説明

フッ素化染料又は着色剤及びそれらの使用

本発明は、ハロゲン化溶媒、特にフッ素化溶媒中で、高い溶解性と低粘性を有する新規なフッ素化染料又は着色剤に関する。本発明の染料と着色剤は、電気泳動ディスプレーの性能向上を示した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化、特にフッ素化(又は含フッ素)溶媒中で、低粘度及び高溶解性を有する新規なフッ素化染料(又は色素)又は着色剤(染料又は顔料)に関する。本発明の染料又は着色剤は、電気泳動ディスプレーの性能向上を示した。
【背景技術】
【0002】
電気泳動ディスプレー(EPD)は、溶媒中の、好ましくは着色した誘電溶媒中の帯電ピグメント粒子の移動に影響を与える電気泳動現象に基づく非発光性デバイスである。このタイプのディスプレーは、1969年に初めて提案された。EPDは、典型的には、一組の対向し離れたプレート状の電極と、それらの間に特定の距離を予め規定するスペーサーを含んで成る。電極の少なくとも一つは、透明であり、典型的には観る側である。パッシブタイプのEPDには、上部(観る側)及び下部プレート上に各々行と列の電極が、ディスプレーを駆動するために必要である。これに対し、アクティブタイプEPDには、下部プレート上の薄膜トランジスター(TFT)のアレイと、上部の観る側の基材上に共通のパターンのない透明導電性層が使用され得る。
【0003】
着色誘電溶媒とその中に分散される帯電ピグメント粒子を含んで成る電気泳動流体を、二つの電極間に入れる(又は封入する)。電圧を二つの電極間に印加したとき、ピグメント粒子は、ピグメント粒子の極性と反対の極性を有するプレートに引かれることで移動する。従って、プレートを選択的に帯電させることで決められる、透明プレートにて示される色は溶媒の色又はピグメント粒子の色であり得る。プレートの極性の逆転は、粒子が反対のプレートへ逆に移動することを生じ、それによって、色が逆転する。電圧範囲内又はパルス時間の範囲内でプレート電荷を制御することによって、透明電極での中間的なピグメント濃度のため中間の色濃度(又は灰色の陰影)を得ることができる。
【0004】
種々のピクセル又はセル構造のEPDが先に報告されている。例えば、パーティションタイプEPD(M.A. Hopper and V. Novotny, IEEE Trans. Electr. Dev., Vol. ED 26, No. 8, pp. 1148-1152(1979))、マイクロカプセル化EPD(例えば、米国特許No.5,961,804及び5,930,026、米国特許出願シリアルナンバー60/443,893(2003年1月30日出願)、シリアルナンバー10/766,757(2004年1月27日出願))及びマイクロプリズム又はマイクログルーブを用いる全内部反射(TIR:total internal reflection)タイプのEPD(例えば、M.A. Mossman, et al., SID 01 Digest pp. 1054 (2001);SID IDRC proceedings, pp. 311 (2001);SID's Digest, pp. 522 (2002))である。
【0005】
改良されたEPD技術が、最近同時係属出願、米国シリアルナンバー09/518,488、2000年3月3日出願(WO01/67170と対応)、米国シリアルナンバー09/606,654、2000年6月28日出願(WO02/012821と対応)及び米国シリアルナンバー09/784,972、2001年2月15日出願(WO02/65215と対応)に開示された。その改良EPDは、マイクロカップから形成され、誘電溶媒中に分散された帯電ピグメント粒子で充填された分離したセルを含んで成る。セル中に電気泳動分散物を閉じこめて分離するために、充填セルは、ポリマーシーリング層、好ましくは熱可塑性物質、熱可塑性エラストマー、熱硬化性物質及びそれらの前駆体から成る群から選択される材料を含んで成る組成物から形成されるポリマーシーリング層で、トップ−シール(又は上部封止)される。
【0006】
他のタイプのディスプレー、即ち、磁気泳動ディスプレー(MPD:magnetophoretic display)及び電気磁気泳動ディスプレー(EMPD:electromagnetophoretic display)が、同時継続出願、米国シリアルナンバー60/367,325(2002年3月21日出願)、米国シリアルナンバー10/394,488(2003年3月20日出願)、米国シリアルナンバー60/375,299(2002年4月23日出願)及び米国シリアルナンバー10/421,217(2003年4月22日出願)に記載されている。磁気泳動ディスプレーは、一般的に、二つの層である基材の間にサンドイッチされ、磁気泳動分散物で満たされたディスプレーセルを含んで成り、ピグメント粒子は、磁気を帯びるが、帯電していない。ディスプレーは、磁場によって駆動される。少なくとも見る側の基材層は透明である。電気磁気泳動ディスプレーでは、二つの基材層の間にサンドイッチされたディスプレーセルは,電気磁気泳動分散物で、充填され、ピグメント粒子は、電荷と磁気の両方を帯びる。好ましくは、観る方ではない側の、基材層の一つは、充填したディスプレーセルと面する導電性層でコートされる。ディスプレーは、電場と磁場の組み合わせによって駆動させる。見る側の基材は、透明である。
【0007】
全てのタイプのディスプレーについて、ディスプレーセル内に含まれる分散物(又はディスパージョン)は、疑うまでもなくデバイスの最も重要な部分のひとつである。上述したように、ディスパージョンは、通常、着色した誘電溶媒又は溶媒混合物中に分散されるピグメント粒子を含んでなる。ディスパージョンの組成物は、だいたい、デバイスの寿命、コントラスト比、スイッチング速度、応答波形、閾値特性及び双安定性を決定する。理想的ディスパージョンでは、分散したピグメント粒子は、分離した状態にあり、全ての操作条件下で凝集しない又は固まらない。更に、ディスパージョン中の全ての成分は、化学的及び電気化学的に安定であり、相互に相性がよいのみならず、ディスプレー中に存在する他の材料例えば電極、シーリング材料及び基材材料とも相性がよくなければならない。
【0008】
分散媒体は、誘電溶媒又は溶媒混合物中に染料又は着色剤を分散し又は溶かすことによって、着色してよい。
【0009】
高い比重を有するハロゲン化溶媒が、EPDの用途に、特に、無機ピグメント(例えば、TiO)を、帯電した白色粒子又は着色粒子としてとして用いる用途に、広く使用されている。比重が高いハロゲン化溶媒は、溶媒中のピグメント粒子の沈殿速度を減少させることで極めて有用である。フッ素化溶媒は、化学的に安定であり、環境に優しいので、最も好ましい。
【0010】
しかし、大部分の染料又は着色剤は、フッ素化溶媒に、特に高沸点を有するパーフルオロ溶媒に溶解しない。例えば、フタロシアニンは、それらの高い吸光係数と化学的な安定性ゆえに極めて望ましい着色剤である;しかし、それらは、通常、多くの溶媒に不溶性であり、特に、フッ素化溶媒に不溶である。アルキル又はフッ素化アルキル等の有機基で環を置換することで、有機溶媒、特にフッ素化溶媒への溶解性を改良することができる。しかし、溶解性は、十分に高くなく、強い温度依存性もある。結果として、このタイプの染料によって着色されたEPDは、典型的には、乏しい保存寿命安定性と狭い動作温度寛容度(又はラチチュード)を示す。
【0011】
ある可溶性パーフルオロCuフタロシアニン染料が、US特許第3,281,426(1966)に開示されている。この染料の製造方法は、200℃〜350℃の範囲の温度で、芳香族出発化合物とヨウ化パーフルオロアルキルの混合物を加熱することを伴う。反応は、圧力を加えるために、オートクレーブ又は圧力アンプル中で行われる。この合成には、複雑な反応条件(例えば、高圧及び高温)と長時間の反応時間を伴い、低収率である。他のフタロシアニン誘導体(米国特許第6,043,355及び5,932,721)は、種々の有機溶媒中で、又はたとえ水中ででも、向上した溶解性を示すが、高度にフッ素化された溶媒中では示さない。
【0012】
フッ素化シリコン(IV)フタロシアニン及びナフタロシアニン染料の一群が、米国出願シリアルナンバー60/381,263(2002年5月17日出願)及びシリアルナンバー10/439,428(2003年5月15日出願)に開示されている。しかし、フッ素化Siフタロシアニン及びナフタロシアニン染料のパーフルオロ溶媒、例えばHT−200への溶解性は、それでも限定的であり、このタイプの染料を含む得られる電気泳動分散物の粘度は、相当高い。
【0013】
本願で参照する各々の文献の全ての内容は、参照することで、そっくりそのまま、本願に組み込まれる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の要約
本発明は、新規なフッ素化染料又は着色剤(色素又は顔料)に向けられている。フッ素化染料又は着色剤は、少なくとも約25重量%のフッ素、好ましくは少なくとも約35重量%のフッ素、より好ましくは少なくとも約50重量%のフッ素を含んで成る。金属フタロシアニン又はナフタロシアニン染料又はバット染料の場合、フッ素源は、パーフルオロアルキルのみではないという条件下においてである。
【0015】
本発明の第一の要旨は、フッ素化フタロシアニン及びナフタロシアニン染料又は着色剤の群に向けられている。
本発明の第二の要旨は、フッ素化アントラキノン染料及び着色剤の群に向けられている。
本発明の第三の要旨は、フッ素化ペリレン染料又は着色剤の群に向けられている。
【0016】
本発明の第四の要旨は、フッ素化キナクリドン染料又は着色剤の群に向けられている。
本発明の第五の要旨は、フッ素化ジケトピロロピロール(diketopyrrolopyrrole)染料又は着色剤の群に向けられている。
本発明の第六の要旨は、フッ素化ポルフィリン染料又は着色剤の群に向けられている。
本発明の第七の要旨は、フッ素化ナフタルイミド染料又は着色剤の群に向けられている。
【0017】
本発明の染料又は着色剤は、フッ素化溶媒(又はフッ素系溶媒)によく溶ける。フッ素化溶媒中のそれらの溶解度は、約0.1g/mL、好ましくは約0.2g/mL、より好ましくは約0.25g/mLを超えてよい。フッ素化溶媒は、少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約55重量%、より好ましくは少なくとも約60重量%のフッ素を含んで成ってよい。そのようなフッ素化溶媒の例には、パーフルオロ溶媒、例えばパーフルオロアルカン又はパーフルオロシクロアルカン(例えば、パーフルオロデカリン)、パーフルオロアリールアルカン(例えば、パーフルオロトルエン又はパーフルオロキシレン)、パーフルオロ−tert−アミン、パーフルオロポリエーテル、例えばソルベーソレクシズ社(Solvay Solexis)からのもの、パーフルオロポリエーテル(HTシリーズ)及びハイドロフルオロポリエーテル(ZTシリーズ)(ソルベーソレクシズ社)、FC−43(ヘプタコサフルオロトリブチルアミン)、FC−70(パーフルオロトリ−n−ペンチルアミン)、PF−5060又はPF−5060DL(パーフルオロヘキサン)(3M社:3M Company、セントポール、ミネソタ州)、低分子量(好ましくは50,000より小さく、より好ましくは20,000より小さい)ポリマー又はオリゴマー、例えばポリ(パーフルオロプロピレンオキサイド)(TCIアメリカ:TCI America、ポートランド、オレゴン州)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)例えばハロカーボンオイル(Halocarbon Oil)(ハロカーボンプロダクト社:Halocarbon Product Corp.、リバーエッジ、ニュージャージー州)及びデムナム潤滑油(ダイキン工業)が含まれ得るが、これらの例によって何ら制限されるものではない。パーフルオロポリエーテル及びハイドロフルオロポリエーテル、例えばHT−170、HT−200、HT−230、ZT−180(ソルベーソレクシズ社)及びトリフルオロ(トリフルオロメチル)−オキシランホモポリマー、例えばK−6及びK−7流体(K-fluids)(デュポン社:Dupont)が特に有用である。
【0018】
これらの染料又は着色剤は、ハロゲン化、特にパーフルオロ誘電溶媒中で高い溶解性又は分散性を示すのみならず、特に低温での改良されたスイッチング特性及び改良された温度許容度(ラチチュード:latitude)も示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
発明の詳細な説明
定義:
用語「アルキル」は、直鎖状、分枝状又は環状炭化水素鎖を意味する。他に記載がない場合、本明細書において、「アルキル」基は、1〜20、好ましくは1〜12の炭素原子を有する。「アルキル」の例には、メチル、エチル、シクロヘキシル、オクチル、n−デシル等及び場合によりそれらの不飽和のもの、例えばエテニル、3−ヘキセニル等が含まれる。
【0020】
用語「ヘテロアルキル」は、一又はそれ以上の炭素原子が、例えばO、S又はNR(ここで、Rは、水素又は1〜12の炭素原子を有するアルキルである)等のヘテロ原子によって置換されているアルキル基を意味する。
用語「アリール」は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル等(但し、これらに制限されるものではない)の6〜18の炭素原子を有する芳香環から誘導される有機基を意味する。
【0021】
用語「ヘテロアリール」は、芳香環の一又はそれ以上の炭素原子が、例えばO、S又はNR(ここで、Rは、水素又は1〜12の炭素原子を有するアルキルである)等のヘテロ原子によって置換されているアリール基を意味する。
本願明細書において、用語「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」又は「ヘテロアリール」は、場合により例えばB、Si、Se、Cu、Ca、Zn、Mg、Ti、Co又はZr等の金属で置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールを含んでよい。
【0022】
他に示されていない場合、用語「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」又は「ヘテロアリール」は、場合により下記の一又はそれ以上によって置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールを含んでよい:−NO、NC−、HO(O)C−、R**O−、R**HN−、R**N−、R**S−、R**CO−、R**C(O)O−、R**O(O)C−、R**NHC(O)−、R**NC(O)−、R**NHC(O)O−、R**OC(O)NH−、R**C(O)NH−、R**C(S)NH−、R**NHC(O)NH−、R**NHC(S)NH−、R**SC(O)NH−、R**=N−、R**NHC(O)S−等(ここで、R**は、水素、アルキル又はアリールである)。
【0023】
各々の「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」又は「ヘテロアリール」は、置換されていなくても、置換されていないアルキル又はアリールで置換されていても好ましいが、各々の「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」又は「ヘテロアリール」は、置換されていないことがより好ましい。
用語「アルコキシ」及び「アリールオキシ」は、アルキル−O−及びアリール−O−の部分を、各々意味する。
【0024】
用語「アルキレン」は、二つの炭素原子、好ましくは二つの末端の炭素原子の各々から水素原子を除去することによって、アルキル部分から誘導される二価の基を意味する。
用語「アリーレン」は、環の二つの炭素原子の各々から水素原子を除去することによって、アリール部分から誘導される二価の基を意味する。
【0025】
「アルキレン」及び「アリーレン」は、場合により一又はそれ以上のフッ素化アルキル又はアリール、又は用語「アルキル」又は「アリール」のためにリストした置換基で置換されてもよい。「アルキレン」又は「アリーレン」は、置換されていなくても、置換されていないアルキル又はアリール又はフッ素化アルキル又はアリールで置換されていても好ましい。
【0026】
用語「ハロゲン化」又は「フッ素化」は、いくつかの又は全ての水素原子が、各々ハロゲン又はフッ素原子で置換されている部分を意味する。
本明細書において、用語「二価の金属」は、Cu++、Zn++、Ni++、Co++、Mg++、Zr++、Ti++、Si++又はSn++でよく、好ましくはCu++又はZn++であってよい。
【0027】
用語「オキソメタル(又はオキソ金属:oxometal)基」は、M(O)として定義される。ここで、Mは、金属部分であり、yは整数、特に1又は2である。「オキソメタル基」の例には、Ti=O++、Sn=O++等が含まれてよく、T=O++が好ましい。
用語「ハロゲノメタル(又はハロゲノ金属:halogenometal)基」は、M(X)として定義される。ここで、Xは、ハロゲンであり、特に塩素及びフッ素であり、yは整数であり、特に1又は2である。「ハロゲノメタル基」の例には、AlCl++、GaCl++、SiCl++、GeCl++、SnCl++等が含まれ、AlCl++又はSiCl++が好ましい。
【0028】
用語「ヒドロキシメタル(又はヒドロキシ金属:hydroxymetal)基」は、M(OH)として定義される。ここで、yは整数であり、特に1又は2である。「ヒドロキシメタル基」の例には、AlOH++、GaOH++、Si(OH)++、Ge(OH)++、Sn(OH)++等が含まれ、AlOH++が好ましい。
用語「バット染料(又は建染め染料:vat dye)」は、還元された可溶な形態で繊維に浸漬することで素早く発色し、その後酸化されて不溶性の形態になる、例えばインジゴ等の、一般的に周知の染料材料を意味する。
【0029】
I. フッ素化フタロシアニン及びナフタロシアニン染料又は着色剤
本発明のフッ素化フタロシアニン及びナフタロシアニン染料又は着色剤は、各々下記の式(I)及び(II)によって、示され得る:
【化1】

