説明

フォークリフトトラック用安全装置

車体(3)と、車輪(6)が取り付けられ且つ車体(3)を支持する前車軸(4)と、車輪(7)が取り付けられ且つ車体(3)を支持する後車軸(5)と、前車軸(4)のところで車体(3)に取り付けられたリフト機構(8)を有するフォークリフトトラック(2)用の安全装置。該安全装置は、リフト機構(8)によって持ち上げられた荷物(X)に関する情報を取得する取得手段(31)と、該取得手段(31)に接続された処理ユニット(18)と、該処理ユニット(18)によって処理される信号(S、S1、S2)に従ってフォークリフトトラック(2)に作用する安全手段(30)とを具備する。取得手段(31)はリフト機構(8)に取り付けられる検出器(50)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、カウンタバランスフォークリフトトラック、リトラクタブルトラック、スタッカ、パイラ、リフト台を有するトラックなどのフォークリフトトラックおよび同等のもの用の安全装置に関する。以下の明細書の記載では、特にカウンタバランス付フォークリフトトラック用安全装置について説明しているが、これは本発明の思想の範囲を何ら限定するものではない。
【背景技術】
【0002】
カウンタバランス付フォークリフトトラックの標準的な構造は、前方に一つと後方にステアリング車軸との二つの車軸を備える車体を有する。前車軸は、通常、車体の前部に配置されるリフト機構の近くに二つの車輪を有する。フォークリフトトラックは後部に、車体と後部のステアリング車軸とに取り付けられる一組のカウンタウェイトを有し、後部のステアリング車軸は二つの横に離れた車輪を前車軸と同様に備える。なお、後車軸は、ツインホイールとしても知られているような共有する鉛直軸線周りで回転する近接する二つの車軸の組を有してもよく、あるいは、後車軸は、フォークリフトトラックの長手方向の中心線に配置され、また、鉛直軸線に対して回転する単一の後車軸を有してもよい。リフト機構は、通常、一つまたは複数の油圧リフトピストンによって駆動し、鉛直の支柱を用いて上下に可動するフォークを有する。フォークリフトトラックは、しばしば、車輪によって形成される接触面に比例して生じる重量の特有の分布のためにフォークリフトトラックの安定性を減少させるかなりの重量を扱うために用いられる。フォークリフトトラックが使用中に受ける長手方向の加速および横方向の加速で生じる動的な事象にも依存するこの減少した安定性のため、フォークリフトトラックあるいはフォークによって支えられている重荷がひっくり返る恐れがある。多くの装置、特にトラックの転倒の危険を減少するように設計された装置がフォークリフトトラックの安全性を増加させる目的で研究されてきた。大部分の公知の前述の装置は、前部のリフト機構を測定することで少しずつ時間を追って負荷状態を評価するように設計されている。しかし、これらの解決方法は、フォークリフトトラック全体、荷物、および接触面の安定性の実像を与えることはない。特許文献1に記載されている安全装置は、フォークリフトトラックが荷物の要因を車軸の重量分布に加えるように、略鉛直なガイドに沿ってスライドする後車軸を固定するユニットを備えることに関しても研究されてきた。固定ユニットは、車体と当該後車軸の固定ユニットとの間の相対運動を検出するためにリフトピストンに取り付けられる電位差計を有する。後車軸と車体とが、潜在的な前方への倒れる運動を引き起こすように互いに離れると、電位差計は、実質的な負荷の位置に平衡を取り戻すために、適当な接触面によって油圧リフトピストンと相互作用する。前記安全装置は、フォークリフトトラックの多大なコストと頻繁で恒常的な調整とを伴う特有の構造を必要とする、後車軸の固定ユニットの複雑な構造のためにいくつかの欠点を有する。
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0465838号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの目的は、接触面上の重量分布を考慮に入れ、実装するのが簡単で、フォークリフトトラックの構造に大規模な作業をすることなくどのようなタイプのフォークリフトトラックにも実質的に取り付けることが容易なフォークリフトトラック用の改良された安全装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その一つの態様によれば、本発明は請求項1に記載される安全装置を提案する。従属の請求項は本発明の好適で有利な実施形態に言及している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の概念の範囲を限定するものではない本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0007】
