フラスコ用栓
【課題】フラスコ内をより高い効率で換気することができるフラスコ用栓等を提供すること。
【解決手段】本発明のフラスコ用栓は、フラスコFの開口端Eに取付けられるフラスコ用栓1であって、フラスコの開口端に接続される略円筒状の本体部2と、本体部内に配置され、上側の円錐状部分6と下側の管状部分8とを有する漏斗状の気体導入部4であって、円錐状部分に気体供給管から気体が供給される気体導入部とを備え、気体導入部は、フラスコ用栓がフラスコの開口端に接続されたとき、開口端との間に隙間が形成され且つ管状部分がフラスコ内に延びるように、本体部に対して配置され、本体部には、隙間をフラスコ用栓の外部と連通させる通路18が形成されている。
【解決手段】本発明のフラスコ用栓は、フラスコFの開口端Eに取付けられるフラスコ用栓1であって、フラスコの開口端に接続される略円筒状の本体部2と、本体部内に配置され、上側の円錐状部分6と下側の管状部分8とを有する漏斗状の気体導入部4であって、円錐状部分に気体供給管から気体が供給される気体導入部とを備え、気体導入部は、フラスコ用栓がフラスコの開口端に接続されたとき、開口端との間に隙間が形成され且つ管状部分がフラスコ内に延びるように、本体部に対して配置され、本体部には、隙間をフラスコ用栓の外部と連通させる通路18が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラスコ用栓等に関し、より詳細には、フラスコ内の高い換気効果を実現にするフラスコ用栓に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物等の培養などにおいては、微生物等を含む培養物を収容したフラスコを、振盪させながら培養を行う振盪培養が一般的に行われている。このような振盪培養では、所謂三角フラスコ(エルレンマイヤーフラスコ)、丸底フラスコなどのフラスコに培養物を収容し、このフラスコの入口を綿栓で閉鎖した状態で、フラスコを振盪装置で振盪させて微生物等を培養している。
【0003】
従来は、綿栓が十分な通気性を有しており、上述したようにフラスコの入口を綿栓で閉鎖した状態でも、振盪培養中、好気条件が維持されていると考えられていた。すなわち、培養物中、微生物等の増殖によりフラスコ内の酸素が消費されても、綿栓を介してガス交換が行われフラスコ外から酸素が供給される結果、フラスコ内の気体には常に外気と同程度の酸素が含まれていると考えられていた。
【0004】
しかしながら、本件発明者が、綿栓で入口を閉鎖したフラスコの換気性について実験を行ったところ、綿栓で入口を閉鎖したフラスコが十分な換気性を有していないことを見いだした。すなわち、従来は、振盪培養中であっても好気条件であると考えられてきたフラスコ内が、培養対象物の増殖等によって発生する二酸化炭素等によって嫌気条件になっており、この結果、実験者が想定していた条件とは全く異なった条件(嫌気性条件)下での振盪培養が行われていたということが判明した。この傾向は、振盪培養が長期にわたるほど顕著となる。このため、異物の侵入を防止しつつ、効率の良い換気を行うことができる振盪培養用フラスコに対する要望があった。
【0005】
このような要望に対して、筒状首部の側壁に開口部を形成することによって、フラスコ内の換気効率を向上させようとしている振盪培養用フラスコが提案されている(特許文献1参照)。さらに、フラスコ用栓の側壁に複数の開口部を形成することにより、このフラスコ用栓が取付けられたフラスコ内の換気効率を向上させようとしているフラスコ用栓が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2002-330750号公報
【特許文献2】特開2003-125753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような先行技術のフラスコあるいはフラスコ用栓は、綿栓を施した通常のフラスコよりは換気効率が向上するが、更に高い換気効率が求められている。
本発明はこのような要請に対してなされたものであり、フラスコ内をより高い効率で換気することができるフラスコ用栓等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、フラスコの開口端に取付けられるフラスコ用栓であって、前記フラスコの開口端に接続される略円筒状の本体部と、前記本体部内に配置され、上側の円錐状部分と下側の管状部分とを有する漏斗状の気体導入部であって、前記円錐状部分に気体供給管から気体が供給される気体導入部とを備え、該気体導入部は、前記フラスコ用栓が前記フラスコの開口端に接続されたとき、前記開口端との間に隙間が形成され且つ前記管状部分が前記フラスコ内に延びるように、前記本体部に対して配置され、前記本体部には前記隙間を前記フラスコ用栓の外部と連通させる通路が形成されている、ことを特徴とするフラスコ用栓が提供される。
【0009】
このような構成を有する本発明のフラスコは、培養等に用いられるフラスコの入口を塞ぎ異物の侵入を防止する機能に加えて、気体供給装置から送られてくる気体をフラスコ内に効率良く循環させ、フラスコ内の換気効率を向上させる機能も備えている。
すなわち、本発明のフラスコ用栓がフラスコの開口端(入口端)に取付けられると、気体供給管から送り出された加湿気体等の気体が気体導入部の円錐状部分さらに管状部分を通って、フラスコ内に強制的に送り込まれる。一方、気体導入部とフラスコの開口端との間に形成された間隙からは、フラスコ内の気体が流れ出し、本体部内の通路を通ってフラスコ用栓の外部すなわちフラスコ外に排気される。
【0010】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記気体導入部の円錐状部分に、前記気体供給管から供給された気体を濾過する吸気フィルタが取付けられている。
このような構成によれば、気体供給管からフラスコ内に送り込まれる気体が吸気フィルタによって濾過されるので、気体供給管から送り込まれる気体に混入した異物がフラスコ内に進入することが防止される。
【0011】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記吸気フィルタが、前記円錐状部分の上端部に取付けられている。
【0012】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記隙間を覆う排気フィルタが設けられている。
このような構成によれば、フラスコ内の内容物がフラスコ外に飛び出すことが防止される。
【0013】
本発明の他の態様によれば、複数のフラスコを用いて振盪装置であって、培養用気体をフラスコ内部に導入するための漏斗状の気体導入部を有するフラスコ用栓が開口端に取付けられた複数のフラスコを載置する振盪台と、前記各フラスコに取付けられたフラスコ用栓の気体導入部の各々に培養用気体を供給する複数のポートを有し、カム機構によって上方位置と下方位置との間で上下動する気体供給部と、を備え、該気体供給部は、前記上方位置にあるとき、前記各ポートの下端が前記振盪台に載置されたフラスコの開口端に取付けられた前記フラスコ用栓の上端より上方に位置して前記振盪台へのフラスコの配置を可能とし、また前記下方位置にあるとき前記各ポートの下端が前記フラスコの開口端に取付けられたフラスコ用栓の前記気体導入部の頂部に接続され前記ポートを通して前記フラスコ内に培養用気体を導入できるように構成されていることを特徴とする振盪培養装置が提供される。
【0014】
本発明の他の態様によれば、開口端に取付けられ気体導入部と換気口を備えたフラスコ用栓が取付けられたフラスコを用いた振盪培養方法であって、前記気体導入部を通して前記フラスコ内に培養用の気体を導入し且つ前記換気口からフラスコ内の空気を排出して強制換気を行いつつ振盪培養を行うことを特徴とする振盪培養方法が提供される。
【0015】
