説明

フォトマスク上の異物の元素分析方法及び材質推定方法

【課題】 従来の元素分析方法では困難だったフォトマスク上の微細な異物の元素分析方法を提供する。
【解決手段】 導電性AFMのAFM機能で異物1の位置出しを行い、導電性探針2を異物1直上に配置して異物1を含む領域に放射光3を照射し特定元素の内殻電子を励起しフェルミ準位近傍に現れる電子状態変化を導電性AFMのSTM機能でトンネルしてくる電子6をトンネル電流検出系13で検出し異物1の元素分析を行う。もしくは導電性AFMのAFM機能で異物の位置出しを行い、導電性探針を異物直上に配置して導電性AFMのSTM機能で異物に導電性探針から電子を注入し出てきた光を電子対解離型超伝導センサーでエネルギーを測定し異物の元素分析を行う。あるいは導電性AFMのAFM機能で異物の位置出しを行い、導電性探針を異物直上に配置して導電性AFMのSTS機能で電流-電圧特性を測定しその形状から異物材料の推定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォトマスク上の微細な異物の元素分析方法及び材質推定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Si半導体集積回路の微細化はめざましく、それに伴って転写に用いるフォトマスクまたはレチクル上のパターン寸法も微細になってきている。フォトマスクはリソグラフィ工程の原版であり、フォトマスクに異物等のソフトディフェクト(FIBで修正するようなパターン余剰欠陥やパターン欠損欠陥をハードディフェクトと呼び、それ以外をソフトディフェクトと呼ぶ。異物や付着が含まれる。)が存在するとそれがそのままウェーハに転写されてしまい転写されたウェーハ全てにデバイスの不良を生じることになりかねないので完全に取り除かれなければならない。異物は従来洗浄で除去されてきたが、パターン寸法の微細化に伴い、今まで許容されてきたサイズの異物も取り除かなければならなくなっている。また取り除かなければならない異物のサイズが小さくなり体積に対する表面の割合が増えてきているためか強固に付着していて洗浄条件を工夫しても除去できない異物が増えてきている。洗浄も膜減りや光近接補正用のアシストパターンのような微細なパターンの横方向への倒れ(界面での付着力よりも強い力が横方向に働くとパターンが横に倒れる。超音波洗浄のような物理的な洗浄や洗浄液への出し入れで起こることがある)を防ぐために、超音波のパワーをさげたり、強い酸や強いアルカリの割合を減らした洗浄液を使うなどのソフトな条件が求められるようになってきており、なおさら洗浄で完全に異物を除去することが難しくなってきている。
【0003】
フォトマスクの検査工程や欠陥修正工程で見つかった異物はそのマスク上の位置もわかっており、座標をリンケージさせて他の装置で他のアプローチでクリーンかつ確実に取り除けるのならば、多少工程が増えてもフォトスク製造工程全体でみると高品質を達成する上で魅力的かつ必要な方法である。このような1つの方法として原子間力顕微鏡技術を用いて異物を移動もしくは削り取りで除去する方法が提案されている(特許文献1)。実際には下地への付着力の弱いものは異物の移動により、下地への付着力の大きいものは異物を削り取って削り滓にすることにより洗浄で落ち易い状態にしてから洗浄を行い除去している。
【0004】
上記方法で異物を除去することも可能であるが異物が多数発生した場合には除去に時間もかかるため、やはりフォトマスクから転写に影響するような異物そのものを製造プロセスからなくしていくことが望ましい。製造プロセスにおいて異物を発生させなくするためには異物のルート分析が重要である。異物発生の原因を取り除けば、異物を発生させなくすることができる。そのためには異物の元素分析は、ルートを特定するのに重要な手がかりとなる。しかし最先端の微細パターンで問題になるような異物はサイズが小さく、高感度な分析法を用いても元素分析可能な量以下であることが多い。それに加えてフォトマスクはガラスまたは石英基板の上に70〜100nmの厚みのクロム膜またはMoSiON膜を堆積させたものなので基本的に絶縁体であり、従来用いられてきた荷電粒子を用いたオージェ電子分光法(AES)や二次イオン質量分析法(SIMS)や電子ビーム誘起特性X線分析(エネルギー分散型や波長分散型)などの標準的な微細な領域の高感度元素分析手法は、フォトマスクがチャージアップするため異物が特定できず使用することができないという問題があった。
