フォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスク欠陥の形状認識方法並びにフォトマスクの欠陥修正方法
【課題】ダブルチップイメージの影響を受けることなくフォトマスクのAFM観察を行って、欠陥部分とマスクパターンとを明確に区別した状態で認識すること。
【解決手段】基板2と該基板2a上に所定のパターンで形成されたマスクパターンとを有するフォトマスクをAFM観察し、マスクパターンから突出した突起状の欠陥部分5の形状を認識する方法であって、AFM観察時に欠陥部分の輪郭線が最初に確認された観察画像を参照画像として記憶する記憶工程と、該記憶工程後、これ以降の走査で得られる観察画像で確認される欠陥部分の輪郭線L2を、参照画像を参照しながら正規のラインL1に補正する補正工程と、を備え、補正後の観察画像に基づいて欠陥部分の形状を認識するフォトマスク欠陥の形状認識方法を提供する。
【解決手段】基板2と該基板2a上に所定のパターンで形成されたマスクパターンとを有するフォトマスクをAFM観察し、マスクパターンから突出した突起状の欠陥部分5の形状を認識する方法であって、AFM観察時に欠陥部分の輪郭線が最初に確認された観察画像を参照画像として記憶する記憶工程と、該記憶工程後、これ以降の走査で得られる観察画像で確認される欠陥部分の輪郭線L2を、参照画像を参照しながら正規のラインL1に補正する補正工程と、を備え、補正後の観察画像に基づいて欠陥部分の形状を認識するフォトマスク欠陥の形状認識方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体を製造する際に用いられるフォトマスクの欠陥部分を切削加工して修正するために、フォトマスクの欠陥形状を認識するフォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスク欠陥の形状認識方法、並びに、認識した欠陥部分を除去してフォトマスクを修正するフォトマスクの修正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体を製造する際に使用されるフォトマスクは、パターンの原版となるものであるので、マスク基板上にマスクパターンを描画した後、欠陥部分の有無を必ず検査すると共に必要に応じて欠陥部分の修正を適宜行っている。
このフォトマスクは、予め設計された描画データに基づいて描画装置によりマスク基板上に描かれている。これにより、マスク基板上にマスクパターンが描画されたフォトマスクが作製されている。また、フォトマスクを作製した後、欠陥検査装置により、フォトマスクの欠陥の有無や存在場所が調べられ、欠陥が存在する場合にはウエハへ転写する前にマスク修正装置により欠陥修正処理が行われている。
【0003】
マスクパターンの欠陥としては、例えば、所望するパターンから余分に突出して突起となってしまったもの(Protrusion)や、所望するパターンに欠け等の凹部が生じてしまったもの(Intrusion)等がある。このような欠陥部分は、欠陥検査装置によって位置が特定された後、マスク修正装置によって詳細に欠陥部の形状等が認識されると共に、突起となってしまったものに関しては切削加工等が、パターン欠けに関しては凹部に遮光膜が膜付けされて修正されている。
【0004】
この際の修正方法としては、様々な方法が知られているが、その1つとして原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)を利用して欠陥部分を修正する方法が知られている(非特許文献1参照)。
この方法は、先端に探針が設けられたプローブによりマスク基板上の所定範囲をAFM観察して、マスクパターンの欠陥部分を詳細に特定した後、該欠陥部分を同じプローブを利用して切削加工することで修正を行う方法である。特に、欠陥部分が所望するパターンから余分に突出して突起状となっている場合に有効な方法である。
【0005】
この方法について、図14を参照して具体的に説明する。なお図14は、マスク基板30上に描かれたマスクパターン31を上方から見た図であり、マスクパターン31に突起状の欠陥部分32がある場合を図示している。
始めに、欠陥検査装置によって、予めマスクパターン31に欠陥部分32が存在していることが確認されていると共に、該欠陥部分32の位置が特定されている。そして、マスク修正装置により修正を行う前に、この位置データに基づいて予め欠陥部分32の周辺を観察範囲Eとして指定しておく。
【0006】
観察範囲Eが指定されると、マスク修正装置は、この観察範囲E内でプローブを走査させる。具体的には、プローブの撓みが一定となるように、探針とマスク基板30との距離を高さ制御しながら走査を行う。この際、マスクパターン31に平行な方向(矢印A1方向)に走査を行うと共に、該走査を欠陥部分32の先端側から根元側(マスクパターン31側)に向かって(矢印A2方向に向かって)複数回繰り返し行っている。これにより、観察範囲E内においてマスク基板30の表面観察を行うことができ、マスクパターン31の一部及び欠陥部分32の画像を取得して、該画像から画像処理等により欠陥のない直線パターンの輪郭線を抽出し、抽出した輪郭線から欠陥部分32の輪郭線を推定し、推定した輪郭線の外側の余剰部分を欠陥と認識することができる。
【0007】
次いで、上記方法で欠陥部分32を認識した後、プローブを所定の力で欠陥部分32に押し付けながら走査を行わせる。これにより、被加工材料(突起欠陥)よりも硬い探針を利用して認識した欠陥部分32を機械的な加工で切削することができる。そして、この走査をやはり複数回繰り返し行うことで、欠陥部分32の全体を切削加工して、除去することができる。
具体的には、プローブをマスクパターン31に平行な方向(矢印A1方向)に走査してライン状に欠陥部分32を切削すると共に、該走査を欠陥部分32の先端側から根元側に向かって(矢印A2方向に向かって)複数回繰り返し行うことで、欠陥部分32の全体を切削加工している。
【0008】
上述した方向(矢印A2方向)に切削を行うのは、できるだけ切削抵抗を小さくするためである。仮に、根元側から先端側に向かって(矢印A2方向とは反対の方向に向かって)切削加工を行った場合には、切削抵抗が大きいためうまく削り取れない恐れがあった。特に、フォトマスクは、上述したようにパターンの原版となるものであるので、欠陥部分32を切削加工するにあたって高精度な加工が求められる。そのため、上述した方向で切削加工を行っている。これらの結果、突起状の欠陥部分32を除去することができ、正しいマスクパターン31に修正することができる。
【非特許文献1】Y.Morikawa、H.Kokubo、M.Nishiguchi、N.Hayashi、R.White、R.Bozak、L.Trrill著「Defect repair performance using the nanomachining repair technique」、2003年、Proc.of SPIE5130、P520−P527
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来の方法では、以下の問題点がまだ残されていた。
始めに、プローブの先端に設けられている探針は、欠陥部分32を切削加工するために、硬い材質(ダイヤモンド等)が採用されている。そのため、AFM観察する際に、図15に示すように探針33によって欠陥部分32の一部が抉られてしまう場合があった。特に、探針33が欠陥部分32を駆け上がる箇所で発生し易かった。しかも、この抉り取られた部分は、探針33にそのまま付着してしまい、これ以降単なる異物Xとなってしまうものであった。
【0010】
このように観察を行っている最中に一旦異物Xが探針先端近傍に付着してしまうと、該異物Xが付着したままの探針33で観察を行わざるを得ないので、探針先端と異物Xの両方から原子間力を検出してしまい両者の原子間力をコンボリューションした二重像になり(以下ダブルチップイメージと呼ぶ)、正確な画像を取得することができなかった。しかも、先程付着した異物Xによって欠陥部分32が再び抉られる可能性があり、図16に示すように別の異物Xが新たに付着する恐れもあった。
このように、探針33に付着した異物Xの影響によって、正常な画像が得られない場合があった。特に、1回目の観察はそれほどの影響はないが、複数回観察してから加工する場合には、ダブルチップイメージになり易かった。
【0011】
ここで、観察時に走査を繰り返す方向が、欠陥部分32の先端側からマスクパターン31側である根元側に向かって(矢印A2方向に向かって)行うので、図17及び図18に示すように、欠陥部分32の根元側周辺の画像がダブルチップイメージとなってしまうものであった。そのため、欠陥部分32の根元側付近における外形形状や、マスクパターン31のエッジ形状を正確に認識することができない場合があった。具体的には、エッジ部ぼやけて不明確になったり、二重になったりして、明確な画像を得ることができなかった。
特に、マスクパターン31のエッジ形状を正確に認識できないので、マスクパターン31と欠陥部分32とを明確に区別することが難しかった。そのため、欠陥部分32だけを高精度に切削加工により除去することができないだけでなく、マスクパターン31を削ってしまう恐れがあった。逆に、マスクパターン31と欠陥部分32とを明確に区別できないために、欠陥部分32を大きく削り残してしまった場合には、追加工が必要となってしまい、作業効率を低下させていた。
【0012】
そこで、ダブルチップイメージを解消するため、適宜探針33のクリーニングを行って、探針33に付着した異物Xを除去することも考えられるが、クリーニングに時間がかかってしまいスループットの低下を招いてしまうものであった。また、クリーニングを行う際に、長距離のステージ移動が伴うため一般的な高精度ステージであるボールネジを用いたものではボールネジの摩擦のために熱ドリフトが発生してしまう。そのため、加工位置が所望位置からずれていくために、高精度に切削加工を行うことが難しかった。
【0013】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その主な目的は、ダブルチップイメージの影響を受けることなくフォトマスクのAFM観察を行って、欠陥部分とマスクパターンとを明確に区別した状態でフォトマスクの欠陥形状を認識することができるフォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスク欠陥の形状認識方法を提供することである。また、別の目的としては、正確に認識した欠陥部分を切削加工により高精度に除去してフォトマスクを修正するフォトマスクの修正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置は、基板と該基板上に所定のパターンで形成されたマスクパターンとを有するフォトマスクをAFM観察して、マスクパターンから突出した突起状の欠陥部分の形状を認識するフォトマスク欠陥の形状認識装置であって、前記フォトマスクを固定するステージと、前記基板に対向配置された探針を先端に有するプローブと、前記基板と前記探針とを、前記基板表面に平行な方向及び基板表面に垂直な方向に相対的に移動させる移動手段と、前記プローブの変位を測定する変位測定手段と、該変位測定手段による測定結果に基づいて、前記プローブの変位が一定となるように前記探針と前記基板表面との距離を制御しながら複数回の走査を繰り返し行って、前記欠陥部分をAFM観察する制御手段と、を備え、前記制御手段が、AFM観察時に前記欠陥部分の輪郭線が最初に確認された観察画像を参照画像として記憶する記憶部と、これ以降の走査で得られる観察画像で確認される前記欠陥部分の輪郭線を、前記参照画像を参照しながら正規のラインに補正する補正部と、を有し、補正後の観察画像に基づいて前記欠陥部分の形状を認識することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識方法は、基板と該基板上に所定のパターンで形成されたマスクパターンとを有するフォトマスクを、先端に探針を有するプローブの変位が一定となるように探針と基板表面との距離を制御しながら複数回の走査を繰り返し行ってAFM観察し、マスクパターンから突出した突起状の欠陥部分の形状を認識するフォトマスク欠陥の形状認識方法であって、前記AFM観察時に前記欠陥部分の輪郭線が最初に確認された観察画像を参照画像として記憶する記憶工程と、該記憶工程後、これ以降の走査で得られる観察画像で確認される前記欠陥部分の輪郭線を、前記参照画像を参照しながら正規のラインに補正する補正工程と、を備え、補正後の前記観察画像に基づいて前記欠陥部分の形状を認識することを特徴とするものである。
