説明

フォトレジスト用反射防止組成物

本発明は、ポリマー、架橋剤および酸発生剤を含むフォトレジスト層用の反射防止コーティング組成物であって、前記ポリマーが構造1の少なくとも1単位(式1)(I)を含む反射防止コーティング組成物に関する。式中、Xは、非芳香族(A)部分、芳香族(P)部分およびこれらの混合物から選択される連結部分であり、R’は構造(2)からなる基であり、R”は、独立して、水素、構造(2)の部分、ZおよびW−OH(但し、Zは(C〜C20)ヒドロカルビル部分であり、Wは(C〜C20)ヒドロカルビレン連結部分である)から選択され、Y’は、独立して、(C〜C20)ヒドロカルビレン連結部分である。但し、構造(2)は(式II)(II)で表される。式中、RおよびRは、それぞれ独立に、HおよびCアルキルから選択され、Lは有機ヒドロカルビル基である。本発明は、さらに反射防止コーティング組成物を画像形成する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な反射防止コーティング組成物に関し、かつ、反射性基板とフォトレジストコーティングの間にこの新規な反射防止コーティング組成物の薄層を形成することによって、これを画像処理に使用することに関する。こうした組成物は、フォトリソグラフィ技術による半導体装置の製作に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト組成物は、コンピューター・チップや集積回路の製作など、小型化された電子部品を作るマイクロリソグラフィ・プロセスで用いられる。一般に、これらのプロセスでは、はじめに、フォトレジスト組成物の膜の薄いコーティングを、集積回路を作るために用いられるシリコンウェーハなどの基板材料に塗布する。次いで、コーティングされた基板をベーキングして、フォトレジスト組成物中のすべての溶媒を蒸発させ、基板上にコーティングを固定する。次に、基板のベーキングされたコーティング面を放射線に像様露光させる。
【0003】
この放射線露光は、コーティング面の露光領域に化学変化を引き起こす。可視光線、紫外(UV)線、電子線およびX線の放射エネルギーが、今日マイクロリソグラフィ・プロセスにおいて一般に用いられる放射線の種類である。この像様露光の後、コーティングされた基板を現像剤溶液で処理して、フォトレジストの放射線露光または非露光領域を溶解して除去する。
【0004】
半導体装置の小型化へのトレンドにより、こうした小型化に伴う問題点を克服するために、さらにより短い波長の放射線に感応性を有する新しいフォトレジストが使用されるようになると共に精巧な多層系が使用されるようになった。
【0005】
フォトリソグラフィにおいて高吸収反射防止コーティングを使用することは、高反射基板からの光の後方反射(back reflection)に由来する問題を減らす1つの手法である。後方反射の2つの主な欠点は、薄膜干渉効果と反射ノッチング(reflective notching)である。薄膜干渉、または定在波は、フォトレジストの厚みが変化する際にフォトレジスト膜の全光強度が変動することによって引き起こされる限界線幅寸法(critical line width dimensions)の変化をもたらす。反射ノッチングは、トポグラフィカルフィーチャ(topographical features)を含む基板上にフォトレジストをパターン化するときに厳しくなる。このような基板は、フォトレジスト膜を通る光を散乱させて線幅変動をもたらし、極端な場合には完全にフォトレジストがない領域が形成される。
【0006】
線幅変動をさらに低下させるかこれを排除する必要がある場合は、底部反射防止コーティングを使用することが反射の除去に最も良い解決策を提供する。底部反射防止コーティングは、フォトレジストをコーティングする前、かつ露光前に基板に塗布する。フォトレジストは像様露光されて現像される。次いで露光領域の反射防止コーティングを典型的にはガスプラズマ中でエッチングし、こうしてフォトレジストパターンが基板に転写される。反射防止膜のエッチング速度は、エッチング・プロセス中にフォトレジスト膜が著しく失われることなしに反射防止膜がエッチングされるように、フォトレジストと比較して相対的に高くすることが望ましい。さらに、反射防止コーティングは、所望のリソグラフィ特性が得られるように、露光波長において適切な吸収および屈折率を持たなければならない。
【0007】
300nm未満の露光で十分に機能する底部反射防止コーティングを有することが必要である。こうした反射防止コーティングは、高いエッチング速度を有する必要があり、かつ、反射防止コーティングとしての役割を果たす適切な屈折率により十分に吸収性であることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第2006/0058468号
【特許文献2】米国特許第3,474,054号
【特許文献3】米国特許第4,200,729号
【特許文献4】米国特許第4,251,665号
【特許文献5】米国特許第5,187,019号
【特許文献6】米国特許第4,491,628号
【特許文献7】米国特許第5,350,660号
【特許文献8】米国特許第5,843,624号
【特許文献9】米国特許第6,866,984号
【特許文献10】米国特許第6,447,980号
【特許文献11】米国特許第6,723,488号
【特許文献12】米国特許第6,790,587号
【特許文献13】米国特許第6,849,377号
【特許文献14】米国特許第6,818,258号
【特許文献15】米国特許第6,916,590号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Shun-ichi Kodama et al Advances in Resist Technology and Processing XIX, Proceedings of SPIE Vol. 4690 p76 2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特有の化学構造に基づく新規なポリエステルポリマーを含む本発明の新規な反射防止コーティングは、フォトレジストから基板への優れた画像転写を可能にする優れたドライエッチング特性を有し、かつ、特に193nmにおいて反射ノッチングおよび線幅変動または定在波を防ぐ優れた吸収特性を有することが見いだされた。本発明の反射防止コーティングは相対的に高いエッチング速度を有しているので、この反射防止コーティングはフォトレジスト層の厚みの損失が最少の状態で除去される。さらに、反射防止コーティングとフォトレジスト膜との間には実質的に相互混合はない。この反射防止コーティングは優れた溶液安定性をも有しており、優れたコーティング品質を有する特に薄い膜を形成する。後者はリソグラフィには特に有利である。画像形成プロセスにおいてこの反射防止コーティングをフォトレジストと共に用いると、優れたリソグラフィ特性を有するきれいな画像が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ポリマー、架橋剤および酸発生剤を含むフォトレジスト層用の反射防止コーティング組成物であって、前記ポリマーが構造1の少なくとも1単位を含む反射防止コーティング組成物に関する。
【0012】
【化1】

(式中、Xは、非芳香族(A)部分、芳香族(P)部分およびこれらの混合物から選択される連結部分であり、R’は構造(2)からなる基であり、R”は、独立して、水素、構造(2)の部分、ZおよびW−OH(但し、Zは(C〜C20)ヒドロカルビル部分であり、Wは(C〜C20)ヒドロカルビレン連結部分である)から選択され、Y’は、独立して、(C〜C20)ヒドロカルビレン連結部分であり、構造(2)は
【0013】
【化2】

である(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、HおよびC〜Cアルキルから選択され、Lは有機ヒドロカルビル基である))。
【0014】
本発明は、さらに反射防止コーティング組成物を画像形成する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】連結部分AおよびPの例を示す図である。
【図2】脂肪族および芳香族二無水物の例を示す図である。
【図3】構造(1)のポリマー単位の例を示す図である。
【図4】構造(1)のポリマー単位のその他の例を示す図である。
【図5】構造(1)のポリマー単位のその他の例を示す図である。
【図6】エポキシ基を含むキャッピング単位の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、ポリマー、架橋剤および酸発生剤を含む新規な反射防止コーティング組成物に関する。本発明は、特に193nmおよび248nmにおいてこの新規な組成物を用いる方法に関する。本発明のポリマーは、構造1から選択される少なくとも1単位を含む。
【0017】
【化3】

(式中、Xは、非芳香族(A)部分、芳香族(P)部分およびこれらの混合物から選択される連結部分であり、R’は構造(2)からなる基であり、R”は、独立して、水素、構造(2)の部分、ZおよびW−OH(但し、Zは(C〜C20)ヒドロカルビル部分であり、Wは(C〜C20)ヒドロカルビレン連結部分である)から選択され、Y’は、独立して、(C〜C20)ヒドロカルビレン連結部分であり、構造(2)は
【0018】
【化4】

である(式中、RおよびRは、HおよびC〜Cアルキルから選択され、Lは、アルキル、アリール、アラルキル、フッ化アルキル、有機エポキシド、シアヌラート、アラルキルアリル、アルキレンアリール、およびこれらの混合物から選択されるような有機ヒドロカルビル基であり、
【0019】
【化5】

は、構造(2)の基を構造(1)の単位に結合させる結合であり、さらに、R’およびR”は同一であっても異なっていてもよい))。
【0020】
構造(2)の例としては、メトキシプロパノール、エトキシルプロパノール、プロポキシプロパノール、ブトキシプロパノール、アリルプロパノールエーテル、ベンジルプロパノールエーテル、フェニルプロパノールエーテル、テトラフルオロプロピルプロパノールエーテル、テトラフルオロエチルプロパノールエーテル、オクタフルオロペンチルプロパノールエーテルなどを挙げることができる。W−OHの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、第三ブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−n−オクタノール、2−n−オクタノール、1−フェニル−1−エタノール、1−フェニル−2−プロパノール、メトキシプロパノール、エトキシプロピノール、プロポキシプロパノール、アリルプロパノールエーテル、ベンジルプロパノールエーテル、フェニルプロパノールエーテル、テトラフルオロプロピルプロパノールエーテル、テトラフルオロエチルプロパノールエーテル、オクタフルオロペンチルプロパノールエーテルなどを挙げることができる。
