説明

フシジン酸クリームを作製する方法

本発明は、開始原材料としてフシジン酸ナトリウムからin situで形成されるフシジン酸を含有し、フシジン酸ナトリウムが、不活性ガス、好ましくは窒素を用いて作り出した無酸素環境下でフシジン酸へと変換される、皮膚用医薬品クリームを作製する方法を開示する。本発明の方法によって生成されたクリームは、フシジン酸を含有する慣用のクリームよりも長い貯蔵寿命、高い安定性およびより細かいAPIの粒子径を有する。本発明の方法によって生成されたクリームは、保存料、酸、共溶媒、乳化剤およびワックス状物質ならびに水、好ましくは精製水を含むクリーム基剤中の、APIとしてフシジン酸ナトリウムからin situで形成されたフシジン酸を含有する。本発明の方法によって生成されたクリームは、緩衝剤、抗酸化剤、キレート化剤、および湿潤剤、またはその任意の組合せを含む群から選択される成分を任意選択でさらに含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次および二次の細菌性皮膚感染症に関し、より詳細には、本発明は、フシジン酸ナトリウムを開始原薬(API)として使用してin situで作製したフシジン酸が取り込まれている、これらの感染症の処置に有用なクリームの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
局所的および全身性の両方の数々の処置が、黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカスsppなどの感受性グラム陽性生物によって引き起こされる一次および二次の皮膚感染症に利用可能である。局所的および全身性の細菌感染症処置組成物では、典型的に、基剤構成成分と組み合わせた少なくとも1つの原薬(API)を用いる。クリーム形態では、APIは典型的にはフシジン酸などの抗生物質/抗細菌剤を含む。
【0003】
現在入手可能なフシジン酸クリームでは、微粉末形態のフシジン酸をAPI源として使用する。小さな粒子径は、大きな比表面積および浸透をもたらすことによって皮膚とのその接触を増大させ、皮膚に塗布した際に滑らかな感触をもたらす。しかし、フシジン酸粒子の微細な大きさの重大な欠点は、クリームの製造、取扱い、および加工中に酸素分子と接触および反応する、莫大な表面積を提示することである。これは、その化学的安定性に重大な意味を持ち、最終クリーム配合物中のAPI(フシジン酸)の効力の迅速な低下をもたらす。酸化による分解が、現在入手可能なフシジン酸クリームの不安定性の主な原因である。表1は、酸素に曝したAPI試料(フシジン酸)の分解が、室温〜45℃の範囲の条件において3カ月の曝露期間で分析した場合に、上記7.7%〜11%の範囲であったことを示す。
【0004】
未加工のAPIとしてのフシジン酸の酸素への曝露時間が長ければ長いほど、配合物中のフシジン酸を安定化することに対する制限が大きくなることが知られている。しかし、一定期間にわたるフシジン酸の安定性の公開されているデータは存在しない。
【0005】
フシジン酸の代替物質として、局所的塗布用の皮膚用医薬品を作製するためにフシジン酸ナトリウムが使用されることが知られている。しかし、これらはクリームではなく軟膏の形態である。クリームよりも大きな軟膏の欠点は当分野で周知であり、一般に、局所的塗布には軟膏ではなくクリームを使用することが好ましい。
APIとしてのフシジン酸のいくつかの側面が知られている:
・これは熱不安定性である
・これはクリーム配合物で入手可能である
・これは、フシジン酸ナトリウムから、後者を水相に溶かし、酸を溶液に加え、それによりフシジン酸を沈殿させることによって得ることができる。しかし、フシジン酸沈殿物は、クリーム形態への加工が、第1にその粗くかつ不均一な粒子径が原因で、第2にフシジン酸を湿ケークから回収することは乾燥およびさらなる取扱いを含み、これは酸素への曝露のためにフシジン酸を劣化させることが原因で、困難である
・フシジン酸クリーム中でのAPIの安定性は、フシジン酸の熱不安定性の性質が原因で信頼できない。
【0006】
フシジン酸を含有する医薬品を酸化に対して安定化させることは、製造および貯蔵中にいくつかの厳密な予防的手順を観察することを含む。これらには、
・調剤容器中の酸素を窒素、二酸化炭素、ヘリウムなどの不活性ガスで置き換えること、
・医薬品と酸化を触媒する重金属イオンとの接触を回避すること、
・APIを、加工前のその貯蔵寿命の間中、低温で保管すること
が含まれる。
【0007】
実際には、これは、そのようなAPIの製造および貯蔵中のより厳しい制御を意味する(典型的にはその貯蔵寿命の間中、2℃〜8℃で気密容器中に保管すること)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、フシジン酸が、特にクリームの製造時に、慣用のクリーム中でのフシジン酸の安定性よりも高い安定性のものであり、また、その貯蔵寿命の間中その安定性が許容されるレベルで維持される、フシジン酸クリームを作製する方法を提供する必要性が存在する。
【0009】
したがって、本発明の1つの目的は、フシジン酸を活性APIとして含有するが、その貯蔵寿命の間中、他の手段を用いて製造したフシジン酸よりも高いAPIの安定性を有する、クリームを作製する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、開始原材料としてフシジン酸ナトリウムからin situで形成されるフシジン酸を含有し、フシジン酸ナトリウムが、不活性ガス、好ましくは窒素を用いて作り出した無酸素環境下でフシジン酸へと変換される、皮膚用医薬品クリームを作製する方法を開示する。本発明の方法によって生成されたクリームは、フシジン酸を含有する慣用のクリームよりも長い貯蔵寿命、高い安定性およびより細かいAPIの粒子径を有する。本発明の方法によって生成されたクリームは、保存料、酸、共溶媒、乳化剤およびワックス状物質ならびに水、好ましくは精製水を含むクリーム基剤中の、APIとしてフシジン酸ナトリウムからin situで形成されたフシジン酸を含有する。本発明の方法によって生成されたクリームは、緩衝剤、抗酸化剤、キレート化剤、および湿潤剤、またはその任意の組合せを含む群から選択される成分を任意選択でさらに含有する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らは既に、フシジン酸およびフシジン酸ナトリウムをAPIとして有する局所用調製物の既知の側面を記述している。現在の既知知識から、
