説明

フラットパネルディスプレイディバイスの欠陥画素リペア装置及びその欠陥画素リペア方法

【課題】輝点欠陥画素、滅点欠陥画素のリペア加工とそのリペア加工の成否の確認が1台の装置で行うことができるフラットパネルディスプレイディバイスの欠陥画素リペア装置及びその欠陥画素リペア方法を得る。
【解決手段】点灯用駆動回路17と、順バイアスに電圧が印加されたパネルFの画像表示面から欠陥画素を検出する欠陥画素検出用カメラ10と、逆バイアス電圧を印加する逆バイアス回路18と、その状態のパネルFの滅点欠陥画素Ffから出射する微弱光の赤外線を2次元座標で特定するための微弱光画素検出用カメラ20と、微弱光のエネルギ強度を予め登録されている良品のパネルの基準値と比較してリーク箇所36であるか否かを判別する画素処理ユニット11と、パネルFを載置して、全画素領域の検出と欠陥画素位置へ移動させられる可動ステージ19と、欠陥画素に対してレーザ光を照射するためのリペア用レーザ光源15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造されたフラットパネルディスプレイディバイスに輝点欠陥画素や滅点欠陥画素などの欠陥画素があるか否か、そして欠陥画素があればリペアし、基準内の輝度で画像表示を行えるフラットパネルディスプレイディバイスにリペアされているか否かを検査できるフラットパネルディスプレイディバイスの欠陥画素リペア装置及びその欠陥画素リペア方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
EL(Electroluminesence)パネルディスプレイディバイスやFED(Field Emission Device)のようなフラットパネルディスプレイディバイスの製造においては、薄膜形成の際にピンホール、パーティクルまたはコンタミネーションなどが必然的に発生し、このような欠陥のためにTFT回路や電極間における短絡または微細な電流のリークが生じ、前者の現象が生じた場合は輝点欠陥画素(後記)となり、後者の現象が生じた場合は滅点欠陥画素(後記)になる。
【0003】
図2に製造直後のもので、リペアされるべき欠陥画素が存在するフラットパネルディスプレイディバイス(以下、「被加工フラットパネルディスプレイディバイス」と記す)Fを拡大し、そして模式的に平面図で示した。また、図2は点灯用駆動回路17(図1、説明は後記する)により順方向にバイアス電圧を印加して被加工フラットパネルディスプレイディバイスFの各画素を点灯させた状態を示していて、右上がり斜線を施した区画部分は輝点欠陥画素Fsとして、右下がり斜線を施した区画部分は滅点欠陥画素Ffとして検出された画素を指し、基準値の輝度で点灯した画素は正常な画素として符号Fnで示したものである。
【0004】
本明細書では、被加工フラットパネルディスプレイデバイスFがカラーディスプレイデバイスで赤(R)、緑(G)、青(B)の画素で形成されている場合、点灯用駆動回路17により、或る一色の画素を点灯させた場合に、TFT、電極など欠陥にによりその色の或る画素のカソード電極とアノード電極との間に常時電圧が掛かり、その輝度が基準値の輝度よりも高輝度で点灯する画素及び或る一色の画素のみを点灯させている場合に、点灯させていなくても基準値の輝度よりも高輝度で点灯する画素を「輝点欠陥画素」と呼び、点灯用駆動回路17により画素を点灯させても、前記リークなどにより基準値の輝度で点灯しない画素を「滅点欠陥画素」と呼ぶことにする。
【0005】
これらの欠陥画素は出力特性を低下させるものであることから、例えば、レーザ照射やエッチングなどにより、その欠陥箇所の一方の電極の全部或いは一部を除去することによりリペアが行われている。
【0006】
前記欠陥画素の検出は、従来、全面にわたって顕微鏡などで観察したり、或いは被加工フラットパネルディスプレイディバイスに逆バイアスの電圧を印加し、欠陥画素を発熱させ、この時の発光を肉眼で観察するなどの方法により行われている。また、発熱箇所の特定のため、微弱光を検知する、いわゆるサーモビュアを用い、逆バイアス印加時の発熱箇所を特定するなどの手法も行われている。
【0007】
このようにして欠陥画素を発見した後で、手作業によりマーキングなどを施し、次にリペア用レーザ照射装置を用いてマーキングした部分に一定の大きさ及び形状を有するレーザ光を照射してリペアを行っている。
【0008】
しかし、被加工フラットパネルディスプレイディバイスの大面積化が進むにつれて、前記のような従来の欠陥画素の発見及びリペアでは対処することができなくなってきている。即ち、被加工フラットパネルディスプレイディバイスが大面積化するに伴い、欠陥画素の発生する確率が高くなると共に、1枚の被加工フラットパネルディスプレイディバイスにおいて多数の欠陥画素が存在する。
【0009】
そのような大面積の被加工フラットパネルディスプレイディバイスにおける滅点欠陥画素のリペアに関しては、例えば、[特許文献1]に開示されている光電変換素子のリーク箇所検出リペア装置を挙げることができる。このリーク箇所検出リペア装置は、逆バイアス印加手段により逆バイアスされた光電変換素子の被測定面から出射される赤外線の2次元座標を赤外線検知手段で検知し、この2次元座標上の各赤外線のエネルギー強度を基準値と比較してリーク箇所であるか否かをリーク箇所判別手段で判別し、次に、リーク箇所であると判別された箇所の2次元座標情報を記憶手段で記憶し、この記憶手段に記憶されたリーク箇所の2次元座標に基づき、光電変換素子に対してレーザ光照射位置制御手段によりレーザ光照射位置を判定し、その部分へ前記レーザ光照射手段によりレーザ光を照射し、そのリーク箇所の電極層を除去してリペアする技術が開示されている。