【0016】
この発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスク欠陥の形状認識方法においては、まず、基板上に予め所定のパターンからなるマスクパターンが描画されたフォトマスクを、ステージ上に固定する。フォトマスクを固定した後、他の手段によって位置が特定されたマスクパターンの突起状の欠陥部分の周辺を観察範囲として指定する。
観察範囲が指定されると、制御手段はこの観察範囲内でプローブを走査させてAFM観察により観察画像を取得し、欠陥部分の形状を詳細に認識する工程を行う。具体的には、プローブの変位が一定となるように、探針と基板表面との距離を制御しながら複数回の走査を繰り返し行って観察画像を取得する。これにより、指定した観察範囲内において基板の表面観察を行うことができ、マスクパターンの一部及び欠陥部分の外形形状を認識することができる。
【0017】
このAFM観察について詳細に説明すると、まずAFM観察を開始して、欠陥部分の輪郭線(エッジライン)が最初に確認された観察画像を参照画像として記憶部に記憶する記憶工程を行う。つまり、異物等が付着していない清浄な探針を利用して取得された観察画像を参照画像として予め記憶しておく。これ以降、AFM観察のために走査が繰り返されるが、その途中で探針によって抉り取られてしまった欠陥部分の一部が探針に付着する恐れがある。この場合には、取得した観察画像がダブルチップイメージとなってしまい、欠陥部分の輪郭線を明確に認識することができなくなってしまう。しかしながら、まだ探針が清浄なときに取得した観察画像を記憶するので、ダブルチップイメージの影響がなく、正確な欠陥部分の輪郭線を得ることができる。
【0018】
続いて、走査を繰り返し行って観察範囲内のAFM観察を行う。ところが、記憶工程後に行う走査で取得される観察画像は、上述したようにダブルチップイメージとなってしまう恐れがある。そこで、補正部は、記憶工程以降の走査で得られる観察画像で確認された欠陥部分の輪郭線を、参照画像を参照しながら正規のラインに補正する補正工程を行う。この補正を行うことで、探針に異物が付着したことに起因するダブルチップの影響を相殺することができ、正しい欠陥部分の輪郭線を推定することができる。
その結果、ダブルチップイメージの影響を受けることなく、マスクパターンと欠陥部分とを明確に区別しながら該欠陥部分の外形形状を正確に認識することができる。
【0019】
また、本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置は、上記本発明のフォトマスク欠陥の形状認識装置において、前記補正部が、前記記憶部に記憶された前記輪郭線と前記参照画像を取得した後の走査で得られた前記輪郭線とをマッチングにより比較して差異を検出すると共に、参照画像を取得した後の走査で得られた輪郭線のうち差異が検出された部分のラインを、記憶部に記憶された輪郭線に一致させるように補正することを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識方法は、上記本発明のフォトマスク欠陥の形状認識方法において、前記補正工程の際、記憶された前記輪郭線と前記参照画像を取得した後の走査で得られた前記輪郭線とをマッチングにより比較して差異を検出すると共に、参照画像を取得した後の走査で得られた輪郭線のうち差異が検出された部分のラインを、記憶された輪郭線に一致させるように補正することを特徴とするものである。
【0021】
この発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスク欠陥の形状認識方法においては、輪郭線の補正を行う際、記憶部に記憶されている欠陥部分の輪郭線と、参照画像を取得した後の走査で得られた輪郭線とをマッチングさせて比較する。ここで、探針に異物が付着することに起因するダブルチップイメージの影響を受けている場合には、両輪郭線は完全にマッチングせず、影響を受けた部分だけに差異が生じる。よって、この差異が生じた部分のラインを、記憶部に記憶されている輪郭線のラインに一致させるように補正する。これにより、ダブルチップの影響を受けた部分を修正することができ、正しい欠陥部分の輪郭線を推定することができる。
【0022】
また、本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置は、上記本発明のフォトマスク欠陥の形状認識装置において、前記補正部が、前記記憶部に記憶された前記輪郭線から前記基板表面に対する前記欠陥部分の側面の傾斜角度を算出して基準角度として設定した後、前記参照画像を取得した後の走査で得られた前記輪郭線から前記基板表面に対する前記欠陥部分の側面の傾斜角度を算出し、該傾斜角度を前記基準角度に一致させるように補正することを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識方法は、上記本発明のフォトマスク欠陥の形状認識方法において、前記補正工程の際、記憶された前記輪郭線から前記基板表面に対する前記欠陥部分の側面の傾斜角度を算出して基準角度として設定した後、前記参照画像を取得した後の走査で得られた前記輪郭線から前記基板表面に対する前記欠陥部分の側面の傾斜角度を算出し、該傾斜角度を前記基準角度に一致させるように補正することを特徴とするものである。
【0024】
この発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスク欠陥の形状認識方法においては、輪郭線の補正を行う際、まず、記憶部に記憶されている欠陥部分の輪郭線から、基板表面に対する欠陥部分の側面の傾斜角度を算出すると共に、算出した角度を基準角度として設定する。通常、探針に異物が付着した場合、観察画像は異物の影響を受けてダブルチップイメージとなってしまうが、最も影響を受けるのは側面部分である。つまり、ダブルチップイメージとなった観察画像には、画像のぼやけや画像が二重に重なる等の影響を受けて側面部分が膨らんだり、変形したりした欠陥部分の輪郭線が確認されてしまう。そこで、ダブルチップイメージの影響を受けていない輪郭線、即ち、記憶部に記憶されている輪郭線から、予め傾斜角度を算出しておくと共に、該角度を基準角度として設定しておく。
【0025】
そして、参照画像を取得した後の走査で得られた輪郭線からも同様に傾斜角度を算出する。ここで、探針に異物が付着することに起因するダブルチップイメージの影響を受けている場合には、上述したように欠陥部分の側面に相当する部分の輪郭線が顕著に影響を受けてしまい、傾斜角度が変化してしまう。よって、変化してしまった傾斜角度を基準角度に一致させるように補正することで、ダブルチップの影響を受けた部分を修正することができ、正しい欠陥部分の輪郭線を推定することができる。
【0026】
また、本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置は、上記本発明のフォトマスク欠陥の形状認識装置において、前記制御手段が、認識した前記欠陥部分に前記探針を所定の力で押し付けた状態で複数回の走査を繰り返し行って、該欠陥部分を切削して除去させることを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明に係るフォトマスクの修正方法は、上記本発明のフォトマスク欠陥の形状認識方法により、フォトマスクの欠陥部分の形状を認識した後、認識した欠陥部分に前記探針を所定の力で押し付けた状態で複数回の走査を繰り返し行って、該欠陥部分を切削して除去する加工工程を備えていることを特徴とするものである。
【0028】
この発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスクの欠陥修正方法においては、AFM観察を行った後、該AFM観察によって詳細に形状が認識された欠陥部分に探針を所定の力で押し付けた状態で、複数回の走査を繰り返し行って、欠陥部分を切削により除去する加工工程を行う。特に、ダブルチップイメージの影響を受けていた従来のものとは異なり、AFM観察によって、欠陥部分とマスクパターンとが明確に区別されていると共に、欠陥部分の外形形状が正確に認識されている。そのため、マスクパターンを誤って削ってしまったり、欠陥部分を削り残してしまったりする等といった不具合を防止しつつ、欠陥部分だけを高精度に切削加工して除去することができる。
その結果、マスクパターンの修正を高精度に行うことができる。また、修正が成功することで転写の原版として高品質なフォトマスクを得ることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスク欠陥の形状認識方法によれば、ダブルチップイメージの影響を受けることなくフォトマスクのAFM観察を行うことができ、欠陥部分とマスクパターンとを明確に区別しながら、該欠陥部分の外形形状を正確に認識することができる。
また、フォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスクの修正方法によれば、正確に認識した欠陥部分を切削加工により高精度に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスク欠陥の形状認識方法、並びに、フォトマスクの修正方法の一実施形態について、図1から図11を参照して説明する。なお、本実施形態では、光てこ方式を利用した場合を例に挙げて説明する。
【0031】
本実施形態のフォトマスク欠陥の形状認識装置1は、図1に示す基板2と該基板2上に所定のパターンで形成されたマスクパターン3とを有するフォトマスク4をAFM観察して、マスクパターン3から突出した突起状の欠陥部分5の形状を認識する装置である。また、本実施形態では、単に観察するだけでなく、形状を認識した欠陥部分5を切削加工により除去して修正を行う。
【0032】
なお、フォトマスク4は、図示しない描画装置によって作製されたものであり、予め設計された描画データに基づいて基板2上にマスクパターン3が描画されている。また、描画装置によって作製された後、フォトマスク4は図示しない欠陥検査装置によって検査されており、欠陥部分5の位置が既に特定されている。また、フォトマスク4の基板2は、マスク基板となるものであり、例えばガラス又は石英基板である。
【0033】
本実施形態のフォトマスク欠陥の形状認識装置1は、図2に示すように、フォトマスク4を固定するステージ10と、基板2に対向配置された探針11aを先端に有するプローブ11と、基板2と探針11aとを基板表面2aに平行なXY方向及び基板表面2aに垂直なZ方向に相対的に移動させる移動手段12と、プローブ11の変位(撓み)を測定する変位測定手段13と、これら各構成品を総合的に制御する制御手段14と、を備えている。
【0034】
上記探針11aは、欠陥部分5を容易に切削することができるように硬い材質、例えばダイヤモンド等からなるものであり、切削加工の際に欠陥部分5に当たる面が垂直になるように形成されている。また、プローブ11は、シリコン等により形成されており、本体部11bによって片持ち状態に支持されている。この本体部11bは、ホルダ部15に固定された斜面ブロック16の載置面16aに図示しないワイヤ等を利用して着脱自在に固定されている。これによりプローブ11は、基板表面2aに対して所定角度傾いた状態で固定されている。
【0035】
ホルダ部15は、基板2の上方に位置するように図示しない架台に取り付けられている。また、このホルダ部15には、プローブ11の裏面に形成された図示しない反射面に向けて、後述するレーザ光Lを入射させると共に、反射面で反射したレーザ光Lを出射させる開口部15aが形成されている。
上記ステージ10は、XYZスキャナ20上に載置されており、該XYZスキャナ20は図示しない防振台上に載置されている。このXYZスキャナ20は、例えばピエゾ素子であり、XY走査系とZサーボ系を含むXYZスキャナ制御部21から電圧を印加されることで、XY方向及びZ方向にそれぞれ微小移動するようになっている。即ち、これらXYZスキャナ20及びXYZスキャナ制御部21は、上記移動手段12として機能する。