[但し、
m、n、p及びqは、独立して、式(I)のフタロシアニン染料又は着色剤に対しては0〜4であり、式(II)のナフタロシアニン染料又は着色剤に対しては0〜6であり;
Mは、二価の金属、オキソメタル基、ハロゲンノメタル基又はヒドロキシメタル基であり;
は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、R’O−、R’S−、R’R”N−、R’C(O)−、R’OC(O)−、R’C(O)O−、R’C(O)NR”−、R’R”NC(O)−、R’NHC(O)NR”−、R’SONR”−又はR’R”NSO−(ここで、R’及びR”は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体である)、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り);
は、フッ素化アルキル、フッ素化ヘテロアルキル、フッ素化アリール又はフッ素化ヘテロアリール又は低/中分子量フッ素化ポリマー又はオリゴマー部分;及び
Aは、存在しないか又は下記の両方とも結合するものを一又はそれ以上含んで成る結合鎖である:−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SONR’−、−NR’−、−NR’CO−、−NR’COO−、−NR’CONR”−、−NR’CS−、−NR’CSO−、−NR’CSNR”−、−OC(O)−、−OCO−、−C(O)O−、−OC(O)N’R−、アルキレン、アリーレン、及びアルキレン又はアリーレンのハロゲン化好ましくはフッ素化誘導体、ここで、R’及びR”は、上述のように定義されるが、
金属フタロシアニン又はナフタロシアニン染料の場合、フッ素源は、パーフルオロアルキルのみではないという条件下で、式(I)及び式(II)の染料又は着色剤は、少なくとも約25重量%、好ましくは少なくとも約35重量%、より好ましくは少なくとも50重量%のフッ素を含んで成るとするならばである]。
【0030】
低/中分子量フッ素化ポリマー又はオリゴマー部分は、一又はそれ以上のタイプのフッ素化モノマー、例えばエポキサイド、ハイドロフラン、シクロラクトン、シクロラクタム、アクリレート、メタクリレート又はビニル(スチレン、ビニルエーテル、ビニルアルカン等を含む)から製造してよい。
【0031】
は、好ましくは低/中分子量(100〜100,000、好ましくは200〜20,000及びより好ましくは400〜10,000)フッ素化ポリマー又はオリゴマー部分である。Rの例には、モノマーであるフルオロプロピレンオキサイドから又はオリゴマーから誘導されるハイドロフルオロポリエーテル及びフルオロポリエーテル、例えばクライトックス(Krytox)(登録商標)K−流体(トリフルオロホモポリマー)(デュポン社)及びHTシリーズ又はZTシリーズ(ソルベーソレクシズ社:Solvay Solexis);モノマーのクロロトリフルオロエチレンから又はオリゴマーから誘導されるポリ(クロロトリフルオロエチレン)、例えばハロカーボンオイル(ハロカーボンプロダクト社、リバーエッジ(River Edge)、ニュージャージー州)が含まれ得るが、これらに制限されるものではない。
【0032】
は、フッ素化モノマーと非フッ素化モノマーとの共重合によって製造してもよい。
一の態様において、Rは、ハロゲン化、特にフッ素化、場合により置換されたアルキレン又はアルキレンオキサイドホモポリマー又はコポリマーから誘導される一価の基である。
もう一つの態様において、Rは、フッ素化エポキサイドから誘導されるポリマー鎖である。
【0033】
更なる態様において、Rは、下記式(A)によって示され得る:
【化2】

[但し、式(A)の主鎖のオープンの置換位置(図示せず)は、同じでも異なっていてもよく、独立して、水素、ハロゲン(特にフッ素)、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、−OR、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR(ここで、R及びRは、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体である)から成る群から選択される;
、Z及びZは、独立して、酸素であるか又は存在しない;
a、b及びcは、対応する繰り返し単位の重量割合であり、独立して、0〜1の範囲であり、それらの合計は、1以下である]。
【0034】
式(A)に記載のアルキル基は、1〜20の炭素原子を有してよく、アリール基は、6〜18の炭素原子を有してよい。
式(A)のオープンの置換位置は、好ましくは水素、フッ素又はフッ素化アルキルである。
【0035】
式(I)と式(II)の化合物の製造に、生成したフタロシアニン/ナフタロシアニン又は金属フタロシアニン/ナフタロシアニンと、R基を挿入する試薬との反応を伴う場合、得られる生成物は、フタロシアニン/ナフタロシアニン環に種々の程度のR置換を有する化合物の混合物となってよく、その結果、m、n、p及びqは、一つの分子内でフェニル又はナフチル部分の各々に関して異なってよいことが認識される;更に、フタロシアニン/ナフタロシアニンの異なるフェニル/ナフチル環の異なるオープンの位置で、置換は起きてよいことも認識される;そして、全てのそのような化合物は、本発明の範囲内である。更に、m、n、p又はqは、0でない場合、化合物全体の中で、又は一つの化合物内の特定のフェニル又はナフチル部分について、全てのRは同じである必要はない。
【0036】
結合鎖Aは、一又はそれ以上の同じ部分を含んで成ってよいことも理解される。例えば、Aは、複数のオキシ(−O−)部分、複数のアルキレン部分又は複数のアリーレン部分を含んで成ってよい。更に、複数のアルキレン部分は、同じでも異なっていてもよく、複数のアリーレン部分は、同じでも異なっていてもよい。
【0037】
更に、Aが結合鎖である場合、異なる部分が、特定の順序でなく、結合してよい。しかし、結合は、化学の原理を満足しなければならないことが理解される。いかに部分が結合するかも、当業者の一般的な知識の範囲である。場合により、結合鎖の組成と結合の順序は、式(I)及び(II)の化合物の合成に使用した試薬によって決められ、他の場合には、当業者に周知の反応によって、部分を結合してもよい。一の態様において、Aは、存在しないか、又は一又はそれ以上のアルキレンを含んで成る結合鎖である。もう一つの態様において、Aは存在しないか、又は一又はそれ以上のアルキレン及びアリーレンを含んで成る結合鎖である。更なる態様において、Aは、存在しないか、又は一又はそれ以上の−O−、アルキレン及びアリーレンを含んで成る結合鎖である。より更なる態様において、Aは、存在しないか、又は一又はそれ以上の−S−、アルキレン及びアリーレンを含んで成る結合鎖である。
【0038】
一の態様において、Mは、Cu、Zn、Mg、Ti、Si又はSnである。もう一つの態様において、Mは、Cu又はZnである。
このセクションのR、A及びMに関する記載は、本願にて開示する他の新規な染料及び着色剤にも適用することができる。
【0039】
式(I)又は式(II)の一の態様において、m、n、p及びqは、全て1である。もう一つの他の態様において、m+n+p+qは、好ましくは=4又は<4である。
式(I)又は式(II)の一の態様において、Rは、水素、アルキル又はR−A−である。
【0040】
一の態様において、式(I)のフェニル環の少なくとも一つ又は式(II)のナフチル環の少なくとも一つは、R−A−で置換されている。もう一つの態様では、式(I)の各々のフェニル環又は式(II)の各々のナフチル環は、R−A−で置換されている。
【0041】
更なる態様において、式(I)のフェニル環の少なくとも一つ又は式(II)のナフチル環の少なくとも一つは、R−A−で置換されている。ここで、Rは、式(A)のフルオロアルキル又はフルオロポリエーテルである。この態様において、Aは、存在しなくてもよい。更なる態様において、式(I)のフェニル環の少なくとも一つ又は式(II)のナフチル環の少なくとも一つは、R−A−で置換されている。ここで、Rは、式(A)であり、Aは、存在しないか、又は一又はそれ以上の下記のもの(アルキレン又はアリーレン)を含んで成る結合鎖である。更なる態様において、Aは、一又はそれ以上の下記のものを含んで成る結合鎖であってよい:アルキレン、アリーレン、−O−及び−SONR’−。例えば、Aは、−SONH−アリーレン−アルキレン−、−SONH−アリーレン−アルキレン−O−アルキレン−、−アルキレン−O−アルキレン−又は−O−アリーレン−アルキレン−アリーレン−アルキレン−O−アルキレン−。一の特定の態様において、アルキレンは、独立して、1〜6の炭素原子を有するアルキレンであってよい。もう一つの特定の態様において、アリーレンは、フェニレン部分であることが好ましい。
【0042】
より更なる態様において、式(I)のフェニル環の少なくとも一つ又は式(II)のナフチル環の少なくとも一つは、R−A−及びアルキル基で置換されてよい。
式(I)の染料又は着色剤は、通常は、青色を実質的に有し、式(II)の染料又は着色剤は、通常は、緑色を実質的に有する。
【0043】
フッ素化フタロシアニン及びナフタロシアニン染料又は着色剤の合成
本発明のフッ素化フタロシアニン及びナフタロシアニン染料又は着色剤は、例えば、RX[ここで、Rは、先に定義したとおりであり、Xはハロゲンである]と、式(Ia)のフタロシアニン又は式(IIa)のナフタロシアニンの各々と、ガラスライナーを有する圧力反応器内で、加熱して反応させることで得ることができる。フルオロポリエーテル置換銅フタロシアニン染料又は着色剤の特定の例を、後述する例1.1〜1.4に示す。
【0044】
【化3】