特に、図1を参照すると、参照符号1はフォークリフトトラック2用の安全装置または転倒防止装置を全体として示している。
フォークリフトトラック2は、公知のタイプのものであるので、ここでは、説明する内容の理解に必要な部分のみを備え、車輪6が取り付けられた前車軸4と車輪7が取り付けられた後車軸5によって支えられる車体3とトラック2の運転位置2aとを有する。
【0008】
以下の説明は、前輪6が舵取り不能であって後輪7が操舵である四輪のトラック2の一般的な場合を考慮している。
トラック2は、前輪6に配置されて車体3に対して傾く(揺動する)支柱9を備えるリフト機構8を有する。例えば油圧式のピストン11によって駆動する送り台10は、支柱9に沿って下端から上端およびその逆も同様にスライドする。
【0009】
送り台10は図1および図1aに示された荷物Xを支えると共に取り扱うためにセットされるフォーク10aで有利に構成される。
公知の構造によれば、トラック2は、該トラック2の動作に関する指示や情報、つまり、トラック2のドライバーOPによってセットされる主な動作パラメータおよびコマンドをサポートする通信チャネル12(例えばCANバスタイプ)を有する。
後述するように、安全装置1は、通信チャネル12を介してトラック2の動作部分に相互作用する。
【0010】
特に図1を参照すると、安全装置1が送り台10によって持ち上げられた荷物Xに関する情報を取得する手段31をどのように有するかが示されている。
取得手段31はリフト機構8に取り付けられた検出器50を有する。
詳細には、検出器50は、送り台10によって持ち上げられた荷物Xの重量Pを測定する重量センサ51を有する。
重量センサ51は公知のタイプのロードセルで有利に構成されており、したがって、さらに詳細には記載しない。
【0011】
図1に示される好適な実施形態では、重量センサ51は支柱9に配置されるピストン11に取り付けられる。なお、重量センサ51は送り台10に直接取り付けられてもよい。
検出器50は、車体3のベースから荷物Xまでの距離Dを測定する高さセンサ52も有している。
さらに詳細には、高さセンサ52は、超音波信号Uを送信する送信要素53と超音波信号Uを受信する受信要素54とで構成される。
【0012】
送信要素53が好ましくはフォーク10aに取り付けられるのに対して、受信要素54はトラック2全体が置かれるベースに相当する車体3のベース部54aに配置される。
高さセンサ52は超音波信号Uを処理するためのブロック55も有しており、該ブロック55は、超音波信号Uが発せられる速度(音速)と超音波信号Uを受信するのにかかる時間とに比例する距離Dを表す値を供給する。
【0013】
すなわち、送信要素53は、100msごとに1ms間、所定の周波数、例えば、40kHzで超音波信号Uを送信する。同時に、ブロック55は、受信要素54が超音波信号Uを受信した瞬間に停止するカウンターを稼働させる。このとき、ブロック55は、一定の速度で算出されて送り台10と車体3のベース54aとの間の距離を表す距離Dを提供する超音波信号転送時間である値を有することになる。
【0014】
安全装置は、重量センサ51によって得られる重量Pと高さセンサ52によって得られる高さ値Dとをアナログ値からデジタル値に変換するアナログ−デジタルコンバータ56も有している。
前記取得手段31は処理ユニット18に有利に接続される。
処理ユニット18は、これらデジタル値を受け取り、これらを予め定められた重量パラメータおよび高さパラメータと比較し、トラック2の安全状態を表す信号Sを送信する。
【0015】
すなわち、図1のフローチャートを参照すると、処理ユニット18は、重量Pが予め定められた負荷の安全値よりも大きいか否か、そして、距離Dが予め定められた高さの安全値よりも大きいか否かを検出する。
【0016】
特に、ブロック60において、重量Pが基準負荷値と比較される。重量Pが基準負荷値よりも大きい場合、ブロック61が、距離Dが基準高さ値よりも大きいか否かをチェックするための比較を行う。そして、距離Dが基準高さ値よりも大きい場合、持ち上げられた荷物Xの危険状態を表す信号S1がブロック70に送信される。
【0017】
重量Pが基準負荷値よりも小さい場合、あるいは、重量が基準負荷値よりも大きいが距離Dが基準高さ値よりも小さい場合、より小さい負荷値と重量Pとの間並びにより小さい高さ値と距離Dとの間でさらなる比較が行われる。