【0036】
また、ホルダ部15の上方には、プローブ11の裏面側に形成された反射面に向けてレーザ光Lを照射するレーザ光源22と、反射面で反射されたレーザ光Lを、ミラー23を利用して受光する光検出部24と、が設けられている。なお、レーザ光源22から照射されたレーザ光Lは、ホルダ部15の開口部15a内を通過しながら反射面に達し、反射面で反射された後、再度開口部15a内を通過して光検出部24に入射するようになっている。
【0037】
光検出部24は、例えば入射面が2分割或いは4分割されたフォトダイオードであり、レーザ光Lの入射位置からプローブ11の変位(撓み)を検出する。そして、光検出部24は、検出したプローブ11の変位をDIF信号としてプリアンプ25に出力している。即ち、これらレーザ光源22、ミラー23、光検出部24は、プローブ11の変位を測定する上記変位測定手段13として機能する。
【0038】
また、光検出部24から出力されたDIF信号は、プリアンプ25によって増幅された後、Z電圧フィードバック回路26に送られる。Z電圧フィードバック回路26は、送られてきたDIF信号が常に一定となるように、XYZスキャナ制御部21をフィードバック制御する。これにより、基板表面2aをAFM観察する際に、基板2と探針11aとの距離をプローブ11の変位が一定となるように高さ制御することができる。
【0039】
また、Z電圧フィードバック回路26には、制御部27が接続されており、該制御部27がZ電圧フィードバック回路26により上下させる信号に基づいて、基板表面2a上の観察データを取得することができるようになっている。これにより、基板2上に形成されているマスクパターン3や該マスクパターン3の欠陥部分5の画像を取得することができるようになっている。
即ち、これらZ電圧フィードバック回路26及び制御部27は、上記制御手段14として機能する。なお、この制御手段14は、AFM観察を行って、切削加工の対象物である欠陥部分5を詳細に認識した後、引き続き欠陥部分5を切削加工するように設定されている。
【0040】
また、上記制御部27には、オペレータが各種の情報を入力することができる入力部28が接続されており、該入力部28を介してAFM観察を行う観察範囲E等を自在に設定できるようになっている。これによりオペレータは、欠陥検査装置によって特定された欠陥部分5の位置データに基づいて、観察範囲Eを設定することが可能とされている。そして制御部27は、観察範囲Eが設定されると、該観察範囲E内でAFM観察及び切削加工を行うように設定されている。
【0041】
また、制御部27は、AFM観察時に欠陥部分5の輪郭線が最初に確認された観察画像を参照画像として記憶するメモリ(記憶部)27aと、これ以降の走査で得られる観察画像で確認される欠陥部分5の輪郭線を、参照画像を参照しながら正規のラインに補正する補正部27bと、を有している。そして、補正後の観察画像に基づいて欠陥部分5の形状を認識するようになっている。これについては、後に詳細に説明する。
【0042】
なお本実施形態では、AFM観察及び切削加工を行う際に、図1に示すように、探針11aをマスクパターン3のエッジ3aに対して平行な方向(矢印C方向)に走査させると共に、該走査を欠陥部分5の先端側からマスクパターン3に向かう方向(矢印D方向)に複数回繰り返すように、制御手段14が各構成品を制御している。
【0043】
次に、このように構成されたフォトマスク欠陥の形状認識装置1により、マスクパターン3の欠陥部分5の形状を詳細に認識するフォトマスク欠陥の形状認識方法、並びに、該方法で形状を認識した欠陥部分5を切削加工して修正するフォトマスクの修正方法について以下に説明する。
本実施形態のフォトマスク欠陥の形状認識方法は、記憶工程と補正工程とを順に行うことで欠陥部分5の形状を認識する方法である。また、フォトマスクの修正方法は、フォトマスク欠陥の形状認識方法が終了した後、認識した欠陥部分5を切削加工して除去する加工工程を行う方法である。これら各工程について、以下に詳細に説明する。
【0044】
まず初めに、初期設定を行う。即ち、ステージ10上にフォトマスク4を固定した後、プローブ11の反射面に確実にレーザ光Lが入射するように、また、反射したレーザ光Lが光検出部24に確実に入射するように、レーザ光源22及び光検出部24の位置や、プローブ11の取付け状態等を調整する。続いてオペレータは、入力部28を介して、欠陥検査装置によって位置が特定された欠陥部分5の周辺を、図3に示すように観察範囲Eとして指定する。
【0045】
この初期設定が終了した後、観察を開始させる。
観察が開始されると、制御手段14は指定された観察範囲E内でプローブ11を走査させてAFM観察により観察画像を取得し、欠陥部分5の形状を詳細に認識する認識工程を行う。
具体的に説明すると、まず、XYZスキャナ20を駆動して、探針11aを図3に示すポイントP1に移動させると共に、該ポイントP1で探針11aと基板2とを接近させ、探針11aと基板表面2aとを微小な力で接触させる。この際、探針11aが接近するにつれて、徐々にプローブ11が撓んで変位する。よって、この変位に基づいて、探針11aが微小な力で接触したか否かを高精度に検出することができる。
【0046】
次いで、プローブ11の変位が一定となるように高さ制御しながら、XYZスキャナ20を駆動して探針11aをマスクパターン3のエッジ3aに対して平行な方向(矢印C方向)に走査させると共に、該走査を欠陥部分5の先端側からマスクパターン3側に向かう方向(矢印D方向)に複数回繰り返し行う。この際、凹凸に応じてプローブ11が撓んで変位しようとするので、光検出部24に入射するレーザ光Lの位置が異なる。すると光検出部24は、入射位置の変位に応じたDIF信号をプリアンプ25に出力する。出力されたDIF信号は、プリアンプ25によって増幅された後、Z電圧フィードバック回路26に送られる。
【0047】
Z電圧フィードバック回路26は、送られてきたDIF信号が常に一定となるように(つまり、プローブ11の変位が一定となるように)、XYZスキャナ制御部21によりXYZスキャナ20をZ方向に微小移動させてフィードバック制御を行う。これにより、プローブ11の変位が一定となるように高さ制御した状態で走査を行うことができる。また、制御部27は、Z電圧フィードバック回路26により上下させる信号に基づいて、観察範囲E内の表面観察を行うことができる。その結果、指定した観察範囲E内において、マスクパターン3の一部及び欠陥部分5の観察画像を取得することができ、該欠陥部分5の外形形状をより詳細に特定することができる。
【0048】
このAFM観察についてさらに詳細に説明すると、まず、AFM観察を開始して、欠陥部分5の輪郭線が最初に確認された図4に示す観察画像を参照画像としてメモリ27aに記憶する記憶工程を行う。つまり、異物等が付着してない清浄な探針11aを利用して取得された観察画像を参照画像として記憶しておく。これ以降、AFM観察のために走査が繰り返されるが、その途中で探針11aによって抉り取られてしまった欠陥部分5の一部が探針11aに付着する恐れがある。この場合には、取得した観察画像が図5に示すようにダブルチップイメージとなってしまい、欠陥部分5の輪郭線を明確に認識することができなくなってしまう。しかしながら、まだ探針11aが清浄なときに取得した観察画像を記憶するので、ダブルチップイメージの影響がなく、図4に示すように、正確な欠陥部分5の輪郭線を得ることができる。
【0049】
続いて、走査を繰り返し行って観察範囲E内のAFM観察を行う。ところが、上述した記憶工程後に行う走査で取得される観察画像は、上述したようにダブルチップイメージとなってしまう恐れがある。そこで、補正部27bは、記憶工程以降の走査で得られる観察画像で確認された欠陥部分5の輪郭線を、参照画像を参照しながら正規のラインに補正する補正工程を行う。この補正を行うことで、探針11aに異物が付着したことに起因するダブルチップの影響を相殺することができ、正しい欠陥部分5の輪郭線を推定することができる。
【0050】
この補正の一例としては、例えば、マッチングを利用した方法で行う。具体的に図6を参照して説明する。補正工程の際、メモリ27aに記憶された輪郭線L1と、参照画像を取得した後の走査で得られた輪郭線L2とをマッチングさせて比較する。ここで、探針11aに異物が付着することに起因するダブルチップイメージの影響を受けている場合には、両輪郭線L1、L2は完全にマッチングせず、影響を受けた部分だけに差異が生じる。よって、この差異が生じた部分のラインを、メモリ27aに記憶されている輪郭線L1のラインに一致させるように補正する。これにより、ダブルチップの影響を受けた部分を修正することができ、正しい欠陥部分5の輪郭線L1を推定することができる。
【0051】
なお、マッチングを行う際には、共通した幾何学的特徴点を基準として両輪郭線L1、L2をマッチングさせれば良い。例えば、図6に示すように、欠陥部分5の側面の一部がダブルチップの影響を受けている場合、残りの一部のライン(図6に示すP3のライン)はメモリ27aに記憶されている輪郭線L1と一致するので、この部分を基準としてマッチングを行えば良い。
また、図7に示すように、欠陥部分5の側面の全部がダブルチップの影響を受けている場合、反対側の側面のライン(図7に示すP4のライン)に関してはメモリ27aに記憶されている輪郭線L1と一致するので、この部分を基準としてマッチングを行えば良い。このように、共通した幾何学的特徴点を基準として両輪郭線L1、L2をマッチングさせれば良い。
【0052】
このように輪郭線を補正することで、図8に示すようにダブルチップイメージの影響を受けることなく、マスクパターン3と欠陥部分5とを明確に区別しながら、該欠陥部分5の外形形状を正確に認識することができる。なお、この時点でフォトマスク欠陥の形状認識方法が終了する。本実施形態では、続いて、フォトマスクの修正方法に移行する。
【0053】
即ち、上述したAFM観察を行った後、制御部27はAFM観察によって詳細に形状が認識された欠陥部分5に探針11aを所定の力で押し付けた状態で複数回の走査を繰り返し行って、欠陥部分5を切削して除去する加工工程を行う。
具体的に説明すると、まず、XYZスキャナ20を駆動して、探針11aを図9に示すポイントP2に移動させると共に、該ポイントP2で探針11aと基板2とを接近させ、探針11aと欠陥部分5とを所定の力で接触させる。この際、探針11aを押し付けるにつれて、徐々にプローブ11が撓んで変位するので、この変位に基づいて探針11aを所定の力で確実に押し付けることができる。
【0054】
次いで、この押し付け力を制御しながら、XYZスキャナ20を駆動して探針11aをマスクパターン3のエッジ3aに対して平行な方向(矢印C方向)に走査させると共に、図9に示すように、該走査を欠陥部分5の先端側からマスクパターン3側に向かう方向(矢印D方向)に複数回繰り返し行う。これにより、欠陥部分5を徐々に切削することができ、図10に示すように、最終的に欠陥部分5の全体を切削して除去することができる。特に、欠陥部分5の先端側から切削加工を行うので、小さい切削抵抗で加工することができ、効率良く短時間で切削を行うことができる。
【0055】
また、AFM観察によって、ダブルチップイメージの影響を受けていた従来のものとは異なり、欠陥部分5とマスクパターン3とが明確に区別されていると共に、欠陥部分5の外形形状が正確に認識されている。そのため、マスクパターン3を誤って削ってしまったり、欠陥部分5を削り残してしまったりする等といった不具合を防止しつつ、図10に示すように、欠陥部分5だけを高精度に切削加工して除去することができる。その結果、マスクパターン3の修正を高精度に行うことができる。また、転写の原版として高品質なフォトマスク4を得ることができる。
【0056】
しかも、本実施形態では、探針11aをマスクパターン3のエッジ3aに対して平行な方向(矢印C方向)に走査させている。これにより、マスクパターン3のエッジ3aに沿って探針11aを走査させることができ、エッジ3aの画像をより高精度に取得することができる。そのため、マスクパターン3を高精度に修正し易い。
【0057】
