説明

フリーラジカルにより開始されるポリマーの架橋

本発明はフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物である。生成する炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーは、フリーラジカルの形成時に優先的に分解するか、あるいは炭素−炭素架橋する少なくとも1つのポリマーから製造される。本発明によって、この優先的な反応の抑制が可能となり、このポリマーがフリーラジカル捕捉種により炭素−FRTS−炭素で架橋が可能になる。この望ましくない分解または炭素−炭素架橋反応を抑制し、そして望ましい炭素−FRTS−炭素の架橋反応を可能とすることによって、固有の架橋ポリマーが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固有のフリーラジカル開始架橋を導入することが望ましいフリーラジカル反応を行うポリマー系に関する。
【背景技術】
【0002】
多数のポリマーがフリーラジカル反応を行うことができる。分解または炭素−炭素架橋などのこれらの反応の一部は有害である。この有害な反応の影響を最小にする一方で、この有用なフリーラジカルで開始される架橋反応を促進する必要性がある。
【0003】
ポリオレフィンは非選択的なフリーラジカル化学反応をしばしば受ける。例えば、高温におけるフリーラジカル化学反応は、特に三級水素を含有するポリマー、例えばポリプロピレンおよびポリスチレンにおいて分子量を低下させることができる。加えて、フリーラジカル化学反応は、炭素−炭素架橋を促進して、物理的特性が制限された架橋ポリマーを生成することができる。
【0004】
ポリプロピレンに関しては、このポリマーのフリーラジカル分解は、主鎖切断と記述され得、ポリマーの分子量を低下させ、そしてメルトフローレートを増大させる。切断は均一でないために、当該分野で「テール」と呼ばれる低分子量ポリマー鎖が形成されるに従って分子量分布は増大する。
【0005】
ポリエチレンに関しては、このフリーラジカル炭素−炭素架橋は物理的特性が制限された架橋ポリマーを生成する。固有の架橋を導入し、そして固有の物理的特性の架橋ポリマーを提供することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ポリマーの主鎖切断または炭素−炭素架橋を起こさずにフリーラジカル架橋ポリマーを調製することが望ましい。このポリマーは、ハロゲン化されている場合には、脱ハロゲン化水素を行わないことも望ましい。
【0007】
ポリマーが架橋反応を行うときに、ポリマーの分子構造を制御することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はフリーラジカルの炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物である。生成される炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーは、フリーラジカルの形成時に優先的に分解するか、あるいは炭素−炭素で架橋する少なくとも1つのポリマーから製造される。本発明によって、この優先的な反応の抑制が可能となり、このポリマーがフリーラジカル捕捉種による炭素−FRTS−炭素で架橋が可能になる。この望ましくない分解または炭素−炭素架橋反応を抑制し、そして望ましい炭素−FRTS−炭素の架橋反応を可能とすることによって、固有の架橋ポリマーが生成される。
【0009】
本発明は、電線・電纜、履物、フィルム(例えば、温室、収縮および弾性)、エンジアリング熱可塑性樹脂、高充填、難燃性の反応性コンパウンド、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫物、自動車、加硫ゴム代替品、建築物、自動車、家具、フォーム、湿潤性接着剤、塗装用基材、染色用ポリオレフィン、水分硬化、ナノコンポジット、相溶化、ワックス、カレンダー掛けされたシート、医療用品、分散物、同時押出し成形、セメント/プラスチック補強、食品包装、不織布、紙変成、多層容器、スポーツ用品、配向構造物および表面処理用途において有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
「炭素−FRTS−炭素カップリング結合」は、この明細書で使用される場合、ポリマー分子の炭素、フリーラジカル捕捉種、および他のポリマー分子の炭素間で形成される共有結合を意味する。炭素−FRTS−炭素カップリング結合(架橋)を形成する前に、このフリーラジカル捕捉種は少なくとも2つの捕捉部位を有する。この捕捉部位の2個所において、このフリーラジカル捕捉種はこのポリマー分子にグラフトされる。
【0011】
好ましくは、生成される炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーは、キシレン抽出(ASTM2765)で測定した場合、約10重量パーセント以上の、更に好ましくは約30重量パーセント以上の、なお更に好ましくは約50重量パーセント以上の、そして最も好ましくは約70重量パーセント以上のゲル含有量を有する。炭素−FRTS−炭素架橋されたポリマーのゲル含有量は、このベースポリマー(非架橋ポリマー)のゲル含有量よりも少なくとも10絶対重量パーセント大きい。
【0012】
別法としては、この炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーの架橋密度はこのポリマーの係数を基にして求められる。炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーは、好ましくはこのポリマーの架橋温度、100サイクル/分の周波数、および0.5度の円弧においてムービングダイレオメーターで測定して、最小トルクの少なくとも約1.30倍の最大トルクを有する。
H≧1.30×ML
更に好ましくは、架橋温度においてポリマーの最大トルクも最終トルクとほぼ同一である場合に最終架橋密度が得られる。
【0013】
「拘束構造触媒で触媒されるポリマー(Constrained geometry catalyst catalyzed polymer)」、「CGCで触媒されるポリマー(CGC-catalyzed polymer)」または類似の用語は、この明細書で使用されるように、拘束構造触媒の存在下で製造されるいかなるポリマーも意味する。「拘束構造触媒」または「CGC」は、この明細書で使用されるように、この用語が米国特許第5,272,236号および第5,278,272号で定義され、述べられているものと同一の意味を有する。
【0014】
ここで使用される「メタロセン」は、金属に結合した少なくとも1つの置換あるいは非置換のシクロペンタジエニル基を有する金属含有化合物を意味する。「メタロセンで触媒されるポリマー(Metallocene-catalyzed polymer)」または類似の用語は、メタロセン触媒の存在下で製造されるいかなるポリマーも意味する。
【0015】
ここで使用される「ポリマー」は、同一のあるいは異なるタイプのモノマーの重合により製造される高分子化合物を意味する。「ポリマー」は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、インターポリマー等を含む。用語「インターポリマー」は、少なくとも2つのタイプのモノマーまたはコモノマーの重合により製造されるポリマーを意味する。これに限定されるものではないが、コポリマー(3つ以上の異なるタイプのモノマーあるいはコモノマーから製造されるポリマーを指すのに「インターポリマー」としばしば互換的に使用可能であるが、通常、2つの異なるタイプのモノマーあるいはコモノマーから製造されるポリマーを指す)、ターポリマー(通常、3つの異なるタイプのモノマーあるいはコモノマーから製造されるポリマーを指す)、テトラポリマー(通常、4つの異なるタイプのモノマーあるいはコモノマーから製造されるポリマーを指す)などを含む。用語「モノマー」または「コモノマー」は互換的に使用可能であり、そしてポリマーを製造するために反応器に添加される重合性部分を伴ういかなる化合物も指す。ポリマーが1つ以上のモノマーを含んでなるとして記述される場合には、例えばプロピレンとエチレンを含んでなるポリマーの場合には、このポリマーは、勿論、モノマーから誘導される単位、モノマーそれ自身、例えばCH2=CH2でなく、例えば−CH2−CH2−を含んでなる。
【0016】
「P/E*コポリマー」および類似の用語は、この明細書で使用されるように、(i)約14.6および約15.7ppmにおけるレギオエラーに対応する、ほぼ等しい強度の13CNMRピーク、および(ii)本質的に同一のままに留まるTmeと、コポリマー中のコモノマー、すなわちエチレンおよび/または不飽和コモノマーから誘導される単位の量が増加するのにしたがって減少するTヒ゜ークを持つ示差走査熱量曲線(DSC)の特性の少なくとも1つを有することを特徴とする、プロピレン/不飽和コモノマーコポリマーを意味する。「Tme」は溶融が終了する温度を意味する。「Tpeak」はピーク溶融温度を意味する。典型的に、この実施形態のコポリマーはこれらの特性の両方を特徴とする。これらの特性およびそれぞれの測定の各々は、引用により本明細書に組み込まれている、2002年5月5日出願の米国特許出願番号10/139,786(W02003040442)で詳細に述べられている。
【0017】
