説明

フルオロオレフィンを含む組成物およびそれらの使用

HFC−1225yeと、移動式エアコンシステムなどの、フラッデドエバポレーター冷却装置、直接膨張式冷却装置または閉ループ式伝熱システムで、冷媒を含む、伝熱流体として有用である他の化合物とを含む組成物が開示される。本組成物はまた、クリーニング溶剤、エアゾール噴射剤、発泡剤、消火剤または火炎抑制剤および滅菌剤としても有用である。かかる組成物を使用するフラッデドエバポレーター冷却装置、直接膨張式冷却装置または閉ループ式伝熱システムで冷却を行う方法およびHFC−134aを置き換える方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2007年7月27日出願の米国仮特許出願第60/962,204号明細書の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、少なくとも1つのフルオロオレフィンを含む低GWP冷媒組成物、およびこれらの組成物の使用の分野に関する。これらの組成物は、フラデッドエバポレーター(flooded evaporator)冷却装置、直接膨張式冷却装置および閉ループ式伝熱システムを含む、1,1,1,2−テトラフルオロエタンのためにデザインされた機器で低GWP代替品として有用である。
【背景技術】
【0003】
たとえあったとしても環境影響の小さい、様々な用途向けの作動流体が捜し求められている。クロロフルオロカーボンの代替品として採用されたハイドロフルオロカーボン作動流体は、オゾン層破壊係数を全く持たないが、地球温暖化に寄与することが分かっている。
【0004】
それ故、冷媒、伝熱流体、クリーニング溶剤、エアゾール噴射剤、発泡剤および消火剤または火炎抑制剤として現在使用中のハイドロフルオロカーボンの代替品が捜し求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存機器で一時的に代替品として役立つために、代替品は、それ用に機器がデザインされた元の作動流体の特性に近いかまたはそれにマッチしなければならない。既存冷媒の代替と、類似の用途向けにデザインされた新規機器で冷媒としてもまた役立つこととを可能にする特性のバランスを提供する組成物を特定することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、低い地球温暖化係数(GWP)と、置き換えられる冷媒に似たエネルギー効率および冷凍能力とを有する、特定のフルオロオレフィン組成物、特に、1,1,1,2−テトラフルオロエタンを置き換えるための冷媒を提供する。加えて、本発明は、グライド(glide)をうまく利用するために最適化されている熱交換器(すなわち、エバポレーターまたは凝縮器)付き伝熱システムのための低いまたは一定量のグライドを有する冷媒を提供する。
【0007】
特に、本明細書に開示される組成物は、フラデッドエバポレーター冷却装置、直接膨張式(DX)冷却装置または閉ループ式伝熱システムにおける作動流体としてR134aを置き換えるために有用であり得る。本明細書に開示されるような組成物は、新規のまたは既存の機器で有用であり得る。
【0008】
本発明によれば、下記のいずれかであることができる、組成物が提供される:
a.約50質量パーセント〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび約50質量パーセント〜約1質量パーセントの2,3,3,3−テトラフルオロプロペン;
b.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびペンタフルオロエタン;
c.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびシクロプロパン;
d.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびプロピレン;
e.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびフルオロエタン;
f.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびプロピレン;
g.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびペンタフルオロエタン;
h.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびフルオロエタン;
i.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびシクロプロパン;
j.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびアンモニア;
k.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびプロピレン;
l.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタンおよびアンモニア;
m.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタンおよびシクロプロパン;
n.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタンおよびプロパン;
o.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタンおよびプロピレン;または
p.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタンおよびジフルオロメタン。
【0009】
さらに本発明に従って、下記のいずれかから本質的になる組成物が提供される:
a.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびペンタフルオロエタン;
b.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびアンモニア;または
c.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエタン。
【0010】
本開示は、冷却される本体の近くで組成物を蒸発させる工程と、その後前記組成物を凝縮させる工程とを含む、移動式エアコンシステムで冷却を行う方法であって、この組成物が上記の組成物のいずれかであることができる方法をさらに提供する。
【0011】
本開示は、冷却媒体をエバポレーターに通す工程と、組成物を蒸発させて蒸気を形成する工程と、それによって冷却媒体を冷却する工程と、冷却媒体をエバポレーターから、冷却される本体へ通す工程とを含む、フラデッドエバポレーター冷却装置で冷却を行う方法であって、この組成物が上記の組成物のいずれかであることができる方法をさらに提供する。
【0012】
本開示は、組成物をエバポレーターに通す工程と、冷却媒体をエバポレーターで蒸発させて冷却媒体蒸気を形成する工程と、それによって組成物を冷却する工程と、組成物をエバポレーターから、冷却される本体へ通す工程とを含む直接膨張式冷却装置で冷却を行う方法であって、この組成物が上記の組成物のいずれかであることができる方法をさらに提供する。
【0013】
本開示は、フラデッドエバポレーター冷却装置、直接膨張式冷却装置または閉ループ式伝熱システムでHFC−134aを置き換える方法をさらに提供する。本方法は、上記の組成物のいずれかであることができる組成物を、HFC−134aの代わりにフラデッドエバポレーター冷却装置、直接膨張式冷却装置または閉ループ式伝熱システムに提供する工程を含む。
【0014】
さらに本発明に従って、下記のいずれかであってもよい代替組成物が提供される:
a.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびジフルオロメタン;
b.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびペンタフルオロエタン;
c.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン;
d.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエタン;