このような構成によれば、培養用の気体をフラスコ内導入し且つフラスコ内の空気を排出する強制換気を行いつつ培養が行われるので、培養中に、フラスコ内の空気の特定成分、例えば酸素が消費される場合であっても、フラスコ内の気体の組成を常に一定に維持しながら培養を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のような構成を有する本発明によれば、フラスコ内をより高い効率で換気することができるフラスコ用栓等が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明のフラスコ用栓の好ましい実施形態について詳細に説明する。まず、図1および図2に沿って、第1実施形態のフラスコ用栓1の構成を説明する。図1はフラスコ用栓1の斜視図であり、図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
【0018】
図1及び図2に示されているように、フラスコ用栓1は、所謂三角フラスコ(エルレンマイヤーフラスコ)等のフラスコFの開口端(入口端)Eに取付けられる栓である。なお、本発明のフラスコ用栓は、他の形状のフラスコにも適用可能である。
フラスコ用栓1は、フラスコFの開口端Eに接続される中空で略円筒状の本体部2と、本体部内2に配置される気体導入部4とを備えている。気体導入部4は、上側の上方に向かって拡がる円錐状部分6と下側の管状部分8とを有する漏斗状を備え、円錐状部分6の上端に、気体供給装置(図示せず)に接続された気体供給管10から気体が供給される。
【0019】
本体部2は軟質の合成樹脂で形成されるのが好ましく、気体導入部4は合成樹脂で形成されるのが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0020】
気体導入部4は、フラスコ用栓1がフラスコFの開口端Eに取付けられたとき、円錐状部分6の下端部がフラスコFの開口端Eの中央部に配置され、さらに、開口端Eと円錐状部分6との間に環状の隙間12が形成されるように、本体部2に取付けられている。この結果、フラスコFにフラスコ用栓1が取付けられると、フラスコ用栓1の管状部分8が、フラスコF内に延びることになる。
【0021】
本体部2は、フラスコFの開口端Eの外径より大きな直径を有し、本体部2の下端には、内方に向かって延びる環状のフランジ部14が設けられている。フランジ部14の中央に形成された円形開口16の直径は、フラスコ用栓1が取付けられるフラスコFの入口部の外径より小さく設定されている。
このような構成により、本体部2をフラスコFの入口に被せてフラスコ用栓1をフラスコFの開口端Eに取付けると、フランジ部14の内方端がフラスコFの入口部の外周面に当接することになる。
【0022】
本体部2の側壁の上部には、側壁を貫通する一対の換気口18、18が形成されている。各換気口18、18は、矩形形状を有し、本体部2の側壁の径方向に対向した位置に形成されている。
フラスコ用栓1がフラスコFの開口端Eに取付けられると、この換気口18によって、フラスコFの開口端Eと気体導入部4の円錐状部分6の間の隙間12をフラスコ栓1の外部に連通させる通路が形成され、この通路を介して、フラスコFの内部空間がフラスコ外の空間と連通することになる。即ち、この通路を介して、フラスコF内の気体を排気することができる。
【0023】
また、気体導入部4に円錐状部分6の上端には、円形の吸気フィルタ22が取付けられている。この吸気フィルタ22によって、気体供給管10から供給された気体が濾過される。
【0024】
更に、本実施態様では、使用時に、気体供給管10の下流端に下方に向かって拡がる中空の円錐状部材24が接続される。この円錐状部材24の下端部の直径は、本体部2の上端の直径より小さく且つ吸気フィルタ22の直径より大きく設定され、図2に示されているように、円錐状部材24は、吸気フィルタ22を覆うようにフィルタ用栓1に接続される。このとき、吸気フィルタ22と気体供給管10との間に、円錐状部材24の内部空間(接続空間)26が配置される。
【0025】
さらに、フラスコ用栓1がフラスコFに取付けられたときに、開口端Eと円錐状部分6の間に形成される環状の隙間12を覆う環状の排気フィルタ28が、本体部2内に設けられている。
【0026】
図3は、本実施態様のフラスコ用栓1の使用例を示す図面である。この使用例では、下流端に設けられた円錐状部材24をフラスコFの開口端Eに取付けたフラスコ用栓1の本体部2に被せ、上流端が気体供給装置(図示せず)に接続された気体供給管10からフラスコF内に気体を送り込みながらフラスコF内で微生物等の培養を行う使用例である。なお、気体供給装置は、培養に適した温度および湿度に調整された培養用気体を供給する公知の装置である。培養用の気体としては、適度に加湿加温された外気が使用される。このような培養用の気体を使用した場合には、外気と同じ酸素濃度の空気がフラスコ内に供給されるので、培養中、フラスコ内の酸素濃度は外気と同程度に維持される。
【0027】
フラスコ用栓1は、本体部2の下端に設けられた環状のフランジ部14の内縁部分がフラスコFの入口部の外周面に当接するようにしてフラスコFの開口端Eに取付けられている(図2、図3)。このとき、排気フィルタ28は、気体導入部4の円錐状部6とフラスコFの開口端Eの間に形成された隙間12を覆うことになる。
【0028】
気体供給装置から気体供給管10を通して供給された気体は、図3に実線の矢印で示すように、気体供給管10の下流端に設けられた円錐状部材24内の接続空間26を通った後、吸気フィルタ22で濾過され、気体導入部4の円錐状部6および管状部分8を通り、フラスコFの径方向中央に流れ込む。
【0029】
フラスコF内に流れ込んだ気体は、フラスコFの底に達し、次いで径方向外方に向かって流れ、点線の矢印で示すように、フラスコFの側壁にぶつかって側壁に沿って上方に流れる。さらに、隙間12に取付けられた排気フィルタ28で濾過され、本体部2の内部空間20に流れ込み、換気口18を通って外部に放出される。
【0030】
このようにフラスコ用栓1は、培養等に用いられるフラスコの入口を塞ぎ異物の侵入を防止する機能に加えて、気体供給装置から送られてくる気体を濾過してフラスコ内に効率良く循環させ、フラスコ内の換気効率を向上させる機能も備えている。
【0031】
図4は、本実施態様のフラスコ用栓1を被せたフラスコFを振盪する振盪装置30の振盪台32に載置した状態を示す図面である。この振盪装置では、円錐状部材24を含む気体供給管の下流側部分が、振盪台32に連結され、振盪台32とともに振盪するように構成されている。
【0032】
振盪装置30は、フラスコ等が載置される振盪台32を水平面内で振盪、すなわち振動させる振盪機構34を備えている。振盪機構34は、モータMの回転を、無端ベルト等を含む伝達機構(図示せず)を介して、駆動軸36に伝えて、振盪台32を小刻みに円運動させるように構成されている。
【0033】
振盪台32は、複数本のフラスコFを載置可能に構成されている。振盪台32の上方には、気体供給部38が設けられている。図4に示されているように、気体供給部38は、振盪台32に載置されるフラスコFの上方に振盪台32と平行に配置された部材である。
【0034】
振盪台32と気体供給部38とは、上下方向の延びる支柱40、40によって連結され、振盪機構34によって一体的に振盪されるように構成されている。詳細には、振盪台32が支柱40の下端に固定され、気体供給部38が支柱40の上側部分に設けられたスロット42を貫通して延びるねじ44によって支柱40に固定されている。ねじ44を緩めると、ねじ44がスロット42に沿って上下動可能となる。したがって、ねじ44をスロット42内で上下動させることにより、気体供給部38の高さを、載置するフラスコFの高さに合わせて変更可能となっている。
【0035】