【0005】
またX線光電子分光(XPS)を用いれば絶縁物でも元素分析が可能ではあるが、分析範囲が広く最先端のフォトマスクの微小な異物が分析できるほどの局所性はなかった。上記以外の局所元素分析方法として走査トンネル顕微鏡(STM)の高精度位置決め能力や局所性を活かした方法も種々提案されているが(例えば非特許文献1及び2)、STMで観察可能な半導体や金属が対象であり、絶縁物を含むフォトマスクへ適応されることはなかった。
【特許文献1】特開2006-039260
【非特許文献1】T. Eguchi, T. Okuda, T. Matsushima, A. Kataoka, A. Harasawa, K. Akiyama, T. Kinoshita, Y. Hasegawa, M. Kawamori, Y. Haruyama, S. Matsui, Appl. Phys. Lett. 89 243119-1-243119-3(2006)
【非特許文献2】J. F. Jia, K. Inoue, Y. Hasegawa, W. S. Yang, and T. Sakurai, J. Vac. Sci. Technol. B15 1861-1864(1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は洗浄で除去できないフォトマスク上の微細な異物の発生の原因を取り除く上で重要な情報となる異物の元素分析方法や異物材料の推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
導電性の探針を備えた原子間力顕微鏡(AFM)装置に走査型トンネル顕微鏡(STM)機能を付加した導電性AFM(conductive-AFM、C-AFMともいいトンネル電流が同時測定可能なAFM装置のことであり、走査トンネル分光機能も有する)を用いて、導電性AFMのAFM機能でAFM観察により異物の位置出しを行い、導電性の探針を位置出しの行なわれた異物の直上に配置して、異物を含む領域に放射光を、波長を変えながら照射する。この時異物を構成する特定元素の内殻電子を励起しフェルミ準位近傍に電子状態変化が現れ、これを導電性AFMの導電性探針と異物間に流れるトンネル電流の変化として検出して、このトンネル電流が変調する前記放射光の波長を求めることにより元素を特定する、すなわち局所領域の光電子分光のようなことを行い、異物の元素分析を行う。
【0008】
導電性AFMのAFM機能でAFM観察により異物の位置出しを行い、導電性の探針を異物直上に配置して導電性AFMのSTM機能で異物に導電性探針から電子を注入し、異物から出てきた微弱なプラズモン発光または再結合発光を高い感度を持つ電子対解離型超伝導センサーでエネルギーを測定し異物の元素分析を行う。
【0009】
導電性AFMのAFM機能でAFM観察により異物の位置出しを行い、導電性探針を異物直上に配置して導電性AFMの走査トンネル分光(Scanning Tunneling Spectroscopy ; STS)機能で、トンネル電流のフィードバックを切って高さ固定のまま電流-電圧特性(IVカーブ)を測定しその形状やバンドギャップの大きさから異物材料の推定を行う。
【0010】
単純化した1次元トンネルモデルによれば、STMにおけるトンネル電流は探針-試料間距離に対して指数関数的に減少し、このときの減数係数は実効的な局所トンネル障壁高さに対応する。局所トンネル障壁高さは試料と探針の微視的な仕事関数で決まるため、トンネル電流の探針-試料間距離依存性から仕事関数を算出できる。
【0011】
この点に関し、以下に詳細に説明する。
【0012】
仕事関数Φの金属を探針と試料に用いた場合、STMの探針-試料間の印加バイアスの絶対値が十分に小さいと、トンネル現象は障壁高さが仕事関数Φに等しい矩形のポテンシャル障壁とみなすことができる。このときトンネル電流Iの探針-試料間距離zに対する依存性は、
I ∝ exp(-2kz)
となる。ここで2kは減衰係数で2k=4π(2mΦ)1/2/hである(mはトンネル電子の質量、hはプランク定数である)。
【0013】
探針と試料の仕事関数が異なる場合(それぞれをΦt、Φsとすると)は、実行的な障壁の高さは両者の算術平均(Φ=(Φt+Φs)/2)とみなすことができるので、探針の仕事関数が既知ならば、減衰係数(トンネル電流の探針-試料間距離依存性)から試料の仕事関数を求めることができる。
【0014】