これらのコポリマーは、約−1.20以上のスキューネスインデックス、Sixを有することでも更に特徴付けられる。スキューネスインデックスは昇温溶離分別法(TREF)から得られるデータから計算される。このデータは溶離温度の関数としての重量分率の正規化されたプロットとして表現される。アイソタクチックプロピレン単位のモル含有量が主として溶離温度を決定する。
【0018】
この曲線の形状の主要な特徴は高溶離温度におけるこの曲線の鋭さまたは急峻さに比較される低溶離温度でのテーリングである。
このタイプの非対称性を反映する統計学は非対称度(skewness)である。
【数1】

式1はこの非対称性の尺度としてのスキューネスインデックスであるSixを数学的に表す。
【0019】
値Tmaxは、TREF曲線において50℃から90℃の間で溶離する最大重量分率の温度として定義される。TiおよびwiはそれぞれTREF分布における任意のi番目の区分の溶離温度および重量分率である。この分布は30℃以上で溶離する曲線の全面積に関して正規化(wiの和は100%に等しい)されたものである。このように、このインデックスは結晶化されたポリマーの形状のみを反映する。いかなる非結晶化ポリマー(30℃以下でなお溶液中にあるポリマー)も式1に示す計算から除外される。
【0020】
P/E*コポリマー用の不飽和コモノマーは、C4-20α−オレフィン、特にC4-12α−オレフィン、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなど;C4-20ジオレフィン、好ましくは1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、ノルボナジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)およびジシクロペンタジエン;スチレン、o−、m−、およびp−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレンを含むC8-40ビニル芳香族化合物;およびハロゲン置換C8-40ビニル芳香族化合物、例えばクロロスチレンおよびフルオロスチレンを含む。エチレンとC4-12α−オレフィンが好ましいコモノマーであり、そしてエチレンが特に好ましいコモノマーである。
【0021】
P/E*コポリマーはP/Eコポリマーの固有のサブセットである。P/EコポリマーはP/E*コポリマーだけでなく、プロピレンおよび不飽和コモノマーのすべてのコポリマーを含む。P/E*コポリマー以外のP/Eコポリマーは、メタロセンで触媒されたコポリマー、拘束構造触媒で触媒されたコポリマー、およびZ−Nで触媒されたコポリマーを含む。本発明の目的には、P/Eコポリマーは50重量パーセント以上のプロピレンを含んでなり、EP(エチレン−プロピレン)コポリマーは51重量パーセント以上のエチレンを含んでなる。この明細書で使用される場合、「...プロピレンを含んでなる」、「...エチレンを含んでなる」および類似の用語は、このポリマーが化合物それ自身でなくプロピレン、エチレンなどから誘導される単位を含んでなるということを意味する。
【0022】
「プロピレンホモポリマー」および類似の用語は、全て、あるいは本質的に全てプロピレンから誘導される単位から成るポリマーを意味する。「ポリプロピレンコポリマー」および類似の用語は、プロピレンとエチレンおよび/または1つ以上の不飽和コモノマーから誘導される単位を含んでなるポリマーを意味する。
【0023】
「チーグラーナッタ(Ziegler Natta)で触媒されたポリマー」、「Z−Nで触媒されたポリマー」、または類似の用語は、チーグラーナッタ(Ziegler Natta)触媒の存在下で製造されるいかなるポリマーも意味する。
【0024】
1つの形態においては、本発明は、フリーラジカル分解性ポリマー、フリーラジカル誘導種、および少なくとも2つの捕捉部位を有するフリーラジカル捕捉種を含んでなるフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物である。このポリマーはフリーラジカル誘導種により誘導される場合フリーラジカルを形成することができる。
【0025】
フリーラジカル捕捉種が存在せず、そしてフリーラジカル誘導種により誘導される場合、このポリマーはフリーラジカル誘導種の存在下で分解反応を行う。この分解反応は主鎖切断または脱ハロゲン化水素とすることができる。フリーラジカル捕捉種はこの分解反応を実質的に抑制する。
【0026】
このポリマーがフリーラジカルを形成した後、捕捉部位において、このフリーラジカル捕捉種はこのポリマー上にグラフト可能である。フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーが生成される。好ましくは、このフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーは実質的に均質に架橋されたものである。
【0027】
種々のフリーラジカル分解性ポリマーがこのポリマーとして本発明において有用である。このフリーラジカル分解性ポリマーは炭化水素ベースとすることができる。好適なフリーラジカル分解性の炭化水素ベースのポリマーは、ブチルゴム、ポリアクリレートゴム、ポリイソブチレン、プロピレンホモポリマー、プロピレンコポリマー、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー、ビニル芳香族モノマーのポリマー、ビニルクロリドポリマー、およびこれらのブレンドを含む。
【0028】
好ましくは、このフリーラジカル分解性の炭化水素ベースのポリマーはイソブテン、プロピレン、およびスチレンポリマーから成る群より選択される。
【0029】
好ましくは、本発明のブチルゴムはイソブチレンとイソプレンのコポリマーである。このイソプレンは、典型的に、約1.0重量パーセントから約3.0重量パーセントの量で使用される。
【0030】
本発明で有用なプロピレンポリマーの例には、プロピレンホモポリマーおよびP/Eコポリマーを含む。特に、これらのプロピレンポリマーはポリプロピレンエラストマーを含む。このプロピレンポリマーはいかなる方法によっても製造可能であり、そしてチーグラーナッタ(Ziegler Natta)、CGC、メタロセン、および非メタロセン、金属中心、ヘテロアリール配位子の触媒により製造可能である。
【0031】
有用なプロピレンコポリマーはランダム、ブロックおよびグラフトコポリマーを含む。例示的なプロピレンコポリマーとしては、Exxon−Mobil VISTAMAX, Mitsui TAFMER、およびThe Dow Chemical CompanyによるVERSIFYを含む。これらのコポリマーの密度は、典型的に、少なくとも約0.850グラム/立方センチメートル(g/cm3)、好ましくは少なくとも約0.860グラム/立方センチメートル(g/cm3)、そして更に好ましくは少なくとも約0.865グラム/立方センチメートル(g/cm3)である。
【0032】
典型的に、これらのプロピレンコポリマーの最大密度は、約0.915であり、好ましくはこの最大は約0.900であり、そして更に好ましくはこの最大は約0.890g/cm3である。これらのプロピレンコポリマーの重量平均分子量(Mw)は広範に変わることができるが、典型的に、約10,000から1,000,000の間である。これらのコポリマーの多分散性は、典型的に、約2から約4の間である。
【0033】
これらのプロピレンコポリマーは、典型的に、少なくとも約0.01の、好ましくは少なくとも約0.05の、そして更に好ましくは少なくとも約0.1のメルトフローレート(MFR)を有する。この最大のMFRは、典型的に、約2,000を超えず、好ましくは約1000を超えず、更に好ましくは約500を超えず、なお更に好ましくは約80を超えず、そして最も好ましくは約50を超えない。プロピレンとエチレンおよび/または1つ以上のC4−C20α−オレフィンのコポリマーに対するMFRは、ASTMD−1238、条件L(2.16kg、230℃)にしたがって測定される。
【0034】
本発明で有用なスチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマーは相分離した系である。スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレンコポリマーも本発明で有用である。
【0035】
ビニル芳香族モノマーのポリマーは本発明で有用である。好適なビニル芳香族モノマーは、限定されるものではないが、米国特許第4,666,987号;第4,572,819号および第4,585,825号で述べられているものなど、重合法での使用に既知のビニル芳香族モノマーを含む。
【0036】
好ましくは、このモノマーは、式
【化1】

のものである。式中、R’は水素または3個以下の炭素を含有するアルキル基であり、Arはアルキル、ハロ、あるいはハロアルキル置換を含むか、あるいは含まない1〜3個の芳香族環を有する芳香族環構造であり、ここで、いかなるアルキル基も1〜6個の炭素原子を含み、そしてハロアルキルはハロ置換アルキル基を指す。好ましくは、Arはフェニルまたはアルキルフェニルであり、ここでアルキルフェニルはアルキル置換フェニル基を指し、フェニルが最も好ましい。使用可能な典型的なビニル芳香族モノマーとしては、スチレン、アルファ−メチルスチレン、ビニルトルエンのすべての異性体、特にパラ−ビニルトルエン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどのすべての異性体、およびこれらの混合物を含む。