【0021】
本組成物のポリマーでは、Xは、構造(1)の4つのカルボキシル(C(O)O)基を結合する非芳香族A部分、芳香族P部分およびこれらの混合物から選択される連結部分である。基Aは、非芳香族脂肪族基として定義することもできる。一実施形態では、Aは、C〜C20非置換アルキレン、C〜C20置換アルキレン、C〜C20非置換脂環式、C〜C20置換脂環式、C〜C20非置換複素脂環式、およびC〜C20置換複素脂環式から選択される。Aのいくつかの例を図1に示す。別の実施形態では、Aは、C〜C10非置換アルキレン、C〜C10置換アルキレン、C〜C20非置換複素脂環式、およびC〜C20置換複素脂環式から選択される。一例は、ビシクロ[2.2.2]オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物である。さらに別の実施形態では、Aは、C〜C10非置換アルキレンおよびC〜C10置換アルキレンから選択される。さらに別の実施形態では、Aはブチレンである。典型的には、ポリマーは、少なくとも1つの脂肪族二無水物を少なくとも1つのジオールと反応させることにより得られる。得られたポリマーを、さらに末端キャッピング反応物と反応させて、遊離酸基の1つまたは複数をキャッピングすることができる。重合によりAを形成する脂肪族二無水物の例を図2に示す。
【0022】
本組成物のポリマーでは、構造(1)のPは、4つのカルボキシル(C(O)O)基を結合する芳香族基または芳香族連結部分である。一実施形態では、Pは、C〜C20非置換芳香環およびC〜C20置換芳香族構造体から選択される。芳香族二無水物の例としては、ピロメリト酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(メチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ジヨードピロメリト酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリト酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリト酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(4,4’−オキシジフタル酸二無水物)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物)、4,4’−[4,4’−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)]ビス(無水フタル酸)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物;2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(1,4−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、4,4’−(1,3−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、4,4’−オキシジ(1,4−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、4,4’−メチレンジ(1,4−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、ヒドロキノンジエーテル二無水物、および4,4’−ビフェノキシ二無水物である。重合によりPを形成する芳香族二無水物の例を図2に示す。
【0023】
典型的には、少なくとも1種の二無水物を少なくとも1種のジオールと反応させることによりポリマーが得られる。得られたポリマーを、さらに末端キャッピング反応物と反応させて、遊離酸基の少なくとも1つをキャッピングすることができる
【0024】
本組成物のポリマーの一実施形態では、ポリマーは、1種または複数種の脂肪族A部分によってのみ表わされる。一実施形態では、ポリマーは、構造3の少なくとも1単位を含む。
【0025】
【化6】

式中、Bは単結合またはC〜C非芳香族脂肪族部分であり、R’は本明細書に記載の構造(2)を有する基であり、R”は、独立して、水素、構造(2)の基、ZおよびW−OH(但し、Zは(C〜C20)ヒドロカルビル部分であり、Wは(C〜C20)ヒドロカルビレン連結部分である)から選択され、 Y’は、独立して、(C〜C20)ヒドロカルビレン連結部分である。一実施形態では、Bは、単結合、および直鎖であっても分岐していてもよいC〜Cアルキレンから選択される。別の実施形態では、Bは単結合である。
【0026】
構造(1)のポリマー単位の例を図3〜図5に示す。但し、R’は構造(2)から選択される。
【0027】
ポリマーは、少なくとも1種の二無水物から誘導することができ、脂肪族(A)および/または芳香族(P)二無水物を含むことができる。1種のジオールまたはジオールの混合物を使用して1種または複数種の二無水物と反応させ、ポリマーを形成することができる。次いで、キャッピング化合物で遊離酸の末端をキャッピングする。遊離酸基の少なくとも1つを末端キャッピングする。一実施形態では、両方のカルボキシル基を末端キャッピングする。芳香族二無水物の例としては、ピロメリト酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(メチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ジヨードピロメリト酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリト酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリト酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(4,4’−オキシジフタル酸二無水物)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物)、4,4’−[4,4’−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)]ビス(無水フタル酸)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物;2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(1,4−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、4,4’−(1,3−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、4,4’−オキシジ(1,4−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、4,4’−メチレンジ(1,4−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、ヒドロキノンジエーテル二無水物、および4,4’−ビフェノキシ二無水物である。
【0028】
本発明のポリマーでは、Y’はヒドロカルビル部分である。典型的には、Y’はジオール反応物から誘導されてポリマーを形成する。2種類以上のジオールを使用してポリマーを形成することができる。
【0029】
構造(2)を与える末端キャッピング反応物の例は、脂肪族グリシジルエーテル、芳香族グリシジルエーテル、フッ化グリシジルエーテルなどのエポキシドである。例としては、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、およびドデシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、グリシジル2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル、グリシジル2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルエーテルが挙げられる。
【0030】
本明細書においておよび本出願の全体にわたって用いられた場合、「ヒドロカルビル」または「ヒドロカルビレン」または「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」または「ヒドロカルビル連結部分」または、「ヒドロカルビル部分」という用語は、当業者によく知られている、その通常の意味で用いられている。具体的には、この用語は、分子に直接結合した1つまたは複数の炭素原子を有し、炭化水素の性質を有し、任意選択で、いくつかのヘテロ原子を有する有機基を指す。ヒドロカルビレンは、他の基への2つの結合点を有するヒドロカルビル基を指す。ヒドロカルビル基の例としては、以下のものが挙げられる:
(1)炭化水素基、すなわち、直鎖または分岐脂肪族基(例えば、アルキル、アルキレニルまたはアルケニルまたはアルキレン)、脂環式基(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはシクロアルキレン)、芳香族基、脂肪族および脂環式置換芳香族置換基、ならびに分子の別の部分を介して環が完成する環状置換基(例えば、2つの置換基が一緒に脂環式基を形成する);
(2)炭素および水素以外の原子を含むが主として炭化水素の性質を有する炭化水素基、ここで、他の原子の例は、硫黄、酸素または窒素であり、これらは単独で存在してもよく(チアまたはエーテルなど)またはエステル、カルボキシル、カルボニル、環状エーテルなどの官能性結合として存在してもよい;
(3)置換炭化水素基、すなわち、本発明に関しては、主として炭化水素性の置換基を変質させない非炭化水素基(例えば、ハロ(特にクロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、およびスルホキシ)を含む置換基;