気体供給部38には、気体供給管10が接続される複数の接続部46と内部で各接続部46に連通している円錐状部材24とが取付けられている。従って、各接続部46を可撓性材料で作られた気体供給管10によって、静止部に設けられた気体供給装置(図示せず)に接続することにより、気体供給装置によって供給される気体を各円錐状部材24に導くことができる。
【0036】
フラスコ用栓1を取付けたフラスコFを振盪台32に載置した後(図4)、気体供給部38の高さを調整して、図2に示すように円錐状部材24をフラスコ用栓1の本体部2の頂部に被せて、気体供給装置からの気体がフラスコF内に導かれるようにする。
このような状態で振盪機構を作動させて振盪培養を行なうことにより、フラスコF内では、組成が常に一定の気体の下で培養が行なわれる。
【0037】
次に、本発明の第2実施形態のフラスコ用栓の構成を説明する。図5は、第2実施形態のフラスコ用栓48の図2と同様の断面図である。
フラスコ用栓48は、基本的な構成は、第1実施態様のフラスコ用栓1と同一である。フラスコ用栓1との相違点は、気体供給管10の下流端に、円錐状部材に代えて円筒状部材50が取付けられ、接続空間52が円柱状となっている点である。
さらに、図6に示されているフラスコ用栓54のように、気体供給管10の下流端に取付けられた円筒状部材56の内部に下方に向かって先細りする環状の仕切り板58を取付け、接続空間60を截頭円錐状としてもよい。
【0038】
次に、本発明の第3実施形態のフラスコ用栓の構成を説明する。図7は、第3実施形態のフラスコ用栓62の図2と同様の断面図である。
フラスコ用栓62も、基本的な構成は、第1実施態様のフラスコ用栓1と同一である。フラスコ用栓1との相違点は、吸気フィルタ64の取付け位置が、円錐状部分66の上端ではなく円錐状部分66内の下方位置とされ、円錐状部分66内の吸気フィルタ64の上側に位置する内部空間によって接続空間68が構成される点である。
【0039】
これら第2、第3の実施形態のフラスコ用栓48、54、62も第1実施態様のフラスコ用栓1と同様に振盪装置に載置して使用することができる。
【0040】
次に、本発明の第4実施形態のフラスコ用栓70の構成を説明する。図8は、第4実施形態のフラスコ用栓70の図2と同様の断面図である。
フラスコ用栓70も、基本的な構成は、第1実施態様のフラスコ用栓1と同一である。フラスコ用栓1との相違点は、本体部72の頂面の外縁部に、頂面の中央に向かって傾斜する傾斜面74aを備えた環状の立ち上がり部74が形成され、使用時には、この傾斜面に、気体供給装置(図示せず)に接続されたポート76の先端が係合され、ポート76から本体部72の吸気フィルタ78に気体供給装置から気体が供給される点である。
【0041】
図9は、第4実施形態のフラスコ用栓70の他の使用例を示す、図2と同様の断面図である。この使用例では、ポート80の先端に、フラスコ用栓70の本体部72の上方部分の外側を覆う円筒壁82が形成されている。
【0042】
図9に示されているように、円筒壁82は、ポート80がフラスコ用栓70の本体部72に接続されたとき、本体部72の上方から換気口84の外方を通って下方に延び、下端部82aが、換気口84の下方で、フラスコ用栓70の本体部72に接続されるように構成されている。
したがって、ポート80がフラスコ用栓70の本体部72に接続されると、本体部72の換気口84の外方に、換気口84に連通した閉鎖空間86が形成されることになる。さらに、円筒壁82には、開口88が形成されている。
【0043】
この使用例では、図9に示されているように、吸引装置(図示せず)に接続された吸引パイプ90を開口88に連結することにより、換気口84を通して、フラスコF内の気体を吸引装置で強制排気しながら使用される。
【0044】
次に、本発明の第5実施形態のフラスコ用栓100の構成を説明する。図10は、第5実施形態のフラスコ用栓100がフラスコFの開口端に取付けられた状態を示す、図2と同様の断面図である。
フラスコ用栓100は、基本的な構成は、第1実施態様のフラスコ用栓1と同一である。フラスコ用栓1との相違点は、本体部102の下端部がフラスコFの開口端Eより小径に形成されフラスコFの開口端Eの内周面に係合する点と、排気フィルタ104が換気口106に取付けられている点、および本体部102の頂面の外縁部に環状のスポンジリング108が取付けられている点である。
【0045】
フラスコ用栓100は、使用時には、図10に示されているように、フラスコFの開口端Eに取付けられ、気体供給装置(図示せず)に接続されたポート112の下端の環状部材114がスポンジリング108に当接されることによって、気体供給装置からの気体を矢印で示すように漏斗状の気体導入部を通してフラスコF内に導入すると共に、換気口106を通して、フラスコF内の空気をフラスコF外に排出できるように構成されている。
【0046】
次に、フラスコ用栓100が取付けられたフラスコFを振盪する振盪装置116について説明する。
【0047】
この振盪装置116は、図4の振盪装置30と同様の振盪機構を備えている。図4の振盪装置30との相違点は、フラスコ用栓100に気体を供給する複数のポート112を固定、および上下動させる機構(即ち、載置台の上方に配置される気体供給部118)の構成である。以下、この相違点について説明する。
図11は、上方位置に配置された気体供給部の正面図であり、図12は、下方位置に配置された気体供給部の正面図である。
【0048】
気体供給部118は、振盪台(図示せず)に載置された複数本のフラスコFの各々に、各ポート112を介して培養用の気体を供給するための機構であり、振盪台へのフラスコFの載置を容易にするために上下動するように構成されている。
【0049】
気体供給部118は、下端が振盪台に接続され、上下方向の延びる一対の支柱120(1本のみを図示)と、振盪台と平行に水平方向に延びるポート取付板122とを備えている。
【0050】
支柱120の上部には、上下に間隔をおいて内方に向かって延びる2枚の固定板124を備えた、略コ字状のブラケット126が取付けられている。上下の固定板124は、支柱120と平行に上下方向に延びるガイドピン128を支持している。
【0051】
一方、ポート取付板122の左右両端には、ガイドピン128が挿通可能な孔が形成され、この孔に各支柱120に支持されたガイドピン128を挿通することによって、ポート取付板122が支柱120に連結されると共に、ガイドピン128に沿って上方位置と下方位置との間で上下動可能とされている。
さらに、ポート取付板122の下方のガイドピン126の周囲には、押しバネ130が取付けられ、ポート取付板122を上方に付勢して上方位置に配置させている(図11)。
【0052】
ブラケット126には、さらに、長方形状のカム132と、カム132を回転させるレバー134とが取付けられている。レバー134は、その回転軸Xが、カム132の一端に固定され、手動で矢印A方向に回転させられることにより、カム132を水平方向に延びる位置(図11)と上下方向に延びる位置(図12)との間で回転させることができるように構成されている。
【0053】
長方形状のカム132は、長辺によって構成される長辺側カム面132aと、短辺によって構成される短辺側カム面132bと、長辺側カム面132aと短辺側カム面132bとの間に配置された湾曲カム面132cとを備えている。
【0054】
カム132はポート取付板122の上側面に接触するように配置されており、水平方向に延びる位置では、長辺側カム面132aがポート取付板122に接触して、ポート取付板を上方位置(図11)に配置させ、上下方向に延びる位置では、短辺側カム面132bがポート取付板122に接触して、ポート取付板を下方位置(図12)に配置させるように構成されている。
【0055】
