説明

フック付き蓋材

【課題】本発明は、カップ麺などの即席食品を食する場合において、アルミニウム箔を使用していない蓋材でも、開封及び再封状態に保持する機能を備えたフック付き蓋材を提供することを目的とする。
【解決手段】容器本体(B)の開口部とほぼ同じ外形を有し、外周縁(6)に開封用プルタブ(5)を有し、表基材層(20)とプラスチックフィルム層(50)からなり、その層間に剥離剤層(14)が設けられ、剥離領域(C)と開封用プルタブ側の非剥離領域(D)と他の非剥離領域(E)とに区画され、開封及び再封状態を保持するフック部(1)が外面側となる表基材層(20)に設けられ、且つ剥離開始ハーフカット線(3)と剥離終了ハーフカット線(4)及びフック部差込用切れ目(2)が、内面側となる該プラスチックフィルム層(50)から該表基材層(20)に至る範囲で設けられていることを特徴とするフック付き蓋材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ麺など即席食品の密封包装に使用する成形容器の蓋材に関するものであり、さらに詳しくは、カップ麺などの即席食品を食する場合において、容器内の乾燥状態の即席食品に熱湯を注ぐ作業を容易にするために、開封した蓋材をそのまま開封状態に保持する機能と、且つ、熱湯を注ぎ終わった後、内容物を蒸すために開封した蓋材を該容器の開口部に再封して再封状態を保持することができる蓋材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品包装分野において、特に熱湯を加えて食する状態にするカップ麺などの即席食品を収納する成形容器として、カップ状、あるいはどんぶり状の形状で、紙にポリエチレン樹脂(PE)をエキストルーダーでラミネートした積層材料による成形容器、ポリスチレン樹脂(PS)成形容器、ポリプロピレン樹脂(PP)成形容器、ポリスチレン樹脂(PS)シートとポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)シートとをラミネートした積層材料による成形容器などが使用されている。
【0003】
一方、カップ麺など即席食品の密封包装に使用する該容器の蓋材は、紙基材を主体として、アルミニウム箔などを積層した積層体が使用され、前記成形容器に乾燥した麺や具などを収納し、該容器の開口部を該蓋材で覆い、該容器のフランジ部をヒートシール方式などによりシールし、密閉する包装方法が取られている。
【0004】
ところで、蓋材としては、種々のものが提案されているが、通常蓋材を構成する積層材料には、アルミニウム箔を含んだ積層材料が多い。例えば、従来の蓋材は紙層を主体とした基材の上面に絵柄印刷インキ層を設け、同じく該基材の下面に熱可塑性樹脂層、アルミニウム箔層、イージーピールシーラント層を順次積層してなる積層材料により形成されている。
【0005】
前記紙層は、木材などの植物原料を化学的、または機械的に処理してセルロースを取り出した状態のパルプで製造した晒クラフト紙、純白ロール紙、上質紙、アート紙、コート紙などを使用している。また、前記熱可塑性樹脂層は、主に低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)が使用され、該樹脂を熱溶融した後、エキストルーダ(押出機)によって押し出され、紙層を主体とした基材とバリア層であるアルミニウム箔層とを積層するための接着剤の役割をしている。さらに、前記アルミニウム箔層は、厚みが7μ以上のアルミニウム箔が使用されるが、防湿性、ガスバリア性、保香性、遮光性に優れ、更にデッドホールド性(成形保持性)が良いので蓋材に多く使用されている。
【0006】
以上のように、従来の蓋材は、主にアルミニウム箔を含んだ積層材料が使用されているので、ガスバリア性などの物性が優れ、開封後のデッドホールド性があるので開封した蓋材をそのまま開封状態に保持する機能と、且つ再封状態も保持することができる機能を備えている。
【0007】
一般的に、消費者はカップ状、或いはどんぶり状の形状をした成形容器に入っている、例えば、カップ麺などの即席麺を食する時、先ず該容器から蓋材の一部分を剥がし、その開口部から、一旦、液体スープの素や具の入った袋を取り出した後、中身だけを再度該容器内に戻した後、熱湯を注ぎ、開封した蓋材を該容器の開口部に再封する。
【0008】
すなわち、熱湯を注ぐ作業を行う場合、蓋材が開封状態を保持する機能を備えていると、容器内の即席食品に熱湯を注ぐ作業が容易になる。また熱湯を注ぎ終わった後、内容物
を蒸すために開封した蓋材を該容器の開口部に再封する必要がある。
【0009】
以上のように、前述したアルミニウム箔を含んだ積層材料から作製される蓋材は、ガスバリア性などの物性が優れ、また開封後のデッドホールド性(形状保持性)に優れているので開封した蓋材をそのまま開封状態に保持する必要がある機能と開封した蓋材を該容器の開口部に再封することが求められる用途には最適な蓋材である。
【0010】
