説明

フルオラス化合物の分離

少なくとも第1非フルオラス化合物と第2フルオラス化合物とを含む化合物の混合物から少なくとも第1非フルオラス化合物を分離する方法であって、前記化合物の混合物を非フルオラス固(固定)相に導入し、フルオラス溶出流体(移動相)で溶出することを含む前記方法。1つの実施態様では、非フルオラス固相は、自然状態で極性を有する。前記方法は、さらに適切な有機溶媒での第2相溶出を含んでもよい。化学反応を行う方法であって、少なくとも第1フルオラス化合物と第2化合物とを混合し、ここで第1フルオラス化合物はフルオラス特性において第2化合物と異なっており、第1混合物を、第1フルオラス化合物及び第2化合物の少なくとも1つを変換する条件に曝して、少なくとも第3化合物を含む第2混合物を与え、第2混合物を非フルオラス固相に導入し、フルオラス流体で溶出することを含む前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府の権利)
本発明は、国立衛生研究所からの助成金RO1GM033372をもとに政府支援を得てなされたものである。政府が本発明における特定の権利を有する。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、一般に化合物の分離、特に化合物のフルオラス特性の相違に基づく化合物の分離に関するものである。
本明細書中に記載の参考文献によって、本発明又は本発明の背景の理解を容易にすることができよう。しかしながら、本明細書に文献を含ませるということは、その文献が本発明に関して従来技術として利用可能であることを認める意図を示すためのものでも、また利用可能であることを認めるものでもない。
【背景技術】
【0003】
非フルオラス有機化合物及び/又は異なるフルオラス特性を有する他のフルオラス化合物からのフルオラス化合物の分離は、徐々に注目を集めるようになってきている。種々のフルオラス分離技術又は方法は、例えば有機分子及び1又は2以上のフルオラス分子(フルオラス領域又はタグを有する有機分子)を含む混合物を、主に分子のフルオラス特性(例えば、フルオラス領域の欠落、フルオラス領域の大きさ及び/又はフルオラス領域又は分子の構造)に基づいて互いに分離するために使用されている。一般に、分子のフルオラス特性の違いは、「フルオロ親和性(fluorophilic)」又はフルオラス分離方法におけるフルオラス相との分子の相互作用に影響を与える。液-液分離に基づく初期のフルオラス分離方法は、固-液分離様フルオラス固相抽出法(FSPE)及びフルオラスクロマトグラフィーによって議論されている。例えば、Zhang, W. Tetrahedron 2003, 59, 4475-4489; Curran, D. P. In Stimulating Concepts in Chemistry; V[delta]gtle, F., Stoddardt, J. F., Shibasaki, M., Eds.; Wiley- VCH: New York, 2000; Dobbs, A. P.; Kimberley, M. R. J. Fluorine Chem. 2002, 118, 3-17; Barthel-Rosa, L. P.; Gladysz, J. A. Coord. Chem. Rev. 1999, 192, 587-605; Curran, D. P. Synlett 2001, 1488- 1496; 並びに米国特許第6,734,318号明細書、第6,727,390号明細書、第6,156,896号明細書、第5,859,247号明細書及び第5,777,121号明細書を参照のこと。たいていのこれらのタイプの分離法は、有機溶媒とカップリングしたフルオラスシリカ固相(フルオロカーボン結合相を有するシリカゲル)に頼る。
【0004】
1997年のその紹介以来、標準フルオラス固相抽出法は、有機分子からライトフルオラス分子を分離するのに広く有用であると分かった。例えば、Curran, D. P.; Hadida, S.; He, M. J. Org. Chein. 1997, 62, 6714-6715; Zhang, Q.; Luo, Z.; Curran, D. P. J Org. Chem. 2000, 65, 8866-8873を参照のこと。図1Aに示したように、有機化合物とフルオラス化合物とを分離する標準フルオラス固相抽出法において、有機化合物とフルオラス化合物の混合物を「フルオロ親和性」(フルオラス)シリカゲルに導入して、「フルオロ親和性の欠けた(fluorophobic)」(非フルオラス)溶媒により第1パス溶出を行う。極性有機溶媒(例えば、80〜100%のメタノール又はアセトニトリル水溶液)は、最も一般的なフルオロ親和性の欠けた溶媒である。この第1溶出の際、非タグ化有機化合物はカラムから素早く洗浄されるが、フルオラスタグ化化合物は保持される。次いで、「フルオロ親和性」溶媒(しばしば、Et2O又はTHF)による第2パス溶出により、フルオラス画分がカラムから洗浄される。
また、フルオラス溶媒又はフルオラス溶出流体は、有機非フルオラス化合物のクロマトグラフ分離における非フルオラス固定相と関連して使用されている。例えば、米国特許第5,824,225号明細書及び第5,968,368号明細書, J. A. Attaway, Journal of Chromatography 1967, 31, 231-3; M. Z. Kagan, Journal of Chromatography, A 2001, 918, 293-302; 並びにJ. A. Blackwell, L. E. Schallinger, Journal of Microcolumn Separations 1994, 6, 551-6を参照のこと。米国特許第5,824,225号明細書には、例えば溶出流体として低沸点(ヒドロ)フルオロカーボン及び(ヒドロ)フルオロカーボンエーテルを用いることが、溶出する化合物からそのような溶媒の除去を容易にできることが示されている。
【0005】
また、フッ素化溶出流体は、シリカゲルカラム中にヒドロキシル末端基を含む高フッ素化巨大分子を分離するために使用されている。これに関連して、欧州特許第538827号明細書及び第538828号明細書には、溶出剤として非極性フッ素化溶媒(例えば、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン)を用いる、ポリマーのヒドロキシル末端基と結合できる極性基を有する固定相(例えば、シリカゲル)を含むカラムにおいてペルフルオロポリオキシアルキレンの巨大分子混合物のクロマトグラフ分離が開示されている。
Matsuzawa及びMikamiは、シクロデキストリンがフルオラス化合物との包接化合物を形成し、β-又はγ-シクロデキストリンを充填したHPLCカラムを用いて、異なるペルフルオロアルキルタグRf(すなわち、-CF3、-C2F5、-C3F7、-C7F15又は-C9F19)でタグ化されたフッ素化エステル(C6H5CO2CH2Rf)を分離したことを示した(H. Matsuzawa, K. Mikami, Synlett 2002, 1607-12)。一般に、1つの有機化合物を異なる性質のタグでタグ化することによる、合成されたタグ化化合物の分離は、多くの分離技術によって達成できるが、ほとんど興味はない。シクロデキストリンとフルオラス化合物との間で形成される包接化合物は、分離で用いられるフルオラス溶媒とのシクロデキストリン複合体としてフルオラスシリカゲルを充填したカラムと同様にして操作するシリカゲルと結合したシクロデキストリンを充填したHPLCカラムを生じるかもしれない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フルオラス特性の違いに基づく有機化合物の種々の混合物の分離の有用性及び人気を高めるため、異なる有機化合物がそのフルオラス特性の違いに基づいて分離できる方法により、さらにフルオラス分離を発展させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要約)
1つの局面では、本発明は、少なくとも第1非フルオラス化合物と第2フルオラス化合物とを含む化合物の混合物から少なくとも第1非フルオラス化合物を分離する方法を提供する。前記方法は、前記化合物の混合物を非フルオラス固(固定)相に導入し、フルオラス溶出流体(移動相)で溶出することを含む。1つの実施態様では、非フルオラス固相は、自然状態で極性を有する。前記方法は、さらに適切な有機溶媒での第2相溶出を含んでもよい。
前記固定相では、混合物中のフルオラス化合物と複合体を形成するためのシクロデキストリンのような錯化剤を必要としない。
別の局面では、本発明は、化学反応を行う方法を提供し、前記方法は、少なくとも第1フルオラス化合物と第2化合物とを混合し、ここで第1フルオラス化合物はフルオラス特性において第2化合物と異なっており;第1混合物を、第1フルオラス化合物及び第2化合物の少なくとも1つを変換する条件に曝して、少なくとも第3化合物を含む第2混合物を与え、第2混合物を非フルオラス固相に導入し;そしてフルオラス流体で溶出することを含む。
【0008】