e.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびシクロプロパン;
f.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびプロパン;
g.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン;
h.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびジフルオロメタン;
i.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,1−ジフルオロエタン;
k.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびフルオロエタン;または
l.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびプロパン。
【0015】
本開示はまた、フラデッドエバポレーター冷却装置で冷却を行う方法、直接膨張式冷却装置で冷却を行う方法、および直前にリストされた代替組成物のいずれかを使用して、フラデッドエバポレーター冷却装置または直接膨張式冷却装置のどちらかでHFC−134aを置き換える方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の冷媒組成物を利用するフラデッドエバポレーター冷却装置の略図である。
【図2】本発明の冷媒組成物を利用する直接膨張式エバポレーター冷却装置の略図である。
【図3】本発明の冷媒組成物を利用する閉ループ式伝熱システムの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に説明される実施形態の詳細を述べる前に、幾つかの用語が定義されるかまたは明確にされる。
【0018】
地球温暖化係数(GWP)は、二酸化炭素の1キログラムの排出と比較して特定の温室効果ガスの1キログラムの大気排出による相対的な地球温暖化寄与を推定するための指数である。GWPは、所与のガスに関する大気寿命の影響を示して異なる対象期間について計算することができる。100年対象期間についてのGWPは一般に参考値である。
【0019】
冷凍能力(冷却能力と言われる場合もある)は、循環される冷媒の1ポンド当たりのエバポレーターにおける冷媒のエンタルピーの変化、すなわち、所与の時間当たりエバポレーターで冷媒によって除去される熱を定義するための用語である。冷凍能力は、冷媒または伝熱組成物が冷却を行う能力の尺度である。それ故、この能力が高ければ高いほど、行うことができる冷却は大きい。
【0020】
性能係数(COP)は、サイクルを運転するために入力される必要エネルギーで割った除熱量である。COPが高ければ高いほど、エネルギー効率は高い。COPは、エネルギー効率比(EER)、すなわち、内温および外温の特有のセットでの冷凍またはエアコン
機器についての効率格付けに直接関係する。
【0021】
グライドは、冷媒が蒸発中であるかまたは凝縮中であるときのエバポレーターまたは凝縮器の全域での冷媒温度の変化である。具体的には、凝縮器での冷媒グライドは、凝縮圧力での露点温度と沸点温度との差であるが、エバポレーターでは、それは蒸発圧力での入口温度と飽和蒸気温度との差である。純化合物冷媒は、特有の温度および圧力で共沸混合物組成物がそうであるようにゼログライドを有する。共沸混合物と同様に挙動する擬共沸混合物(共沸混合物様と言われる場合もある)組成物は低いグライドを有するであろう。非共沸混合物(すなわち不共沸混合物)である組成物は、かなり高いグライドを有するかもしれない。平均グライドは、エバポレーターでのグライドと凝縮器でのグライドとの平均を意味することを意図される。
【0022】
本明細書で用いるところでは、非共沸組成物は、共沸ではないおよびまた擬共沸ではないものを含み、それは成分の単純混合物として挙動し、従って蒸発またはボイリングオフ中に分別蒸留するであろうことを意味する。伝熱システムからの漏洩中に、この分別蒸留は、より低い沸騰(より高い蒸気圧)成分を先ず装置から漏洩させるであろう。こうして、伝熱システム内に残る伝熱組成物の蒸気圧は低下するであろう。この圧力降下は測定することができ、漏洩の早期指標として用いることができる。
【0023】
本明細書で用いるところでは、共沸組成物は、単一物質として挙動する2つ以上の物質の定沸点混合物を含む。共沸組成物を特徴づける一方法は、液体の部分蒸発または蒸留によって生み出された蒸気が、それがそれから蒸発するまたは蒸留される液体と同じ組成を有する、すなわち、混合物が組成変化なしに蒸留される/還流することである。定沸点組成物は、同じ化合物の非共沸混合物のそれと比べて、それらが最高沸点か最低沸点かのどちらかを示すので、共沸として特徴づけられる。共沸組成物は、システムの効率を低下させるかもしれない、運転中に伝熱システム内で分別蒸留しないであろう。さらに、共沸組成物は伝熱システムからの漏洩時に分別蒸留しないであろう。
【0024】
本明細書で用いるところでは、擬共沸組成物(一般に「共沸様組成物」とも言われる)は、本質的に単一物質として挙動する2つ以上の物質の実質的に定沸点の液体混合物を含む。擬共沸組成物を特徴づける一方法は、液体の部分蒸発または蒸留によって生み出された蒸気が、それがそれから蒸発したまたは蒸留された液体と実質的に同じ組成を有する、すなわち、混合物が実質的な組成変化なしに蒸留される/還流することである。擬共沸組成物を特徴づける別の方法は、ある特定の温度での組成物のバブルポイント蒸気圧および露点蒸気圧が実質的に同じものであることである。本明細書では、組成物の50質量パーセントが蒸発またはボイリングオフなどによって除去された後に、元の組成物と元の組成物の50質量パーセントが除去された後に残る組成物との間の蒸気圧の差が約10パーセント未満である場合に組成物は擬共沸である。
【0025】
本明細書で用いるところでは、伝熱システムは、伝熱組成物を利用する任意の冷凍システム、冷蔵庫、エアコンシステム、エアコン、ヒートポンプ、冷却装置などであってもよい。
【0026】
本明細書で用いるところでは、伝熱組成物は、熱を熱源からヒートシンクに運ぶために使用される組成物を含む。
【0027】
本明細書で用いるところでは、冷媒は、液体から気体へおよび気体から液体への相変化を受ける伝熱組成物として、サイクルで機能する化合物または化合物の混合物を含む。
【0028】
本明細書で用いるところでは、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含まれる(includes)」、「を含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を網羅することを意図される。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、もしくは装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明確にリストされないか、またはかかるプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有である他の要素を含んでもよい。さらに、相反する記載がない限り、「または」は、包含的なまたはを意味し、排他的なまたはを意味しない。例えば、条件AまたはBは、次のいずれか1つで満たされる:Aは真であり(または存在し)かつBは偽である(または存在しない)、Aは偽であり(または存在せず)かつBは真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方とも真である(または存在する)。
【0029】
同様に、「a」または「an」の使用は、本明細書に記載される要素および成分を記載するために用いられる。これは、便宜上および本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われるにすぎない。この記載は、1つまたは少なくとも1つを包含すると読まれるべきであり、そして単数はまた、それが複数ではないことを意味することが明確でない限り複数を包含する。
【0030】
