説明

フォトレジスト組成物

【課題】 塗布時の染みを減らし、塗布均一性を向上させ、真空乾燥時に逆テーパ状とならないように特定構造の共溶媒を含んで、パターン形状を著しく改善するだけでなく、パターン幅の不均一問題を発生しないフォトレジスト組成物を提供する。
【解決手段】 本発明によるフォトレジスト組成物は、(a)ノボラック樹脂5〜30重量%、(b)ジアジド系感光性化合物2〜10重量%、(c)ジアルキルエーテル系共溶媒1〜70重量%、及び(d)有機溶媒残量を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジスト組成物に関し、より詳しくは、共溶媒を含んで真空乾燥後、塗布均一性及びパターンプロファイルに優れ、塗布後の染み抑制能に優れて、実際の産業現場に容易に適用でき、大量生産の際に使用量の節減、量産時間の減少などの効果によって作業環境を良好に変化させられるフォトレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置回路または半導体集積回路のように微細な回路パターンを形成するためには、まず基板上に形成された絶縁膜または導電性金属膜にフォトレジスト組成物を均一にコーティングまたは塗布し、所定形状のマスク存在下でコーティングされたフォトレジスト組成物を露光し現像して、目的とする形状のパターンを形成する。以降、前記パターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクとして使用して、金属膜または絶縁膜をエッチングした後、残存するフォトレジスト膜を除去して、基板上に微細回路を形成する。
【0003】
前記コーティングまたは塗布は、一般に回転塗布方式やスリット塗布方式が利用される。これら塗布方式は均一なフォトレジスト膜の形成が可能であるという長所があり、塗布均一性は、塗布されたフォトレジストの厚さが全体基板上にどのくらい均一な厚さに覆われているかを示す程度であって、塗布均一性が高いほど、以降工程で安全な物性を確保できるので、さらに均一でかつ染みのないフォトレジスト膜を形成するために多くの溶媒が適用された。
【0004】
一般に、フォトレジスト組成物は高分子樹脂、感光性化合物、及び溶媒を含み、今までフォトレジスト組成物を利用して形成されたフォトレジスト膜の塗布均一度、感光速度、現像コントラスト、解像度、及び人体安全性を改善しようとする多くの試みがあった。
【0005】
具体的に、米国特許第3,666,473号には、二つのフェノールフォルムアルデヒドノボラック樹脂の混合物と典型的な感光性化合物の使用が開示されており、米国特許第4,115,128号には感光速度を増加させるためにフェノール性樹脂とナフトキノンジアジド感光剤に有機酸サイクリック無水物を添加することが開示されており、米国特許第4,550,069号には塗布均一度と感光速度を増加させ、人体安全性を向上させるために、ノボラック樹脂とο−キノンジアジド感光性化合物と溶媒としてプロピレングリコールアルキルエーテルアセテートの使用が開示されている。
【0006】
また、液晶表示装置用フォトレジスト組成物の物性向上及び作業安定性のために、回転塗布方式での多様な溶媒が開発された。その例としては、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチルなどがある。しかし、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートの場合は人体安全性に対する深刻な副作用が報告されており、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートを使用する場合には、TFT−LCDのような大型基板でベーク工程後にピンマークによる不良と、単独溶媒として使用時に平坦化特性が低下するという問題があり、また、乳酸エチルを使用する場合には、組成物の基板に対する接着力が悪く、均一なコーティングが難しいという問題点がある。
【0007】
また、スリット塗布方式の場合、既存の回転塗布方式による遠心力が作用しないため、均一な塗布特性及びコーティング後の真空乾燥時に優れた平坦性及び均一なパターン性能を有する溶媒の使用が要求されている。
【0008】
特に、真空乾燥時に膜の表面が内部よりも乾燥されやすいため、パタン形状が逆テーパ状になる場合が多くて、後続工程で不良を起こす可能性が高くなる。
【0009】
したがって、塗布均一度、塗布染みの特性、パターン形状、感光速度、残膜率、現像コントラスト、解像度、高分子樹脂の溶解性、基板との接着力、回路線幅の均一度などのようなフォトレジスト組成物の望ましい特性のうちのいずれか一つの特性を犠牲させることなく、それぞれの産業工程に適したフォトレジスト組成物に対する要求は続いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、塗布時の染みを減らし、塗布均一性を向上させ、真空乾燥時に逆テーパ状とならないように特定構造の共溶媒を含んで、パターン形状を著しく改善するだけでなく、パターン幅の不均一問題を発生しないフォトレジスト組成物を提供することになる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
(a)ノボラック樹脂5〜30重量%、
(b)ジアジド系感光性化合物2〜10重量%、
(c)下記の化学式(1)で表される化合物1〜70重量%、及び
(d)有機溶媒残量
を含むフォトレジスト組成物を提供する。
【化1】