上述したように、本実施形態のフォトマスク欠陥の形状認識装置1及びフォトマスク欠陥の形状認識方法、並びに、フォトマスクの修正方法によれば、ダブルチップイメージの影響を受けることなくフォトマスク4のAFM観察を行うことができ、欠陥部分5とマスクパターン3とを明確に区別しながら、該欠陥部分5の外形形状を正確に認識することができる。従って、欠陥部分5の認識ミスに伴う加工精度の低下を防止することができ、高精度な切削加工を行うことができる。また、従来のように、探針11aをクリーニングする必要がないので、クリーニングに伴うスループットの低下や、ドリフトによる加工精度の低下が生じる恐れがない。
【0058】
従来では、図11(a)に示すように、マスクパターン3及び欠陥部分5の正しいエッジラインL3を、ダブルチップイメージの影響により誤ったエッジラインL4として認識していた。そのため、図11(b)に示すように、観察画像から得られる欠陥部分(図中に示す斜線の領域)の位置を、実際の欠陥部分5の位置からずれた位置に認識していた。よって、図11(c)に示すように、誤って認識した欠陥部分の位置を切削加工したとしても、実際の欠陥部分5に削り残し(図中に示す斜線領域)が生じていた。
これに対して、本実施形態の形状認識装置1によれば、マッチングにより正しい輪郭線を推定するので、図11(d)に示すように、観察画像から実際の欠陥部分5を確実に認識することができる。従って、図11(e)に示すように、削りの残しがなく、高精度に欠陥部分5を切削加工することができる。
【0059】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態では、基板2側を3次元方向に移動させるスキャン方式としたが、この場合に限られず、プローブ11側を3次元方向に移動させるようにしても構わない。また、プローブ11側をZ方向に移動させると共に、基板2側をXY方向に移動させるように構成しても構わない。いずれの場合であっても、スキャン方式が異なるだけで、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0061】
また、上記実施形態では、ホルダ部15に形成された開口部15aを通してプローブ11にレーザ光Lを入射させると共に、反射したレーザ光Lを出射させる構成としたが、この場合に限られるものではない。例えば、ホルダ部15を光学的に透明な材料(例えば、ガラス)で形成して開口部15aをなくしても構わない。
また、上記実施形態では、変位測定手段13が光てこ方式によりプローブ11の変位検出を行ったが、光てこ方式に限定されるものではない、例えば、プローブ11自身に変位検出機能(例えば、ピエゾ抵抗素子等)を設けた自己検知方式を採用しても構わない。
【0062】
更に、上記実施形態では、輪郭線の補正を行う際に、マッチングを利用した方法を例に挙げて説明したが、この場合に限られるものではない。例えば、欠陥部分5の側面部分の傾斜角度を指標として補正を行っても構わない。
【0063】
この場合について、図12及び図13を参照して簡単に説明する。まず、図12に示すように、メモリ27aに記憶されている欠陥部分5の輪郭線L1から、基板表面2aに対する欠陥部分5の側面の傾斜角度θ1を算出すると共に、算出した角度θ1を基準角度として設定する。通常、探針11aに異物が付着した場合、観察画像は異物の影響を受けてダブルチップイメージとなってしまうが、最も影響を受けるのは側面部分である。つまり、ダブルチップイメージとなった観察画像には、図13に示すように、画像のぼやけや画像が二重になる等の影響を受けて側面部分が膨らんだり、変形したりした欠陥部分5の輪郭線L2が確認されてしまう。なお、欠陥部分5の高さは、探針11aに異物が付着した場合であってもダブルチップの影響をうけず、変化しない。
【0064】
そこで、ダブルチップイメージの影響を受けていない輪郭線、即ち、メモリ27aに記憶されている図12に示す輪郭線L1から、予め傾斜角度θ1を算出しておくと共に、該角度θ1を基準角度として設定しておく。
そして、参照画像を取得した後の走査で得られた図13に示す輪郭線L2からも同様に傾斜角度θ2を算出する。ここで、ダブルチップイメージの影響を受けている場合には、上述したように欠陥部分5の側面が顕著に影響を受けてしまい、傾斜角度がθ2に変化してしまう。よって、この傾斜角度θ2と高さとからずれ量Xを算出することができると共に、変化してしまった傾斜角度θ2を基準角度θ1に一致させるように補正することで、ダブルチップの影響を受けた部分を修正することができる。従って、正しい欠陥部分5の輪郭線L1を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置で修正を行うフォトマスクの斜視図である。
【図2】本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置の一実施形態を示す構成図である。
【図3】図2に示すフォトマスク欠陥の形状認識装置によりマスクパターンに生じた欠陥部分を修正する際の一工程を示す図であって、設定された観察範囲内でAFM観察を行っているときの探針の動きを、マスクパターンの上方から見た図である。
【図4】図3に示す観察の結果得られた観察画像を示す図であって、欠陥部分の輪郭線が最初に確認された観察画像である。
【図5】図3に示す観察の結果得られた観察画像を示す図であって、ダブルチップの影響を受けた輪郭線が確認された観察画像である。
【図6】図4に示す観察画像で確認された欠陥部分の輪郭線と、図5に示す観察画像で確認された欠陥部分の輪郭線とをマッチングさせて比較し、正しい輪郭線に補正した状態を示す図である。
【図7】欠陥部分の一方の側面全体がダブルチップに影響を受けた場合の観察画像を、図4に示す観察画像とマッチングさせている状態を示す図である。
【図8】図6に示すマッチングによって補正した結果得られた、マスクパターン及び欠陥部分の画像イメージ図である。
【図9】AFM観察終了後、欠陥部分を切削加工しているときの探針の動きを、マスクパターンの上方から見た図である。
【図10】切削加工を行った後のマスクパターンの斜視図である。
【図11】(a)は従来の方法によってAFM観察した結果、マスクパターン及び欠陥部分のエッジラインを誤って認識してしまった状態を示す図であり、(b)はその結果、欠陥部分の領域を誤って認識してしまった状態を示す図であり、(c)は誤って認識した欠陥部分を切削加工した結果、実際の欠陥部分に削り残しが発生した状態を示す図であり、(d)は本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置によって実際の欠陥部分の領域を正確に認識した状態を示す図であり、(e)はその結果、削り残しがなく高精度に欠陥部分のみを切削加工した状態を示す図である。
【図12】本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置により、欠陥部分の輪郭線を補正する場合の変形例を示す図であって、記憶部に記憶された観察画像の輪郭線から、基板表面に対する欠陥部分の側面の傾斜角度を算出している状態を示す図である。
【図13】本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置により、欠陥部分の輪郭線を補正する場合の変形例を示す図であって、ダブルチップの影響を受けた輪郭線から、基板表面に対する欠陥部分の側面の傾斜角度を算出している状態を示す図である。
【図14】従来のマスク修正の方法を説明する図であって、AFM観察する際に、マスクパターンに平行な方向に走査すると共に、該走査を欠陥部分の先端側からマスクパターン側に向かって繰り返し行う場合の探針の動きを、マスクパターンの上方から見た図である。
【図15】図14に示す観察を行っている際に、探針に異物が付着した状態を示す図である。
【図16】図15に示した状態の後、探針に別の異物が付着した状態を示す図である。
【図17】図15に示す探針で取得したマスクパターン及び欠陥部分の画像イメージ図である。
【図18】図17に示す断面矢視A−A図である。
【符号の説明】
【0066】
1 フォトマスク欠陥の形状認識装置
2 基板
2a 基板表面
3 マスクパターン
3a マスクパターンのエッジ
4 フォトマスク
5 欠陥部分
10 ステージ
11a 探針
11 プローブ
12 移動手段
13 変位測定手段
14 制御手段
27a メモリ(記憶部)
27b 補正部
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体を製造する際に用いられるフォトマスクの欠陥部分を切削加工して修正するために、フォトマスクの欠陥形状を認識するフォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスク欠陥の形状認識方法、並びに、認識した欠陥部分を除去してフォトマスクを修正するフォトマスクの修正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体を製造する際に使用されるフォトマスクは、パターンの原版となるものであるので、マスク基板上にマスクパターンを描画した後、欠陥部分の有無を必ず検査すると共に必要に応じて欠陥部分の修正を適宜行っている。
このフォトマスクは、予め設計された描画データに基づいて描画装置によりマスク基板上に描かれている。これにより、マスク基板上にマスクパターンが描画されたフォトマスクが作製されている。また、フォトマスクを作製した後、欠陥検査装置により、フォトマスクの欠陥の有無や存在場所が調べられ、欠陥が存在する場合にはウエハへ転写する前にマスク修正装置により欠陥修正処理が行われている。
【0003】
マスクパターンの欠陥としては、例えば、所望するパターンから余分に突出して突起となってしまったもの(Protrusion)や、所望するパターンに欠け等の凹部が生じてしまったもの(Intrusion)等がある。このような欠陥部分は、欠陥検査装置によって位置が特定された後、マスク修正装置によって詳細に欠陥部の形状等が認識されると共に、突起となってしまったものに関しては切削加工等が、パターン欠けに関しては凹部に遮光膜が膜付けされて修正されている。
【0004】
この際の修正方法としては、様々な方法が知られているが、その1つとして原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)を利用して欠陥部分を修正する方法が知られている(非特許文献1参照)。
この方法は、先端に探針が設けられたプローブによりマスク基板上の所定範囲をAFM観察して、マスクパターンの欠陥部分を詳細に特定した後、該欠陥部分を同じプローブを利用して切削加工することで修正を行う方法である。特に、欠陥部分が所望するパターンから余分に突出して突起状となっている場合に有効な方法である。
【0005】
この方法について、図14を参照して具体的に説明する。なお図14は、マスク基板30上に描かれたマスクパターン31を上方から見た図であり、マスクパターン31に突起状の欠陥部分32がある場合を図示している。
始めに、欠陥検査装置によって、予めマスクパターン31に欠陥部分32が存在していることが確認されていると共に、該欠陥部分32の位置が特定されている。そして、マスク修正装置により修正を行う前に、この位置データに基づいて予め欠陥部分32の周辺を観察範囲Eとして指定しておく。
【0006】
観察範囲Eが指定されると、マスク修正装置は、この観察範囲E内でプローブを走査させる。具体的には、プローブの撓みが一定となるように、探針とマスク基板30との距離を高さ制御しながら走査を行う。この際、マスクパターン31に平行な方向(矢印A1方向)に走査を行うと共に、該走査を欠陥部分32の先端側から根元側(マスクパターン31側)に向かって(矢印A2方向に向かって)複数回繰り返し行っている。これにより、観察範囲E内においてマスク基板30の表面観察を行うことができ、マスクパターン31の一部及び欠陥部分32の画像を取得して、該画像から画像処理等により欠陥のない直線パターンの輪郭線を抽出し、抽出した輪郭線から欠陥部分32の輪郭線を推定し、推定した輪郭線の外側の余剰部分を欠陥と認識することができる。
【0007】
次いで、上記方法で欠陥部分32を認識した後、プローブを所定の力で欠陥部分32に押し付けながら走査を行わせる。これにより、被加工材料(突起欠陥)よりも硬い探針を利用して認識した欠陥部分32を機械的な加工で切削することができる。そして、この走査をやはり複数回繰り返し行うことで、欠陥部分32の全体を切削加工して、除去することができる。