特に明確にされない限り、本明細書に用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似のまたは等価の方法および材料を本発明の実施形態の実施または試験に用いることができるが、好適な方法および材料は以下に記載される。本明細書に言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、特に節が言及されない限り、全体が参照により援用される。矛盾が生じた場合には、定義をはじめとして、本明細書が優先される。加えて、材料、方法、および実施例は例示的であるにすぎず、限定的であることを意図されない。
【0031】
組成物
本発明の一実施態様によれば、本開示は、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(CFCF=CHF,HFC−1225ye、またはR1225ye)と、少なくとも1つの追加の化合物とを含む組成物に関する。これらの追加の化合物は表1に示される。
【0032】
【表1】

【0033】
表1の化合物は、当該技術で公知の方法によって製造されてもよいし、または商業的に入手可能である。
【0034】
この実施形態によれば、本発明の組成物は、
a.約50質量パーセント〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび約50質量パーセント〜約1質量パーセントの2,3,3,3−テトラフルオロプロペン;
b.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびペンタフルオロエタン;
c.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびシクロプロパン;
d.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびプロピレン;
e.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびフルオロエタン;
f.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびプロピレン;
g.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびペンタフルオロエタン;
h.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、およびフルオロエタン;
i.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、およびシクロプロパン;
j.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、およびアンモニア;
k.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、およびプロピレン;
l.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、およびアンモニア;
m.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、およびシクロプロパン;
n.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、およびプロパン;
o.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、およびプロピレン;または
p.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、およびジフルオロメタン
を含んでもよく、または本質的にそれらからなってもよい(少量の他の成分があってもよいことを意味する)。
【0035】
あるいはまた、本発明の組成物は本質的に、
q.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびペンタフルオロエタン;
r.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびアンモニア;または
s.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエタン
からなってもよい。
【0036】
この実施形態の組成物は、本明細書では以下、グループAの組成物と言われるものとする。
【0037】
HFC−1225yeは、2つの異なる立体配置異性体、Z−(トランス)またはE−(シス)として存在する。本明細書で用いるところでは、HFC−1225yeは、Z−HFC−1225ye、E−HFC−1225ye、またはそれらの任意の組み合わせであることを意図される。一実施態様では、HFC−1225yeはZ−HFC−1225yeである。別の実施形態では、HFC−1225yeはE−HFC−1225yeである。別の実施形態では、HFC−1225yeは、Z−HFC−1225yeとE−HFC−1225yeとの組み合わせである。別の実施形態では、HFC−1225yeは、主として(50%より多い、好ましくは90%より多い)Z−HFC−1225yeである異性体の混合物である。
【0038】
HFC−1225yeは、当該技術で公知の方法によって、例えば、1,1,1,2,2,3−ヘキサフルオロプロパンまたは1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンの熱的または触媒的脱フッ素水素によって製造されてもよい。
【0039】
別の実施形態によれば、本開示は、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(CFCF=CHF、HFC−1225ye、またはR1225ye)と、少なくとも1つの追加の化合物とを含む組成物に関する。この実施形態によるおよび本明細書に記載される組成物のこれらの追加の化合物は、上の表1にリストされている。
【0040】
この実施形態によれば、本発明の組成物は、
a.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびジフルオロメタン;
b.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびペンタフルオロエタン;
c.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン;
d.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエタン;
e.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびシクロプロパン;
f.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびプロパン;
g.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン;
h.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびジフルオロメタン;
i.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,1−ジフルオロエタン;
j.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびフルオロエタン;ならびに
k.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびプロパン
を含んでもよく、または本質的にそれらからなってもよい(少量の他の成分があってもよいことを意味する)。
【0041】
この実施形態の組成物は、本明細書では以下グループBの組成物と言われるものとする。
【0042】
グループAのおよびグループBの組成物についての具体的な質量パーセント範囲は、表2に示される。以下に与えられる範囲のいずれか内に含まれるそれらの範囲を含めることは本発明の範囲内である。
【0043】
【表2】

【0044】
本発明は、ゼロのまたは低いオゾン層破壊係数および低い地球温暖化係数(GWP)を有するグループAおよびグループBの両方の組成物を提供する。本明細書に開示されるような組成物は、現在使用中の多くのハイドロフルオロカーボン冷媒より小さい地球温暖化係数を有するであろう。典型的には、HFC−1225yeなどの、フルオロオレフィンは約25未満のGWPを有すると予期される。本発明の一態様は、1000未満、500未満、150未満、100未満、または50未満の地球温暖化係数の組成物を提供することである。