【0010】
また、大面積の被加工フラットパネルディスプレイディバイスにおける輝点欠陥画素に関しては、例えば、液晶表示パネルでは、その輝点欠陥画素の配光膜の配光性をレーザ光で崩すことで、光を透過させなくして輝点欠陥画素を滅点欠陥画素に変えるリペア方法が普及している。また、EL(Electroluminesence)表示パネルにおける輝点欠陥画素は、TFT回路の配線をレーザ光でカットして、EL層に電圧を印加しないというリペア手法を採っている。
【特許文献1】特開平9−266322号(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、前記[特許文献1]に開示されている技術は光電変換素子のリーク箇所検出方法であり、EL表示パネルに適用した場合、滅点欠陥画素のリーク箇所は検出できるが、致命的な欠陥である輝点欠陥画素はEL層のアノードとカソードのショート以外でTFT回路などの欠陥が原因である場合が殆どであるため、検出することができない。そしてリーク箇所のリペアが成功しても、欠陥画素が正常になったか否かの確認は、他の手法や他の検査装置で確認しなければならない。
【0012】
また、後者のリペア方法では、効率の良い検出及びリペアを行うことができないという課題がある。
【0013】
本発明は、これらの課題を解決しようとするものであって、大面積の被加工フラットパネルディスプレイディバイスであっても、発生している輝点欠陥画素及び滅点欠陥画素のリペア加工とそのリペア加工の成否の確認が1台の装置で行うことができるフラットパネルディスプレイディバイスの欠陥画素リペア装置(以下、単に「欠陥画素リペア装置」と記す)及びその欠陥画素リペア方法(以下、単に「欠陥画素リペア方法」と記す)を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
それ故、本発明の欠陥画素リペア装置は、被加工フラットパネルディスプレイディバイスに順バイアス方向に電圧を印加して該被加工フラットパネルディスプレイディバイスを点灯する点灯用駆動回路と、前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスに逆バイアス方向に電圧を印加する逆バイアス回路と、前記順バイアス方向に電圧が印加された前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスの画像表示面の欠陥画素を検出する欠陥画素検出用カメラと、前記逆バイアス方向に電圧が印加された前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスの欠陥画素から出射される微弱光を、該欠陥画素の2次元座標で特定するための微弱光画素検出用カメラと、前記欠陥画素検出用カメラで検出された各画素の輝度のエネルギ強度を予め登録されている良品のフラットパネルディスプレイディバイスの基準値の輝度と比較して、高輝度であれば輝点欠陥画素として、また、低輝度であればリーク箇所のある滅点欠陥画素として判別し、該輝点欠陥画素及び該滅点欠陥画素を前記画像表示面の2次元座標で特定して記憶する機能を備えた画素処理ユニットと、前記輝点欠陥画素に対しては、そのカソード電極の全領域に、前記滅点欠陥画素に対しては、そのカソード電極のリーク箇所範囲にレーザ光を照射して、前記カソード電極の全部または一部分を除去するリペア用レーザ光源と、前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスを載置、固定する可動ステージと、該可動ステージと前記リペア用レーザ光源からのレーザ光の照射位置とを前記画素処理ユニットに記憶させてある2次元座標情報に基づいて前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスの全画素領域で検出された前記輝点欠陥画素と前記滅点欠陥画素の領域へ相対的に移動させる移動制御手段とを備えて構成されていることを特徴とする。
【0015】
前記可動ステージは、少なくともX方向及びY軸方向の2次元方向に移動できることを特徴とする。
【0016】
前記移動制御手段は、前記画素処理ユニットからの情報に基づいて、前記可動ステージを少なくとも2次元方向に制御し、前記可動ステージに載置、固定された前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスの全画素領域の前記輝点欠陥画素及び又は前記滅点欠陥画素の2次元座標位置を前記リペア用レーザ光源からのリペア用レーザ光の照射位置へ移動させる機能を備えていることを特徴とする。
【0017】
そして前記フラットパネルディスプレイディバイスはエレクトロルミネッセンスパネル、或いはフィールドエミッションデバイスパネルであることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の欠陥画素リペア方法は、X軸方向及びY軸方向に移動可能な可動ステージ上に被加工フラットパネルディスプレイデバイスを水平状態で載置、固定する工程と、該被加工フラットパネルディスプレイディバイスに順バイアス方向に電圧を印加する工程と、順バイアス方向に電圧が印加された前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスの全画像表示面にわたって欠陥画素の有無の検査を行う工程と、前記欠陥画素の有無の検査工程で、基準値の輝度より高輝度の画素があれば、該画素を輝点欠陥画素として捉えて該輝点欠陥画素の2次元座標を記憶し、前記基準値の輝度より低輝度の画素があれば、該画素を滅点欠陥画素として捉えて該滅点欠陥画素の2次元座標を記憶させる工程と、前記検査後の前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスの前記記憶しておいた各輝点欠陥画素の領域にレーザ光を照射し、該輝点欠陥画素のカソード電極を除去する工程と、前記検査後の前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスに逆バイアス方向に電圧を印加し、前記記憶しておいた各滅点欠陥画素のリーク箇所から出射される微弱光を検出しながら、該リーク箇所にリペア用レーザ光を照射し、前記リーク箇所の面積に応じたカソード電極を除去する工程とを含んでいることを特徴とする。
