説明

フットスイッチ及びX線診断装置

【課題】フットスイッチを動作させるための電力を、フットスイッチ自身に発電させる。
【解決手段】互いに対向するように配置された第1の圧電素子及び第2の圧電素子と、ペダル部材と、弾性部材と、スイッチと、を備えたフットスイッチである。ペダル部材は、第1の圧電素子と第2の圧電素子との間を移動可能に構成されている。弾性部材は、ペダル部材を、第2の圧電素子に向けて付勢する。スイッチは、ペダル部材が踏み込まれることでONとなり、ペダル部材が開放されることでOFFとなる。また、ペダル部材が踏み込まれたときに、ペダル部材及び弾性部材の少なくともいずれかにより第1の圧電素子を押圧することで電力を発生させる。また、ペダル部材が開放されたときに、付勢によりペダル部材で第2の圧電素子を押圧することで電力を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線診断装置に用いられるフットスイッチの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置は、X線管から患者にX線を照射し、被検体を透過したX線をX線検出器などにより捕らえて、その透過線量に比例した陰影像である透視画像を生成する。そして、医師や検査技師等の操作者(以下、単に「操作者」という)は、X線診断装置で生成される透視画像を観察することで、被検体の診断を行う。
【0003】
このようなX線診断装置では、両手がふさがっている状態においても、例えば、X線照射の有無の切り替えや、X線の照射方法の(例えば、低線量照射と高線量照射)の切り替えを行う場合がある。そのため、このようなX線診断装置では、この切り替え操作に、足で踏み込むことによってオンまたはオフ動作を行うフットスイッチを用いる場合がある。
【0004】
このようなフットスイッチには、無線通信によりオン及びオフを示す信号を、X線診断装置本体に送信するワイヤレスフットスイッチがある。このようなワイヤレスフットスイッチの給電設備としては、一般的には充電池が用いられる。即ち、充電池をあらかじめ充電しておくことで、ワイヤレスフットスイッチを、この充電池から供給される電力により動作させる。
【0005】
しかしながら、充電池による電力供給により動作させる場合には、長時間の使用に伴う充電切れの恐れや、電圧が低下し動作が不安定になる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−36278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の実施形態は、フットスイッチを動作させるための電力を、フットスイッチ自身に発電させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この実施形態の第1の態様は、互いに対向するように配置された第1の圧電素子及び第2の圧電素子と、ペダル部材と、弾性部材と、スイッチと、を備えたフットスイッチである。ペダル部材は、第1の圧電素子と第2の圧電素子との間を移動可能に構成されている。弾性部材は、ペダル部材を、第2の圧電素子に向けて付勢する。スイッチは、ペダル部材が踏み込まれることでONとなり、ペダル部材が開放されることでOFFとなる。また、ペダル部材が踏み込まれたときに、ペダル部材及び弾性部材の少なくともいずれかにより第1の圧電素子を押圧することで電力を発生させる。また、ペダル部材が開放されたときに、付勢によりペダル部材で第2の圧電素子を押圧することで電力を発生させる。
また、この実施形態の第2の態様は、X線源と、制御部と、X線検出器と、画像データ生成部と、フットスイッチと、を備えたX線診断装置である。X線源は、被検体に向けてX線を照射する。制御部は、X線源を駆動させるための制御信号をX線源に供給する。X線検出器は、X線源から照射されたX線の強度を検出する。画像データ生成部は、X線検出器で検出されたX線の強度に基づいてX線画像を生成する。フットスイッチは、制御部による制御信号の供給の有無を切り替える。また、フットスイッチは、互いに対向するように配置された第1の圧電素子及び第2の圧電素子と、ペダル部材と、弾性部材と、スイッチと、送信部と、を備える。ペダル部材は、第1の圧電素子と第2の圧電素子との間を移動可能に構成されている。弾性部材は、ペダル部材を、第2の圧電素子に向けて付勢する。スイッチは、ペダル部材が踏み込まれることでONとなり、ペダル部材が開放されることでOFFとなる。送信部は、スイッチがONとなったときに、制御信号を供給するための信号を制御部に送信する。また、ペダル部材が踏み込まれたときに、ペダル部材及び弾性部材の少なくともいずれかにより第1の圧電素子を押圧することで電力を発生させ、当該電力を送信部に供給する。また、ペダル部材が開放されたときに、付勢によりペダル部材で第2の圧電素子を押圧することで電力を発生させ、当該電力を送信部に供給する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係るX線診断装置のブロック図である。