(4)ヘテロ置換基、すなわち、主として炭化水素の性質を有するが、本発明に関しては、元々炭素原子からなる環または鎖に炭素以外の原子を含む置換基。ヘテロ原子には、硫黄、酸素、窒素が含まれ、ピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルなどの置換基も包含される。一般に、ヒドロカルビル基
には、炭素原子10個当たり2つ以下、好ましくは1つ以下の非炭化水素置換基が存在する。
【0031】
ヒドロカルビル基の例としては、置換または非置換脂肪族(C〜C20)アルキレン基、置換または非置換脂肪族(C〜C20)アルキル基、置換または非置換脂肪族(C〜C20)シクロアルキル基、置換または非置換チア−アルキレン脂肪族(C〜C20)基、置換または非置換シクロアルキレン、置換または非置換ベンジル、アルコキシアルキレン、アルコキシアリール、アリール、置換アリール、置換または非置換脂肪族(C〜C20)アルキレンアリール、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロアリール、オキソシクロヘキシル、環状ラクトン、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシル、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルキルアリール、アルケニル、アリールエステル、芳香族置換基を有するエステル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ニトロアルキル、ハロアルキル、アルキルイミド、アルキルアミド、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
上記定義において、かつ本出願の全体にわたって、脂肪族とは、主として非芳香族の炭化水素鎖のことである。脂肪族は、直鎖、分岐、環状またはこれらの混合物とすることができる。置換もしくは非置換アルキレンまたはチアアルキレン(C〜C20)基とは、20個までの炭素原子を含む、直鎖であっても分岐してもよい主として炭化水素鎖のアルキレンまたはチアアルキレン基を意味する。ここで、これらの置換基は、典型的には鎖の炭化水素としての性質を変えないものであり、エーテル、アルキル、エステル、ヒドロキシル、アルキノール、シアノ、ニトロ、アシル、ハロゲン(クロロまたはブロモ)、フェニルおよび置換フェニルなどの、当業者に知られているすべての有機化合物とすることができる。チアアルキレン基は、鎖に1つまたは複数の硫黄基を含む。脂肪族置換または非置換チアアルキレン(C〜C20)基の一例は、それだけに限らないが、3、6−ジチア−1、8−オクチレンである。
【0033】
上記の定義において、および本明細書の全体にわたって、特に指定のない限り、用いられる用語は以下に記載する通りである。
【0034】
アルキルは、望ましい炭素原子数および原子価を有する直鎖または分岐アルキルを意味する。アルキル基は、一般に脂肪族であり、環状であっても非環式(即ち、非環状)であってもよい。好適な非環式基は、メチル、エチル、n−またはiso−プロピル、n−、iso、またはtert−ブチル、直鎖または分岐ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシルおよびヘキサデシルとすることができる。特に指定のない限り、アルキルとは1〜20個の炭素原子部分をいう。環状アルキル基は、単環式または多環式とすることができる。単環式アルキル基の好適な例としては、置換されたシクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチル基が挙げられる。置換基は、本明細書に記載される非環式アルキル基のいずれかとすることができる。好適な二環式アルキル基としては、置換ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、およびビシクロ[3.3.2]デカンなどを挙げることができる。三環式アルキル基の例としては、トリシクロ[5.4.0.0.2,9]ウンデカン、トリシクロ[4.2.1.2.7,9]ウンデカン、トリシクロ[5.3.2.0.4,9]ドデカン、およびトリシクロ[5.2.1.0.2,6]デカンが挙げられる。本明細書に記載されているように、環状アルキル基は、任意の非環式アルキル基を置換基として有することができる。
【0035】
アルキレン基は、上記のアルキル基のいずれかから誘導された二価のアルキル基である。アルキレン基といった場合、これにはアルキレン基の炭素主鎖が(C〜C)アルキル基で置換されたアルキレン鎖も含まれる。アルキレン基は、アルキレン部分に1つまたは複数のアルキンまたはアルケン基も含むことができる。ここで、アルキンは三重結合を指し、アルケンは二重結合を指す。本質的には、アルキレンは主鎖としての二価の炭化水素基である。したがって、二価の非環式基は、メチレン、1,1−または1,2−エチレン、1,1−、1,2−、または1,3−プロピレン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキセン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサ−3−インなどとすることができる。同様に、二価の環状アルキル基は1,2−または1,3−シクロペンチレン、1,2−、1,3−、または1,4−シクロヘキシレンなどとすることができる。二価のトリシクロアルキル基は、本明細書に上記した三環式アルキル基のいずれかとすることができる。
【0036】
アリールまたは芳香族基は6〜24個の炭素原子を含み、これには、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、アントラシル、ビフェニル、ビス−フェニル、トリス−フェニルなどが挙げられる。これらのアリール基は、任意の適切な置換基、例えば、本明細書に上記した、アルキル、アルコキシ、アシルまたはアリール基でさらに置換することができる。同様に、本発明においては、所望の適切な多価アリール基を用いることができる。二価アリール基の代表的な例としては、フェニレン、キシリレン、ナフチレン、ビフェニレンなどが挙げられる。
【0037】
アルコキシは、1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルコキシを意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノナニルオキシ、デカニルオキシ、4−メチルヘキシルオキシ、2−プロピルヘプチルオキシ、および2−エチルオクチルオキシが挙げられる。
【0038】
アラルキルは、結合した置換基を有するアリール基を意味する。置換基は、アルキル、アルコキシ、アシルなどのいずれでもよい。7〜24個の炭素原子を有する一価のアラルキルの例としては、フェニルメチル、フェニルエチル、ジフェニルメチル、1,1−または1,2−ジフェニルエチル、1,1−、1,2−、2,2−、または1,3−ジフェニルプロピルなどが挙げられる。本明細書に記載の、望ましい原子価を有する置換アラルキル基の適切な組合せを、多価アラルキル基として用いることができる。
【0039】
アルキレンアリールは、ペンダントアリール基を有する脂肪族アルキレン部分を意味する。例としては、1−フェニル−1,2−エチレンおよび1−フェニルプロピレンが挙げられる。
【0040】
さらに、本明細書で用いられた場合、「置換」という用語は、有機化合物の許容しうる置換基をすべて含むことを意図するものである。広い態様では、許容しうる置換基には、有機化合物の非環式および環式、分岐および非分岐、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換基が含まれる。例示の置換基としては、例えば、本明細書に上記されたものが挙げられる。許容しうる置換基は、1つまたは複数とすることができ、かつ適切な有機化合物について同一であっても異なっていてもよい。本発明の目的のためには、窒素などのヘテロ原子は、このヘテロ原子の原子価を満たす水素置換基および/または本明細書に記載された任意の許容しうる有機化合物の置換基を有することができる。本発明は、許容しうる有機化合物の置換基によっていかなる方法でも限定されるものではない。
【0041】
ハロゲンはフッ素、塩素および臭素を指すが、フッ素および塩素が好ましい。
【0042】
部分Y’は、ジオールまたは同様の化合物から誘導され、ポリマーを形成する。Y’は、(C〜C20)置換または非置換アルキレン、置換または非置換チア−アルキレン脂肪族(C〜C20)基、置換または非置換シクロアルキレン、置換または非置換ベンジル、アルコキシアルキレン、アルコキシアリール、吸光性発色団(例えばフェニル、ナフチルまたはアントラシル)で置換されたアルキレンエステル、置換アリール、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、オキソシクロヘキシル、環状ラクトン、ベンジル、置換ベンジル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシル、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルキレンアリール、アルキルアリール、アルケニル、置換アリール、アルキレンアリーラート、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ニトロアルキル、ハロアルキル、アルキルイミド、アルキルアミドおよびこれらの混合物により例示することができる。より具体的な例としては、メチレン(−CH−)、エチレン(CHCH)、プロピレン、ブチレン、1−フェニル−1,2−エチレン、ネオペンチレン、エチレンフェニラート、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロピレン、2−ブロモ−2−メチル−1,3−プロピレン、ポリエチレングリコール、1−フェニラート−1,2−エチレン、1−ベンジラート−1,2−エチレン、−CHOCH−、−CHCHOCHCH−、−CHCHSCHCH−、または−CHCHSCHCHSCHCH−、フェニル誘導体、ナフチル誘導体、アントラシル誘導体、プロピレンフェニルアセタート、2−プロピレンフェニルアセタートCHCH(CHCOCHPh)−、プロピレンフェニルエーテル−CHCH(CHOPh)−、プロピレンフェノラート−CHCH(CHCOPh)−、−(CHOCO)CHCH(COOCH)−、プロピレンナフトアート、プロピレンフタルイミド、プロピレンスクシンイミド、プロピレンクロチリデンアセタート(−CHCH(CHCOCHCHCHCHCH)が挙げられる。本発明のポリマーを合成するために用いることができ、Y’成分を表わすことができるモノマーのいくつかは、好ましくはジオールおよびグリコールであり、その例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1−フェニル−1,2−エタンジオール、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、ジエチルビス(ヒドロキシメチル)マロナート、および3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールが挙げられる。芳香族ジオールの例としては、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾールおよび2,2’−(1,2−フェニレンジオキシ)−ジエタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、酒石酸ジアルキル、フェニル酢酸とグリシドールの反応から誘導される1−フェニラート−1,2−エタンジオール、グリシドールとフェノールの反応生成物、グリシドールと安息香酸の反応生成物、グリシドールとナフトエ酸の反応生成物、グリシドールとアントラセンカルボン酸の反応生成物が挙げられる。他には、グリシドールとフタルイミドの反応生成物、グリシドールとスクシンイミドの反応生成物、およびグリシドールとソルビン酸の反応生成物がある。