【0019】
そして前記欠陥画素リペア方法においては、前記欠陥画素の有無の検査工程で、前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスの前記画像表示面における前記滅点欠陥画素の数が許容範囲内であるか皆無であり、前記基準値の輝度と同等かその許容範囲内の輝度の画素が大部分か全てであれば、前記フラットパネルディスプレイディバイスの欠陥画素リペア工程から外し、新規の被加工フラットパネルディスプレイディバイスを投入する工程を含んでいることを特徴とする。
【0020】
前記記憶しておいた各輝点欠陥画素にレーザ光を照射する領域は、該輝点欠陥画素のカソード電極の全範囲であることを特徴とする。
【0021】
また、欠陥画素リペア方法では、前記全ての輝点欠陥画素及び又は滅点欠陥画素の除去工程の終了後、再度、前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスに順方向のバイアス電圧を印加して前記画像表示面を点灯し、前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスが所望の状態にリペアされているか否かを検査する工程を含むことを特徴とする。
【0022】
従って、本発明の欠陥画素リペア装置及びその欠陥画素リペア方法によれば、大面積の被加工フラットパネルディスプレイディバイスであっても、その画像表示面を構成する全画素を点灯検査し、その点灯検査で検出された輝点欠陥画素及び滅点欠陥画素のリペアとリペア確認が1台の装置で行うことができ、しかも、その点灯検査で検出された欠陥画素を効率良く、かつ高精度でリペアすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の欠陥画素リペア装置及びその欠陥画素リペア方法によれば、
1.被加工フラットパネルディスプレイディバイスの全画素を点灯検査した後、欠 陥画素数の判断が可能なので、そのフラットパネルディスプレイディバイスはリ ペアすべきものであるか否かを判断でき、無駄なリペアを防ぐことが可能である こと
2.前記の全画素を点灯検査した後、その点灯検査で検出された輝点欠陥画素の電 極をレーザ光を照射することにより除去して点灯させなくできること
3.前記の全画素を点灯検査した後、その点灯検査で検出された滅点欠陥画素の中 のリーク箇所を逆バイアスで効率良く検出できるので、高精度でリペアが可能で あること
4.各欠陥画素をリペアした後、その被加工フラットパネルディスプレイデバイス を点灯用駆動回路により再度点灯させることで、欠陥画素のリペアが成功したか を確認できるため、良質なフラットパネルディスプレイディバイスを得ることが できること
5.フラットパネルディスプレイディバイスの完成後にリペアが可能なため、不良 品の発生を著しく低減させることができ、歩留まりの向上を図れること
など、数々の優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、被加工フラットパネルディスプレイディバイスのR、G、Bの各画素毎に全画素を点灯検査し、その点灯検査で検出された欠陥画素を効率良く、かつ高精度でリペアするものである。
【0025】
即ち、被加工フラットパネルディスプレイディバイスを点灯用駆動回路によりR画素、G画素、B画素の各画素毎に点灯させ、全画素領域を画素検出用カメラで検出し、欠陥画素が輝点欠陥画素か滅点欠陥画素かを画素処理ユニットで検出し、それらの欠陥画素の2次元座標を記憶する。欠陥画素が検出されたら、次に、欠陥画素であると判別された画素位置に可動ステージを移動させる。
【0026】
欠陥画素が輝点欠陥画素である場合は、点灯用駆動回路により前記輝点欠陥画素を点灯させ、画素領域全体の前記輝点欠陥画素に対してリペア用レーザ光を照射してリペアする。
【0027】
欠陥画素が滅点欠陥画素の場合は、逆バイアス回路により逆バイアス方向に電圧を被加工フラットパネルディスプレイデバイスに印加し、その被加工面から出射する微弱光の2次元座標を微弱光画素検出用カメラで検出し、この2次元座標上の微弱光のエネルギー強度を基準値と比較してリーク箇所であるか否かを前記画素処理ユニットで判別する。前記画素処理ユニットで判別されたリーク箇所の2次元座標に基づき、前記可動ステージを移動するかリペア用レーザ光の照射位置を微調整してから、全リーク箇所に対してリペア用レーザ光を照射し、それらをリペアする。
【0028】
全欠陥画素のリペアが成功したか否かは、点灯用駆動回路により、再度、前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスを点灯させ、前記画素処理ユニットで確認する。
【実施例1】
【0029】
以下、図を用いて、本発明の画素リペア装置及びその欠陥画素リペア方法を説明する。
【0030】