別の局面では、本発明は、少なくとも第2有機化合物を含む混合物から第1有機化合物を分離する方法を提供する。前記方法は、第1有機化合物をフルオラス反応成分と選択的に反応させて、フルオラス部分を第1有機化合物と結合させ、結果としてフルオラス化合物を生じさせ;そして前記混合物を非フルオラス固相に導入し、フルオラス流体で溶出することによって、第2有機化合物からフルオラス化合物を分離することを含む。
さらに別の局面では、本発明は、有機目的生成物を合成する方法を提供し、前記方法は、第1有機化合物を第1フルオラス反応成分と反応させて、フルオラス部分を第1有機化合物と結合させ、結果として第2フルオラス反応成分を生じさせ;第2フルオラス反応成分を、少なくとも1つの反応を含む反応スキームで、少なくとも第2有機化合物と反応させて、反応混合物中にフルオラス目的生成物を生成し;そして前記反応混合物を非フルオラス固相に導入し、フルオラス流体で溶出することによって、任意の過剰な第2有機化合物及び任意の有機副生成物からフルオラス目的生成物を分離することを含む。
【0009】
別の局面では、本発明は、化合物を分離する方法を提供し、前記方法は、少なくとも第1有機化合物を第1フルオラスタグ部分でタグ化して、結果として第1フルオラスタグ化化合物を生じさせ;少なくとも第2有機化合物を第1フルオラスタグ部分と異なる第2フルオラスタグ部分でタグ化して、結果として第2フルオラスタグ化化合物を生じさせ;そして第2フルオラスタグ化化合物を含む混合物を非フルオラス固相に導入し、フルオラス流体で溶出することによって、前記混合物から第1フルオラスタグ化化合物を分離することを含む。
別の局面では、本発明は、化合物を物理的に分離する方法を提供し、前記方法は、少なくとも第1有機化合物を第1フルオラスタグ部分でタグ化して、結果として第1フルオラスタグ化化合物を生じさせ;少なくとも第2有機化合物を第1フルオラスタグ部分と異なる第2フルオラスタグ部分でタグ化して、結果として第2フルオラスタグ化化合物を生じさせ;そして第2フルオラスタグ化化合物を含む混合物を非フルオラス固相に導入し、フルオラス流体で溶出することによって、前記混合物から第1フルオラスタグ化化合物を物理的に分離することを含む。
【0010】
さらに別の局面では、本発明は、化合物を物理的に分離する方法を提供し、前記方法は、複数の有機化合物を複数のフルオラスタグ部分でタグ化して、結果として複数のフルオラスタグ化化合物を生じさせ、ここで各フルオラスタグ部分は異なっており;そしてフルオラスタグ化化合物の混合物を非フルオラス固相に導入し、フルオラス流体で溶出することによって、複数のフルオラスタグ化化合物のうち少なくとも1つを、異なるタグでタグ化された他のフルオラス化合物から物理的に分離することを含む。
さらに別の局面では、本発明は、化学反応を行う方法を提供し、前記方法は、複数の化合物を異なるフルオラスタグ部分でタグ化して、フルオラスタグ化化合物を生成し、少なくとも1つの化学反応をフルオラスタグ化化合物について行って、フルオラスタグ化生成物の混合物を生成し、そしてフルオラスタグ化生成物の混合物を非フルオラス固相に導入し、フルオラス流体で溶出することによって、フルオラスタグ化生成物のうち少なくとも1つを、前記混合物から分離することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のフルオラス溶出流体は、例えば個々のフルオラス流体又はフルオラス流体の混合物であってもよい。多くのフルオラス溶媒が市販されており、これらの溶媒としては、ペルフルオロアルカン(例えば、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロメチルシクロヘキサン)、ペルフルオロエーテル(例えば、ペルフルオロブチルテトラヒドロフラン)、ペルフルオロアミン(例えば、ペルフルオロトリブチルアミン)などが挙げられる。多くのフルオラス溶媒及び流体は、セントポール(ミネソタ)のミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング社から入手できるFLUORINERT(商標)(例えば、FC-72、FC-75など)、ランカシア(イギリス)のF2ケミカルズ社から入手できるFLUTEC(商標)及びミラノ(イタリア)のAusimont S. P. A.から入手できるGALDEN(商標)のような商品名で市販される性能流体混合物である。代表的なフルオラス溶媒の例及び説明は、L. P. Barthel-Rosa, J. A. Gladysz, Coord. Chem. Rev. 1999, 192, 587-605において見つけることができる(その開示は参照により本明細書に組み込まれるものとする)。また、高フッ素化炭化水素、エーテル(例えば、ペルフルオロブチルエチルエーテル)、アミン、ハロゲン化物(例えば、ペルフルオロオクチルブロミド(「オキシゲント」と呼ばれる。))も有用である。個々のフルオラス流体又はフルオラス流体の混合物は、優先的には分子量で50%よりも多いフッ素であり(流体の個々の成分の加重平均によって決定される)、より優先的には分子量で60%よりも多いフッ素である。
【0012】
また、フルオラス溶出流体は、共溶媒若しくは共溶媒の混合物とともに加えた個々のフルオラス流体又はフルオラス流体の混合物であってもよい。共溶媒は、高極性フルオラス溶媒(酸、アルコール)、ハイブリッド溶媒又は有機溶媒から選ばれる。共溶媒の目的は、分離のフルオラス特性を実質的に変えることなく、1又は2以上の分離される化合物のRfを変更することである。一般に、フルオラス溶媒は、非極性であり、そのため共溶媒の機能の1つは、非フルオラス固相での混合物の1又は2以上の成分のRfを増加させることである。したがって、共溶媒は、典型的にはフルオラス溶媒よりも大きい極性を有する。極性フッ素化アルコール(例えば、2,2,2-トリフルオロエタノール及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール)、酸(例えば、トリフルオロ酢酸及びペンタフルオロプロピオン酸)及び関連したフッ素化極性分子は、有用な共溶媒である。また、ベンゾトリフルオリド及び1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタンのような他のいわゆる「ハイブリッド」(しばしば「両親媒性物質」と呼ばれる)溶媒も有用である。液体又は超臨界二酸化炭素も共溶媒として使用できる。また、従来の有機溶媒も有用である。好ましい有機溶媒としては、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、炭化水素(例えば、ヘキサン、トルエン)及びクロロカーボン(例えば、ジクロロメタン)のような非極性又は中程度の極性をもつ溶媒などが挙げられる。共溶媒の好ましい量は、フルオラス溶媒に対して50体積%未満であり、より好ましい量は、40体積%未満である。フルオラス溶出流体は、一般に1つの流体相であるべきであり、多くの場合、有機溶媒の量はフルオラス流体におけるその混和性によって制限される。極性有機溶媒(例えば、DMF、メタノール、アセトニトリル、DMSO)は、極性非フルオラス固定相で多くの化合物のRfを大きく増加させ、多くのフルオラス流体での溶解性を低くするために、好ましくない。しかしながら、それらは、いくつかの分離について少量で用いることができる(典型的には、5体積%未満)。また、水は、時として少量で使用できる(典型的には、5体積%未満)。例えば、共溶媒は、一般に市販のソースから使用され、乾燥についての特別な措置は必要ではない。
【0013】
本発明の好ましい非フルオラス固相は、極性を有し、多くの通常のクロマトグラフ固定相から選ばれる。多くの多孔質若しくはメソ多孔性無機酸化物若しくはポリマー、又はこれらの化学結合相は有用である。典型的な非フルオラス固相の例としては、シリカゲル(種々の形態で、種々の商品名で市販されている。)、アルミナ(しばしば酸化アルミニウムと呼ばれる。)、チタニア、又はジルコニアなどが挙げられる。シリカゲル及び関連媒体の極性化学結合相も有用である。そのような化学結合相としては、例えばヒドロキシ基、アミノ基、アンモニウム基、スルホナート基、カルボキシル基及びニトリル基などの多くの極性基などが挙げられる。モートングローヴ(イリノイ)のレジステクノロジーズ社から入手可能なWhelk-O相など及び大阪(日本)のダイセル化学工業(株)から入手可能なCHIRALCEL相のような通常のキラル固定相も有用である。好ましくないが、時には有用である固定相としては、炭化水素化学結合相を有する逆相シリカゲルのようなシリカゲルの非極性化学結合相などが挙げられる。フルオラス特性を有する固定相(例えば、フルオラスシリカゲル)は、一般に本発明で用いるのに望ましくない。