長辺側カム面132aがポート取付板122に接触している図11に示す状態から、レバー134を時計周り方向に回し、カム132を矢印B方向に回転させていくと、カム132は、湾曲カム面132cをポート取付板122の上側面に当接させながら、押しバネ130の付勢力に抗してポート取付板122を下方に移動させていき、最終的には、短辺側カム面132cがポート取付板122に接触する図12に示す下方位置までポート取付板122を押し下げる。
【0056】
尚、この振盪装置116では、回転軸Xを挟んでレバー134と対向する位置に、係止ピン136が形成されており、レバー134がポート取付板122を下方位置に配置させる位置まで回転させられると、係止ピン136が、支柱120に取付けられている受け部材138の受け溝140に係合し、レバー134をその位置に保持し、ポート取付板122を下方位置に維持することできるように構成されている。
【0057】
さらに、ポート取付板122には、複数のポート112が所定間隔で取付けられている。各ポート112は、振盪台に載置される複数のフラスコFの開口部に対応する位置に配置されている。ポート112は、上方の円筒状部分138と下方の環状部材114とを備え、円筒状部138の上端に供給された気体を環状部材114の下端から吹き出すように構成されている。
【0058】
各ポート112の円筒状部138の上端には、気体供給装置(図示せず)に接続された気体供給管142が接続され、各ポート112に気体供給装置からの気体が導入される。なお、各ポート112からフラスコF内に送り込まれた気体は、フラスコFの底部に達した後、フラスコFの壁面に沿って上昇し、フラスコFの開口端と漏斗状の気体導入部との間の間隙を通って、最終的には、本体部102の換気口106から排出される。
【0059】
各ポート112は、ポート取付板122が上方位置に配置されたとき、取付けられているポート122の下端の環状部分114が振盪台に載置されたフラスコFの開口端に取付けられたフラスコ用栓100の上端より上方に位置して(図11)振盪台へのフラスコの配置を可能とするよう配置されている。
さらに、各ポート112は、ポート取付板122が下方位置に配置されたとき、取付けられているポート122の下端の環状部材114の下面が、振盪台に載置された各フラスコFの開口端に取付けられたフラスコ用栓100の頂面のスポンジリング108に当接し(図12)、ポート122から供給される気体が、周囲に漏れることなく、スポンジリング108で囲まれたフラスコ用栓100の頂面の領域から図10に矢印で示すようにフラスコF内に送り込まれるようにポート取付板122に固定されている。
【0060】
ポート取付板122、ポート112、気体供給管142等は、支柱120を介して振盪台に固定されているので、振動台と一体的に振盪される。この振盪装置116では、静止部分に取付けられている気体供給装置と、振盪される気体供給管142とを、可撓性のホース等を介して接続することによって、静止している気体供給装置から振盪される気体供給管への気体の供給を可能にしている。
【0061】
このような構成を有する振盪装置116では、ポート取付板122を上方位置に配置した状態で、開口Eにフラスコ用栓100が取付けられた複数のフラスコFを振盪台の所定位置に配置し、次いで、レバー134を回転させて、ポート取付板122およびこれに取付けられている複数のポート112を同時に下方位置に降下させて、各ポート112を載置台上の各フラスコFの開口端に取付けられたフラスコ用栓100の頂面に接続する。
この状態で、気体供給装置および振盪機構を作動させ、気体供給装置からフラスコF内に気体を導入し且つフラスコF内の気体を換気口106を通して排出する強制換気を行いながら、振盪培養が行われることになる。
培養終了後には、レバー134を反時計回り方向に操作して、ポート取付板122を上方位置に移動させて、振盪台からフラスコFを取り外す。
【0062】
発明は上述した実施形態に限定されるものではなくて、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
上記各実施形態のフラスコ用栓は、排気フィルタを備えているが、排気フィルタを備えないものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1実施態様のフラスコ用栓の斜視図である。
【図2】図1のII-II線に沿った断面図である。
【図3】第1実施形態のフラスコ用栓の使用例を示す図面である。
【図4】第1本実施態様のフラスコ用栓の他の使用例を示す図面である。
【図5】第2実施形態のフラスコ用栓の図2と同様の断面図である。
【図6】図5のフラスコ用栓の変形例の図2と同様の断面図である。
【図7】第3実施形態のフラスコ用栓の図2と同様の断面図である。
【図8】第4実施形態のフラスコ用栓の図2と同様の断面図である。
【図9】第4実施形態のフラスコ用栓の他の使用例を示す図2と同様の断面図である。
【図10】第5実施形態のフラスコ用栓がフラスコの開口端に取付けられた状態を示す、図2と同様の断面図である。
【図11】図11は、図10のフラスコ用栓が取付けられたフラスコを振盪させる振盪装置の上方位置に配置された気体供給部の正面図である。
【図12】図10のフラスコ用栓が取付けられたフラスコを振盪させる振盪装置の下方位置に配置された気体供給部の正面図である。
【符号の説明】
【0064】
F:フラスコ
E:開口端(入口端)
1:フラスコ用栓
2:本体部
4:気体導入部
6:円錐状部分
8:管状部分
10:気体供給管
12:隙間
14:フランジ部
18:換気口
20:内部空間
24:円錐状部材
28:排気フィルタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラスコ用栓等に関し、より詳細には、フラスコ内の高い換気効果を実現にするフラスコ用栓に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物等の培養などにおいては、微生物等を含む培養物を収容したフラスコを、振盪させながら培養を行う振盪培養が一般的に行われている。このような振盪培養では、所謂三角フラスコ(エルレンマイヤーフラスコ)、丸底フラスコなどのフラスコに培養物を収容し、このフラスコの入口を綿栓で閉鎖した状態で、フラスコを振盪装置で振盪させて微生物等を培養している。
【0003】
従来は、綿栓が十分な通気性を有しており、上述したようにフラスコの入口を綿栓で閉鎖した状態でも、振盪培養中、好気条件が維持されていると考えられていた。すなわち、培養物中、微生物等の増殖によりフラスコ内の酸素が消費されても、綿栓を介してガス交換が行われフラスコ外から酸素が供給される結果、フラスコ内の気体には常に外気と同程度の酸素が含まれていると考えられていた。
【0004】
しかしながら、本件発明者が、綿栓で入口を閉鎖したフラスコの換気性について実験を行ったところ、綿栓で入口を閉鎖したフラスコが十分な換気性を有していないことを見いだした。すなわち、従来は、振盪培養中であっても好気条件であると考えられてきたフラスコ内が、培養対象物の増殖等によって発生する二酸化炭素等によって嫌気条件になっており、この結果、実験者が想定していた条件とは全く異なった条件(嫌気性条件)下での振盪培養が行われていたということが判明した。この傾向は、振盪培養が長期にわたるほど顕著となる。このため、異物の侵入を防止しつつ、効率の良い換気を行うことができる振盪培養用フラスコに対する要望があった。
【0005】
このような要望に対して、筒状首部の側壁に開口部を形成することによって、フラスコ内の換気効率を向上させようとしている振盪培養用フラスコが提案されている(特許文献1参照)。さらに、フラスコ用栓の側壁に複数の開口部を形成することにより、このフラスコ用栓が取付けられたフラスコ内の換気効率を向上させようとしているフラスコ用栓が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2002-330750号公報