しかしながら、近年アルミニウム箔を積層した積層体からなる蓋材は、さまざまな問題が指摘されている。例えば、使用後の廃棄処分において焼却処理を行うと、そのアルミニウム箔が残査として残ってしまう問題や、焼却炉を傷めてしまう恐れがある問題など、いわゆる廃棄処分にともなう問題が発生している。また、資源再利用の要請から、蓋材を使用後に回収し、材料別に分別し再利用することが要望されているが、上記のようなアルミニウム箔を使用した積層材料では、紙基材、アルミニウム箔、樹脂フィルムなどの各材料をそれぞれに分別回収することが著しく困難であり、再利用を図ることは実質的には不可能である。更に、食品包装後の衛生安全面から行う金属等の異物の混入を確認する金属探知器の使用が不可能であり、衛生安全面でも良くない。
【0011】
そこで、これらの問題点を解決するために、紙を主体として、各種のプラスチックフィルムを組み合わせた積層体からなる蓋材が検討されている。すなわち、アルミニウム箔を含まなくても、ガスバリア性などの物性が優れ、開封後のデッドホールド性(形状保持性)がある積層体の開発である。現状では、ガスバリア性などの物性は、プラスチックフィルムに無機酸化物などを蒸着した積層体を使用すれば、アルミニウム箔に匹敵する優れたものはあるが、基本的に剛性があり、開封後のデッドホールド性(形状保持性)を有するものはない。
【0012】
このようにガスバリア性などの物性面では、アルミニウム箔に匹敵するものはあるが、特に、問題点は、デッドホールド性(形状保持性)に優れたプラスチックフィルムがなく、素材面でアルミニウム箔を代替する蓋材を得る可能性が少ないために蓋材の開封状態を保持する機能として次のような方法による蓋材や構造面を改良した蓋材が開発されている。例えば、蓋材にあらかじめ粘着剤を塗布しておき、蓋材の開封状態を保持する方法であるが、この方法の場合は、粘着剤の取り扱いの問題、該粘着剤の内容物や容器内面への移行の問題などが挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
次に、蓋材の開封用プルタブ部分に切れ目加工を施し、容器本体のフランジ部の端に引っ掛ける構造の蓋材が提案されている。しかしながらこの場合は、紙とプラスチックフィルムからなる積層体の剛度による反発が大きく、引っ掛けることが容易ではない。また、蓋材の開封用プルタブ部分の切れ目が、最外層から最内層まで全貫通加工であるので、蓋材に加工した切れ目の位置が、容器本体のフランジ内側に加工した場合には、密閉性が損なわれ内容物の保存性に問題が発生する。
【0014】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、カップ麺などの即席食品を食する場合において、アルミニウム箔を使用していない蓋材でも、開封した蓋材をそのまま開封状態に保持する機能を備え、且つ、開封した蓋材を該容器の開口部に再封することができるフック付き蓋材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項1に係る発明は、容器本体(B)の開口部とほぼ同じ外形を有し、外周縁(6)に開封用プルタブ
(5)を有するフック付き蓋材(A)であって、表基材層(20)とプラスチックフィルム層(50)とが積層された積層体からなり、前記表基材層(20)とプラスチックフィルム層(50)との層間には、剥離剤からなる剥離剤層(14)が設けられた剥離領域(C)と該剥離領域(C)を挟んで2分割された前記開封用プルタブ側の非剥離領域(D)と該剥離領域(C)に隣接して反対側に配置された他の非剥離領域(E)とに区画され、前記剥離領域(C)内には開封及び再封時に容器本体(B)のフランジ部(7)下端に引っ掛けて、状態を保持するフック部(1)が外面側となる表基材層(20)に設けられ、且つ前記開封用プルタブ側の非剥離領域(D)と前記剥離領域(C)との境界線に沿って剥離開始ハーフカット線(3)が、また該剥離領域(C)と前記他の非剥離領域(E)との境界線に沿って剥離終了ハーフカット線(4)とが各々内面側となる該プラスチックフィルム層(50)から該表基材層(20)に至る範囲で設けられ、更に該剥離領域(C)内には前記フック部(1)を差し込むためのフック部差込用切れ目(2)が、内面側となる該プラスチックフィルム層(50)から該表基材層(20)に至る範囲で設けられていることを特徴とするフック付き蓋材である。
【0016】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1記載のフック付き蓋材において、前記フック(1)部の形状が、切れ込みの一部分に繋ぎを設けたコの字形状からなることを特徴とするフック付き蓋材である。
【0017】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載のフック付き蓋材において、前記表基材層(20)が、紙層(11)単体または少なくとも該紙層(11)の片面に保護フィルム層(10)が積層された積層体からなることを特徴とするフック付き蓋材である。
【0018】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載のフック付き蓋材において、前記プラスチックフィルム層(50)が、中間基材層(30)と、シーラント層(40)とを積層した積層体からなることを特徴とするフック付き蓋材である。
【0019】
本発明の請求項5に係る発明は、請求項4記載のフック付き蓋材において、前記中間基材層(30)が、熱可塑性樹脂層(12)とバリアフィルム層(13)とを積層した積層体からなることを特徴とするフック付き蓋材である。