【図2A】本実施形態に係るフットスイッチの構成を示した概略図である。
【図2B】本実施形態に係るフットスイッチの構成を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態に係るX線診断装置について図1を参照しながら説明する。図1に示すように、本実施形態に係るX線診断装置は、撮影部20と、システム制御部10と、X線制御部11と、高電圧発生部12と、機構制御部13と、撮像系移動機構14と、天板移動機構15と、画像データ生成部31と、表示制御部32と、表示部33と、フットスイッチ50とを含んで構成される。また、撮影部20は、Cアーム21と、X線発生部22と、X線検出器23と、天板24とを含んで構成される。
【0011】
Cアーム21は、X線発生部22及びX線検出器23を保持する保持部である。Cアーム21の一端にはX線発生部22が保持され、他端にはX線発生部22と対向するようにX線検出器23が保持されている。Cアーム21は、例えば天井から吊り下げられる円弧状の支柱に回転自在に支持される。X線発生部22と、X線検出器23との間には、被検体Pを載置する寝台の天板24が配置される。X線発生部22は、X線検出器23との間に介在する天板24に載置された被検体Pに向けてX線を照射するための構成である。X線検出器23は、X線発生部22から照射されたX線を検出する。
【0012】
撮像系移動機構14は、Cアーム21を移動及び回動させるための駆動部である。また、天板移動機構15は、天板24を移動させるための駆動部である。撮像系移動機構14及び天板移動機構15は、機構制御部13からの制御に基づき動作する。具体的には、機構制御部13は、システム制御部10から供給される制御信号に従って、Cアーム21やX線検出器23の回動及び移動における方向、移動量、及び速度を示す情報を生成する。システム制御部10については後述する。機構制御部13は、生成された情報を撮像系移動機構14に出力する。撮像系移動機構14は、この情報に基づき、Cアーム21を移動及び回動させることで、Cアーム21の位置や向きを制御する。
【0013】
また、機構制御部13は、システム制御部10からの制御信号に従って、天板24の移動における方向、移動量、及び速度を示す情報を生成する。機構制御部13は、生成された情報を天板移動機構15に出力する。天板移動機構15は、この情報に基づき、天板24を被検体Pの体軸方向に沿って移動させることで、天板24の位置を制御する。
【0014】
X線発生部22は、X線管221と、X線絞り222と、面積線量計223とを含んで構成されている。X線管221は、フィラメントより放出された電子を高電圧によって加速させ、陽極となるターゲットに衝突させることでX線を発生させ、照射窓から外部に照射する。ターゲットの材料としては、例えば、タングステンが用いられる。X線絞り222は、X線管221の照射窓に設けられており、複数枚の鉛羽で構成されている。X線絞り222は、X線管221から照射されたX線により、観察部位以外の不要な部分を被曝させないために、所定の照射野のサイズに絞り込む。また、X線絞り222の出射側には、アクリル等で形成されハレーションを防止するために、照射野内の所定の領域のX線を所定量だけ減衰させる補償フィルタを設けてもよい。
【0015】
面積線量計223は、X線絞り222を通過したX線の線量を検出する。面積線量計223は、検出されたX線の線量を電荷に変換し、X線の照射強度、照射面積及び照射時間に略比例した面積線量の出力信号として出力する。具体的な一例として、面積線量計223は、Cアーム21の回転中心(即ち、アイソセンタ)からX線管球側に所定距離だけ離れた位置を基準位置としてX線の線量を測定する。面積線量計223は、測定されたX線の線量を、基準位置におけるX線の照射領域の面積で除算することで面積線量を算出する。換言すると、面積線量計223は、単位面積あたりのX線の照射強度を示す信号を面積線量として出力する。
【0016】