【0045】
加えて、不燃性および低GWPは両方とも、冷媒として使用されるときに組成物にとって望ましい特性である。R1234yf、R32、R152a、R161、R717、ならびに炭化水素(R290、RC270、およびR1270)はすべて、可燃性化合物であることが知られている。一実施態様では、これらの可燃性化合物を含有する表2の代替品範囲Bに提供されるそれらの組成物は、不燃性であると予期される。R125およびR134aは、高GWP(すなわち、それぞれ3400および1300に等しいGWP)を有することが知られている。別の実施形態では、R125またはR134aを含有する表2の代替品範囲Bに提供されるそれらの組成物は、全体組成物のGWPに基づいて冷却業界にもっと受け入れられると予期される。
【0046】
本発明のグループAおよびグループBの組成物は、表2に示すような所望量の個々の成分を組み合わせるための任意の便利な方法によって調製されてもよい。好ましい方法は、所望成分量を量り、そしてその後成分を適切な容器で組み合わせることである。必要ならば、かき混ぜが用いられてもよい。
【0047】
本明細書に開示されるようなグループAのおよびグループBの組成物は、冷凍、エアコン、またはヒートポンプシステムで、湿気の除去に役立つための乾燥剤と組み合わせて使用されてもよい。乾燥剤は、活性アルミナ、シリカゲル、またはゼオライト−ベースのモレキュラーシーブからなってもよい。代表的なモレキュラーシーブには、MOLSIV XH−7、XH−6、XH−9およびXH−11(UOP LLC(Des Plaines,IL))が含まれる。HFC−32などの小分子サイズの冷媒のためには、XH−11乾燥剤が好ましい。
【0048】
本明細書に開示されるようなグループAのおよびグループBの組成物は、ポリアルキレングリコール、ポリオールエステル、ポリビニルエーテル、鉱油、アルキルベンゼン、合成パラフィン、合成ナフテン、およびポリ(アルファ)オレフィンからなる群から選択された少なくとも1つの潤滑油をさらに含んでもよい。
【0049】
本発明の潤滑油は、冷凍またはエアコン装置での使用に好適なものを含む。これらの潤滑油の中には、クロロフルオロカーボン冷媒を利用する蒸気圧縮冷凍装置に通常使用されるものがある。本発明の潤滑油は、圧縮冷凍潤滑の分野で「鉱油」として一般に知られるものを含んでもよい。鉱油はパラフィン(すなわち、直鎖および分岐鎖炭素鎖、飽和炭化水素)、ナフテン(すなわち、環式パラフィン)ならびに芳香族化合物(すなわち、交互二重結合によって特徴づけられる1つまたは複数の環を含有する不飽和の環式炭化水素)を含む。本発明の潤滑油は、圧縮冷凍潤滑の分野で「合成油」として一般に知られるものをさらに含む。合成油はアルキルアリール(すなわち線状および分岐アルキルのアルキルベンゼン)、合成パラフィンおよびナフテン、ならびにポリ(アルファオレフィン)を含む。本発明の代表的な従来型潤滑油は、商業的に入手可能なBVM 100N(BVA Oilsによって販売されるパラフィン系鉱油)、商標Suniso(登録商標)3GSおよびSuniso(登録商標)5GSでCrompton Co.から商業的に入手可能なナフテン系鉱油、商標Sontex(登録商標)372LTでPennzoilから商業的に入手可能なナフテン系鉱油、商標Calumet(登録商標)RO−30でCalumet Lubricantsから商業的に入手可能なナフテン系鉱油、商標Zerol(登録商標)75、Zerol(登録商標)150およびZerol(登録商標)500でShrieve Chemicalsから商業的に入手可能な線状アルキルベンゼン、ならびにHAB22(新日本石油株式会社によって販売される分岐アルキルベンゼン)である。
【0050】
本発明の潤滑油はハイドロフルオロカーボン冷媒と一緒の使用をデザインされたものをさらに含み、圧縮冷凍およびエアコン装置の運転条件下で本発明の冷媒と混和性である。かかる潤滑油には、キャストロール(Castrol)(登録商標)100(キャストロール、英国(Castrol、United Kingdom))などのポリオールエステル(POE)、ダウ(Dow)(ダウ・ケミカル、ミシガン州ミッドランド(Dow Chemical,Midland,Michigan))製のRL−488Aなどのポリアルキレングリコール(PAG)、ポリビニルエーテル(PVE)ならびにポリカーボネート(PC)が含まれるが、それらに限定されない。
【0051】
本発明のグループAおよびグループBの組成物と共に用いられる潤滑油は、所与の圧縮機の要件および潤滑油が曝されるであろう環境を考慮することによって選択される。
【0052】
炭化水素を含有する本明細書に記載されるグループAのおよびグループBのそれらの組成物は、鉱油などの、従来型冷凍潤滑油との向上した混和性を提供するかもしれない。従って、既存機器の改造のためのこれらの炭化水素含有組成物の使用は、コストのかかる、時間を消費する潤滑油交換プロセスを必要としないであろう。
【0053】
本明細書に開示されるようなグループAのおよびグループBの組成物は、相溶化剤、UV染料、可溶化剤、トレーサー、安定剤、パーフルオロポリエーテル(PFPE)、および官能化パーフルオロポリエーテルからなる群から選択された添加剤をさらに含んでもよい。
【0054】
本発明のグループAのおよびグループBの組成物は、約0.01質量パーセント〜約5質量パーセントの安定剤、フリーラジカル捕捉剤または酸化防止剤をさらに含んでもよい。かかる他の添加剤には、ニトロメタン,ヒンダードフェノール、ヒドロキシルアミン、チオール、ホスファイト、またはラクトンが含まれるが、それらに限定されない。単一の添加剤または組み合わせが使用されてもよい。
【0055】
場合により、ある種の冷凍またはエアコンシステム添加剤が、性能およびシステム安定性を高めるために本発明の組成物に、要望通り、添加されてもよい。これらの添加剤は、冷凍およびエアコンの分野で公知であり、摩耗防止剤、極圧潤滑油、腐食および酸化防止剤、金属表面不活性化剤、フリーラジカル捕捉剤、および泡制御剤を含むが、それらに限定されない。一般に、これらの添加剤は、全体組成物に対して少量で本発明組成物中に存在してもよい。典型的には、約0.1質量パーセント未満から約3質量パーセントほどに多い濃度の各添加剤が使用される。これらの添加剤は、個々のシステム要件に基づいて選択される。これらの添加剤には、トリアリールホスフェートの系統、ブチル化トリフェニルホスフェート(BTPP)、または他のアルキル化トリアリールホスフェートエステル、例えば、Akzo Chemicals製のSyn−0−Ad 8478、トリクレジルホスフェートおよび関連化合物などの、EP(極圧)潤滑性添加剤の系統が含まれる。さらに、金属ジアルキルジチオホスフェート(例えばジチオリン酸ジアルキル亜鉛またはZDDP、リューブリゾール(Lubrizol)1375)およびこの族の化学薬品の他のメンバーが本発明の組成物に使用されてもよい。他の耐摩耗性添加剤には、天然物油、およびシナーゴル(Synergol)TMS(インターナショナル・リューブリカンツ(International Lubricants))などの非対称ポリヒドロキシル潤滑添加剤が含まれる。同様に、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、および水捕捉剤などの安定剤が用いられてもよい。このカテゴリーの化合物には、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エポキシドおよびそれらの混合物が含まれ得るが、それらに限定されない。腐食防止剤には、ドデシルコハク酸(DDSA)、アミンホスフェート(AP)、オレイルサルコシン、イミダゾン誘導体および置換スルホネートが含まれる。金属表面不活性化剤には、アレオキサリル(areoxalyl)ビス(ベンジリデン)ヒドラジド(CAS登録番号6629−10−3)、N,N’−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルヒドラジン(CAS登録番号32687−78−8)、2,2’−オキサミドビス−エチル−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート(CAS登録番号70331−94−1)、N,N’−(ジサリシリデン)−1,2−ジアミノプロパン(CAS登録番号94−91−7)ならびにエチレンジアミン四酢酸(CAS登録番号60−00−4)およびその塩、ならびにそれの混合物が含まれる。