【0045】
II. フッ素化アントラキノン染料又は着色剤
本発明のフッ素化アントラキノン染料又は着色剤は、下記式(III)で示し得る:
【化4】

[但し、
m及びnは、独立して、0〜4であり;
Xは、C=O、NR、S、O、S=O、SO又はC=NRであって、Rは、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り)であり;
は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、R’O−、R’S−、R’R”N−、R’C(O)−、R’OC(O)−、R’C(O)O−、R’C(O)NR”−、R’R”NC(O)−、R’NHC(O)NR”−、R’SONR”−又はR’R”NSO−(ここで、R’及びR”は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体である)、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り);
は、フッ素化アルキル、フッ素化ヘテロアルキル、フッ素化アリール又はフッ素化ヘテロアリール又は低/中分子量フッ素化ポリマー又はオリゴマー部分;及び
Aは、存在しないか又は下記の両方で結合するものを一又はそれ以上含んで成る結合鎖である:−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SONR’−、−NR’−、−NR’CO−、−NR’COO−、−NR’CONR”−、−NR’CS−、−NR’CSO−、−NR’CSNR”−、−OC(O)−、−OCO−、−C(O)O−、−OC(O)N’R−、アルキレン、アリーレン、及びアルキレン又はアリーレンのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、ここで、R’及びR”は、上述のように定義されるが、
式(I)及び式(II)の染料又は着色剤は、少なくとも約25重量%、好ましくは少なくとも約35重量%、より好ましくは少なくとも約50重量%のフッ素を含んで成るとするならばである]。
【0046】
m又はnが0でない場合、同じフェニル部分の全てのRは、同じである必要はない。置換基Rは、二つのフェニル部分の各々の異なるオープンの位置に存在してよい。
一の態様において、Xは、C=O又はNHであることが好ましい。
一の態様において、Rは、水素、アルキル又はR−A−である。
【0047】
もう一つの態様において、Rの少なくとも一つは、R−A−である。更なる態様において、Rの少なくとも一つは、R−A−であって、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルである。更なる態様において、Rは、独立して、水素又はR−A−であって、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルであり、Aは、アルキレンを含んで成る結合鎖である。更なる態様において、Aは、アルキレン、−NH−及び−NHCO−を含んで成る結合鎖である。例えば、Aは、−NH−アルキレン−NHCO−でよく、アルキレンは、1〜6の炭素原子を有する。
式(III)のフッ素化アントラキノン染料又は着色剤は、通常、紫色又は赤みがかった色を示す。
【0048】
フッ素化アントラキノン染料又は着色剤の合成
フッ素化アントラキノン染料又は着色剤の合成は、当業者に周知の方法で行うことができる。例えば、フルオロポリエーテル置換アントラキノンは、溶媒中で、適当なフルオロポリエーテル置換試薬と、2,3−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−1,4−アントラセンジオンとを反応させることによって製造することができる。フッ素化アントラキノン染料の特定の製造例は、後述する例2に示した。
【0049】
III. フッ素化ペリレン染料又は着色剤
本発明のフッ素化ペリレン染料又は着色剤は、下記式(IV)によって示される:
【化5】

[但し、
m、n、p及びqは、独立して0〜2であり;
Xは、O、S又はNRであり、Rは、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又は、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、又はR−A−(ここで、RとAは、下記の通り);
は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又は、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、又はR−A−(ここで、RとAは、下記の通り);
は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又は、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、R’O−、R’S−、R’R”N−、R’C(O)−、R’OC(O)−、R’C(O)O−、R’C(O)NR”−、R’R”NC(O)−、R’NHC(O)NR”−、R’SONR”−又はR’R”NSO−(ここで、R’とR”は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又は、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体である)、又はR−A−(ここで、RとAは、下記の通り);
は、フッ素化アルキル、フッ素化ヘテロアルキル、フッ素化アリール又はフッ素化ヘテロアリール又は低分子量/中分子量フッ素化ポリマー又はオリゴマー部分;及び
Aは、存在しないか又は下記の両方で結合するものを一又はそれ以上含んで成る結合鎖である:−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SONR’−、−NR’−、−NR’CO−、−NR’COO−、−NR’CONR”−、−NR’CS−、−NR’CSO−、−NR’CSNR”−、−OC(O)−、−OCO−、−C(O)O−、−OC(O)N’R−、アルキレン、アリーレン、及びアルキレン又はアリーレンのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、ここで、R’及びR”は、上述のように定義されるが、
式(I)及び式(II)の染料又は着色剤は、少なくとも約25重量%、好ましくは少なくとも約35重量%、より好ましくは少なくとも約50重量%のフッ素を含んで成るとするならばである]。
【0050】
m、n、p又はqが0でない場合、同じフェニル部分の全てのRは、同じである必要はない。置換基Rは、四つのフェニル部分の各々の異なるオープンの位置に存在してもよい。
一の態様において、XはOである。
一の態様において、Rは、水素、アルキル又はR−A−である。
一の態様において、Rは、水素、アルキル又はR−A−である。
【0051】
一の好ましい態様において、少なくとも一のRは、R−A−であって、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルである。もう一つの態様において、少なくとも一つのRは、R−A−であって、Aは、存在しないか、アルキレンか、アルキレン及び−NR’C(O)−を含んで成る結合鎖である。例えば、Aは、−アルキレン−NR’CO−であってよく、R’は、水素又は1〜6の炭素原子のアルキルであってよい。
【0052】
もう一つの好ましい態様において、Rは、全て水素である。もう一つの態様において、Rは、全て塩素であり、m、n、p及びqは、1である。
更に好ましい態様において、少なくとも一のRは、R−A−であって、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルであり、Aは、独立して、−S−及びアルキレンを含んで成る結合部分又は−O−及びアルキレンを含んで成る結合部分であり、アルキレンは、独立して、1〜6の炭素原子を有する。
フッ素化ペリレン染料又は着色剤は、通常、赤色である。
【0053】
フッ素化ペリレン染料又は着色剤の合成
フッ素化ペリレン染料又は着色剤の合成は、常套の方法を用いて行ってよい。例えば、フッ素化ペリレン染料又は着色剤は、ペリレンテトラカルボン酸二無水物と、RとRを導入する適当な試薬とを反応させることによって合成することができる。フッ素化ペリレン染料の特定の合成例は、後述する例3.1〜3.3に示した。
【0054】
IV. フッ素化キナクリドン染料又は着色剤
本発明のフッ素化キナクリドン染料又は着色剤は、下記式(V)によって示すことができる:
【化6】

[但し、
m及びnは、独立して、0〜4であり;
は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り);
は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、R’O−、R’S−、R’R”N−、R’C(O)−、R’OC(O)−、R’C(O)O−、R’C(O)NR”−、R’R”NC(O)−、R’NHC(O)NR”−、R’SONR”−又はR’R”NSO−(ここで、R’及びR”は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体である)、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り);
は、フッ素化アルキル、フッ素化ヘテロアルキル、フッ素化アリール又はフッ素化ヘテロアリール又は低/中分子量フッ素化ポリマー又はオリゴマー部分;及び
Aは、存在しない又は下記の両方で結合するものを一又はそれ以上含んで成る結合鎖である:−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SONR’−、−NR’−、−NR’CO−、−NR’COO−、−NR’CONR”−、−NR’CS−、−NR’CSO−、−NR’CSNR”−、−OC(O)−、−OCO−、−C(O)O−、−OC(O)N’R−、アルキレン、アリーレン、及びアルキレン又はアリーレンのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、ここで、R’及びR”は、上述のように定義されるが、
式(I)及び式(II)の染料又は着色剤は、少なくとも約25重量%、好ましくは少なくとも約35重量%、より好ましくは少なくとの約50重量%のフッ素を含んで成るとするならばである]。
【0055】
m又はnが0でない場合、同じフェニル部分の全てのRは、同じである必要はない。置換基Rは、二つのフェニル部分の各々の異なるオープンの位置に存在してよい。
一の態様において、Rは、水素、アルキル又はR−A−である。
一の態様において、Rは、水素、アルキル又はR−A−である。
【0056】
一の好ましい態様において、RとRの少なくとも一つは、R−A−であって、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルである。もう一つの態様において、RとRの少なくとも一つは、R−A−であって、Aは、アルキレンと−O−を含んで成る結合鎖である。例えば、Aは、−アルキレン−O−アルキレン−であってよく、アルキレンは、独立して、1〜6の炭素原子を有する。
フッ素化キナクリドン染料又は着色剤は、通常、赤又は赤茶けた色を示す。
【0057】
フッ素化キナクリドン染料又は着色剤の合成
新規なフッ素化キナクリドン染料又は着色剤の合成は、常套の方法を用いて行うことができる。例えば、最初に、キナクリドンとN−ブロモスクシンイミド(NBS:N-bromosuccinimide)との反応によって、通常、臭素置換キナクリドンを製造する。フルオロポリエーテル置換キナクリドン染料又は着色剤は、スズキの反応(J. Am. Chem. Soc., 111, 314, 1989)に基づく修正した反応条件による、THF中で、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)を使用するパーフルオロアルキルアリルエーテルのハイドロボレーションを用いて、製造することができる。その後、粗オルガノボランコンプレックスを、N−(tert−ブトキシカルボニル)(BOC)保護ブロモキナクリドンと、触媒量の[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)とジクロロメタンとのコンプレックス、PdCl(dppf)・CHCl及び過剰の3MのNaOH水溶液の存在下で還流し、次に、PFS−2中のトリフルオロ酢酸を用いて脱保護する。フッ素化キナクリドン染料又は着色剤の特定の製造例は、下記の例4に示した。
【0058】
V. フッ素化ジケトピロロピロール染料又は着色剤
本発明のフッ素化DPP(ジケトピロロピロール)染料又は着色剤は、下記式(VI)によって示すことができる:
【化7】

[但し、
m及びnは、独立して、0〜5であり;
は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り);
は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、R’O−、R’S−、R’R”N−、R’C(O)−、R’OC(O)−、R’C(O)O−、R’C(O)NR”−、R’R”NC(O)−、R’NHC(O)NR”−、R’SONR”−又はR’R”NSO−(ここで、R’及びR”は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体である)、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り);
は、フッ素化アルキル、フッ素化ヘテロアルキル、フッ素化アリール又はフッ素化ヘテロアリール又は低/中分子量フッ素化ポリマー又はオリゴマー部分;及び
Aは、存在しないか又は下記の両方で結合するものを一又はそれ以上含んで成る結合鎖である:−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SONR’−、−NR’−、−NR’CO−、−NR’COO−、−NR’CONR”−、−NR’CS−、−NR’CSO−、−NR’CSNR”−、−OC(O)−、−OCO−、−C(O)O−、−OC(O)N’R−、アルキレン、アリーレン、及びアルキレン又はアリーレンのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、ここで、R’及びR”は、上述のように定義されるが、
式(I)及び式(II)の染料又は着色剤は、少なくとも約25重量%、好ましくは約35重量%、より好ましくは50重量%のフッ素を含んで成るとするならばである]。
【0059】
m又はnが0でない場合、同一のフェニル部分の全てのRは、同じである必要はない。置換基は、二つの異なるフェニル部分の各々の異なるオープンの位置に存在してよい。
一の態様において、Rは、水素、アルキル又はR−A−である。好ましい態様において、両方のRは、水素である。
一の態様において、Rは、水素、アルキル又はR−A−である。
【0060】
もう一つの態様において、少なくとも一つのRは、R−A−であって、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルである。もう一つの態様において、少なくとも一つのRは、R−A−であって、Aは、アルキレンと−O−を含んで成る結合鎖である。例えば、Aは、−アルキレン−O−アルキレン−であってよく、アルキレンは、独立して、1〜6の炭素原子を有する。
フッ素化DPP染料又は着色剤は、通常、赤又は赤茶けた色を示す。
【0061】
フッ素化ジケトピロロピロール(DPP)染料又は着色剤の合成
新規なフッ素化DPP染料又は着色剤の合成は、常套の手段を用いて行うことができる。3,6−ジフェニル−1,4−ジケトピロロピロールとNBS(N−ブロモ−スクシンイミド)との濃硫酸中での反応によって、ブロモ−3,6−ジフェニル−1,4−ジケトピロロピロールを製造する。過剰のジ−tert−ブチルジカーボネートとブロモ−3,6−ジフェニル−1,4−ジケトピロロピロールのTHF溶液を還流することによって、BOC保護ブロモ−3,6−ジフェニル−1,4−ジケトピロロピロールを製造する(Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 23, 296, 1984)。その後、THF中の9−BBNでパーフルオロアルキルアリルエーテルのハイドロボレーションを用いる、スズキの手順(J. Am. Chem. Soc., 111, 314, 1989)から修正した手順により、触媒量の[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとのコンプレックス、PdCl(dppf)・CHCl、及び過剰の3MのNaHCOaq水溶液の存在下で、粗オロガノボランコンプレックスを、BOC保護ブロモ−3,6−ジフェニル−1,4−ジケトピロロピロールと還流する。フッ素化DPPの特定の合成例は、下記例5に示す。
【0062】
VI. フッ素化ポルフィリン染料又は着色剤
本発明のフッ素化ポルフィリン染料又は着色剤は、下記式(VII)によって示すことができる:
【化8】