本明細書に用いられる「フルオラス」という用語は、有機(炭素含有)分子、部分又は基に関連して用いられる場合、一般的に炭素-フッ素結合を多く含んだ領域を有する有機分子、部分又は基又はその一部を意味する(例えば、フルオロカーボン、フルオロヒドロカーボン、フッ化エーテル及びフッ化アミン)。本明細書に用いられる「ペルフルオロカーボン」という用語は、一般に炭素原子に結合した水素原子全部がフッ素原子で置き換えられた有機化合物を意味する。「フルオロヒドロカーボン」及び「ヒドロフルオロカーボン」という用語は、炭素原子に結合した少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置き換えられた有機化合物を含んでいる。本発明で用いる好ましいフルオロヒドロカーボン及びフルオロヒドロカーボン基は、すべての水素について約2以上のフッ素を有する。フルオラス部分の有機化合物への結合は、米国特許第6,734,318号明細書、第6,727,390号明細書、第6,156,896号明細書、第5,859,247号明細書及び第5,777,121号明細書に記載されている(これらの開示は参照により本明細書に含まれるものとする)。
【0014】
本明細書に用いられる「フルオラスタグ」という用語は、一般にフルオラス部分又は基(「フルオラスタグ部分」又は「フルオラスタグ基」と呼ぶ。)を化合物に結合して「フルオラスタグ化化合物」を得ることを意味する。好ましくは、フルオラスタグ部分は共有結合によって結合する。しかしながら、イオン結合又はキレート化のような他の強力な結合を用いることもできる。本発明の逆フルオラス固相抽出分離のある特定の実施態様で使用されるフルオラスタグ部分は、フルオラス特性(例えば、フッ素含有量、フルオラス領域の大きさ及び/又はフルオラス領域の構造)において異なるフルオラス部分であってもよい。ある特定の場合では、フルオラスタグ部分は保護基である。
本明細書に用いられる「固相抽出」(spe)という用語は、一般に化合物の混合物を固体固定相に導入する液-固分離法を意味する。次いで、導入した混合物は、流体(例えば、溶媒又は溶媒混合物)を用いて溶出される。前記混合物の1又は複数の成分は固相から溶出されるが、別の成分は保持される。
別の液体による追加の溶出が、追加の成分を溶出するために、しばしば行われる。本発明の逆フルオラス法は固相抽出設定で一般的に説明されているが、それが、非フルオラス固定相を用いる実質的に如何なるタイプの液-固クロマトグラフィに等しく適用できることは、当業者にとって明らかであろう。その例としては、これに限定されるものではないが、カラムクロマトグラフィ、フラッシュクロマトグラフィ、ペーパークロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、中圧液体クロマトグラフィ(mplc)及び高速液体クロマトグラフィ(hplc)などが挙げられる。これらの、及び他の一般的な方法は、例えばC. MeloanによるChemical Separations (Wiley-Interscence, 1999)及びC. F. PooleによるThe Essence of Chromatography (Elsevier, 2003)に記載されている(こられの開示は参照により本明細書に組み込まれるものとする)。
本発明は、その特性及び付随するものとともに、添付図面と関連して理解される以下の詳細な説明から最もよく認識及び理解されるであろう。
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明のフルオラス分離法では、固体の固定相はフルオロ親和性の欠けた(非フルオラス)特性を有するが、液体の移動相はフルオロ親和性(フルオラス)特性を有する。図1Bに示されるような1つの実施態様では、逆フルオラス固相抽出は、例えば有機及びフルオラス化合物(例えば、フルオラスタグ化化合物)の混合物の非フルオラス極性固相への導入を含む。フルオラス液相による第1パス溶出はカラムからフルオラス画分を溶出するが、有機画分を後に残す。所望ならば、適した有機溶媒による第2相溶出は有機画分を溶出できる。
フルオラス溶媒は、クロマトグラフプロセスにおいて限られた様式でのみ使用されるので、最初に、単純薄層クロマトグラフ(TLC)実験を、フルオラスエステル1a−dで行って溶媒及び固相の組合せを評価した。TLCプレートと種々のフルオラス溶媒とのいくつかの組合せを調べた。調べたTLCプレートには、標準シリカゲル(メルクから入手可能なSilica Gel 60 F254)、ベースコートシリカゲル(富士シリシア化学株式会社から入手可能なNH-DM1020)、C18-シリカゲル(メルクから入手可能なC18-Silica Gel 60 F254)、酸化アルミニウム(メルクから入手可能なAluminum oxide 150 F254)及びαセルロース(ANALTECHから入手可能なAVICEL F Microcrystalline Cellulose)が含まれる。調べたフルオラス溶媒には、FC-72(ペルフルオロヘキサンの混合物)、c-C6F11CF3、C4F9OMe、ベンゾトリフルオリド(BTF; C6H5CF3)及びヘキサフルオロイソプロパノールが含まれる。例えば、標準シリカゲルと、FC-72/Et2O又はFC-72/ヘキサフルオロイソプロパノール混合物との組合せが良い分離及び便利なRf値を与えることを見出し、これらの組合せを後の研究で使用した。Rfはクロマトグラフ保持因子である。その点において、TLCにおける化合物の保持因子Rfは、化合物が伝わる距離を溶媒先端が伝わる距離で割ったものとして定義される。保持因子Rfは、フルオラス部分又は基(本発明の研究においてペルフルオロアルキル基)を表す化学置換基表記Rf(以下で考察される)と混同されるべきではない。
【0016】
図2は、2/1 FC-72/Et2Oによって溶出される標準シリカゲルTLCプレートについてフッ素化安息香酸エステル(1a-d)のRfを示す。予想されるように、前記エステルのRfはそのフッ素含有量とともに増加する。これは、極性有機溶媒によって溶出するフルオラスシリカゲルについてのその振る舞いと逆である。フルオラスエステル1a-cは、非フルオラスメチルエステル1dよりも明らかに高いRfを有する。
標準有機溶媒による対照TLC実験は、フルオラス溶媒混合物を標準シリカゲルとともに用いることの固有の特徴を示した(図3参照)。例えば、標準シリカについてフルオラスエステル1aとトリフェニルホスフィンとの混合物の100%ヘキサンによる溶出は、トリフェニルホスフィンが2つの化合物の内より極性が低い方であることを示した(Rf:PPh3, 0.30;1a, 0.24)。100%ヘキサンでのRfは、おそらくシリカゲルの水分含量の結果として変動する。しかしながら、相対的な極性の大きさは変わらない。同じ混合物をシリカTLCプレートについて2/1 FC-72/Et2Oにより溶出した場合、1aのRfは0.68に増加したが、PPh3のRfは0.03に劇的に減少した。この減少は、トリフェニルホスフィンの「親フルオロ性(fluorophobicity)」を反映する(トリフェニルホスフィンはFC-72における溶解度が低い又はFC-72に溶解しない)。フルオラス溶媒によって与えられる分離は、固有であり、シリカTLC及びクロマトグラフィ実験で使用される一般的な有機溶媒によって再現できない。
【0017】
また、逆フルオラス固相抽出によるフルオラス化合物と有機化合物との混合物の予備分離を調べた。Ryu及びその共同研究者たちは、アリルペルフルオロアルカンを得るために、ヨウ化ペルフルオロアルキル(RfI)のアリルスタンナンによるアリル化を記載する(Ryu, I.; Kreimerman, S.; Niguma, T.; Minakata, S.; Komatsu, M.; Luo, Z.; Curran, D. P. Tetrahedron Lett. 2001, 42, 947-950(その開示は参照により本明細書に組み込まれるものとする))。その研究では、目的アリル化生成物(フルオラス)を標準フルオラス固相抽出によりスズ残留物(有機)から分離した。精製を含む同様の反応の組を逆フルオラス固相抽出により行った。12の実験の結果を図4にまとめる。
図4の研究における逆フルオラス固相抽出の典型的な手順では、ヨウ化ペルフルオロデシルのようなヨウ化ペルフルオロアルキル(RfI, 323mg, 0.5mmol)、アリルトリブチルスズ(330mg, 1mmol)、AIBN(9mg, 0.05mmol)及びヘキサン(5ml)をアルゴン雰囲気下でフラスコに入れ、混合物を5時間還流した。蒸発により揮発性成分を除去した後、混合物を逆フルオラス固相抽出による分離に供した。短いカラムに標準シリカゲル(6.0g)を詰め、溶媒としてFc-72/Et2O(2/1)を用いた。次いで、粗製の反応混合物をこのカラムに導入し、20mlのFC-72/Et2O(2/1)で溶出して97%の収率で3-(ペルフルオロデシル)プロパ-1-エンを得た(271mg)。同様の反応及び分離後、アリル化生成物2a-d、3a-d及び4a-dを69〜93%の範囲の収率で単離した。これらの生成物の核磁気共鳴(NMR)スペクトルは純粋であり、ガスクロマトグラフィ(GC)又は高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)純度はすべての場合に90%を超えた。生成物の純度は、R=H又はR=Meの場合にはGCによって決定し、R=Phの場合にはHPLC(Nova Pak(商標) Silica, 254nmUV検出)によって決定した。
【0018】