−フシジン酸ナトリウムを開始APIとして使用して作製されたフシジン酸含有クリームは入手可能でないこと、
−APIとしてのフシジン酸ナトリウムの安定性に関する公開されているデータは存在しないこと、
−フシジン酸ナトリウムは、APIとしてフシジン酸よりも本質的に安定であるとみなされていないこと
が明らかである。
【0012】
これにもかかわらず、驚くべきことに、APIとしてのフシジン酸ナトリウムはフシジン酸よりも有意に安定性が高く、フシジン酸はフシジン酸ナトリウムよりも迅速に劣化することが発見された。
【0013】
APIとしてのフシジン酸ナトリウムの安定性に関する公開されているデータは存在しない。本出願人は、その安定性を評価するためにフシジン酸ナトリウムで実験を行った。表2から、室温〜45℃の温度範囲にわたるフシジン酸ナトリウムの分解の範囲は2.45%〜6%であったことを見ることができる。
【0014】
また、表1および2は、未加工のAPIとしてのフシジン酸とフシジン酸ナトリウムとの間の安定性の比較も示す。研究は本出願人によって開発されたインハウスのHPLC方法を用いて実施し、本出願人は、英国薬局方(BP)で提案されている滴定方法とは対照的にこれが真の安定性を示す方法であると考えている。これは、BP方法ではインタクトなAPIと分解された形態とを区別しないためである。
【0015】
フシジン酸の安定性分析:
表1:安定性指示HPLC方法および滴定方法による、3カ月経ったフシジン酸(API)の分析
【表1】

試料名:フシジン酸BP
パック:開けたおよび閉じたペトリ皿
【0016】
フシジン酸ナトリウムの安定性分析:
表2:安定性指示HPLC方法および滴定方法による、3カ月経ったフシジン酸ナトリウム(API)の分析の結果
試料名:フシジン酸ナトリウムBP
パック:開けたおよび閉じたペトリ皿
【表2】

【0017】
どちらの研究においても、初期は、APIを供給者から受け取った時点で試験した試料の結果を示す。
【0018】
表1および2から、
・フシジン酸の場合、3カ月、室温(開条件)で約7.7%の損失があり、3カ月、45℃(開条件)で約11%の損失がある
・フシジン酸ナトリウムの場合、3カ月、室温(開条件)で約2.5%の損失があり、3カ月、45℃(開条件)で約6%の損失がある
ことを観察することができる。
【0019】
したがって、データは、APIとしてのフシジン酸ナトリウムがフシジン酸よりも安定していることを示している。
【0020】
本出願人らは、フシジン酸ナトリウム(フシジン酸ではなく)を用いてクリーム(軟膏ではなく)を作製する可能性を調査した。フシジン酸ナトリウムは皮膚用医薬品の応用に使用されてきたが、フシジン酸ナトリウムを使用したクリームを作製することは可能ではなかった。これは、フシジン酸ナトリウムに固有のアルカリ度(pH7.5〜9)が原因であり、これをクリーム形態で使用することができない、したがってフシジン酸ナトリウムを出発物質として使用して製造したすべての生成物は軟膏であることを意味する。フシジン酸ナトリウムを使用した皮膚用医薬品クリームでは、フシジン酸ナトリウムがフシジン酸よりも安定しているという利点を活用し、また、軟膏よりもその塗布品質がはるかに優れているクリーム配合物が提供される。したがって、現在入手可能なフシジン酸含有クリームよりも良好な安定性を有するクリームの、存在する必要性が満たされる。
【0021】
したがって、本出願人は、驚くべきことに、皮膚用医薬品クリーム中でAPIのより高い安定性を達成するために、フシジン酸ではなくフシジン酸ナトリウムをクリームの製造中の開始APIとして使用し得ることを発見した。フシジン酸ナトリウムを出発物質として使用することにより、既存のフシジン酸クリームの製造および貯蔵に関連する欠点が排除される。
【0022】
また、本出願人は、フシジン酸ナトリウムを開始APIとして用いて調製したフシジン酸クリームが良好な化学的安定性、有効性、および微生物感度を示すことも発見した。
【0023】
本出願は、フシジン酸ナトリウムを開始APIとして使用して調製した、フシジン酸(API)を含有するクリームを作製する方法であって、フシジン酸は、in situで不活性ガス、好ましくは窒素を用いて作り出した完全に無酸素の環境下で酸をゆっくりと加えることによって、中間段階で分子分散形態(共溶媒の存在が原因)へと形成され、最終クリーム基剤に加えた際に非常に微細な分散として再生され、それにより、最終クリーム中に微細かつ均質に分散したフシジン酸がもたらされる方法を開示する。これらの操作はすべて、不活性ガス、好ましくは窒素を用いて作り出した、大気中の酸素を含まない環境中で行う。本発明の方法を用いて作製したクリームは、緩衝剤、保存料、酸、共溶媒、乳化剤およびワックス状物質ならびに水、好ましくは精製水を含むクリーム基剤中の、APIとしてフシジン酸ナトリウムからin situで形成されたフシジン酸を含有する。
【0024】
本発明の方法において開始APIとして用い得るAPIは、細菌性の一次および二次感染症の処置の分野で周知の、酸系の活性物質またはその塩のどちらかである。使用し得る適切な酸系の活性物質またはその塩の例には、それだけには限定されないがフシジン酸ナトリウムが含まれる。
【0025】
これらの酸系の活性化合物またはその塩は、化合物の刺激が強いことが原因でそれだけでヒトの皮膚上に直接置くことができないため、化合物を使用した医薬組成物中で使用する基剤構成成分を必要とする。