上記の式中、Rは、水素または1〜10個の直鎖または側鎖の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、1〜10個の直鎖または側鎖の炭素原子を有するアルキル基またはアリル基である。
【0012】
また、本発明は、前記フォトレジスト組成物を基板にコーティングした後、熱処理して、所定厚さのフォトレジスト膜を形成し、露光及び現像してパターンを形成する段階を含むパターンの形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフォトレジスト組成物は、塗布時の塗布染みを減少し、塗布均一性を向上し、真空乾燥時に逆テーパ状とならない好ましいパターン形状を有するようにする。特に、本発明の場合、パターン形状を改善するために従来に実施された感光剤の量や種類による比率、コントラストエンハンサーの低減などの方法のようにパターンの幅が不均一になる問題を起こさない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】フォトレジストフィルム膜に対する塗布染みの特性評価基準を示したものである。
【図2】フォトレジストパターン形状に対する評価基準を示したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。本発明は、感光速度、残膜率、現像コントラスト、解像度、高分子樹脂の溶解性、基板との接着力、回路線幅の均一度などのフォトレジスト組成物で要求する物性を全て満足しながら、特に、塗布均一度に優れ、塗布染みを防止して、優れたパターン形状を有するようにするフォトレジスト組成物に関する。
【0016】
このような本発明のフォトレジスト組成物は、ノボラック樹脂、ジアジド系感光性化合物及び有機溶媒を含み、ここに塗布性を改善するための上記化学式(1)で表される共溶媒を含むことを特徴とする。
【化2】