逆speが多段階の処理(sequences)を精製するために使用できることを示すために、図5に示されるアリル化及びニトリル酸化物付加環化の連続処理(sequence)を行った。5つのヨウ化物を上記のようにアリル化し、過剰のベンズアルデヒドオキシムを含む酸化的条件下で粗製の生成物を直接ニトリル酸化物付加環化に供した。Naji, N.; Soufiaoui, M.; Moreau, P. J. Fluorine Chem. 1996, 79, 179-183を参照のこと(その開示は参照により本明細書に組み込まれるものとする)。標準有機溶媒を用いる粗製の生成物のTLC分析は、複数のスポットを示し、クロマトグラフ精製が困難であることを示している。対照的に、2/1 FC-72/エーテルによるTLC実験は目的生成物に起因する起源の上にただ1つのスポットを示した(Rf〜0.2)。逆フルオラスspeにより、48〜68%の収率で純粋なイソキサゾリン5a-eを得た。
図3におけるTLC実験は、逆フルオラスspeがフルオラス化合物からのトリフェニルホスフィン及びその誘導酸化物の除去に有用であることを示唆する。これを示すために、限られた量の4つのフルオラスアルコール6a-d(0.5mmol)を過剰(0.75mmol)の酪酸、トリフェニルホスフィン及びAldrichthiol(商標)-2(二硫化2,2-ジピリジル)と反応させた。Mukaiyama, T.; Matsueda, R.; Suzuki, M. Tetrahedron Lett. 1970, 22, 1901-1904を参照のこと(その開示は参照により本明細書に組み込まれるものとする)。還流するベンゼン中での24時間の反応後、冷却及び逆フルオラス固相抽出により、生成物7a-7dを62〜85%収率で得た(試薬及び試薬誘導副生成物はない(図6参照))。
【0019】
また、逆フルオラス固相抽出手順を、図7に示すような3つの異なるフルオラスBoc基を有する窒素で保護されたイソニペコ酸の標準アミドカップリング反応に適用した。そのような反応は、Luo, Z.; Williams, J.; Read, R. W.; Curran, D. P. J. Org. Chem. 2001, 66, 4261-4266及びTabuchi, S.; Itani, H.; Sakata, Y.; Oohashi, H.; Satoh, Y. Bio. & Med. Chem. Lett. 2002, 12, 1171-1175に記載されている(その開示は参照により本明細書に組み込まれるものとする)。8a-c(0.06mmol)と過剰のテトラヒドロイソキノリン(0.24mol)とのカップリングを、CHCl3(1mL)中のEDCI、HOBt及びEt3Nにより標準条件下で行った。混合物を濃縮し、1gのシリカゲルに導入した。5mLのFC-72/ヘキサフルオロイソプロパノール(5/1)による溶出により、93〜96%のhplc純度を有する72〜81%の収率で生成物9a-cを得た。前記生成物の純度は、254nmUV検出でのHPLC(Nova Pak(商標)Silica)によって決定した。未反応又は消費した試薬及び反応副生成物は、これらの生成物のいずれの1H NMRスペクトルにおいても明らかではなかった。小さいC4F9フルオラスタグを有する基質8aによる良好な結果は、これらのタグが標準フルオラス固相抽出による信頼性のある分離のためには小さすぎると通常考えられるために、特に注目すべきである。試薬及び反応物の相対的な極性の大きさは、9aによる成功に寄与する場合がある。
本発明の逆フルオラス固相抽出法は、ルーチン的に回収及び再利用されるフルオラス溶媒とともに安価なシリカゲルを容易に使用できる。いくつかの有用な溶媒条件は上記で特定され、これらの、及び他のものは単純薄層クロマトグラフィ(TLC)実験によって容易に評価できる。フルオラス生成物は最初に溶出するために、前記方法は、フルオラス生成物が与えられた反応の目的生成物である場合、特に有用である。フルオラス生成物は、例えばフルオラスタグ法(例えば、図7に示されるような)及び高フッ素化分子の合成(例えば、図4に示されるような)において目的生成物である。逆フルオラス固相抽出は、極性を有する有機成分を選択することによって促進される。なぜなら、これらはシリカゲルに自然によく保持されるからである。フラッシュクロマトグラフ及びHPLC分離への拡張は容易に達成される。
【実施例】
【0020】
(実験例)
(一般)
すべての融点は補正されていない。試薬は、アルドリッチ社から入手したまま使用した。1H及び19F NMRスペクトルは、内部標準としてTMS又はCHCl3を含むCDCl3で測定した。2-メチルアリルトリブチルスズ及び2-フェニルアリルトリブチルスズを公知の手順で調製した。Keck, G. E.; Enholm, E. J.; Yates, J. B.; Wiley, M. R. Tetrahedron, 1985, 41, 4079-4094及びTanaka, H.; Hai, A. K. M. A.; Ogawa, H.; Torii, S. Synlett, 1993, 835-836を参照のこと(その開示は参照により本明細書に組み込まれるものとする)。フルオラスベンゾアート1a-cを、対応するフルオロアルコールと塩化ベンゾイルとの縮合によって調製した。フルオラスアルケン2a-b、2d、3a-b、3d、4a、フルオラスエステル7c及びフルオラスアミド9cは公知の化合物である。Matsuzawa, H.; Mikami, K. Synlett, 2002, 1607-1612; Ryu, I.; Kreimerman, S.; Niguma, T.; Minakata, S.; Komatsu, M.; Luo, Z.; Curran, D. P. Tetrahedron Lett. 2001, 42, 947-950; Umemoto, T.; Kuriu, Y.; Nakayama, S. Tetrahedron Lett. 1982, 23, 1169-1172; Kondou, H.; Kawana, T.; Yatagai, H. Pat. Specif. (Aust.) (1989), 56 pp. CAN 112:170785;及びLuo, Z.; Williams, J.; Read, R. W.; Curran, D. P. J. Org. Chem. 2001, 66, 4261-4266を参照のこと(その開示は参照により本明細書に組み込まれるものとする)。2a-d及び3a-dの純度はGCによって決定した。4a-dの純度はHPLCによって決定した。
【0021】
安息香酸 2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ノナデカフルオロデシル エステル 1a
無色固体; mp 52.5-53.0 ℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.84 (t, 2H, J = 13.3 Hz), 7.50 (t, 2H, J = 7.9 Hz), 7.64 (t, 1H, J = 7.9 Hz), 8.08 (d, 2H, J = 7.2 Hz); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) -124.9 (2F), -121.9 (2F), -121.5 (2F), -120.6 (8F), -118.0 (2F), -79.5 (3F)。
【0022】
安息香酸 2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロオクチル エステル 1b
無色油; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.84 (t, 2H, J = 13.3 Hz), 7.50 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 7.64 (t, 1H, J = 7.6 Hz), 8.08 (d, 2H, J = 7.3 Hz); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-124.9 (2F), -121.9 (2F), -121.5 (2F), -120.7 (4F), -118.0 (2F), -79.6 (3F)。
【0023】
安息香酸 2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル エステル 1c
無色油; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.82 (t, 2H, J = 13.2 Hz), 7.49 (t, 2H, J = 7.5 Hz), 7.63 (t, 1H, J = 7.5 Hz), 8.08 (d, 2H, J = 7.4 Hz); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-126.3 (2F), -119.1 (2F), -79.6 (3F)。
【0024】
(実施例1)