具体的には、プローブをマスクパターン31に平行な方向(矢印A1方向)に走査してライン状に欠陥部分32を切削すると共に、該走査を欠陥部分32の先端側から根元側に向かって(矢印A2方向に向かって)複数回繰り返し行うことで、欠陥部分32の全体を切削加工している。
【0008】
上述した方向(矢印A2方向)に切削を行うのは、できるだけ切削抵抗を小さくするためである。仮に、根元側から先端側に向かって(矢印A2方向とは反対の方向に向かって)切削加工を行った場合には、切削抵抗が大きいためうまく削り取れない恐れがあった。特に、フォトマスクは、上述したようにパターンの原版となるものであるので、欠陥部分32を切削加工するにあたって高精度な加工が求められる。そのため、上述した方向で切削加工を行っている。これらの結果、突起状の欠陥部分32を除去することができ、正しいマスクパターン31に修正することができる。
【非特許文献1】Y.Morikawa、H.Kokubo、M.Nishiguchi、N.Hayashi、R.White、R.Bozak、L.Trrill著「Defect repair performance using the nanomachining repair technique」、2003年、Proc.of SPIE5130、P520−P527
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来の方法では、以下の問題点がまだ残されていた。
始めに、プローブの先端に設けられている探針は、欠陥部分32を切削加工するために、硬い材質(ダイヤモンド等)が採用されている。そのため、AFM観察する際に、図15に示すように探針33によって欠陥部分32の一部が抉られてしまう場合があった。特に、探針33が欠陥部分32を駆け上がる箇所で発生し易かった。しかも、この抉り取られた部分は、探針33にそのまま付着してしまい、これ以降単なる異物Xとなってしまうものであった。
【0010】
このように観察を行っている最中に一旦異物Xが探針先端近傍に付着してしまうと、該異物Xが付着したままの探針33で観察を行わざるを得ないので、探針先端と異物Xの両方から原子間力を検出してしまい両者の原子間力をコンボリューションした二重像になり(以下ダブルチップイメージと呼ぶ)、正確な画像を取得することができなかった。しかも、先程付着した異物Xによって欠陥部分32が再び抉られる可能性があり、図16に示すように別の異物Xが新たに付着する恐れもあった。
このように、探針33に付着した異物Xの影響によって、正常な画像が得られない場合があった。特に、1回目の観察はそれほどの影響はないが、複数回観察してから加工する場合には、ダブルチップイメージになり易かった。
【0011】
ここで、観察時に走査を繰り返す方向が、欠陥部分32の先端側からマスクパターン31側である根元側に向かって(矢印A2方向に向かって)行うので、図17及び図18に示すように、欠陥部分32の根元側周辺の画像がダブルチップイメージとなってしまうものであった。そのため、欠陥部分32の根元側付近における外形形状や、マスクパターン31のエッジ形状を正確に認識することができない場合があった。具体的には、エッジ部ぼやけて不明確になったり、二重になったりして、明確な画像を得ることができなかった。
特に、マスクパターン31のエッジ形状を正確に認識できないので、マスクパターン31と欠陥部分32とを明確に区別することが難しかった。そのため、欠陥部分32だけを高精度に切削加工により除去することができないだけでなく、マスクパターン31を削ってしまう恐れがあった。逆に、マスクパターン31と欠陥部分32とを明確に区別できないために、欠陥部分32を大きく削り残してしまった場合には、追加工が必要となってしまい、作業効率を低下させていた。
【0012】
そこで、ダブルチップイメージを解消するため、適宜探針33のクリーニングを行って、探針33に付着した異物Xを除去することも考えられるが、クリーニングに時間がかかってしまいスループットの低下を招いてしまうものであった。また、クリーニングを行う際に、長距離のステージ移動が伴うため一般的な高精度ステージであるボールネジを用いたものではボールネジの摩擦のために熱ドリフトが発生してしまう。そのため、加工位置が所望位置からずれていくために、高精度に切削加工を行うことが難しかった。
【0013】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その主な目的は、ダブルチップイメージの影響を受けることなくフォトマスクのAFM観察を行って、欠陥部分とマスクパターンとを明確に区別した状態でフォトマスクの欠陥形状を認識することができるフォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスク欠陥の形状認識方法を提供することである。また、別の目的としては、正確に認識した欠陥部分を切削加工により高精度に除去してフォトマスクを修正するフォトマスクの修正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置は、基板と該基板上に所定のパターンで形成されたマスクパターンとを有するフォトマスクをAFM観察して、マスクパターンから突出した突起状の欠陥部分の形状を認識するフォトマスク欠陥の形状認識装置であって、前記フォトマスクを固定するステージと、前記基板に対向配置された探針を先端に有するプローブと、前記基板と前記探針とを、前記基板表面に平行な方向及び基板表面に垂直な方向に相対的に移動させる移動手段と、前記プローブの変位を測定する変位測定手段と、該変位測定手段による測定結果に基づいて、前記プローブの変位が一定となるように前記探針と前記基板表面との距離を制御しながら複数回の走査を繰り返し行って、前記欠陥部分をAFM観察する制御手段と、を備え、前記制御手段が、AFM観察時に前記欠陥部分の輪郭線が最初に確認された観察画像を参照画像として記憶する記憶部と、これ以降の走査で得られる観察画像で確認される前記欠陥部分の輪郭線を、前記参照画像を参照しながら正規のラインに補正する補正部と、を有し、補正後の観察画像に基づいて前記欠陥部分の形状を認識することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識方法は、基板と該基板上に所定のパターンで形成されたマスクパターンとを有するフォトマスクを、先端に探針を有するプローブの変位が一定となるように探針と基板表面との距離を制御しながら複数回の走査を繰り返し行ってAFM観察し、マスクパターンから突出した突起状の欠陥部分の形状を認識するフォトマスク欠陥の形状認識方法であって、前記AFM観察時に前記欠陥部分の輪郭線が最初に確認された観察画像を参照画像として記憶する記憶工程と、該記憶工程後、これ以降の走査で得られる観察画像で確認される前記欠陥部分の輪郭線を、前記参照画像を参照しながら正規のラインに補正する補正工程と、を備え、補正後の前記観察画像に基づいて前記欠陥部分の形状を認識することを特徴とするものである。
【0016】
この発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスク欠陥の形状認識方法においては、まず、基板上に予め所定のパターンからなるマスクパターンが描画されたフォトマスクを、ステージ上に固定する。フォトマスクを固定した後、他の手段によって位置が特定されたマスクパターンの突起状の欠陥部分の周辺を観察範囲として指定する。
観察範囲が指定されると、制御手段はこの観察範囲内でプローブを走査させてAFM観察により観察画像を取得し、欠陥部分の形状を詳細に認識する工程を行う。具体的には、プローブの変位が一定となるように、探針と基板表面との距離を制御しながら複数回の走査を繰り返し行って観察画像を取得する。これにより、指定した観察範囲内において基板の表面観察を行うことができ、マスクパターンの一部及び欠陥部分の外形形状を認識することができる。
【0017】
このAFM観察について詳細に説明すると、まずAFM観察を開始して、欠陥部分の輪郭線(エッジライン)が最初に確認された観察画像を参照画像として記憶部に記憶する記憶工程を行う。つまり、異物等が付着していない清浄な探針を利用して取得された観察画像を参照画像として予め記憶しておく。これ以降、AFM観察のために走査が繰り返されるが、その途中で探針によって抉り取られてしまった欠陥部分の一部が探針に付着する恐れがある。この場合には、取得した観察画像がダブルチップイメージとなってしまい、欠陥部分の輪郭線を明確に認識することができなくなってしまう。しかしながら、まだ探針が清浄なときに取得した観察画像を記憶するので、ダブルチップイメージの影響がなく、正確な欠陥部分の輪郭線を得ることができる。
【0018】
続いて、走査を繰り返し行って観察範囲内のAFM観察を行う。ところが、記憶工程後に行う走査で取得される観察画像は、上述したようにダブルチップイメージとなってしまう恐れがある。そこで、補正部は、記憶工程以降の走査で得られる観察画像で確認された欠陥部分の輪郭線を、参照画像を参照しながら正規のラインに補正する補正工程を行う。この補正を行うことで、探針に異物が付着したことに起因するダブルチップの影響を相殺することができ、正しい欠陥部分の輪郭線を推定することができる。
その結果、ダブルチップイメージの影響を受けることなく、マスクパターンと欠陥部分とを明確に区別しながら該欠陥部分の外形形状を正確に認識することができる。
【0019】
また、本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置は、上記本発明のフォトマスク欠陥の形状認識装置において、前記補正部が、前記記憶部に記憶された前記輪郭線と前記参照画像を取得した後の走査で得られた前記輪郭線とをマッチングにより比較して差異を検出すると共に、参照画像を取得した後の走査で得られた輪郭線のうち差異が検出された部分のラインを、記憶部に記憶された輪郭線に一致させるように補正することを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識方法は、上記本発明のフォトマスク欠陥の形状認識方法において、前記補正工程の際、記憶された前記輪郭線と前記参照画像を取得した後の走査で得られた前記輪郭線とをマッチングにより比較して差異を検出すると共に、参照画像を取得した後の走査で得られた輪郭線のうち差異が検出された部分のラインを、記憶された輪郭線に一致させるように補正することを特徴とするものである。
【0021】
この発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスク欠陥の形状認識方法においては、輪郭線の補正を行う際、記憶部に記憶されている欠陥部分の輪郭線と、参照画像を取得した後の走査で得られた輪郭線とをマッチングさせて比較する。ここで、探針に異物が付着することに起因するダブルチップイメージの影響を受けている場合には、両輪郭線は完全にマッチングせず、影響を受けた部分だけに差異が生じる。よって、この差異が生じた部分のラインを、記憶部に記憶されている輪郭線のラインに一致させるように補正する。これにより、ダブルチップの影響を受けた部分を修正することができ、正しい欠陥部分の輪郭線を推定することができる。
【0022】
また、本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置は、上記本発明のフォトマスク欠陥の形状認識装置において、前記補正部が、前記記憶部に記憶された前記輪郭線から前記基板表面に対する前記欠陥部分の側面の傾斜角度を算出して基準角度として設定した後、前記参照画像を取得した後の走査で得られた前記輪郭線から前記基板表面に対する前記欠陥部分の側面の傾斜角度を算出し、該傾斜角度を前記基準角度に一致させるように補正することを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識方法は、上記本発明のフォトマスク欠陥の形状認識方法において、前記補正工程の際、記憶された前記輪郭線から前記基板表面に対する前記欠陥部分の側面の傾斜角度を算出して基準角度として設定した後、前記参照画像を取得した後の走査で得られた前記輪郭線から前記基板表面に対する前記欠陥部分の側面の傾斜角度を算出し、該傾斜角度を前記基準角度に一致させるように補正することを特徴とするものである。
【0024】