【0037】
このビニル芳香族モノマーは他の共重合性モノマーとも合体され得る。このようなモノマーの例には、限定されるものではないが、アクリルモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸、メチルメタクリレート、アクリル酸、およびメチルアクリレート;マレイミド、フェニルマレイミド、およびマレイン酸無水物を含む。加えて、この重合は、衝撃性の改変された、あるいはグラフトゴム含有製品を製造するために予め溶解されたエラストマーの存在下で行われ得、その例が米国特許第3,123,655号、第3,346,520号、第3,639,522号、および第4,409,369号に記載されている。
【0038】
本発明は、ゴム改変されたモノビニリデン芳香族ポリマー組成物の剛性、マトリックスあるいは連続相のポリマーにも適用可能である。
【0039】
有用なフリーラジカル誘導種は、有機ペルオキシド、アゾフリーラジカル開始剤、およびビクメンを含む。好ましくは、このフリーラジカル誘導種は有機ペルオキシドである。また、酸素の多い環境も有用なフリーラジカルの開始に好ましい。好ましい有機ペルオキシドはジクミルペルオキシド、Vulcup R、およびジアルキルペルオキシドを含む。更に好ましくは、この有機ペルオキシドは、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンおよび2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシンから成る群より選択されるジアルキルペルオキシドである。最も好ましくは、この有機ペルオキシドは2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,−ジメチル−3−ヘキシンである。
【0040】
この有機ペルオキシドは直接注入により添加可能である。好ましくは、このフリーラジカル誘導種は、約0.5重量パーセントから約20.0重量パーセント、更に好ましくは約1.0重量パーセントから約15.0重量パーセント、そして最も好ましくは約1.5重量パーセントから約10.0重量パーセントの量で存在する。
【0041】
このフリーラジカル誘導種に加えて、あるいはこの代替として、このポリマーは、剪断エネルギー、熱、または放射線を受けた場合フリーラジカルを形成することができる。従って、剪断エネルギー、熱、または放射線はフリーラジカル誘導種として作用することができる。更には、このフリーラジカル捕捉種は、前述のフリーラジカル誘導種により生成されるフリーラジカル下で作用するので、剪断エネルギー、熱、または放射線により生成されるフリーラジカル下で作用することができる。
【0042】
このフリーラジカルが、有機ペルオキシド、酸素、空気、剪断エネルギー、熱、または放射線により生成する場合には、このフリーラジカル捕捉種とフリーラジカル源の組合せがこのポリマーの炭素−FRTS−炭素架橋に必要とされると考えられる。この組合せの制御がこの架橋ポリマーの分子構造を決定する。フリーラジカル捕捉種を順次添加し、引き続いてフリーラジカルを徐々に開始させることによって、従来になかった制御がこの分子構造にもたらされる。
【0043】
また、グラフト化部位はこのポリマー上で開始され、そしてこのフリーラジカル捕捉種によりキャップされて、ペンダントな安定なフリーラジカルを形成することができると考えられる。後に、このペンダントな安定なフリーラジカルは、以降に形成されるフリーラジカルと炭素−FRTS−炭素架橋し、生成する炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーに所望のレベルの均質性を付与することができる。
【0044】
本発明で有用なフリーラジカル捕捉種の例には、ヒンダードアミンから誘導される安定な有機フリーラジカルを含む。好ましくは、このフリーラジカル捕捉種がヒンダードアミンから誘導される安定な有機フリーラジカルである場合には、これは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシ(TEMPO)およびこれらの誘導体の少なくとも2つの官能基を有する多官能基分子から成る群より選択される。更に好ましくは、この安定な有機フリーラジカルはビス−TEMPOである。ビス−TEMPOの例は、ビス(l−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケートである。また、なお更に好ましくは、この安定な有機フリーラジカルは、オキソ−TEMPO、ヒドロキシ−TEMPO、ヒドロキシ−TEMPOのエステル、ポリマーと結合したTEMPO、PROXYL、DOXYL、ジ−ターシャリーブチル−N−オキシル、ジメチルジフェニルピロリジン−1−オキシル、4−ホスホノオキシTEMPO、またはTEMPOとの金属錯体から誘導される少なくとも2つのニトロキシ基を有する多官能基分子である。
【0045】
好ましくは、このフリーラジカル捕捉種は、約0.5重量パーセントから約20.0重量パーセント、更に好ましくは約1.0重量パーセントから約15.0重量パーセント、最も好ましくは約1.5重量パーセントから約10.0重量パーセントの量で存在する。
【0046】
好ましくは、フリーラジカル捕捉種に対するフリーラジカル誘導種の比とフリーラジカル捕捉種の濃度がポリマーの炭素−FRTS−炭素架橋を促進する。更に好ましくは、フリーラジカル誘導種:フリーラジカル捕捉種は約1より大きい比で、更に好ましくは約20:1から約1:1の比で存在する。
【0047】
フリーラジカル捕捉種とフリーラジカル誘導種は、直接混練、直接含浸、および直接注入を含む種々の方法でポリマーと合体可能である。
【0048】
代替の形態においては、本発明は、フリーラジカル炭素−炭素架橋性ポリマー、フリーラジカル誘導種、および少なくとも2つの捕捉部位を有するフリーラジカル捕捉種を含んでなるフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物である。このポリマーは、フリーラジカル誘導種により誘導される場合に、フリーラジカルを形成することができる。
【0049】
フリーラジカル捕捉種が存在せず、そしてフリーラジカル誘導種により誘導される場合、ポリマーは炭素−炭素架橋反応を行う。フリーラジカル捕捉種は炭素−炭素架橋反応を実質的に抑制する。
【0050】
捕捉部位においては、ポリマーがフリーラジカルを形成した後、このフリーラジカル捕捉種はポリマー上にグラフト可能である。フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーが生成される。好ましくは、このフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーは実質的に均質に架橋されたものである。
【0051】
種々のフリーラジカル分解性ポリマーがこのポリマーとして本発明において有用である。このフリーラジカル炭素−炭素架橋性ポリマーは炭化水素ベースとすることができる。好適なフリーラジカル炭素−炭素架橋性の炭化水素ベースのポリマーは、アクリロニトリルブタジエンスチレンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン酸化ポリエチレンゴム、エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー、エチレン/ジエンコポリマー、エチレンホモポリマー、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/スチレンインターポリマー、エチレン/不飽和エステルコポリマー、フルオロポリマー、ハロゲン化ポリエチレン、水素化ニトリルブタジエンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー、およびこれらのブレンドを含む。
【0052】
本発明には、クロロプレンゴムは一般に2−クロロ−1,3−ブタジエンのポリマーである。好ましくは、このゴムは乳化重合により製造される。加えて、この重合はイオウの存在下で行われて、このポリマー中に架橋を組み込むことができる。
【0053】
好ましくは、このフリーラジカル炭素−炭素架橋性の炭化水素ベースのポリマーはエチレンポリマーである。
【0054】
好適なエチレンポリマーに関しては、このポリマーは、一般に、(1)高分岐;(2)不均質直鎖;(3)均質分岐直鎖;および(4)均質分岐で実質的に直鎖の4つの主要な分類のなかに入る。これらのポリマーは、チーグラーナッタ(Ziegler Natta)触媒、メタロセンあるいはバナジウムベースの単一部位触媒、または拘束構造の単一部位触媒により製造可能である。
【0055】
高分岐エチレンポリマーは低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。これらのポリマーはフリーラジカル開始剤により高温および高圧で製造可能である。別法としては、これらは配位触媒により高温および比較的低圧で製造可能である。これらのポリマーは、ASTM D−792で測定して、約0.910グラム/立方センチメートルから約0.940グラム/立方センチメートルの密度を有する。
【0056】