【0056】
追加の添加剤には、ヒンダードフェノール、チオホスフェート、ブチル化トリフェニルホスホロチオネート、オルガノホスフェート、またはホスファイト、アリールアルキルエーテル、テルペン、テルペノイド、エポキシド、フッ素化エポキシド、オキセタン、アスコルビン酸、チオール、ラクトン、チオエーテル、アミン、ニトロメタン、アルキルシラン、ベンゾフェノン誘導体、アリールスルフィド、ジビニルテレフタル酸、ジフェニルテレフタル酸、イオン液体、およびそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つの化合物を含む安定剤が含まれる。代表的な安定剤化合物には、トコフェロール;ヒドロキノン;t−ブチルヒドロキノン;モノチオホスフェート;および、商標Irgalube(登録商標)63でCiba Specialty Chemicals(Basel,Switzerland)、本明細書では以下「Ciba」から商業的に入手可能な、ジチオホスフェート;それぞれ、商標Irgalube(登録商標)353およびIrgalube(登録商標)350でCibaから商業的に入手可能な、ジアルキルチオホスフェートエステル;商標Irgalube(登録商標)232でCibaから商業的に入手可能な、ブチル化トリフェニルホスホロチオネート;商標Irgalube(登録商標)349(Ciba)でCibaから商業的に入手可能な、アミンホスフェート;Irgafos(登録商標)168としてCibaから商業的に入手可能な、ヒンダードホスファイト;商標Irgafos(登録商標)OPHでCibaから商業的に入手可能な、トリス−(ジ−第三ブチルフェニル)などのホスフェート;(ジ−n−オクチルホスファイト);および商標Irgafos(登録商標)DDPPでCibaから商業的に入手可能な、イソ−デシルジフェニルホスファイト;アニソール;1,4−dジメトキシベンゼン;1,4−ジエトキシベンゼン;1,3,5−トリメトキシベンゼン;d−リモネン;レチナール;ピネン;メントール;ビタミンA;テルピネン;ジペンテン;リコピン;ベータカロテン;ボルナン;1,2−プロピレンオキシド;1,2−ブチレンオキシド;n−ブチルグリシジルエーテル;トリフルオロメチルオキシラン;1,1−ビス(トリフルオロメチル)オキシラン;OXT−101(東亜合成株式会社)などの、3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタン;OXT−211(東亞合成株式会社)などの、3−エチル−3−((フェノキシ)メチル)−オキセタン;OXT−212(東亞合成株式会社)などの、3−エチル−3−((2−エチル−ヘキシルオキシ)メチル)−オキセタン;アスコルビン酸;メタンチオール(メチルメルカプタン);エタンチオール(エチルメルカプタン);補酵素A;ジメルカプトコハク酸(DMSA);グレープフルーツメルカプタン((R)−2−(4−メチル−3−シクロヘキセニル)プロパン−2−チオール));システイン((R)−2−アミノ−3−スルファニル−プロパン酸);リポアミド(1,2−ジチオラン−3−ペンタンアミド);商標Irganox(登録商標)HP−136でCibaから商業的に入手可能な、5,7−ビス(1,1−ジメチルエチル)−3−[2,3(または3,4)−ジメチルフェニル]−2(3H)−ベンゾフラノン;ベンジルフェニルスルフィド;ジフェニルスルフィド;ジイソプロピルアミン;商標Irganox(登録商標)PS 802(Ciba)でCibaから商業的に入手可能な、ジオクタデシル3,3’−チオジプロピオネート;商標Irganox(登録商標)PS 800でCibaから商業的に入手可能な、ジドデシル3,3’−チオジプロピオネート;商標Tinuvin(登録商標)770でCibaから商業的に入手可能な、ジ−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート;商標Tinuvin(登録商標)622LD(Ciba)でCibaから商業的に入手可能な、ポリ(N−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジルスクシネート;メチルビスタローアミン;ビスタローアミン;フェノール−アルファ−ナフチルアミン;ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン(DMAMS);トリス(トリメチルシリル)シラン(TTMSS);ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;2,5−ジフルオロベンゾフェノン;2’,5’−ジヒドロキシアセトフェノン;2−アミノベンゾフェノン;2−クロロベンゾフェノン;ベンジルフェニルスルフィド;ジフェニルスルフィド;ジベンジルスルフィド;イオン液体などが含まれるが、それらに限定されない。
【0057】
イオン液体安定剤は、少なくとも1つのイオン液体を含む。イオン液体は、室温(おおよそ25℃)で液体である有機塩である。別の実施形態では、イオン液体安定剤は、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウムおよびトリアゾリウムからなる群から選択された陽イオンと;[BF、[PF、[SbF、[CFSO、[HCFCFSO、[CFHFCCFSO、[HCClFCFSO、[(CFSON]、[(CFCFSON]、[(CFSOC]、[CFCO、およびFからなる群から選択された陰イオンとを含有する塩を含む。代表的なイオン液体安定剤には、それらのすべてがFluka(Sigma−Aldrich)から入手可能である、emim BF(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート);bmim BF(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート);emim PF(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート);およびbmim PF(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート)が含まれる。
【0058】
一実施態様では、本明細書に開示されるようなグループAのおよびグループBの組成物は、パーフルオロポリエーテルをさらに含んでもよい。パーフルオロポリエーテルの共通の特性は、パーフルオロアルキルエーテル部分の存在である。パーフルオロポリエーテルは、パーフルオロポリアルキルエーテルと同義語である。頻繁に用いられる他の同義語には、「PFPE」、「PFAE」、「PFPEオイル」、「PFPE流体」、および「PFPAE」が含まれる。例えば、CF−(CF−O−[CF(CF)−CF−O]j’−R’fの式を有するパーフルオロポリエーテルは、商標Krytox(登録商標)でDuPontから商業的に入手可能である。この式中、j’は、2〜100(両端を含む)であり、R’fはCFCF、C〜Cパーフルオロアルキル基であるか、またはそれらの組み合わせである。
【0059】
商標Fomblin(登録商標)およびGalden(登録商標)でAusimont(Milan,Italy)から商業的に入手可能な、パーフルオロオレフィン光酸化によって製造された、他のPFPEもまた使用することができる。商標Fomblin(登録商標)−Yで商業的に入手可能なPFPEは、CFO(CFCF(CF)−O−)m’(CF−O−)n’−R1fの式を有することができる。CFO[CFCF(CF)O]m’(CFCFO)o’(CFO)n’−R1fもまた好適である。この式中、R1fはCF、C、C、またはそれらの2つ以上の組み合わせであり;(m’+n’)は、8〜45(両端を含む)であり;m/nは、20〜1000(両端を含む)であり;o’は1であり;(m’+n’+o’)は、8〜45(両端を含む)であり;m’/n’は、20〜1000(両端を含む)である。
【0060】
商標Fomblin(登録商標)−Zで商業的に入手可能なPFPEは、CFO(CFCF−O−)p’(CF−O)q’CF(式中、(p’+q’)は40〜180であり、p’/q’は0.5〜2である(両端を含む))の式を有することができる。