この発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスク欠陥の形状認識方法においては、輪郭線の補正を行う際、まず、記憶部に記憶されている欠陥部分の輪郭線から、基板表面に対する欠陥部分の側面の傾斜角度を算出すると共に、算出した角度を基準角度として設定する。通常、探針に異物が付着した場合、観察画像は異物の影響を受けてダブルチップイメージとなってしまうが、最も影響を受けるのは側面部分である。つまり、ダブルチップイメージとなった観察画像には、画像のぼやけや画像が二重に重なる等の影響を受けて側面部分が膨らんだり、変形したりした欠陥部分の輪郭線が確認されてしまう。そこで、ダブルチップイメージの影響を受けていない輪郭線、即ち、記憶部に記憶されている輪郭線から、予め傾斜角度を算出しておくと共に、該角度を基準角度として設定しておく。
【0025】
そして、参照画像を取得した後の走査で得られた輪郭線からも同様に傾斜角度を算出する。ここで、探針に異物が付着することに起因するダブルチップイメージの影響を受けている場合には、上述したように欠陥部分の側面に相当する部分の輪郭線が顕著に影響を受けてしまい、傾斜角度が変化してしまう。よって、変化してしまった傾斜角度を基準角度に一致させるように補正することで、ダブルチップの影響を受けた部分を修正することができ、正しい欠陥部分の輪郭線を推定することができる。
【0026】
また、本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置は、上記本発明のフォトマスク欠陥の形状認識装置において、前記制御手段が、認識した前記欠陥部分に前記探針を所定の力で押し付けた状態で複数回の走査を繰り返し行って、該欠陥部分を切削して除去させることを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明に係るフォトマスクの修正方法は、上記本発明のフォトマスク欠陥の形状認識方法により、フォトマスクの欠陥部分の形状を認識した後、認識した欠陥部分に前記探針を所定の力で押し付けた状態で複数回の走査を繰り返し行って、該欠陥部分を切削して除去する加工工程を備えていることを特徴とするものである。
【0028】
この発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスクの欠陥修正方法においては、AFM観察を行った後、該AFM観察によって詳細に形状が認識された欠陥部分に探針を所定の力で押し付けた状態で、複数回の走査を繰り返し行って、欠陥部分を切削により除去する加工工程を行う。特に、ダブルチップイメージの影響を受けていた従来のものとは異なり、AFM観察によって、欠陥部分とマスクパターンとが明確に区別されていると共に、欠陥部分の外形形状が正確に認識されている。そのため、マスクパターンを誤って削ってしまったり、欠陥部分を削り残してしまったりする等といった不具合を防止しつつ、欠陥部分だけを高精度に切削加工して除去することができる。
その結果、マスクパターンの修正を高精度に行うことができる。また、修正が成功することで転写の原版として高品質なフォトマスクを得ることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスク欠陥の形状認識方法によれば、ダブルチップイメージの影響を受けることなくフォトマスクのAFM観察を行うことができ、欠陥部分とマスクパターンとを明確に区別しながら、該欠陥部分の外形形状を正確に認識することができる。
また、フォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスクの修正方法によれば、正確に認識した欠陥部分を切削加工により高精度に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置及びフォトマスク欠陥の形状認識方法、並びに、フォトマスクの修正方法の一実施形態について、図1から図11を参照して説明する。なお、本実施形態では、光てこ方式を利用した場合を例に挙げて説明する。
【0031】
本実施形態のフォトマスク欠陥の形状認識装置1は、図1に示す基板2と該基板2上に所定のパターンで形成されたマスクパターン3とを有するフォトマスク4をAFM観察して、マスクパターン3から突出した突起状の欠陥部分5の形状を認識する装置である。また、本実施形態では、単に観察するだけでなく、形状を認識した欠陥部分5を切削加工により除去して修正を行う。
【0032】
なお、フォトマスク4は、図示しない描画装置によって作製されたものであり、予め設計された描画データに基づいて基板2上にマスクパターン3が描画されている。また、描画装置によって作製された後、フォトマスク4は図示しない欠陥検査装置によって検査されており、欠陥部分5の位置が既に特定されている。また、フォトマスク4の基板2は、マスク基板となるものであり、例えばガラス又は石英基板である。
【0033】
本実施形態のフォトマスク欠陥の形状認識装置1は、図2に示すように、フォトマスク4を固定するステージ10と、基板2に対向配置された探針11aを先端に有するプローブ11と、基板2と探針11aとを基板表面2aに平行なXY方向及び基板表面2aに垂直なZ方向に相対的に移動させる移動手段12と、プローブ11の変位(撓み)を測定する変位測定手段13と、これら各構成品を総合的に制御する制御手段14と、を備えている。
【0034】
上記探針11aは、欠陥部分5を容易に切削することができるように硬い材質、例えばダイヤモンド等からなるものであり、切削加工の際に欠陥部分5に当たる面が垂直になるように形成されている。また、プローブ11は、シリコン等により形成されており、本体部11bによって片持ち状態に支持されている。この本体部11bは、ホルダ部15に固定された斜面ブロック16の載置面16aに図示しないワイヤ等を利用して着脱自在に固定されている。これによりプローブ11は、基板表面2aに対して所定角度傾いた状態で固定されている。
【0035】
ホルダ部15は、基板2の上方に位置するように図示しない架台に取り付けられている。また、このホルダ部15には、プローブ11の裏面に形成された図示しない反射面に向けて、後述するレーザ光Lを入射させると共に、反射面で反射したレーザ光Lを出射させる開口部15aが形成されている。
上記ステージ10は、XYZスキャナ20上に載置されており、該XYZスキャナ20は図示しない防振台上に載置されている。このXYZスキャナ20は、例えばピエゾ素子であり、XY走査系とZサーボ系を含むXYZスキャナ制御部21から電圧を印加されることで、XY方向及びZ方向にそれぞれ微小移動するようになっている。即ち、これらXYZスキャナ20及びXYZスキャナ制御部21は、上記移動手段12として機能する。
【0036】
また、ホルダ部15の上方には、プローブ11の裏面側に形成された反射面に向けてレーザ光Lを照射するレーザ光源22と、反射面で反射されたレーザ光Lを、ミラー23を利用して受光する光検出部24と、が設けられている。なお、レーザ光源22から照射されたレーザ光Lは、ホルダ部15の開口部15a内を通過しながら反射面に達し、反射面で反射された後、再度開口部15a内を通過して光検出部24に入射するようになっている。
【0037】
光検出部24は、例えば入射面が2分割或いは4分割されたフォトダイオードであり、レーザ光Lの入射位置からプローブ11の変位(撓み)を検出する。そして、光検出部24は、検出したプローブ11の変位をDIF信号としてプリアンプ25に出力している。即ち、これらレーザ光源22、ミラー23、光検出部24は、プローブ11の変位を測定する上記変位測定手段13として機能する。
【0038】
また、光検出部24から出力されたDIF信号は、プリアンプ25によって増幅された後、Z電圧フィードバック回路26に送られる。Z電圧フィードバック回路26は、送られてきたDIF信号が常に一定となるように、XYZスキャナ制御部21をフィードバック制御する。これにより、基板表面2aをAFM観察する際に、基板2と探針11aとの距離をプローブ11の変位が一定となるように高さ制御することができる。
【0039】
また、Z電圧フィードバック回路26には、制御部27が接続されており、該制御部27がZ電圧フィードバック回路26により上下させる信号に基づいて、基板表面2a上の観察データを取得することができるようになっている。これにより、基板2上に形成されているマスクパターン3や該マスクパターン3の欠陥部分5の画像を取得することができるようになっている。
即ち、これらZ電圧フィードバック回路26及び制御部27は、上記制御手段14として機能する。なお、この制御手段14は、AFM観察を行って、切削加工の対象物である欠陥部分5を詳細に認識した後、引き続き欠陥部分5を切削加工するように設定されている。
【0040】
また、上記制御部27には、オペレータが各種の情報を入力することができる入力部28が接続されており、該入力部28を介してAFM観察を行う観察範囲E等を自在に設定できるようになっている。これによりオペレータは、欠陥検査装置によって特定された欠陥部分5の位置データに基づいて、観察範囲Eを設定することが可能とされている。そして制御部27は、観察範囲Eが設定されると、該観察範囲E内でAFM観察及び切削加工を行うように設定されている。
【0041】
また、制御部27は、AFM観察時に欠陥部分5の輪郭線が最初に確認された観察画像を参照画像として記憶するメモリ(記憶部)27aと、これ以降の走査で得られる観察画像で確認される欠陥部分5の輪郭線を、参照画像を参照しながら正規のラインに補正する補正部27bと、を有している。そして、補正後の観察画像に基づいて欠陥部分5の形状を認識するようになっている。これについては、後に詳細に説明する。
【0042】
なお本実施形態では、AFM観察及び切削加工を行う際に、図1に示すように、探針11aをマスクパターン3のエッジ3aに対して平行な方向(矢印C方向)に走査させると共に、該走査を欠陥部分5の先端側からマスクパターン3に向かう方向(矢印D方向)に複数回繰り返すように、制御手段14が各構成品を制御している。
【0043】
次に、このように構成されたフォトマスク欠陥の形状認識装置1により、マスクパターン3の欠陥部分5の形状を詳細に認識するフォトマスク欠陥の形状認識方法、並びに、該方法で形状を認識した欠陥部分5を切削加工して修正するフォトマスクの修正方法について以下に説明する。
本実施形態のフォトマスク欠陥の形状認識方法は、記憶工程と補正工程とを順に行うことで欠陥部分5の形状を認識する方法である。また、フォトマスクの修正方法は、フォトマスク欠陥の形状認識方法が終了した後、認識した欠陥部分5を切削加工して除去する加工工程を行う方法である。これら各工程について、以下に詳細に説明する。
【0044】
まず初めに、初期設定を行う。即ち、ステージ10上にフォトマスク4を固定した後、プローブ11の反射面に確実にレーザ光Lが入射するように、また、反射したレーザ光Lが光検出部24に確実に入射するように、レーザ光源22及び光検出部24の位置や、プローブ11の取付け状態等を調整する。続いてオペレータは、入力部28を介して、欠陥検査装置によって位置が特定された欠陥部分5の周辺を、図3に示すように観察範囲Eとして指定する。
【0045】
この初期設定が終了した後、観察を開始させる。
観察が開始されると、制御手段14は指定された観察範囲E内でプローブ11を走査させてAFM観察により観察画像を取得し、欠陥部分5の形状を詳細に認識する認識工程を行う。
具体的に説明すると、まず、XYZスキャナ20を駆動して、探針11aを図3に示すポイントP1に移動させると共に、該ポイントP1で探針11aと基板2とを接近させ、探針11aと基板表面2aとを微小な力で接触させる。この際、探針11aが接近するにつれて、徐々にプローブ11が撓んで変位する。よって、この変位に基づいて、探針11aが微小な力で接触したか否かを高精度に検出することができる。
【0046】
次いで、プローブ11の変位が一定となるように高さ制御しながら、XYZスキャナ20を駆動して探針11aをマスクパターン3のエッジ3aに対して平行な方向(矢印C方向)に走査させると共に、該走査を欠陥部分5の先端側からマスクパターン3側に向かう方向(矢印D方向)に複数回繰り返し行う。この際、凹凸に応じてプローブ11が撓んで変位しようとするので、光検出部24に入射するレーザ光Lの位置が異なる。すると光検出部24は、入射位置の変位に応じたDIF信号をプリアンプ25に出力する。出力されたDIF信号は、プリアンプ25によって増幅された後、Z電圧フィードバック回路26に送られる。