[但し、
m、n、p及びqは、独立して、0〜5であり;
Mは、二価の金属、オキソメタル基、ハロゲノメタル基又はヒドロキシメタル基;
とRは、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、R’O−、R’S−、R’R”N−、R’C(O)−、R’OC(O)−、R’C(O)O−、R’C(O)NR”−、R’R”NC(O)−、R’NHC(O)NR”−、R’SONR”−又はR’R”NSO−(ここで、R’及びR”は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体である)、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り);
は、フッ素化アルキル、フッ素化ヘテロアルキル、フッ素化アリール又はフッ素化ヘテロアリール又は低/中分子量フッ素化ポリマー又はオリゴマー部分;及び
Aは、存在しないか又は下記の両方で結合するものを一又はそれ以上含んで成る結合鎖である:−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SONR’−、−NR’−、−NR’CO−、−NR’COO−、−NR’CONR”−、−NR’CS−、−NR’CSO−、−NR’CSNR”−、−OC(O)−、−OCO−、−C(O)O−、−OC(O)N’R−、アルキレン、アリーレン、及びアルキレン又はアリーレンのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、ここで、R’及びR”は、上述のように定義されるが、式(I)及び式(II)の染料又は着色剤は、少なくとも約25重量%、好ましくは約35重量%、より好ましくは50重量%のフッ素を含んで成るとするならばである]。
【0063】
フッ素化ポルフィリン染料又は着色剤は、各フェニル環に一より多い置換基を有してよく、置換基(R)と置換基(R)の数は、各々のフェニル環で異なってよいことが理解される;置換は、フェニル環の異なる位置で起きてよいことも理解される;更に、そのような全ての化合物は、本発明の範囲内である。
好ましい態様の一において、m、n、p及びqは、全て0である。
一の態様において、Rは、水素、アルキル又はR−A−である。
一の態様において、Rは、水素、アルキル又はR−A−である。
【0064】
もう一つの態様において、少なくとも一つのRは、R−A−であって、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルであり、Aは、存在しないか、アルキレンと−O−を含んで成る結合部分又はアルキレンと−S−を含んで成る結合部分である。例えば、Aは、−アルキレン−O−アルキレン−又は−S−アルキレンであってよく、アルキレンは、独立して、1〜6の炭素原子を有する。
【0065】
更なる態様において、Rは、独立して、水素又はR−A−であって、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルであり、Aは存在しないか場合により置換アリーレン及び−NH−を含んで成る結合部分である。
フッ素化ポルフィリン染料又は着色剤は、通常、黄色又は赤みを帯びた黄色を示す。
【0066】
フッ素化ポルフィリン染料又は着色剤の合成
フッ素化ポルフィリン染料又は着色剤の合成は、常套の方法によって行うことができる。まず、ポルフィリンとN−ブロモスクシンイミド(NBS)とをクロロホルム中で反応させて、臭素置換ポルフィリンを製造する(Callot, H. J. Bull. Soc. Chim. Fr. 1974, 1492)。臭素置換金属ポリフィリンの金属挿入は、MeOHとクロロホルム混合物中で、金属アセテート(M(OAc))と反応させて行うことができる。その後、常套のスズキの反応(J. Am. Chem. Soc., 111, 314, 1989)に基づく修正した反応によって、THF中で9−BBNを用いるパーフルオロアルキルアリルエーテルのハイドロボレーションを用いて、パーフルオロポリエーテル置換ポルフィリンを製造する。その後、粗オロガノボランコンプレックスを、BOC保護ブロモキナクリドンと、触媒量の[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとのコンプレックス、PdCl(dppf)・CHCl、及び過剰の3MのNaHCO水溶液の存在下で還流する。フッ素化ポルフィリン染料の特定の合成例は、下記例6.1〜6.4に示す。
【0067】
VII. フッ素化ナフタルイミド染料又は着色剤
本発明のフッ素化ナフタルイミド(又はナフタル酸イミド)染料又は着色剤は、下記式(VIII及びIX)で示すことができる:
【化9】

[但し、
m及びnは、独立して、0〜4であり;p及びqは、独立して、0〜2であり;
は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、R’O−、R’S−、R’R”N−、R’C(O)−、R’OC(O)−、R’C(O)O−、R’C(O)NR”−、R’R”NC(O)−、R’NHC(O)NR”−、R’SONR”−又はR’R”NSO−(ここで、R’及びR”は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体である)、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り);
は、フッ素化アルキル、フッ素化ヘテロアルキル、フッ素化アリール又はフッ素化ヘテロアリール又は低/中分子量フッ素化ポリマー又はオリゴマー部分;及び
Aは、存在しないか又は下記の両方で結合するものを一又はそれ以上含んで成る結合鎖である:−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SONR’−、−NR’−、−NR’CO−、−NR’COO−、−NR’CONR”−、−NR’CS−、−NR’CSO−、−NR’CSNR”−、−OC(O)−、−OCO−、−C(O)O−、−OC(O)N’R−、アルキレン、アリーレン、及びアルキレン又はアリーレンのハロゲン化、好ましくはフッ素化誘導体、ここで、R’及びR”は、上述のように定義されるが、
式(VIII)及び式(IX)の染料又は着色剤は、少なくとも約25重量%、好ましくは約35重量%、より好ましくは50重量%のフッ素を含んで成るとするならばである]。
【0068】
フッ素化ナフタルイミド染料又は着色剤は、各フェニル環に一より多い置換基を有してよく、置換基(R)と置換基(R)の数は、各々のフェニル環で異なってよいことが理解される;置換は、フェニル環の異なる位置に起きてよいことも理解される;更に、そのような全ての化合物は、本発明の範囲内である。
【0069】
好ましい態様の一において、p及びqは、0である。
一の態様において、Rは、水素、アルキル又はR−A−である。
もう一つの態様において、少なくとも一つのRは、R−A−であって、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルであり、Aは、アルキレンと−O−を含んで成る結合鎖であって、アルキレンは、独立して、1〜6の炭素原子を有する。
フッ素化ナフタルイミド染料又は着色剤は、通常、オレンジ色又は赤みを帯びた色を示す。
【0070】
フッ素化ナフタルイミド染料又は着色剤の合成
フッ素化ナフタルイミド染料又は着色剤の合成は、常套の方法で行うことができる。まず、ナフタルイミド染料とN−ブロモスクシンイミド(NBS)とをトリフルオロ酢酸と硫酸の混合物中で、室温で反応させて、臭素置換ナフタルイミド染料を製造する。その後、常套のスズキの反応(J. Am. Chem. Soc., 111, 314, 1989)に基づく修正した反応によって、THF中で9−BBN(9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン)を用いるパーフルオロアルキルアリルエーテルのハイドロボレーションによって、パーフルオロポリエーテル置換ナフタルイミド染料を製造する。その後、粗オロガノボランコンプレックスを、BOC保護ブロモキナクリドンと、触媒量の[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとのコンプレックス、PdCl(dppf)・CHCl、及び過剰の3MのNaOH水溶液の存在下で還流する。フッ素化ナフタルイミド染料の特定の合成例は、下記例7に示す。
【実施例】
【0071】
例1.1
クライトックス(Krytox)(登録商標)置換銅フタロシアニン染料(C3)
【化10】

【0072】
銅フタロシアニン(1.4g、2.4mmol、アルドリッチ社(Aldrich))とヨウ化クライトックス(登録商標)(16.32g、9.6mmol、デュポン社)の混合物を、ガラスライナーを有する72mLの圧力容器(パールインスツルメント社:Parr Instrument Co.)中に加えた。反応器を1Toorの減圧下に封じて、38時間350℃に加熱した。得られた粗生成物を、ソックスレー抽出器で1日間、250mLのPFS−2(登録商標)を用いて抽出した。得られた暗青色溶液を、250mLのアセトンで3回洗浄し、減圧下(約5Torr)、その後、一夜間高減圧(約1Torr)下、ロータリーエバポレーション(60℃)によって、蒸発させてスラリーを得た。スラリー化合物を、更に、1日間エーテル(250mL)と還流して精製し、得られた混合物を分離した。暗青色スラリーを、再び、減圧下(約5Torr)、その後、一夜間高減圧(約1Torr)下、ロータリーエバポレーション(60℃)によって、蒸発させた。暗青色スラリー化合物を得た(6.1g、収率63%)。UV−VIS(HT−200):λmax=604nm、40ppmの吸光度=0.51。青色であった。
【0073】
例1.2
クライトックス(登録商標)置換銅テトラ−tert−ブチルフタロシアニン染料(CB2)の製造
【化11】

【0074】
1. 臭素化銅(II)2,9,16,23−テトラ−tert−ブチル−29H,31H−フタロシアニン
銅(II)2,9,16,23−テトラ−tert−ブチル−29H,31H−フタロシアニン(1.00g、1.24mmol、アルドリッチ社)及びN−ブロモスクシンイミド(1.00g、5.61mmol、アルドリッチ社)の混合物を、トリフルオロ酢酸(50mL、アルドリッチ社)とHSO(15mL、フィッシャーサイエンティフィック社(Fisher Scientific))の溶液中で、室温で24時間攪拌した。得られた暗青色溶液を250mLの氷水中に注いだ。得られた固体を水で洗浄し、濾過で取り出し、一夜間乾燥した(60℃、60Torr)。暗青色固体(1.22g、86%)を得た。
【0075】
2. クライトックス(登録商標)置換銅(II)テトラ−tert−ブチルフタロシアニン染料(CB2)の合成
25mL(11.25mmol)の9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)の0.45〜0.50Mのテトラヒドロフラン溶液を攪拌しながら、0℃で、4gのクライトックス(登録商標)アリルエーテル(MW=1400)(2.85mmol、デュポン社)と10mLの1−(エトキシ)ノナフルオロブタン(ENFB、3M社)の溶液に、攪拌しながら滴下して加えた。得られた懸濁液を、室温で24時間攪拌し、その間に混合物は均一になった。15mLの3MのNaOH水溶液を混合物に加え、混合物を30分間攪拌した。溶液を、0.80gの臭素化銅(II)2,9,16,23−テトラ−tert−ブチル−29H,31H−フタロシアニン(0.71mmol)及び0.23gの[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)とジクロロメタンとのコンプレックス、PdCl(dppf)・CHCl、(0.19mmol、アルドリッチ社)の混合物中に、Ar雰囲気下で移し、24時間環流した。得られた混合物は、20mLのパーフルオロポリエーテルPFS−2(登録商標)(ソルベーソレクシズ社)で抽出し、10mLの水で2回、10mLのアセトンで5回洗浄した。有機層を分離し、無水NaSOで乾燥し、濃縮した。残留物をエーテルとPFS−2(登録商標)と用いてソックスレー抽出によって精製し、1.30g(28%)の青色オイルを得た。UV−Vis(HT−200):λmax=605nm、40ppmで吸光度=0.60。
【0076】
例1.3
クライトックス(登録商標)置換銅テトラキス(4−クミルフェノキシ)フタロシアニン染料(CC1)
【化12】

【0077】
1. 臭素化銅(II)テトラキス(4−クミルフェノキシ)フタロシアニンの合成
銅(II)テトラキス(4−クミルフェノキシ)フタロシアニン(1.00g、0.71mmol、アルドリッチ社)とN−ブロモスクシンイミド(0.60g、3.37mmol、アルドリッチ社)の混合物をトリフルオロ酢酸(50mL、アルドリッチ社)とH2SO4(15mL、フィッシャーサイエンティフィック社)の溶液中で、室温で24時間攪拌した。得られた暗青色溶液を、200mLの氷水に注いだ。得られた固体を、水で洗浄し、濾過で取り出し、一夜間乾燥した(60℃、60Torr)。暗青色固体(1.10g、89%)を得た。
【0078】
2. クライトックス(登録商標)置換銅テトラキス(4−クミルフェノキシ)フタロシアニン染料(CC1)の合成
25mL(11.25mmol)の9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)の0.45〜0.50Mのテトラヒドロフラン溶液を攪拌しながら、0℃で、2gのクライトックス(登録商標)アリルエーテル(MW=1100、1.8mmol、デュポン社)と10mLの1−(エトキシ)ノナフルオロブタン(ENFB、3M社)の溶液に、滴下して加えた。得られた懸濁液を、室温で24時間攪拌し、その間に混合物は均一になった。15mLの3MのNaOH水溶液を混合物に加え、混合物を30分間攪拌した。溶液を、0.80gの臭素化銅(II)テトラキス(4−クミルフェノキシ)フタロシアニン(0.46mmol)及び0.23gの[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)とジクロロメタンとのコンプレックス、PdCl(dppf)・CHCl、(0.19mmol、アルドリッチ社)の混合物中に、Ar雰囲気下で移し、24時間還流した。得られる混合物は、20mLのパーフルオロポリエーテルPFS−2(登録商標)(ソルベーソレクシズ社)で抽出し、10mLの水で2回、10mLのアセトンで5回洗浄した。有機層を分離し、無水NaSOで乾燥し、濃縮した。残留物をエーテルとPFS−2(登録商標)とを用いてソックスレー抽出によって精製し、1.50g(57%)の青色オイルを得た。UV−Vis(HT−200):λmax=608nm、40ppmで吸光度=0.47。
【0079】
例1.4
クライトックス置換銅テトラ−スルホンアミド−フタロシアニン染料の製造
【化13】

【0080】
1. クライトックス(登録商標)−CHOC−CNHの合成
104mLの9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)の0.45〜0.50Mのテトラヒドロフラン溶液を、35gのクライトックス(登録商標)アリルエーテル(MW=1400、25mmol、デュポン社)の40mLの1−(エトキシ)ノナフルオロブタン(ENFB、3M社)中の溶液に、Ar雰囲気下で加えた。得られた溶液を、室温で18時間攪拌した。過剰の9−BBNを10mLの6MのNaOH水溶液でクエンチし、得られた透明溶液を、4.1gのp−ブロモアニリン(23.8g、アルドリッチ社)と2.0gの[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)とジクロロメタンとのコンプレックス、PdCl(dppf)・CHClを含む、250mLの丸底フラスコ中に、0℃でAr雰囲気下で、滴下して加えた。得られた混合物を、Ar雰囲気下で、24時間還流した。冷却後、得られた混合物は、75mLのPFS−2(登録商標)で4回抽出した。合したPFS−2(登録商標)抽出物を、アセトンで洗浄し、無水NaSOで乾燥した。溶媒を除去後、27.8gの褐色オイルを得、これを次の工程に用いた。
【0081】
2. スルホクロロ化銅フタロシアニンの合成
国際特許出願WO 98/45756 に基づく修正された方法を用いた。20gの銅フタロシアニンを、85mLのクロロスルホン酸を含む500mLフラスコ内に加え、得られる溶液をAr雰囲気下140℃に加熱し、140℃で2時間攪拌した。その後、得られた溶液を90℃に冷却し、25mLの塩化チオニルを10分間かけて滴下して加え、混合物を85℃で18時間攪拌した。得られた暗緑色溶液を600mLの細かくした氷と600mLの水の混合物中に攪拌しながら滴下して加えた。得られた青色懸濁液を濾過した。得られた固体を、500mLの水で洗浄して、吸引して乾燥した。93.5gの粗スルホクロロ化銅フタロシアニンを、直ちに用いた。
【0082】
3. クライトックス(登録商標)置換銅テトラ−スルホンアミド−フタロシアニン(CS1)の合成
5.1gの粗スルホクロロ化銅フタロシアニン、15.1gのクライトックス(登録商標)−CHOC−CNH、100mLのN,N−ジメチルアセトアミド及び10mLのZT130(登録商標)(ソルベーソレクシズ社)を含む混合物を2日間還流した。得られた溶液を100mLの水中に加え、得られた混合物を50mLのPFS−2(登録商標)で4回抽出した。合わせたPFS−2(登録商標)抽出物を、アセトンで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧してロータリーエバポレートして乾燥した。2.5gの暗青色固体を得た。UV−Vis(HT−200);λmax=622nm及び40ppmの吸光度=0.47。
【0083】
例2
クライトックス(登録商標)置換アントラキノン染料(Q3)の製造
【化14】