【発明の効果】
【0020】
本発明のフック付き蓋材は、容器本体の開口部とほぼ同じ外形を有し、外周縁に開封用プルタブを有するフック付き蓋材であって、表基材層とプラスチックフィルム層とが積層された積層体からなり、前記表基材層とプラスチックフィルム層との層間には、剥離剤からなる剥離剤層が設けられた剥離領域と該剥離領域を挟んで2分割された前記開封用プルタブ側の非剥離領域と該剥離領域に隣接して反対側に配置された他の非剥離領域とに区画され、前記剥離領域内には開封及び再封時に容器本体のフランジ部下端に引っ掛けて、状態を保持するフック部が外面側となる表基材層に設けられ、且つ前記開封用プルタブ側の非剥離領域と前記剥離領域との境界線に沿って剥離開始ハーフカット線が、また該剥離領域と前記他の非剥離領域との境界線に沿って剥離終了ハーフカット線とが各々内面側となる該プラスチックフィルム層から該表基材層に至る範囲で設けられ、更に該剥離領域内には前記フック部を差し込むためのフック部差込用切れ目が、内面側となる該プラスチックフィルム層から該表基材層に至る範囲で設けられていることにより、開封した蓋材をそのまま開封状態に保持する機能が得られるので、カップ麺などの即席食品を食する場合、容器本体内の乾燥状態の即席食品に熱湯を注ぐ作業が容易になり、また、熱湯を注ぎ終わった後、開封した蓋材を該容器の開口部に再封することが可能になり、蒸らしを必要とする商品に対して使用することができ、さらにフック部及びフック部差込用切れ目加工は、蓋材全貫通加工でないので、引っ掛け部分の位置的な制約がなく、また該容器の密封性を損なうこともない、さらに蓋材の抜き形状は従来品と同じなので、充填機の制約はなく、あ
らゆるサイズの蓋材に対し、該蓋材の開封状態を保持できる機能及び再封機能を付与することができる。またアルミニウム箔を使用していないので、金属探知器の検査が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態を図1〜図3に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明に係るフック付き蓋材(A)の1実施例を示す平面図であり、図2は本発明に係るフック付き蓋材(A)を開封した状態の1実施例を示す斜視図であり、図3は図1のX−X線側断面図である。
【0023】
本発明の1実施例のフック付き蓋材(A)は、図1に示すように、容器本体(B)の開口部とほぼ同じ外形を有し、外周縁(6)に開封用プルタブ(5)を有するフック付き蓋材(A)であって、図3に示すように、表基材層(20)とプラスチックフィルム層(50)とが積層された積層体からなり、前記表基材層(20)とプラスチックフィルム層(50)との層間には、剥離剤からなる剥離剤層(14)が設けられている。
【0024】
図1に示すように、前記剥離剤層(14)が設けられた剥離領域(C)と該剥離領域(C)を挟んで2分割された前記開封用プルタブ側の非剥離領域(D)と該剥離領域(C)に隣接して反対側に配置された他の非剥離領域(E)とに区画され、前記剥離領域(C)内には開封及び再封時に容器本体(B)のフランジ部(7)下端に引っ掛けて、状態を保持するフック部(1)が外面側となる表基材層(20)に設けられている。該フック部(1)を形成する切れ込みの深さは、該表基材層(20)のみとする。また、該フック部(1)の形状が、切れ込みの一部分に繋ぎを設けたコの字形状をしているのが容器本体(B)のフランジ部(7)下端に引っ掛ける場合には確実性があり好ましい。
【0025】
前記開封用プルタブ側の非剥離領域(D)と前記剥離領域(C)との境界線に沿って剥離開始ハーフカット線(3)が、また該剥離領域(C)と前記他の非剥離領域(E)との境界線に沿って剥離終了ハーフカット線(4)とが各々内面側となる該プラスチックフィルム層(50)から該表基材層(20)に至る範囲で設けられている。さらに、該剥離領域(C)内には、前記フック部(1)を差し込むためのフック部差込用切れ目(2)が、内面側となる該プラスチックフィルム層(50)から該表基材層(20)に至る範囲で設けられている。
【0026】
前記フック部(1)を形成している切れ込み(切れ目)とフック部差込用切れ目(2)は、同一位置に重なって加工すると該蓋材(A)を貫通した切れ目となるので、フック部(1)の形状を先端が細くなった(フック部根元が広がった)コの字形状とし、該フック部(1)とフック部差込用切れ目(2)が極力近い位置として、再封しやすい構造にしている。
【0027】
このように該蓋材(A)を貫通加工することなくフック部(1)を発現させることができるので、貫通加工や充填時の該蓋材(A)のズレにより、シールより該蓋材(A)中央側(内側)に貫通部分が発生してしまうことがなく、該蓋材(A)シール後の密閉性を保つことができる。
【0028】
このようにして開封した該蓋材(A)をそのまま開封状態に保持する機能が得られるので、カップ麺などの即席食品を食する場合、容器本体(B)内の乾燥状態の即席食品に熱湯を注ぐ作業が容易になり、また、熱湯を注ぎ終わった後、開封した該蓋材(A)を該容器の開口部に再封することが可能になり、蒸らしを必要とする商品に対して使用することができ、さらにフック部(1)及びフック部差込用切れ目(2)加工は、該蓋材(A)全