具体的には、より小さい負荷値は高さによって決まる重量からなり(高さが増加するに連れて負荷が減少する)、同様に、より小さい高さ値は負荷によって決まる距離を表す。
【0018】
すなわち、ブロック62は重量Pをより小さい負荷値と比較する。重量Pがより小さい負荷値よりも小さい場合、持ち上げられた荷物Xの安全状態を表す信号Sが送信される。その一方、重量Pがより小さい負荷値よりも大きい場合、ブロック63は距離Dがより小さい高さ値よりも大きいか否かをチェックするための比較を行う。距離Dが小さい場合、安全状態を表す信号Sが送信されるが、距離Dが大きい場合、持ち上げられた荷物Xの危険状態を表す信号S2が送信される。
【0019】
信号S、S1およびS2は、これら信号がトラック2に作用することができるようにトラック2に作用上の関係をもって接続される安全手段30に直接接続されているブロック70に送信される。
特に、安全手段30はトラック2に取り付けられる表示装置29を有する。安全手段30が持ち上げられた荷物Xの安全状態を表す信号Sを受信すると、表示機構は稼働せず、トラックが自由に動作可能となる。
【0020】
安全手段30が持ち上げられた荷物Xの危険状態を示す信号S1、S2を受信すると、表示機構が稼働する。
表示装置29は、以下にさらに詳細に述べるように、視覚の警告装置29aおよび/または聴覚のアラーム29bから構成される。
さらに、安全手段は、処理ユニット18によって処理された信号に応じてリフト機構8を稼働させたり停止させたりする制御部分57を有する。
【0021】
すなわち、信号S1、S2が予め定められた安全の閾値を危険なまでに超えた場合、制御部分57がトラックの転倒の危険を防止するためにリフト機構8を停止させる。これに代えてまたはこれに加えて、取得手段31が、トラック2の後車軸5と一体の負荷検出器13を有してもよい(図1a)。
【0022】
詳細には、図1aに示す実施形態において、以下に説明するように、検出器13はバー14を有し、該バーは後車軸5に固定され、後車軸と完全に略一体となって正確にその変形を再現するように、例えば鉄または同様の弾性特性を有する材料からできている。
二つのボルト14bを用いて後車軸5にバー14を固定するための一対の穴14aがバー14の端部にある。
検出器13は、バー14に接着剤で固定される公知のタイプの一対のホイートストン歪みゲージブリッジも有している。
【0023】
有利には、安全装置1は二つのホイートストン歪みゲージブリッジ15を有することで、それらの特性の劣化を許容し、二つのうち一つの機能不良を許容する。ホイートストン歪みゲージブリッジ15は、連続運転を保証するために冗長的に設置されている。
なお、公知のように、各ホイートストン歪みゲージブリッジ15は、例えば、半導体(または圧電抵抗)、接着型導体(または金属層または金属板)または非接着型導体(または抵抗線歪み計)を備える任意の公知のタイプの四つの歪みゲージを有する。
【0024】
公知のホイートストン歪みゲージブリッジ15の動作は、圧力を受け、それによって変形する導体の断面積/長さ比の変化に起因する電気抵抗の変動に基づく。
別の実施形態として、ホイートストン歪みゲージブリッジ15は、該ホイートストン歪みゲージブリッジ15と同じ機能を備える一つまたは複数の単純な歪みゲージ16で代用される。
なお、後車軸5は、略中間の部分5aと二つの半体部5bとを車輪7に取り付けられるピン5cと共に有する。
【0025】
トラック2は、その車輪7で地面に置かれ、部分5aで車体3に取り付けられる。
こうして、後車軸5は、その上の重量と車輪7を介する地面の反作用とによって部分5aで曲げ変形を受ける。したがって、後車軸5は、地面に面する下方のファイバーの伸びと、車体3に面する上方のファイバーの縮みとを特徴とする変形を受ける。
同様に、後車軸5と一体のバー14も、伸張した下方のファイバーと収縮した上方のファイバーとを有し、ホイートストン歪みゲージブリッジ15が前記変形を検出する。
【0026】
図示した好適な実施形態において、負荷検出器13は伸張したファイバーの伸びを測定するために後車軸5の下方に配置されている。
すなわち、バー14は、後車軸5の下方部分と一体的にされており、そして、ホイートストン歪みゲージブリッジ15がバー14の下部に接着されている。
【0027】
図示していない別の実施形態として、後述するように、安全装置1は、機能の連続性を維持する観点では二つのホイートストン歪みゲージブリッジを有する実施形態よりも信頼性が劣るが、より経済的であるので、トラック2を安定させるのに効果がある程度に、ただ一つのホイートストン歪みゲージブリッジ15、あるいは、ただ一つの単純な歪みゲージ16を有する。
【0028】