【0084】
1. クライトックス(登録商標)アミンの合成
滴下ロートとカルシウム保護管を備えた250mLの丸底フラスコ中に、24g(300mmol)のエチレンジアミン、50mLの1−(エトキシ)ノナフルオロブタン(ENFB、3M社)と20mLのイソプロピルアルコールを入れた。42g(30mmol)のクライトックス(登録商標)メチルエステルを、70mLの1−(エトキシ)ノナフルオロブタン(ENFB、3M社)に溶かして、得られた溶液を、室温で2時間かけて、丸底フラスコ内の溶液中に滴下して加えた。加えた後、混合物を室温で20時間攪拌した。減圧してロータリーエバポレーターで溶媒を除去した後、150mLのPFS−2(登録商標)を加えた。混合物は、50mLのメタノールで3回、50mLの酢酸エチルで2回洗浄した。溶媒を除去し、減圧した後、約39g(収率90%)の粘性のオイルを得た。HNMR(400MHz、CDCl):δ7.35(s、1H、−CONH)、3.4(t、2H、−CHNCO)、2.9(t、2H、CHN)、1.2(bs、2H、NH)。IR(KBr)(cm−1):3400、3200、1690。
【0085】
2. フッ素化アントラキノン染料(Q3)の合成
0.56g(2.3mmol)の2,3−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−1,4−アントラセンジオン、上述のように製造した8.7g(6mmol)のクライトックス(登録商標)アミン及び0.12g(2mmol)のホウ酸を、50mLのイソプロピルアルコールと50mLの1−(エトキシ)ノナフルオロブタン(ENFB、3M社)の混合物に溶解した。溶液を攪拌し、20時間還流した。溶媒の蒸発と300mLの水を加えた後、300mLの7%NaOH水溶液を、攪拌しながら加え、混合物を加熱して40分間かけて沸騰させた後、更に1時間還流した。冷却後、400mLの飽和NHCl水溶液を加え、混合物を75mLのPFS−2(登録商標)で3回抽出した。合わせたPFS−2(登録商標)抽出物をアセトンで洗浄した。3gの紫色のオイル(25%)を、溶媒を除去した後得た。UV−Vis(HT−200):λmax=573nmで40ppmの吸光度=0.17。
【0086】
例3.1
フッ素化ペリレン染料(P−6B)の製造
【化15】

【0087】
1. クライトックス(登録商標)置換ペリレンテトラカルボン酸ジイミドの合成
0.9g(3mmol)のペリレンテトラカルボン酸二無水物、15gのクライトックス(登録商標)アミン(例2で製造)及び0.5gのZn(OAc)を、50mLのZT130(登録商標)と50mLの1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)の混合物中に溶かした。混合物をAr雰囲気下20時間還流した。冷却後、溶液を200mLの3NのHCl水溶液中に注ぎ、得られた混合物を、75mLのPFS−2(登録商標)で3回抽出した。合わせたPFS−2(登録商標)抽出物を、アセトンで洗浄して、未反応出発物質を除去した。溶媒を除去した後、13gの粗生成物を得た。これは、直接次の工程に使用した。
【0088】
2. P−6Bの合成
13gの上述の粗生成物を、50mLの1−(エトキシ)ノナフルオロブタン(ENFB、3M社)と50mLのTHF(ナトリウム上で還流して乾燥した)の混合物に溶かした。0.72gの水素化ナトリウムをAr雰囲気下で加えた。混合物を2時間還流した後、9.3g(50mmol)のメチルp−トルエンスルホネートを加えた。更に混合物を20時間還流した。冷却後、200mLの3NのHCl水溶液中に注ぎ、75mLのPFS−2(登録商標)で3回抽出した。合わせたPFS−2(登録商標)抽出物をアセトンで洗浄して、未反応出発物質を除去した。その後、PFS−2(登録商標)抽出物を、15gのセライト(Celite)540と混合し、溶媒を除去した後、残留物をソックスレー円筒濾紙に入れた。溶液を、まずエーテルと還流し、その後PFS−2(登録商標)と還流して、所望の生成物を取り出した。溶媒の除去後、8gの赤みがかった固体を得た。UV−Vis(HT−200):λmax=508nm及び40ppmで吸光度=0.5。
【0089】
例3.2
クライトックス(登録商標)置換ペリレン(PT−2)の製造
【化16】

【0090】
1. クライトックス(登録商標)置換ペリレンテトラカルボン酸ジイミドの合成
1.56g(3mmol)の5,6,12,13−テトラクロロ−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、15gのクライトックス(登録商標)アミン(例2で製造)及び0.5gのZn(OAc)を、50mlのZT130(登録商標)及び50mLの1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)の混合物に溶かした。溶液をAr雰囲気下、20時間還流した。冷却後、溶液を200mLの3NのHCl水溶液に注いだ後、75mLのPFS−2(登録商標)で3回抽出した。合わせたPFS−2(登録商標)抽出物をアセトンで洗浄して、未反応出発物質を除去した。溶媒を除去した後、10gの粗生成物を得た。それを、次の工程に直接使用した。
【0091】
2. PT−2の合成
10g(8mmol)の上述の粗生成物を、50mLの1−(エトキシ)ノナフルオロブタン(ENFB、3M社)と50mLのTHF(THFは、ナトリウムと還流することで乾燥した)との混合物に溶かした。0.72gの水素化ナトリウムをAr雰囲気下加え、混合物を2時間還流した後、9.3g(50mmol)のメチルp−トルエンスルホネートを加えた。混合物を更に20時間還流し、冷やした後、混合物を200mLの3NHCl水溶液に注ぎ、75mLのPFS−2(登録商標)で3回抽出した。合わせたPFS−2(登録商標)抽出物をアセトンで洗浄して、未反応出発物質を除去した。その後、PFS−2(登録商標)溶液を、15gのセライト540と混合し、溶媒を除去した後、残留物をソックスレー円筒濾紙に入れた。混合物を、まずエーテルと還流し、その後PFS−2(登録商標)と還流して、所望の生成物を取り出した。溶媒の除去後、6gの赤みがかった固体を得た。UV−Vis(HT−200):λmax=508nm及び40ppmで吸光度=0.28。
【0092】
例3.3
パーフルオロアルキル化ペリレン(R30)の製造
【化17】

【0093】
1. テトラクロロ−ペリレン−ジイミドの合成
5.3g(10mmol)のテトラクロロ−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1.6gのZn(OAc)及び12gの1H,1H−パーフルオロオクチルアミン(30mmol、シンクエスト社(SynQuest))の混合物を、70mLの1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)に分散した。Ar雰囲気下、200℃で20時間攪拌した。冷やした後、300mLの1NのHCl水溶液に注いだ。溶液を濾過し、固体ケーキを水(100mL)とMeOH(200mL)を用いて洗浄した。その後、真空下、50℃で18時間乾燥した。12g(収率:96%)の固体を得た。それは、通常、次の工程で直接使用した。
【0094】
2. R30の合成
6g(5mmol)のテトラクロロ−ペリレン−テトラカルボン酸ジイミド、10.5gの1H,1H−パーフルオロ−1−テトラデカノール(15mmol、シンクエスト社)及び2.1gのKCOの混合物を、75mLの1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)と75mLのZT130(登録商標)の溶液に分散させ、Ar雰囲気下、120℃で12時間攪拌した。4.8gの1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル−1−チオール(10mmol、シンクエスト社)と1.38gのKCOを、反応混合物に加えた。反応を、Ar雰囲気下120℃で更に12時間続けた。冷やした後、300mLの1NのHCl水溶液中に注ぎ、300mLのPFS−2(登録商標)で抽出した。PFS−2(登録商標)層をアセトン(50mL×4)で、アセトン層の色が薄くなるまで洗浄した。その後、PFS−2(登録商標)溶液を、シリカゲルを充填した濾過用漏斗を用いて濾過した。溶媒を除去した後、5.5gの生成物を得た。UV−Visスペクトル(HT−200):λmax=522nm及び40ppmで吸光度=0.34。
【0095】
例4
クライトックス(登録商標)置換キナクリドン(QN−7)
【化18】

【0096】
1. クライトックス(登録商標)−CHOC−9−BBNの合成
9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)の0.45〜0.50Mテトラヒドロフラン溶液70mLを、20mLの1−(エトキシ)ノナフルオロブタン(ENFB)中の14gのクライトックス(登録商標)アリルエーテル(Mw=1400)の溶液に加え、得られた溶液を室温で18時間攪拌した。クライトックス(登録商標)−CHOC−9−BBNを含む透明溶液を、反応に直接用いた。
【0097】
2. 臭素置換キナクリドン
6.2g(20mmol)のキナクリドンを80mLの硫酸と120mLのトリフルオロ酢酸に溶かした。3.5gのN−ブロモスクシンイミドを、1時間かけて、3つの部分で溶液に加えた。混合物を室温で二日間攪拌した後、300mLの脱イオン水に注ぎ、減圧して濾過した。得られた固体は、水とアセトンで洗浄し、真空にして60℃で1日間乾燥した。7.2g(90%収率)の紫色固体を得た。この固体を次の工程で直接用いた。
【0098】
3. BOC−保護ブロモキナクリドンの合成
3.9g(10mmol)の上述の粗生成物と0.6gの4−ジメチルアミノピリジンを、50mLのDMFに溶かした。7g(32mmol)のジ−tert−ブチルジカーボネートを、その混合物に加え、得られた混合物を4時間超音波処理をした。色が、紫から緑色がかった黄色に変わった。その後混合物を150mLの水に注ぎ、沈殿を減圧して濾過した。固体を水で洗浄し、真空で40℃で乾燥した。5gの黄色固体を得た。次の工程に直接使用した。
【0099】
4. SN−4の合成
250mLの丸底フラスコに、5g(9mmol)の上述の粗生成物と、0.9gの[1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)とジクロロメタンとのコンプレックス、PdCl(dppf)・CHClをAr雰囲気下で加えた。クライトックス(登録商標)−CHOC−9−BBN(10mmol)を含む溶液をAr雰囲気下0℃で滴下して加えた。得られた混合物を室温で20時間攪拌し、6mLの6NのNaOH水溶液を用いてクエンチした。得られた混合物をAr雰囲気下で24時間還流した。冷やした後、150mLの3NのHCl溶液を加え、得られた混合物を、75mLのPFS−2(登録商標)で3回抽出した。合したPFS−2(登録商標)抽出物を、アセトンで洗浄した。
【0100】
上述のPFS−2(登録商標)溶液に、60mLのトリフルオロ酢酸を加え、室温で1日間攪拌した。反応溶液を200mLの水に注ぎ、PFS−2(登録商標)層を、飽和NaHCO水溶液とアセトンで洗浄した。最後に、10gのセライト540と混合した。溶媒を除去した後、残留物をソックスレー円筒濾紙に入れ、まずエーテルで抽出後、次に、PFS−2(登録商標)で抽出して、最終生成物を取り出した。溶媒の除去後、2gのマゼンタ色の固体を得た。UV−Vis(HT−200);λmax=558nm及び40ppmの吸光度=0.66。
【0101】
例5
クライトックス(登録商標)置換3,6−ジフェニル−1,4−ジケトピロロピロール(DP−5)の製造
【化19】