高電圧発生部12は、X線管221の陰極から発生する熱電子を加速するために、陽極と陰極の間に印加する高電圧を発生させる。高電圧発生部12の動作は、X線制御部11により制御される。具体的には、X線制御部11は、システム制御部10からX線の照射条件を示す制御情報を受ける。X線制御部11は、この制御情報に基づき、高電圧発生部12を動作させるための管電流、管電圧、X線パルス幅、照射周期(レート間隔)、透視区間等からなるX線照射条件を示す情報を生成する。X線制御部11は、この情報に基づき高電圧発生部12の動作を制御する。
【0017】
X線検出器23は、例えば、マトリクス状に配置された複数の半導体検出素子を有するフラットパネルディテクタ(FPD:平面型X線検出器)で構成される。X線検出器23は、所定の照射野でX線発生部22から照射されたX線の強度を半導体検出素子ごとに検出する。なお、FPDの天板24側の面上に、被検体Pの所定部位を透過したX線の散乱光をカットするX線グリッドを設けてもよい。X線検出器23は、半導体検出素子ごとに検出されたX線の強度を電気信号に変換し画像データとして、画像データ生成部31に出力する。画像データ生成部31については後述する。なお、X線検出器23は、FPDに代えてX線I.I.(イメージ・インテンシファイア)とX線TVカメラとの組み合わせにより構成してもよい。
【0018】
画像データ生成部31は、X線検出器23から画像データを受けて、この画像データに画像演算や画像処理を施す。具体的な一例として、画像データ生成部31は、造影剤注入前後の画像データ間サブトラクションによるDSA(Digital Subtraction Angiography)画像データやロードマップ画像データ、長尺画像データなどを生成するための画像演算を行う。また、画像データ生成部31は、画像演算により得られた画像データに対して輪郭抽出や平滑化、諧調変更などの画像処理を行う。また、画像データ生成部31は、この画像データに関するX線検査の条件を示す情報をシステム制御部10から受ける。画像データ生成部31は、画像演算及び画像処理により得られた画像データに、X線検査の条件を示す情報を付帯させて、表示制御部32に出力する。これを受けて、表示制御部32は、この画像データに基づきX線画像を表示部33に表示させる。
【0019】
システム制御部10は全システムの制御中心を構成し、操作者により入力されたX線の照射条件や撮影位置の条件をX線検査の条件として受けて、X線制御部11及び機構制御部13の動作を制御する。具体的には、システム制御部10は、操作者により入力されたX線の照射条件を基に制御信号を生成し、この制御信号によりX線制御部11の動作を制御する。この制御信号により、X線制御部11は、高電圧発生部12を動作させてX線発生部22からX線を照射させる。また、システム制御部10は、操作者により入力された撮影位置の条件を基に制御信号を生成し、この制御信号により機構制御部13の動作を制御する。この制御信号により、機構制御部13は、撮像系移動機構14及び天板移動機構15を動作させて、Cアーム21の移動及び回動と天板24の移動とを制御する。
【0020】
また、本実施形態に係るX線診断装置は、フットスイッチ50のON/OFFにより、X線照射の有無や、X線の照射方法の切り替え、または天板24の移動もしくはCアーム21の移動及び回動を制御可能に構成されている。X線照射の有無を切り替える場合を例に、以下に具体的に説明する。
【0021】
フットスイッチ50は、操作者が踏み込むことでシステム制御部10に信号を送信するためのペダル部材541を備えている。フットスイッチ50は、ペダル部材541を足で踏み込むことでスイッチがONになり、ペダル部材541を開放することでスイッチをOFFになる。例えば、操作者によりフットスイッチ50のペダル部材541が足で踏み込まれると、フットスイッチ50からシステム制御部10に信号が送信される。システム制御部10は、この信号を受けて、X線制御部11に制御信号を送信してX線を照射させる。フットスイッチ50は、ペダル部材541が踏まれている間はシステム制御部10に信号の送信を継続する。システム制御部10は、フットスイッチ50から信号が送信されている間、即ち、ペダル部材541が踏み込まれている間は、X線制御部11に制御信号の送信を継続する。これによりX線の照射が継続される。フットスイッチ50が開放されると、フットスイッチ50は、システム制御部10への信号の送信を停止する。システム制御部10は、X線制御部11への制御信号の送信を停止し、これによりX線の照射が停止する。
【0022】