上記の式中、R1は、水素または1〜10個の直鎖または側鎖の炭素原子を有するアルキル基であり、R2は1〜10個の直鎖または側鎖の炭素原子を有するアルキル基またはアリル基である。
【0017】
上記化学式(1)で表される共溶媒は、ジメチル−2−メチルグルタレート(dimethyl−2−methyl glutarate)、ジメチルアジペート(dimethyl adipate)、ジメチルグルタレート(dimethyl glutarate)、ジメチルスクシネート(dimethyl succinate)、ジイソブチルアジペート(diisobutyl adipate)、ジイソブチルグルタレート(diisobutyl glutarate)、ジイソブチルスクシネート(diisobutyl succinate)またはこれらが1種以上混合されたものが好ましく、塗布均一度や染み特性が良好なジメチル−2−メチルグルタレートを使用するのがさらに好ましい。
【0018】
本発明のフォトレジスト組成物において、上記化学式(1)の共溶媒の含有量は、塗布均一度を考慮して適切に添加すればよく、例えば、全体フォトレジスト組成物に対して1〜70重量%で使用し、より好ましくは5〜50重量%で使用するのが良い。この時、その含有量が1重量%未満であれば、真空乾燥時の染みが発生するか、または逆テーパ状のパターンが生じる問題があり、70重量%を超えれば、残膜率が低下し、真空乾燥時間が長くなる問題がある。
【0019】
また、前記ノボラック樹脂はアルカリ可溶性であり、従来のフォトレジスト組成物で使用されている通常のものを使用することができる。具体的に、前記ノボラック樹脂は、フェノール系化合物とアルデヒド系化合物またはケトン系化合物を酸触媒下で縮重合反応させて得ることができる。例えば、前記ノボラック樹脂は、メタクレゾール単独で合成されたノボラック樹脂、パラクレゾール単独で合成されたノボラック樹脂、レゾルシノールを使用したノボラック樹脂、サリシリックアルデヒドとベンジルアルデヒドを反応させて製造したノボラック樹脂、メタクレゾール、パラクレゾール、レゾルシノールをなどを混合使用したノボラック樹脂などが全て使用できる。
【0020】
前記フェノール系化合物としては、フェノール、オルトクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、2,3−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、3−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、4−t−ブチルカテコール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、チモール、イソチモールなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、または混合して使用できる。
【0021】
前記アルデヒド系化合物としては、ホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド、テレフタル酸アルデヒドなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、または混合して使用することができる。
【0022】
前記ケトン系化合物としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジフェニルケトンが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、または混合して使用できる。
【0023】
前記酸触媒としては、硫酸、塩酸、ホルム酸酢酸、シュウ酸などがある。
【0024】
前記ノボラック樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した単分散ポリスチレン換算の重量平均分子量が3,000〜30,000であるのが好ましい。
【0025】
好ましくは、前記ノボラック樹脂は、メタクレゾールとパラクレゾールの重量比が2:8〜8:2であり、これらを2種以上混合して使用する。前記ノボラック樹脂は、メタクレゾール:パラクレゾールの重量比が8:2のノボラック樹脂と、メタクレゾール:パラクレゾールの重量比が6:4のノボラック樹脂の混合物であるのがさらに好ましい。
【0026】
本発明のフォトレジスト組成物において、ノボラック樹脂の含有量は、全体フォトレジスト組成物に対して5〜30重量%で使用するのが好ましい。この時、その含有量が5重量%未満であれば、一定の厚さ以上の塗布膜が得られないか、または塗布膜の内部の流動性が大きくて染みが発生しやすい問題があり、30重量%を超えれば、一定の厚さ以下の塗布膜が得られないか、または膜が不均一に塗布される問題がある。
【0027】
前記ジアジド系感光性化合物は、ポリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ナフトキノンジアジド、及び2−ジアゾ−1−ナフトール−5−スルホン酸などの化合物を反応させて製造することができる。例えば、前記b)ジアジド系感光性化合物は、トリヒドロキシベンゾフェノンと2−ジアゾ−1−ナフトール−5−スルホン酸をエステル化反応させて製造された2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸塩;またはテトラヒドロキシベンゾフェノンと2−ジアゾ−1−ナフトール−5−スルホン酸をエステル化反応させて製造された2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸塩であるのができ、これらは単独または混合して使用することができる。また、前記例示したジアジド系化合物を混合使用時、その混合比は特に限定されず、この分野の当業者によく知られた比率で混合することができる。
【0028】
本発明のフォトレジスト組成物において、ジアジド系感光性化合物の含有量は、全体フォトレジスト組成物に対して2〜10重量%で使用するのが好ましい。この時、その含有量が2重量%未満であれば、残膜率が低くなり、基板との接着力が落ちる問題があり、10重量%を超えれば、感光速度が遅くなり、現像コントラストが高くなる問題がある。