【0102】
1. クライトックス(登録商標)−CHOC−9−BBNの合成
9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)の0.45〜0.50Mテトラヒドロフラン溶液42mLを、10mLの1−(エトキシ)ノナフルオロブタン(ENFB)中の8.4gのクライトックス(登録商標)アリルエーテル(Mw=1400、6mmol、デュポン社)の溶液にAr雰囲気下加え、得られた溶液を室温で18時間攪拌した。クライトックス(登録商標)−CHOC−9−BBNを含む透明溶液を、次の工程に直接用いた。
【0103】
2. ブロモ−3,6−ジフェニル−1,4−ジケトピロロピロールの合成
5.7g(20mmol)の3,6−ジフェニル−1,4−ジケトピロロピロールを、100mLの硫酸に溶かした。3.5gのN−ブロモスクシンイミド(NBS)を、1時間かけて、3つの部分で溶液に加えた。得られた混合物を室温で二日間攪拌した後、300mLの脱イオン水に注ぎ、形成した沈殿を減圧して濾過した。得られた固体を、水とアセトンで洗浄し、真空下60℃で1日間乾燥した。5.9g(80%収率)の赤色固体を得た。この固体を次の工程で直接用いた。
【0104】
3. BOC−保護ブロモ−3,6−ジフェニル−1,4−ジケトピロロピロールの合成
3.6g(10mmol)の上述の粗生成物と0.6gの4−ジメチルアミノピリジンを、80mLのTHFに溶かした。7g(32mmol)のジ−tert−ブチルジカーボネートを、その混合物に加え、Ar雰囲気下20時間還流した。色が、赤色から緑色がかった黄色に変わった。その後溶媒を減圧してストリップし、150mLの水を加え、沈殿を減圧して濾過した。固体を水で洗浄し、真空で40℃で乾燥した。2.8gの黄色固体を得た。次の工程に直接使用した。
【0105】
4. DP−5の合成
250mLの丸底フラスコに、2.5g(5mmol)の上述の粗生成物と、0.5gの[1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)とジクロロメタンとのコンプレックス、PdCl(dppf)・CHClをAr雰囲気下で加えた。クライトックス(登録商標)−CHOC−9−BBN(6mmol)を含む溶液をAr雰囲気下0℃で滴下して加えた。得られた混合物を室温で20時間攪拌し、7mLの水と2.5gのNaHCO(30mmol)を用いてクエンチした。得られた混合物をAr雰囲気下で24時間還流した。冷やした後、150mLの3NのHCl水溶液を加え、得られた混合物を、75mLのPFS−2(登録商標)で3回抽出した。合したPFS−2(登録商標)抽出物を、アセトンで洗浄した。
得られたPFS−2(登録商標)溶液を、60mLのトリフルオロ酢酸に加え、室温で1日間攪拌した。反応溶液を200mLの水に注いだ。PFS−2(登録商標)層を分離し、飽和NaHCO水溶液とアセトンで洗浄し、10gのセライト540と混合した。溶媒を除去した後、残留物をソックスレー円筒濾紙に入れ、まずエーテルで抽出後、次に、PFS−2(登録商標)で抽出して、最終生成物を取り出した。溶媒の除去後、0.9gの赤色の固体を得た。UV−Vis(HT−200);λmax=528nm及び40ppmの吸光度=0.18。
【0106】
例6.1
クライトックス(登録商標)置換2,3,12,13−テトラフェニル−銅−ポルフィリン(PK1)の製造
【化20】

【0107】
1. 2,3,12,13−テトラブロモ−5,10,15,20−テトラフェニル−22H,24H−ポルフィリンの合成
N−ブロモスクシンイミド(NBS)(4.34g、24.4mmol)を、150mLのクロロホルム(エタノールを含まない)中のテトラフェニルポルフィリン(2.5g、4.07mmol)の還流している溶液に加えた。混合物を一夜間還流状態に保った。その後冷やした。溶媒の体積を、減圧下で、ロトバップ(roto-vap)を用いて、2/3に減じた。得られた混合物を、短いアルミナプラグ(plug)(グレードIII)に暴露した。不純物をジクロロメタンで洗い流したが、所望の化合物は、プラグの上に残留した。その化合物を、ジクロロメタンとトリフルオロ酢酸(比:1に対して3)の混合物を用いて、洗い流し、トリエチルアミンを用いて中和した。溶媒の体積を減少させた。所望の化合物を、MeOHの分離によって、結晶化した。収量、3.6g、94%。
【0108】
2. 2,3,12,13−テトラブロモ−5,10,15,20−テトラフェニル−銅(II)−ポルフィリンの合成
2,3,12,13−テトラブロモ−5,10,15,20−テトラフェニル−22H,24H−ポルフィリン(1.3g、1.4mmol)をクロロホルム(110mL)に溶かし、それにMeOH(30mL)中のCu(OAc)(2.23g、11.2mmol)を加えた。得られた混合物を加熱して一日間還流した。冷やした後、溶媒を除去し、残留物をMeOHを用いて超音波処理した。濾過後、本発明の目的化合物である固体を、MeOHと水を用いて、洗液が無色に成るまで洗浄した。生成物は、紫色固体として得た。収量、1.3g、94%。
【0109】
3. PK1の合成
9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)の0.45〜0.50Mテトラヒドロフラン溶液45mLを、20mLの1−(エトキシ)ノナフルオロブタン(ENFB、3M社)中に5.6gのクライトックス(登録商標)アリルエーテル(Mw=1400、4.0mmol、デュポン社)の溶液に、Ar雰囲気下0℃で滴下して加えた。添加が完了した後、得られた混合物をAr雰囲気下室温で一夜間攪拌した。過剰の9−BBNをクエンチするために、5.5mLの6NのNaOH水溶液を加えた。この溶液に、[1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)とジクロロメタンとのコンプレックス、PdCl(dppf)・CHClと2,3,12,13−テトラブロモ−5,10,15,20−テトラフェニルポルフィリン−Cu(II)(0.9g、0.90mmol)を加えた。その後、アルゴンで、この溶液に5分間、泡立たせた。この混合物を加熱して、四日間還流した。混合物を冷やした後、水を加え、得られた混合物をPFS−2(登録商標)で抽出した。PFS−2(登録商標)層を、水とアセトンを用いて、染液が無色になるまで洗浄した。粗化合物を、短いシリカプラグ上で、始めにPFS−2(登録商標)を用いて溶出させて、全ての不純物を洗い流し、生成物をPFS−2(登録商標)/ジエチルエーテル(1:2)を用いて洗い流した。溶媒を除去した後、所望の化合物を赤色の粘着性の固体として得た。収量、2.38g、40%、UV−Vis(HT−200);λmax=423nm及び40ppmの吸光度=2.40。
【0110】
例6.2
パーフルオロアルキルテトラフェニル−銅−ポルフィリンI(PS1)の製造
【化21】

【0111】
PS1の合成
2,3,12,13−テトラブロモ−5,10,15,20−テトラフェニル−銅(II)−ポルフィリン(1.0g、1.0mmol)、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル−1−チオール(2.9g、6mmol、シンクエスト社)、炭酸カリウム(0.9g、6.5mmol)と50mLの1−メチル−2−ピロリドン(NMP)を混合し、二日間160℃に加熱した。得られた溶液を200mLのPFS−2(登録商標)で抽出し、得られたPFS−2(登録商標)溶液は、100mLの氷水で2回、100mLのアセトンで2回洗浄した。得られたPFS−2(登録商標)溶液を、100mLのシリカゲルで満たしたブフナー漏斗中に入れた。PFS−2(登録商標)−エーテル溶液(比、2:1)を用いて洗浄し、ロータリーエバポレーターを用いて蒸発させて乾燥して、暗緑色溶液を得た。暗緑色結晶が得られ、更に、超音波照射で3回100mLのアセトンを用いて洗浄し、減圧乾燥した。1.2gの所望の生成物を収率30%で得た。UV−Vis(HT−200);λmax=436nm及び40ppmの吸光度=1.20。
【0112】
例6.3
パーフルオロアルキル化テトラフェニル−銅−ポルフィリンII(PS5)の製造
【化22】

【0113】
1. ジブロモ−N,N’−ビス−(2,4−ジブロモフェニル)−5,10,15,20−テトラフェニル−銅(II)−ポルフィリン−ジアミンの合成
2,3,12,13−テトラブロモ−5,10,15,20−テトラフェニル−銅(II)−ポルフィリン(1.0g、1.0mmol)、2,6−ジブロモアニリン(0.68g、2.7mmol)、炭酸カリウム(0.9g、6.5mmol)、及び10mLの1−メチル−2−ピロリドン(NMP)を混合し、一夜間150℃に加熱した後、冷やして、200mLの水と混合し、濾過した。得られた固体を100mLのMeOHで洗浄し、減圧乾燥した。1.0gの所望の生成物を収率75%で得た。
【0114】
2. PS5の合成
ジブロモ−N,N’−ビス−(2,4−ジブロモフェニル)−5,10,15,20−テトラフェニル−銅(II)−ポルフィリン−ジアミン(0.5g、0.35mmol)、ヨウ化パーフルオロオクチル(1.7g、3.2mmol、シンクエスト社)、銅の微粒(0.41g、6.3mmol)、5mLのDMSO、及び5mLのZT−130(登録商標)(ソルベー社)を混合し、一夜間150℃で加熱した後、冷やし、200mLのPFS−2(登録商標)で抽出した。得られたPFS−2(登録商標)溶液を、100mLのシリカゲルで満たしたブフナー濾過漏斗に入れ、PFS−2(登録商標)を用いて洗浄することで暗緑色溶液を得た。得られたPFS−2(登録商標)溶液を、100mLの2−ブタノン(MEK)で2回洗浄し、ロータリーエバポレーターを用いて蒸発させ乾燥した。更に、100mLの熱メタノールで洗浄し、減圧乾燥して、暗緑色固体を得た。0.48gの所望の生成物を収率41%で得た。UV−Vis(HT−200);λmax=428nm及び4ppmの吸光度=0.36。
【0115】
例6.4
クライトックス(登録商標)置換テトラフェニル−5,10,15,20−銅−ポルフィリン(CT1)の製造
【化23】

【0116】
1. クライトックス(登録商標)−CHOCHCHCHOHの合成
9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)の0.45〜0.50Mテトラヒドロフラン溶液400mL(0.18mol、ギャラリーケミカル社(Gallery Chemical))を、氷水浴中の70mLの1−(エトキシ)ノナフルオロブタン(ENFB、3M社)中の56gのクライトックス(登録商標)アリルエーテル(Mw=1400、0.04mmol、デュポン社)の溶液に、滴下して加えた。添加後、得られた溶液を室温で二日間攪拌した。得られた溶液を110mLのエタノール、40mLの6NのNaOH水溶液と110mLの水と混合した後、二日間還流した。得られた懸濁液をロータリーエバポレーションによって濃縮し、75mLのPFS−2(登録商標)で3回抽出した。PFS−2(登録商標)抽出物を合し、50mLのアセトンで3回洗浄し、ロータリーエバポレーションによって濃縮した。50gの無色オイルを得た。(収率:88%)。
【0117】
2. クライトックス(登録商標)−CHOCHCHCHOTfの合成
20mLのトリフルオロトリクロロエタン中の6.3gのトリフルオロメタンスルホン酸無水物(22.3mmol、アルドリッチ社)を、氷水浴中の150mLのトリフルオロトリクロロエタン中の25gのクライトックス(登録商標)−CHOCHCHCHOH(17.8mmol)と2.4gのルチジン(22.3mmol、アルドリッチ社)の溶液に滴下して加えた。添加後、得られた溶液を室温で18時間攪拌し、ロータリーエバポレーションによって濃縮した後、100mLのPFS−2(登録商標)で3回抽出した。PFS−2(登録商標)抽出物を合し、75mLのアセトンで3回洗浄し、ロータリーエバポレーションによって濃縮した。22gのオイル状生成物を、収率84%で得た。
【0118】
3. 5,10,15,20−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−銅(II)−ポルフィリンの合成
50mLのDMF中の1.0gの5,10,15,20−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−21H,23H−ポルフィン(1.47mmol、アルドリッチ社)と0.2gの酢酸銅(1.76mmol、アルドリッチ社)の溶液を18時間還流した。得られた溶液を200mLの水と混合し、濾過した。固体残留物を150mLの水で洗浄し、減圧下60℃で乾燥した。1.1gの固体を収率95%で得た。
【0119】
4. CT1の合成
50mLの無水THF中の0.3gの5,10,15,20−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−銅(II)−ポルフィリンの溶液に24mgの水素化ナトリウム(1.0mmol、アルドリッチ社)を加えた。得られた懸濁液を2時間還流し、それに、10mLの1−(エトキシ)ノナフルオロブタン(ENFB、3M社)中の1.0gのクライトックス(登録商標)−CHOCHCHCHOTfの溶液を加えた後、もう18時間還流した。得られた懸濁液を100mLの1NHCl水溶液と混合し、50mLのPFS−2(登録商標)で3回抽出した。PFS−2(登録商標)抽出物を合し、50mLのアセトンで3回洗浄し、ロータリーエバポレーションによって濃縮した。得られたオイルを20gのセライトと混合し、150mLのエーテルで1日間ソックスレー抽出後、150mLのPFS−2(登録商標)で1日間ソックスレー抽出した。得られたPFS−2(登録商標)溶液を蒸発させ、ロータリーエバポレーションによって乾燥した。0.3gの生成物を得た。UV−Vis(HT−200);λmax=418nm及び40ppmの吸光度=1.48。
【0120】
例7
クライトックス(登録商標)置換シス−ナフタルイミド染料(VK1)の製造
【化24】

【0121】
1. ジブロモ置換シス−ナフタルイミド染料の合成
ビスベンズイミダゾ[2,1−b:1’,2’−j]ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン−6,9−ジオン(C.I.ピグメントレッド194、1.00g、2.42mmol、アーカッシュケミカルズ&ダイスタッフ社(Aakash Chemicals & Dye-stuffs, Inc.))とN−ブロモスクシンイミド(2.60g、14.6mmol、アルドリッチ社)の混合物を、トリフルオロ酢酸(50mL、アルドリッチ社)とHSO(15mL、フィッシャーサイエンティフィック社)の溶液中で、室温で24時間攪拌した。得られた暗紫色溶液を、200mLの氷水に注いだ。得られた固体を水で洗浄し、濾過で取り出し、一夜間乾燥した(60℃、60Torr)。暗紫色固体(1.45g、82%)を得た。
【0122】
2. VK1の合成
25mL(11.25mmol、キャラリーケミカル(Callery Chemical))の9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンの0.45〜0.50MのTHF溶液を、4g(2.50mmol)のクライトックスアリルエーテル(Mw=1600、デュポン社)と10mLのエチルパーフルオロブチルエーテル(3M社)の混合物に、攪拌しながら0℃で滴下して加えた。得られた懸濁液を、室温で24時間攪拌した。その間に、混合物は均一に成った。15mLの3MのNaOH水溶液を混合物に加え、混合物を30分間攪拌した。0.44g(0.60mmol)のジブロモ置換シス−ナフタルイミド染料と0.23g(0.19mmol、アルドリッチ社)の[1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)とジクロロメタンとのコンプレックス、PdCl(dppf)・CHClの混合物に、Ar雰囲気下溶液を移し、24時間還流した。得られた混合物を、20mLのパーフルオロポリエーテルPFS−2(ソルベーソレクシズ社)を用いて抽出し、水(2×10mL)とアセトン(5×10mL)で洗浄した。有機相を分離し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残留物を、エーテルとPFS−2を用いるソックスレー抽出によって精製し、1.15g(52%)の暗オレンジオイルを得た。HT−200中のVK1染料(40ppm)のUV−Visスペクトルは、λmax=478nm、O.D.=0.23(HT200中で40ppm)であった。
【0123】
下記構造のクライトックス(登録商標)置換トランス−ナフタルイミド染料(VK2):
【化25】