【0047】
Z電圧フィードバック回路26は、送られてきたDIF信号が常に一定となるように(つまり、プローブ11の変位が一定となるように)、XYZスキャナ制御部21によりXYZスキャナ20をZ方向に微小移動させてフィードバック制御を行う。これにより、プローブ11の変位が一定となるように高さ制御した状態で走査を行うことができる。また、制御部27は、Z電圧フィードバック回路26により上下させる信号に基づいて、観察範囲E内の表面観察を行うことができる。その結果、指定した観察範囲E内において、マスクパターン3の一部及び欠陥部分5の観察画像を取得することができ、該欠陥部分5の外形形状をより詳細に特定することができる。
【0048】
このAFM観察についてさらに詳細に説明すると、まず、AFM観察を開始して、欠陥部分5の輪郭線が最初に確認された図4に示す観察画像を参照画像としてメモリ27aに記憶する記憶工程を行う。つまり、異物等が付着してない清浄な探針11aを利用して取得された観察画像を参照画像として記憶しておく。これ以降、AFM観察のために走査が繰り返されるが、その途中で探針11aによって抉り取られてしまった欠陥部分5の一部が探針11aに付着する恐れがある。この場合には、取得した観察画像が図5に示すようにダブルチップイメージとなってしまい、欠陥部分5の輪郭線を明確に認識することができなくなってしまう。しかしながら、まだ探針11aが清浄なときに取得した観察画像を記憶するので、ダブルチップイメージの影響がなく、図4に示すように、正確な欠陥部分5の輪郭線を得ることができる。
【0049】
続いて、走査を繰り返し行って観察範囲E内のAFM観察を行う。ところが、上述した記憶工程後に行う走査で取得される観察画像は、上述したようにダブルチップイメージとなってしまう恐れがある。そこで、補正部27bは、記憶工程以降の走査で得られる観察画像で確認された欠陥部分5の輪郭線を、参照画像を参照しながら正規のラインに補正する補正工程を行う。この補正を行うことで、探針11aに異物が付着したことに起因するダブルチップの影響を相殺することができ、正しい欠陥部分5の輪郭線を推定することができる。
【0050】
この補正の一例としては、例えば、マッチングを利用した方法で行う。具体的に図6を参照して説明する。補正工程の際、メモリ27aに記憶された輪郭線L1と、参照画像を取得した後の走査で得られた輪郭線L2とをマッチングさせて比較する。ここで、探針11aに異物が付着することに起因するダブルチップイメージの影響を受けている場合には、両輪郭線L1、L2は完全にマッチングせず、影響を受けた部分だけに差異が生じる。よって、この差異が生じた部分のラインを、メモリ27aに記憶されている輪郭線L1のラインに一致させるように補正する。これにより、ダブルチップの影響を受けた部分を修正することができ、正しい欠陥部分5の輪郭線L1を推定することができる。
【0051】
なお、マッチングを行う際には、共通した幾何学的特徴点を基準として両輪郭線L1、L2をマッチングさせれば良い。例えば、図6に示すように、欠陥部分5の側面の一部がダブルチップの影響を受けている場合、残りの一部のライン(図6に示すP3のライン)はメモリ27aに記憶されている輪郭線L1と一致するので、この部分を基準としてマッチングを行えば良い。
また、図7に示すように、欠陥部分5の側面の全部がダブルチップの影響を受けている場合、反対側の側面のライン(図7に示すP4のライン)に関してはメモリ27aに記憶されている輪郭線L1と一致するので、この部分を基準としてマッチングを行えば良い。このように、共通した幾何学的特徴点を基準として両輪郭線L1、L2をマッチングさせれば良い。
【0052】
このように輪郭線を補正することで、図8に示すようにダブルチップイメージの影響を受けることなく、マスクパターン3と欠陥部分5とを明確に区別しながら、該欠陥部分5の外形形状を正確に認識することができる。なお、この時点でフォトマスク欠陥の形状認識方法が終了する。本実施形態では、続いて、フォトマスクの修正方法に移行する。
【0053】
即ち、上述したAFM観察を行った後、制御部27はAFM観察によって詳細に形状が認識された欠陥部分5に探針11aを所定の力で押し付けた状態で複数回の走査を繰り返し行って、欠陥部分5を切削して除去する加工工程を行う。
具体的に説明すると、まず、XYZスキャナ20を駆動して、探針11aを図9に示すポイントP2に移動させると共に、該ポイントP2で探針11aと基板2とを接近させ、探針11aと欠陥部分5とを所定の力で接触させる。この際、探針11aを押し付けるにつれて、徐々にプローブ11が撓んで変位するので、この変位に基づいて探針11aを所定の力で確実に押し付けることができる。
【0054】
次いで、この押し付け力を制御しながら、XYZスキャナ20を駆動して探針11aをマスクパターン3のエッジ3aに対して平行な方向(矢印C方向)に走査させると共に、図9に示すように、該走査を欠陥部分5の先端側からマスクパターン3側に向かう方向(矢印D方向)に複数回繰り返し行う。これにより、欠陥部分5を徐々に切削することができ、図10に示すように、最終的に欠陥部分5の全体を切削して除去することができる。特に、欠陥部分5の先端側から切削加工を行うので、小さい切削抵抗で加工することができ、効率良く短時間で切削を行うことができる。
【0055】
また、AFM観察によって、ダブルチップイメージの影響を受けていた従来のものとは異なり、欠陥部分5とマスクパターン3とが明確に区別されていると共に、欠陥部分5の外形形状が正確に認識されている。そのため、マスクパターン3を誤って削ってしまったり、欠陥部分5を削り残してしまったりする等といった不具合を防止しつつ、図10に示すように、欠陥部分5だけを高精度に切削加工して除去することができる。その結果、マスクパターン3の修正を高精度に行うことができる。また、転写の原版として高品質なフォトマスク4を得ることができる。
【0056】
しかも、本実施形態では、探針11aをマスクパターン3のエッジ3aに対して平行な方向(矢印C方向)に走査させている。これにより、マスクパターン3のエッジ3aに沿って探針11aを走査させることができ、エッジ3aの画像をより高精度に取得することができる。そのため、マスクパターン3を高精度に修正し易い。
【0057】
上述したように、本実施形態のフォトマスク欠陥の形状認識装置1及びフォトマスク欠陥の形状認識方法、並びに、フォトマスクの修正方法によれば、ダブルチップイメージの影響を受けることなくフォトマスク4のAFM観察を行うことができ、欠陥部分5とマスクパターン3とを明確に区別しながら、該欠陥部分5の外形形状を正確に認識することができる。従って、欠陥部分5の認識ミスに伴う加工精度の低下を防止することができ、高精度な切削加工を行うことができる。また、従来のように、探針11aをクリーニングする必要がないので、クリーニングに伴うスループットの低下や、ドリフトによる加工精度の低下が生じる恐れがない。
【0058】
従来では、図11(a)に示すように、マスクパターン3及び欠陥部分5の正しいエッジラインL3を、ダブルチップイメージの影響により誤ったエッジラインL4として認識していた。そのため、図11(b)に示すように、観察画像から得られる欠陥部分(図中に示す斜線の領域)の位置を、実際の欠陥部分5の位置からずれた位置に認識していた。よって、図11(c)に示すように、誤って認識した欠陥部分の位置を切削加工したとしても、実際の欠陥部分5に削り残し(図中に示す斜線領域)が生じていた。
これに対して、本実施形態の形状認識装置1によれば、マッチングにより正しい輪郭線を推定するので、図11(d)に示すように、観察画像から実際の欠陥部分5を確実に認識することができる。従って、図11(e)に示すように、削りの残しがなく、高精度に欠陥部分5を切削加工することができる。
【0059】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態では、基板2側を3次元方向に移動させるスキャン方式としたが、この場合に限られず、プローブ11側を3次元方向に移動させるようにしても構わない。また、プローブ11側をZ方向に移動させると共に、基板2側をXY方向に移動させるように構成しても構わない。いずれの場合であっても、スキャン方式が異なるだけで、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0061】
また、上記実施形態では、ホルダ部15に形成された開口部15aを通してプローブ11にレーザ光Lを入射させると共に、反射したレーザ光Lを出射させる構成としたが、この場合に限られるものではない。例えば、ホルダ部15を光学的に透明な材料(例えば、ガラス)で形成して開口部15aをなくしても構わない。
また、上記実施形態では、変位測定手段13が光てこ方式によりプローブ11の変位検出を行ったが、光てこ方式に限定されるものではない、例えば、プローブ11自身に変位検出機能(例えば、ピエゾ抵抗素子等)を設けた自己検知方式を採用しても構わない。
【0062】
更に、上記実施形態では、輪郭線の補正を行う際に、マッチングを利用した方法を例に挙げて説明したが、この場合に限られるものではない。例えば、欠陥部分5の側面部分の傾斜角度を指標として補正を行っても構わない。
【0063】
この場合について、図12及び図13を参照して簡単に説明する。まず、図12に示すように、メモリ27aに記憶されている欠陥部分5の輪郭線L1から、基板表面2aに対する欠陥部分5の側面の傾斜角度θ1を算出すると共に、算出した角度θ1を基準角度として設定する。通常、探針11aに異物が付着した場合、観察画像は異物の影響を受けてダブルチップイメージとなってしまうが、最も影響を受けるのは側面部分である。つまり、ダブルチップイメージとなった観察画像には、図13に示すように、画像のぼやけや画像が二重になる等の影響を受けて側面部分が膨らんだり、変形したりした欠陥部分5の輪郭線L2が確認されてしまう。なお、欠陥部分5の高さは、探針11aに異物が付着した場合であってもダブルチップの影響をうけず、変化しない。
【0064】
そこで、ダブルチップイメージの影響を受けていない輪郭線、即ち、メモリ27aに記憶されている図12に示す輪郭線L1から、予め傾斜角度θ1を算出しておくと共に、該角度θ1を基準角度として設定しておく。
そして、参照画像を取得した後の走査で得られた図13に示す輪郭線L2からも同様に傾斜角度θ2を算出する。ここで、ダブルチップイメージの影響を受けている場合には、上述したように欠陥部分5の側面が顕著に影響を受けてしまい、傾斜角度がθ2に変化してしまう。よって、この傾斜角度θ2と高さとからずれ量Xを算出することができると共に、変化してしまった傾斜角度θ2を基準角度θ1に一致させるように補正することで、ダブルチップの影響を受けた部分を修正することができる。従って、正しい欠陥部分5の輪郭線L1を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置で修正を行うフォトマスクの斜視図である。
【図2】本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置の一実施形態を示す構成図である。
【図3】図2に示すフォトマスク欠陥の形状認識装置によりマスクパターンに生じた欠陥部分を修正する際の一工程を示す図であって、設定された観察範囲内でAFM観察を行っているときの探針の動きを、マスクパターンの上方から見た図である。
【図4】図3に示す観察の結果得られた観察画像を示す図であって、欠陥部分の輪郭線が最初に確認された観察画像である。
【図5】図3に示す観察の結果得られた観察画像を示す図であって、ダブルチップの影響を受けた輪郭線が確認された観察画像である。
【図6】図4に示す観察画像で確認された欠陥部分の輪郭線と、図5に示す観察画像で確認された欠陥部分の輪郭線とをマッチングさせて比較し、正しい輪郭線に補正した状態を示す図である。
【図7】欠陥部分の一方の側面全体がダブルチップに影響を受けた場合の観察画像を、図4に示す観察画像とマッチングさせている状態を示す図である。
【図8】図6に示すマッチングによって補正した結果得られた、マスクパターン及び欠陥部分の画像イメージ図である。
【図9】AFM観察終了後、欠陥部分を切削加工しているときの探針の動きを、マスクパターンの上方から見た図である。