なお、システム制御部10は、フットスイッチ50からの信号を受けて、X線制御部11を制御することで、X線の照射方法を切り替えさせることも可能である。また、フットスイッチ50の操作により、天板24もしくはCアーム21の動作を制御する場合には、システム制御部10は、フットスイッチ50からの信号を受けて、機構制御部13に制御信号を送信するように動作させればよい。
【0023】
(フットスイッチの構成)
次に、フットスイッチ50の構成について図2A及び図2Bを参照しながら説明する。図2A及び図2Bは、フットスイッチ50の構成を示した概略図を示している。図2Aは、スイッチがOFFになっている状態を示しており、図2Bは、スイッチがONになっている状態を示している。
【0024】
ベース部材511の上面には、圧電素子52が設けられている。また、圧電素子52を覆うようにぺダル部材541が設けられている。ペダル部材541は、ベース部材511の一方に設けられた回転軸543を軸に回転可能に取り付けられている。
【0025】
ベース部材511の回転軸543が設けられた方向とは逆側の端部には支持部材512が設けられている。圧電素子52の支持部材512が設けられた方向の一部の領域と対向するように、圧電素子52の上方に離間して平面部材513が設けられている。平面部材513は、支持部材512により前述した位置に固定されている。平面部材513の圧電素子52と対向する側の面には、圧電素子53が設けられている。即ち、圧電素子52と圧電素子53とは対向するように離間して設けられている。圧電素子52及び圧電素子53としては、例えば、圧電セラミックス、または圧電バイモルフ素子等が用いられる。
【0026】
ペダル部材541の、回転軸543と逆側の端部近傍にはガイド溝542が設けられている。また、リンク部材551の側部にはピン552が設けられており、このピン552が、ガイド溝542に沿って移動可能にガイド溝542と嵌合している。これのような構成により、ペダル部材541とリンク部材551とがリンク機構を構成している。このリンク機構により、ペダル部材541が、回転軸543を軸として回動することにより、リンク部材551が圧電素子52と圧電素子53との間を移動可能に構成されている。具体的には、ペダル部材541の回転運動が、このリンク機構により、リンク部材551の上下の直線運動に変換され、リンク部材551が圧電素子52と圧電素子53との間を移動する。
【0027】
また、リンク部材551と圧電素子52との間には、弾性部材561が介在しており、弾性部材561は、リンク部材551を圧電素子52に向けて付勢している。なお、リンク部材551を圧電素子52に向けて直接もしくは間接的に付勢することが可能であれば、その構成は弾性部材561に限定されない。例えば、図2A及び図2Bに示すように、圧電素子52とペダル部材541との間に板ばね562を介在させ、板ばね562によりペダル部材541を上方に向けて付勢してもよい。この場合には、板ばね562によりペダル部材541が上方に向けて付勢されることで、ペダル部材541とリンク機構を構成するリンク部材551が間接的に付勢される。
【0028】
また、ベース部材511とペダル部材541との間には、スイッチ57が介在している。スイッチ57は、送信部58と電気的に接続されており、押し込まれてONの状態になると送信部58に制御信号を送信する。送信部58は、この制御信号を受けて、システム制御部10に信号を送信する。この信号により、システム制御部10は、フットスイッチ50が操作されたことを認識することが可能となる。
【0029】
また、スイッチ57及び送信部58は、圧電素子52及び圧電素子53と電気的に接続されている。これにより、圧電素子52及び圧電素子53が押圧されることで発生した電力が、スイッチ57及び送信部58に供給される。スイッチ57及び送信部58は、この圧電素子52及び圧電素子53から供給される電力により動作する。
【0030】
次に、フットスイッチ50が操作された場合の動作について、操作者によりペダル部材541が踏み込まれた場合(即ち、「ONの場合」)と、踏み込まれたペダル部材541が開放された場合(即ち、「OFFの場合」)とに分けて説明する。
【0031】
(ONの場合)
まず、操作者によりペダル部材541が踏み込まれた場合、即ち、図2Aの状態から図2Bの状態に遷移する場合の動作について説明する。操作者によりペダル部材541が踏み込まれると、回転軸543を軸にペダル部材541が下方に向けて回転する。この回転により移動したペダル部材541は、スイッチ57を押し込む。また、このときペダル部材541は、自身が接触する圧電素子52の一部を押圧するとともに、板ばね562を下方に向けて押圧する。板ばね562は、ペダル部材541に押圧されることで、自身の下方に位置する圧電素子52の一部を押圧する。