を、VK1の製造に使用した出発物質、ビスベンズイミダゾ[2,1−b:1’,2’−j]ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン−6,9−ジオンを、ビスベンズイミダゾ[2,1−b:1’,2’−j]ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン−8,17−ジオンに変えた以外は同様にして製造した。
得られたVK2染料も、暗オレンジ色オイルであった。HT−200中のVK2染料(40ppm)のUV−Visスペクトルは、λmax=474nm、O.D.=0.34(HT200中で40ppm)であった。
【0124】
例8
A: プライマーコート透明導電性膜
33.2gのEB600(登録商標)(アクリレート化エポキシオリゴマー、UCB社(UCB)、スマーナ(Smyrna)、ジョージア州)、16.12gのSR399(登録商標)(五官能性モノマー、サートマー(Sartomer)、エックストン(Exton)、ペンシルベニア州)、16.12gのTMPTA(トリメチロールプロパン トリアクリレート、UCB社、スマーナ、ジョージア州)、20.61gのHDDA(UCB社、スマーナ、ジョージア州)、2gのイルガキュア(Irgacure)(登録商標)369(2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、チバ社(Ciba)、タリータウン(Tarrytown)、ニューヨーク州)、0.1gのイルガノックス(Irganox)(登録商標)1035(チオジエチレン ビス(3,5−ジ(tert)−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、チバ社)、44.35gのポリ(エチルメタクリレート)(Mw=515,000、アルドリッチ社、ミルウォーキー、ウィスコンシン州)及び399,15gのMEK(メチルエチルケトン)を含むプライマーコーティング溶液を、十分に混合し、5ミル(mil)透明導電性フィルム(ITO/PETフィルム、5ミルOC50、CPフィルムズ社(CPFilms)、マーティンズヴィル(Martinsville)、バージニア州)上に、#4ドローダウンバー(drawdown bar)を用いてコートした。コートしたITOフィルムをオーブン中で、65℃で、10分間乾燥後、窒素雰囲気下でUVコンベヤー(DDU社(DDU)、ロサンジェルス、カリフォルニア州)を用いて1.8J/cmのUV光にさらした。
【0125】
B: マイクロカップの製造
【表1】

【0126】
33.15gのEB600(登録商標)(UCB社、スマーナ、ジョージア州)、32.24gのSR399(登録商標)(サートマー社、エックストン、ペンシルベニア州)、6gのEB1360(登録商標)(シリコーンアクリレート、UCB社、スマーナ、ジョージア州)、8gのハイカ−1300X43(反応性液晶ポリマー、ノベオン社(Noveon Inc.)、クリーブランド、オハイオ州)、0.2gのイルガキュア(登録商標)369(チバ社、タリータウン、ニューヨーク州)、0.04gのITX(イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、アルドリッチ社、ミルウォーキー、ウィスコンシン州)、0.1gのイルガノックス(登録商標)1035(チバ社、タリータウン、ニューヨーク州)及び20.61gのHDDA(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、UCB社、スマーナ、ジョージア州)を、室温で約1時間、スターパックミキサー(Stir-Pak mixer)(コールパーマー社(Cole Parmer)、バーノン(Vernon)、イリノイ州)を用いて、室温で約1時間十分に混合し、200rpmで約15分間遠心分離することで、脱泡した。
【0127】
72μm(縦)×72μm(横)×35μm(深さ)×13μm(マイクロカップ同士の間の仕切り壁の上部表面の幅)のマイクロカップのアレイ用の4“×4”電極形成Niメールモールド上に、マイクロカップ組成物をゆっくりコートした。プラスチックブレードを用いて過剰の流体を取り除き、Niモールドの「谷」の中に穏やかに流し込んだ。コートしたNiモールドを65℃のオーブンで5分間加熱し、上述のセクションAで製造したプライマーをコートしたITO/PETフィルムと、プライマー層がNiモールドと面するように、GBCイーグル53ラミネーター(GBC社(GBC)、ノースブルック、イリノイ州)を、ローラー温度100℃、ラミネーション速度1フィート/分、ロールギャップ「ヘビーゲージ」で用いてラミネート(又は積層)した。2.5mJ/cmのUV強度のUV硬化ステーション(curing station)を用いて、5秒間パネルを硬化した。その後、ITO/PETフィルムを、Niモールドから30度の剥離角度で剥離し、ITO/PET上に4“×4”マイクロカップアレイを得た。モールドからのマイクロカップアレイの許容できる剥離が観察された。従って、UVコンベヤ硬化システム(DDU社、ロサンジェルス、カルフォルニア州)を1.7J/cmのUV用量で用いて、得られたマイクロカップアレイを更に後硬化した。
【0128】
C: 充填とシーリング組成物による封止
HT−200(ソルベーソレクシズ社)中に6重量%(乾燥重量)のTiO粒子と示したような量で上述の例で製造した染料又は着色剤を含む1gの電気泳動分散物(又はディスパージョン)を、#0ドローダウンバーを用いて、上述のセクションBで製造した4”×4”マイクロカップアレイ中に満たした。ゴムのブレードを用いて、過剰の流体をかき取った。その後、9部のクレイトン(Kraton)G1650(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー、シェル社(Shell)、テキサス州)、1部のGRP6919(水素化スチレンブロックコポリマー、シェル社)、3部のCab−O−Sil TS−720(改質(又は加工)ヒュームド・シリカ(treated fumed silica)、キャボット社(Cabot Corp.)、イリノイ州)、78.3部のイソパールE(Isopar E)(炭化水素流体、エクソンモービル社(ExxonMobil))及び8.7部の酢酸イソプロピルから成る10%のゴムの溶液で、ユニバーサル・ブレード・アプリケーター(Universal Blade Applicator)を用いて、充填したマイクロカップをオーバーコートした。室温で乾燥して、良好な均一性を有する、約2〜3μmの乾燥時の厚さを有するシームレスな(又は継ぎ目のない)シーリング(又は封止)層を形成した。
【0129】
試料8.1は、2.15重量%のP6B染料(例3.1で製造)及び0.55重量%のR30染料(例3.3で製造)を含んでいた。試料8.2は、0.98重量%のCuPc−C17染料(米国特許第3,281,426に基づいて製造)及び2.02重量%のPK1染料(例6.1で製造)を含んでいた。試料8.3は、2.1重量%のC3染料(例1.1で製造)を含んでいた。試料8.4は、1.23重量%のCuPc−C17染料(米国特許第3,281,426に基づいて製造)、2.88重量%のR30(例3.3で製造)及び0.04重量%のPK1染料(例6.1で製造)を含んでいた。
【0130】
D: ラミネーション(又は積層化)
ITO/PET導電性フィルム(5milのOC50、CPフィルムズ社)のITO側を、メチルエチルケトン(MEK)中の25重量%の感圧接着剤(デュロタック(Durotak)1105、ナショナルスターチ社(National Starch)、ブリッジウォーター(Bridgewater)、ニュージャージー州)溶液で、ドローダウンバーを用いて、オーバーコートした(目的とする被覆:0.6g/フィート)。その後、接着剤コートITO/PET層を、上述のセクションCで製造したシールしたマイクロカップ上に、GBCイーグル35ラミネーターを用いて70℃でラミネートした。ラミネーション速度は、1/32のギャップで、1フィート/分に設定した。
【0131】
本発明の染料又は着色剤の性能を、下記の表2にまとめた。
【表2】

【0132】
本発明をその具体的な態様を参照して説明したが、種々の変更をなし得、本発明の真の精神と範囲から離れることなく均等物で置換できることを、当業者であれば理解すべきである。更に、多くの変更を行い、本発明の目的、精神及び範囲に、特定の条件、材料、組成物、方法、方法の工程又は工程等を適合(又は改変して)してよい。全てのそのような変更は、添付した特許請求の範囲の範囲内であるように意図される。
従って、従来技術が広く認められると同様に、添付した特許請求の範囲によって規定されるべき本発明は、明細書を参照して広く認められることが期待される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属フタロシアニン又はナフタロシアニン染料又はバット染料の場合、フッ素源は、パーフルオロアルキルのみではないとの条件で、少なくとも約25重量%のフッ素を含んで成るフッ素化染料又は着色剤。
【請求項2】
少なくとも約35重量%のフッ素を含んで成る請求項1に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項3】
少なくとも約50重量%のフッ素を含んで成る請求項1に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項4】
フッ素化フタロシアニン、ナフタロシアニン、アントラキノン、ペリレン、キナクリドン、ジケトピロロピロール(DPP)、ポルフィリン又はナフタルイミド染料又は着色剤である請求項1に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項5】
フッ素化バット染料又は着色剤である請求項1に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項6】
下記式(I)及び(II)によって各々示されるフッ素化フタロシアニン又はナフタロシアニン染料又は着色剤:
【化1】

[但し、
m、n、p及びqは、式(I)のフタロシアニン染料又は着色剤に対しては、独立して、0〜4であり、式(II)のナフタロシアニン染料又は着色剤に対しては、独立して、0〜6であり;
Mは、二価の金属、オキソメタル基、ハロゲン化メタル基又はヒドロキシメタル基であり;
は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、R’O−、R’S−、R’R”N−、R’C(O)−、R’OC(O)−、R’C(O)O−、R’C(O)NR”−、R’R”NC(O)−、R’NHC(O)NR”−、R’SONR”−又はR’R”NSO−(ここで、R’及びR”は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体である)、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り);
は、フッ素化アルキル、フッ素化ヘテロアルキル、フッ素化アリール又はフッ素化ヘテロアリール又は低/中分子量フッ素化ポリマー又はオリゴマー部分;及び
Aは、存在しないか又は下記の両方で結合するものを一又はそれ以上を含んで成る結合鎖である:−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SONR’−、−NR’−、−NR’CO−、−NR’COO−、−NR’CONR”−、−NR’CS−、−NR’CSO−、−NR’CSNR”−、−OC(O)−、−OCO−、−C(O)O−、−OC(O)N’R−、アルキレン、アリーレン、及びアルキレン又はアリーレンのハロゲン化誘導体、ここで、R’及びR”は、上述のように定義され、
フッ素源は、パーフルオロアルキルのみではないとの条件で、式(I)及び式(II)の染料又は着色剤は、少なくとも約25重量%のフッ素を含んで成る]。
【請求項7】
は、下記式(A)によって示される請求項6に記載のフッ素化染料又は着色剤:
【化2】

[但し、式(A)の主鎖のオープンの置換位置(図示せず)は、同じでも異なっていてもよく、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、−OR、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR(ここで、R及びRは、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体である)から成る群から選択される;
、Z及びZは、独立して、酸素であるか又は存在しない;
a、b及びcは、対応する繰り返し単位の重量割合であり、独立して、0〜1の範囲であり、それらの合計は、1以下である]。
【請求項8】
Mは、Cu、Zn、Mg、Ti、Si又はSnである請求項6に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項9】
Mは、Cu又はZnである請求項8に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項10】
m、n、p及びqは、全て1である請求項6に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項11】
式(I)の少なくとも一のフェニル環又は式(II)の少なくとも一のナフチル環は、R−A−で置換されている請求項6に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項12】
は、式(A)のフルオロポリエーテル又はフルオロアルキルである請求項11に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項13】
Aは、存在しない請求項12に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項14】
Aは、一又はそれ以上のアルキレン又はアリーレンを含む結合鎖である請求項12に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項15】
Aは、一又はそれ以上のアルキレン、アリーレン、−O−又は−SONR’−を含んで成る結合鎖であって、R’は水素又はアルキルである請求項12に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項16】
式(I)の少なくとも一のフェニル環又は式(II)の少なくとも一のナフチル環は、R−A−及びアルキル基で置換されている請求項6に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項17】
下記式(III)によって示されるフッ素化アントラキノン染料又は着色剤:
【化3】

[但し、
m及びnは、独立して、0〜4であり;
Xは、C=O、NR、S、O、S=O、SO又はC=NRであって、Rは、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り)であり;
は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、R’O−、R’S−、R’R”N−、R’C(O)−、R’OC(O)−、R’C(O)O−、R’C(O)NR”−、R’R”NC(O)−、R’NHC(O)NR”−、R’SONR”−又はR’R”NSO−(ここで、R’及びR”は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体である)、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り);
は、フッ素化アルキル、フッ素化ヘテロアルキル、フッ素化アリール又はフッ素化ヘテロアリール又は低/中分子量フッ素化ポリマー又はオリゴマー部分;及び
Aは、存在しないか又は下記の両方で結合するものを一又はそれ以上含んで成る結合鎖である:−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SONR’−、−NR’−、−NR’CO−、−NR’COO−、−NR’CONR”−、−NR’CS−、−NR’CSO−、−NR’CSNR”−、−OC(O)−、−OCO−、−C(O)O−、−OC(O)N’R−、アルキレン、アリーレン、及びアルキレン又はアリーレンのハロゲン化誘導体、ここで、R’及びR”は、上述のように定義され、
式(III)の染料又は着色剤は、少なくとも約25重量%のフッ素を含んで成る]。
【請求項18】
は、下記式(A)で示される請求項17に記載のフッ素化染料又は着色剤:
【化4】