図1は本発明の一実施例の欠陥画素リペア装置の基本的構成を示す機能ブロック図、図2は点灯検査で検出された滅点欠陥画素を示す被加工フラットパネルディスプレイディバイスの一部平面図、図3は被加工フラットパネルディスプレイディバイスにおける1画素の概略構成図であって、同図Aはその平面図、同図Bは同図AのA−A線上の断面図、図4は図3に示した被加工フラットパネルディスプレイディバイスに生じている滅点欠陥画素の模式図であって、同図Aはその平面図、同図Bは同図AのA−A線上における断面図、図5は図4に示した滅点欠陥画素のレーザ光によるリペアを説明するための概略図であって、同図Aはその平面図、同図Bは同図AのA−A線上における断面図、図6は輝点欠陥画素のレーザ光によるリペアを説明するための概念図であって、同図Aはその平面図、同図Bは同図AのA−A線上における断面図、そして図7は欠陥画素のレーザ光によるリペアフロー図である。
【0031】
図1において、符号1は本発明の一実施例の欠陥画素リペア装置を指す。この欠陥画素リペア装置1は、欠陥画素検出用カメラ10、画素処理ユニット11、ハーフミラー12、観察用光源13、ハーフミラー14、リペア用レーザ光源15、レンズ16、点灯用駆動回路17、逆バイアス回路18、可動ステージ19、微弱光画素検出用カメラ20、コールドミラー21を備えて構成されている。
【0032】
欠陥画素検出用カメラ10としては、例えば、日本のFROVEL社製の1100万画素CCDデジタルカメラADK−1100B型を用いることができる。このADK−1100B型CCDデジタルカメラは画素数4008(H)×2772(V)、1画素サイズは(9×9)μmと受光面積が広いのでダイナミックレンジが広い。この欠陥画素検出用カメラ10による大面積の被加工フラットパネルディスプレイディバイスFを検査する場合は、その画像表示面を所定の面積に分割して行う。
【0033】
また、微弱光画素検出用カメラ20としては、例えば、米国のフォトニックインスツルメンツ社製の近赤外域まで感度を持った200万画素CCDデジタルカメラ、MicroFire Monochromeを用いることができる。画素数1600(H)×1200(V)、1画素サイズは(7.4×7.4)μmである。
画素処理ユニット11は、欠陥画素検出用カメラ10と微弱光画素検出用カメラ20の出力に接続されていて、欠陥画素検出用カメラ10と微弱光画素検出用カメラ20で補足された画素の輝度が格納されている基準値の輝度と比較し、その基準値以上の輝度で光る画素を輝点欠陥画素として特定し、その基準値以下の輝度で光る画素を滅点欠陥画素として特定し、それらの2次元座標を記憶する機能を備えている。また、後記するが、リペア用レーザ光が前記欠陥画素を正確に照射するように記憶した2次元座標に基づいて可動ステージ19或いはリペア用レーザ光の照射位置を移動、制御する。更にまた、滅点欠陥画素のリーク箇所の面積をも記憶でき、それぞれの面積に応じて前記リペア用レーザ光の照射面積をも可変させる機能を備えている。
【0034】
可動ステージ19は、水平な表面上に被加工フラットパネルディスプレイディバイスFを載置、固定でき、欠陥画素であると判別された画素の位置へ、図示していない駆動制御装置によりX軸方向及びY軸方向に微細に可動できる機能を備えている。
【0035】
点灯用駆動回路17は、可動ステージ19上に固定されている被加工フラットパネルディスプレイディバイスFに順方向にバイアス電圧を印加し、そのR、G、Bの各画素毎に全画素を点灯させる機能を備えている。この点灯用駆動回路17による被加工フラットパネルディスプレイディバイスFの点灯は画像表示面に輝点欠陥画素が存在するか否かを検査する場合のみならず、被加工フラットパネルディスプレイディバイスFのリペアの成否を確認する場合にも、前記と同様に被加工フラットパネルディスプレイディバイスFを点灯させるために用いられる。
【0036】
逆バイアス回路18は、その被加工フラットパネルディスプレイディバイスFに逆バイアス方向に電圧を印加する機能を備えている。逆バイアス電圧を印加することにより、その被加工フラットパネルディスプレイディバイスFの画像表示面から近赤外領域の微弱光が出射する。前記の微弱光画素検出用カメラ20はこの微弱光を感知する。
【0037】
観察用光源13は被加工フラットパネルディスプレイディバイスFの各画素を観察するための光源である。
【0038】
リペア用レーザ光源15は欠陥画素に対してリペア用レーザ光を照射するための光源である。リペア用レーザ光としては、リペア箇所の構成材料に応じてYAGレーザ光、その他のレーザ光を用いる。
【0039】
ハーフミラー12は観察用光源13からの光を欠陥画素検出用カメラ10及び微弱光画素検出用カメラ20の光軸上に一致させて反射し、被加工フラットパネルディスプレイディバイスFの所定の画素を照射し、ハーフミラー14はリペア用レーザ光源15からのレーザ光を欠陥画素検出用カメラ10及び微弱光画素検出用カメラ20の光軸上に一致させて反射させ、輝点欠陥画素及び滅点欠陥画素の欠陥画素を照射させる。
【0040】
この実施例の欠陥画素リペア装置1では、可動ステージ19の上方に、その水平な被加工フラットパネルディスプレイディバイスFの載置面に対して光軸Lが垂直になるように微弱光画素検出用カメラ20が配設されている。そして両者間にコールドミラー21、ハーフミラー12、ハーフミラー14及びレンズ16が所定の間隔を開けて配設されている。コールドミラー21とハーフミラー12とは所定の間隔を開けて互いに平行に、そして可動ステージ19の前記載置面に対して45度の角度で配設されており、ハーフミラー14は前記載置面に対して135度の角度で配設されている。
【0041】