【0061】
ダイキン工業株式会社(日本)から商標DemnumTMで商業的に入手可能な、別の系統のPFPEもまた使用することができる。それは、2,2,3,3−テトラフルオロオキセタンの順次オリゴマー化およびフッ素化によって製造することができ、F−[(CF−O]t’−R2f(式中、R2fはCF、C、またはそれらの組み合わせであり、t’は、2〜200(両端を含む)である)の式をもたらす。
【0062】
パーフルオロポリエーテルの2つの末端基は、独立して、官能化されているかまたは官能化されていないものであることができる。官能化されていないパーフルオロポリエーテルでは、末端基は、分岐鎖かまたは直鎖のパーフルオロアルキルラジカル末端基であることができる。かかるパーフルオロポリエーテルの例は、Cr’(2r’+1)−A−Cr’(2r’+1)(式中、各r’は独立して3〜6であり;Aは、O−(CF(CF)CF−O)w’、O−(CF−O)x’(CFCF−O)y’、O−(C−O)w’、O−(C−O)x’(C−O)y’、O−(CF(CF)CF−O)x’(CF−O)y’、O−(CFCFCF−O)w’、O−(CF(CF)CF−O)x’(CFCF−O)y’−(CF−O)z’、またはそれらの2つ以上の組み合わせであることができ;好ましくはAはO−(CF(CF)CF−O)w’、O−(C−O)w’、O−(C−O)x’(C−O)y’、O−(CFCFCF−O)w’、またはそれらの2つ以上の組み合わせであり;w’は4〜100であり;x’およびy’はそれぞれ独立して1〜100である)の式を有することができる。具体的な例には、F(CF(CF)−CF−O)−CFCF、F(CF(CF)−CF−O)−CF(CF、およびそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。かかるPFPEでは、30%以下のハロゲン原子は、例えば、塩素原子などの、フッ素以外のハロゲンであることができる。
【0063】
パーフルオロポリエーテルの2つの末端基はまた、独立して、官能化されていることができる。典型的な官能化末端基は、エステル、ヒドロキシル、アミン、アミド、シアノ、カルボン酸およびスルホン酸からなる群から選択することができる。
【0064】
代表的なエステル末端基には、−COOCH、−COOCHCH、−CFCOOCH、−CFCOOCHCH、−CFCFCOOCH、−CFCFCOOCHCH、−CFCHCOOCH、−CFCFCHCOOCH、−CFCHCHCOOCH、−CFCFCHCHCOOCHが含まれる。
【0065】
代表的なヒドロキシル末端基には、−CFOH、−CFCFOH、−CFCHOH、−CFCFCHOH、−CFCHCHOH、−CFCFCHCHOHが含まれる。
【0066】
代表的なアミン末端基には、−CFNR、−CFCFNR、−CFCHNR、−CFCFCHNR、−CFCHCHNR、−CFCFCHCHNR(式中、RおよびRは独立して、H、CH、またはCHCHである)が含まれる。
【0067】
代表的なアミド末端基には、−CFC(O)NR、−CFCFC(O)NR、−CFCHC(O)NR、−CFCFCHC(O)NR、−CFCHCHC(O)NR、−CFCFCHCHC(O)NR(式中、RおよびRは独立して、H、CH、またはCHCHである)が含まれる。
【0068】
代表的なシアノ末端基には、−CFCN、−CFCFCN、−CFCHCN、−CFCFCHCN、−CFCHCHCN、−CFCFCHCHCNが含まれる。
【0069】
代表的なカルボン酸末端基には、−CFCOOH、−CFCFCOOH、−CFCHCOOH、−CFCFCHCOOH、−CFCHCHCOOH、−CFCFCHCHCOOHが含まれる。
【0070】
代表的なスルホン酸末端基には、−S(O)(O)OR、−S(O)(O)R、−CFOS(O)(O)OR、−CFCFOS(O)(O)OR、−CFCHOS(O)(O)OR、−CFCFCHOS(O)(O)OR、−CFCHCHOS(O)(O)OR、−CFCFCHCHOS(O)(O)OR、−CFS(O)(O)OR、−CFCFS(O)(O)OR、−CFCHS(O)(O)OR、−CFCFCHS(O)(O)OR、−CFCHCHS(O)(O)OR、−CFCFCHCHS(O)(O)OR、−CFOS(O)(O)R、−CFCFOS(O)(O)R、−CFCHOS(O)(O)R、−CFCFCHOS(O)(O)R、−CFCHCHOS(O)(O)R、−CFCFCHCHOS(O)(O)R(式中、RはH、CH、CHCH、CHCF、CF、またはCFCFであり、RはCH、CHCH、CHCF、CF、またはCFCFである)が含まれる。
【0071】
一実施態様では、グループAおよびグループBの組成物は、発泡体の製造に使用するための発泡剤として使用されてもよい。このように、本発明によれば、かかる発泡剤から製造された発泡体、好ましくはポリウレタンおよびポリイソシアネート発泡体、ならびにかかる発泡体の製造方法が提供される。かかる発泡体の実施形態では、グループAまたはグループBの組成物の1つ以上が発泡剤として含められ、発泡性組成物に加えられ、この発泡性組成物は、発泡体を形成するために有効な条件下に反応させられる。かかる条件は、適切な条件下に反応し、発泡して発泡体または多孔質構造体を形成することができる1つ以上の追加の成分の使用を含んでもよい。当該技術で公知の方法のいずれかが用いられても、または本発明の発泡体実施形態に従って用いるために適合させられてもよい。
【0072】
別の実施形態では、本開示は、スプレー可能な組成物での噴射剤としてのグループAまたはグループBの組成物の使用に関する。別の実施形態では、本発明は、グループAまたはグループBの組成物を含むスプレー可能な組成物に関する。別の実施形態では、スプレー可能な組成物は、不活性成分と一緒にスプレーされるべき活性成分、溶剤および他の材料をさらに含む。一実施態様では、スプレー可能な組成物はエアゾールである。スプレーされるべき好適な活性物質には、無制限に、抗喘息および抗口臭薬剤などの医薬物質だけでなく脱臭剤、香料、ヘアスプレー、クリーナー、および艶出剤などの化粧品物質が含まれる。
【0073】
一実施態様では、本開示は、噴射剤として機能するグループAまたはグループBの組成物をエアゾール容器中の活性成分に加える工程を含むエアゾール製品の製造方法を提供する。
【0074】
別の実施形態は、グループAまたはグループBの組成物を含む流体と火炎を接触させる工程を含む、火炎の抑制方法を提供する。火炎を本組成物と接触させるための任意の好適な方法が用いられてもよい。例えば、本明細書に記載の組成物は火炎上へスプレーされても、かけられるなどされてもよく、または火炎の少なくとも一部が火炎抑制組成物中に浸けられてもよい。本明細書での教示を考慮に入れると、当業者は、様々な従来の装置および火炎抑制の方法を本開示での使用のために容易に構成することができるであろう。
【0075】
さらなる実施形態は、グループAまたはグループBの組成物を含む試剤を提供する工程と、該試剤を加圧吐出システムに配置する工程と、該試剤をある区域へ吐出して当該区域で火を消すまたは抑制する工程とを含むトータル−フラッド(total−flood)用途での火の消火または抑制方法を提供する。
【0076】
別の実施形態は、グループAまたはグループBの組成物を含む試剤を提供する工程と、該試剤を加圧吐出システムに配置する工程と、該試剤をある区域へ吐出して火災または爆発が起こるのを防ぐ工程とを含む火災または爆発を防止するための区域の不活性化方法を提供する。
【0077】