【特許文献2】特開2003-125753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような先行技術のフラスコあるいはフラスコ用栓は、綿栓を施した通常のフラスコよりは換気効率が向上するが、更に高い換気効率が求められている。
本発明はこのような要請に対してなされたものであり、フラスコ内をより高い効率で換気することができるフラスコ用栓等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、フラスコの開口端に取付けられるフラスコ用栓であって、前記フラスコの開口端に接続される略円筒状の本体部と、前記本体部内に配置され、上側の円錐状部分と下側の管状部分とを有する漏斗状の気体導入部であって、前記円錐状部分に気体供給管から気体が供給される気体導入部とを備え、該気体導入部は、前記フラスコ用栓が前記フラスコの開口端に接続されたとき、前記開口端との間に隙間が形成され且つ前記管状部分が前記フラスコ内に延びるように、前記本体部に対して配置され、前記本体部には前記隙間を前記フラスコ用栓の外部と連通させる通路が形成されている、ことを特徴とするフラスコ用栓が提供される。
【0009】
このような構成を有する本発明のフラスコは、培養等に用いられるフラスコの入口を塞ぎ異物の侵入を防止する機能に加えて、気体供給装置から送られてくる気体をフラスコ内に効率良く循環させ、フラスコ内の換気効率を向上させる機能も備えている。
すなわち、本発明のフラスコ用栓がフラスコの開口端(入口端)に取付けられると、気体供給管から送り出された加湿気体等の気体が気体導入部の円錐状部分さらに管状部分を通って、フラスコ内に強制的に送り込まれる。一方、気体導入部とフラスコの開口端との間に形成された間隙からは、フラスコ内の気体が流れ出し、本体部内の通路を通ってフラスコ用栓の外部すなわちフラスコ外に排気される。
【0010】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記気体導入部の円錐状部分に、前記気体供給管から供給された気体を濾過する吸気フィルタが取付けられている。
このような構成によれば、気体供給管からフラスコ内に送り込まれる気体が吸気フィルタによって濾過されるので、気体供給管から送り込まれる気体に混入した異物がフラスコ内に進入することが防止される。
【0011】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記吸気フィルタが、前記円錐状部分の上端部に取付けられている。
【0012】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記隙間を覆う排気フィルタが設けられている。
このような構成によれば、フラスコ内の内容物がフラスコ外に飛び出すことが防止される。
【0013】
本発明の他の態様によれば、複数のフラスコを用いて振盪装置であって、培養用気体をフラスコ内部に導入するための漏斗状の気体導入部を有するフラスコ用栓が開口端に取付けられた複数のフラスコを載置する振盪台と、前記各フラスコに取付けられたフラスコ用栓の気体導入部の各々に培養用気体を供給する複数のポートを有し、カム機構によって上方位置と下方位置との間で上下動する気体供給部と、を備え、該気体供給部は、前記上方位置にあるとき、前記各ポートの下端が前記振盪台に載置されたフラスコの開口端に取付けられた前記フラスコ用栓の上端より上方に位置して前記振盪台へのフラスコの配置を可能とし、また前記下方位置にあるとき前記各ポートの下端が前記フラスコの開口端に取付けられたフラスコ用栓の前記気体導入部の頂部に接続され前記ポートを通して前記フラスコ内に培養用気体を導入できるように構成されていることを特徴とする振盪培養装置が提供される。
【0014】
本発明の他の態様によれば、開口端に取付けられ気体導入部と換気口を備えたフラスコ用栓が取付けられたフラスコを用いた振盪培養方法であって、前記気体導入部を通して前記フラスコ内に培養用の気体を導入し且つ前記換気口からフラスコ内の空気を排出して強制換気を行いつつ振盪培養を行うことを特徴とする振盪培養方法が提供される。
【0015】
このような構成によれば、培養用の気体をフラスコ内導入し且つフラスコ内の空気を排出する強制換気を行いつつ培養が行われるので、培養中に、フラスコ内の空気の特定成分、例えば酸素が消費される場合であっても、フラスコ内の気体の組成を常に一定に維持しながら培養を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のような構成を有する本発明によれば、フラスコ内をより高い効率で換気することができるフラスコ用栓等が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明のフラスコ用栓の好ましい実施形態について詳細に説明する。まず、図1および図2に沿って、第1実施形態のフラスコ用栓1の構成を説明する。図1はフラスコ用栓1の斜視図であり、図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
【0018】
図1及び図2に示されているように、フラスコ用栓1は、所謂三角フラスコ(エルレンマイヤーフラスコ)等のフラスコFの開口端(入口端)Eに取付けられる栓である。なお、本発明のフラスコ用栓は、他の形状のフラスコにも適用可能である。
フラスコ用栓1は、フラスコFの開口端Eに接続される中空で略円筒状の本体部2と、本体部内2に配置される気体導入部4とを備えている。気体導入部4は、上側の上方に向かって拡がる円錐状部分6と下側の管状部分8とを有する漏斗状を備え、円錐状部分6の上端に、気体供給装置(図示せず)に接続された気体供給管10から気体が供給される。
【0019】
本体部2は軟質の合成樹脂で形成されるのが好ましく、気体導入部4は合成樹脂で形成されるのが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0020】
気体導入部4は、フラスコ用栓1がフラスコFの開口端Eに取付けられたとき、円錐状部分6の下端部がフラスコFの開口端Eの中央部に配置され、さらに、開口端Eと円錐状部分6との間に環状の隙間12が形成されるように、本体部2に取付けられている。この結果、フラスコFにフラスコ用栓1が取付けられると、フラスコ用栓1の管状部分8が、フラスコF内に延びることになる。
【0021】
本体部2は、フラスコFの開口端Eの外径より大きな直径を有し、本体部2の下端には、内方に向かって延びる環状のフランジ部14が設けられている。フランジ部14の中央に形成された円形開口16の直径は、フラスコ用栓1が取付けられるフラスコFの入口部の外径より小さく設定されている。
このような構成により、本体部2をフラスコFの入口に被せてフラスコ用栓1をフラスコFの開口端Eに取付けると、フランジ部14の内方端がフラスコFの入口部の外周面に当接することになる。
【0022】
本体部2の側壁の上部には、側壁を貫通する一対の換気口18、18が形成されている。各換気口18、18は、矩形形状を有し、本体部2の側壁の径方向に対向した位置に形成されている。
フラスコ用栓1がフラスコFの開口端Eに取付けられると、この換気口18によって、フラスコFの開口端Eと気体導入部4の円錐状部分6の間の隙間12をフラスコ栓1の外部に連通させる通路が形成され、この通路を介して、フラスコFの内部空間がフラスコ外の空間と連通することになる。即ち、この通路を介して、フラスコF内の気体を排気することができる。
【0023】
また、気体導入部4に円錐状部分6の上端には、円形の吸気フィルタ22が取付けられている。この吸気フィルタ22によって、気体供給管10から供給された気体が濾過される。
【0024】