なお、バー14が後車軸5の上部に取り付けられ、ホイートストン歪みゲージブリッジ15(または単純な歪みゲージ16)が、それらが上方のファイバーの収縮を検出するように所定位置に接着されてもよい。
また、特に図2bと図2cに示したように、ホイートストン歪みゲージブリッジ15または単純な歪みゲージ16が図2aにおけるそれらの位置とは異なる位置に配置され、それらが間にバー14が挿入されていなくても変形を直接検出するように後車軸5に直接接着されてもよい。
【0029】
特に、それらは、車軸の揺動軸5dのところで後車軸5に取り付けられてもよいし、車輪7を支持するピン5cのところで後車軸5に取り付けられてもよい。
さらに、有利には、歪みゲージブリッジ15が後車軸5の各半体部5bに取り付けられてもよい。
図示した好適な実施形態の安全装置1の場合、後車軸5がトラック2の重量のみを受けている状態において略ゼロ値のアナログ信号が供給されるように、バー14と歪みゲージブリッジ15とがトラック2から完全に荷が下ろされてドライバーOPがいない状態で後車軸5に挟んで固定される。
【0030】
歪みゲージブリッジ15からのアナログ信号は、後車軸5にかかる全負荷の増加や減少に伴って変化する。特に、後車軸5自体が軽くなるとパーセンテージは増加する。
このように、アナログ信号は、後車軸5に対して、つまり、以下に詳述するように、トラック2の平衡に対しての重量分布に関する情報を含んでいる。
歪みゲージブリッジ15または単純な歪みゲージ16は、一般に、歪みゲージ変換器17を形成する。
歪みゲージ変換器は、歪みゲージブリッジ15または単純な歪みゲージ16によって検出されたアナログ信号を受信する処理ユニット18の入力に接続される。
【0031】
言うまでもなく、処理ユニット18は、歪みゲージブリッジ15または単純な歪みゲージ16からの信号を処理しなければならない場合に、異なる形でかつ適切に構成される。
この実施形態では、処理ユニット18の最初の段階にアナログ変調装置19を有する。
アナログ変調装置19は、歪みゲージ変換器17からの信号を取得し、負荷検出器13の電気的特性の通常のばらつきに起因する干渉と誤差をその信号から取り除くように信号を変調するように設計されている。
一例として、アナログ変調装置19は、機器として差動増幅器20を有するが、公知のタイプの機器であるので詳細には記載しない。
【0032】
処理ユニット18は、入力データの方向Aに従ってアナログ変調装置19の下流に、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタルコンバータ21を有する。例えば、アナログ−デジタルコンバータ21は、10ビット型で1kHzの変換速度である。
有利には、図示していない別の実施形態では、アナログ−デジタルコンバータ21は、任意のタイプでよく、必要とされる変換速度と分解能に応じて異なる特性パラメータを有してもよい。
【0033】
この実施形態では、処理ユニット18は、方向Aに従ってアナログ−デジタルコンバータ21の下流に、アナログ−デジタルコンバータ21によって生じるデジタル信号を変調するように設計されたデジタル変調装置23をその入力のところに備えるコンピュータ化されたチェック・制御ユニット22を有する。
詳細には、図示した好適な実施形態では、デジタル変調装置23は、方向Aに従って順に、フィルターを有するデジタル増幅器24とデジタルフィルター25とヒステリシス特性を備えるデジタル増幅器26とを有する。
【0034】
デジタル増幅器24、26とデジタルフィルター25は公知のタイプであり、従って詳述しないが、方向Aに従って下流に、適切に綺麗にされて変調されたデジタル信号を送信する。
このように変調されたデジタル信号は、後車軸5に関する重量分布を示し、以下、後車軸5に関する負荷表示または信号Cと称す。
【0035】
プロセッサ27はデジタル変調装置23に接続され、入力として信号Cを受け取り、以下に示す例のような安全装置1の使用手順と操作手順とを提供する。
安全装置1は、方向Aに従ってチェック・制御ユニット22の下流、特に、プロセッサ27の下流でチェック・制御ユニット22と通信チャネル12との間に配置されて動作するインターフェース28を有する。
【0036】
特に、インターフェース28は、方向Bに沿ってトラックからチェック・制御ユニット22に実質的に流れるトラック2の動作に関する上述した指示と情報とのほとんどをチェック・制御ユニット22に取得させることができる。
また、同様の指示と情報が、方向Aに沿ってトラック2へ戻され、実質的に、上記負荷表示Cに従って適切に再処理される。
【0037】
表示装置29は、運転位置2a近くでトラック2に配置され、チェック・制御ユニット22のプロセッサ27によって制御される。