【0029】
前記有機溶媒は共溶媒と共に使用されて、フォトレジストの溶解性を向上させることができ、溶解性及び各成分との反応性に優れ、塗布膜の形成が容易なグリコールエーテル流、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート流、及びジエチレングリコール流などが使用できる。好ましくは、前記有機溶媒は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、2−メトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及び1−メチル−2−ピロリジノンからなる群より1種以上選択されるものを使用することができる。
【0030】
本発明のフォトレジスト組成物において、有機溶媒の含有量は、全体フォトレジスト組成物に残部として含まれることができ、好ましくは全体フォトレジスト組成物に対して70〜90重量%で使用することができる。
【0031】
また、本発明のフォトレジスト組成物は、必要に応じてフォトレジストの感度向上及びハードベーク工程時のパターンの流れを向上させるために、通常の感度増進剤をさらに含むことができる。また、前記フォトレジスト組成物は、着色剤、染料、可塑剤、接着促進剤、界面活性剤、擦痕防止剤などの添加剤をさらに含むことができる。これら添加剤が本発明のフォトレジスト組成物に添加される場合、その含有量が特に限定されず、通常の範囲で添加されることができる。
【0032】
また、本発明は、前記フォトレジスト組成物を利用してパターンを形成することができる。
【0033】
好ましい一例を挙げれば、本発明は前記フォトレジスト組成物を基板にコーティングした後、熱処理して、所定厚さのフォトレジスト膜を形成し、露光及び現像してパターンを形成する段階を含むパターンの形成方法を提供することができる。また、本発明は前記パターンを有する基板をエッチング液を用いてエッチング工程を行う段階をさらに含むことができる。
【0034】
前記基板としては、シリコン、アルミニウム、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、モリブデン、二酸化シリコン、ドーピングされた二酸化シリコン、窒化シリコン、タンタル、銅、ポリシリコン、セラミック、アルミニウム/銅混合物及び重合成樹脂からなる群より選択されるものを使用することができ、特に限られない。
【0035】
前記コーティング方法は、浸漬、噴霧、回転及びスピンコーティングを含む通常のコーティング方法で行うことができ、その方法が特に限られない。例えば、スピンコーティングをする場合、フォトレジスト溶液の固体含有量をスピニング装置の種類と方法により適切に変化させることによって、目的とする厚さの被膜を形成することができる。
【0036】
前記熱処理は、通常のソフトベーキング及びハードベーキングを行うことができる。前記熱処理は、フォトレジスト組成物のうちの固体成分を熱分解させることなく、溶媒を蒸発させるために実施することである。一般に、ソフトベーク工程によって溶媒の濃度を最小化するのが好ましく、厚さ3μm以下のフォトレジスト膜が基板に残るまで行うのが好ましい。
【0037】
前記露光は、フォトレジスト膜が形成された基板を適当なマスクまたは型板などを用いて光、特に紫外線に露光させることによって目的とする形態のパターンを形成する。
【0038】
前記露光された基板は、アルカリ性の現像水溶液に十分に浸漬させた後、光に露出した部位のフォトレジスト膜の全部またはほとんど大部分が溶解するまで放置する。この時、前記現像水溶液は、アルカリ水酸化物、水酸化アンモニウムまたはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetramethylammonium hydroxide)を含有する水溶液を使用するのが好ましい。
【0039】
前記のように露光した部位が溶解されて除去された基板を現像液から取り出した後、さらにハードベーク(hard bake)工程によって熱処理して、フォトレジスト膜の接着性及び耐薬品性を増進させることができる。このような熱処理は、フォトレジスト膜の軟化点以下の温度で実施するのが好ましく、特に90〜140℃の温度で実施するのが好ましい。
【0040】
また、前記露光及び現像が完了したパターンは、通常の銅エッチング溶液または気体プラズマでエッチング処理して露出した基板部位を処理することができ、この時、基板の露出しない部位はフォトレジスト膜によって保護される。このように、基板を処理した後に適切なストリッパーでフォトレジスト膜を除去することによって、基板に微細回路パターンを形成することができる。
【0041】
前記方法で製造されたパターンは、印刷性の向上によって、真空乾燥による膜表面が内部と同時に乾燥されてパターン形状に優れているので、後続工程の不良を最小化することができる。したがって、本発明のフォトレジスト組成物を利用したパターンは、液晶表示装置回路、半導体集積回路など微細回路の製造への使用に適合する。
【0042】
以下、本発明を下記の実施例及び比較例を参照して説明する。しかし、これら例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明がこれらに制限されるわけではない。
【実施例】
【0043】
〔実施例1〜4〕及び〔比較例1〜3〕
メタクレゾール:パラクレゾールの重量比が6:4のノボラック樹脂、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸塩と2,3,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸塩を5:5重量部で混合した感光性化合物、共溶媒としてジメチル−2−メチルグルタレート、溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル、ノーマルブチルアセテートを使用して、下記表1の組成と含有量で各成分を均一に混合し、実施例及び比較例のフォトレジスト組成物を製造した。
【0044】
【表1】