【0026】
本発明の方法を用いて作製したクリームのクリーム基剤は、抗酸化剤、キレート化剤、および湿潤剤、またはその任意の組合せを含む群から選択される成分を任意選択でさらに含む。
【0027】
本発明は、一般に市販のフシジン酸含有クリームよりも優れた高い治療上の有効性および化学的安定性のフシジン酸を含有する、フシジン酸ナトリウムを開始原材料として使用して生成した新規クリームを作製する方法を提供する。
【0028】
本発明の方法を用いて作製したフシジン酸クリームは、不活性ガスでパージし、真空を適用する、完全に無酸素の環境中で製造され、不活性ガスは好ましくは窒素である。これらの条件下では、フシジン酸ナトリウムはin situでフシジン酸へと変換される。本発明のクリームは、細菌性皮膚感染症の処置に使用する。
【0029】
新規フシジン酸ナトリウムクリームの製造プロセスの詳細
好ましい第1の実施形態
本発明の好ましい実施形態は、フシジン酸ナトリウムを未加工のAPIとして使用し、それをクリーム基剤中、in situ、無酸素環境下でフシジン酸へと変換するステップを含む、フシジン酸を含有する皮膚用医薬品クリームを作製する方法を開示する。
【0030】
第2の実施形態
本発明の一実施形態では、好ましい実施形態のフシジン酸ナトリウムをin situでフシジン酸へと変換するステップが、
a.20%(w/w)〜75%(w/w)、好ましくは35%(w/w)〜50%(w/w)、より好ましくは40%(w/w)〜43%(w/w)の範囲の精製水を、水相容器中で70℃〜80℃まで加熱するステップと、
b.前記水相容器に、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロクレゾール、ソルビン酸カリウム、安息香酸などを含む群から選択される保存料を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、0.05%(w/w)〜0.5%(w/w)、好ましくは0.3%(w/w)、より好ましくは0.2%(w/w)の量で、より好ましくは安息香酸を加えるステップと、
c.混合物を、撹拌器を用いて、10〜50RPMで、混合物の温度を70℃〜80℃に維持したままで混合するステップと、
d.白色軟パラフィン、流動パラフィン、固形パラフィンなどを含む群から選択されるワックス状物質を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、5%(w/w)〜20%(w/w)、好ましくは15%(w/w)、より好ましくは12.5%(w/w)の量で、油相容器に加え、70℃〜80℃まで加熱することによって前記ワックスを溶かすステップと、
e.前記油相容器に、好ましくはセトステアリルアルコール、セトマクロゴール−1000を含む群から選択される非イオン性界面活性剤の形態の一次乳化剤を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、好ましくは1%(w/w)〜15%(w/w)、好ましくは15%(w/w)、より好ましくは12.5%(w/w)の量のセトステアリルアルコールを加え、任意選択で、ポリソルベート−80、Span−80などを含む群から選択される二次乳化剤、好ましくはポリソルベート−80を、1〜5%w/w、より好ましくは2%w/wの量で加え、混合物を、好ましくは撹拌器を用いて、10〜50RPMで、混合物の温度を70℃〜80℃に維持したままで十分に混合するステップと、
f.マイナス1000〜マイナス300mm水銀の範囲の真空下および70℃〜80℃で、水相および油相容器の内容物を混合容器に移し、混合物を、好ましくは撹拌器を用いて、10〜50RPMで十分に混合して乳濁液を形成するステップと、
g.前記乳濁液を、好ましくは、冷却塔からの好ましくは8℃〜15℃の冷水を混合容器のジャケット中に循環させることによって45℃まで冷却するステップと、
h.API容器中に、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール−400などを含む群から選択される共溶媒を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、5%(w/w)〜40%(w/w)、好ましくは30%(w/w)、より好ましくは25%(w/w)の量で、好ましくはプロピレングリコールを加え、前記API容器の内容物を好ましくは窒素である不活性ガスのフラッシングに供し、フシジン酸ナトリウムを0.1%(w/w)〜約25%(w/w)、好ましくは約0.5%(w/w)〜約5%(w/w)、より好ましくは約2.08%(w/w)の量で混合物に加え、前記フシジン酸ナトリウムを混合物中で溶かすステップと、
i.HCl、H2So4、HNO3、乳酸などの酸を含む群から選択される酸を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、好ましくは硝酸を使用することによって、ステップhのAPI容器中の混合物のpHを2未満に調整して、約0.005%(w/w)〜0.5%(w/w)、好ましくは0.3%(w/w)、より好ましくは0.25%(w/w)の割合を形成するステップと、
j.ステップiのAPI容器の内容物を10〜50RPMで連続的に撹拌しながらステップgの混合容器に移し、混合物を1000〜3000RPMで、好ましくは窒素である不活性ガスのフラッシング下で、かつマイナス1000〜マイナス300mm水銀の真空下でホモジナイズするステップと、
k.冷却塔からの8℃〜15℃の冷却した水の、混合容器のジャケット内への循環を用いて、ステップjの混合容器の内容物を30℃〜37℃まで冷却するステップと、
l.撹拌器およびホモジナイザーを止め、ステップkの混合容器の混合物を貯蔵容器に取り出すステップと
を含む、組成物を作製する方法を開示する。
【0031】
第2の実施形態