【0032】
また、ペダル部材541の回転と連動してリンク部材551が下方に向けて移動し、弾性部材561を押圧する。弾性部材561は、リンク部材551に押圧されることで、自身の下方に位置する圧電素子52の一部を押圧する。なお、ペダル部材541及びリンク部材551を、「ペダル部材」と呼ぶ場合がある。
【0033】
圧電素子52は、ペダル部材541、弾性部材561、及び板ばね562により押圧されることで、押圧された部分が歪み、電力を発生させる。圧電素子52は、発生された電力を送信部58に供給する。
【0034】
また、ペダル部材541により、スイッチ57が押し込まれることで、スイッチ57はONの状態となり、送信部58に制御信号を送信する。送信部58は、圧電素子52から供給された電力により起動し、スイッチ57から制御信号を受けて、システム制御部10に信号を送信する。
【0035】
(OFFの場合)
次に、踏み込まれたペダル部材541が開放された場合、即ち、図2Bの状態から図2Aの状態に遷移する場合の動作について説明する。操作者により踏みこまれたペダル部材541が開放されると、板ばね552による付勢により、ペダル部材541が上方に向けて押し上げられる。これにより、ペダル部材541は、回転軸543を中心に上方に向けて回転し、ペダル部材541とリンク機構を構成するリンク部材551を圧電素子53に向けて(即ち、上方にむけて)押し上げる。また、弾性部材561の付勢により、リンク部材551が圧電素子53に向けて押し上げられる。また、リンク部材551とリンク機構を構成するペダル部材541は、リンク部材551の動作に連動して、上方に向けて押し上げられる。
【0036】
このようにして、弾性部材561及び板ばね552の付勢により、ペダル部材541が直接的もしくは間接的に押し上げられて、スイッチ57が開放されてOFFの状態となる。
【0037】
また、弾性部材561及び板ばね552の付勢により、直接的もしくは間接的に押し上げられたリンク部材551は、圧電素子53を押圧する。圧電素子53は、リンク部材551により押圧されることで、押圧された部分が歪み、電力を発生させる。圧電素子53は、発生された電力を送信部58に供給する。なお、このとき弾性部材561により圧電素子52も押圧されるため、圧電素子52も電力を発生させる。そのため、圧電素子52により発生された電力を送信部58に供給してもよい。
【0038】
なお、圧電素子52の面積は、圧電素子53の面積よりも広く構成することが望ましい。これは、圧電素子53は、操作者による踏み込みにより押圧されるため、圧電素子53全体が押圧される時間は、圧電素子52が押圧される時間よりも短い傾向にある。また、圧電素子53は、弾性部材561及び板ばね552の付勢により押圧されるのに対し、圧電素子53は、操作者による踏み込みにより押圧される。そのため、圧電素子53が押圧される力よりも、圧電素子52が押圧される力が大きい傾向にある。そのため、圧電素子53の面積を広くし、押圧されたときに広い領域で歪みが発生するように構成することで、短い時間でより多くの電力を発生させるとよい。
【0039】
一例として、スイッチ57及び送信部58は、10mW〜100mW程度の電力で動作する。圧電素子52として圧電セラミックスまたは圧電バイモルフ素子を用いる場合には、圧電素子52の面積(厳密には、歪みを発生させる面積)として一般的な大人の足のサイズ程度の面積を確保すれば、このようなスイッチ57及び送信部58を駆動させることが可能である。また、圧電素子53により発生する電力は、圧電素子52から電力が供給されていないときに、スイッチ57及び送信部58を動作させるための補助的な電力として用いられる。そのため、圧電素子53の面積として、圧電素子52からの電力の供給が開始されるまでの間に、スイッチ57及び送信部58が動作するために必要な電力を供給可能な面積を確保できればよい。これらの具体的な面積は、実験等によりあらかじめ調べて設計すればよい。
【0040】
また、フットスイッチ50に、充電池を設けて、圧電素子52及び圧電素子53による発電と組み合わせてもよい。この態様の一例として、フットスイッチ50は、圧電素子52及び圧電素子53で発生した電力(例えば、送信部58が使用しない余剰電力)を充電池に充電させる。このような態様の場合には、フットスイッチ50は、この充電池からの電力と圧電素子52及び圧電素子53で発生された電力とにより、送信部58を動作させればよい。