貫通加工でないので、引っ掛け部分の位置的な制約がなく、任意の位置に設定できる。
【0029】
また、再封は、フック部(1)をフック部差込用切れ目(2)に差し込む機構なので、容器本体(B)のフランジ(外周)(7)の形状に関係なく安定して再封フックできる。さらに該蓋材(A)外周(抜き外周)の形状は現行の蓋材とかわらないので、充填機の調整、改造の必要がなく現状のラインで生産対応できる。またアルミニウム箔を使用していないので、金属探知器の検査が可能になる。
【0030】
このようにフック部(1)、及びフック部(1)を差し込むためのフック部差込用切れ目(2)が設けられる剥離領域(C)の層構成は、剥離剤層(14)を挟んで該蓋材(A)の外面側となる表基材層(20)と内面側となるプラスチックフィルム層(50)に分離できる層構成となっている。
【0031】
尚、前記フック部(1)を形成している切れ込み(切れ目)を施す方法は、表基材層(20)の段階でロータリーミシン加工機により、コの字形状に加工する。また、フック部差込用切れ目(2)、剥離開始ハーフカット線(3)、剥離終了ハーフカット線(4)を施す方法は、表基材層(20)とプラスチック層(50)とをラミネーション後、例えば、厚いベニヤ合板、或いは合成樹脂板を所定の形に切断するためにレーザー光線を使用する切断装置や糸鋸などで溝部を設け、その溝部に切れ刃を組み込み、それらの両側にスポンジゴムを貼り付けた雄型からなる平板の打ち抜き型を使用するか、あるいはロータリーダイカッターを使用してもよい。
【0032】
以上のような、本発明のフック付き蓋材(A)の開封及び再封方法についてさらに詳細に説明する。
【0033】
先ず、該蓋材(A)の開封用プルタブ(5)をつまんで該蓋材(A)を容器本体(B)から開封すると、図2に示すように、剥離開始ハーフカット線(3)から剥離終了ハーフカット線(4)までの間の剥離領域(C)の表基材層(20)が取り去られ、該表基材層(20)には、フック部(1)が形成され、該剥離領域(C)内には、プラスチックフィルム層(50)が露出し、フック部(1)を差し込むためのフック部差込用切れ目(2)が現出する。
【0034】
このようにして開封した該蓋材(A)をさらに折り曲げて、形成されたフック部(1)を容器本体(B)のフランジ部(7)に引っ掛け、該蓋材(A)の開封状態を保持することができる。このようにアルミニウム箔を含まない積層体でも開封状態を保持するので、熱湯を注ぐ作業の邪魔にならず、スムースに行なうことができる。
【0035】
本発明のフック付き蓋材(A)に使用している積層体は、アルミニウム箔を使用していないので、デッドホールド性がなく、熱湯を注ぐ作業が終了したら、該蓋材(A)をフランジ部(7)から外すと該蓋材(A)の反発によって容易にもとの未開封の状態に戻すことができる。
【0036】
次に、未開封の状態に戻した該蓋材(A)のフック部(1)をフック部差込用切れ目(2)に差し込み、再封状態を保持することができるので蒸らしを必要とする商品に対して使用することができる。
【0037】
次に、本発明のフック付き蓋材(A)を構成する表基材層(20)と、プラスチックフィルム層(50)、及び該表基材層(20)とプラスチックフィルム層(50)との層間に部分的に形成されている剥離剤層(14)を構成する使用材料について詳細に説明する。
【0038】
フック付き蓋材(A)は、図3に示すように、少なくとも、表面側の表基材層(20)と内面側の該プラスチックフィルム層(50)からなる積層体で形成されている。
【0039】
さらに詳しくは、前記表基材層(20)としては、紙層(11)単体、または紙層(11)の少なくとも片面に保護フィルム層(10)を積層した積層体を使用することができる。
【0040】
また、前記プラスチックフィルム層(50)が、中間基材層(30)と、シーラント層(40)とを積層した積層体から構成されている。
【0041】
さらに、前記中間基材層(30)が、熱可塑性樹脂層(12)とバリアフィルム層(13)とを積層した積層体から構成されている。
【0042】
ここで前記紙層(11)には、木材などの植物原料を化学的、または機械的に処理してセルロースを取り出した状態のパルプを抄造したアート紙、コート紙などを使用することができる。
【0043】
該紙層(11)の厚さは、力学的強さ(引張り強さ、破裂強さ、衝撃強さなど)、包装作業性、機械適応性、経済性などにより適宜決定されるが、坪量40g/m2から270g/m2位のもの、好ましくは坪量50g/m2 から130g/m2の範囲内のものを使用するのが望ましい。
【0044】
尚、該紙層(11)上面に商品の販売促進効果を向上させるなどの理由で文字や絵柄などの印刷インキ層(図示せず)を設けることができる。
【0045】
該印刷インキ層を形成する印刷インキとしては、インキに色彩を与える顔料や染料などからなる色材と該色材を微細な粒子に分散・保持しつつ、被印刷体に固着させる樹脂と該樹脂を安定して溶解し、該顔料や染料などの分散性、インキの流動性を保持し、かつ印刷の版からインキの適正量を転移できる溶剤とから構成されるビヒクル、更に色材の分散性、発色性向上や沈殿防止、流動性の改良を目的に界面活性剤などからなる助剤から形成されているが、特に色材は、耐候性の良い顔料が好ましい。