本発明の一実施形態では、上記第1の実施形態のステップhの共溶媒は湿潤剤としても役割を果たす。しかし、本発明の別の実施形態では、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコールなどを含む群から選択される追加の湿潤剤を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで加えて、約5%(w/w)〜40%(w/w)、好ましくは30%(w/w)、より好ましくは25%(w/w)の割合を形成してもよい。
【0032】
第3の実施形態
本発明の別の実施形態では、第2の実施形態に記載のプロセスには、EDTA二ナトリウムなどを含む群から選択されるキレート化剤を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで加えて、約0.01%(w/w)〜1%(w/w)、好ましくは0.5%(w/w)、より好ましくは0.1%(w/w)の割合を形成することが、さらに組み込まれている。
【0033】
第4の実施形態
本発明のさらに別の実施形態では、第2および3の実施形態に記載のプロセスには、オルトリン酸水素二ナトリウム、オルトリン酸水素ナトリウムなどを含む群から選択される緩衝剤が、約0.01%(w/w)〜1.00%(w/w)、好ましくは0.5%(w/w)、より好ましくは0.05%(w/w)でさらに組み込まれている。
【0034】
第5の実施形態
本発明のさらなる実施形態では、第2〜4の実施形態に記載のプロセスには、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンなどを含む群から選択される抗酸化剤が、約0.001%(w/w)〜5%(w/w)、好ましくは0.1%(w/w)、より好ましくは0.01%(w/w)でさらに組み込まれている。
【0035】
第6の実施形態
好ましい実施形態に従って組成物を作製する、
a.20%(w/w)〜75%(w/w)、好ましくは35%(w/w)〜50%(w/w)、より好ましくは40%(w/w)〜43%(w/w)の範囲の精製水を、水相容器中で70℃〜80℃まで加熱するステップと、
b.前記水相容器に、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロクレゾール、ソルビン酸カリウム、安息香酸などを含む群から選択される保存料を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、0.05%(w/w)〜0.5%(w/w)、好ましくは0.3%(w/w)、より好ましくは0.2%(w/w)の量で、より好ましくは安息香酸を加えるステップと、
c.ステップbの前記水相容器に、EDTA二ナトリウムなどを含む群から選択されるキレート化剤を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、0.01%(w/w)〜1%(w/w)、好ましくは0.5%(w/w)、より好ましくは0.1%(w/w)の量で加えるステップと、
d.ステップcの前記水相容器に、オルトリン酸水素二ナトリウム、オルトリン酸水素ナトリウムなどを含む群から選択される緩衝剤を、0.01%(w/w)〜1.00%(w/w)、好ましくは0.5%(w/w)、より好ましくは0.05%(w/w)の量で加えるステップと、
e.ステップdの混合物を、撹拌器を用いて、10〜50RPMで、混合物の温度を70℃〜80℃に維持したままで混合するステップと、
f.白色軟パラフィン、流動パラフィン、固形パラフィンなどを含む群から選択されるワックス状物質を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、5%(w/w)〜20%(w/w)、好ましくは15%(w/w)、より好ましくは12.5%(w/w)の量で、油相容器に加え、70℃〜80℃まで加熱することによって前記ワックスを溶かすステップと、
g.ステップfの前記油相容器に、好ましくはセトステアリルアルコール、セトマクロゴール−1000を含む群から選択される非イオン性界面活性剤の形態の一次乳化剤を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、好ましくは1%(w/w)〜15%(w/w)、好ましくは15%(w/w)、より好ましくは12.5%(w/w)の量のセトステアリルアルコールを加え、任意選択で、ポリソルベート−80、Span−80などを含む群から選択される二次乳化剤を、好ましくはポリソルベート−80、好ましくは1〜5%w/w、より好ましくは2%w/wの量で加え、混合物を、好ましくは撹拌器を用いて、10〜50RPMで、混合物の温度を75℃+/−5℃に維持したままで十分に混合するステップと、
h.マイナス1000〜マイナス300mm水銀の範囲の真空下および75℃+/−5℃で、水相および油相容器の内容物を混合容器に移し、混合物を、好ましくは撹拌器を用いて、10〜50RPMで十分に混合して乳濁液を形成するステップと、
i.前記乳濁液を、好ましくは、冷却塔からの好ましくは8℃〜15℃の冷水を混合容器のジャケット中に循環させることによって45℃まで冷却するステップと、
j.API容器中に、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール−400などを含む群から選択される共溶媒を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、5%(w/w)〜40%(w/w)、好ましくは30%(w/w)、より好ましくは25%(w/w)の量で、好ましくはプロピレングリコールを加え、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンなどを含む群から選択される抗酸化剤を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、0.001%(w/w)〜5%(w/w)、好ましくは0.1%(w/w)、より好ましくは0.01%(w/w)の量で、好ましくは前記グリコール中のブチル化ヒドロキシトルエンを連続的に混合することによって溶かすステップと、