トンネル電流を試料-探針間距離の関数として測定するのを表面上の各点で行うのは容易でないため、通常Z軸用ピエゾ素子に対するフィードバック電圧に変調を加えることでZ方向に微小に振動させ、このときのトンネル電流の変化をロックインアンプを用いて連続的に計測することで行われる(変調法)。このとき障壁高さ(局所的なトンネル障壁高さ)は
Φ=(h/2π)2(dlogI/dz)2/8m
で与えられる。
【0015】
仕事関数は材料によって異なるため、異物の仕事関数を測定することによって異物の材質を推定することができる。
【0016】
導電性AFMのAFM機能でAFM観察により異物の位置出しを行い、導電性探針を異物直上に配置して、上記変調法で異物の局所的なトンネル障壁高さを測定してナノメーターレベルの仕事関数を求め、仕事関数の値から異物材料の推定を行う。
【発明の効果】
【0017】
荷電粒子ビームを試料に照射することがないため、絶縁物(ガラスまたは石英)基板の金属薄膜を堆積した構造であるフォトマスクがチャージアップすることがないので、微小異物が特定でき、その元素分析が可能となり、異物のルート分析が可能となる。また、導電性探針先端の局所性から狙った異物のみの元素分析が可能である。
【0018】
STS測定で取得したIV特性から異物が絶縁体か、金属か、半導体か区別することができる。半導体ならばエネルギーギャップから材料を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、導電性AFMにおいて、放射光STM光電子分光でマスク上の異物の元素分析を行う場合を説明する概略断面図である
AFMは片持ち梁(カンチレバー)16の先端に取り付けられた先鋭な導電性探針2をサンプル表面に近づけ、導電性探針とサンプル表面との間に働く原子間力をカンチレバー16の変位で検出し、原子間力が一定になるようにXYZスキャナー(ピエゾ素子もしくはボイスコイルモーター)19を駆動させることにより導電性探針2の高さを制御しながらXY方向にラスター走査して微細領域の表面形状を得る装置である。カンチレバー16の変位検出は試料から離れた状態でレーザー光源14からレーザー光15をカンチレバー16背面に照射し反射したレーザー光が4分割位置検出器17の中央になるように予め調整しておき、試料に近づけたときの4分割位置検出器17に入ってくるレーザー光15の位置変化を検出することで行っている。
【0021】
STMはAFMと同様の構成で、先鋭な導電性探針を試料に近づけ原子間力のかわりにバイアス電圧印加下でトンネル電流を検出してトンネル電流が一定になるようにZ軸を制御しながらXY方向にラスター走査して微細領域を画像化する装置である。
【0022】
AFMに導電性探針2、バイアス電圧印加機構12、トンネル電流検出系13、フィードバック切替器18等を付加することによりAFMとSTMの両方の機能を備えたものが導電性AFM装置である。
【0023】
異物検査装置で異物が見つかった座標が視野中心に来るように、導電性AFMの、ガラス基板5を載置したXYステージを移動する。
【0024】
まず異物1を含む領域に大気下で軟X線またはポロニウムのようなアルファ線源を照射し除電を行う。除電後は真空環境で観察と分析を行う。次に導電性AFMのAFM機能でフォトマスクの異物1を含む領域を観察して異物の位置出しを行い、導電性探針2をガラス基板5または遮光膜パターン4上にある異物1直上に配置する。表面の酸化層が厚くてトンネル電流がとれない場合は、探針を押し込んだり、表面を引っかいたりして内部を露出させてから異物1直上に配置する。使用する導電性探針2は探針先端からトンネルしてきた電子のみ取り込むように(ノイズ成分を減らすために)先端以外はガラスコート7を施したものを使用する。配置後フィードバック切替器18をSTM機能に切り替え、導電性探針2を異物1に接触させて余剰な電荷があれば取り除く。再び導電性探針2を、異物1に接触はしないが異物1との間にトンネル電流が流れる位置に引き上げ、異物1を含む領域にシンクロトロン光源から引き込んだ放射光3を、波長を変えながら照射して特定元素の内殻電子を励起しフェルミ準位近傍に現れる電子状態変化を、異物1から導電性探針2にトンネルしてくる電子6の数の変化、すなわちトンネル電流の変化として、微小電流増幅器からなるトンネル電流測定系12で検出し、放射光3の波長とトンネル電流の関係から異物1の元素分析を行う。すなわち、吸収端よりもやや高い波長の放射光を照射して特定元素の吸収端を励起すると、フェルミ準位近傍に状態変化が現れ、トンネル電流の変調(照射したときとしないときでトンネル電流が異なる)が見られる。