【0043】
本発明のポリマーには、二無水物から誘導されたペンダントカルボキシル基が少なくとも1つある。これは、キャッピング基でキャッピングされている。このポリマーの一実施形態では、R’およびR”の少なくとも1つは構造2によって表わされる。Lは有機基によって表わされ、この有機基はヒドロカルビル基とすることができる。ヒドロカルビル基は、先に記載したようなものであり、置換または非置換脂肪族(C〜C20)アルキル基、置換または非置換脂肪族(C〜C20)シクロアルキル基、置換または非置換脂肪族(C〜C20)アリール基、および置換または非置換脂肪族(C〜C20)アルキレンアリール基によって例示される。ヒドロカルビル基は、さらにフッ化アルキル基を含むこともできる。Lの他の例としては、エチレングリシジル、ブチレングリシジル、ポリ(エチレン)グリシジル、ポリ(プロピレン)グリシジル、グリセロールグリシジルなどがある。置換または非置換アルキル基は不飽和結合を含むことができる。置換または非置換シクロアルキル基は不飽和結合を含むことができる。R’の構造(2)は、例えば、アルキルエーテルヒドロキシアルキレン、フェニルエーテルヒドロキシアルキレン、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノール、ブトキシプロパノール、メトキシブタノール、エトキシブタノール、プロポキシブタノール、アリルプロパノールエーテル、ベンジルプロパノールエーテル、ベンジルブタノールエーテル、フェニルプロパノールエーテル、テトラフルオロプロピルプロパノールエーテル、テトラフルオロエチルプロパノールエーテル、オクタフルオロペンチルプロパノールエーテルなどにより例示することができる。カルボン酸基が二無水物から誘導される場合に、カルボン酸と反応して基R”を形成するのに有用な水酸基形成化合物の例としては、芳香族オキシド、脂肪族オキシド、アルキレンカルボナート、脂肪族グリシジルエーテル、芳香族グリシジルエーテル、エポキシシアヌラート基、フッ化グリシジルエーテルなどが挙げられ、スチレンオキシド、プロピレンオキシド、炭酸エチレンなどによりさらに例示することができる。芳香族オキシドの例としては以下のものが挙げられる:スチレンオキシド、1,2−エポキシ−フェノキシプロパン、グリシジル−2−メチルフェニルエーテル、(2,3−エポキシプロピル)ベンゼン、1−フェニルプロピレンオキシド、スチルベンオキシド、2−(または3−または4−)ハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)スチルベンオキシド、ベンジルグリシジルエーテル、C1〜10直鎖または分岐鎖アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、など)フェニルグリシジルエーテル、4−ハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)フェニルグリシジルエーテル、グリシジル4−C1〜10直鎖または分岐鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、など)フェニルエーテル、2,6−ジハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)ベンジルメチルエーテル、3,4−ジベンジルオキシベンジルハライド(クロリド、フルオリド、ブロミド、ヨージド)、2−(または4−)メトキシビフェニル、3,3’−(または4,4’−)ジC1〜10直鎖または分岐鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、など)ビフェニル、4,4’−ジメトキシオクタフルオロビフェニル、1−(または2−)C1〜10直鎖または分岐鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、など)ナフタレン、2−ハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)−6−メトキシナフタレン、2,6−ジC1〜10直鎖または分岐鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、など)ナフタリン、2、7−ジC1〜10直鎖または分岐鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、など)ナフタレン、1,2,3,4,5,6−ヘキサハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)7−C1〜10直鎖または分岐鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、など)ナフタレン、9,10−ビス(4−C1〜10直鎖または分岐鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、など)フェニル)−アントラセン、2−C1〜10直鎖または分岐鎖アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、など)−9,10−ジC1〜10直鎖または分岐鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、など)アントラセン、9,10−ビス(4−C1〜10直鎖または分岐鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、など)フェニル)−2−ハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)−アントラセン、2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレン、グリシジル−3−(ペンタデカジエニル)フェニルエーテル、4−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、[(4−(1−ヘプチル−8−[3−(オキシラニルメトキシ)フェニル]−オクチル)フェノキシ)メチル]オキシラン、テトラフェニロールエタンテトラグリシジルエーテル、ヒドロキシフェノールジグリシジルエーテルなど。脂肪族オキシドの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド(イソブチレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドおよび2,3−ブチレンオキシドを含む)、ペンチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、およびドデシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、グリシジル2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル、グリシジル2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルエーテルが挙げられる。アルキレンカルボナートの例としては、以下の式を有する化合物が挙げられる。
【0044】
【化7】

式中、R40はC〜Cアルキルであり、ここで、脂肪族環炭素は非置換であるか、C1〜10アルキル、C〜C10アリール、またはC〜C15アラルキル基から選択される基で置換されている。アルキレンカルボナートの例としては、エチレンカルボナート、プロピレンカルボナート、およびブチレンカルボナートがある。
【0045】
より具体的には、R’およびR”は、二無水物とポリオールから作られたポリエステル中の遊離酸を、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル2,6−トリレンジイソシアナート付加物、グリセロールプロポキシラートトリグリシジルエーテル、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌラート、グリセロールジグリシジルエーテルなどの化合物と反応させることにより誘導することができる。R”のその他の例はエポキシド基(図6に示したG)であり、これらは図4および図5のポリマーと結合している。
【0046】
本発明のポリマーは、当技術分野で既知の任意の標準的重合方法、特に縮合重合技術によって調製することができる。このポリマーは、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などを用いて合成することができる。典型的には、高温で、かつ任意選択で酸の存在下で、二無水物をジオールまたは同様の化合物と縮合してポリエステルを得る。ポリエステルポリマーをさらに反応させて、ポリマーの置換基を変えることができる。二無水物から誘導して得られたカルボン酸置換基は、遊離酸の形であってもよく、反応させてエステルとしてもよく、または別のポリマー鎖に結合させてもよく、あるいはこれらの混合物または他の置換基との混合物であってもよい。一実施形態では、遊離のカルボン酸を反応させてエステルを形成する。別の実施形態では、ポリマーの酸基を部分的にエステル化させる。さらに別の実施形態では、ポリマーを完全にエステル化させる。すなわち、ポリマーは遊離酸を含んでいない。