k.前記API容器の内容物を好ましくは窒素である不活性ガスのフラッシングに供し、フシジン酸ナトリウムを0.1%(w/w)〜約25%(w/w)、好ましくは約0.5%(w/w)〜約5%(w/w)、より好ましくは約2.08%(w/w)の量で混合物に加え、前記フシジン酸ナトリウムを混合物中で溶かすステップと、
l.HCl、H2So4、HNO3、乳酸などの酸を含む群から選択される酸を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、好ましくは0.005%(w/w)〜0.5%(w/w)、好ましくは0.3%(w/w)、より好ましくは0.25%(w/w)の量の硝酸を使用することによって、ステップkのAPI容器中の混合物のpHを2未満に調整するステップと、
m.ステップlのAPI容器の内容物を10〜50RPMで連続的に撹拌しながらステップiの混合容器に移し、混合物を1000〜3000RPMで、好ましくは窒素である不活性ガスのフラッシング下で、かつマイナス1000〜マイナス300mm水銀の真空下でホモジナイズするステップと、
n.冷却塔からの8℃〜15℃の冷却した水の、混合容器のジャケット内への循環を用いて、ステップmの混合容器の内容物を30℃〜37℃まで冷却するステップと、
o.撹拌器およびホモジナイザーを止め、ステップnの前記混合容器の混合物を貯蔵容器に取り出すステップと
を含むさらに別のプロセスが開示されている。
ステップiの共溶媒は湿潤剤としても役割を果たす。しかし、本発明の一実施形態では、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコールなどを含む群から選択される追加の湿潤剤を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで加えて、約5%(w/w)〜40%(w/w)、好ましくは30%(w/w)、より好ましくは25%(w/w)の割合を形成してもよい。
【0036】
本発明の方法を用いて得られたクリームは、色が均質かつ白色からオフホワイト色であり、稠度が粘稠である。本発明の方法を用いて作製した生成物のpHは約3〜6である。他方で、市販のフシジン酸ナトリウム軟膏は脂っぽく、美容的に上品でない。
【0037】
活性薬物は、最適な生物学的および皮膚的な有効性のために皮膚に浸透することが必要不可欠である。ここで活性薬物の粒子径が重要な役割を果たす。生成物が有効であるためには、活性薬物が微細な分散形態で利用可能であることが必要である。また、これは皮膚の安全なpH適合環境(4.0〜6.0)で達成されなければならない。これらのすべてを達成するためには、薬物を溶解または分散させるために適切なビヒクルまたは共溶媒を選択することが必要不可欠である。
【0038】
本発明の方法を用いて作製したクリームならびに一部の市販の製品の試料(試料A、C、D、F、G、およびK)で粒子径分析を実施した。最大および最小の粒子径、平均粒子径、標準偏差ならびに変動係数を評価した。
【0039】
表3
【表3】

【0040】
粒子径分布の分析は、本発明の生成物中に、慣用の生成物よりも有利にはるかに小さい大きさである微細な粒子径のフシジン酸が存在することを明らかに示している。このことは、フシジン酸ナトリウムから微細な分散形態のフシジン酸へのin situ変換を用いたフシジン酸ナトリウムを用いて本発明の生成物を作製したことに起因している。すべての測定したパラメータが、市販のフシジン酸含有クリームで判明したものよりも良好である。これは、市販の製品を超える本明細書中に開示した生成物の別の明らかな利点である。
【0041】
本発明の生成物は、慣用の生成物よりも小さな粒子径かつ微細な分散形態で利用可能な再生フシジン酸の明白な抗細菌活性により、有効である。
【0042】
本発明者は、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール−400などの様々な共溶媒をスクリーニングし、フシジン酸ナトリウムを約5%(w/w)〜40%(w/w)と変動する上記共溶媒のうちの1つに不活性ガスパージング下および真空下で溶かし、HCl、HSO、HNO、乳酸などの酸を約0.005%(w/w)〜約0.5%(w/w)、撹拌下で加えることによってin situでフシジン酸へと変換し、フシジン酸をより安定化した溶液形態で得て、これにより、クリーム基剤中の本発明者らの最終生成物が、皮膚に容易に浸透し、有効性が高く、また、約3.0〜約6.0のpHを有することによって皮膚適合性が高いものとなる。
【0043】
生成物の安定性は、ICH指針に従って6カ月間行った安定性研究およびインハウスの生成物で行ったストレス研究と市販の匹敵する製品の試料のそれとの比較によって確認する。
【0044】
実験データ
本発明の生成物および現在市販されている製品を用いてAPI−安定性実験を実施した(表4〜9を参照)。APIの生成物の外見、pH値およびアッセイを一定期間にわたって観察する(または必要に応じて測定する)ための試験を実施した。また、生成物をオートクレーブ試験および酸化分解試験などのストレス研究に供することによって安定性を評価するための試験も実施した。さらに、in vitroの抗微生物阻害帯の研究も一定期間にわたって実施した。試験に使用した本発明の生成物の各々1グラム中に、完成した生成物中で2%(w/w)のフシジン酸を生じるために必要な量のフシジン酸ナトリウムが含有されていた。
【0045】