【0046】
該印刷インキ層を設ける印刷方式は、該紙層(11)に印刷できる印刷方式ならば、特に制約はないが、鉄製の円筒(シリンダー)表面上に銅メッキを施して下地を形成し、該銅メッキ面上に剥離層を設け、更に銅メッキをして、その表面を鏡面状に研磨した銅面に彫刻方式や腐食方式により、凹部(セル)を作成し、該セル内の印刷インキを該紙層(11)上面に転移させ、調子物でもカラフルに印刷ができ、且つ訴求効果も高いグラビア印刷方式が好ましい。
【0047】
次に、前記保護フィルム層(10)の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、ポリプロピレンフィルム(PP)、ポリアミドフィルム(PA)、ポリ塩化ビニルフィルム(PVC)、ポリエチレンフィルム(PE)、ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT)、ポリカーボネートフィルム(PC)、ポリスチレンフィルム(PS)、普通セロファン(PT)などを使用することができる。
【0048】
また、該保護フィルム層(10)の厚さは、加工性を考慮すると、3〜200μmの範囲内であることが好ましく、6〜30μmの範囲内がより好ましい。
【0049】
次に、前記紙層(11)と保護フィルム層(10)とを積層する方法は、例えば、ウエ
ットラミネーション方法、ドライラミネーション方法、ノンソルベントドライラミネーション方法、ホットメルトラミネーション方法、エクストルージョンラミネーション方法、及び該エクストルージョンラミネーション方法を利用したサンドイッチラミネーション方法などの公知の方法を使用することができる。
【0050】
例えば、ウエットラミネーション方法は、一方の基材に水溶性の接着剤を塗工し、接着剤が湿潤の状態で他方の基材とラミネーションし、しかる後に乾燥装置で水分を蒸発乾燥させて接着させる方式である。
【0051】
次に、ドライラミネーション方法は、フィルム上に接着剤を塗布するコーティング部、乾燥装置、ニップローラー部の3つのセクションと、巻き出し、巻き取り、及びテンションコントロールシステムから構成されている。該コーティング部は、一般的にグラビアロールコーティング方式、又はリバースロールコーティング方式を採用している。該ドライラミネーション方法に使用する接着剤層(図示せず)は、一般的に、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他などのラミネート用接着剤を使用することができる。前記ラミネーション用接着剤は、溶剤型接着剤、或いは無溶剤型接着剤が使用されるが、無溶剤型接着剤を使用する場合は、乾燥装置は不要であり、特に、ノンソルベントドライラミネーション方法と呼んでいる。
【0052】
前記ホットメルトラミネーション方法は、加熱溶融したエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などのホットメルト接着剤を一方の基材上に塗工し、直ちに、他方の基材をラミネーションする方法である。
【0053】
前記エクストルージョンラミネーション方法は、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂を加熱し、シリンダーと呼ばれる筒の中で溶解し、スクリューで圧力をかけて押し出し、該シリンダーの先端部にあるTダイスと呼ばれる細いスリットからカーテン状に溶解した樹脂を押し出してフィルム状にした後、ラミネート基材にラミネーションする方法である。この際、該エクストルージョンラミネーション方法を利用して、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を接着剤の代わりにして、一方の基材と他方の基材とをラミネーションするサンドイッチラミネーション方法を使用することもできる。
【0054】
次に、前記プラスチックフィルム層(50)は、中間基材層(30)と、シーラント層(40)とを積層した積層体で構成されている。
【0055】
前記中間基材層(30)は、該蓋材(A)のバリア性などの付与のためにバリアフィルム層(13)で構成されるが、前記紙層(11)と積層するための接着剤替わりに熱可塑性樹脂層(12)を加えた層構成でもよい。
【0056】
前記バリアフィルム層(13)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、ポリアミドフィルム(PA)、ポリカーボネートフィルム(PC)、ポリ塩化ビニリデンフィルム(PVDC)、ポリビニルアルコールフィルム(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(EVOH)、無機酸化物(酸化珪素、酸化アルミニウムなど)の薄膜を有する樹脂フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物などのフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物などにポリ塩化ビニリデン(PVDC)を塗工したフィルム、或いはまたこれらフィルムの1種乃至それ以上を組み合わせた積層体を使用することができる。
