【図63】実施例8のPBGFの誘電率分布を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
20…石英部分、21…空孔、22…第1の空孔列、23…第2の空孔列、24…コア、25…隔壁。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
石英部分に多数の空孔がファイバ長手方向に沿って設けられたフォトニックバンドギャップファイバであって、
ファイバ横断面において一定のピッチΓで六角形の多数の石英部分が三角格子状に並び、該石英部分の間が空孔とされ、前記石英部分の対向する2辺間の長さωが前記ピッチΓの半分の長さΛよりも小さい周期構造をクラッドに有し、且つ空孔コア又は多数の六角形の空孔が三角格子状に並べられたコアを有することを特徴とするフォトニックバンドギャップファイバ。
【請求項2】
石英部分に多数の空孔がファイバ長手方向に沿って設けられたフォトニックバンドギャップファイバであって、
ファイバ横断面において第1のピッチΛで多数の六角形の空孔が隔壁を介して一列に並べられた第1の空孔列と、前記第1のピッチの2倍である第2のピッチΓで多数の六角形の空孔が六角形の石英部分を介して並べられた第2の空孔列とが交互に多数重ねられ、前記石英部分の対向する2辺間の長さωが前記第1のピッチΛよりも小さい拡張三角格子状の空孔周期構造をクラッドに有し、且つ空孔コア又は多数の六角形の空孔が三角格子状に並べられたコアを有することを特徴とするフォトニックバンドギャップファイバ。
【請求項3】
前記空孔を囲む石英の隔壁の厚さωが0.005Λ≦ω≦0.2Λの範囲であることを特徴とする請求項2に記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
【請求項4】
前記空孔を囲む石英の隔壁の厚さωが0.05Λ≦ω≦0.5Λの範囲であることを特徴とする請求項2に記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
【請求項5】
前記石英部分の対向する2辺間の長さωが0.4Λ≦ω<Λの範囲であることを特徴とする請求項2に記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
【請求項6】
前記コアの直径Dは、ピッチΛに対し、0.7Λ≦D≦3.3Λの関係であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
【請求項7】
前記コアの直径Dは、ピッチΛに対し、4.7Λ≦D≦7.3Λの関係であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
【請求項8】
前記コアの直径Dは、ピッチΛに対し、8.7Λ≦D≦11.3Λの関係であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
【請求項9】
前記クラッドに設けられた拡張三角格子状の空孔周期構造がコアの外側に3層以上設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
【請求項10】
伝搬パワーの60%以上が空孔コアの領域に集中するコアモードであり、且つ表面モードが実質的に存在しない光学特性を有していることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
【請求項11】
単一のコアモード(ただし、縮退する全てのモードはモード数1とする)のみが存在する光学特性を有していることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
【請求項12】
波長λが、0.6≦Γ/λ≦1.7を満たす範囲内でコアモードが存在する光学特性を有していることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
【請求項13】
波長λが、1.5≦Γ/λ≦2.4を満たす範囲内でコアモードが存在する光学特性を有していることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
【請求項14】
波長λが、2.1≦Γ/λ≦3.5を満たす範囲内でコアモードが存在する光学特性を有していることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
【請求項15】
波長λが、0.7≦Γ/λ≦2.4を満たす範囲内でコアモードが存在する光学特性を有していることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバ。
【請求項16】
石英製の多数のキャピラリが一列に並べられた第1の空孔列と、前記キャピラリとそれよりも肉厚の中空石英管とを交互に並べた第2の空孔列とが交互に重なって横断面のキャピラリ配置が拡張三角格子状となるように組み合わせ、且つ中央の中空石英管又は中央の中空石英管とその周りのキャピラリ及び中空石英管を無くして空孔コア領域とし、又は中空石英管をキャピラリに置換してキャピラリコア領域としたキャピラリ束を作製し、次いでキャピラリ内部空間の圧力を高く中空石英管内部空間の圧力を低く保持したまま、該キャピラリ束を加熱一体化し、中空石英管の内部空間が潰れると共にキャピラリの空孔が六角形状となって維持されたファイバ紡糸用母材を作製し、次いで該ファイバ紡糸用母材を紡糸して請求項1〜15のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバを得ることを特徴とするフォトニックバンドギャップファイバの製造方法。
【請求項17】
前記キャピラリが断面円環状であり、前記中空石英管がキャピラリと外径が等しく肉厚の断面円環状であることを特徴とする請求項16に記載のフォトニックバンドギャップファイバの製造方法。
【請求項18】
前記キャピラリ束を石英管の孔内に挿入した状態で一体化してファイバ紡糸用母材を作製することを特徴とする請求項16又は17に記載のフォトニックバンドギャップファイバの製造方法。
【請求項19】
前記石英管の孔内に挿入したキャピラリ束のうち、キャピラリ内部空間のみを大気圧又はそれ以上の圧力に保持し、中空石英管の内部空間を含むキャピラリ内部空間以外の空間部分を減圧状態として前記一体化を行うことを特徴とする請求項18に記載のフォトニックバンドギャップファイバの製造方法。
【請求項20】
前記キャピラリ束の横断面の中心にある1つの中空石英管を無くして空孔コア領域を形成することを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバの製造方法。
【請求項21】
前記キャピラリ束の横断面の中心にある1つの中空石英管とその周りを囲む1層以上5層以下のキャピラリ及び中空石英管を無くして空孔コア領域を形成することを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバの製造方法。
【請求項22】
前記キャピラリ束の横断面の中心にある1つの中空石英管をキャピラリに置換してキャピラリコア領域を形成することを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバの製造方法。
【請求項23】
前記キャピラリ束の横断面の中心にある1つの中空石英管とその周りを囲む中空石英管をキャピラリに置換してキャピラリコア領域を形成することを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバの製造方法。
【請求項24】
前記キャピラリ束は、コア領域を囲む拡張三角格子状の空孔周期構造が、径方向外方に向けて3層以上の中空石英管を有するように設けられることを特徴とする請求項16〜23のいずれかに記載のフォトニックバンドギャップファイバの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【公開番号】特開2007−41167(P2007−41167A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223469(P2005−223469)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】