上記表示装置29は、例えば、異なる色の一組の発光ダイオードである視覚の警告装置29aと、公知のタイプなので詳述しない聴覚のアラーム29bとを有する。
【0038】
例えば、簡単にするためには、四つの黄色の発光ダイオードと二つの緑の発光ダイオードと一つの赤い発光ダイオードとが発光ダイオードスケールを形成して視覚警告装置29aを構成し、ブザーが聴覚アラーム29bを構成する。有利には、発光ダイオードは、供給される視覚表示のタイプに応じた任意の色で任意の数であればよく、視覚警告装置29aは、目盛を刻んだスケール上に可動可能なポインターを備える表示器を有しればよい。
【0039】
発光ダイオードとブザーとを有する表示装置29は、通信チャネル12とインターフェース28と共に安全手段30を形成する。同様に、負荷検出器13は、バー14とホイートストンブリッジ15と歪みゲージと共に、トラック2の平衡に関する情報を取得する手段31を形成する。
【0040】
具体的には、トラック2が重い荷物または荷物Xを許容高さよりも高くまで持ち上げると、検出器50が重量信号Pと距離信号Dとを、信号を処理する処理ユニット18に送信する。処理ユニット18によってなされた前述の処理の後、信号S、S1またはS2が安全手段30に送信される。この時点で、信号がトラック2の危険状態を示している場合、安全手段30はリフト機構8を停止するか、または、聴覚的/視覚的にオペレーターOPに警告する。
【0041】
なお、これに加えてまたはこれに代えて、任意の動作状態におけるトラック2の長手方向の平衡を考慮すれば、本文で特に注目する前方への転倒の場合、トラック2の全重量が前車軸4に向かって移動し、トラック2が地面と接触するのが点だけになる傾向がある。
言い換えると、前方への転倒状態に近づくにつれ、後車軸5によって支持される重量がゼロに向かって減少し、後車軸5から完全に負荷が除かれる。
【0042】
歪みゲージ変換器17は、トラック2の使用状態と負荷状態の変化で後車軸5の撓みを実質的に測定し、トラック2の平衡の表示器である信号Cを作り出す。
既述したように、図示した好適な実施形態において、信号Cは、後車軸5の負荷が徐々に除かれるにつれ、プラスの比率として増加する。
【0043】
図3のブロック図の詳細は、図4a〜4eのフローチャートに記載されている。
動作ブロック102、112、118では、トラック2に関するデータが取得され、示されているように、実際の動作中、これらデータは、逆方向Bに沿って通信チャネル12から到来し、比較定数と比較パラメータとが図示していないが処理ユニット18によって用いられるメモリセルから到来する。
【0044】
実質的に同じように、動作ブロック202、203、204で実施される指示またはコマンドが、実際の動作中、対応する動作ブロック111、117、124によって通信チャネル12で利用される。
【0045】
図4aを参照すると、略ブロック200、201が、フローチャートにおいて、信号Cが定量化されて次のブロックに送信される開始動作ブロック100および算出動作ブロック101として簡単に表されている。
【0046】
図4bを参照すると、図示されたフローチャートは、ドライバーOPによってセットされるLUPコマンドおよびLDOWNコマンドに従って送り台10の上昇行程のためのLUP1コマンドのランプと下降行程のためのLDOWN1コマンドのランプとを算出すると共に送り台10の上昇/下降行程速度の制限値LOを算出する手順を図式化している。
【0047】
動作ブロック103では、トラック2の動作速度Vが基準値V1、例えば6km/hと比較される。速度VがV1よりも大きいと、送り台10は限界値と等しい高さhL、例えば100cmで止められる(動作ブロック104)。
次いで、動作ブロック105では、信号Cが評価され、それが95%よりも大きい場合には、ゼロのLUPコマンドがセットされて送り台10の上昇行程が止められ、阻止される(動作ブロック106)。すなわち、有利なことに、送り台10を下げることはまだ可能である。
【0048】
信号Cが85%よりも大きいが95%よりも小さい場合(動作ブロック107)、送り台10の上昇行程のコマンドLUPは、動作ブロック108で最小値LMINに制限される。
そして、動作ブロック109において、LUP1コマンドのランプがLUPコマンドと時定数RC1との関数Rとして算出されると共に、LDOWN1コマンドのランプがLDOWNコマンドと時定数RC2との関数Rとして算出される。
これらランプは、時定数RC1、RC2に従ってトラック2のドライバーOPによって通常、ステップタイプで設定されるLUPコマンドとLDOWNコマンドとを緩和するように算出される。
【0049】