不均質直鎖エチレンポリマーは、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、および高密度ポリエチレン(HDPE)を含む。直鎖低密度エチレンポリマーは、ASTM1238、条件Iにより測定して、約0.850グラム/立方センチメートルから約0.940グラム/立方センチメートルの密度および約0.01から約100グラム/10分のメルトインデックスを有する。好ましくは、このメルトインデックスは約0.1から約50グラム/10分の間にある。また、好ましくは、このLLDPEは、エチレンと1つ以上の3〜18個の炭素原子、更に好ましくは3〜8個の炭素原子を有する他のアルファ−オレフィンのインターポリマーである。好ましいコモノマーは1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、および1−オクテンを含む。
【0057】
極超低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンは互換的なものとして既知である。これらのポリマーは約0.870グラム/立方センチメートルから約0.910グラム/立方センチメートルの密度を有する。高密度エチレンポリマーは、一般に、約0.941グラム/立方センチメートルから約0.965グラム/立方センチメートルの密度のホモポリマーである。
【0058】
均質分岐直鎖エチレンポリマーは均質LLDPEを含む。この均一に分岐し/均質なポリマーは、コモノマーが与えられたインターポリマー分子内でランダム分布し、そしてインターポリマー分子がこのインターポリマー内で類似のエチレン/コモノマー比を有するポリマーである。
【0059】
均質分岐の実質的に直鎖のエチレンポリマーは、(a)C2−C20オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、および4−メチル−1−ペンテンのホモポリマー、(b)エチレンと少なくとも1つのC3−C20α−オレフィン、C2−C20アセチレン型不飽和モノマー、C4−C18ジオレフィン、またはこのモノマーの組合せとのインターポリマー、および(c)エチレンとこのC3−C20アルファ−オレフィン、ジオレフィン、または他の不飽和モノマーとの組合せたアセチレン型不飽和モノマーの少なくとも1つとのインターポリマーを含む。これらのポリマーは、一般に、約0.850グラム/立方センチメートルから約0.970グラム/立方センチメートルの密度を有する。好ましくは、この密度は、約0.85グラム/立方センチメートルから約0.955グラム/立方センチメートルの間、更に好ましくは約0.850グラム/立方センチメートルから0.920グラム/立方センチメートルの間にある。
【0060】
本発明で有用なエチレン/スチレンインターポリマーは、オレフィンモノマー(すなわち、エチレン、プロピレン、またはα−オレフィンモノマー)とビニリデン芳香族モノマー、ヒンダード脂肪族ビニリデンモノマー、または脂環式ビニリデンモノマーとを重合させることにより製造される実質的にランダムなインターポリマーを含む。好適なオレフィンモノマーは、2〜20個の、好ましくは2〜12個の、更に好ましくは2〜8個の炭素原子を含有する。好ましいこのようなモノマーは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、および1−オクテンを含む。最も好ましいものはエチレンおよびエチレンとプロピレンまたはC4-8アルファ−オレフィンとの組合せである。場合により、このエチレン/スチレンインターポリマー重合成分はエチレン型不飽和モノマー、例えば歪み環オレフィンも含むことができる。歪み環オレフィンの例には、ノルボルネンおよびC1-10アルキル−あるいはC6-10アリール置換ノルボルネンを含む。
【0061】
本発明で有用なエチレン/不飽和エステルコポリマーは慣用の高圧法により製造可能である。この不飽和エステルは、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、またはビニルカルボキシレートとすることができる。このアルキル基は1〜8個の炭素原子を有することができ、そして好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。このカルボキシレート基は2〜8個の炭素原子を有することができ、そして好ましくは2〜5個の炭素原子を有する。このエステルコモノマーに帰属されるコポリマーの部分は、このコポリマーの重量基準で約5〜約50重量パーセントの範囲とすることができ、好ましくは約15〜約40重量パーセントの範囲にある。このアクリレートとメタクリレートの例は、エチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、および2−エチルヘキシルアクリレートである。このビニルカルボキシレートの例は、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、およびビニルブタノエートである。このエチレン/不飽和エステルコポリマーのメルトインデックスは、約0.5〜約50グラム/10分の範囲とすることができる。
【0062】
本発明で有用なハロゲン化エチレンポリマーは、フッ素化、塩素化、および臭素化オレフィンポリマーを含む。このベースオレフィンポリマーは、2〜18個の炭素原子を有するオレフィンのホモポリマーまたはインターポリマーとすることができる。好ましくは、このオレフィンポリマーは、エチレンとプロピレンまたは4〜8個の炭素原子を有するアルファ−オレフィンモノマーとのインターポリマーである。好ましいアルファ−オレフィンコモノマーは、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、および1−オクテンを含む。好ましくは、このハロゲン化オレフィンポリマーは塩素化ポリエチレンである。
【0063】
本発明で好適な天然ゴムはイソプレンの高分子量ポリマーを含む。好ましくは、この天然ゴムは約5000の数平均重合度と広い分子量分布を有する。
【0064】
好ましくは、本発明のニトリルゴムはブタジエンとアクリロニトリルのランダムコポリマーである。
【0065】
本発明で有用なポリブタジエンゴムは、好ましくは1,4−ブタジエンのホモポリマーである。
【0066】
有用なスチレン/ブタジエンゴムはスチレンとブタジエンのランダムコポリマーを含む。典型的に、これらのゴムはフリーラジカル重合により製造される。本発明のスチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマーは相分離系である。このスチレン/エチレン/ブタジエン/スチレンコポリマーも本発明で有用である。
【0067】
有用なフリーラジカル誘導種は、有機ペルオキシド、アゾフリーラジカル開始剤、およびビクメンを含む。好ましくは、このフリーラジカル誘導種は有機ペルオキシドである。また、酸素の多い環境も有用なフリーラジカルの開始に好ましい。好ましい有機ペルオキシドはジクミルペルオキシド、Vulcup R、およびジアルキルペルオキシドを含む。更に好ましくは、この有機ペルオキシドは、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンおよび2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシンから成る群より選択されるジアルキルペルオキシドである。最も好ましくは、この有機ペルオキシドは2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシンである。
【0068】
この有機ペルオキシドは直接注入により添加可能である。好ましくは、このフリーラジカル誘導種は、約0.5重量パーセントから約20.0重量パーセント、更に好ましくは約1.0重量パーセントから約15.0重量パーセント、そして最も好ましくは約1.5重量パーセントから約10.0重量パーセントの量で存在する。
【0069】
このフリーラジカル誘導種に加えて、あるいはこの代替として、このポリマーは剪断エネルギー、熱、または放射線を受けた場合フリーラジカルを形成することができる。従って、剪断エネルギー、熱、または放射線はフリーラジカル誘導種として作用することができる。更には、このフリーラジカル捕捉種は、前述のフリーラジカル誘導種により生成されるフリーラジカル下で作用するので、剪断エネルギー、熱、または放射線により生成されるフリーラジカル下で作用することができる。
【0070】
このフリーラジカルが有機ペルオキシド、酸素、空気、剪断エネルギー、熱、または放射線により生成する場合には、このフリーラジカル捕捉種とフリーラジカル源の組合せがこのポリマーの炭素−FRTS−炭素架橋に必要とされると考えられる。この組合せの制御がこの架橋ポリマーの分子構造を決定する。フリーラジカル捕捉種を順次添加し、引き続いてフリーラジカルを徐々に開始させることによって、従来にない制御がこの分子構造にもたらされる。
【0071】
グラフト化部位はこのポリマー上で開始され、そしてこのフリーラジカル捕捉種によりキャップされて、ペンダントな安定なフリーラジカルを形成することができるとも考えられる。後に、このペンダントな安定なフリーラジカルは以降に形成されるフリーラジカルと炭素−FRTS−炭素架橋し、生成する炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーに所望のレベルの均質性を付与することができる。
【0072】
