説明

フォトマスク及び露光装置

【課題】人為的ミスにより異なる種類のフォトマスクが取り付けられるのを防止する。
【解決手段】マスクパターンを形成したパターン領域17外の部分にマスクの種類を識別するための第1の識別マーク18を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置のマスク保持部に取り付けて使用されるフォトマスクに関し、特に人為的ミスにより異なる種類のマスクが取り付けられるのを防止しようとするフォトマスク及び露光装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のフォトマスクは、基板を浮上保持して所定方向に搬送する搬送手段と、複数のマスクを保持するマスク保持部と、マスク保持部に保持される複数のマスクを交換するためのマスクチェンジャーとを備えるスキャン露光装置において使用されるもので、上記マスクチェンジャーとの間でマスクの受け渡しをするマスクストッカーに収容されるようになっていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−49015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来のフォトマスクにおいては、マスクの種類を識別するための識別マークが形成されていないので、マスクストッカーに複数のマスクを収容する際の人為的ミスにより、使用するマスクとは異なる種類のフォトマスクが収容されるおそれがあった。したがって、間違ったパターンを露光してしまい、不良基板を発生させてしまったり、再露光により露光工程に大きな時間的ロスが生じたりするおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、人為的ミスにより異なる種類のフォトマスクが取り付けられるのを防止しようとするフォトマスク及び露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明によるフォトマスクは、マスクパターンを形成したパターン領域外の部分にマスクの種類を識別するための第1の識別マークを形成したものである。
【0007】
このような構成により、マスクパターンを形成したパターン領域外の部分に形成した第1の識別マークでマスクの種類を識別する。
【0008】
また、マスクパターンが異なる複数種の前記パターン領域をその中心軸が互いに平行となるように並べて設け、前記各パターン領域を間にしてその両側方の各中心軸の略軸線上に、前記マスクパターンを識別するための複数種の第2の識別マークを形成したものである。これにより、マスクパターンが異なり、中心軸が互いに平行となるように並べて設けた複数種のパターン領域を間にしてその両側方の各中心軸の略軸線上に形成した複数種の第2の識別マークで各パターン領域のマスクパターンを識別する。
【0009】
さらに、前記第1の識別マークは、前記マスクの種類毎に色が異なるものである。これにより、第1の識別マークの各色によりマスクの種類を識別する。
【0010】
また、前記複数種の第2の識別マークは、互いに形状が異なるものである。これにより、第2の識別マークの各形状により、複数種のパターン領域のマスクパターンを識別する。
【0011】
さらに、前記複数種の第2の識別マークは、メインマークと該メインマークを取り囲む円周上の異なる位置に形成されたサブマークとから成るものである。これにより、メインマークと該メインマークを取り囲む円周上の異なる位置に形成されたサブマークとから成る複数種の第2の識別マークで複数種のパターン領域のマスクパターンを識別する。
【0012】
さらにまた、前記サブマークは、前記マスクパターンのパターン情報を記録したバーコードである。これにより、第2の識別マークのサブマークによりマスクパターンのパターン情報を読み取り、複数種のパターン領域のマスクパターンを識別する。
【0013】
そして、前記複数種の第2の識別マークは、互いに色が異なるものである。これにより、第2の識別マークの各色により、複数種のパターン領域のマスクパターンを識別する。
【0014】