吸収端が励起されていないときには放射光照射の有無でトンネル電流の変調(トンネル電流の大きさの変化)が見られることはない。吸収端波長は元素に依存するため放射光の波長を変えて(励起できる吸収端を変えて)トンネル電流変調を測定することで元素分析を行う。導電性探針2にバイアス電圧印可機構12で印加するバイアス電圧値は異物の内殻電子を励起したトンネル電流が多くとれるところに設定する。エネルギーが低い方から放射光の波長を変えながらトンネル電流変調を測定し、トンネル電流が変調する波長位置を複数求めることで複数種類の元素が特定できる。
【実施例2】
【0025】
次にSTM発光分光でマスク上の異物の元素分析を行う場合を説明する。
【0026】
図2は、STM発光分光でマスク上の異物の元素分析を行う場合を説明する概略断面図である。
【0027】
実施例1と同様まず大気下で軟X線またはポロニウムのようなアルファ線源を照射し異物とフォトマスクを除電する。除電後は真空環境で観察と分析を行う。導電性AFMのAFM機能で異物を含む領域を観察して異物1の位置出しを行い、導電性探針2を異物1直上に配置する。表面の酸化層が厚くて探針から電流が注入できない場合は、探針を押し込んだり、表面を引っかいたりして内部を露出させてから異物1直上に配置する。配置後フィードバック切替器18をSTM機能に切り替え導電性探針2を徐々に異物1に近づけながら、導電性探針2を異物1に接触させて余剰な電荷があれば取り除く。再び導電性探針2を、異物1に接触はしないが異物1との間にトンネル電流が流れる位置に引き上げる。導電性AFMの導電性探針2にバイアス電圧を加え、異物1に導電性探針から電子8を注入する。このときに出てきたプラズモン発光または再結合発光9を集光系11で集めて、高感度検出が可能な電子対解離型超伝導センサー10で異物1から放出された光9のエネルギーを測定し異物1の元素分析を行う。電子対解離型超伝導センサーに光子が入射すると超伝導体のクーパー対が壊れ、準粒子が発生する。発生した準粒子が超伝導トンネル接合をすり抜けるのを利用して電流として検出する。検出される電流パルスは、できた準粒子の個数に比例する。準粒子の個数は光子のエネルギーまたは振動数に比例するので異物の元素を特定することができる。すなわち、電子対解離型超伝導センサーの出力である電流量から、センサーに入射した光子のエネルギーがわかり、そのエネルギーから異物の元素が特定できる。
【実施例3】
【0028】
次にSTSのIVカーブからマスク上の異物材料の推定を行う場合を説明する。
【0029】
図3は、STS(走査トンネル分光)のIVカーブからマスク上の異物材料の推定を行う場合を説明する概略断面図である。
【0030】
実施例1、2同様、まず大気下で軟X線またはポロニウムのようなアルファ線源を照射し異物とフォトマスクを除電する。除電後は真空環境で観察と分析を行う。導電性AFMのAFM機能で異物1を含む領域を観察して異物1の位置出しを行い、導電性探針2を異物1直上でトンネル電流が流れる位置に配置する。表面が酸化していてトンネル電流がとれない場合は、探針を押し込んだり、表面を引っかいたりして内部を露出させてから異物1直上に配置する。図3に示すようにフィードバック切替器18により原子間力のフィードバック機能を切って高さを固定すると共に、フィードバック切替器18によりトンネル電流のフィードバックも切って高さ固定のまま、バイアス電圧印可機構12で印加するバイアス電圧値を変化させる。このときのトンネル電流をトンネル電流検出系13で測定する。測定したトンネル電流とバイアス電圧値との関係からIVカーブを作成し、このIVカーブの形状やバンドギャップの大きさから異物1が絶縁体か、金属か、半導体か区別することができる。また、半導体ならばバンドギャップから材料を推定することができる。すなわち、半導体の場合そのIVカーブにおいてOV電圧付近に電圧を変えても電流が変化しない領域が現れる。更に電圧をプラスまたはマイナスに大きく変えると電流が流れ出す。電流が流れ出すプラス電圧とマイナス電圧の差がバンドギャップに相当する。バンドギャップの値は半導体の材質によって異なるので、バンドギャップを測定することである程度半導体の材質を推定することができる。
【実施例4】
【0031】
次にナノメーターレベルの仕事関数から異物の元素分析を行う場合について説明する。
【0032】