更にもう1つの形態においては、本発明は、(1)フリーラジカル分解性ポリマーおよびフリーラジカル炭素−炭素架橋性ポリマーから成る群より選択されるポリマーおよび(2)ペンダントな安定なフリーラジカルを含んでなるフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物である。
【0073】
このペンダントな安定なフリーラジカルはこのポリマー上にフリーラジカル捕捉種をグラフトすることから誘導される。ペンダントな安定なフリーラジカルを生成する前に、このフリーラジカル捕捉種は少なくとも2つの捕捉部位を有する。形成後、このペンダントな安定なフリーラジカルは少なくとも1つの捕捉部位を有する。
【0074】
このポリマーはこのフリーラジカル誘導種により誘導される場合に、フリーラジカルを形成することができる。フリーラジカル捕捉種が存在せず、そしてフリーラジカル誘導種により誘導される場合、このポリマーはフリーラジカルを形成することができ、そして望ましくない反応を優先的に行う。この望ましくない反応は分解反応または炭素−炭素架橋反応である。
【0075】
フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物においては、この望ましくない反応は実質的に抑制される。
【0076】
捕捉部位においては、ポリマーがフリーラジカルを形成した後、このペンダントな安定なフリーラジカルはこのポリマー上にグラフト可能である。フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーが生成する。この炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーはこのペンダントな安定なフリーラジカルに架橋されたポリマーを含んでなる。好ましくは、このフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーは実質的に均質に結合されたものである。
【0077】
フリーラジカル捕捉種とフリーラジカル誘導種は、直接混練、直接含浸、および直接注入を含む種々の方法でポリマーと合体可能である。
【0078】
代替の形態においては、本発明は、フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマーを製造するための方法である。この方法の第1の工程は、成分を混合することによりポリマー・マトリックス混合物を調製することである。この成分は、フリーラジカル分解性ポリマー、フリーラジカル誘導種、および少なくとも2つの捕捉部位を有するフリーラジカル捕捉種を含む。このフリーラジカル捕捉種はこの分解反応を実質的に抑制する。第2の工程においては、このポリマーはフリーラジカル捕捉種によりグラフトされる。
【0079】
この実施形態においては、生成されるフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーの分子構造を制御することが可能である。そうするためには、この第1の段階においてこのフリーラジカル誘導種を添加する速度を(1)制御し、そして(2)フリーラジカル捕捉種の添加に続いて行うか、あるいはこの添加と同時に行わなければならない。好ましくは、フリーラジカル捕捉種の添加に続いてこのフリーラジカル誘導種を添加する(すなわち、第2の段階において添加し、そしてグラフトを第3の段階で行う)。
【0080】
このフリーラジカル捕捉種にペンダントな安定なフリーラジカルを置き換えることが可能である。この目的に、フリーラジカル捕捉種はポリマー上に個別にグラフトされて、不活性雰囲気中でペンダントな安定なフリーラジカルを形成することができる。次に、このポリマーマトリックスは、このポリマー、このペンダントな安定なフリーラジカル、およびフリーラジカル誘導種を含む。
【0081】
代替の実施形態においては、本発明はフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマーを調製するための方法である。この方法の第1の工程は、成分を混合することによりポリマー・マトリックス混合物を製造することである。この成分は、フリーラジカル炭素−炭素架橋性ポリマー、フリーラジカル誘導種、および少なくとも2つの捕捉部位を有するフリーラジカル捕捉種を含む。このフリーラジカル捕捉種はこの炭素−炭素架橋反応を実質的に抑制する。第2の工程においては、このポリマーはフリーラジカル捕捉種によりグラフトされる。
【0082】
この実施形態においては、生成されるフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーの分子構造を制御することが可能である。こうするためには、この第1の工程においてこのフリーラジカル誘導種を添加する速度を(1)制御し、そして(2)フリーラジカル捕捉種の添加に続いて行うか、あるいは添加と同時に行わなければならない。好ましくは、フリーラジカル捕捉種の添加に続いてフリーラジカル誘導種を添加する(すなわち、第2の工程において添加し、そしてグラフトを第3の工程で行う)。
【0083】
このフリーラジカル捕捉種にペンダントな安定なフリーラジカルを置き換えることが可能である。その目的には、このフリーラジカル捕捉種はこのポリマー上に個別にグラフトされて、不活性雰囲気中でペンダントな安定なフリーラジカルを形成することができる。次に、このポリマーマトリックスは、このポリマー、このペンダントな安定なフリーラジカル、およびフリーラジカル誘導種を含む。
【0084】
好ましい実施形態においては、本発明は、フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物から調製される製品製品である。いかなる数のプロセスもこの製品品を製造するのに使用可能である。特に有用な方法は、射出成形、押し出し、圧縮成形、回転成形、加熱成形、ブロー成形、粉末被覆、バンバリーバッチミキサー、繊維紡糸、およびカレンダー掛けを含む。
【0085】
好適な製品は、電線・電纜絶縁物、電線・電纜半導性物品、電線・電纜被覆物およびジャケット、電纜付属品、靴底、多成分靴底(異なる密度およびタイプのポリマーを含む)、気密用充填材、ガスケット、プロフィール、耐久消費財、剛性超延伸テープ、パンクタイヤ充填物、建築用パネル、複合体(例えば、木材複合体)、パイプ、フォーム、ブローフィルム、および繊維(バインダー繊維および弾性繊維を含む)を含む。
【実施例】
【0086】
次の非限定的な実施例は本発明を例示するものである。
【0087】
(比較例1−3および実施例4−5)
3つの比較例と本発明の2つの実施例を15重量パーセントのエチレン含有量、2グラム/10分のメルトフローレート、および0.858グラム/立方センチメートルの密度を有するポリプロピレンエラストマーにより作製した。ASTM D−1238にしたがってこのメルトフローレートを230℃で測定した。
【0088】
ペルオキシドを除いて表Iに示す配合物の各々をBrabenderミキサー中で作製して、40グラムの試料を110℃で3分間調製した。引き続いて、ペルオキシドを添加した。この組成物を更に4分間混練した。
【0089】
PROSTAB(登録商標)5415ビス(l−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート(「ビス−TEMPO」)はCiba Specialty Chemicals, Incから市販されているものであった。Luperox(登録商標)130 2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシン有機ペルオキシドはAtofinaから市販されているものであった。
【0090】
ムービングダイレオメーター(MDR)を182℃で使用して、この反応速度論を調べた。110℃で10分間、それに続いて180℃で70分間圧縮成形して作製した0.03インチ(30ミル)厚のプラークについて引っ張り強さと高温クリープを測定した。引っ張り強さ(最大荷重における応力)をASTM D638−00にしたがって室温で求めた(2インチ/分の変位速度で)。ICEA刊行物T−28−562−1995(「Test Methods for Measurement of Hot Creep of Polymeric Insulations) dated March 1995 from Insulated Cable Engineers Association, Inc)にしたがって、高温クリープ性を3つの異なる温度(50、100および150℃)で求めた。破断無しの試験試料が高温クリープ用の試験装置の最大限界に達した場合には、この結果を最大として示した。この結果を表Iに示した。
【0091】
評価された各組成物に対して、MDRは時間に対するトルクデータを生成した。182℃のセット温度に加えて、100サイクル/分の周波数および0.5度の円弧に対してMDRを設定した。この試験試料は約5グラムの重さがあった。これをMylar(登録商標)シートの間に挟み、次に評価のためにMDRの中に入れた。最終使用用途と組成に依って、セット温度と評価時間を設定した。
【0092】
図1は比較例3および実施例5に対する182℃におけるトルク−時間曲線を示した。図2は実施例4および5に対する182℃におけるトルク−時間曲線を示した。
【表1】

【0093】
(比較例6−8および実施例9−12)
3つの比較例と4つの実施例を15重量パーセントのエチレン含有量、2グラム/10分のメルトフローレート、および0.858グラム/立方センチメートルの密度を有するポリプロピレンエラストマーにより作製した。ASTM D−1238にしたがってこのメルトフローレートを230℃で測定した。