また、本発明による露光装置は、被露光体を一定方向に搬送しながら、移動中の前記被露光体に露光光を照射して露光する露光装置であって、前記被露光体の上面に平行な面内にて前記被露光体の搬送方向と交差する方向に、マスクパターンを形成したパターン領域外の部分にマスクの種類を識別するための第1の識別マークを形成した複数のフォトマスクを並べて保持するマスク保持部と、前記マスク保持部に保持される前記複数のフォトマスクを交換するためのマスクチェンジャーと、前記フォトマスクの第1の識別マークを検出する検出手段と、前記検出手段で取得された前記第1の識別マークと、予め登録して保存された第1の識別マークとを比較して保持されたフォトマスクの正否を判定する制御手段と、を備えたものである。
【0015】
このような構成により、マスクパターンを形成したパターン領域外の部分にマスクの種類を識別するための第1の識別マークを形成した複数のフォトマスクをマスクチェンジャーによりマスク保持部に受け渡して、該複数のフォトマスクを被露光体の上面に平行な面内にて被露光体の搬送方向と交差する方向に並べてマスク保持部に保持し、検出手段でフォトマスクの第1の識別マークを検出し、制御手段により検出手段で取得された第1の識別マークと、予め登録して保存された第1の識別マークとを比較して保持されたフォトマスクの正否を判定し、全てのフォトマスクが正しいと判定されると、被露光体を一定方向に搬送しながら、移動中の被露光体に露光光を照射して露光する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係るフォトマスクの発明によれば、複数種のマスクを第1の識別マークにより目視で確認することができる。したがって、マスクストッカーに複数のマスクを収容する際に人為的ミスが発生するのを抑制し、使用しようとするマスクとは異なる種類のフォトマスクが取り付けられるのを防止することができる。
【0017】
また、請求項2に係る発明によれば、同一の基板にマスクパターンが異なる複数種のパターン領域が形成されている場合、第2の識別マークにより識別して複数種のパターン領域のうちから一つのパターン領域を正しく選択することができる。したがって、パターン領域の選択ミスによる露光トラブルの発生を防止することができる。
【0018】
さらに、請求項3に係る発明によれば、第1の識別マークの色により複数種のマスクを識別することができる。したがって、目視によるマスクの識別が容易になり、人為的ミスの発生をより抑制することができる。
【0019】
また、請求項4に係る発明によれば、第2の識別マークの形状の違いから各パターン領域を識別することができる。
【0020】
さらに、請求項5に係る発明によれば、メインマークとサブマークとの位置関係から各パターン領域を識別することができる。
【0021】
さらにまた、請求項6に係る発明によれば、サブマークに記録されたマスクパターンのパターン情報から各パターン領域を識別することができる。
【0022】
そして、請求項7に係る発明によれば、識別マークの色の違いから各パターン領域を識別することができる。
【0023】
また、請求項8に係る露光装置の発明によれば、検出手段で取得された第1の識別マークと、予め登録して保存された第1の識別マークとを比較して保持されたフォトマスクの正否を判定することができる。したがって、複数種のマスクを第1の識別マークによる目視確認と装置による自動判定との2重チェックにより、人為的ミスの発生を確実に防止して、使用しようとするマスクとは異なる種類のフォトマスクが取り付けられて露光されるのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による露光装置の実施形態を示す部分断面正面図である。
【図2】本発明による露光装置の要部拡大平面図である。
【図3】本発明によるフォトマスクを示す平面図である。
【図4】上記フォトマスクに形成された第1の識別マークの一形状を示す説明図である。
【図5】上記フォトマスクに形成された第2の識別マークの形状例を示す説明図である。
【図6】上記実施形態の制御手段の構成を示すブロック図である。
【図7】上記実施形態の動作及び露光手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明による露光装置の実施形態を示す部分断面正面図であり、図2は要部拡大平面図である。この露光装置は、被露光体を一定方向に搬送しながら、移動中の被露光体に露光光を照射して露光するもので、搬送手段1と、マスク保持部2と、マスクチェンジャー3と、第1の検出手段4と、第2の検出手段5と、露光光学系6と、制御手段7(図6参照)とを備えて構成されている。なお、ここでは、被露光体が液晶表示用基板8である場合について説明する。
【0026】