安定性研究、オートクレーブおよび酸化分解の試験に使用した生成物は、約10%の過剰のAPI(過量)を含有していた。研究に使用した本発明の生成物は、フシジン酸ナトリウムを出発物質として使用して調製したフシジン酸クリームを含有していた。これをアルミニウム製押出しチューブ中にパッケージし、生成物の各々1グラム中に、20mgのフシジン酸(BPに適合)に相当する20.8mgのフシジン酸ナトリウム(BPに適合)が含有されていた。市販の匹敵する製品(フシジン酸クリーム)の分析の詳細を、必要に応じて表13−Aおよび14に提供する。
【0046】
表4:説明試験、バッチ番号ASF−09
測定したパラメータ:外見
測定したパラメータの可能な最良値:均質な白色からオフホワイト色の粘稠クリーム
測定方法:裸眼による観察
【表4】

【0047】
表5:pH試験、バッチ番号ASF−09
測定したパラメータ:pH
測定したパラメータの限界:3〜6
測定方法:デジタルpHメーター
【表5】

【0048】
表6:アッセイ(%)試験、バッチ番号ASF−09
測定したパラメータ:アッセイ(%)
測定したパラメータの限界:90〜110%
測定方法:HPLC方法
【表6】

【0049】
表4〜6から、pH値、外見、および安定性のすべての点で本発明の生成物が非常に良好であることが明らかである。
【0050】
表7は、市販のフシジン酸のクリームから採取して分析に使用した試料A〜Iの基準日を提供する。
表7
【表7】

【0051】
表8:オートクレーブ分析(%)試験、
測定したパラメータ:アッセイ(%)
測定したパラメータの限界:90〜110%
測定方法:HPLC方法
【表8】

【0052】
表9:酸化分解分析(%)試験、
測定したパラメータ:アッセイ(%)
測定したパラメータの限界:NA
測定方法:HPLC方法
【表9】

【0053】
表8からの推論:オートクレーブ分析(121℃を15分間適用)のアッセイ結果により、フシジン酸クリームの市販の試料(通し番号2〜10)が、API含有率について本発明の生成物(通し番号1)よりも高い降下のパーセンテージを示すことが示される。
【0054】
表9からの推論:酸化分解分析(12時間の期間にわたる30%の過酸化水素溶液)の上記アッセイ結果により、様々な市販のフシジン酸クリームの試料(通し番号2〜10)が、本発明の生成物(通し番号1)よりも顕著に高いAPI分解(API含有率降下のパーセンテージによって示される)を示すことが示される。
【0055】
上記データから、本発明の生成物が、周囲条件および高温多湿の貯蔵条件で非常に安定していることが明らかである。また、オートクレーブ研究および酸化分解研究により生成物の安定性がさらに確認される。これは、現在入手可能なフシジン酸クリームを超える大きな利点である。生成物の安定性は、Nova−LIMSソフトウェアを用いた分解のアレニウスプロットを使用した、配合物の貯蔵寿命の予測によってさらに確認される。
【0056】
生成物の抗微生物/抗細菌活性は、黄色ブドウ球菌に対する生成物のin vitroの抗微生物阻害帯の研究によって確認される。研究の詳細を以下の表15に詳述する。
表10
【表10】

【0057】
上記データから、生成物が、一次および二次の細菌感染症を処置するために十分な抗微生物/抗細菌活性を有することは明らかである。
【0058】
最終クリームの組成を以下の表11に示す。
表11
【表11】

【0059】
上記の説明は多くの具体性を含有するが、これらは本発明の範囲の限定ではなく、むしろ、その好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。本発明の精神および範囲から逸脱せずに、上記で与えた開示に基づいて改変および変形が可能であることを理解されたい。したがって、本発明の範囲は、例示した実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲およびその法的均等物によって決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フシジン酸ナトリウムを未加工の原薬として使用し、前記フシジン酸ナトリウムをクリーム基剤中、in situ、無酸素環境下でフシジン酸へと変換するステップを含む、フシジン酸クリームを作製する方法。
【請求項2】
前記クリーム基剤が、保存料、酸、共溶媒、乳化剤およびワックス状物質ならびに水、好ましくは精製水を含む、請求項1に記載のフシジン酸クリームを作製する方法。
【請求項3】
フシジン酸ナトリウムを未加工の原薬として使用し、前記フシジン酸ナトリウムをクリーム基剤中、in situ、無酸素環境下でフシジン酸へと変換するステップが、
a.20%(w/w)〜75%(w/w)、好ましくは35%(w/w)〜50%(w/w)、より好ましくは40%(w/w)〜43%(w/w)の範囲の精製水を、水相容器中で70℃〜80℃まで加熱するステップと、
b.前記水相容器に、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロクレゾール、ソルビン酸カリウム、安息香酸などを含む群から選択される保存料を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、0.05%(w/w)〜0.5%(w/w)、好ましくは0.3%(w/w)、より好ましくは0.2%(w/w)の量で、より好ましくは安息香酸を加えるステップと、
c.混合物を、撹拌器を用いて、10〜50RPMで、混合物の温度を70℃〜80℃に維持したままで混合するステップと、
d.白色軟パラフィン、流動パラフィン、固形パラフィンなどを含む群から選択されるワックス状物質を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、5%(w/w)〜20%(w/w)、好ましくは15%(w/w)、より好ましくは12.5%(w/w)の量で、油相容器に加え、70℃〜80℃まで加熱することによって前記ワックスを溶かすステップと、