【0094】
ペルオキシドを除いて表IIに示す配合物の各々をBrabenderミキサー中で調製して、40グラムの試料を110℃にて3分間で作製した。引き続いて、ペルオキシドを添加した。この組成物を更に4分間混練した。
【0095】
PROSTAB(登録商標)5415ビス−TEMPOはCiba Specialty Chemicals,Incから市販されているものであった。Dicup R(登録商標)有機ペルオキシドは、Geo Specialty Chemicalsから市販されているものであり、Luperox(登録商標) 130有機ペルオキシドはAtofinaから市販されているものであった。
【0096】
ムービングダイレオメーター(MDR)を182℃で使用して、この反応速度論を調べた。この結果を表IIに示した。
【0097】
評価された各組成物に対して、MDRは時間に対するトルクデータを生成した。182℃のセット温度に加えて、100サイクル/分の周波数および0.5度の円弧に対してMDRを設定した。この試験試料は約5グラムの重さがあった。これをMylar(登録商標)シートの間に挟み、次に評価のためにMDRの中に入れた。最終使用用途と組成に依って、セット温度と評価時間を設定した。
【表2】

【0098】
(比較例13および実施例14−17)
比較例と4つの実施例を12重量パーセントのエチレン含有量、8グラム/10分のメルトフローレート、および0.866グラム/立方センチメートルの密度を有するポリプロピレンエラストマーにより作製した。ASTM D−1238にしたがってこのメルトフローレートを230℃で測定した。
【0099】
ペルオキシドを除いて表IIIに示す配合物の各々を予熱された300−ccHaakeボウル中で100℃で作製して、溶融させた。このボウルをボウルラムにより封止し、そしてこの成分を40rpmで撹拌した。
【0100】
このポリマーが回復する温度と安定化されたトルクにより示されるように溶融したところで、ラムを上げた。窒素掃気をフィードポートからボウルの中に導入した。ペルオキシドを添加した。次に、ラムをフィードポートの中に下げて、反応容器を封止した。窒素流を止めた。
【0101】
この溶融ポリマー組成物の温度が所望の反応温度に達したところで、ボウルを3分間運転した。次に、ローターを止め、そしてポリマー混合物を取り出し、平らなパティーにプレスし、そして室温まで冷却した。
【0102】
この試験試料を圧縮成形により作製した。この組成物を100℃で3分間溶融した。次に、これを5.5MPaで2分間圧縮成形した。最後に、この成形された材料を室温で平衡化されたプレス中で不活化した。
【0103】
次に、この試験試料を圧縮成形プレス中180℃で20分間硬化させた。
【0104】
ASTM1708にしたがって5インチ/分の変位速度で引っ張り強さ(最大荷重における応力)および引っ張り伸び(破断時の歪み)を室温で求めた。ゲルレベルをキシレン抽出(ASTM2765)により求めた。この結果を表IIIに示した。
【0105】
PROSTAB(登録商標)5415ビス−TEMPOはCiba Specialty Corporationから市販されているものであった。Luperox(登録商標)130有機ペルオキシドAtofinaから市販されているものであった。
【表3】

【0106】
(比較例18および実施例19−20)
比較例と2つの実施例を9グラム/10分のメルトフローレート、および0.900グラム/立方センチメートルの密度を有するポリプロピレンホモポリマーにより作製した。ASTM D−1238にしたがってこのメルトフローレートを230℃で測定した。
【0107】
ペルオキシドを除いて表IVに示す配合物の各々を予熱された300ccのHaakeボウル中で170℃で作製して、溶融させた。このボウルをボウルラムにより封止し、そしてこの成分を40rpmで撹拌した。
【0108】
このポリマーが回復する温度と安定化されたトルクにより示されるように溶融したところで、ラムを上げた。窒素掃気をフィードポートからボウルの中に導入した。ペルオキシドを添加した。次に、ラムをフィードポートの中に下げて、反応容器を封止した。窒素流を止めた。
【0109】
この溶融ポリマー組成物の温度が所望の反応温度に達したところで、ボウルを3分間運転した。次に、ローターを止め、そしてポリマー混合物を取り出し、平らなパティーにプレスし、そして室温まで冷却した。
【0110】
この試験試料を圧縮成形により作製した。この組成物を170℃で3分間溶融した。次に、これを5.5MPaで2分間圧縮成形した。最後に、この成形された材料を室温で平衡化されたプレス中で急冷した。
【0111】
次に、この試験試料を圧縮成形プレス中180℃で20分間硬化させた。
【0112】
ASTM1708にしたがって5インチ/分の変位速度で引っ張り強さ(最大荷重における応力)および引っ張り伸び(破断時の歪み)を室温で求めた。ゲルレベルをキシレン抽出(ASTM2765)により求めた。この結果を表IVに示した。
【0113】
PROSTAB(登録商標)5415ビス−TEMPOはCiba Specialty Corporationから市販されているものであった。Luperox(登録商標) 130有機ペルオキシドはAtofinaから市販されているものであった。
【表4】

【0114】
(比較例21および実施例22)
比較例と本発明の実施例を12重量パーセントのエチレン含有量、8グラム/10分のメルトフローレート、および0.866グラム/立方センチメートルの密度を有するポリプロピレンエラストマーにより作製した。ASTM D−1238にしたがってこのメルトフローレートを230℃で測定した。
【0115】
ペルオキシドを除いて表Vに示す配合物の各々を予熱された300ccのHaakeボウル中で100℃で作製して、溶融させた。このボウルをボウルラムにより封止し、そしてこの成分を40rpmで撹拌した。
【0116】
このポリマーが回復する温度と安定化されたトルクにより示されるように溶融したところで、ラムを上げた。窒素掃気をフィードポートからボウルの中に導入した。ペルオキシドを添加した。次に、ラムをフィードポートの中に下げて、反応容器を封止した。窒素流を止めた。
【0117】
この溶融ポリマー組成物の温度が所望の反応温度に達したところで、ボウルを3分間運転した。次に、ローターを止め、そしてポリマー混合物を取り出し、平らなパティーにプレスし、そして室温まで冷却した。
【0118】
次に、電子線架橋法を用いて、この試験試料を窒素雰囲気下および1パス当たり3.2mRadで架橋した。継続して電子線に通過させる間にこの試験試料を室温まで冷却した。通過数を表Vに示す。
【0119】
ゲルレベルをキシレン抽出(ASTM2765)により求めた。この結果を表IIIに示す。
【0120】
PROSTAB(登録商標)5415ビス−TEMPOは、Ciba Specialty Corporationから市販されているものであった。
【表5】

【0121】
(比較例23−28および実施例29−31)
6つの比較例と本発明の3つの実施例をブレンドされたブチルゴムにより作製した。
【0122】
ペルオキシドを除いて表VIに示す配合物の各々をBrabenderミキサー中で作製して、40グラムの試料を、特定の温度で3分間作成した(この温度は95℃または124℃のいずれかであった。選択された温度はこのフリーラジカル捕捉種の遅延を回避するためであった。このフリーラジカル捕捉種の濃度が高いほど低い温度での混合を必要とした)。引き続いて、ペルオキシドを添加した。この組成物を更に4分間混練した。
【0123】
G&Eブレンドされたブチルゴム(CAS Number 9010-85-9)はGoldsmith & Eggleton, Incから市販されているものであった。PROSTAB(登録商標)5415ビス−TEMPOは、Ciba Specialty Chemicals, Incから市販されているものであった。Luperox(登録商標)130 2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシン有機ペルオキシドは、Atofinaから市販されているものであった。
【0124】
ムービングダイレオメーター(MDR)を160℃、182℃、および200℃で使用して、この反応速度論を調べた。この結果を表VIに示す。
【0125】
評価された各組成物に対して、MDRは時間に対するトルクデータを生成した。セット温度に加えて、100サイクル/分の周波数および0.5度の円弧に対してMDRを設定した。この試験試料の重さは約5グラムであった。これをMylarシートの間に挟み、次に評価のためにMDRの中に入れた。最終使用用途と組成に依って、セット温度と評価時間を設定した。
【0126】
すべての材料は良好な可撓性を保持した。すなわち、これらは取り扱い時に脆い状態ではなかった。
【表6】

【0127】
(比較例32および実施例33)
1つの比較例と本発明の1つの実施例を81パーセントのビニルクロリド含有量と4パーセントのビニルアセテート含有量を有するビニルクロリド/ビニルアセテート/ヒドロキシルアルキルアクリレートターポリマーにより作製した。
【0128】
ペルオキシドを除いてこの配合物の各々をBrabenderミキサー中で調製して、40グラムの試料を125℃にて3分間で作製した。引き続いて、ペルオキシドを添加した。この組成物を更に4分間混練した。
【0129】