【図10】切削加工を行った後のマスクパターンの斜視図である。
【図11】(a)は従来の方法によってAFM観察した結果、マスクパターン及び欠陥部分のエッジラインを誤って認識してしまった状態を示す図であり、(b)はその結果、欠陥部分の領域を誤って認識してしまった状態を示す図であり、(c)は誤って認識した欠陥部分を切削加工した結果、実際の欠陥部分に削り残しが発生した状態を示す図であり、(d)は本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置によって実際の欠陥部分の領域を正確に認識した状態を示す図であり、(e)はその結果、削り残しがなく高精度に欠陥部分のみを切削加工した状態を示す図である。
【図12】本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置により、欠陥部分の輪郭線を補正する場合の変形例を示す図であって、記憶部に記憶された観察画像の輪郭線から、基板表面に対する欠陥部分の側面の傾斜角度を算出している状態を示す図である。
【図13】本発明に係るフォトマスク欠陥の形状認識装置により、欠陥部分の輪郭線を補正する場合の変形例を示す図であって、ダブルチップの影響を受けた輪郭線から、基板表面に対する欠陥部分の側面の傾斜角度を算出している状態を示す図である。
【図14】従来のマスク修正の方法を説明する図であって、AFM観察する際に、マスクパターンに平行な方向に走査すると共に、該走査を欠陥部分の先端側からマスクパターン側に向かって繰り返し行う場合の探針の動きを、マスクパターンの上方から見た図である。
【図15】図14に示す観察を行っている際に、探針に異物が付着した状態を示す図である。
【図16】図15に示した状態の後、探針に別の異物が付着した状態を示す図である。
【図17】図15に示す探針で取得したマスクパターン及び欠陥部分の画像イメージ図である。
【図18】図17に示す断面矢視A−A図である。
【符号の説明】
【0066】
1 フォトマスク欠陥の形状認識装置
2 基板
2a 基板表面
3 マスクパターン
3a マスクパターンのエッジ
4 フォトマスク
5 欠陥部分
10 ステージ
11a 探針
11 プローブ
12 移動手段
13 変位測定手段
14 制御手段
27a メモリ(記憶部)
27b 補正部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と該基板上に所定のパターンで形成されたマスクパターンとを有するフォトマスク
をAFM観察して、マスクパターンから突出した突起状の欠陥部分の形状を認識するフォトマスク欠陥の形状認識装置であって、
前記フォトマスクを固定するステージと、
前記基板に対向配置された探針を先端に有するプローブと、
前記基板と前記探針とを、前記基板表面に平行な方向及び基板表面に垂直な方向に相対的に移動させる移動手段と、
前記プローブの変位を測定する変位測定手段と、
該変位測定手段による測定結果に基づいて、前記プローブの変位が一定となるように前記探針と前記基板表面との距離を制御しながら複数回の走査を繰り返し行って、前記欠陥部分をAFM観察する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、AFM観察時に前記欠陥部分の輪郭線が最初に確認された観察画像を参照画像として記憶する記憶部と、これ以降の走査で得られる観察画像で確認される前記欠陥部分の輪郭線を、前記参照画像を参照しながら正規のラインに補正する補正部と、を有し、補正後の観察画像に基づいて前記欠陥部分の形状を認識することを特徴とするフォトマスク欠陥の形状認識装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフォトマスク欠陥の形状認識装置において、
前記補正部は、前記記憶部に記憶された前記輪郭線と前記参照画像を取得した後の走査で得られた前記輪郭線とをマッチングにより比較して差異を検出すると共に、参照画像を取得した後の走査で得られた輪郭線のうち差異が検出された部分のラインを、記憶部に記憶された輪郭線に一致させるように補正することを特徴とするフォトマスク欠陥の形状認識装置。
【請求項3】
請求項1に記載のフォトマスク欠陥の形状認識装置において、
前記補正部は、前記記憶部に記憶された前記輪郭線から前記基板表面に対する前記欠陥部分の側面の傾斜角度を算出して基準角度として設定した後、前記参照画像を取得した後の走査で得られた前記輪郭線から前記基板表面に対する前記欠陥部分の側面の傾斜角度を算出し、該傾斜角度を前記基準角度に一致させるように補正することを特徴とするフォトマスク欠陥の形状認識装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のフォトマスク欠陥の形状認識装置において、
前記制御手段は、認識した前記欠陥部分に前記探針を所定の力で押し付けた状態で複数回の走査を繰り返し行って、該欠陥部分を切削して除去させることを特徴とするフォトマスク欠陥の形状認識装置。
【請求項5】
基板と該基板上に所定のパターンで形成されたマスクパターンとを有するフォトマスク
を、先端に探針を有するプローブの変位が一定となるように探針と基板表面との距離を制御しながら複数回の走査を繰り返し行ってAFM観察し、マスクパターンから突出した突起状の欠陥部分の形状を認識するフォトマスク欠陥の形状認識方法であって、
前記AFM観察時に前記欠陥部分の輪郭線が最初に確認された観察画像を参照画像として記憶する記憶工程と、
該記憶工程後、これ以降の走査で得られる観察画像で確認される前記欠陥部分の輪郭線を、前記参照画像を参照しながら正規のラインに補正する補正工程と、を備え、
補正後の前記観察画像に基づいて前記欠陥部分の形状を認識することを特徴とするフォトマスク欠陥の形状認識方法。
【請求項6】
請求項5に記載のフォトマスク欠陥の形状認識方法において、
前記補正工程の際、記憶された前記輪郭線と前記参照画像を取得した後の走査で得られた前記輪郭線とをマッチングにより比較して差異を検出すると共に、参照画像を取得した後の走査で得られた輪郭線のうち差異が検出された部分のラインを、記憶された輪郭線に一致させるように補正することを特徴とするフォトマスク欠陥の形状認識方法。
【請求項7】
請求項5に記載のフォトマスク欠陥の形状認識方法において、
前記補正工程の際、記憶された前記輪郭線から前記基板表面に対する前記欠陥部分の側面の傾斜角度を算出して基準角度として設定した後、前記参照画像を取得した後の走査で得られた前記輪郭線から前記基板表面に対する前記欠陥部分の側面の傾斜角度を算出し、該傾斜角度を前記基準角度に一致させるように補正することを特徴とするフォトマスク欠陥の形状認識方法。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項に記載のフォトマスク欠陥の形状認識方法により、フォトマスクの欠陥部分の形状を認識した後、認識した欠陥部分に前記探針を所定の力で押し付けた状態で複数回の走査を繰り返し行って、該欠陥部分を切削して除去する加工工程を備えていることを特徴とするフォトマスクの欠陥修正方法。
【請求項1】
基板と該基板上に所定のパターンで形成されたマスクパターンとを有するフォトマスク
をAFM観察して、マスクパターンから突出した突起状の欠陥部分の形状を認識するフォトマスク欠陥の形状認識装置であって、
前記フォトマスクを固定するステージと、
前記基板に対向配置された探針を先端に有するプローブと、
前記基板と前記探針とを、前記基板表面に平行な方向及び基板表面に垂直な方向に相対的に移動させる移動手段と、
前記プローブの変位を測定する変位測定手段と、
該変位測定手段による測定結果に基づいて、前記プローブの変位が一定となるように前記探針と前記基板表面との距離を制御しながら複数回の走査を繰り返し行って、前記欠陥部分をAFM観察する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、AFM観察時に前記欠陥部分の輪郭線が最初に確認された観察画像を参照画像として記憶する記憶部と、これ以降の走査で得られる観察画像で確認される前記欠陥部分の輪郭線を、前記参照画像を参照しながら正規のラインに補正する補正部と、を有し、補正後の観察画像に基づいて前記欠陥部分の形状を認識することを特徴とするフォトマスク欠陥の形状認識装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフォトマスク欠陥の形状認識装置において、
前記補正部は、前記記憶部に記憶された前記輪郭線と前記参照画像を取得した後の走査で得られた前記輪郭線とをマッチングにより比較して差異を検出すると共に、参照画像を取得した後の走査で得られた輪郭線のうち差異が検出された部分のラインを、記憶部に記憶された輪郭線に一致させるように補正することを特徴とするフォトマスク欠陥の形状認識装置。
【請求項3】
請求項1に記載のフォトマスク欠陥の形状認識装置において、
前記補正部は、前記記憶部に記憶された前記輪郭線から前記基板表面に対する前記欠陥部分の側面の傾斜角度を算出して基準角度として設定した後、前記参照画像を取得した後の走査で得られた前記輪郭線から前記基板表面に対する前記欠陥部分の側面の傾斜角度を算出し、該傾斜角度を前記基準角度に一致させるように補正することを特徴とするフォトマスク欠陥の形状認識装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のフォトマスク欠陥の形状認識装置において、
前記制御手段は、認識した前記欠陥部分に前記探針を所定の力で押し付けた状態で複数回の走査を繰り返し行って、該欠陥部分を切削して除去させることを特徴とするフォトマスク欠陥の形状認識装置。
【請求項5】
基板と該基板上に所定のパターンで形成されたマスクパターンとを有するフォトマスク
を、先端に探針を有するプローブの変位が一定となるように探針と基板表面との距離を制御しながら複数回の走査を繰り返し行ってAFM観察し、マスクパターンから突出した突起状の欠陥部分の形状を認識するフォトマスク欠陥の形状認識方法であって、
前記AFM観察時に前記欠陥部分の輪郭線が最初に確認された観察画像を参照画像として記憶する記憶工程と、
該記憶工程後、これ以降の走査で得られる観察画像で確認される前記欠陥部分の輪郭線を、前記参照画像を参照しながら正規のラインに補正する補正工程と、を備え、
補正後の前記観察画像に基づいて前記欠陥部分の形状を認識することを特徴とするフォトマスク欠陥の形状認識方法。
【請求項6】
請求項5に記載のフォトマスク欠陥の形状認識方法において、
前記補正工程の際、記憶された前記輪郭線と前記参照画像を取得した後の走査で得られた前記輪郭線とをマッチングにより比較して差異を検出すると共に、参照画像を取得した後の走査で得られた輪郭線のうち差異が検出された部分のラインを、記憶された輪郭線に一致させるように補正することを特徴とするフォトマスク欠陥の形状認識方法。
【請求項7】
請求項5に記載のフォトマスク欠陥の形状認識方法において、
前記補正工程の際、記憶された前記輪郭線から前記基板表面に対する前記欠陥部分の側面の傾斜角度を算出して基準角度として設定した後、前記参照画像を取得した後の走査で得られた前記輪郭線から前記基板表面に対する前記欠陥部分の側面の傾斜角度を算出し、該傾斜角度を前記基準角度に一致させるように補正することを特徴とするフォトマスク欠陥の形状認識方法。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項に記載のフォトマスク欠陥の形状認識方法により、フォトマスクの欠陥部分の形状を認識した後、認識した欠陥部分に前記探針を所定の力で押し付けた状態で複数回の走査を繰り返し行って、該欠陥部分を切削して除去する加工工程を備えていることを特徴とするフォトマスクの欠陥修正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−25772(P2009−25772A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191766(P2007−191766)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)
【Fターム(参考)】
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