【0047】
ジオールは、典型的には少なくとも1種の脂肪族二無水物と縮合させる。典型的には、線状ポリエステルが、適切な溶媒中で二無水物とジオールの反応によって最初に調製される。このポリマーは、1種の二無水物と1種のジオールを反応させることにより、または異なる二無水物および/またはジオールの混合物を反応させることにより得ることができる。ここで、少なくとも1種の二無水物は脂肪族二無水物である。ポリエステルは非溶媒中に沈殿させることによって単離される。ポリエステルは、遊離カルボン酸基を、アルコール、アルケンオキシドまたはカルボナートなどのキャッピング化合物と反応させることによりさらに変性することができる。ポリエステルとキャッピング化合物との反応は、ポリマーの単離前に行ってもよく、ポリマーの単離後に行ってもよい。最終ポリマーを単離して乾燥することができる。
【0048】
一実施形態では、本組成物のポリマーを部分的に架橋して分子量を増大することができる。ポリマーを合成した後、このポリマーは、ポリマーを架橋することができる1つまたは複数の基を含む化合物とさらに反応させてもよく、あるいは、本出願において教示されるような架橋剤を用いて架橋させてもよい。ポリマーの架橋は、当業者に周知の技術、例えば加熱および/または触媒作用によって促進させることができる。架橋の程度は、ポリマーの所望の物理的および化学的性質によって決定される。次いで、架橋ポリマーを調合して本発明の反射防止コーティング組成物とする。
【0049】
ポリマーの重量平均分子量は、約1500〜約180,000、好ましくは約4,000〜約60,000、より好ましくは約10,000〜約30,000の範囲とすることができる。
【0050】
反射防止コーティング組成物は、ポリマー、架橋剤、酸発生剤、および溶媒成分を含む。
【0051】
本発明の組成物では様々な架橋剤を用いることができる。酸の存在下でポリマーを架橋することができるすべての適切な架橋剤を用いることができる。こうした架橋剤の例は、それだけに限らないが、メラミンを含む樹脂、メチロール、グリコールウリル、ポリマー性グリコールウリル、ベンゾグアナミン、尿素、ヒドロキシアルキルアミド、エポキシおよびエポキシアミン樹脂、ブロックドイソシアナート、およびジビニルモノマーである。ヘキサメトキシメチルメラミンのような単量体のメラミン;テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリルのようなグリコールウリル;および2,6ビスヒドロキシメチルp−クレゾールのような芳香族メチロールを用いることができる。参照により本明細書に組み込まれた米国特許出願第2006/0058468号(特許文献1)に開示された架橋剤を用いることができる。ここで、この架橋剤は、少なくとも1つのグリコールウリル化合物を、少なくとも1つの水酸基および/または少なくとも1つの酸基を含む、少なくとも1つの反応性化合物と反応させることにより得られるポリマーである。
【0052】
本発明において用いられる熱酸発生剤(TAG)は、加熱すると、本発明のポリマーと反応することができる酸であり、このポリマーの架橋を伝播することができる酸を発生する、任意の1種または複数種の熱酸発生剤とすることができる。特に好ましいのはスルホン酸などの強酸である。熱酸発生剤は、好ましくは90℃より高い温度で、より好ましくは120℃より高い温度で、さらに好ましくは150℃より高い温度で活性化される。フォトレジスト膜は、コーティングと反応するのに十分な時間加熱される。熱酸発生剤の例は、無金属ヨードニウムおよびスルホニウム塩である。TAGの他の例は、2−ニトロベンジルトシラート、2,4−ジニトロベンジルトシラート、2,6−ジニトロベンジルトシラート、4−ニトロベンジルトシラートなどのニトロベンジルトシラート;2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−クロロベンゼンスルホナート、2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−ニトロベンゼンスルホナートなどのベンゼンスルホナート;フェニル4−メトキシベンゼンスルホナートなどのフェノールスルホナートエステル;10−カンファースルホン酸のトリエチルアンモニウム塩などの有機酸のアルキルアンモニウム塩である。ヨードニウム塩は、ヨードニウムフルオロスルホナート、ヨードニウムトリス(フルオロスルホニル)メチド、ヨードニウムビス(フルオロスルホニル)メチド、ヨードニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ヨードニウム四級アンモニウムフルオロスルホナート、ヨードニウム四級アンモニウムトリス(フルオロスルホニル)メチド、およびヨードニウム四級アンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドによって例示することができる。米国特許第3,474,054号(特許文献2)、同4,200,729号(特許文献3)、同4,251,665号(特許文献4)および同5,187,019号(特許文献5)に開示されているものを含む、種々の芳香族(アントラセン、ナフタレンまたはベンゼン誘導体)スルホン酸アミン塩をTAGとして使用することができる。TAGは、170〜220℃の温度で非常に低い揮発性を有することが好ましい。TAGの例としては、NacureおよびCDXの名称でKing Industriesから販売されているものがある。こうしたTAGは、Nacure 5225およびCDX−2168Eであり、これは、ドデシルベンゼンスルホン酸アミン塩であり、King Industries、Norwalk、Conn.06852、USAから、プロピレングリコールメチルエーテル中の有効成分を25〜30%として供給されている。
【0053】
この新規な組成物は、さらに光酸発生剤を含むことができ、その例としては、それだけに限らないが、オニウム塩、スルホナート化合物、ニトロベンジルエステル、トリアジンなどがある。好ましい光酸発生剤は、オニウム塩およびヒドロキシイミドのスルホナートエステルであり、具体的には、ジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、ジアルキルヨードニウム塩、トリアルキルスルホニウム塩、およびこれらの混合物である。
【0054】
本組成物中のポリマーの量は、組成物の固形分に対して、約95重量%〜約50重量%、好ましくは約85重量%〜約70重量%、より好ましくは約80重量%〜約70重量%の範囲とすることができる。本組成物中の架橋剤の量は、組成物の固形分に対して、5重量%〜約50重量%、好ましくは15重量%〜約30重量%の範囲とすることができる。本組成物中の酸発生剤の量は、組成物の固形分に対して、0.1重量%〜約5重量%、好ましくは0.5重量%〜約3重量%、より好ましくは1重量%〜約2重量%の範囲とすることができる。
【0055】
本組成物に用いることができる、混合物としてまたは単独で用いられる典型的な溶媒は、それだけに限らないが、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、および乳酸エチル(EL)、2−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ならびにガンマブチロラクトンである。しかし、PGME、PGMEAおよびELまたはこれらの混合物が好ましい。一般に、毒性の低い、優れたコーティングおよび溶解度特性を有する溶媒が好ましい。
【0056】
この反射防止コーティング組成物は、本発明のコポリマー、架橋剤および酸発生剤、ならびに適切な溶媒または複数種の溶媒の混合物を含む。その他の成分、例えばモノマー性染料、低級アルコール、表面レベリング剤、接着促進剤、消泡剤などを加えてコーティングの性能を高めることができる。性能に悪影響を及ぼさないなら、その他のポリマー、例えばノボラック、ポリヒドロキシスチレン、ポリメチルメタクリラートおよびポリアリーラートなどを組成物に加えることができる。このポリマーの量は、好ましくは組成物の全固形分の50重量%未満、より好ましくは20重量%未満、さらに好ましくは10重量%未満に保持される。
【0057】
反射防止コーティングの光特性は、露光波長および他の所望のリソグラフィ特性に対して最適化される。一例として、新規な組成物の193nm露光の吸収パラメータ(k)は、偏光解析法を用いて測定すると、約0.1〜約1.0、好ましくは約0.2〜約0.75、より好ましくは約0.25〜約0.65の範囲である。屈折率(n)の値は、約1.25〜約2.5、好ましくは約1.3〜約2.0、より好ましくは約1.5〜約2.0の範囲である。193nmにおけるこの組成物の優れた吸収特性により、約40nmのオーダーの非常に薄い反射防止膜を使用することができる。これは、193nm、157nmおよびより低い波長に感応性を有するような非芳香族フォトレジストを用いる場合に特に有利である。この場合、フォトレジスト膜は薄く、反射防止膜のエッチングマスクとしての役割を果たさなければならない。反射防止膜は基板の上にコーティングされ、さらにドライエッチングされるので、この膜は、半導体装置の特性に悪影響を及ぼさないような、十分に低い金属イオンレベルのものであり、かつ十分な純度を有するものであることが想定されている。イオン交換カラムにポリマーの溶液を通すこと、ろ過、および抽出プロセスなどの処理を使用して、金属イオンの濃度を下げ、かつ粒子を減らすことができる。
【0058】
反射防止コーティング組成物は、浸漬、スピンコーティングまたはスプレーなどの当業者によく知られている技術を用いて、基板にコーティングされる。反射防止コーティングの膜厚は、約15nm〜約200nmの範囲である。このコーティングを、ホットプレートまたは対流式オーブンで、すべての残存溶媒を除去し架橋を引き起こすのに十分な時間さらに加熱し、こうして反射防止コーティングを不溶化して反射防止コーティング間の相互混合を防ぐ。好ましい温度範囲は、約90℃〜約250℃である。温度が90℃未満の場合、溶媒の除去が不十分となるか架橋の量が不十分となる。また、300℃を超える温度では、組成物が化学的に不安定になる恐れがある。次いで、フォトレジストの膜を最上部の反射防止コーティング上にコーティングし、実質的にフォトレジスト溶媒が除去されるようにベーキングする。コーティング工程の後エッジビードリムーバを適用して、当技術分野でよく知られている方法を用いて基板の縁部を洗浄することができる。
【0059】