用語「消火」は通常火の完全な排除を意味するために用いられるが、「抑制」はしばしば、火災または爆発の減少を意味するために用いられるが、それらの完全排除を必ずしも意味しない。本明細書で用いるところでは、用語「消火」および「抑制」は同じ意味で用いられるであろう。4つの一般的なタイプのハロカーボン火災および爆発防護用途がある。(1)トータル−フラッド消火および/または抑制用途では、試剤は、既存の火を消すまたは抑制するのに十分な濃度を達成するために空間へ吐出される。トータルフラッディング用途には、航空機エンジン室および車両でのエンジン室などの特殊な、しばしば占有されていない空間だけでなくコンピュータ室などの閉鎖された、潜在的に占有された空間の防護が含まれる。(2)ストリーミング用途では、試剤は火上へまたは火の領域へ直接適用される。これは通常、手動操作のホイール付きまたは持ち運びできるユニットを用いて成し遂げられる。ストリーミング用途として含まれる第2の方法は、試剤を1つまたは複数の固定ノズルから火に向けて吐出する「局在化」システムを用いる。局在化システムは手動でかまたは自動的にかのどちらかで活性化されてもよい。(3)爆発抑制では、本明細書に記載の組成物は、既に開始した爆発を抑制するために吐出される。用語「抑制」は、爆発が通常自己限定的であるのでこの用途で一般に用いられる。しかしながら、この用語の使用は、爆発が試剤によって消滅されないことを必ずしも暗示しない。本出願では、検出器が通常爆発からの火柱の拡大を検出するために用いられ、試剤が爆発を抑制するために迅速に吐出される。爆発抑制は、防御用途で主として、しかし専らではなく用いられる。(4)不活性化(inertion)では、グループAまたはグループBの組成物が、ある空間へ吐出されて爆発または火災が開始されるのを防ぐ。しばしば、トータル−フラッド消火または抑制のために用いられるものに類似のまたは同一のシステムが用いられる。通常、危険な状態(例えば、引火性または爆発性ガスの危険な濃度)の存在が検出され、本明細書に記載の組成物が次に吐出されて状態が改善され得るまで爆発または火災が起こるのを防ぐ。
【0078】
消火方法は、火を取り囲む閉鎖区域へ組成物を導入することによって実施することができる。導入の公知方法のいずれかを、適切な量の組成物が適切な間隔で閉鎖区域へ計量供給されるという条件で利用することができる。例えば、組成物は、火を取り囲む閉鎖区域へ組成物を、例を挙げると、通常の持ち運びできる(または固定の)消火機器を用いて、ストリーミングすることによって、噴霧することによって、またはフラッディングすることによって、例を挙げると、放出することによって(適切な配管、バルブおよびコントロールを用いて)導入することができる。組成物は場合により、利用されるストリーミングまたはフラッディング機器からの組成物の吐出の速度を上げるために、不活性の噴射剤、例を挙げると、窒素、アルゴン、グリシジルアジドポリマーの分解生成物または二酸化炭素と組み合わせることができる。
【0079】
一実施形態では、消火プロセスは、グループAまたはグループBの組成物を火または火炎を消すのに十分な量で火または火炎に導入することを含む。当業者は、特定の火を消すために必要とされる火炎抑制剤の量は危険の性質および程度に依存することを認めるであろう。火炎抑制剤がフラッディングによって導入されるべきであるとき、カップバーナー試験データがある特定タイプおよびサイズの火を消すために必要とされる火炎抑制剤の量および濃度を決定するのに有用である。
【0080】
一実施態様では、滅菌剤混合物は、エチレンオキシドとグループAまたはグループBの組成物とを含む共沸混合物または共沸混合物様組成物である。別の実施形態では、滅菌剤混合物は、エチレンオキシドとグループAまたはグループBの組成物とを含む非共沸混合物(または不共沸混合物)組成物である。
【0081】
一実施態様では、滅菌剤混合物は、診断内視鏡、注射器などのプラスチック商品、手袋、試験管、培養器およびペースメーカーなどの、医療機器および医療材料;チューブ材料、カテーテルおよびシート材料などのゴム製品;針、外科用メスおよび酸素試験具などの器具;ならびに拡張器、ポンプ、モーターおよび眼内レンズなどの他の品目を含むが、それらに限定されない、非常に多数の物品を滅菌するために使用されてもよい。別の実施形態では、本発明の滅菌剤混合物は、種などの、ある種の食料品と、毛皮製品、寝具類、紙商品、ならびに飛行機、列車、および船の積み荷領域などの輸送機器などの他の品目とを含むがそれらに限定されない医療分野以外の品目のための燻蒸剤として使用されてもよい。
【0082】
一実施態様では、本滅菌剤混合物は、すべての形態の生物、特に望ましくない昆虫、細菌、ウィルス、かび、真菌類、および他の微生物に対して有効であり得る。
【0083】
別の実施形態では、本開示は、エチレンオキシドとグループAまたはグループBの組成物とを含む滅菌剤混合物と物品を接触させる工程を含む物品の滅菌方法を提供する。
【0084】
一実施態様では、物品の滅菌方法は、所望の程度の滅菌を達成するのに有効であるような条件下および期間、滅菌されるべき物品を本滅菌剤混合物に接触させる工程を含む、当該技術で公知の任意の方法で成し遂げられてもよい。別の実施形態では、本方法は、滅菌されるべき物品を容器中に入れ、容器から空気を排気し、容器を加湿し、物品を本滅菌剤混合物に有効な期間接触させることによって達成される。一実施態様では、加湿は、約30〜約80パーセントの容器内の相対湿度を生み出す。
【0085】
滅菌のための有効な期間は、用いられる温度、圧力、相対湿度、具体的な滅菌剤混合物および滅菌中の材料を含む多数の要因に依存するであろう。あるいはまた、幾つかの多孔性物品は、ポリエチレン袋に密封された物品が必要とするより短い接触時間を必要とするかもしれない。さらに、別の実施形態では、ある種の細菌は特に耐性があり、従って滅菌のためにより長い接触時間を必要とするかもしれない。
【0086】
別の実施形態では、グループAのおよびグループBの組成物は、冷媒として使用されてもよい。冷却システムでのおよび冷却を行う方法でのかかる冷媒の使用は以下に記載される。
【0087】
冷却装置
一実施態様では、グループAのおよびグループBの組成物は、冷却装置で冷媒として使用されてもよい。冷却装置は、エアコン/冷凍装置のタイプである。2つのタイプの水冷式却装置、蒸気圧縮冷却装置および吸収冷却装置が入手可能である。本開示は、蒸気圧縮冷却装置に関する。かかる蒸気圧縮冷却装置は、図1に示されるフラデッドエバポレーター冷却装置、または図2に示される直接膨張式冷却装置のどちらかであってもよい。フラデッドエバポレーター冷却装置および直接膨張式冷却装置の両方とも、空冷式かまたは水冷式であってもよい。冷却装置が水冷式である実施形態では、かかる冷却装置は、システムからの放熱のための冷却塔と一般に関係がある。冷却装置が空冷式である実施形態では、冷却装置は、システムから熱を放出するための冷媒−空気フィン付き−チューブ(refrigerant−to−air finned−tube)凝縮器コイルおよびファンを備え付けている。空冷式冷却装置システムは一般に、冷却塔と水ポンプとを含む等価能力の水冷式冷却装置システムよりコストがかからない。しかしながら、水冷システムは、凝縮温度がより低いために、多くの運転条件下でより効率的であり得る。
【0088】
フラデッドエバポレーター冷却装置および直接膨張式冷却装置の両方を含む冷却装置は、ホテル、オフィスビル、病院、大学などを含む大きな商業ビルに快適な空調(空気の冷却および除湿)を提供するために、空気処理および分配システムと結合されてもよい。別の実施形態では、冷却装置、最も可能性が高い空冷式の直接膨張式冷却装置は、海軍潜水艦および水上艦で追加の実用性を見いだしてきた。
【0089】
冷却装置の運転方法を例示するために、図を参照する。水冷式フラデッドエバポレーター冷却装置が図1に例示される。この冷却装置では、水であってもよい、暖かい液体である第1冷却媒体と、幾つかの実施形態では、グリコールなどの添加剤とが、エバポレーターコイル9を通って、矢印3で入るように示される、ビル冷却システムなどの、冷却システムから冷却装置に入る。第1冷却媒体は、エバポレーターの下方部分に示される液体冷媒によってエバポレーターで冷却される。液体冷媒は、コイル9を通って流れる暖かい冷却媒体よりも低い温度で蒸発する。冷却された冷却媒体は、コイル9のリターン部分を経て矢印4で示されるように、ビル冷却システムへ逆再循環する。図1のエバポレーター6の下方部分に示される液体冷媒は、蒸発し、圧縮機7に吸い込まれ、圧縮機は冷媒蒸気の圧力および温度を高める。圧縮機は、冷媒蒸気がエバポレーターから出たときの冷媒蒸気の温度よりも高い温度でそれが凝縮器5中で凝縮できるようにこの蒸気を圧縮する。水冷式冷却装置の場合に液体である、第2冷却媒体は、冷却塔から凝縮器コイル10を経て図1の矢印1で凝縮器に入る。第2冷却媒体はこのプロセスで暖められ、コイル10のリターンループおよび矢印2を経て冷却塔にまたは環境に戻される。この第2冷却媒体は、凝縮器で蒸気を冷却し、蒸気を液体冷媒に変化させ、その結果図1に示されるように凝縮器の下方部分には液体媒体がある。凝縮器中の凝縮した液体冷媒は、膨張デバイスまたはオリフィス8を通ってエバポレーターへ逆流する。オリフィス8は液体冷媒の圧力を低下させ、液体冷媒を部分的に蒸気に変換する、すなわち、液体冷媒は、圧力が凝縮器とエバポレーターとの間に降下するにつれてフラッシュする。フラッシングは冷媒、すなわち、液体冷媒および冷媒蒸気の両方をエバポレーター圧力での飽和温度に冷却し、その結果、液体冷媒および冷媒蒸気の両方がエバポレーター中に存在する。