逆フルオラス固相抽出による3-(ペルフルオロアルキル)プロパ-1-エンの調製のための典型的な手順
アルゴン雰囲気下、ヨウ化ペルフルオロオクチル(272mg, 0.5mmol)、トリブチルアリルスタンナン(330mg, 1.0mmol)及びAIBN(9mg, 10mol%)を5mLのヘキサンに溶解した。80℃で5時間攪拌した後、反応混合物を冷却し、濃縮し、6gの標準シリカゲルを含むカラムに導入した。前記カラムを20mLのFC-72/ジエチルエーテル(2/1)で溶出し、溶媒を蒸発させて無色油として2a(189mg, 82%)を得た。
【0025】
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロウンデカ-1-エン 2a
無色油(82%収率, 95.1% GC純度); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ2.86 (dt, 2H, J = 18.2, 6.7 Hz), 5.35 (m, 2H), 5.80 (m, 2H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-125.2 (2F), -122.4 (2F), -121.9 (2F), -120.7 (6F), -112.1 (2F), -79.4 (3F)。
【0026】
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13-ヘンエイコサフルオロトリデカ-1-エン 2b
無色油(97%収率, 97.0%純度); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ2.86 (dt, 2H, J = 18.2, 6.7 Hz), 5.36 (m, 2H), 5.81 (m, 2H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-124.8 (2F), -121.9 (2F), -121.6 (2F), -120.6 (10F), -112.1 (2F), -79.5 (3F)。
【0027】
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,15,15,15-ペンタコサフルオロペンタデカ-1-エン 2c
無色固体(89%収率, 94.5%純度); mp 74.5-75.0℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ2.86 (dt, 2H, J = 18.3, 6.9 Hz), 5.35 (m, 2H), 5.81 (m, 2H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-124.9 (2F), -121.9 (2F), -121.5 (2F), -120.5 (14F), -112.0 (2F), -79.5 (3F); HRMS (EI) C15H5F25 (M+)についての計算値: 659.9992。測定値: 659.9996。
【0028】
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,11,11,11-ヘキサデカフルオロ-10-トリフルオロメチルウンデカ-1-エン 2d
無色油(86%収率, 92.2%純度); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ2.86 (dt, 2H, J = 18.3, 6.9 Hz), 5.36 (m, 2H), 5.81 (m, 2H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-184.8 (1F), -121.9 (2F), -120.3 (4F), -119.6 (2F), -113.8 (2F), -112.1 (2F), -70.8 (6F)。
【0029】
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロ-2-メチルウンデカ-1-エン 3a
無色油(69%収率, 純度); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ1.96 (s, 3H), 2.94 (t, 2H, J = 19.1 Hz), 5.06 (s, 1H), 5.19 (s, 1H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-125.1 (2F), -122.2 (2F), -121.5 (2F), -120.7 (6F), -111.5 (2F), -79.5 (3F)。
【0030】
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13-ヘンエイコサフルオロ-2-メチルトリデカ-1-エン 3b
無色固体(89%収率, 92.0%純度); mp 49.5-51.5℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ1.88 (s, 3H), 2.79 (t, 2H, J = 19.4 Hz), 4.98 (s, 1H), 5.11 (s, 1H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-124.9 (2F), -122.0 (2F), -121.7 (2F), -120.6 (10F), -111.7 (2F), -79.5 (3F)。
【0031】
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,15,15,15-ペンタコサフルオロ-2-メチルペンタデカ-1-エン 3c
無色アモルファス(75%収率, 91.3%純度); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ1.88 (s, 3H), 2.79 (t, 2H, J = 19.1 Hz), 4.98 (s, 1H), 5.11 (s, 1H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-124.8 (2F), -122.0 (2F), -121.5 (2F), -120.5 (14F), -111.5 (2F), -79.5 (3F)。
【0032】
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,11,11,11-ヘキサデカフルオロ-2-メチル-10-トリフルオロメチルウンデカ-1-エン 3d
無色アモルファス(84%収率, 92.0%純度); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ1.88 (s, 3H), 2.79 (t, 2H, J = 19.3 Hz), 4.97 (s, 1H), 5.11 (s, 1H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-185.0 (1F), -122.4 (2F), -120.5 (4F), -119.6 (2F), -113.9 (2F), -111.8 (2F), -70.8 (6F)。
【0033】
[1-(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-ヘプタデカフルオロノニル)ビニル]ベンゼン 4a
無色アモルファス(93%収率, 97.5%純度); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ3.29 (t, 2H, J = 18.6 Hz), 5.39 (s, 1H), 5.65 (s, 1H), 7.29-7.42 (m, 5H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-124.9 (2F), -122.1 (2F), -121.5 (2F), -120.7 (4F), -120.4 (2F), -111.2 (2F), -79.5 (3F); HRMS (EI) C17H9F17 (M+)についての計算値: 536.0432。測定値: 536.0408。
【0034】
[1-(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘンエイコサフルオロウンデシル)ビニル]ベンゼン 4b
無色固体(93%収率, 97.5%純度); mp 57.0-58.0℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ3.30 (t, 2H, J = 18.6 Hz), 5.39 (s, 1H), 5.65 (s, 1H), 7.27-7.43 (m, 5H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-125.3 (2F), -122.1 (2F), -121.5 (2F), -120.6 (10F), -111.2 (2F), -79.5 (3F); HRMS (EI) C19H9F21 (M+)についての計算値: 636.0369。測定値: 636.0344。