そして、動作ブロック110では、送り台10の上昇および下降の両方の動作速度に関する別の制限値LOが動作ブロック109で算出されたLUP1コマンドとLDOWN1コマンドと別の制御値LOにおいて信号Cがとらなければならない「重量」に関する定数L1と信号C自体とに従って算出される。
また、図示したように、動作ブロック111は、対応する使用に利用可能な結果を作り出す。
【0050】
図4cを参照すると、図示したフローチャートは、支柱9をトラックに対して後方に倒すTUPコマンドと前方に倒すTDOWNコマンドとに従って支柱9を揺動させるためにトラック2のドライバーOPによってセットされたTUP1コマンドおよびTDOWN1コマンドの実行に関する。
【0051】
動作ブロック113では、信号Cが評価され、それが85%よりも大きい場合には、支柱9の前方への揺動が停止される(TDOWN=0、動作ブロック114)。
動作ブロック115では、TUP1コマンド信号とTDOW1コマンド信号とが算出され、すなわち、TUPコマンドとTDOWNコマンドとが突然実行されないようにそれぞれ時定数RC3、RC4に従って実質的にステップ的に調整される。
動作ブロック116では、新しいTUP1コマンドおよびTDOWN1コマンドと、信号Cと、制限値TOの算出に必要な信号Cの発生率を示す定数L2とに従って制限値TOが前方への揺動速度と後方への揺動速度とに対して算出される。
【0052】
図4dを参照すると、フローチャートはトラック2の速度Vの制限に関して示されている。
動作ブロック119では、送り台10の高さhLが基準値、例えば100cmと比較され、送り台の高さが基準高さを超えている場合には、トラック2の速度は速度制限値L4を超えることができない(動作ブロック120)。
信号Cが95%よりも大きい場合(動作ブロック121)、トラック2の速度Vは動作ブロック122内で制限値L4の半分と等しい値に制限される。
【0053】
動作ブロック123では、ドライバーOPによってセットされたコマンドVIと実際のトラック2の速度Vと信号Cとに従って速度Vを調整するためにコマンドVOが算出される。
安定性を損なう恐れのあるすべての静的および動的な事象を減らすようなトラック2の指示の実行から得られる上述の操作と同時に、プロセッサ27は、トラック2の平衡状態を示すための手順も実行する。
【0054】
図4eを参照すると、発光ダイオードのスケールをゼロにする動作ブロック125の下流で、信号Cがより大きい比率の制限値と連続して比較される一組の動作ブロック(126から134)が示されている。
各比較は、トラック2の平衡が徐々により不安定になるにつれ、異なる表示をする(動作ブロック135から143)。
一例として説明した表示装置29の場合、最初の四つの発光ダイオードは緑、第五と第六の発光ダイオードは黄色、第七の発光ダイオードは赤である。
【0055】
図4bから4eに示される単一のフローチャートの枝は、すべて、番号400bから400eの算出動作ブロックのそれぞれの「終了」で終了している。
なお、本発明の概念の範囲を限定するものではない一例として説明したチェック手順は、トラック2の動作中に連続して繰り返し実行され、すなわち、それぞれの終わりのブロックの後に図3に示すブロック201から実行が実質的に再開される。
【0056】
また、コンピュータユニット22のチェック・制御機能は、本発明の一部ではないので、詳細には説明しない。
また、ドライバーOPによってセットされるコマンドの実行および/または訂正の方法は公知である。
例えば、図示していない細部を参照すると、リフト機構8は通常、油圧であるので、揺動または上昇行程の速度の修正は、通常、電動のポンプの回転速度を調整することによってパイプ内のオイルの移動を増加または減少することによってなされる。
【0057】
同様に、電動比例弁内のオイルの流速に調整がなされてもよい。
本発明は重要な利点をもたらす。
第一に、トラック2は、オペレーターが過度の荷物Xを持ち上げたりトラック2の安定性を損なう高さに荷物を持ち上げたりするたびにリフト機構8を停止させる自動装置1を有する。自動装置1が重量と高さを独立してチェックするので、オペレーターが荷物Xの重量も高さも判断する必要がない利点がある。
【0058】
さらに、後車軸5の瞬時の変形に基づいて得られる信号Cは、前車軸4周りのトラック2全体の平衡を表す。
幾何学的には、トラック2の長手方向の平衡を考慮すると、全体の重量が二つの車軸4、5に略分布されているので、結果として生じる変形と共に徐々に軽くなる後車軸5は、前方に傾く傾向を示す。
また、このタイプのアプローチは、トラック2の安定性の実像を作りだし、トラック2のドライバーの補助になる。