上記搬送手段1は、図示省略の搬送機構により、液晶表示用基板8の両端縁部を保持して図1に示す矢印A方向に搬送するものであり、例えば液晶表示用基板8の搬送方向(以下「X方向」という)に一定間隔で並べられた複数のステージ9の上面に複数のエア噴出口とエア吸引口とを備え、該エア噴出口及びエア吸引口から噴出及び吸引されるエアの圧力をバランスさせて液晶表示用基板8をステージ9上に一定量だけ浮上させた状態で搬送するようになっている。また、液晶表示用基板8の移動距離を計測する図示省力の位置センサー及びを液晶表示用基板8の搬送速度を検出する図示省略の速度センサーを備えている。
【0027】
上記搬送手段1の上面に対向してマスク保持部2が設けられている。このマスク保持部2は、下面にフォトマスク10を吸着保持して、図示省略の移動機構によりX方向にステップ移動するものであり、ステージ9の上面に平行な面内にてX方向と略直交する方向(以下「Y方向」という)に複数のフォトマスク10を保持する図2に示すような第1のマスク保持部2Aと第2のマスク保持部2BとをX方向に一定距離だけ離して備え、後述の露光光学系6による光源光がフォトマスク10に照射するようにフォトマスク10の後述の複数のパターン領域17に対応して開口部11を形成した構成となっている。そして、上記第1及び第2のマスク保持部2A,2Bは、保持した複数のフォトマスク10がY方向に一定の配列ピッチで互い違いに並ぶように設けられている。さらに、第1及び第2のマスク保持部2A,2Bは、保持した各フォトマスク10を個別にX,Y方向に微動させると共にXY面内で回転させて、各フォトマスク10を予め定められた所定位置に位置付けるための図示省略のアライメント機構も備えている。
【0028】
上記第1及び第2のマスク保持部2A,2Bの間には、マスクチェンジャー3が設けられている。このマスクチェンジャー3は、マスク保持部2に保持される複数のフォトマスク10を交換するためのものであり、上面にフォトマスク10が載置可能なマスクトレー12と、該マスクトレー12を搬送手段1のステージ9上面とマスク保持部2の下面との間をY方向に移動させるトレー移動機構13とを備え、上記搬送手段1のステージ9のY方向側方において、上記マスクトレー12と複数のフォトマスク10を収容可能なマスクストッカー14との間でローダー15(例えばロボット)により、使用済み又は未使用の複数のフォトマスク10の受け渡しができるようになっている。
【0029】
ここで、上記フォトマスク10は、図3に示すように、同一のマスク基板16上にマスクパターンが異なる複数種(例えば4種類)のパターン領域17をその長手中心軸が互いに平行となるように並べて設けたもので、パターン領域17外の部分にて、例えばマスク基板16の角隅部近傍部にマスクの種類を識別するための第1の識別マーク18が形成されて本発明のフォトマスク10となるものであり、さらに各パターン領域17を間にしてその両側方の各長手中心軸の略軸線上には、上記マスクパターンを識別するための複数種の一対の第2の識別マーク19が形成されている。そして、上記複数種のパターン領域17の並び方向がX方向と合致するように上記マスク保持部2に保持される。
【0030】
上記複数種の第1の識別マーク18の具体例は、図4に示すように、マスクの種類毎に例えば十字マークの色が例えば赤、緑、青、黄と異なるものであり、印刷等によって形成することができる。この場合、マークの形状も変えてもよい。
【0031】
上記複数種の第2の識別マーク19の具体例は、図5(a)に示すように、同一形状(例えば四角形)のマークでマスクパターンの種別により色が異なるものである。又は、同図(b)に示すように、互いに形状及び色が異なるものであってもよい。さらに、同図(c)に示すように、メインマーク20と該メインマーク20を取り囲む円周上の異なる位置に形成されたサブマーク21とから成っていてもよい。この場合、サブマーク21は、各マスクパターンのID等のパターン情報を記録した、例えば同図(d)に示すような1次元バーコードや、同図(e)に示すようなマスクパターンIDとその他の情報を記録した2次元バーコード(QRコード)であってもよい。サブマーク21が上記バーコードの場合には、サブマーク21は、メインマーク20を取り囲む円周上のいずれかの位置に形成されていればよい。なお、上記メインマーク20は、フォトマスク10を予め定められた所定位置に位置付けるためのアライメントマークの機能をも果たし、同図(b)に示すように形状又は色が異なっていてもよい。
【0032】