その上に反射防止コーティングを形成する基板は、半導体産業において典型的に用いられるもののいずれかとすることができる。好適な基板としては、それだけに限らないが、シリコン、金属面をコーティングしたシリコン基板、銅をコーティングしたシリコンウェーハ、銅、反射防止コーティングをコーティングした基板、アルミニウム、高分子樹脂、二酸化ケイ素、金属、ドープ二酸化ケイ素、窒化ケイ素、タンタル、ポリシリコン、セラミックス、アルミニウム/銅混合物;ガリウムヒ素および他のこうしたIII/V族化合物が挙げられる。基板は、上に記載された材料から作られた任意の数の層を含むことができる。
【0060】
フォトレジストは、フォトレジスト中の光活性化合物および反射防止コーティングが画像処理に用いられる露光波長で吸収を示すという前提で、半導体産業において用いられるタイプのいずれかとすることができる。
【0061】
現在、小型化に著しい進歩をもたらしたいくつかの主要な深紫外線(uv)露光技術があり、これらは、248nm、193nm、157および13.5nmの放射線を用いるものである。248nmのフォトレジストは、典型的には、置換ポリヒドロキシスチレンおよびそのコポリマー/オニウム塩、例えば米国特許第4,491,628号(特許文献6)および米国特許第5,350,660号(特許文献7)に記載されているものなどに基づくものである。一方、200nm未満で露光するためのフォトレジストは非芳香族ポリマーを必要とする。何故ならば、芳香族炭化水素はこの波長で不透明であるからである。米国特許第5,843,624号(特許文献8)および米国特許第6,866,984号(特許文献9)には193nmの露光に有用なフォトレジストが開示されている。一般に、脂環式炭化水素を含むポリマーは、200nm未満で露光するためのフォトレジストに用いられる。脂環式炭化水素は多くの理由でポリマーに組み込まれる。すなわち、主として、脂環式炭化水素は、炭素と水素の比が比較的高くこれが耐エッチング性を改善する、低波長において透明性が得られる、ガラス転移温度が相対的に高いなどの理由からである。米国特許第5,843,624号(特許文献8)には、無水マレイン酸と不飽和環式モノマーのフリーラジカル重合によって得られるフォトレジスト用ポリマーが開示されている。任意の既知のタイプの193nmフォトレジスト、例えば、参照により本明細書に組み込まれた米国特許第6,447,980号(特許文献10)および米国特許第6,723,488号(特許文献11)に記載されているものなどを使用することができる。
【0062】
157nmにおいて感応性があり、ペンダントフルオロアルコール基を有するフッ化ポリマーに基づく、2種類の基本的なフォトレジストが、この波長で実質的に透明であることが知られている。1種類の157nmのフルオロアルコール・フォトレジストは、フッ化ノルボルネンなどの基を含むポリマーから誘導され、金属触媒またはラジカル重合のいずれかを用いて、単独重合させるか、テトラフルオロエチレンなどの他の透明モノマーと共重合させる(米国特許第6,790,587号(特許文献12)および米国特許第6,849,377号(特許文献13))。一般に、これらの材料ではより高い吸光性が得られるが、その高い脂環式基含有量のために優れた耐プラズマエッチング性を有している。さらに最近、1種類の157nmのフルオロアルコール・ポリマーが記述されている。このポリマーの主鎖は、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンなどの非対称ジエンの環化重合(Shun-ichi Kodama et al Advances in Resist Technology and Processing XIX, Proceedings of SPIE Vol. 4690 p76 2002(非特許文献1);米国特許第6,818,258号(特許文献14))またはフルオロジエンとオレフィンの共重合(米国特許第6,916,590号(特許文献15))から誘導される。これらの材料は157nmにおいて許容できる吸光度を与えるが、フルオロノルボルネン・ポリマーと比較すると、その脂環式基含有量が低いために、耐プラズマエッチング性が低い。第1のポリマータイプの高い耐エッチング性と第2のポリマータイプの157nmにおける高い透明性とをバランスさせるために、これら2種類のポリマーをしばしばブレンドすることがある。さらに、13.5nmの極紫外線(EUV)を吸収するフォトレジストも有用であり、当技術分野で知られている。
【0063】
コーティングプロセスの後、フォトレジストは像様露光される。この露光は、典型的な露光装置を用いて行うことができる。次いで、露光したフォトレジストを湿式現像剤中で現像して、処理されたフォトレジストを除去する。現像剤には、例えば水酸化テトラメチルアンモニウムを含むアルカリ性水溶液が好ましい。現像剤はさらに界面活性剤(複数可)を含むことができる。現像の前かつ露光の後に、任意選択の加熱工程をプロセスに組み込むことができる。
【0064】
フォトレジストをコーティングしこれに画像形成するプロセスは、当業者によく知られており、使用される特定の種類のレジストに対して最適化される。次いで、パターン化した基板を、適切なエッチングチャンバ中でエッチングガスまたは複数種のガス混合物を用いてドライエッチングして、反射防止膜の露光した部分を除去する。残存したフォトレジストはエッチングマスクとしての役割を果たす。有機反射防止コーティングをエッチングするための様々なエッチングガス、例えば、CF、CF/O、CF/CHF、OまたはCl/Oを含むものなどが当技術分野で知られている。
【0065】
上に言及した文献は、それぞれ、参照によりその開示内容全体を全目的で本明細書に組み込む。以下の具体例は、本発明の組成物を製造し使用する方法の詳細な例示を与えるものである。しかし、これらの例は、本発明の範囲をいっさい限定または制限することを意図したものではなく、本発明を実施するために排他的に使用しなければならない条件、パラメータまたは値を提供するものと解釈するべきではない。
【実施例】
【0066】

以下の例における反射防止コーティングの屈折率(n)および吸光(k)の値は、J.A.Woollam VASE(商標)302偏光解析装置で測定した。
【0067】
ポリマーの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフで測定した。
【0068】
合成例1
10gのブタンテトラカルボン酸二無水物、7gのスチレングリコール、0.5gのベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、および50gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)を、凝縮器、温度コントローラおよびメカニカルスターラーを備えたフラスコに仕込んだ。窒素下で撹拌しながら、混合物を110℃に加熱した。約1〜2時間後に透明な溶液が得られた。温度を110℃で4時間保持した。冷却して、30gのPGMEAおよび8.8gのイソプロピルグリシジルエーテルおよび3.6gのスチレンオキシドを上記溶液と混合した。反応を125℃で24時間保持した。反応溶液を室温に冷却し、これを高速ブレンダー中の大量の水にゆっくり注いだ。ポリマーを回収し、水で十分に洗浄した。最後に、ポリマーを真空オーブン中で乾燥した。重量平均分子量(MW)約17,000g/molのポリマー22gが得られた。
【0069】
合成例2
10gのブタンテトラカルボン酸二無水物、7gのスチレングリコール、0.5gのベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、および50gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)を、凝縮器、温度コントローラおよびメカニカルスターラーを備えたフラスコに仕込んだ。窒素下で撹拌しながら、混合物を110℃に加熱した。約1〜2時間後に透明な溶液が得られた。温度を110℃で4時間保持した。9.4gのイソプロピルグリシジルエーテルを10gのPGMEAと共に上記溶液に加えた。反応を110℃で16時間保持した。反応溶液を冷却し、12gのトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌラートを30gのアセトニトリルと共にこの混合物に加えた。68℃で24時間反応させた。この混合物を、高速ブレンダー中の大量の水にゆっくり注いだ。ポリマーを回収し空気乾燥した。粗製生成物をアセトンに再溶解し、DI水に沈殿させた。ポリマーを水で十分に洗浄し、真空オーブンで乾燥させた。重量平均分子量(MW)約17,000g/molのポリマー25gが得られた
【0070】
合成例3
10gのブタンテトラカルボン酸二無水物、10gの(+)−ジメチルL−酒石酸、0.5gのベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、および50gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)を、凝縮器、温度コントローラおよびメカニカルスターラーを備えたフラスコに仕込んだ。窒素下で撹拌しながら、混合物を110℃に加熱した。約1〜2時間後に透明な溶液が得られた。温度を110℃で4時間保持した。冷却して、30gのPGMEAおよび4.2gのイソプロピルグリシジルエーテルおよび8.5gのスチレンオキシドを上記溶液と混合した。反応を120℃で24時間保持した。反応溶液を室温に冷却し、これを高速ブレンダー中の大量の水にゆっくり注いだ。ポリマーを回収し、水で十分に洗浄した。最後に、ポリマーを真空オーブン中で乾燥した。重量平均分子量(MW)約15,000g/molのポリマー23gが得られた。
【0071】
合成例4
10gのブタンテトラカルボン酸二無水物、7gのスチレングリコール、0.5gのベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、および50gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)を、凝縮器、温度コントローラおよびメカニカルスターラーを備えたフラスコに仕込んだ。窒素下で撹拌しながら、混合物を110℃に加熱した。約1〜2時間後に透明な溶液が得られた。温度を110℃で4時間保持した。冷却して、30gのPGMEAおよび8.8gのイソプロピルグリシジルエーテルおよび4.0gの(2,3−エポキシプロピル)ベンゼンを上記溶液と混合した。反応を120℃で24時間保持した。反応溶液を室温に冷却し、これを高速ブレンダー中の大量の水にゆっくり注いだ。ポリマーをアセトニトリルに再溶解し、水に沈殿させた。ポリマーを回収し、水で十分に洗浄した。最後に、ポリマーを真空オーブン中で乾燥した。重量平均分子量(MW)約13,000g/molのポリマー16gが得られた。