e.前記油相容器に、好ましくはセトステアリルアルコール、セトマクロゴール−1000を含む群から選択される非イオン性界面活性剤の形態の一次乳化剤を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、好ましくは1%(w/w)〜15%(w/w)、好ましくは15%(w/w)、より好ましくは12.5%(w/w)の量のセトステアリルアルコールを加え、任意選択で、ポリソルベート−80、Span−80などを含む群から選択される二次乳化剤、好ましくはポリソルベート−80を、1〜5%w/w、より好ましくは2%w/wの量で加え、混合物を、好ましくは撹拌器を用いて、10〜50RPMで、混合物の温度を70℃〜80℃に維持したままで十分に混合するステップと、
f.マイナス1000〜マイナス300mm水銀の範囲の真空下および70℃〜80℃で、水相および油相容器の内容物を混合容器に移し、混合物を、好ましくは撹拌器を用いて、10〜50RPMで十分に混合して乳濁液を形成するステップと、
g.前記乳濁液を、好ましくは、冷却塔からの好ましくは8℃〜15℃の冷水を混合容器のジャケット中に循環させることによって45℃まで冷却するステップと、
h.API容器中に、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール−400などを含む群から選択される共溶媒を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、5%(w/w)〜40%(w/w)、好ましくは30%(w/w)、より好ましくは25%(w/w)の量で、好ましくはプロピレングリコールを加え、前記API容器の内容物を好ましくは窒素である不活性ガスのフラッシングに供し、フシジン酸ナトリウムを0.1%(w/w)〜約25%(w/w)、好ましくは約0.5%(w/w)〜約5%(w/w)、より好ましくは約2.08%(w/w)の量で加え、前記フシジン酸ナトリウムを混合物中で溶かすステップと、
i.HCl、H2So4、HNO3、乳酸などの酸を含む群から選択される酸を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、好ましくは硝酸を使用することによって、ステップhのAPI容器中の混合物のpHを2未満に調整して、約0.005%(w/w)〜0.5%(w/w)、好ましくは0.3%(w/w)、より好ましくは0.25%(w/w)の割合を形成するステップと、
j.ステップiのAPI容器の内容物を10〜50RPMで連続的に撹拌しながらステップgの混合容器に移し、混合物を1000〜3000RPMで、好ましくは窒素である不活性ガスのフラッシング下で、かつマイナス1000〜マイナス300mm水銀の真空下でホモジナイズするステップと、
k.冷却塔からの8℃〜15℃の冷却した水の、混合容器のジャケット内への循環を用いて、ステップjの混合容器の内容物を30℃〜37℃まで冷却するステップと、
l.撹拌器およびホモジナイザーを止め、ステップkの混合容器の混合物を貯蔵容器に取り出すステップと
を含む、請求項1に記載のフシジン酸クリームを作製する方法。
【請求項4】
さらに、湿潤剤を請求項2のステップaの混合容器に加え、前記湿潤剤が、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコールなどを含む群から単独でまたはその任意の組合せのいずれかで選択され、約5%(w/w)〜40%(w/w)、好ましくは30%(w/w)、より好ましくは25%(w/w)の割合を形成する、請求項2に記載のフシジン酸クリームを作製する方法。
【請求項5】
さらに、キレート化剤を請求項2および3のステップaに加え、前記キレート化剤が、EDTA二ナトリウムなどを含む群から単独でまたはその任意の組合せのいずれかで選択され、約0.01%(w/w)〜1%(w/w)、好ましくは0.5%(w/w)、より好ましくは0.1%(w/w)の割合を形成する、請求項2および4のいずれかに記載のフシジン酸クリームを作製する方法。
【請求項6】
さらに、緩衝剤を請求項2から4のステップaに加え、前記緩衝剤が、オルトリン酸水素二ナトリウム、オルトリン酸水素ナトリウムなどを含む群から選択され、約0.01%(w/w)〜1.00%(w/w)、好ましくは0.5%(w/w)、より好ましくは0.05%(w/w)である、請求項2、4、および5のいずれかに記載のフシジン酸クリームを作製する方法。
【請求項7】
さらに、抗酸化剤を請求項2から5のステップhに加え、前記抗酸化剤が、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンなどを含む群から選択され、約0.001%(w/w)〜5%(w/w)、好ましくは0.1%(w/w)、より好ましくは0.01%(w/w)である、請求項2、4、5、および6のいずれかに記載のフシジン酸クリームを作製する方法。
【請求項8】
前記クリーム基剤が、保存料、酸、共溶媒、乳化剤およびワックス状物質ならびに水、好ましくは精製水、ならびに緩衝剤、抗酸化剤、キレート化剤、および湿潤剤、またはその任意の組合せを含む群から選択されるさらなる成分を含む、請求項1に記載のフシジン酸クリームを作製する方法。
【請求項9】
フシジン酸ナトリウムを未加工の原薬として使用し、前記フシジン酸ナトリウムをクリーム基剤中、in situ、無酸素環境下でフシジン酸へと変換するステップが、
a.20%(w/w)〜75%(w/w)、好ましくは35%(w/w)〜50%(w/w)、より好ましくは40%(w/w)〜43%(w/w)の範囲の精製水を、水相容器中で70℃〜80℃まで加熱するステップと、
b.前記水相容器に、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロクレゾール、ソルビン酸カリウム、安息香酸などを含む群から選択される保存料を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、0.05%(w/w)〜0.5%(w/w)、好ましくは0.3%(w/w)、より好ましくは0.2%(w/w)の量で、より好ましくは安息香酸を加えるステップと、