図4は、変調法で局所的なトンネル障壁高さを測定してナノメーターレベルの仕事関数の値から異物の材質の特定を行う場合を説明する概略断面図である。
【0033】
導電性AFMのAFM機能で異物1を含む領域を観察して異物1の位置出しを行い、導電性探針2を異物1直上でトンネル電流が流れる位置に配置する。表面が酸化していてトンネル電流がとれない場合は、探針を押し込んだり、表面を引っかいたりして内部を露出させてから異物1直上に配置する。Z軸用ピエゾ素子に対するフィードバック電圧に変調回路20で変調を加えることでZ方向に微小に振動させ、このときのトンネル電流の変化をロックインアンプ21を用いて連続的に計測することで、異物1の局所的なトンネル障壁高さを測定してナノメーターレベルの仕事関数を求め、仕事関数の値から異物1の材料の推定を行う。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】放射光STM光電子分光でマスク上の異物の元素分析を行う場合を説明する概略断面図である。
【図2】STM発光分光でマスク上の異物の元素分析を行う場合を説明する概略断面図である。
【図3】STSのIVカーブからマスク上の異物材料の推定を行う場合を説明する概略断面図である。
【図4】変調法で局所的なトンネル障壁高さを測定して異物の材質の特定を行う場合を説明する概略断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 異物
2 導電性探針
3 放射光
4 遮光膜パターン
5 ガラス基板
6 トンネル電子
7 ガラスコート
8 注入電子
9 プラズモン発光または再結合発光
10 電子対解離型超伝導センサー
11 集光系
12 バイアス電圧印可機構
13 トンネル電流検出系
14 レーザー光源
15 レーザー光
16 カンチレバー
17 4分割光検出器
18 フィードバック切替器
19 XYZスキャナー
20 Z軸変調回路
21 ロックインアンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性AFMのAFM機能でフォトマスク上の異物の位置出しを行なう工程と、
導電性AFMの導電性探針を前記位置出しを行なわれた異物の直上で、導電性探針と異物との間にトンネル電流が流れる位置に配置する工程と、
異物を含む領域に放射光を波長を変化させながら照射し、異物を構成する特定元素の内殻電子を励起しフェルミ準位近傍に現れる電子状態を変化させながら、導電性AFMのSTM機能で前記導電性探針と異物とに流れるトンネル電流を測定し、該トンネル電流が変調する前記放射光の波長を求めることにより元素を特定する工程と、
からなるフォトマスク上の異物の元素分析方法。
【請求項2】
導電性AFMのAFM機能でフォトマスク上の異物の位置出しを行なう工程と、
導電性AFMの導電性探針を異物直上で、導電性探針と異物との間にトンネル電流が流れる位置に配置する工程と、
トンネル電流を流すことで異物から出てきた光のエネルギーを、電子対解離型超伝導センサーで測定する工程と、
からなり前記光のエネルギーから異物の特定を行なうことを特徴とするフォトマスク上の異物の元素分析方法。
【請求項3】
導電性AFMのAFM機能でフォトマスク上の異物の位置出しを行なう工程と、
導電性AFMの導電性探針を異物直上で、導電性探針と異物との間にトンネル電流が流れる位置に配置する工程と、
前記導電性探針と異物間のバイアス電圧を変化させながらトンネル電流を測定する工程と、
からなり、前記バイアス電圧とトンネル電流との関係から異物の材質の推定を行なうことを特徴とするフォトマスク上の異物の材質推定方法。
【請求項4】
導電性AFMのAFM機能でフォトマスク上の異物の位置出しを行なう工程と、
導電性AFMの導電性探針を異物直上で、トンネル電流の探針-試料間距離依存性から局所的なトンネル障壁高さを測定する工程と、
前記局所的なトンネル障壁高さから異物の材質の推定を行なうことを特徴とするフォトマスク上の異物の材質推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−103693(P2009−103693A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247318(P2008−247318)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)
【Fターム(参考)】