【0072】
合成例5
10gのブタンテトラカルボン酸二無水物、7gのスチレングリコール、0.5gのベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、および50gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)を、凝縮器、温度コントローラおよびメカニカルスターラーを備えたフラスコに仕込んだ。窒素下で撹拌しながら、混合物を110℃に加熱した。約1〜2時間後に透明な溶液が得られた。温度を110℃で4時間保持した。冷却して、40gのPGMEAおよび17gのベンジルグリシジルエーテルを上記溶液と混合した。反応を125℃で24時間保持した。反応溶液を室温に冷却し、これを高速ブレンダー中の大量の水にゆっくり注いだ。ポリマーをアセトニトリルに再溶解し、水に沈殿させた。ポリマーを回収し、水で十分に洗浄した。最後に、ポリマーを真空オーブン中で乾燥した。重量平均分子量(MW)約17,000g/molのポリマー20gが得られた。
【0073】
合成例6
600グラムのテトラメトキシメチルグリコールウリル、96グラムのスチレングリコールおよび1200グラムのPGMEAを、温度計、メカニカルスターラーおよび冷水凝縮器を備えた2Lのジャケット付きフラスコに仕込み、85℃に加熱した。触媒量のpara−トルエンスルホン酸一水和物を加えた後、反応をこの温度で5時間維持した。次いで、反応溶液を室温に冷却し、ろ過した。撹拌しながらろ液を蒸留水にゆっくり注いでポリマーを沈殿させた。このポリマーをろ過し、水で十分に洗浄し、真空オーブンで乾燥させた(250グラムが得られた)。得られたポリマーは、重量平均分子量が約17,345g/molであり、多分散性が2.7であった。
【0074】
合成例7
1000グラムのテトラメトキシメチルグリコールウリル、500グラムのネオペンチルグリコールおよび3000グラムのPGMEAを、温度計、冷水凝縮器およびメカニカルスターラーを備えた5000mLフラスコに仕込んだ。反応混合物を85℃に加熱した。触媒量のpara−トルエンスルホン酸一水和物を加えた後、反応をこの温度で8.0時間維持した。次いで、反応溶液を室温に冷却し、ろ過した。ポリマーは、DI水に沈殿させてフィルタ上に回収し、水で十分に洗浄し、真空オーブンで乾燥させた(400グラムが得られた)。得られたポリマーは、重量平均分子量が約8,000g/molであり、多分散性が3であった。
【0075】
例8
合成例1からのポリマー固形分1.0を30.0gのPGMEA/PGME(70:30)に溶解して3.3重量%溶液を作った。0.1gのテトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(MX−270、(株)三和ケミカル(平塚市、日本)から入手可能)と、0.1gのドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩の10%乳酸エチル溶液とをこのポリマー溶液に加えた。次いで、この混合物を、孔径0.2μmのマイクロフィルターでろ過した。次いで、この溶液をシリコンウェーハ上にコーティングし、200℃で90秒間ベーキングした。この反射防止膜は、(n)値が1.84であり、193nmにおける(k)値が0.46であることが分かった。
【0076】
例9
合成例2からのポリマー固形分1gを30.0gのPGMEA/PGME(70:30)溶媒に溶解して3.3重量%溶液を作った。0.1gのドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩の10%乳酸エチル溶液をこのポリマー溶液に加えた。次いで、この混合物を、孔径0.2μmのマイクロフィルターでろ過した。次いで、この溶液をシリコンウェーハ上にコーティングし、200℃で90秒間ベーキングした。この反射防止膜は、(n)値が1.83であり、193nmにおける(k)値が0.34であることが分かった。
【0077】
例10
合成例3からのポリマー固形分1.0を30.0gのPGMEA/PGME(70:30)に溶解して3.3重量%溶液を作った。0.1gのテトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(MX−270、(株)三和ケミカル(平塚市、日本)から入手可能)と、0.1gのドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩の10%乳酸エチル溶液とをこのポリマー溶液に加えた。次いで、この混合物を、孔径0.2μmのマイクロフィルターでろ過した。次いで、この溶液をシリコンウェーハ上にコーティングし、200℃で90秒間ベーキングした。この反射防止膜は、(n)値が1.84であり、193nmにおける(k)値が0.39であることが分かった。
【0078】
例11
合成例4からのポリマー固形分1.0を30.0gのPGMEA/PGME(70:30)に溶解して3.3重量%溶液を作った。0.1gのテトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(MX−270、(株)三和ケミカル(平塚市、日本)から入手可能)と、0.1gのドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩の10%乳酸エチル溶液とをこのポリマー溶液に加えた。次いで、この混合物を、孔径0.2μmのマイクロフィルターでろ過した。次いで、この溶液をシリコンウェーハ上にコーティングし、200℃で90秒間ベーキングした。この反射防止膜は、(n)値が1.82であり、193nmにおける(k)値が0.48であることが分かった。
【0079】
例12
合成例5からのポリマー固形分1.0を30.0gのPGMEA/PGME(70:30)に溶解して3.3重量%溶液を作った。0.1gのテトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(MX−270、(株)三和ケミカル(平塚市、日本)から入手可能)と、0.1gのドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩の10%乳酸エチル溶液とをこのポリマー溶液に加えた。次いで、この混合物を、孔径0.2μmのマイクロフィルターでろ過した。次いで、この溶液をシリコンウェーハ上にコーティングし、200℃で90秒間ベーキングした。この反射防止膜は、(n)値が1.82であり、193nmにおける(k)値が0.66であることが分かった。
【0080】
例13
合成例1からのポリマー固形分0.6gおよび合成例7からのポリマー固形分0.4gを30.0gのPGMEA/PGME(70:30)に溶解して3.3重量%溶液を作った。0.1gのドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩の10%乳酸エチル溶液をこのポリマー溶液に加えた。次いで、この混合物を、孔径0.2μmのマイクロフィルターでろ過した。次いで、この溶液をシリコンウェーハ上にコーティングし、200℃で90秒間ベーキングした。この反射防止膜は、(n)値が1.86であり、193nmにおける(k)値が0.35であることが分かった。
【0081】
例14
合成例1からのポリマー固形分0.7gおよび合成例6からのポリマー固形分0.3gを30.0gのPGMEA/PGME(70:30)に溶解して3.3重量%溶液を作った。0.1gのドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩の10%乳酸エチル溶液をこのポリマー溶液に加えた。次いで、この混合物を、孔径0.2μmのマイクロフィルターでろ過した。次いで、この溶液をシリコンウェーハ上にコーティングし、200℃で90秒間ベーキングした。この反射防止膜は、(n)値が1.88であり、193nmにおける(k)値が0.38であることが分かった。
【0082】
例15
合成例2で調製したポリマー5gと、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩の10%溶液10gとを、PGMEA/PGME(70:30)溶媒45gに溶解することによりビアフィリング組成物を調製した。この溶液を0.2μmフィルタでろ過した。この配合物のフィリング性能を、そこにビアがパターン化されている基板で評価した。この溶液を基板上にスピンコーティングし、200℃〜225℃で90秒間ベーキングした。ビアのサイズは、直径が130nm〜300nmの範囲であり、深さが650nmであり、ピッチは1:1〜分離ビアの範囲であった。ビアのフィリングが良好であることおよびボイドが無いことが、断面走査型電子顕微鏡(SEM)で観察された。
【0083】
例16
合成例1で調製したポリマー3.5gと、合成例6で調整したポリマー1.5gと、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩の10%溶液0.5gとを、PGMEA/PGME(70:30)溶媒45gに溶解することによりビアフィリング組成物を調製した。この溶液を0.2μmフィルタでろ過した。この配合物のフィリング性能を、そこにビアがパターン化されている基板で評価した。この溶液を基板上にスピンコーティングし、200℃〜225℃で90秒間ベーキングした。ビアのサイズは、直径が130nm〜300nmの範囲であり、深さが650nmであり、ピッチは1:1〜分離ビアの範囲であった。ビアのフィリングが良好であることおよびボイドが無いことが、断面SEMで観察された。
【0084】
リソグラフィ評価例17
反射防止コーティング配合物のリソグラフィ性能を、AZ(登録商標)ArF 3110Pフォトレジスト(193nmのフォトレジスト、AZ Electronic Materials,Somerville,NJから入手可能)を用いて評価した。例9からの反射防止膜を、シリコンウェーハ上のAZ(登録商標)ArF−1C5D BARCの78nmの膜(AZ Electronic Materials,Somerville,NJから入手可能)上にコーティングし、200℃で90秒間ベーキングした。反射防止コーティングの膜厚は約18nmである。AZ(登録商標)ArF 3110Pフォトレジストを用いて、150nmの膜をコーティングし、100℃で60秒間ベーキングした。次いで、ウェーハを、193nmの露光ツールを用いて像様露光した。露光したウェーハは、110℃で60秒間ベーキングし、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38重量%水溶液を用いて60秒間現像した。80nmのラインアンドスペース・パターンが解像され、かつ、走査型電子顕微鏡下で観察したとき、定在波を示さなかった。これは底部反射防止コーティングの有効性を示すものである。