更に、本実施態様では、使用時に、気体供給管10の下流端に下方に向かって拡がる中空の円錐状部材24が接続される。この円錐状部材24の下端部の直径は、本体部2の上端の直径より小さく且つ吸気フィルタ22の直径より大きく設定され、図2に示されているように、円錐状部材24は、吸気フィルタ22を覆うようにフィルタ用栓1に接続される。このとき、吸気フィルタ22と気体供給管10との間に、円錐状部材24の内部空間(接続空間)26が配置される。
【0025】
さらに、フラスコ用栓1がフラスコFに取付けられたときに、開口端Eと円錐状部分6の間に形成される環状の隙間12を覆う環状の排気フィルタ28が、本体部2内に設けられている。
【0026】
図3は、本実施態様のフラスコ用栓1の使用例を示す図面である。この使用例では、下流端に設けられた円錐状部材24をフラスコFの開口端Eに取付けたフラスコ用栓1の本体部2に被せ、上流端が気体供給装置(図示せず)に接続された気体供給管10からフラスコF内に気体を送り込みながらフラスコF内で微生物等の培養を行う使用例である。なお、気体供給装置は、培養に適した温度および湿度に調整された培養用気体を供給する公知の装置である。培養用の気体としては、適度に加湿加温された外気が使用される。このような培養用の気体を使用した場合には、外気と同じ酸素濃度の空気がフラスコ内に供給されるので、培養中、フラスコ内の酸素濃度は外気と同程度に維持される。
【0027】
フラスコ用栓1は、本体部2の下端に設けられた環状のフランジ部14の内縁部分がフラスコFの入口部の外周面に当接するようにしてフラスコFの開口端Eに取付けられている(図2、図3)。このとき、排気フィルタ28は、気体導入部4の円錐状部6とフラスコFの開口端Eの間に形成された隙間12を覆うことになる。
【0028】
気体供給装置から気体供給管10を通して供給された気体は、図3に実線の矢印で示すように、気体供給管10の下流端に設けられた円錐状部材24内の接続空間26を通った後、吸気フィルタ22で濾過され、気体導入部4の円錐状部6および管状部分8を通り、フラスコFの径方向中央に流れ込む。
【0029】
フラスコF内に流れ込んだ気体は、フラスコFの底に達し、次いで径方向外方に向かって流れ、点線の矢印で示すように、フラスコFの側壁にぶつかって側壁に沿って上方に流れる。さらに、隙間12に取付けられた排気フィルタ28で濾過され、本体部2の内部空間20に流れ込み、換気口18を通って外部に放出される。
【0030】
このようにフラスコ用栓1は、培養等に用いられるフラスコの入口を塞ぎ異物の侵入を防止する機能に加えて、気体供給装置から送られてくる気体を濾過してフラスコ内に効率良く循環させ、フラスコ内の換気効率を向上させる機能も備えている。
【0031】
図4は、本実施態様のフラスコ用栓1を被せたフラスコFを振盪する振盪装置30の振盪台32に載置した状態を示す図面である。この振盪装置では、円錐状部材24を含む気体供給管の下流側部分が、振盪台32に連結され、振盪台32とともに振盪するように構成されている。
【0032】
振盪装置30は、フラスコ等が載置される振盪台32を水平面内で振盪、すなわち振動させる振盪機構34を備えている。振盪機構34は、モータMの回転を、無端ベルト等を含む伝達機構(図示せず)を介して、駆動軸36に伝えて、振盪台32を小刻みに円運動させるように構成されている。
【0033】
振盪台32は、複数本のフラスコFを載置可能に構成されている。振盪台32の上方には、気体供給部38が設けられている。図4に示されているように、気体供給部38は、振盪台32に載置されるフラスコFの上方に振盪台32と平行に配置された部材である。
【0034】
振盪台32と気体供給部38とは、上下方向の延びる支柱40、40によって連結され、振盪機構34によって一体的に振盪されるように構成されている。詳細には、振盪台32が支柱40の下端に固定され、気体供給部38が支柱40の上側部分に設けられたスロット42を貫通して延びるねじ44によって支柱40に固定されている。ねじ44を緩めると、ねじ44がスロット42に沿って上下動可能となる。したがって、ねじ44をスロット42内で上下動させることにより、気体供給部38の高さを、載置するフラスコFの高さに合わせて変更可能となっている。
【0035】
気体供給部38には、気体供給管10が接続される複数の接続部46と内部で各接続部46に連通している円錐状部材24とが取付けられている。従って、各接続部46を可撓性材料で作られた気体供給管10によって、静止部に設けられた気体供給装置(図示せず)に接続することにより、気体供給装置によって供給される気体を各円錐状部材24に導くことができる。
【0036】
フラスコ用栓1を取付けたフラスコFを振盪台32に載置した後(図4)、気体供給部38の高さを調整して、図2に示すように円錐状部材24をフラスコ用栓1の本体部2の頂部に被せて、気体供給装置からの気体がフラスコF内に導かれるようにする。
このような状態で振盪機構を作動させて振盪培養を行なうことにより、フラスコF内では、組成が常に一定の気体の下で培養が行なわれる。
【0037】
次に、本発明の第2実施形態のフラスコ用栓の構成を説明する。図5は、第2実施形態のフラスコ用栓48の図2と同様の断面図である。
フラスコ用栓48は、基本的な構成は、第1実施態様のフラスコ用栓1と同一である。フラスコ用栓1との相違点は、気体供給管10の下流端に、円錐状部材に代えて円筒状部材50が取付けられ、接続空間52が円柱状となっている点である。
さらに、図6に示されているフラスコ用栓54のように、気体供給管10の下流端に取付けられた円筒状部材56の内部に下方に向かって先細りする環状の仕切り板58を取付け、接続空間60を截頭円錐状としてもよい。
【0038】
次に、本発明の第3実施形態のフラスコ用栓の構成を説明する。図7は、第3実施形態のフラスコ用栓62の図2と同様の断面図である。
フラスコ用栓62も、基本的な構成は、第1実施態様のフラスコ用栓1と同一である。フラスコ用栓1との相違点は、吸気フィルタ64の取付け位置が、円錐状部分66の上端ではなく円錐状部分66内の下方位置とされ、円錐状部分66内の吸気フィルタ64の上側に位置する内部空間によって接続空間68が構成される点である。
【0039】
これら第2、第3の実施形態のフラスコ用栓48、54、62も第1実施態様のフラスコ用栓1と同様に振盪装置に載置して使用することができる。
【0040】
次に、本発明の第4実施形態のフラスコ用栓70の構成を説明する。図8は、第4実施形態のフラスコ用栓70の図2と同様の断面図である。
フラスコ用栓70も、基本的な構成は、第1実施態様のフラスコ用栓1と同一である。フラスコ用栓1との相違点は、本体部72の頂面の外縁部に、頂面の中央に向かって傾斜する傾斜面74aを備えた環状の立ち上がり部74が形成され、使用時には、この傾斜面に、気体供給装置(図示せず)に接続されたポート76の先端が係合され、ポート76から本体部72の吸気フィルタ78に気体供給装置から気体が供給される点である。
【0041】
図9は、第4実施形態のフラスコ用栓70の他の使用例を示す、図2と同様の断面図である。この使用例では、ポート80の先端に、フラスコ用栓70の本体部72の上方部分の外側を覆う円筒壁82が形成されている。
【0042】
図9に示されているように、円筒壁82は、ポート80がフラスコ用栓70の本体部72に接続されたとき、本体部72の上方から換気口84の外方を通って下方に延び、下端部82aが、換気口84の下方で、フラスコ用栓70の本体部72に接続されるように構成されている。
したがって、ポート80がフラスコ用栓70の本体部72に接続されると、本体部72の換気口84の外方に、換気口84に連通した閉鎖空間86が形成されることになる。さらに、円筒壁82には、開口88が形成されている。
【0043】
この使用例では、図9に示されているように、吸引装置(図示せず)に接続された吸引パイプ90を開口88に連結することにより、換気口84を通して、フラスコF内の気体を吸引装置で強制排気しながら使用される。
【0044】