【実験例1】
【0045】
<厚さ均一度及び塗布染みの評価>
前記実施例及び比較例で製造した液晶表示装置回路用フォトレジスト組成物を、横400mm×縦300mm大きさのモリブデン付着ガラス基板にスリット塗布した後、0.5トール(Torr)以下で60秒間減圧乾燥し、前記基板を110℃で90秒間加熱乾燥して、1.50μm厚さのフィルム膜を形成した。その後、前記フィルム膜の厚さ均一度と塗布染みの特性を下記方法で測定し、その結果を下記表2に表した。
【0046】
(1)厚さ均一度
フォトレジストフィルム膜の厚さを横20回、縦15回で、総300回を測定して、最大厚さと最小厚さを測定し、下記式によって厚さ均一度を求めた。
【数1】

【0047】
(2)塗布染みの特性
フォトレジストフィルム膜を表面観察用ハロゲンランプ適用下で肉眼で観察して、横方向の縞柄の程度によって評価した。この時、塗布染みの特性に対する評価基準は、図1のとおりである。
【0048】
【表2】

【0049】
前記表2の結果を見れば、本発明の実施例1〜4は、比較例1〜3と比べて染みがなく、かつ塗布均一度が非常に優れていることが分かる。
【実験例2】
【0050】
<パターン形状>
前記実施例及び比較例で製造した液晶表示装置回路用フォトレジスト組成物を3インチシリコンウエハーに一定にスピン塗布した後、0.5トール(Torr)以下で60秒間減圧乾燥し、前記基板を110℃で90秒間加熱乾燥して、1.50μm厚さのフィルム膜を形成した。
【0051】
露光器を用いて露光させ、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetramethylammonium hydroxide)を含有する水溶液を室温で60秒間現像してパターンを形成した。形成されたパターンのプロファイルをSEMで観察した。この時、パターン形状に対する評価基準は図2のとおりであり、その結果は表3に表した。
【0052】
【表3】

【0053】
前記表3から分かるように、特定共溶媒を使用する実施例1〜4は、比較例1〜3に比べてパターン形状も優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ノボラック樹脂5〜30重量%、
(b)ジアジド系感光性化合物2〜10重量%、
(c)下記の化学式(1)で表される共溶媒1〜70重量%、及び
(d)有機溶媒残量
を含むフォトレジスト組成物。
【化1】

上記の式中、Rは、水素または1〜10個の直鎖または側鎖の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、1〜10個の直鎖または側鎖の炭素原子を有するアルキル基またはアリル基である。
【請求項2】
前記化学式(1)で表される共溶媒が、ジメチル−2−メチルグルタレート、ジメチルアジペート、ジメチルグルタレート、ジメチルスクシネート、ジイソブチルアジペート、ジイソブチルグルタレート、及びジイソブチルスクシネートからなる群より選択された1種以上のものである、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
前記ノボラック樹脂は、メタクレゾールとパラクレゾールの重量比が2:8〜8:2のノボラック樹脂の2種以上の混合物である、請求項1または2に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
前記感光性化合物は、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸塩、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸塩、またはこれらの混合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
前記有機溶媒は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、2−メトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及び1−メチル−2−ピロリジノンからなる群より1種以上選択されるものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項によるフォトレジスト組成物を基板にコーティングした後、熱処理して、所定厚さのフォトレジスト膜を形成し、露光及び現像してパターンを形成する段階を含むパターンの形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−113299(P2012−113299A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245429(P2011−245429)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(500013751)東進セミケム株式会社 (72)
【氏名又は名称原語表記】Dongjin Semichem Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】472−2 Gajwa−dong,Seo−ku,Incheon−city 404−250,Korea
【Fターム(参考)】