上記マスク保持部2の下方にて、上記隣接するステージ9の隙間には、Y方向に並べて複数の第1の検出手段4及び第2の検出手段5が設けられている。図2に示すように、第1の検出手段4は各フォトマスク10の第1の識別マーク18を検出するもので、第2の検出手段5は一対の第2の識別マーク19を検出するものであり、共に色を識別して読み取ることができる例えばカラー撮影の二次元カメラである。
【0033】
上記マスク保持部2の上方には、露光光学系6が設けられている。この露光光学系6は、マスク保持部2上に保持された各フォトマスク10の複数種のパターン領域17a,17b,17c,17dから選択された一つのパターン領域17(図2に示す照射領域IA)に光源光を照射して該選択されたパターン領域17のマスクパターンを液晶表示用基板8上に転写するものであり、紫外線を含む光源光を放射する光源22と、光源光を上記フォトマスク10まで導くと共に、光源光の輝度分布を均一化し平行光にして上記フォトマスク10に照射させるカップリング光学系23と、光源光の光路を開閉するシャッタ24とを含んで構成されており、各フォトマスク10に対応して設けられた複数の単位露光光学系から成っている。
【0034】
上記搬送手段1と、マスク保持部2と、マスクチェンジャー3と、ローダー15と、光源22と、シャッタ24と、第1の検出手段4と、第2の検出手段5とに電気的に接続して制御手段7が設けられている。この制御手段7は、第1の検出手段4で取得された第1の識別マーク18と、予め登録して保存された第1の識別マーク18とを比較して保持されたフォトマスク10の正否を判定すると共に、マスク保持部2の移動を制御して複数種のパターン領域17a〜17dから一つのパターン領域17を選択させ、予め設定して保存されている露光情報から読み出したマスクパターン情報(例えば、パターン番号)と、各第2の識別マーク19に対応して予め保存されているマスクパターン情報(例えば、パターン番号)のうち、上記第2の検出手段5により検出された第2の識別マーク19に対応したマスクパターン情報とを比較し、選択されたパターン領域17の正否を判定するようになっている。そして、図6に示すように、搬送手段駆動コントローラ25と、マスク保持部駆動コントローラ26と、マスクチェンジャー駆動コントローラ27と、光源駆動コントローラ28と、シャッタ駆動コントローラ29と、画像処理部30と、演算部31と、メモリ32と、データ入力部33と、制御部34とを備えて構成されている。
【0035】
ここで、搬送手段駆動コントローラ25は、搬送手段1の搬送機構を制御して液晶表示用基板8を矢印A方向に予め定められた速度で移動させるものである。また、マスク保持部駆動コントローラ26は、マスク保持部2の移動機構の駆動を制御してフォトマスク10をX方向に所定量だけ移動させてフォトマスク10の複数種のパターン領域17a〜17dから選択された一つのパターン領域17を露光光学系6の照射領域IA(図2参照)内に位置付けると共に、マスク保持部2に設けられた図示省略のアライメント機構の駆動を制御してフォトマスク10をX及びY方向並びに回転(θ)方向に微動させて液晶表示用基板8に対して位置合わせさせるものである。さらに、マスクチェンジャー駆動コントローラ27は、マスクチェンジャー3のトレー移動機構13の駆動を制御してマスクトレー12をY方向に移動させ、マスク保持部2の定められた部位に未使用のフォトマスク10を受け渡すと共に、マスク保持部2の各部位に保持された使用済みのフォトマスク10を受け取るようにさせるものである。そして、光源駆動コントローラ28は、光源22の点灯及び消灯を制御するものである。また、シャッタ駆動コントローラ29は、シャッタ24の開閉を制御するものである。そして、画像処理部30は、第1の検出手段4及び第2の検出手段5により取得された第1の識別マーク18及び第2の識別マーク19の画像を入力して画像処理し、第1の識別マーク18の色を読み取ると共に、第2の識別マーク19に対応するマスクパターン情報を読み取って第2の検出手段5の視野内における第2の識別マーク19の中心位置座標を検出するものである。また、演算部31は、画像処理部30で検出された第2の識別マーク19の中心位置座標と、予め登録されたアライメントマークの中心位置座標とのずれ量を演算するものである。さらに、メモリ32は、上記演算部31における演算結果を一時的に保存すると共に後述のデータ入力部33により入力されたデータを保存するものであり、露光レシピを記録した記録媒体を含むものである。さらにまた、データ入力部33は、フォトマスク10の複数種のマスクパターン(パターン領域17a〜17d)から一つのマスクパターン(パターン領域17)を選択するための選択情報、例えばパターン領域17のX方向の位置情報を入力するためのものであり、例えばキーボードやテンキー等である。そして、制御部34は、上記各構成要素が適切に駆動するように全体を統合して制御するものである。