【0057】
また、該バリアフィルム層(13)の厚さは、加工性を考慮すると、3〜200μmの
範囲内であることが好ましく、6〜30μmの範囲内がより好ましい。
【0058】
また、熱可塑性樹脂層(12)としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などの樹脂を使用することができる。前記熱可塑性樹脂層(12)は、前記紙層(11)とバリアフィルム層(13)とをラミネーションを行なう際の接着剤の役目をするものである。ラミネーション方法としては、前記エクストルージョンラミネーション方法を利用したサンドイッチラミネーション方法を使用することができる。
【0059】
次に、最内層のシーラント層(40)には、例えば、ヒートシール性に優れる低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)などのポリオレフィン樹脂、またはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)などのエチレン共重合体のフィルム、もしくは、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体などからなるホットメルト接着剤を塗布量15〜25g/m2程度で設けてもよく、これらシーラント層(40)によって、シール条件の選択により、容器本体(B)のフランジ部(7)との充分な密封性(シール性)と易開封性(イージーピール性)を可能とすることができる。
【0060】
ところが、本発明のフック付き蓋材(A)においては、容器本体(B)が紙にポリエチレン樹脂(PE)をエキストルーダーでラミネートした積層材料による成形容器、ポリスチレン樹脂(PS)成形容器、ポリプロピレン樹脂(PP)成形容器、ポリスチレン樹脂(PS)シートとポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)シートとをラミネーションした積層材料による成形容器など各種の材質に対応できるようにするために、それぞれの被着体である該容器本体(B)のフランジ部(7)の端面と強接着すると同時に該蓋材(A)を開封する時には、容易に開封できる易開封性(イージーピール性)をもつ、より完全なシーラント層(40)を選択する。
【0061】
このような要求を満たすため、シーラント層(40)には、様々な機能を付与しているが、その一つが、易開封機構の設計であり、それらの例として、界面剥離機構、層間剥離機構、凝集剥離機構が挙げられる。
【0062】
このうち、凝集剥離機構は熱可塑性樹脂からなるベース樹脂と非相溶系、あるいは部分相溶系の熱可塑性樹脂とをブレンドすることで設計され、その剥離原理としては、非相溶系、あるいは部分相溶系の熱可塑性樹脂ブレンド層が凝集力の小さいことを利用し、開封時は該蓋材(A)の最内層である該シーラント層(40)と被着体との界面ではなく、このような非相溶系あるいは部分相溶系のブレンド層の凝集破壊を利用することが挙げられる。
【0063】
以上のことから、該シーラント層(40)を形成する樹脂は、熱可塑性樹脂をベース樹脂とし、該ベース樹脂に非相溶系あるいは部分相溶系の熱可塑性樹脂をポリマーブレンドした混合樹脂を使用する方法が好ましい。
【0064】
例えば、前記ベース樹脂としては、該容器本体(B)のフランジ部(7)のシール端面
の材質に応じて様々な樹脂を使用することが可能であり、例えば低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などを使用することができる。また、これらの樹脂は、前記の樹脂単体、または前記の樹脂を混合した樹脂を使用しても構わない。
【0065】
更に、該樹脂中に低分子量の石油樹脂、例えば脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂や、ロジン、重合ロジン、水素添加ロジン、ロジングリセリンエステル、およびその水添物または重合物、ロジンペンタエリストールおよびその水添物または重合物のようなロジン類を粘着付与剤として上記樹脂に適量を配合しても構わない。
【0066】
次に、該ベース樹脂に配合するブレンド用の熱可塑性樹脂としては、ベース樹脂と非相溶あるいは部分相溶する樹脂が使用される。
【0067】
該ベース樹脂の種類にもよるが、例えば低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリブテン樹脂(PB)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリアミド樹脂(Ny)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)やエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)のような酸共重合物やエチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)のようなエステル化物、またエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、あるいはその鹸化物、更にポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などが使用可能であり、特に上述した熱可塑性樹脂以外にも、酸変性物など様々な樹脂の使用が可能であり、これらの樹脂はベース樹脂と同様に単体でも、複数の樹脂をブレンドした樹脂でも構わない。