[但し、式(A)の主鎖のオープンの置換位置(図示せず)は、同じでも異なっていてもよく、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、−OR、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR(ここで、R及びRは、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体である)から成る群から選択される;
、Z及びZは、独立して、酸素であるか又は存在しない;
a、b及びcは、対応する繰り返し単位の重量割合であり、独立して、0〜1の範囲であり、それらの合計は、1以下である]。
【請求項19】
Xは、好ましくはC=O又はNHである請求項17に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項20】
の少なくとも1つは、R−A−である請求項17に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項21】
は、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルである請求項20に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項22】
は、独立して水素又はR−A−であって、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフルオロアルキルであり、Aは、アルキレンを含んで成る結合鎖である請求項20に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項23】
Aは、アルキレン、−NH−及び−NHCO−を含んで成る結合鎖である請求項21に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項24】
下記式(IV)によって示されるフッ素化ペリレン染料又は着色剤:
【化5】

[但し、
m、n、p及びqは、独立して0〜2であり;
Xは、O、S又はNRであり、Rは、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又は、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、又はR−A−(ここで、RとAは、下記の通り);
は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又は、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、又はR−A−(ここで、RとAは、以下の通り);
は、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又は、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、R’O−、R’S−、R’R”N−、R’C(O)−、R’OC(O)−、R’C(O)O−、R’C(O)NR”−、R’R”NC(O)−、R’NHC(O)NR”−、R’SONR”−又はR’R”NSO−(ここで、R’とR”は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又は、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体である)、又はR−A−(ここで、RとAは、以下の通り);
は、フッ素化アルキル、フッ素化ヘテロアルキル、フッ素化アリール又はフッ素化ヘテロアリール又は低/中分子量フッ素化ポリマー又はオリゴマー部分;及び
Aは、存在しないか又は下記の両方で結合するものを一又はそれ以上含んで成る結合鎖である:−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SONR’−、−NR’−、−NR’CO−、−NR’COO−、−NR’CONR”−、−NR’CS−、−NR’CSO−、−NR’CSNR”−、−OC(O)−、−OCO−、−C(O)O−、−OC(O)N’R−、アルキレン、アリーレン、及びアルキレン又はアリーレンのハロゲン化誘導体、ここで、R’及びR”は、上述のように定義されるが、
式(IV)の染料又は着色剤は、少なくとも約25重量%のフッ素を含んで成る]。
【請求項25】
は、下記式(A)で示される請求項24に記載のフッ素化染料又は着色剤:
【化6】

[但し、式(A)の主鎖のオープンの置換位置(図示せず)は、同じでも異なっていてもよく、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、−OR、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR(ここで、R及びRは、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体である)から成る群から選択される;
、Z及びZは、独立して、酸素であるか又は存在しない;
a、b及びcは、対応する繰り返し単位の重量割合であり、独立して、0〜1の範囲であり、それらの合計は、1以下である]。
【請求項26】
Xは、Oである請求項24に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項27】
の少なくとも1つは、R−A−であって、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルであり、Aは存在しないか、アルキレンであるか、アルキレンと−NR’C(O)−(R’は、水素又はアルキルである)を含む結合鎖である請求項24に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項28】
m、n、p及びqは全て0である請求項24に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項29】
は、塩素であり、m、n、p及びqは、全て1である請求項24に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項30】
の少なくとも一は、R−A−であって、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルであり、Aは、独立して、−S−とアルキレンを含んで成る結合部分又は−O−とアルキレンを含んで成る結合部分である請求項24に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項31】
下記式(V)によって示されるフッ素化キナクリドン染料又は着色剤:
【化7】

[但し、
m及びnは、独立して、0〜4であり;
は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り);
は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、R’O−、R’S−、R’R”N−、R’C(O)−、R’OC(O)−、R’C(O)O−、R’C(O)NR”−、R’R”NC(O)−、R’NHC(O)NR”−、R’SONR”−又はR’R”NSO−(ここで、R’及びR”は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体である)、又はR−A(ここで、R及びAは、下記の通り);
は、フッ素化アルキル、フッ素化ヘテロアルキル、フッ素化アリール又はフッ素化ヘテロアリール又は低/中分子量フッ素化ポリマー又はオリゴマー部分;及び
Aは、存在しないか又は下記の両方で結合するものを一又はそれ以上含んで成る結合鎖である:−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SONR’−、−NR’−、−NR’CO−、−NR’COO−、−NR’CONR”−、−NR’CS−、−NR’CSO−、−NR’CSNR”−、−OC(O)−、−OCO−、−C(O)O−、−OC(O)N’R−、アルキレン、アリーレン、及びアルキレン又はアリーレンのハロゲン化誘導体、ここで、R’及びR”は、上述のように定義され、
式(V)の染料又は着色剤は、少なくとも約25重量%のフッ素を含んで成る]。
【請求項32】
は、下記式(A)で示される請求項31に記載のフッ素化染料又は着色剤:
【化8】

[但し、式(A)の主鎖のオープンの置換位置(図示せず)は、同じでも異なっていてもよく、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、−OR、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR(ここで、R及びRは、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体である)から成る群から選択される;
、Z及びZは、独立して、酸素であるか又は存在しない;
a、b及びcは、対応する繰り返し単位の重量割合であり、独立して、0〜1の範囲であり、それらの合計は、1以下である]。
【請求項33】
とRの少なくとも一は、R−A−であり、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルである請求項31に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項34】
とRの少なくとも一は、R−A−であり、Aは、アルキレンと−O−を含んで成る結合鎖である請求項31に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項35】
下記式(VI)によって示されるフッ素化DPP(ジケトピロロピロール)染料又は着色剤:
【化9】

[但し、
m及びnは、独立して、0〜5であり;
は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り);
は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、R’O−、R’S−、R’R”N−、R’C(O)−、R’OC(O)−、R’C(O)O−、R’C(O)NR”−、R’R”NC(O)−、R’NHC(O)NR”−、R’SONR”−又はR’R”NSO−(ここで、R’及びR”は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体である)、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り);
は、フッ素化アルキル、フッ素化ヘテロアルキル、フッ素化アリール又はフッ素化ヘテロアリール又は低/中分子量フッ素化ポリマー又はオリゴマー部分;及び
Aは、存在しない又は下記の両方で結合するものを一又はそれ以上含んで成る結合鎖である:−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SONR’−、−NR’−、−NR’CO−、−NR’COO−、−NR’CONR”−、−NR’CS−、−NR’CSO−、−NR’CSNR”−、−OC(O)−、−OCO−、−C(O)O−、−OC(O)N’R−、アルキレン、アリーレン、及びアルキレン又はアリーレンのハロゲン化誘導体、ここで、R’及びR”は、上述のように定義され、
式(VI)の染料又は着色剤は、少なくとも約25重量%のフッ素を含んで成る]。
【請求項36】
は、下記式(A)で示される請求項35に記載のフッ素化染料又は着色剤:
【化10】

[但し、式(A)の主鎖のオープンの置換位置(図示せず)は、同じでも異なっていてもよく、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、−OR、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR(ここで、R及びRは、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体である)から成る群から選択される;
、Z及びZは、独立して、酸素であるか又は存在しない;
a、b及びcは、対応する繰り返し単位の重量割合であり、独立して、0〜1の範囲であり、それらの合計は、1以下である]。
【請求項37】
は、共に水素である請求項35に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項38】
の少なくとも1つは、R−A−であり、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルである請求項35に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項39】
Aは、アルキレンと−O−を含んで成る結合鎖である請求項38に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項40】
下記式(VII)によって示されるポルフィリン染料又は着色剤:
【化11】

[但し、
m、n、p及びqは、独立して、0〜5であり;
Mは、二価の金属、オキソメタル基、ハロゲノメタル基又はヒドロキシメタル基;
とRは、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、R’O−、R’S−、R’R”N−、R’C(O)−、R’OC(O)−、R’C(O)O−、R’C(O)NR”−、R’R”NC(O)−、R’NHC(O)NR”−、R’SONR”−又はR’R”NSO−(ここで、R’及びR”は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体である)、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り);
は、フッ素化アルキル、フッ素化ヘテロアルキル、フッ素化アリール又はフッ素化ヘテロアリール又は低/中分子量フッ素化ポリマー又はオリゴマー部分;及び
Aは、存在しない又は下記の両方で結合するものを一又はそれ以上含んで成る結合鎖である:−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SONR’−、−NR’−、−NR’CO−、−NR’COO−、−NR’CONR”−、−NR’CS−、−NR’CSO−、−NR’CSNR”−、−OC(O)−、−OCO−、−C(O)O−、−OC(O)N’R−、アルキレン、アリーレン、及びアルキレン又はアリーレンのハロゲン化誘導体、ここで、R’及びR”は、上述のように定義され、
式(VII)の染料又は着色剤は、少なくとも約25重量%のフッ素を含んで成る]。
【請求項41】
は、下記式(A)で示される請求項40に記載のフッ素化染料又は着色剤:
【化12】

[但し、式(A)の主鎖のオープンの置換位置(図示せず)は、同じでも異なっていてもよく、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、−OR、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR(ここで、R及びRは、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体である)から成る群から選択される;
、Z及びZは、独立して、酸素であるか又は存在しない;
a、b及びcは、対応する繰り返し単位の重量割合であり、独立して、0〜1の範囲であり、それらの合計は、1以下である]。
【請求項42】
m、n、p及びqは全て0である請求項40に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項43】
の少なくとも一は、R−A−であって、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルであり、Aは、−O−とアルキレンを含んで成る結合部分である請求項40に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項44】
は、独立して、水素又はR−A−であって、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルである請求項40に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項45】
Aは、存在しないか、−S−とアルキレンを含んで成る結合部分又は−O−とアルキレンを含んで成る結合部分である請求項44に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項46】
は、独立して、水素又はR−A−であって、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルである請求項40に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項47】
Aは、存在しないか、場合により置換アリーレン及び−NH−を含んで成る結合部分である請求項46に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項48】
下記式(VIII)及び(IX)によって示されるフッ素化ナフタルイミド染料又は着色剤:
【化13】

[但し、
m及びnは、独立して、0〜4であり;p及びqは、独立して、0〜2であり;
は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、R’O−、R’S−、R’R”N−、R’C(O)−、R’OC(O)−、R’C(O)O−、R’C(O)NR”−、R’R”NC(O)−、R’NHC(O)NR”−、R’SONR”−又はR’R”NSO−(ここで、R’及びR”は、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体である)、又はR−A−(ここで、R及びAは、下記の通り);
は、フッ素化アルキル、フッ素化ヘテロアルキル、フッ素化アリール又はフッ素化ヘテロアリール又は低/中分子量フッ素化ポリマー又はオリゴマー部分;及び
Aは、存在しないか又は下記の両方で結合するものを一又はそれ以上含んで成る結合鎖である:−O−、−S−、−SO−、−SO−、−SONR’−、−NR’−、−NR’CO−、−NR’COO−、−NR’CONR”−、−NR’CS−、−NR’CSO−、−NR’CSNR”−、−OC(O)−、−OCO−、−C(O)O−、−OC(O)N’R−、アルキレン、アリーレン、及びアルキレン又はアリーレンのハロゲン化誘導体、ここで、R’及びR”は、上述のように定義され、
式(VII)及び式(IX)の染料又は着色剤は、少なくとも約25重量%のフッ素を含んで成る]。
【請求項49】
は、下記式(A)で示される請求項48に記載のフッ素化染料又は着色剤:
【化14】

[但し、式(A)の主鎖のオープンの置換位置(図示せず)は、同じでも異なっていてもよく、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体、−OR、−OC(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR(ここで、R及びRは、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキル、ヘテロアルキル、アリール又はヘテロアリールのハロゲン化誘導体である)から成る群から選択される;
、Z及びZは、独立して、酸素であるか又は存在しない;
a、b及びcは、対応する繰り返し単位の重量割合であり、独立して、0〜1の範囲であり、それらの合計は、1以下である]。
【請求項50】
p及びqは0である請求項48に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項51】
の少なくとも一は、R−A−であって、Rは、式(A)のフルオロポリエーテル又はフッ素化アルキルである請求項48に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項52】
Aは、アルキレンと−O−を含んで成る結合鎖である請求項51に記載のフッ素化染料又は着色剤
【請求項53】
少なくとも約50重量%のフッ素を含んで成るフッ素化溶媒中に、少なくとも0.1g/mLの溶解性を有するフッ素化染料又は着色剤。
【請求項54】
少なくとも約50重量%のフッ素を含んで成るフッ素化溶媒中に、少なくとも0.2g/mLの溶解性を有する請求項53に記載のフッ素化染料又は着色剤。
【請求項55】
少なくとも約50重量%のフッ素を含んで成るフッ素化溶媒中に、少なくとも0.25g/mLの溶解性を有する請求項53に記載のフッ素化染料又は着色剤。


【公表番号】特表2007−533773(P2007−533773A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523220(P2006−523220)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/024932
【国際公開番号】WO2005/017046
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(500327016)シピックス・イメージング・インコーポレーテッド (27)
【氏名又は名称原語表記】SiPix Imaging,Inc
【住所又は居所原語表記】1075 Montague Expressway,Milpitas,California95035,United States of America
【Fターム(参考)】