【0036】
次に、このように構成された露光装置の動作及び露光手順について、図7のフローチャートを参照して説明する。ここでは、図5(a)に示すように、第2の識別マーク19の全てが四角形のマークであり、マスクパターンの種別により色が異なるものである場合について説明する。
先ず、ステップS1において、作業者は、露光開始に当っての事前準備として、使用する複数のフォトマスク10を第1の識別マーク18の色を確認しながらマスクストッカー14に収容する。そして、露光装置の図示省略のマスクストッカー取付部に取り付ける。さらに、露光レシピを制御手段7のメモリ32、例えばHDD等の記録媒体に記録すると共に、マスク保持部2に保持されたフォトマスク10の複数種のパターン領域17a〜17dから選択されるパターン領域17の選択情報、例えばX方向の位置情報を、データ入力部33を操作して入力しメモリ32に保存する。
【0037】
メモリ32に保存する上記マスクパターンの選択情報は、具体的には、例えば図3に示す4種類のパターン領域17a〜17dから、例えば二番目のパターン領域17bを選択して該パターン領域17bのマスクパターンを液晶表示用基板8に転写して露光しようとする場合には、上記各パターン領域17a〜17dのX方向の位置情報xa,xb,xc,xdのうち、パターン領域17bの位置情報xbである。
【0038】
なお、上記露光レシピには、液晶表示用基板8のサイズやセルサイズ等のパネル情報、露光中の被露光体の搬送速度や露光開始位置情報及び露光終了位置情報や露光エネルギー等の露光情報、及び使用するフォトマスク10の第1の識別マーク18の色や第2識別マークの中心位置座標及び使用するマスクパターンの色情報(例えば、赤、緑、青、黄)等のマスク情報等を含むものである。ここでは、第1の識別マーク18の色情報として例えば「赤」が、また使用するマスクパターンの色情報として、「緑」が露光レシピに登録されているものとする。
【0039】
ステップS2において、図示省略のマスクチェンジャー駆動スイッチが投入されると、ローダー15が起動してマスクストッカー14から一枚目のフォトマスク10(例えば一番下位に位置するフォトマスク10)を取り出し、マスクトレー12上に受け渡す。続いて、一枚目のフォトマスク10を載置したマスクトレー12が、マスクチェンジャー駆動コントローラ27に制御されて駆動するトレー移動機構13によりY方向に移動し、マスク保持部2の所望の部位の直下に位置付けられると、一枚目のフォトマスク10は真空吸着によってマスク保持部2に保持される。以後、同様にして、フォトマスク10は、マスクストッカー14からローダー15によって一枚ずつ取り出されてマスクトレー12に受け渡された後、マスクトレー12によってY方向に運ばれてマスク保持部2の各所定位置に保持される。
【0040】
ステップS3においては、第1の検出手段4でフォトマスク10の第1の識別マーク18が読み取られる。この第1の検出手段4の出力は、制御手段7の画像処理部30に送られ、該画像処理部30で処理されて、第1の識別マーク18の色が検出される。そして、メモリ32に予め保存された露光レシピの第1の識別マーク18の色情報としての「赤」と比較される。
【0041】
ステップS4においては、第1の識別マーク18の色に基づいてセットされたフォトマスク10が正しいか否かが画像処理部30で判定される。ここで、両者が一致せず“NO”判定となると、ステップS10に進んで、警報又は警告灯を点灯させてエラーを報知し、以降の露光動作を停止する。これにより、作業者は、マスクストッカー14へのフォトマスク10の収容ミスに気付くことができる。この場合、何番目のフォトマスク10が異常であるかを表示すれば、マスクの取り替えも容易になる。
【0042】
一方、ステップS3において検出された第1の識別マーク18の色が「赤」であるときには、ステップS4は“YES”判定となってステップS5に進む。
【0043】
ステップS5においては、上記マスクパターンの選択情報に相当し、メモリ32に保存されているパターン領域17の位置情報xbに基づいてマスク保持部2の移動機構がマスク保持部駆動コントローラ26により制御されて起動し、フォトマスク10をX方向に距離xbだけ移動してパターン領域17bを露光光学系6の照射領域IA内に位置付ける。