【0035】
[1-(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13-ペンタコサフルオロトリデシル)ビニル]ベンゼン 4c
無色固体(90%収率, 90.8%純度); mp 81.5-82.5℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ3.30 (t, 2H, J = 18.7 Hz), 5.39 (s, 1H), 5.65 (s, 1H), 7.31-7.42 (m, 5H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-124.9 (2F), -122.4 (2F), -121.8 (2F), -120.5 (14F), -111.2 (2F), -79.5 (3F); HRMS (EI) C21H9F25 (M+)についての計算値: 736.0305。測定値: 736.0342。
【0036】
[1-(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,9,9,9-ヘキサデカフルオロ-8-トリフルオロメチルノニル)ビニル]ベンゼン 4d
無色アモルファス(86%収率, 99.4%純度); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ3.29 (t, 2H, J = 18.5 Hz), 5.39 (s, 1H), 5.65 (s, 1H), 7.29-7.43 (m, 5H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-184.9 (1F), -122.3 (2F), -120.3 (4F), -119.6 (2F), -113.8 (2F), -111.2 (2F), -70.7 (6F); HRMS (EI) C18H9F19 (M+)についての計算値: 586.0401。測定値: 586.0401。
【0037】
(実施例2)
逆フルオラス固相抽出による5の調製のための典型的な手順
アルゴン雰囲気下、ヨウ化ペルフルオロオクチル(272mg, 0.5mmol)、トリブチルアリルスタンナン(330mg, 1.0mmol)及びAIBN(9mg, 10mol%)を5mLのヘキサンに溶解した。80℃で5時間攪拌した後、反応混合物を冷却し、濃縮し、ジエチルエーテル(10ml)に加えた。この反応混合物に、ベンズアルデヒドオキシム(363mg, 3.0mmol)及び次亜塩素酸ナトリウム(10ml, 利用可能な塩素10〜13%)を-10℃で加え、23℃で24時間激しく攪拌した。有機層を分離し、真空で濃縮した後、残留物を、8gの標準シリカゲルを含むカラムに導入した。前記カラムを70mLのFC-72/ジエチルエーテル(3/1)で溶出し、溶媒を蒸発させて無色固体として5b(197mg, 68%)を得た。
【0038】
5-(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロオクチル)-3-フェニル-4,5-ジヒドロ-イソオキサゾール 5a
無色固体(62%収率); mp 91.0-92.0℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ2.45 (m, 1H), 2.76 (m, 1H), 3.19 (m, 1H), 3.62 (m, 1H), 5.14 (m, 1H), 7.43 (m, 3H), 7.69 (dd, 2H, J = 7.5, 1.9 Hz); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-125.0 (2F), -122.3 (2F), -121.5 (2F), -120.9 (2F), -120.4 (2F), -111.4 (2F), -79.6 (3F); HRMS (EI) C17H10F15NO (M+)についての計算値: 529.0520。測定値: 529.0523。
【0039】
5-(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-ヘプタデカフルオロノニル)-3-フェニル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール 5b
無色固体(68%収率); mp 100.5-101.0℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ2.45 (m, 1H), 2.78 (m, 1H), 3.22 (m, 1H), 3.60 (m, 1H), 5.11 (m, 1H), 7.44 (m, 3H), 7.69 (d, 2H, J = 7.5 Hz); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-124.9 (2F), -122.2 (2F), -121.5 (2F), -120.7 (4F), -120.4 (2F), -111.3 (2F), -79.5 (3F); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ36.3, 41.0, 74.2, 105-120 (m, C8F17), 126.8, 129.0, 130.6, 156.8。
【0040】
5-(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,9,9,9-ヘキサデカフルオロ-8-トリフルオロメチルノニル)-3-フェニル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール 5c
無色固体(63%収率); mp 89.0-90.0℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ2.46 (m, 1H), 2.80 (m, 1H), 3.20 (m, 1H), 3.65 (m, 1H), 5.11 (m, 1H), 7.45 (m, 3H), 7.69 (m, 2H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-184.9 (1F), -122.2 (2F), -120.3 (4F), -119.5 (2F), -113.8 (2F), -111.4 (2F), -70.6 (6F); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ36.2, 41.0, 74.2, 105-120 (m, C8F17), 126.8, 128.9, 130.6, 156.8; HRMS (EI) C19H10F19NO (M+)についての計算値: 629.0486。測定値: 629.0459。
【0041】
5-(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘンエイコサフルオロウンデシル)-3-フェニル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール 5d
無色固体(55%収率); mp 120.0-121.0℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ2.46 (m, 1H), 2.80 (m, 1H), 3.20 (m, 1H), 3.60 (m, 1H), 5.10 (m, 1H), 7.44 (m, 3H), 7.68 (m, 2H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-124.9 (2F), -122.2 (2F), -121.5 (2F), -120.5 (10F), -111.4 (2F), -79.5 (3F); HRMS (EI) C20H10F21NO (M+)についての計算値: 679.0452。測定値: 679.0427。
【0042】
5-(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13-ペンタコサフルオロトリデシル)-3-フェニル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール 5e
無色固体(55%収率); mp 144.0-144.5℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ2.45 (m, 1H), 2.79 (m, 1H), 3.20 (m, 1H), 3.61 (m, 1H), 5.11 (m, 1H), 7.44 (m, 3H), 7.69 (m, 2H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-124.9 (2F), -122.2 (2F), -121.5 (2F), -120.5 (14F), -111.3 (2F), -79.5 (3F); HRMS (EI) C22H10F25NO (M+)についての計算値: 779.0359。測定値: 779.0363。