次に、本発明の第5実施形態のフラスコ用栓100の構成を説明する。図10は、第5実施形態のフラスコ用栓100がフラスコFの開口端に取付けられた状態を示す、図2と同様の断面図である。
フラスコ用栓100は、基本的な構成は、第1実施態様のフラスコ用栓1と同一である。フラスコ用栓1との相違点は、本体部102の下端部がフラスコFの開口端Eより小径に形成されフラスコFの開口端Eの内周面に係合する点と、排気フィルタ104が換気口106に取付けられている点、および本体部102の頂面の外縁部に環状のスポンジリング108が取付けられている点である。
【0045】
フラスコ用栓100は、使用時には、図10に示されているように、フラスコFの開口端Eに取付けられ、気体供給装置(図示せず)に接続されたポート112の下端の環状部材114がスポンジリング108に当接されることによって、気体供給装置からの気体を矢印で示すように漏斗状の気体導入部を通してフラスコF内に導入すると共に、換気口106を通して、フラスコF内の空気をフラスコF外に排出できるように構成されている。
【0046】
次に、フラスコ用栓100が取付けられたフラスコFを振盪する振盪装置116について説明する。
【0047】
この振盪装置116は、図4の振盪装置30と同様の振盪機構を備えている。図4の振盪装置30との相違点は、フラスコ用栓100に気体を供給する複数のポート112を固定、および上下動させる機構(即ち、載置台の上方に配置される気体供給部118)の構成である。以下、この相違点について説明する。
図11は、上方位置に配置された気体供給部の正面図であり、図12は、下方位置に配置された気体供給部の正面図である。
【0048】
気体供給部118は、振盪台(図示せず)に載置された複数本のフラスコFの各々に、各ポート112を介して培養用の気体を供給するための機構であり、振盪台へのフラスコFの載置を容易にするために上下動するように構成されている。
【0049】
気体供給部118は、下端が振盪台に接続され、上下方向の延びる一対の支柱120(1本のみを図示)と、振盪台と平行に水平方向に延びるポート取付板122とを備えている。
【0050】
支柱120の上部には、上下に間隔をおいて内方に向かって延びる2枚の固定板124を備えた、略コ字状のブラケット126が取付けられている。上下の固定板124は、支柱120と平行に上下方向に延びるガイドピン128を支持している。
【0051】
一方、ポート取付板122の左右両端には、ガイドピン128が挿通可能な孔が形成され、この孔に各支柱120に支持されたガイドピン128を挿通することによって、ポート取付板122が支柱120に連結されると共に、ガイドピン128に沿って上方位置と下方位置との間で上下動可能とされている。
さらに、ポート取付板122の下方のガイドピン126の周囲には、押しバネ130が取付けられ、ポート取付板122を上方に付勢して上方位置に配置させている(図11)。
【0052】
ブラケット126には、さらに、長方形状のカム132と、カム132を回転させるレバー134とが取付けられている。レバー134は、その回転軸Xが、カム132の一端に固定され、手動で矢印A方向に回転させられることにより、カム132を水平方向に延びる位置(図11)と上下方向に延びる位置(図12)との間で回転させることができるように構成されている。
【0053】
長方形状のカム132は、長辺によって構成される長辺側カム面132aと、短辺によって構成される短辺側カム面132bと、長辺側カム面132aと短辺側カム面132bとの間に配置された湾曲カム面132cとを備えている。
【0054】
カム132はポート取付板122の上側面に接触するように配置されており、水平方向に延びる位置では、長辺側カム面132aがポート取付板122に接触して、ポート取付板を上方位置(図11)に配置させ、上下方向に延びる位置では、短辺側カム面132bがポート取付板122に接触して、ポート取付板を下方位置(図12)に配置させるように構成されている。
【0055】
長辺側カム面132aがポート取付板122に接触している図11に示す状態から、レバー134を時計周り方向に回し、カム132を矢印B方向に回転させていくと、カム132は、湾曲カム面132cをポート取付板122の上側面に当接させながら、押しバネ130の付勢力に抗してポート取付板122を下方に移動させていき、最終的には、短辺側カム面132cがポート取付板122に接触する図12に示す下方位置までポート取付板122を押し下げる。
【0056】
尚、この振盪装置116では、回転軸Xを挟んでレバー134と対向する位置に、係止ピン136が形成されており、レバー134がポート取付板122を下方位置に配置させる位置まで回転させられると、係止ピン136が、支柱120に取付けられている受け部材138の受け溝140に係合し、レバー134をその位置に保持し、ポート取付板122を下方位置に維持することできるように構成されている。
【0057】
さらに、ポート取付板122には、複数のポート112が所定間隔で取付けられている。各ポート112は、振盪台に載置される複数のフラスコFの開口部に対応する位置に配置されている。ポート112は、上方の円筒状部分138と下方の環状部材114とを備え、円筒状部138の上端に供給された気体を環状部材114の下端から吹き出すように構成されている。
【0058】
各ポート112の円筒状部138の上端には、気体供給装置(図示せず)に接続された気体供給管142が接続され、各ポート112に気体供給装置からの気体が導入される。なお、各ポート112からフラスコF内に送り込まれた気体は、フラスコFの底部に達した後、フラスコFの壁面に沿って上昇し、フラスコFの開口端と漏斗状の気体導入部との間の間隙を通って、最終的には、本体部102の換気口106から排出される。
【0059】
各ポート112は、ポート取付板122が上方位置に配置されたとき、取付けられているポート122の下端の環状部分114が振盪台に載置されたフラスコFの開口端に取付けられたフラスコ用栓100の上端より上方に位置して(図11)振盪台へのフラスコの配置を可能とするよう配置されている。
さらに、各ポート112は、ポート取付板122が下方位置に配置されたとき、取付けられているポート122の下端の環状部材114の下面が、振盪台に載置された各フラスコFの開口端に取付けられたフラスコ用栓100の頂面のスポンジリング108に当接し(図12)、ポート122から供給される気体が、周囲に漏れることなく、スポンジリング108で囲まれたフラスコ用栓100の頂面の領域から図10に矢印で示すようにフラスコF内に送り込まれるようにポート取付板122に固定されている。
【0060】
ポート取付板122、ポート112、気体供給管142等は、支柱120を介して振盪台に固定されているので、振動台と一体的に振盪される。この振盪装置116では、静止部分に取付けられている気体供給装置と、振盪される気体供給管142とを、可撓性のホース等を介して接続することによって、静止している気体供給装置から振盪される気体供給管への気体の供給を可能にしている。
【0061】
このような構成を有する振盪装置116では、ポート取付板122を上方位置に配置した状態で、開口Eにフラスコ用栓100が取付けられた複数のフラスコFを振盪台の所定位置に配置し、次いで、レバー134を回転させて、ポート取付板122およびこれに取付けられている複数のポート112を同時に下方位置に降下させて、各ポート112を載置台上の各フラスコFの開口端に取付けられたフラスコ用栓100の頂面に接続する。
この状態で、気体供給装置および振盪機構を作動させ、気体供給装置からフラスコF内に気体を導入し且つフラスコF内の気体を換気口106を通して排出する強制換気を行いながら、振盪培養が行われることになる。
培養終了後には、レバー134を反時計回り方向に操作して、ポート取付板122を上方位置に移動させて、振盪台からフラスコFを取り外す。
【0062】