被加工フラットパネルディスプレイディバイスFからの微弱光の近赤外線はコールドミラー21を通過し、微弱光画素検出用カメラ20に入射する。一方、被加工フラットパネルディスプレイディバイスFからの可視光線はコールドミラー21で反射し、コールドミラー21の平面に対して45度の角度で配設されている欠陥画素検出用カメラ10に入射する。欠陥画素検出用カメラ10及び微弱光画素検出用カメラ20の出力端子は画素処理ユニット11の入力端子に接続されている。
【0042】
観察用光源13は、その光軸がハーフミラー12の平面に対して45度の角度になるように配設されている。
【0043】
そしてリペア用レーザ光源15は、その光軸がハーフミラー14の平面に対して45度の角度になるように配設されている。
【0044】
点灯用駆動回路17及び逆バイアス回路18はどちらか一方が切り換えられて被加工フラットパネルディスプレイディバイスFに接続されている。
【0045】
図3は、フラットパネルディスプレイディバイスとしてEL表示パネル方式のものを採り上げて図示した。同図AはこのEL表示パネルの発光部の正常な1画素Fnの平面構造を模式的に示したものであり、同図Bは同図AのA−A線上における断面構造として模式的に示したものである。発光部である正常画素FnはEL層31とアノード電極32とカソード電極33とを分離するための絶縁層34で構成されている。図3では正常画素Fnの平面構造の開口部領域35が発光する。
【0046】
EL表示パネル方式のEL素子は蛍光性化合物に電場を加えることにより励起し、発光する素子であり、EL素子にはEL層が無機化合物である無機EL素子と、有機化合物である有機EL素子とがある。無機EL素子のEL層の材料は主にストロンチュウム(Sr)、ガリウム(Ga)、硫黄(S)、セリウム(Ce)などを含んだ硫化物系である。また、有機EL素子のEL層の材料は、金属錯体系の8−ヒドロキシノリンのアルミニム錯体による有機蛍光体やジスチリルベンゼン誘導体などの低分子材料と、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)系やポリフルオレン(PF)系の高分子材料がある。
【0047】
図4は、アノード電極32やEL層31の薄膜形成の際にピンホール、パーティクルなどが発生し、アノード電極32とカソード電極33がショートしてリーク箇所36が発生した一欠陥例の滅点欠陥画素Ffを示したのもである。このような滅点欠陥画素Ffが発生すると、その画素はリーク箇所の面積にもよるが、基準値以下の輝度でしか点灯しない。そして、滅点欠陥画素Ffでは、例えば、数十nm程度の微小なリーク箇所36を光学顕微鏡などで検出することは困難であり、検出できたとしてもその箇所36が真の欠陥か否かを非破壊で特定することができない。
【0048】
このような滅点欠陥画素Ffがある場合は、被加工フラットパネルディスプレイディバイスFに、逆バイアス回路18により逆バイアスを印加することによりリーク箇所36からホットエレクトロンなどの近赤外領域の微弱光が放出されるので、放出される微弱光を微弱光画素検出用カメラ20でその位置を検出することにより、そのリーク箇所36を特定することが可能となる。本実施例では、図4の被加工フラットパネルディスプレイディバイスFに、通常5〜10V程度の逆バイアス電圧を印加してリーク箇所36を特定している。
【0049】
図5は、滅点欠陥画素Ffのリーク箇所36が特定されると、リペア用レーザ光を照射するカソード電極33の範囲33aを決定し、リペア用レーザ光の照射範囲のカソード電極33の微小箇所33bのみを除去してリペアする。微弱光画素検出用カメラ20でリーク箇所36であると判別された場合には、このリーク箇所36の2次元座標情報とリーク箇所36の面積が画素処理ユニット11に記憶され、そのリーク箇所情報に基づき、リペア用レーザ光源15から照射されるリペア用レーザ光がリーク箇所36を照射するように、リペア用レーザ光照射位置が位置決めされる。例えば、被加工フラットパネルディスプレイディバイスFの位置を可動ステージ19を移動することにより位置決めしてもよいし、リペア用レーザ光源15から出射されるリペア用レーザ光の光路をハーフミラー14の角度を変更させることにより位置決めするようにしてもよい。また、これらの両方の方法を併用して位置決めしてもよい。
【0050】
以上のようにして、被加工フラットパネルディスプレイディバイスFのリーク箇所36にリペア用レーザ光を照射し、リーク箇所36の一方のカソード電極33の微小箇所33bを除去することにより、滅点欠陥画素Ffをリペアすることができる。
【0051】
リーク箇所36をリペアするためのリペア用レーザ光としては、リペア箇所の構成材料にもよるが、その構成材料に応じてYAGレーザ光、その他のレーザ光を用いることができる。図5においてカソード電極33の材質はITO膜で膜厚が数十nm程度であれば、1064nmの波長のYAGレーザ光を使用した場合、数μJのエネルギーでカソード電極33のみを除去することができる。
【0052】
図6は輝点欠陥画素Fsのリペア用レーザ光によるリペアを説明するための概念図である。TFT回路などの欠陥(不図示)によりアノード電極32とカソード電極33との間に、常時、電圧が印加され、輝点欠陥画素Fsとなった画素のリペア方法を示した例である。欠陥画素検出用カメラ10で輝点欠陥画素Fsであると判別された場合には、画素の開口部領域25のサイズ情報に基づき、リペア用レーザ光源15から照射されるリペア用レーザ光が開口部領域35全体に照射されるように、リペア用レーザ光照射位置が位置決めされる。例えば、被加工フラットパネルディスプレイディバイスFの位置を可動ステージ19を移動させることにより位置決めするようにしてもよいし、或いはリペア用レーザ光源15から出射されるリペア用レーザ光の光路を変更させることにより位置決めするようにしてもよい。また、これら両方の位置決め方法を併用して位置決めするようにしてもよい。