【0043】
(実施例3)
逆フルオラス固相抽出による7の調製のための典型的な手順
アルゴン雰囲気下、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクタン-1-オール 6a(182mg, 0.5mmol)、酪酸(66mg, 0.75mmol)、トリフェニルホスピン(197mg, 0.75mmol)及びAldrithiol(商標)-2(165mg, 0.75mmol)を5mLのベンゼンに溶解した。80℃で24時間攪拌した後、反応混合物を冷却し、濃縮し、6gの標準シリカゲルを含むカラムに導入した。前記カラムを20mLのFC-72/ジエチルエーテル(2/1)で溶出し、溶媒を蒸発させて無色油として7a(185mg, 85%)を得た。
【0044】
酪酸 3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル エステル 7a
無色油(85%収率); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.96 (t, 3H, J = 7.4 Hz), 1.66 (m, 2H), 2.32 (t, 2H, J = 7.4 Hz), 2.50 (m, 2H), 4.39 (t, 2H, J = 6.5 Hz); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-125.0 (2F), -122.4 (2F), -121.7 (2F), -120.7 (2F), -112.5 (2F), -79.5 (3F); HRMS (EI) C12H11F13O2 (M+)についての計算値: 434.0541。測定値: 434.0551。
【0045】
酪酸 2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロオクチル エステル 7b
無色油(62%収率); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.98 (t, 3H, J = 7.4 Hz), 1.67 (m, 2H), 2.41 (t, 2H, J = 7.4 Hz), 4.60 (t, 2H, J = 13.6 Hz); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-124.9 (2F), -122.1 (2F), -121.5 (2F), -120.8 (4F), -118.3 (2F), -79.5 (3F); HRMS (EI) C12H9F15O2 (M+)についての計算値: 470.0383。測定値: 470.0363。
【0046】
酪酸 2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ノナデカフルオロデシル エステル 7c
無色油(63%収率); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.98 (t, 3H, J = 7.4 Hz), 1.67 (m, 2H), 2.41 (t, 2H, J = 7.4 Hz), 4.60 (t, 2H, J = 13.6 Hz); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-124.9 (2F), -122.1 (2F), -121.5 (2F), -120.7 (8F), -118.3 (2F), -79.5 (3F)。
【0047】
酪酸 2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11-エイコサフルオロウンデシル エステル 7d
無色固体(66%収率); mp 32.0-33.0℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ0.98 (t, 3H, J = 7.4 Hz), 1.70 (m, 2H), 4.60 (t, 2H, J = 13.7 Hz), 6.07 (m, 1H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-135.8 (2F), -128.0 (2F), -122.1 (4F), -120.6 (10F), -118.3 (2F); HRMS (EI) C15H10F20O2 (M+)についての計算値: 602.0369。測定値: 602.0361。
【0048】
(実施例4)
逆フルオラス固相抽出による9の調製のための典型的な手順
アルゴン雰囲気下、ピペリジン-1,4-ジカルボン酸モノ(4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロ-1,1-ジメチルヘプチル) エステル 8a(27.7mg, 0.06mmol)、EDCI(17.3mg, 0.09mmol)、HOBT(12.2mg, 0.09mmol)及びトリエチルアミン(12.5μl, 0.09mmol)を1mLのクロロホルムに溶解した。23℃で16時間攪拌した後、反応混合物を濃縮し、1gの標準シリカゲルを含むカラムに充填した。前記カラムを5mLのFC-72/ヘキサフルオロイソプロパノール(5/1)で溶出し、溶媒を蒸発させて無色固体として9a(27.0mg, 81%)を得た。
【0049】
4-(3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-カルボニル)ピペリジン-1-カルボン酸 4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロ-1,1-ジメチルヘプチル エステル 9a
無色固体(81%収率, 96.0%純度); mp 83.5-84.0℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ1.55 (s, 6H), 1.74 (bs, 4H), 2.05-2.18 (m, 4H), 2.78-3.00 (m, 5H), 3.74 (t, 1H, J = 5.9 Hz), 3.84 (bs, 1H), 4.15 (m, 2H), 4.69 (s, 1H), 4.71 (s, 1H), 7.15-7.27 (m, 4H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-124.8 (2F), -123.0 (2F), -113.3 (2F), -79.8 (3F)。
【0050】
4-(3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-カルボニル)ピペリジン-1-カルボン酸 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-1,1-ジメチルノニル エステル 9b
無色固体(74%収率, 96.2%純度); mp 97.0-97.5℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ1.51 (s, 6H), 1.74 (bs, 4H), 2.06-2.18 (m, 4H), 2.84-2.95 (m, 5H), 3.74 (t, 1H, J = 5.9 Hz), 3.85 (bs, 1H), 4.16 (m, 2H), 4.69 (s, 1H), 4.71 (s, 1H), 7.17-7.27 (m, 4H); 19F NMR (272 MHz, CDCl3) δ-124.9 (2F), -122.0 (2F), -121.6 (2F), -120.7 (2F), -113.1 (2F), -79.6 (3F)。
【0051】
4-(3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-カルボニル)ピペリジン-1-カルボン酸 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11-ヘプタデカフルオロ-1,1-ジメチル-ウンデシル エステル 9c
無色固体(72%収率, 93.0%純度); mp 111.5-112.0℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ1.54 (s, 6H), 1.76 (bs, 4H), 2.19-2.25 (m, 4H), 2.80-3.00 (m, 5H), 3.74 (t, 1H, J = 6.0 Hz), 3.85 (bs, 1H), 4.15 (m, 2H), 4.71 (s, 1H), 4.75 (s, 1H), 7.18-7.30 (m, 4H)。
【0052】