発明は上述した実施形態に限定されるものではなくて、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
上記各実施形態のフラスコ用栓は、排気フィルタを備えているが、排気フィルタを備えないものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1実施態様のフラスコ用栓の斜視図である。
【図2】図1のII-II線に沿った断面図である。
【図3】第1実施形態のフラスコ用栓の使用例を示す図面である。
【図4】第1本実施態様のフラスコ用栓の他の使用例を示す図面である。
【図5】第2実施形態のフラスコ用栓の図2と同様の断面図である。
【図6】図5のフラスコ用栓の変形例の図2と同様の断面図である。
【図7】第3実施形態のフラスコ用栓の図2と同様の断面図である。
【図8】第4実施形態のフラスコ用栓の図2と同様の断面図である。
【図9】第4実施形態のフラスコ用栓の他の使用例を示す図2と同様の断面図である。
【図10】第5実施形態のフラスコ用栓がフラスコの開口端に取付けられた状態を示す、図2と同様の断面図である。
【図11】図11は、図10のフラスコ用栓が取付けられたフラスコを振盪させる振盪装置の上方位置に配置された気体供給部の正面図である。
【図12】図10のフラスコ用栓が取付けられたフラスコを振盪させる振盪装置の下方位置に配置された気体供給部の正面図である。
【符号の説明】
【0064】
F:フラスコ
E:開口端(入口端)
1:フラスコ用栓
2:本体部
4:気体導入部
6:円錐状部分
8:管状部分
10:気体供給管
12:隙間
14:フランジ部
18:換気口
20:内部空間
24:円錐状部材
28:排気フィルタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラスコの開口端に取付けられるフラスコ用栓であって、
前記フラスコの開口端に接続される略円筒状の本体部と、
前記本体部内に配置され、上側の円錐状部分と下側の管状部分とを有する漏斗状の気体導入部であって、前記円錐状部分に気体供給管から気体が供給される気体導入部とを備え、
該気体導入部は、前記フラスコ用栓が前記フラスコの開口端に接続されたとき、前記開口端との間に隙間が形成され且つ前記管状部分が前記フラスコ内に延びるように、前記本体部に対して配置され、
前記本体部には、前記隙間を前記フラスコ用栓の外部と連通させる通路が形成されている、
ことを特徴とするフラスコ用栓。
【請求項2】
前記気体導入部の円錐状部分に、前記気体供給管から供給された気体を濾過する吸気フィルタが取付けられている、
請求項1に記載のフラスコ用栓。
【請求項3】
前記吸気フィルタが、前記円錐状部分の上端部に取付けられている、
請求項1または2のいずれか1項に記載のフラスコ用栓。
【請求項4】
前記隙間を覆う、排気フィルタが設けられている、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のフラスコ用栓。
【請求項5】
前記気体導入部の頂面にリング部材が取付けられている、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフラスコ用栓。
【請求項6】
複数のフラスコを用いて振盪装置であって、
培養用気体をフラスコ内部に導入するための漏斗状の気体導入部を有するフラスコ用栓が開口端に取付けられた複数のフラスコを載置する振盪台と、
前記各フラスコに取付けられたフラスコ用栓の気体導入部の各々に培養用気体を供給する複数のポートを有し、カム機構によって上方位置と下方位置との間で上下動する気体供給部と、を備え、
該気体供給部は、前記上方位置にあるとき、前記各ポートの下端が前記振盪台に載置されたフラスコの開口端に取付けられた前記フラスコ用栓の上端より上方に位置して前記振盪台へのフラスコの配置を可能とし、また前記下方位置にあるとき前記各ポートの下端が前記フラスコの開口端に取付けられたフラスコ用栓の前記気体導入部の頂部に接続され前記ポートを通して前記フラスコ内に培養用気体を導入できるように構成されている、
ことを特徴とする振盪培養装置。
【請求項7】
開口端に取付けられ気体導入部と換気口を備えたフラスコ用栓が取付けられたフラスコを用いた振盪培養方法であって、
前記気体導入部を通して前記フラスコ内に培養用の気体を導入し且つ前記換気口からフラスコ内の空気を排出して強制換気を行いつつ振盪培養を行う、
ことを特徴とする振盪培養方法。
【請求項1】
フラスコの開口端に取付けられるフラスコ用栓であって、
前記フラスコの開口端に接続される略円筒状の本体部と、
前記本体部内に配置され、上側の円錐状部分と下側の管状部分とを有する漏斗状の気体導入部であって、前記円錐状部分に気体供給管から気体が供給される気体導入部とを備え、
該気体導入部は、前記フラスコ用栓が前記フラスコの開口端に接続されたとき、前記開口端との間に隙間が形成され且つ前記管状部分が前記フラスコ内に延びるように、前記本体部に対して配置され、
前記本体部には、前記隙間を前記フラスコ用栓の外部と連通させる通路が形成されている、
ことを特徴とするフラスコ用栓。
【請求項2】
前記気体導入部の円錐状部分に、前記気体供給管から供給された気体を濾過する吸気フィルタが取付けられている、
請求項1に記載のフラスコ用栓。
【請求項3】
前記吸気フィルタが、前記円錐状部分の上端部に取付けられている、
請求項1または2のいずれか1項に記載のフラスコ用栓。
【請求項4】
前記隙間を覆う、排気フィルタが設けられている、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のフラスコ用栓。
【請求項5】
前記気体導入部の頂面にリング部材が取付けられている、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフラスコ用栓。
【請求項6】
複数のフラスコを用いて振盪装置であって、
培養用気体をフラスコ内部に導入するための漏斗状の気体導入部を有するフラスコ用栓が開口端に取付けられた複数のフラスコを載置する振盪台と、
前記各フラスコに取付けられたフラスコ用栓の気体導入部の各々に培養用気体を供給する複数のポートを有し、カム機構によって上方位置と下方位置との間で上下動する気体供給部と、を備え、
該気体供給部は、前記上方位置にあるとき、前記各ポートの下端が前記振盪台に載置されたフラスコの開口端に取付けられた前記フラスコ用栓の上端より上方に位置して前記振盪台へのフラスコの配置を可能とし、また前記下方位置にあるとき前記各ポートの下端が前記フラスコの開口端に取付けられたフラスコ用栓の前記気体導入部の頂部に接続され前記ポートを通して前記フラスコ内に培養用気体を導入できるように構成されている、
ことを特徴とする振盪培養装置。
【請求項7】
開口端に取付けられ気体導入部と換気口を備えたフラスコ用栓が取付けられたフラスコを用いた振盪培養方法であって、
前記気体導入部を通して前記フラスコ内に培養用の気体を導入し且つ前記換気口からフラスコ内の空気を排出して強制換気を行いつつ振盪培養を行う、
ことを特徴とする振盪培養方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−11757(P2008−11757A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185316(P2006−185316)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(501188535)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(501188535)
【Fターム(参考)】
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