【0068】
また、該ベース樹脂として微生物により合成される微生物分解性を有する共重合ポリエステルを使用することもできる。該共重合ポリエステルは、別名微生物ポリエステルと呼ばれており、動物の中性脂肪に相当する微生物のエネルギー貯蔵物質であり、高結晶性の熱可塑性プラスチックである。この高結晶性ポリエステルは、微生物分解性という機能を持つことから、環境的に無公害プラスチックとして注目されている。
【0069】
本発明においては、該蓋材(A)で蓋をする容器本体(B)のフランジ部(7)のシールする端面である被着体がポリエチレン樹脂(PE)の場合は、ベース樹脂/ブレンド用の熱可塑性樹脂の組合せとしては、ポリエチレン樹脂(PE)/エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、ポリエチレン樹脂(PE)/エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン樹脂(PE)/エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、ポリエチレン樹脂(PE)/エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)の組合せが好ましい。
【0070】
次に、容器本体(B)の該被着体がポリスチレン樹脂(PS)の場合は、ベース樹脂/ブレンド用の熱可塑性樹脂の組合せとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)/ポリブテン樹脂(PB)、ポリエチレン樹脂(PE)+エラストマー+石油樹脂/ポリブテン樹脂(PB)の組合せが好ましい。
【0071】
次に、容器本体(B)の該被着体がポリプロピレン樹脂(PP)の場合は、ベース樹脂/ブレンド用の熱可塑性樹脂の組合せとしては、ポリプロピレン樹脂(PP)/ポリスチレン樹脂(PS)、ポリプロピレン樹脂(PP)/ポリエチレン樹脂(PE)の組合せが好ましい。
【0072】
また、該シーラント層(40)の厚さは、シール強度、加工性を考慮すると、15〜100μmの範囲内であることが好ましく、30〜70μmの範囲内がより好ましい。
【0073】
前記剥離剤層(14)には、レシチンなどの可食性界面活性剤や硝化綿系(ニトロセルロース)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられ、場合によってはこれらに、例えばポリエチレン系ワックス、ポリエステル系ワックス、またはシリコンなどを混合した剥離剤を使用することができる。
【0074】
これらの剥離剤を紙層(11)に塗工する方法は、グラビアロールコーティング方式、シルクスクリーン方式などを使用することができる。
【0075】
以下に、本発明のフック付き蓋材(A)について、具体的にいくつかの実施例を挙げて、さらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0076】
本発明のフック付き蓋材(A)に使用する積層体は、図3に示すように、最外層の保護フィルム層(10)には、厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を使用し、紙層(11)には、坪量が84.9g/m2の片アート紙を使用し、ウエットラミネーション方法により、ラミネーションして紙層(11)上に保護フィルム層(10)を積層した表基材層(20)を得た。この表基材層(20)にコ字形状のフック部(1)を形成する切れ込み加工をロータリーミシン加工機により行った。
【0077】
次に、前記表基材層(20)の紙層(11)面にワックス系の剥離剤をグラビアロールコーティング方式により、帯状の剥離剤層(14)を設けた。
【0078】
次に、中間基材層(30)のバリアフィルム層(13)としては、厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を使用し、該バリアフィルム層(13)と前記表基材層(20)を構成している紙層(11)面とを低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)からなる熱可塑性樹脂層(12)を介して、サンドイッチラミネーション方法でラミネーションを行った。
【0079】
さらに、前記バリアフィルム層(13)上にイージーピール性シーラントとして、ベース樹脂/ブレンド用の熱可塑性樹脂の組合せからなるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)/ポリブテン樹脂(PB)を組合せた混合樹脂を使用し、エクストルージョンラミネーション方法により、シーラント層(40)を設けて、最外層の保護フィルム層(10)/紙層(11)/パターン状の剥離剤層(14)/熱可塑性樹脂層(12)/バリアフィルム層(13)/シーラント層(40)から構成される該蓋材(A)用の積層体を得た。この積層体のプラスチックフィルム層(50)に剥離開始ハーフカット線(3)、剥離終了ハーフカット線(4)、及びフック部差込用切れ目(2)を各々内面側となる該プラスチックフィルム層(50)に設けた。