【0044】
ステップS6においては、複数の第2の検出手段5により夫々取得された上記各フォトマスク10の第2の識別マーク19を画像処理部30で画像処理して各第2の識別マーク19の中心位置座標を検出する。そして、演算部31において、該各第2の識別マーク19の中心位置座標と露光レシピの一内容として予め登録されたアライメントマークの中心位置座標との間のずれ量を各フォトマスク10について演算し、マスク保持部駆動コントローラ26により該ずれ量を補正するようにマスク保持部2のアライメント機構をX,Y,θ方向に微動させて各フォトマスク10を夫々予め定められた所定位置に位置付ける。
【0045】
ステップS7においては、第2の検出手段5により読み取った第2の識別マーク19bを画像処理部30で画像処理して選択されたパターン領域17bの指定色を検出する。そして、選択されたパターン領域17bの指定色「緑」と、露光レシピに予め登録された使用するマスクパターンの色情報としての「緑」とを比較する。
【0046】
ステップS8においては、選択されたパターン領域17bの指定色と露光レシピに予め登録された色とに基づいて選択されたマスクパターンが正しいか否かが画像処理部30で判定される。この場合、両者は共に「緑」で一致するためステップS8は、“YES”判定となってステップS9に進んでアライメント処理を終了する。
【0047】
一方、作業者が入力手段の操作をミスして、パターン領域17bの位置情報xbを入力すべきところを間違って位置情報xaを入力した場合には、該位置情報xaに基づいてパターン領域17aが選択される。したがって、第2の検出手段5によって読み取られる第2の識別マーク19はパターン領域17aに対応した第2の識別マーク19aであり、画像処理部30で検出される色は、「赤」となる。したがって、第2の検出手段5で読み取った第2の識別マーク19aに対応する色情報である「赤」と露光レシピに予め登録された使用するマスクパターンの色情報としての「緑」とは一致せず、この場合、ステップS8は“NO”判定となってステップS10に進み、警報又は警告灯を点灯させてエラーを報知し、以降の露光動作を停止する。これにより、作業者は、入力手段の操作ミスに気付くことができる。
【0048】
上述の露光開始前の全ての準備が終了し、露光開始スイッチが投入されると、ステージ9上に位置決めして載置された液晶表示用基板8が露光レシピに登録された搬送速度に従って図1の矢印A方向に搬送される。ここで、液晶表示用基板8の露光領域が各フォトマスク10の選択されたパターン領域17bの真下に到達するとシャッタ駆動コントローラ29に制御されて露光光学系6のシャッタ24が開き、光源22から放射された光源光が各フォトマスク10の選択されたパターン領域17bに照射し、該パターン領域17bのマスクパターンが移動中の液晶表示用基板8の露光領域に転写されて露光される。そして、液晶表示用基板8が予め定められた距離だけ搬送されて露光領域に対する露光が終了すると、シャッタ駆動コントローラ29に制御されてシャッタ24が閉じ、次の新たな液晶表示用基板8が搬送されるまで、又は同じ液晶表示用基板8の次の露光領域が各フォトマスク10の選択されたパターン領域17bの真下に到達するまで、露光は待機状態となる。
【0049】
なお、第2の識別マーク19が、図5(b)に示すように、夫々形状の異なるものである場合には、各形状に対応したパターン番号(例えば、“1”,“2”,“3”又は“4”)を検出し、これを露光レシピに登録された使用するマスクパターンのパターン番号と比較してもよい。
【0050】
また、第2の識別マーク19が、図5(c)に示すように、メインマーク20と該メインマーク20を取り囲む円周上の異なる位置に形成されたサブマーク21とから成る場合には、メインマーク20とサブマーク21の中心位置座標の関係から、各識別マークに対応したパターン番号を検出するようにしてもよい。例えば、メインマーク20の中心位置座標(x,y)とサブマーク21の中心位置座標(x,y)とを比較し、x<x及びy>yの場合には、第2の識別マーク19はパターン領域17aに対応した第2の識別マーク19aであり、パターン番号は“1”であると判断される。また、x<x及びy<yの場合には、第2の識別マーク19はパターン領域17bに対応した第2の識別マーク19bであり、パターン番号は“2”であると判断される。さらに、x>x及びy<yの場合には、第2の識別マーク19はパターン領域17cに対応した第2の識別マーク19cであり、パターン番号は“3”であると判断される。そして、x>x及びy>yの場合には、第2の識別マーク19はパターン領域17dに対応した第2の識別マーク19dであり、パターン番号は“4”であると判断される。