【0053】
以上のようにして、被加工フラットパネルディスプレイディバイスFの輝点欠陥画素Fsの開口部35全体にリペア用レーザ光を照射し、開口部35の全領域のカソード電極33を除去することにより、EL層31には、常時、電圧が印加されなくなるので発光しなくなる。即ち、輝点欠陥画素Fsを一種の滅点欠陥画素Ffに変更することができる。
【0054】
輝点欠陥画素Fsをリペアするためのリペア用レーザ光としては、リペア箇所の構成材料に応じてYAGレーザ光、その他のレーザ光を用いることができる。図6において、カソード電極33の材質がITO膜で、その膜厚が数十nm程度であって、1064nmの波長のYAGレーザ光を使用した場合、数μJのエネルギーでカソード電極33のみを除去することができる。
【0055】
輝点欠陥画素Fsのリペア方法は、前記のように、正常画素Fnへのリペア方法ではないが、滅点欠陥画素Ffに比べて輝点欠陥画素Fsは、欠陥として目立つため、フラットパネルディスプレイディバイスにおいては、パネルサイズに関わらず、輝点欠陥画素Fsが1画素でもあると、不良品となるのが一般的である。滅点欠陥画素Ffは、パネルサイズにもよるが、数十インチのパネルサイズでは、滅点欠陥画素Ffの存在が数個程度であれば良品とされるため、本発明の輝点欠陥画素Fsを滅点欠陥画素Ffにするリペア方法は非常に有効であり、かつ、簡単に輝点欠陥画素Fsを滅点欠陥画素Ffにできる手法である。
【0056】
次に、以上の欠陥画素リペア方法を踏まえて、前記のように構成された欠陥画素リペア装置1の動作を図7を用いて説明する。図7は、本発明の欠陥画素リペア装置1による被加工フラットパネルディスプレイディバイスFに対するリペア動作の1フローを示すものである。
【0057】
先ず、可動ステージ19上の載置面に被加工フラットパネルディスプレイディバイスFを水平状態に載置、固定する。
【0058】
次に、その被加工フラットパネルディスプレイディバイスFを点灯用駆動回路17によりR、G、Bの各画素毎に点灯させ、パネル点灯検査を開始する。
【0059】
そして全画素領域を欠陥画素検出用カメラ10で検出し、輝点欠陥画素Fs及び又は滅点欠陥画素Ffの欠陥画素を画素処理ユニット11で検出する。欠陥画素が検出されたら、その欠陥画素の輝度、範囲、位置は、逐次、画素処理ユニット11に記憶される(ステップS1)。被加工フラットパネルディスプレイディバイスFの全画素領域を検出する方法は、数千万画素クラスの欠陥画素検出用カメラ10を用いて一括検査してもよいし、可動ステージ19を移動させて分割検査を行う方法を採ってもよい。
【0060】
全画素の検査が終了したら、輝点欠陥画素Fsまたは滅点欠陥画素Ffが検出さ
れたか否かを判断する(ステップS2)。
【0061】
輝点欠陥画素Fsまたは滅点欠陥画素Ffが検出されなかった場合には、次の被加工フラットパネルディスプレイディバイスFに交換する(ステップS13)。
【0062】
次に、輝点欠陥画素Fs及びまたは滅点欠陥画素Ffが検出されたら、例えば、画素処理ユニット11の前記欠陥画素位置情報に基づいて可動ステージ19を制御し、その欠陥画素をリペア用レーザ光で照射できる状態に位置決めする(ステップS3)。
【0063】
そして次のステップS4で、その欠陥画素が輝点欠陥画素Fsであるか滅点欠陥画素Ffであるかを判断する。
【0064】
このステップS4で欠陥画素が輝点欠陥画素Fsと判断された場合は、画素処理ユニット11で判別された輝点欠陥画素Fsの開口部35のサイズ情報に基づき、リペア用レーザ光源15から照射されるリペア用レーザ光が開口部領域35全体に照射されるように、リペア用レーザ光の照射範囲を調整する。この調整が完了したらリペア用レーザ光の照射を実施するステップS5の輝点欠陥画素Fsリペア用レーザ光照射へ移行する。
【0065】
また、ステップS4で欠陥画素が滅点欠陥画素Ffであると判断されたら、逆バイアス回路18により被加工フラットパネルディスプレイディバイスFに逆バイアスで電圧を印加する(ステップS6)。
【0066】
そして、逆バイアスされた被加工フラットパネルディスプレイディバイスFのリーク箇所36から出射される微弱光の2次元座標を微弱光画素検出用カメラ20で検出し、この2次元座標上の微弱光のエネルギー強度を、前もって登録されている良品のフラットパネルディスプレイディバイスの基準値と比較してリーク箇所36であるか否か、リーク箇所36であれば、その範囲33a(図5A)の大小を画素処理ユニット11で判別するステップS7に移行する。
【0067】
そしてその微弱光が検出されたか否かをステップS8の微弱光検出有無で判別する。微弱光が検出されなかった場合、前記ステップS3の欠陥画素位置へ移動する。
【0068】
微弱光が検出されたら、画素処理ユニット11で判別されたリーク箇所36の2次元座標に基づき、可動ステージ19でその位置を微調整する。微調整が完了すると、リーク箇所36に対してリペア用レーザ光源15からリペア用レーザ光を照射する(ステップS9)。リペア用レーザ光を照射する領域は、微弱光画素検出用カメラ20で検出され、画素処理ユニット11で処理された微弱光の面積などの大きさに応じて可変させた後、リーク箇所36に対してリペア用レーザ光を照射してリペアする。
【0069】
被加工フラットパネルディスプレイデバイスFの輝点欠陥画素Fs及び又は滅点欠陥画素Ffのリペアが成功したかどうかを判断するために、その被加工フラットパネルディスプレイデバイスFはステップS10のパネル点灯へ移行され、点灯用駆動回路17により、再度、被加工フラットパネルディスプレイディバイスFを点灯し、リペアが成功したか否かを画素処理ユニット11で確認する。