【0059】
さらに、簡単な構造を備えたユーザーフレンドリーな自動装置1は、四つの車輪を備えるタイプの任意のフォークリフトトラックに簡単に適合し、後車軸上の負荷が測定される三つの車輪あるいは二つの後車輪を備えるフォークリフトトラックにさえ簡単に適合する。
トラック2の平衡に従って実行されるコマンドは、トラック2をより安定させ、ドライバーの危険を減少し、彼の操作を助力するようにドライバーによって与えられたコマンドを調整する。
説明した発明は、特許請求の範囲に記載される本発明の概念の範囲から逸脱することなく改良し、変形してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明による安全装置を備えるフォークリフトトラックの略側面図である。
【図1a】図1に示されるフォークリフトトラックの安全装置の詳細な図である。
【図2a】図1aに示される安全装置の細部の拡大した略背面図である。
【図2b】図2aに示される同様の細部の異なる実施形態の拡大した略背面図である。
【図2c】図2bに示される細部の上面図である。
【図3】本発明による安全装置の動作手順に関する略ブロック図である。
【図4a】図3に示される略ブロック図におけるブロックを説明するフローチャートである。
【図4b】図3に示される略ブロック図におけるブロックを説明する別のフローチャートである。
【図4c】図3に示される略ブロック図におけるブロックを説明するさらに別のフローチャートである。
【図4d】図3に示される略ブロック図におけるブロックを説明するさらに別のフローチャートである。
【図4e】図3に示される略ブロック図におけるブロックを説明するさらに別のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(3)と、車輪(6)が取り付けられ且つ前記車体(3)を支持する前車軸(4)と、車輪(7)が取り付けられ且つ前記車体(3)を支持する後車軸(5)と、前記前車軸(4)のところで前記車体(3)に取り付けられたリフト機構(8)を有するフォークリフトトラック(2)用の安全装置において、前記リフト機構(8)によって持ち上げられた荷物(X)に関する情報を取得する取得手段(31)と、該取得手段(31)に接続された処理ユニット(18)と、該処理ユニット(18)によって処理される信号(S、S1、S2)に従って前記フォークリフトトラック(2)に作用する安全手段(30)とを具備し、前記取得手段(31)が前記リフト機構(8)に取り付けられる検出器(50)を有することを特徴とする安全装置。
【請求項2】
前記検出器が持ち上げられた荷物(X)の重量(P)を測定する重量センサ(51)と、前記車体(3)のベース(54a)から荷物(X)までの距離(D)を測定する高さセンサ(52)とを有することを特徴とする請求項1に記載の安全装置。
【請求項3】
前記重量センサ(51)が荷物(X)を持ち上げるためにセットされたリフト機構(8)の送り台(10)に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の安全装置。
【請求項4】
前記重量センサ(51)が前記リフト機構(8)のピストン(11)に取り付けられ、該ピストン(11)が荷物(X)を持ち上げるための送り台(10)に作用することを特徴とする請求項2に記載の安全装置。
【請求項5】
前記高さセンサ(52)が超音波信号(U)を送信するために前記送り台(10)に取り付けられた送信要素(53)と、超音波信号(U)を受信するために前記車体(3)のベース部(54a)に取り付けられた受信要素(54)とを有することを特徴とする請求項3および/または4に記載の安全装置。
【請求項6】
前記高さセンサ(52)が前記受信要素(54)によって受信された超音波信号(U)を処理するための処理ブロック(55)を有し、該処理ブロック(55)が超音波信号(U)の速度と超音波信号(U)が前記受信要素(54)によって受信されるまでにかかる時間とに比例する距離(D)を表す値を供給することを特徴とする請求項5に記載の安全装置。
【請求項7】
前記重量センサ(51)によって供給される重量(P)と前記高さセンサ(52)によって供給される距離(D)とをアナログ値からデジタル値に変換するアナログ−デジタルコンバータ(56)を具備する請求項2から6のいずれかに記載の安全装置。
【請求項8】
前記処理ユニット(18)が前記デジタル値を受け取ってそれらを予め定められた重量パラメータおよび高さパラメータと比較するために前記アナログ−デジタルコンバータ(56)に接続され、該処理ユニット(18)によって処理された信号(S、S1、S2)が前記重量(P)と前記距離(D)とに従ってフォークリフトトラック(2)の安全状態を表すことを特徴とする請求項7に記載の安全装置。