【0041】
以上のように、本実施形態に係るフットスイッチ50は、ペダル部材541が踏み込まれたときには、圧電素子52を押圧することで送信部58に電力を供給する。また、フットスイッチ50は、ペダル部材541が開放されたときには、圧電素子53を押圧することで送信部58に電力を供給する。このような構成とすることで、フットスイッチ50は、使用の有無に拘らず、圧電素子52及び圧電素子53の少なくともいずれかにより電力を発生させて、この電力を基に動作することが可能となる。これにより、充電切れや電圧低下に伴う誤動作の発生を防止することが可能となる。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載されたその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
10 システム制御部
11 X線制御部
12 高電圧発生部
13 機構制御部
14 撮像系移動機構
15 天板移動機構
20 撮影部
21 Cアーム
22 X線発生部
221 X線管
222 X線絞り
223 面積線量計
23 X線検出器
24 天板
31 画像データ生成部
32 表示制御部
33 表示部
50 フットスイッチ
511 ベース部材
512 支持部材
513 平面部材
52、53 圧電素子
541 ペダル部材
542 ガイド溝
543 回転軸
551 リンク部材
552 ピン
561 弾性部材
562 板ばね
57 スイッチ
58 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するように配置された第1の圧電素子及び第2の圧電素子と、
前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子との間を移動可能に構成されたペダル部材と、
前記ペダル部材を、前記第2の圧電素子に向けて付勢する弾性部材と、
前記ペダル部材が踏み込まれることでONとなり、前記ペダル部材が開放されることでOFFとなるスイッチと、
を備え、
前記ペダル部材が踏み込まれたときに、前記ペダル部材及び前記弾性部材の少なくともいずれかにより前記第1の圧電素子を押圧することで電力を発生させ、前記ペダル部材が開放されたときに、前記付勢により前記ペダル部材で前記第2の圧電素子を押圧することで電力を発生させることを特徴とするフットスイッチ。
【請求項2】
前記スイッチがONとなったときに、所定の送信先に信号を送信する送信部を備え、
前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子を押圧することで発生させた前記電力を前記送信部に供給することを特徴とする請求項1に記載のフットスイッチ。
【請求項3】
被検体に向けてX線を照射するX線源と、
前記X線源を駆動させるための制御信号を前記X線源に供給する制御部と、
前記X線源から照射された前記X線の強度を検出するX線検出器と、
前記X線検出器で検出された前記X線の強度に基づいてX線画像を生成する画像データ生成部と、
前記制御部による前記制御信号の供給の有無を切り替えるフットスイッチと、
を備えたX線診断装置であって、
前記フットスイッチは、
互いに対向するように配置された第1の圧電素子及び第2の圧電素子と、
前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子との間を移動可能に構成されたペダル部材と、
前記ペダル部材を、前記第2の圧電素子に向けて付勢する弾性部材と、
前記ペダル部材が踏み込まれることでONとなり、前記ペダル部材が開放されることでOFFとなるスイッチと、
前記スイッチがONとなったときに、前記制御信号を供給するための信号を前記制御部に送信する送信部と、
を備え、
前記ペダル部材が踏み込まれたときに、前記ペダル部材及び前記弾性部材の少なくともいずれかにより前記第1の圧電素子を押圧することで電力を発生させ、当該電力を前記送信部に供給し、前記ペダル部材が開放されたときに、前記付勢により前記ペダル部材で前記第2の圧電素子を押圧することで電力を発生させ、当該電力を前記送信部に供給することを特徴とするX線診断装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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