c.ステップbの前記水相容器に、EDTA二ナトリウムなどを含む群から選択されるキレート化剤を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、0.01%(w/w)〜1%(w/w)、好ましくは0.5%(w/w)、より好ましくは0.1%(w/w)の量で加えるステップと、
d.ステップcの前記水相容器に、オルトリン酸水素二ナトリウム、オルトリン酸水素ナトリウムなどを含む群から選択される緩衝剤を、0.01%(w/w)〜1.00%(w/w)、好ましくは0.5%(w/w)、より好ましくは0.05%(w/w)の量で加えるステップと、
e.ステップdの混合物を、撹拌器を用いて、10〜50RPMで、混合物の温度を70℃〜80℃に維持したままで混合するステップと、
f.白色軟パラフィン、流動パラフィン、固形パラフィンなどを含む群から選択されるワックス状物質を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、5%(w/w)〜20%(w/w)、好ましくは15%(w/w)、より好ましくは12.5%(w/w)の量で、油相容器に加え、70℃〜80℃まで加熱することによって前記ワックスを溶かすステップと、
g.ステップfの前記油相容器に、好ましくはセトステアリルアルコール、セトマクロゴール−1000を含む群から選択される非イオン性界面活性剤の形態の一次乳化剤を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、好ましくは1%(w/w)〜15%(w/w)、好ましくは15%(w/w)、より好ましくは12.5%(w/w)の量のセトステアリルアルコールを加え、任意選択で、ポリソルベート−80、Span−80などを含む群から選択される二次乳化剤を、好ましくはポリソルベート−80、好ましくは1〜5%w/w、より好ましくは2%w/wの量で加え、混合物を、好ましくは撹拌器を用いて、10〜50RPMで、混合物の温度を75℃+/−5℃に維持したままで十分に混合するステップと、
h.マイナス1000〜マイナス300mm水銀の範囲の真空下および70℃〜80℃で、前記水相および油相容器の内容物を混合容器に移し、混合物を、好ましくは撹拌器を用いて、10〜50RPMで十分に混合して乳濁液を形成するステップと、
i.前記乳濁液を、好ましくは、冷却塔からの好ましくは8℃〜15℃の冷水を混合容器のジャケット中に循環させることによって45℃まで冷却するステップと、
j.API容器中に、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール−400などを含む群から選択される共溶媒を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、5%(w/w)〜40%(w/w)、好ましくは30%(w/w)、より好ましくは25%(w/w)の量で、好ましくはプロピレングリコールを加え、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンなどを含む群から選択される抗酸化剤を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、0.001%(w/w)〜5%(w/w)、好ましくは0.1%(w/w)、より好ましくは0.01%(w/w)の量で、好ましくは前記グリコール中のブチル化ヒドロキシトルエンを連続的に混合することによって溶かすステップと、
k.前記API容器の内容物を好ましくは窒素である不活性ガスのフラッシングに供し、フシジン酸ナトリウムを0.1%(w/w)〜約25%(w/w)、好ましくは約0.5%(w/w)〜約5%(w/w)、より好ましくは約2.08%(w/w)の量で加え、前記フシジン酸ナトリウムを混合物中で溶かすステップと、
l.HCl、H2So4、HNO3、乳酸などの酸を含む群から選択される酸を単独でまたはその任意の組合せのいずれかで、好ましくは0.005%(w/w)〜0.5%(w/w)、好ましくは0.3%(w/w)、より好ましくは0.25%(w/w)の量の硝酸を使用することによって、ステップkのAPI容器中の混合物のpHを2未満に調整するステップと、
m.ステップlのAPI容器の内容物を10〜50RPMで連続的に撹拌しながらステップiの混合容器に移し、混合物を1000〜3000RPMで、好ましくは窒素である不活性ガスのフラッシング下で、かつマイナス1000〜マイナス300mm水銀の真空下でホモジナイズするステップと、
n.冷却塔からの8℃〜15℃の冷却した水の、混合容器のジャケット内への循環を用いて、ステップmの混合容器の内容物を30℃〜37℃まで冷却するステップと、
o.撹拌器およびホモジナイザーを止め、ステップnの前記混合容器の混合物を貯蔵容器に取り出すステップと
を含む、請求項1に記載のフシジン酸クリームを作製する方法。

【公表番号】特表2012−517996(P2012−517996A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549724(P2011−549724)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050685
【国際公開番号】WO2010/095091
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(511199871)
【氏名又は名称原語表記】VANANGAMUDI,Sulur, Subramaniam
【住所又は居所原語表記】SIDCO Garment Complex, III Floor, Guindy Chennai, Tamil Nadu State, India Chennai 600 032 INDIA
【Fターム(参考)】