【0085】
リソグラフィ評価例18
反射防止コーティング配合物のリソグラフィ性能を、AZ(登録商標)ArF 2110Pフォトレジスト(193nmのフォトレジスト、AZ Electronic Materials,Somerville,NJから入手可能)を用いて評価した。例13の溶液を、シリコンウェーハ上にコーティングし、200℃で90秒間ベーキングした。反射防止コーティングの膜厚は約80nmである。AZ(登録商標)ArF 2110フォトレジストを用いて、190nmの膜をコーティングし、100℃で60秒間ベーキングした。次いで、ウェーハを、193nmの露光ツールを用いて像様露光した。露光したウェーハは、110℃で60秒間ベーキングし、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38重量%水溶液を用いて60秒間現像した。80nmのラインアンドスペース・パターンが解像され、かつ、走査型電子顕微鏡下で観察したとき、定在波を示さなかった。これは底部反射防止コーティングの有効性を示すものである。
【0086】
リソグラフィ評価例19
反射防止コーティング配合物のリソグラフィ性能を、AZ(登録商標)ArF 2110Pフォトレジストを用いて評価した。膜配合例14の溶液を、シリコンウェーハ上にコーティングし、200℃で90秒間ベーキングした。反射防止コーティングの膜厚は約80nmである。AZ(登録商標)EXP 2110フォトレジストを用いて、190nmの膜をコーティングし、100℃で60秒間ベーキングした。次いで、ウェーハを、193nmの露光ツールを用いて像様露光した。露光したウェーハは、110℃で60秒間ベーキングし、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38重量%水溶液を用いて60秒間現像した。80nmのラインアンドスペース・パターンが解像され、かつ、走査型電子顕微鏡下で観察したとき、定在波を示さなかった。これは底部反射防止コーティングの有効性を示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー、架橋剤および酸発生剤を含むフォトレジスト層用の反射防止コーティング組成物であって、前記ポリマーが構造1の少なくとも1単位を含む反射防止コーティング組成物
【化1】

(式中、Xは、非芳香族(A)部分、芳香族(P)部分およびこれらの混合物から選択される連結部分であり、R’は構造(2)からなる基であり、R”は、独立して、水素、構造(2)の部分、ZおよびW−OH(但し、Zは(C〜C20)ヒドロカルビル部分であり、Wは(C〜C20)ヒドロカルビレン連結部分である)から選択され、Y’は、独立して、(C〜C20)ヒドロカルビレン連結部分であり、構造(2)は
【化2】

である(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、HおよびC〜Cアルキルから選択され、Lは有機ヒドロカルビル基である))。
【請求項2】
AがC〜C20非置換アルキレン、C〜C20置換アルキレン、C〜C20非置換脂環式部分、C〜C20置換脂環式部分、C〜C20非置換複素脂環式部分、およびC〜C20置換複素脂環式部分から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマーが構造3を有する、請求項1または2に記載の組成物
【化3】

(式中、Bは単結合またはC〜C非芳香族脂肪族部分であり、R’は構造(2)を有する基であり、R”は、独立して、水素、構造(2)の基、ZおよびW−OH(但し、Zは(C〜C20)ヒドロカルビル部分であり、Wは(C〜C20)ヒドロカルビレン連結部分である)から選択され、Y’は、独立して、(C〜C20)ヒドロカルビレン連結部分である)。
【請求項4】
前記ヒドロカルビル部分が、置換脂肪族(C〜C20)アルキレン基、非置換脂肪族(C〜C20)アルキレン基、置換脂肪族(C〜C20)アルキル基、非置換脂肪族(C〜C20)アルキル基、置換非置換脂肪族(C〜C20)シクロアルキル基、非置換脂肪族(C〜C20)シクロアルキル基、置換チア−アルキレン脂肪族(C〜C20)基または非置換チア−アルキレン脂肪族(C〜C20)基、置換シクロアルキレン、または非置換シクロアルキレン、置換ベンジル、非置換ベンジル、アルコキシアルキレン、アルコキシアリール、アリール、置換アリール、置換脂肪族(C〜C20)アルキレンアリール、非置換脂肪族(C〜C20)アルキレンアリール、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロアリール、オキソシクロヘキシル、環状ラクトン、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシル、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルキルアリール、アルケニル、アリールエステル、芳香族置換基を有するエステル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ニトロアルキル、ハロアルキル、アルキルイミド、アルキルアミド、あるいはこれらの混合物から選択される、請求項1〜3のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項5】
Y’が、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、フェニルエチレン、アルキルニトロアルキレン、ネオペンチレン、アルキレンアリーラート、ジチアオクチレン、ブロモニトロアルキレン、フェニレン、ナフチレン、アントラシレン、フェニレンの誘導体、ナフチレンの誘導体、およびアントラシレンの誘導体から選択される、請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項6】
Y’が、1−フェニル−1,2−エチレン、ネオペンチレン、エチレンフェニラート、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロピレン、2−ブロモ−2−メチル−1,3−プロピレン、ポリエチレングリコール、1−フェニラート−1,2−エチレン、1−ベンジラート−1,2−エチレン、−CHOCH−、−CHCHOCHCH−、−CHCHSCHCH−、−CHCHSCHCHSCHCH−、プロピレンフェニルアセタート、2−プロピレンフェニルアセタート(−CHCH(CHCOCHPh)、プロピレンフェニルエーテル(−CHCH(CHOPh)、プロピレンフェノラート(−CHCH(CHCOPh)、プロピレンナフトアート、プロピレンフタルイミド、プロピレンスクシンイミド、プロピレンクロチリデンアセタート(−CHCH(CHCOCHCHCHCHCH)から選択される、請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項7】
前記架橋剤が、メラミン、メチロール、グルコールウリル、ポリマー性グリコールウリル、ヒドロキシアルキルアミド、エポキシおよびエポキシアミン樹脂、ブロックドイソシアナート、ならびにジビニルモノマーから選択される、請求項1〜6のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項8】
前記熱酸発生剤が、有機酸のアルキルアンモニウム塩、フェノール性スルホナートエステル、ニトロベンジルトシラート、ならびに無金属ヨードニウムおよびスルホニウム塩から選択される、請求項1〜7のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリマーが部分架橋ポリマーである、請求項1〜8のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項10】
Lが、アルキル、フルオロアルキル、およびフェニルから選択される、請求項1〜9のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一つに記載の反射防止コーティング組成物の層と、その上のポリマーおよび光活性化合物を含むフォトレジストのコーティングとを有する基板を含む物品。
【請求項12】
画像を形成する方法であって、
a)請求項1〜10のいずれか一つに記載の反射防止コーティング組成物を有する基板にコーティングし、これをベーキングするステップと、
b)前記反射防止コーティングの上にフォトレジスト膜をコーティングし、これをベーキングするステップと、
c)前記フォトレジストを像様露光するステップと、
d)前記フォトレジストの画像を現像するステップと、
e)前記露光ステップ後、任意選択で、基板をベーキングするステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記フォトレジストを、130nm〜250nmの間の波長で像様露光する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記フォトレジストがポリマーおよび光活性化合物を含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記反射防止コーティングを90℃より高い温度でベーキングする、請求項12〜14のいずれか一つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−509606(P2013−509606A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535953(P2012−535953)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002784
【国際公開番号】WO2011/055209
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(305010827)エイゼット・エレクトロニック・マテリアルズ・ユーエスエイ・コーポレイション (81)
【Fターム(参考)】