先の記載及び添付の図面は、現時点で本発明の好ましい実施態様を示す。種々の変更、追加及び設計代案は、もちろん本発明の範囲から離れること無しに、先の教示に照らして当業者にとって明らかとなるであろう。本発明の範囲は、先の記載によって示されるのではなく、特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味及び均等の範囲に含まれるすべての変更及び変化はその範囲内に含まれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1A】現在実施されている、又は標準フルオラス固相抽出を示す。
【図1B】本発明の逆フルオラス固相抽出の実施態様を示す。
【図2】本発明の逆フルオラス固相抽出を用いるフルオラスエステルの薄相クロマトグラフ分離を示す。
【図3】本発明の逆フルオラス条件を用いる薄層クロマトグラフ分離の結果と標準条件の結果との比較を示す。
【図4】逆フルオラス固相抽出による3-(ペルフルオロアルキル)プロパ-1-エンの調製の結果を示す。
【図5】多段階アリル化及びニトリル酸化物付加環化に関した逆フルオラス固相抽出の使用を示す。
【図6】逆フルオラス固相抽出によるペルフルオロアルキルブチラートからのトリフェニルホスフィン及びその誘導酸化物の除去を示す。
【図7】逆フルオラス固相抽出によるF-Bocアミドの単離を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1非フルオラス化合物と第2フルオラス化合物とを含む化合物の混合物から少なくとも第1非フルオラス化合物を分離する方法であって、
前記化合物の混合物を非フルオラス固相に導入し、フルオラス溶出流体で溶出することを含む前記方法。
【請求項2】
非フルオラス固相が自然状態で極性を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
非フルオラス固相がシリカゲルである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
非フルオラス固相が多孔質無機酸化物、メソ多孔性無機酸化物、多孔性ポリマー又はメソ多孔性ポリマーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
非フルオラス固相がシリカゲル、アルミナ、チタニア又はジルコニアを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
非フルオラス固相がシリカゲル、アルミナ、チタニア又はジルコニアの極性結合相を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
非フルオラス固相がシリカゲル、アルミナ、チタニア又はジルコニアの非極性結合相を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
非フルオラス固相がキラル固定相を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
さらに、適した有機溶媒を用いる第2相溶出を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
フルオラス溶出流体がフッ化アルカン、フッ化エーテル又はフッ化アミンの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
フルオラス溶出流体がヒドロフルオロアルカン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロアミン、ペルフルオロアルカン、ペルフルオロエーテル又はペルフルオロアミンの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
フルオラス溶出流体が分子量で少なくとも50%のフッ素を含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
フルオラス溶出流体が分子量で少なくとも60%のフッ素を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
フルオラス溶出流体が少なくとも1つの共溶媒を含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの共溶媒が極性フッ素化溶媒、両親媒性溶媒、有機溶媒又は水である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
化学反応を行う方法であって、
少なくとも第1フルオラス化合物と第2化合物とを混合し、ここで第1フルオラス化合物はフルオラス特性において第2化合物と異なっており、
第1混合物を、第1フルオラス化合物及び第2化合物の少なくとも1つを変換する条件に曝して、少なくとも第3化合物を含む第2混合物を与え、
第2混合物を非フルオラス固相に導入し、
フルオラス流体で溶出することを含む前記方法。
【請求項17】
さらに、フルオラス流体で溶出した後、有機流体で溶出する工程を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
少なくとも第2有機化合物を含む混合物から第1有機化合物を分離する方法であって、
第1有機化合物をフルオラス反応成分と選択的に反応させて、フルオラス部分を第1有機化合物と結合させ、結果としてフルオラス化合物を生じさせ、
前記混合物を非フルオラス固相に導入し、フルオラス流体で溶出することによって、第2有機化合物からフルオラス化合物を分離することを含む前記方法。
【請求項19】
有機目的生成物を合成する方法であって、
第1有機化合物を第1フルオラス反応成分と反応させて、フルオラス部分を第1有機化合物と結合させ、結果として第2フルオラス反応成分を生じさせ、
第2フルオラス反応成分を、少なくとも1つの反応を含む反応スキームで、少なくとも第2有機化合物と反応させて、反応混合物中にフルオラス目的生成物を生成し、
前記反応混合物を非フルオラス固相に導入し、フルオラス流体で溶出することによって、任意の過剰な第2有機化合物及び任意の有機副生成物からフルオラス目的生成物を分離することを含む前記方法。
【請求項20】
さらに、フルオラス部分を切断し、有機目的生成物を生成するために、フルオラス目的生成物を反応させる工程を含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
化合物を分離する方法であって、
少なくとも第1有機化合物を第1フルオラスタグ部分でタグ化して、第1フルオラスタグ化化合物を生じ、
少なくとも第2有機化合物を第1フルオラスタグ部分と異なる第2フルオラスタグ部分でタグ化して、結果として第2フルオラスタグ化化合物を生じさせ、
第2フルオラスタグ化化合物を含む混合物を非フルオラス固相に導入し、フルオラス流体で溶出することによって、前記混合物から第1フルオラスタグ化化合物を分離することを含む前記方法。
【請求項22】
化合物を物理的に分離する方法であって、
少なくとも第1有機化合物を第1フルオラスタグ部分でタグ化して、結果として第1フルオラスタグ化化合物を生じさせ、
少なくとも第2有機化合物を第1フルオラスタグ部分と異なる第2フルオラスタグ部分でタグ化して、結果として第2フルオラスタグ化化合物を生じさせ、
第2フルオラスタグ化化合物を含む混合物を非フルオラス固相に導入し、フルオラス流体で溶出することによって、前記混合物から第1フルオラスタグ化化合物を物理的に分離することを含む前記方法。
【請求項23】
化合物を物理的に分離する方法であって、
複数の有機化合物を複数のフルオラスタグ部分でタグ化して、結果として複数のフルオラスタグ化化合物を生じさせ、ここで各フルオラスタグ部分は異なっており、
フルオラスタグ化化合物の混合物を非フルオラス固相に導入し、フルオラス流体で溶出することによって、複数のフルオラスタグ化化合物のうち少なくとも1つを、異なるタグでタグ化された他のフルオラス化合物から物理的に分離することを含む前記方法。
【請求項24】
化学反応を行う方法であって、
複数の化合物を異なるフルオラスタグ部分でタグ化して、フルオラスタグ化化合物を生成し、少なくとも1つの化学反応をフルオラスタグ化化合物について行って、フルオラスタグ化生成物の混合物を生成し、フルオラスタグ化生成物の混合物を非フルオラス固相に導入し、フルオラス流体で溶出することによって、フルオラスタグ化生成物のうち少なくとも1つを、前記混合物から分離することを含む前記方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−503483(P2008−503483A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516771(P2007−516771)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/021441
【国際公開番号】WO2006/009835
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(501240442)ユニヴァーシティ オブ ピッツバーグ (4)
【出願人】(506417290)フルオラス テクノロジーズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】