【0080】
次に、巻取状の積層体を枚葉状に大断ちした後、小断ち・打ち抜き加工を経て本発明のフック付き蓋材(A)を得た。
【0081】
このようにして得た該蓋材(A)をあらかじめ成形されたポリスチレン樹脂(PS)か
らなる容器本体(B)のフランジ部(7)にヒートシールしてフック付き蓋材(A)を被せたカップ麺入り容器を完成した。
【0082】
次に、このようなカップ麺入り容器を使用し、開封及び再封状態保持機能性を評価した。
【0083】
先ず、該蓋材(A)の開封用プルタブ(5)をつまんで該蓋材(A)を容器本体(B)から開封すると、図2に示すように、剥離開始ハーフカット線(3)から剥離終了ハーフカット線(4)までの間の剥離領域(C)の表基材層(20)が取り去られ、該表基材層(20)には、フック部(1)が形成され、該剥離領域(C)内には、プラスチックフィルム層(50)が露出し、フック部(1)を差し込むためのフック部差込用切れ目(2)が現出した。
【0084】
このようにして開封した該蓋材(A)をさらに折り曲げて、形成されたフック部(1)を容器本体(B)のフランジ部(7)に引っ掛け、該蓋材(A)の開封状態を保持することができた。このようにアルミニウム箔を含まない積層体でも開封状態を保持するので、熱湯を注ぐ作業の邪魔にならず、スムースに行なうことができた。
【0085】
次に、熱湯を注ぐ作業が終了した後、該蓋材(A)をフランジ部(7)から外すと蓋材(A)の反発によって容易にもとの未開封の状態に戻すことができた。
【0086】
次に、未開封の状態に戻った該蓋材(A)のフック部(1)をフック部差込用切れ目(2)に差し込み、再封状態を保持することができたので蒸らしを必要とする商品に対して使用することができた。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係るフック付き蓋材の1実施例を示す平面図である。
【図2】本発明に係るフック付き蓋材を開封した状態の1実施例を示す斜視図である。
【図3】図1のX−X線側断面図である。
【符号の説明】
【0088】
A・・・フック付き蓋材
B・・・容器本体
C・・・剥離領域
D・・・開封用プルタブ側の非剥離領域
E・・・他の非剥離領域
1・・・フック部
2・・・フック部差込用切れ目
3・・・剥離開始ハーフカット線
4・・・剥離終了ハーフカット線
5・・・開封用プルタブ
6・・・外周縁
7・・・フランジ部
10・・・保護フィルム層
11・・・紙層
12・・・熱可塑性樹脂層
13・・・バリアフィルム層
14・・・剥離剤層
20・・・表基材層
30・・・中間基材層
40・・・シーラント層
50・・・プラスチックフィルム層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口部とほぼ同じ外形を有し、外周縁に開封用プルタブを有するフック付き蓋材であって、表基材層とプラスチックフィルム層とが積層された積層体からなり、前記表基材層とプラスチックフィルム層との層間には、剥離剤からなる剥離剤層が設けられた剥離領域と該剥離領域を挟んで2分割された前記開封用プルタブ側の非剥離領域と該剥離領域に隣接して反対側に配置された他の非剥離領域とに区画され、前記剥離領域内には開封及び再封時に容器本体のフランジ部下端に引っ掛けて、状態を保持するフック部が外面側となる表基材層に設けられ、且つ前記開封用プルタブ側の非剥離領域と前記剥離領域との境界線に沿って剥離開始ハーフカット線が、また該剥離領域と前記他の非剥離領域との境界線に沿って剥離終了ハーフカット線とが各々内面側となる該プラスチックフィルム層から該表基材層に至る範囲で設けられ、更に該剥離領域内には前記フック部を差し込むためのフック部差込用切れ目が、内面側となる該プラスチックフィルム層から該表基材層に至る範囲で設けられていることを特徴とするフック付き蓋材。
【請求項2】
前記フック部の形状が、切れ込みの一部分に繋ぎを設けたコの字形状からなることを特徴とする請求項1記載のフック付き蓋材。
【請求項3】
前記表基材層が、紙層単体または少なくとも該紙層の片面に保護フィルム層が積層された積層体からなることを特徴とする請求項1又は2記載のフック付き蓋材。
【請求項4】
前記プラスチックフィルム層が、中間基材層と、シーラント層とを積層した積層体からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のフック付き蓋材。
【請求項5】
前記中間基材層が、熱可塑性樹脂層とバリアフィルム層とを積層した積層体からなることを特徴とする請求項4記載のフック付き蓋材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−103746(P2006−103746A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292260(P2004−292260)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】