比較例32の配合は98重量パーセントのこのターポリマーと2重量パーセントのLuperox(登録商標)130有機ペルオキシドを含有するものであった。実施例33の配合は95重量パーセントのこのターポリマー、2重量パーセントのLuperox(登録商標)130有機ペルオキシド、および3重量パーセントのPROSTAB(登録商標)5415ビス−TEMPOを含有するものであった。
【0130】
このターポリマーは、The Dow Chemical CompanyからUCAR(登録商標)VAGCビニルクロリド/ビニルアセテート/ヒドロキシルアルキルアクリレートターポリマーとして市販されているものであった。PROSTAB(登録商標)5415ビス−TEMPOは、Ciba Specialty Chemicals, Incから市販されているものであった。Luperox(登録商標)130有機ペルオキシドはAtofinaから市販されているものであった。
【0131】
ムービングダイレオメーター(MDR)を使用して、この反応速度論を調べた。図3は比較例32および実施例33に対する182℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【0132】
(比較例34−36および実施例37−38)
3つの比較例と本発明の2つの実施例を2.4g/10分のメルトインデックス、52の121/12、0.9200グラム/立方センチメートルの密度、3.54の多分散性(Mw/Mn)、および110.2℃の融点を有する低密度ポリエチレンにより作製した。ペルオキシドを除いて表IVに示す配合物の各々をBrabenderミキサー中125℃で3分間作製した。引き続いて、ペルオキシドを添加した。この組成物を更に4分間混練した。
【0133】
この低密度ポリエチレンはThe Dow Chemical Companyから市販されているものであった。PROSTAB(登録商標)5415ビス−TEMPOは、Ciba Specialty Chemicals, Incから市販されているものであった。Luperox(登録商標)130有機ペルオキシドはAtofinaから市販されているものであった。
【0134】
MDRを200℃で使用して、この反応速度論を調べた。125℃で10分間、それに続いて180℃で70分間圧縮成形して作製した0.05インチ(50ミル)厚のプラークについて引っ張り強さと高温クリープを測定した。引っ張り強さ(最大荷重における応力)をASTMD638−00にしたがって室温で求めた(2インチ/分の変位速度で)。この結果を表VIIに示す。
【表7】

【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1は、多官能性フリーラジカル捕捉種添加および無添加のフリーラジカルで開始される架橋性ポリマー組成物に対する182℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図2】図2は、多官能性フリーラジカル捕捉種添加のフリーラジカルで開始される架橋性ポリマー組成物に対する182℃におけるトルク−時間曲線を示す。
【図3】図3は、多官能性フリーラジカル捕捉種添加および無添加のフリーラジカルで開始される架橋性ポリマー組成物に対する182℃におけるトルク−時間曲線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリーラジカルの炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物であって、
(a)フリーラジカル分解性ポリマー、
(b)フリーラジカル誘導種、および
(c)少なくとも2つの捕捉部位を有するフリーラジカル捕捉種
を含んでなり、
(A1)該フリーラジカル捕捉種は、(i)該フリーラジカル誘導種の存在下で該ポリマーの分解を実質的に抑制し、かつ(ii)該ポリマーがフリーラジカルを形成した後、捕捉部位において、該ポリマー上にグラフト可能なものであり、
(A2)該フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性組成物が、フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーを生成する、組成物。
【請求項2】
前記分解が主鎖切断により生じる、請求項1に記載のフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項3】
前記ポリマーがハロゲン化され、そして前記分解が脱ハロゲン化水素により生じる、請求項1に記載のフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項4】
生成される前記フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーが、キシレン抽出(ASTM2765)により測定して約10重量パーセントを超えるゲル含有量を有する、請求項1に記載のフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項5】
生成される前記フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーが、キシレン抽出(ASTM2765)により測定して、前記ベースポリマーのゲル含有量よりも少なくとも約10絶対重量パーセント大きいゲル含有量を有する、請求項1に記載のフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項6】
前記ポリマーが、ブチルゴム、ポリアクリレートゴム、ポリイソブチレン、プロピレンホモポリマー、プロピレンコポリマー、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー、ビニル芳香族モノマーのポリマー、ビニルクロリドポリマー、およびこれらのブレンドから成る群より選択される、請求項1に記載のフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項7】
前記フリーラジカル誘導種が、有機ペルオキシド、アゾフリーラジカル開始剤、ビクメン、酸素、および空気である、請求項1に記載のフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項8】
前記フリーラジカル捕捉種が、ヒンダードアミンから誘導されるフリーラジカル捕捉種である、請求項1に記載のフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項9】
前記ヒンダードアミンから誘導されるフリーラジカル捕捉種が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシおよびこれらの誘導体の少なくとも2つの官能基を有する多官能基分子から成る群より選択される、請求項8に記載のフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項10】
前記ヒンダードアミンから誘導されるフリーラジカル捕捉種が、オキソ−TEMPO、ヒドロキシ−TEMPO、ヒドロキシ−TEMPOのエステル、ポリマーと結合したTEMPO、PROXYL、DOXYL、ジ−ターシャリーブチルNオキシル、ジメチルジフェニルピロリジン−1−オキシル、4−ホスホノオキシTEMPO、またはTEMPOとの金属錯体から誘導される少なくとも2つのニトロキシ基を有する、請求項9に記載のフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項11】
(a)剪断エネルギー、熱または放射線を受けた場合にフリーラジカルを形成することができるフリーラジカル分解性ポリマー、および
(b)少なくとも2つの捕捉部位を有し、該ポリマーが剪断エネルギー、熱、または放射線を照射された場合、(i)該フリーラジカル捕捉種が該ポリマーの分解を実質的に抑制し、かつ(ii)該ポリマーがフリーラジカルを形成した後、捕捉部位において、該ポリマー上にグラフト可能であるフリーラジカル捕捉種
を含んでなる、フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項12】
(a)フリーラジカル分解性ポリマーおよび
(b)フリーラジカル誘導種、および
(c)フリーラジカルで開始される炭素−FRTS−炭素カップリング結合によりこのポリマーにグラフト可能なフリーラジカル捕捉種
を含んでなり、
生成された流動性が改変されたポリマーを、該ポリマーの架橋温度、100サイクル/分の周波数、および0.5度の円弧においてムービングダイレオメーターで測定して
最大トルク>1.30*最小トルク
を有するフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項13】
(a)フリーラジカル炭素−炭素架橋性ポリマー、
(b)フリーラジカル誘導種、および
(c)少なくとも2つの捕捉部位を有するフリーラジカル捕捉種
を含んでなり、
(A1)該フリーラジカル捕捉種は、(i)該フリーラジカル誘導種の存在下で該ポリマーの炭素−炭素架橋を実質的に抑制し、かつ(ii)該ポリマーがフリーラジカルを形成した後、捕捉部位において、該ポリマー上にグラフト可能なものであり、
(A2)該フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性組成物が、フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーを生成する
フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項14】
生成される前記フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーが、キシレン抽出(ASTM2765)により測定して、約10重量パーセントを超えるゲル含有量を有する、請求項13に記載のフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項15】
生成される前記フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーが、キシレン抽出(ASTM2765)により測定して、前記ベースポリマーのゲル含有量よりも少なくとも約10絶対重量パーセント大きいゲル含有量を有する、請求項1に記載のフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項16】
前記炭素−炭素架橋性ポリマーが、アクリロニトリルブタジエンスチレンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン酸化ポリエチレンゴム、エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー、エチレン/ジエンコポリマー、エチレンホモポリマー、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/スチレンインターポリマー、エチレン/不飽和エステルコポリマー、フルオロポリマー、ハロゲン化ポリエチレン、水素化ニトリルブタジエンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー、およびこれらのブレンドから成る群より選択される、請求項13に記載のフリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項17】
(a)剪断エネルギー、熱または放射線を受けた場合に、フリーラジカルを形成することができるフリーラジカル炭素−炭素架橋性ポリマー、および
(b)少なくとも2つの捕捉部位を有するフリーラジカル捕捉種
を含んでなり、
該ポリマーが剪断エネルギー、熱または放射線を受けた場合、該フリーラジカル捕捉種は、(i)該ポリマーの炭素−炭素架橋を実質的に抑制し、かつ(ii)該ポリマーがフリーラジカルを形成した後、捕捉部位において、該ポリマー上にグラフト可能なものである
フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項18】
(a)フリーラジカル炭素−炭素架橋性ポリマーおよび
(b)フリーラジカル誘導種、および
(c)フリーラジカルで開始される炭素−FRTS−炭素カップリング結合により該ポリマーにグラフト可能なフリーラジカル捕捉種
を含んでなり、
流動性の改変された該生成ポリマーを、該ポリマーの架橋温度、100サイクル/分の周波数、および0.5度の円弧においてムービングダイレオメーターで測定して、
最大トルク>1.30*最小トルク
となる、フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項19】
(a)フリーラジカル分解性ポリマーおよびフリーラジカル炭素−炭素架橋性ポリマーから成る群より選択されるポリマー、および
(b)ペンダントな安定なフリーラジカル
を含んでなる、フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋性ポリマー組成物。
【請求項20】
ペンダントな安定なフリーラジカルに結合したフリーラジカル分解性ポリマーを含んでなる、フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマー。
【請求項21】
(a)フリーラジカル分解性ポリマーおよび
(b)フリーラジカルで開始される炭素−FRTS−炭素カップリング結合により該ポリマーにグラフトされたフリーラジカル捕捉種
を含んでなる、フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマー。
【請求項22】
ペンダントな安定なフリーラジカルに結合したフリーラジカル分解性ポリマーを含んでなる、フリーラジカル炭素−炭素架橋ポリマー。
【請求項23】
(a)フリーラジカル炭素−炭素架橋性ポリマーおよび
(b)フリーラジカルで開始される炭素−FRTS−炭素カップリング結合により該ポリマーにグラフトされたフリーラジカル捕捉種
を含んでなる、フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマー。
【請求項24】
(a)(1)フリーラジカル分解性ポリマー、
(2)フリーラジカル誘導種、および
(3)少なくとも2つの捕捉部位を有するフリーラジカル捕捉種
を混和することによりポリマー・マトリックス混合物を調製する工程であって、該フリーラジカル捕捉種は、(i)該ポリマーの分解を実質的に抑制し、かつ(ii)該ポリマーがフリーラジカルを形成した後、捕捉部位において、該ポリマー上にグラフト可能のものであり、および
(b)該フリーラジカル捕捉種を該ポリマーにグラフトして、フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーを形成する工程
を含んでなる、フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーを調製する方法。
【請求項25】
(a)(1)フリーラジカル分解性ポリマー、
(2)フリーラジカル誘導種、および
(3)少なくとも2つの捕捉部位を有するフリーラジカル捕捉種
を混和することによりポリマー・マトリックス混合物を調製する工程であって、該フリーラジカル捕捉種は、(i)該ポリマーの分解を実質的に抑制し、かつ(ii)該ポリマーがフリーラジカルを形成した後、捕捉部位において、該ポリマー上にグラフト可能のものであり、
(b)該ポリマーへのフリーラジカル捕捉種のグラフトと該フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーの生成する分子構造に対する制御を可能とさせる充分な速度でフリーラジカル誘導種を混和する工程、および
(c)該ポリマーがフリーラジカルを形成した後、該フリーラジカル捕捉種を該ポリマーにグラフトする工程
を含んでなる、フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーを調製する方法。
【請求項26】
(a)(1)フリーラジカル炭素−炭素架橋性ポリマー、
(2)フリーラジカル誘導種、および
(3)少なくとも2つの捕捉部位を有するフリーラジカル捕捉種
を混和することによりポリマー・マトリックス混合物を調製する工程であって、該フリーラジカル捕捉種は、(i)該ポリマーの炭素−炭素架橋を実質的に抑制し、かつ(ii)該ポリマーがフリーラジカルを形成した後、捕捉部位において、該ポリマー上にグラフト可能なものであり、および
(b)該フリーラジカル捕捉種を該ポリマーにグラフトして、フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーを形成する工程
を含んでなる、フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーを調製する方法。
【請求項27】
(a)(1)フリーラジカル炭素−炭素架橋性ポリマー、および
(2)少なくとも2つの捕捉部位を有するフリーラジカル捕捉種
を混和することによりポリマー・マトリックス混合物を調製する工程であって、
該フリーラジカル捕捉種は、(i)該ポリマーの炭素−炭素架橋を実質的に抑制し、かつ(ii)該ポリマーがフリーラジカルを形成した後、捕捉部位において、該ポリマー上にグラフト可能なものであり、
(b)該ポリマーへのフリーラジカル捕捉種のグラフトと該フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーの生成する分子構造に対する制御を可能とさせる充分な速度でフリーラジカル誘導種を混和する工程、および
(c)該ポリマーがフリーラジカルを形成した後、該フリーラジカル捕捉種を該ポリマーにグラフトする工程
を含んでなる、フリーラジカル炭素−FRTS−炭素架橋ポリマーを製造する方法。
【請求項28】
請求項24〜27のいずれか1つに記載の方法から調製される製品製品。
【請求項29】
前記製品が、電線・電纜絶縁物、電線・電纜半導性物品、電線・電纜被覆物、電線・電纜ジャケット、電纜付属品、靴底、多成分靴底、気密用充填材、ガスケット、プロフィール、耐久消費財、剛性超延伸テープ、パンクタイヤ充填物、建築用パネル、複合体、パイプ、フォーム、ブローフィルム、および繊維から成る群より選択される、請求項24〜27のいずれか1つに記載の方法から調製される製品製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−517118(P2007−517118A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547377(P2006−547377)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/043346
【国際公開番号】WO2005/063896
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】