【0070】
次に、ステップS11のリペアOKの工程で、前記点灯検査で輝点欠陥画素Fs及び又は滅点欠陥画素Ffのリペアが成功したか否かを判断し、リペアが成功していない場合は、再度、ステップS6に戻る。
【0071】
リペアが成功した場合は、ステップS12の欠陥有無の工程に移行し、依然としてリペアすべき欠陥画素がある場合は、ステップS3の欠陥画素へ移動の工程に移行し、欠陥画素がない場合は、その被加工フラットパネルディスプレイディバイスFのリペア処理が終了する。
【0072】
以上、本発明の欠陥画素リペア装置1を用いて輝点欠陥画素Fs及び又は滅点欠陥画素Ffをリペアする本発明の欠陥画素リペア方法は、前記リペアフローから明らかなように、作業者を介在させない自動シーケンスで行うことができ、しかも大面積の被加工フラットパネルディスプレイディバイスFであっても、その欠陥画素のリペアを効率よく行うことができる。
【0073】
なお、記すまでもないことであるが、前記のリペアフローでは、被加工フラットパネルディスプレイディバイスFの画像表示面に滅点欠陥画素Ff及び輝点欠陥画素Fsを順次リペアできるフローで説明したが、本発明の欠陥画素リペア方法においては、先に全ての滅点欠陥画素Ff或いは全ての輝点欠陥画素Fsをリペアしてから、次に、全ての輝点欠陥画素Fs或いは全ての滅点欠陥画素Ffをリペアする方法を採ってもよいこと、また、滅点欠陥画素Ffまたは輝点欠陥画素Fsの多い方を先にリペアし、続いて少ない滅点欠陥画素Ffまたは輝点欠陥画素Fsをリペアするリペアフローを採ってもよいことを付言しておく。
【0074】
また、前記の実施例においては、フラットパネルディスプレイディバイスとしてEL表示パネルを例に挙げて本発明を説明したが、フィールドエミッションデバイスパネルの欠陥画素の検出、そのリペアにおいても本発明を適用できることを付言しておく。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明はフラットパネルディスプレイディバイスの欠陥画素リペア装置を製造する電子機械産業、フラットパネルディスプレイディバイスを製造する電子機器産業で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施例の欠陥画素リペア装置の基本的構成を示す機能ブロック図である。
【図2】点灯検査で検出された欠陥画素を示す被加工フラットパネルディスプレイディバイスの一部平面図である。
【図3】被加工フラットパネルディスプレイディバイスにおける1画素の概略構成図であって、同図Aはその平面図、同図Bは同図AのA−A線上の断面図である。
【図4】図3に示した被加工フラットパネルディスプレイディバイスに生じている滅点欠陥画素の模式図であって、同図Aはその平面図、同図Bは同図AのA−A線上における断面図である。
【図5】図4に示した滅点欠陥画素のリペア用レーザ光によるリペアを説明するための概略図であって、同図Aはその平面図、同図Bは同図AのA−A線上における断面図である。
【図6】輝点欠陥画素のリペア用レーザ光によるリペアを説明するための概念図であって、同図Aはその平面図、同図Bは同図AのA−A線上における断面図である。
【図7】欠陥画素のリペア用レーザ光によるリペアフロー図である。
【符号の説明】
【0077】
1…本発明の一実施例の(フラットパネルディスプレイディバイスの)リーク箇所検出リペア装置、10…欠陥画素検出用カメラ、11…画素処理ユニット、12…ハーフミラー、13…観察用光源、14…ハーフミラー、15…リペア用レーザ光源、16…レンズ、17…点灯用駆動回路、18…逆バイアス回路、19…可動ステージ、20…微弱光画素検出用カメラ、21…コールドミラー、31…EL層、32…アノード電極、33…カソード電極、33a…滅点欠陥画素Ffにおけるカソード電極33のリペア用レーザ光を照射する範囲、33b…滅点欠陥画素Ffにおけるリペア用レーザ光で除去されたカソード電極33の微小箇所、33c…輝点欠陥画素Fsにおけるリペア用レーザ光を照射する範囲、33d…輝点欠陥画素Fsにおけるリペア用レーザ光で除去されたカソード電極33の箇所、34…絶縁層、35…1画素の開口部(領域)、36…リーク箇所、F…被加工フラットパネルディスプレイディバイス、Ff…滅点欠陥画素、Fs…輝点欠陥画素、Fn…正常な画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工フラットパネルディスプレイディバイスに順バイアス方向に電圧を印加して該被加工フラットパネルディスプレイディバイスを点灯する点灯用駆動回路と、
前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスに逆バイアス方向に電圧を印加する逆バイアス回路と、
前記順バイアス方向に電圧が印加された前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスの画像表示面の欠陥画素を検出する欠陥画素検出用カメラと、
前記逆バイアス方向に電圧が印加された前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスの欠陥画素から出射される微弱光を、該欠陥画素の2次元座標で特定するための微弱光画素検出用カメラと、
前記欠陥画素検出用カメラで検出された各画素の輝度のエネルギ強度を予め登録されている良品のフラットパネルディスプレイディバイスの基準値の輝度と比較して、高輝度であれば輝点欠陥画素として、また、低輝度であればリーク箇所のある滅点欠陥画素として判別し、該輝点欠陥画素及び該滅点欠陥画素を前記画像表示面の2次元座標で特定して記憶する機能を備えた画素処理ユニットと、