【請求項9】
前記安全手段(30)がフォークリフトトラック(2)に取り付けられる表示装置(29)を有することを特徴とする請求項8に記載の安全装置。
【請求項10】
前記表示装置(29)が視覚警告装置(29a)を有することを特徴とする請求項9に記載の安全装置。
【請求項11】
前記表示装置(29)が聴覚アラーム(29b)を有することを特徴とする請求項9および/または10に記載の安全装置。
【請求項12】
前記安全手段(30)が前記処理ユニット(18)によって処理された信号(S、S1、S2)に従って前記リフト機構(8)を稼働または停止させる制御部分(57)を有することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の安全装置。
【請求項13】
前記取得手段(31)が前記後車軸(5)に取り付けられた負荷検出器(13)を有することを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の安全装置。
【請求項14】
前記負荷検出器(13)が前記後車軸(5)と一体の歪みゲージ変換器(17)を有し、前記情報が前記後車軸(5)の曲げ変形によって決定されることを特徴とする請求項13に記載の安全装置。
【請求項15】
前記歪みゲージ変換器(17)が少なくとも一つのホイートストン歪みゲージブリッジ(15)または単純な歪みゲージ(16)を有することを特徴とする請求項14に記載の安全装置。
【請求項16】
前記ホイートストンブリッジ(15)が少なくとも一つの半導体歪みゲージを有することを特徴とする請求項15に記載の安全装置。
【請求項17】
前記ホイートストンブリッジ(15)が少なくとも一つの接着型導体歪みゲージを有することを特徴とする請求項15に記載の安全装置。
【請求項18】
前記ホイートストンブリッジ(15)が少なくとも一つの非接着型導体歪みゲージを有することを特徴とする請求項15に記載の安全装置。
【請求項19】
前記負荷検出器(13)が前記後車軸(5)にしっかりと固定されたバー(14)を有し、前記歪みゲージ変換器(17)が前記バー(14)に接続されていることを特徴とする請求項14から18のいずれかに記載の安全装置。
【請求項20】
前記処理ユニット(18)が前記情報を変調するアナログ変調装置(19)を有し、前記情報がアナログ信号で構成されていることを特徴とする請求項1から19のいずれかに記載の安全装置。
【請求項21】
前記処理ユニット(18)が前記アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタルコンバータ(21)と、前記安全手段(30)の使用手順を実行するために入力として前記デジタル信号を受け取るコンピュータ化されたチェック・制御ユニット(22)とを有することを特徴とする請求項20に記載の安全装置。
【請求項22】
前記チェック・制御ユニット(22)が前記デジタル信号を変調するデジタル変調装置(23)を有することを特徴とする請求項21に記載の安全装置。
【請求項23】
前記フォークリフトトラック(2)が該フォークリフトトラック(2)の動作に関する複数の指示をサポートする通信チャネル(12)を有し、前記安全手段(31)が前記チェック・制御ユニット(22)と前記通信チャネル(12)との間に配置されて動作する接続インターフェース(28)を有し、該接続インターフェースが前記チェック・制御ユニット(22)が前記通信チャネル(12)からの指示を取得して前記デジタル信号に従って適切に再処理されたそれら指示を戻すことを可能にすることを特徴とする請求項21または22に記載の安全装置。

【図1】
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【図1a】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【公表番号】特表2008−503417(P2008−503417A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517470(P2007−517470)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000554
【国際公開番号】WO2006/008586
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(501489029)チェザーブ カレッリ エレバトーリ ソチエタ ペル アツィオニ (1)
【Fターム(参考)】