【0051】
さらに、同図(d)(e)に示すように、サブマーク21がバーコードである場合には、サブマーク21のバーコードを読み取って、各第2の識別マーク19に対応したパターン番号を検出するようにしてもよい。したがって、これらの場合には、第2の検出手段5は、モノクロカメラであってもよい。
【0052】
なお、液晶表示用基板6が搬送されているときには、第2の識別マーク19は、液晶表示用基板8を透かして第2の検出手段5により検出されることになる。
【0053】
上記実施形態においては、一枚のフォトマスク10に複数のパターン領域17を設けた場合について説明したが、本発明はこれに限られず、フォトマスク10は一つのパターン領域17が設けられたものであってもよい。
【0054】
以上の説明においては、被露光体が液晶表示用基板8である場合について説明したが、本発明はこれに限られず、被露光体は、プラズマディスプレイ表示用基板や、有機EL表示用基板等、如何なる基板であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
2…マスク保持部
3…マスクチェンジャー
4…第1の検出手段(検出手段)
7…制御手段
8…液晶表示用基板(被露光体)
10…フォトマスク
17,17a〜17d…パターン領域
18…第1の識別マーク
19,19a〜19d…第2の識別マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクパターンを形成したパターン領域外の部分にマスクの種類を識別するための第1の識別マークを形成したことを特徴とするフォトマスク。
【請求項2】
マスクパターンが異なる複数種の前記パターン領域をその中心軸が互いに平行となるように並べて設け、前記各パターン領域を間にしてその両側方の各中心軸の略軸線上に、前記マスクパターンを識別するための複数種の第2の識別マークを形成したことを特徴とする請求項1記載のフォトマスク。
【請求項3】
前記第1の識別マークは、前記マスクの種類毎に色が異なることを特徴とする請求項1又は2記載のフォトマスク。
【請求項4】
前記複数種の第2の識別マークは、互いに形状が異なるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォトマスク。
【請求項5】
前記複数種の第2の識別マークは、メインマークと該メインマークを取り囲む円周上の異なる位置に形成されたサブマークとから成ることを特徴とする請求項1記載のフォトマスク。
【請求項6】
前記サブマークは、前記マスクパターンのパターン情報を記録したバーコードであることを特徴とする請求項5記載のフォトマスク。
【請求項7】
前記複数種の第2の識別マークは、互いに色が異なるものであることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のフォトマスク。
【請求項8】
被露光体を一定方向に搬送しながら、移動中の前記被露光体に露光光を照射して露光する露光装置であって、
前記被露光体の上面に平行な面内にて前記被露光体の搬送方向と交差する方向に、マスクパターンを形成したパターン領域外の部分にマスクの種類を識別するための第1の識別マークを形成した複数のフォトマスクを並べて保持するマスク保持部と、
前記マスク保持部に保持される前記複数のフォトマスクを交換するためのマスクチェンジャーと、
前記フォトマスクの第1の識別マークを検出する検出手段と、
前記検出手段で取得された前記第1の識別マークと、予め登録して保存された第1の識別マークとを比較して保持されたフォトマスクの正否を判定する制御手段と、
を備えたことを特徴とする露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−242576(P2012−242576A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112069(P2011−112069)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】