前記輝点欠陥画素に対しては、そのカソード電極の全領域に、前記滅点欠陥画素に対しては、そのカソード電極のリーク箇所範囲にレーザ光を照射して、前記カソード電極の全部または一部分を除去するリペア用レーザ光源と、
前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスを載置、固定する可動ステージと、
該可動ステージと前記リペア用レーザ光源からのレーザ光の照射位置とを前記画素処理ユニットに記憶させてある2次元座標情報に基づいて前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスの全画素領域で検出された前記輝点欠陥画素と前記滅点欠陥画素の領域へ相対的に移動させる移動制御手段と
を備えて構成されていることを特徴とするフラットパネルディスプレイディバイスの欠陥画素リペア装置。
【請求項2】
前記可動ステージは、少なくともX方向及びY軸方向の2次元方向に移動できることを特徴とする請求項1に記載のフラットパネルディスプレイディバイスの欠陥画素リペア装置。
【請求項3】
前記移動制御手段は、前記画素処理ユニットからの情報に基づいて、前記可動ステージを少なくとも2次元方向に制御し、前記可動ステージに載置、固定された前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスの全画素領域の前記輝点欠陥画素及び又は前記滅点欠陥画素の2次元座標位置を前記リペア用レーザ光源からのリペア用レーザ光の照射位置へ移動させる機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載のフラットパネルディスプレイディバイスの欠陥画素リペア装置。
【請求項4】
前記フラットパネルディスプレイディバイスがエレクトロルミネッセンスパネルであることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のフラットパネルディスプレイディバイスのリーク箇所検出リペア装置。
【請求項5】
前記フラットパネルディスプレイディバイスがフィールドエミッションデバイスパネルであることを特徴とする請求項1に記載のフラットパネルディスプレイディバイスのリーク箇所検出リペア装置。
【請求項6】
X軸方向及びY軸方向に移動可能な可動ステージ上に被加工フラットパネルディスプレイデバイスを水平状態で載置、固定する工程と、
該被加工フラットパネルディスプレイディバイスに順バイアス方向に電圧を印加する工程と、
順バイアス方向に電圧が印加された前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスの全画像表示面にわたって欠陥画素の有無の検査を行う工程と、
前記欠陥画素の有無の検査工程で、基準値の輝度より高輝度の画素があれば、該画素を輝点欠陥画素として捉えて該輝点欠陥画素の2次元座標を記憶し、前記基準値の輝度より低輝度の画素があれば、該画素を滅点欠陥画素として捉えて該滅点欠陥画素の2次元座標を記憶させる工程と、
前記検査後の前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスの前記記憶しておいた各輝点欠陥画素の領域にレーザ光を照射し、該輝点欠陥画素のカソード電極を除去する工程と、
前記検査後の前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスに逆バイアス方向に電圧を印加し、前記記憶しておいた各滅点欠陥画素のリーク箇所から出射される微弱光を検出しながら、該リーク箇所にリペア用レーザ光を照射し、前記リーク箇所の面積に応じたカソード電極を除去する工程と
を含むフラットパネルディスプレイディバイスの欠陥画素リペア方法。
【請求項7】
前記欠陥画素の有無の検査工程で、前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスの前記画像表示面における前記滅点欠陥画素の数が許容範囲内であるか皆無であり、前記基準値の輝度と同等かその許容範囲内の輝度の画素が大部分か全てであれば、前記フラットパネルディスプレイディバイスの欠陥画素リペア工程から外し、新規の被加工フラットパネルディスプレイディバイスを投入する工程
を含む請求項5に記載のフラットパネルディスプレイディバイスの欠陥画素リペア方法。
【請求項8】
前記記憶しておいた各輝点欠陥画素にレーザ光を照射する領域は、該輝点欠陥画素のカソード電極の全範囲であることを特徴とする請求項6に記載のフラットパネルディスプレイディバイスの欠陥画素リペア方法。
【請求項9】
前記全ての輝点欠陥画素及び又は滅点欠陥画素の除去工程の終了後、再度、前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスに順方向のバイアス電圧を印加して前記画像表示面を点灯し、前記被加工フラットパネルディスプレイディバイスが所望の状態にリペアされているか否かを検査する工程
を含むことを特徴とする請求項6に記載のフラットパネルディスプレイディバイスの欠陥画素リペア方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−323032(P2006−323032A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144767(P2005−144767)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】