【0090】
単一成分冷媒組成物については、エバポレーターでの蒸気冷媒の組成は、エバポレーターでの液体冷媒の組成と同じものであることが指摘されるべきである。この場合には、蒸発は一定温度で起こるであろう。しかしながら、本発明の組成物の場合のように、冷媒ブレンドが使用される場合、エバポレーターでの(または凝縮器での)液体冷媒および冷媒蒸気は異なる組成を有するかもしれない。かかる組成は、沸点、化学構造および共沸混合物を形成する能力等々の成分の特性に依存する。
【0091】
700kWより上の能力の冷却装置は一般に、冷媒がエバポレーターおよび凝縮器に(すなわち、シェル側に)含有されるフラデッドエバポレーターを用いる。フラデッドエバポレーターは、冷媒をより多く装填する必要があるが、より近いアプローチ温度およびより高い効率を可能にする。700kWより下の能力の冷却装置は普通、冷媒がチューブの内側を流れるエバポレーターと、エバポレーターおよび凝縮器に、すなわち、シェル側に、冷却された冷却媒体とを用いる。かかる冷却装置は直接膨張式(DX)冷却装置と呼ばれる。水冷式の直接膨張式冷却装置は図2に例示される。図2に例示されるような冷却装置では、暖水などの、第1液体冷却媒体が入口14でエバポレーター6’に入る。(少量の冷媒蒸気と共に)ほとんど液体の冷媒が矢印3’でエバポレーターコイル9’に入り、蒸発し、蒸気に変わる。結果として、第1液体冷却媒体の冷却が行われ、この冷却媒体は出口16でエバポレーターを出る。冷媒蒸気は、矢印4’でエバポレーターを出て、圧縮機7’に送られ、そこでそれは圧縮され、高温、高圧冷媒蒸気として出る。この冷媒蒸気は1’で凝縮器コイル10’を通って凝縮器5’に入る。冷媒蒸気は、凝縮器で、水などの第2液体冷却媒体によって冷却され、液体になる。第2液体冷却媒体は、凝縮器水入口20を通って凝縮器に入る。第2液体冷却媒体は、凝縮した冷媒蒸気から熱を抽出し、冷媒蒸気は液体冷媒になり、これは第2液体媒体を凝縮器で加熱する。第2液体冷却媒体は凝縮器を通って出口18を通って出る。凝縮した冷媒液体は、図2に示されるように下方コイル10’を通って凝縮器を出て、液体冷媒の圧力を低下させる膨張弁12を通って流れる。膨張の結果として生成した、少量の蒸気は、コイル9’を通って液体冷媒と共にエバポレーターに入り、このサイクルが繰り返される。
【0092】
蒸気−圧縮冷却装置は、それらが用いる圧縮機のタイプによって特定される。一実施態様では、グループAのおよびグループBの組成物は、以下に記載されるような、遠心圧縮機を利用する遠心冷却装置で有用である。別の実施形態では、グループAのおよびグループBの組成物は、往復式圧縮機、スクリュー圧縮機、またはスクロール圧縮機のいずれかの容積式圧縮機を利用する容積式冷却装置で有用である。
【0093】
遠心圧縮機は、冷媒を放射状に加速するための回転要素を用い、典型的にはケーシングに格納された羽根車および拡散器を含む。遠心圧縮機は通常、流体を羽根車アイか、または循環羽根車の中心入口で取り込み、それを外側へ放射状に加速させる。幾らかの静圧上昇が羽根車で起こるが、圧力上昇のほとんどは、速度が静圧に変換されるケーシングの拡散器部分で起こる。各羽根車−拡散器一式は圧縮機の1段階である。遠心圧縮機は、所望の最終圧力および処理されるべき冷媒の容積に依存して、1〜12以上の段階で構築される。
【0094】
圧縮機の圧力比、または圧縮比は、絶対吐出圧力対絶対入口圧力の比である。遠心圧縮機によって供給される圧力は、比較的広範囲の能力にわたって実質的に一定である。遠心圧縮機が生み出すことができる圧力は、羽根車の先端速度に依存する。先端速度は、その先端で測定される羽根車の速度であり、羽根車の直径およびその回転数毎分に関係する。遠心圧縮機の能力は、羽根車の通過のサイズによって決定される。これは、圧縮機のサイズを能力よりも所要圧力に依存するようにする。
【0095】
容積式圧縮機は、蒸気をチャンバーへ吸い込み、チャンバーは容積が減少して蒸気を圧縮する。圧縮された後、蒸気は、チャンバーの容積をゼロまたはほぼゼロにさらに減少させることによってチャンバーから押し進められる。
【0096】
往復式圧縮機は、クランクシャフトによって駆動されるピストンを使用する。それらは、固定式または携帯式のどちらかであることができ、単段式または多段式であることができ、電気モーターまたは内燃エンジンによって駆動されることができる。5〜30馬力の小さい往復式圧縮機は、自動車用途に見られ、典型的には断続使用向けである。100馬力以下のより大きい往復式圧縮機は、大工業用途に見いだされる。吐出圧力は、低い圧力から非常に高い圧力(5000psiまたは35MPa超)までに及ぶことができる。
【0097】
スクリュー圧縮機は、ガスをより小さい空間へ推し進めるために2つのかみ合わせた回転容積式らせんスクリューを使用する。スクリュー圧縮機は通常、商業および工業用途で連続運転向けであり、固定式または携帯式のどちらかであってもよい。それらの用途は、5馬力(3.7kW)〜500馬力(375kW)超および低い圧力から非常に高い圧力(1200psiまたは8.3MPa超)までであることができる。
【0098】
スクロール圧縮機はスクリュー圧縮機に似ており、ガスを圧縮するための2つの交互渦巻き形状のスクロールを含む。出力は、回転スクリュー圧縮機のそれよりも脈動する。
【0099】
スクロール圧縮機または往復式圧縮機を使用する冷却装置については、150kWより下の能力のろう付けプレート熱交換器が普通は、より大きい冷却装置で用いられるシェルアンドチューブ熱交換器の代わりにエバポレーターのために使用される。ろう付けプレート熱交換器は、システム容積および冷媒装填を減少させる。
【0100】
他のエアコン/冷凍システム
グループAのおよびグループBの組成物はまた、5〜10kW未満の冷却能力を有する小さいクーラーなどの、他のエアコン/冷凍システムで、または一段で冷却効果をおよび異なる段階で加熱効果を生み出すために多段で冷媒を再使用する、閉ループ式伝熱システムで有用であるかもしれない。かかるシステムは典型的には移動式エアコンシステムに使用される。本明細書で用いるところでは、移動式エアコンシステムは、道路、鉄道、海また空用の輸送ユニット中へ組み込まれた任意の冷凍またはエアコン装置を意味する。
【0101】
移動式エアコンシステムとして使用されてもよい閉ループ式伝熱システムは、図3の50で概略示される。図3に関連して、システムは、入口および出口を有する圧縮機22を含む。ガス状冷媒組成物は、入口および出口を有するエバポレーター42の出口から、接続ライン63を通って圧縮機の入口に流れ、圧縮機でガス状冷媒はより高い圧力に圧縮される。流体を圧縮するための機械的手段に依存して、往復式、回転、ジェット、遠心、スクロール、スクリューもしくは軸流圧縮機を含む、または容積式(例えば、往復式、スクロールもしくはスクリュー)もしくは動(例えば、遠心もしくはジェット)圧縮機のような、様々なタイプの圧縮機が本発明で使用されてもよい。圧縮機からの圧縮されたガス状冷媒組成物は、圧縮機出口を通っておよび接続ライン61を通って凝縮器41に流れる。接続ライン61中の圧力調整弁51が使用されてもよい。この弁は、接続ライン63を経て圧縮機への冷媒逆流のリサイクルを可能にし、それによって凝縮器41に達する冷媒組成物の圧力を調整し、かつ、必要ならば圧縮機サージを防止する能力を提供する。圧縮されたガス状冷媒組成物は凝縮器で凝縮させられ、こうして放熱し、液体に変換される。凝縮器の出口は、膨張器52の入口に接続される。液体冷媒組成物は、膨張器52を通って流れ、膨張する。膨張器52は、膨張弁、毛細管もしくはオリフィス管、または伝熱組成物が圧力の急激な低下を受けるかもしれない任意の他のデバイスであってもよい。膨張器の出口は、接続ライン62によって、客室に設置されるエバポレーター42に接続される。液体冷媒組成物は、低温でエバポレーターで沸騰して低圧ガスを形成し、こうして冷却を行う。エバポレーターの出口は、圧縮機の入口に接続される。エバポレーターからの低圧ガスは圧縮機に入り、そこでガスは圧縮されてその圧力および温度を上げ、このサイクルが繰り返される。
【0102】
方法
本発明の別の態様によれば、グループAのおよびグループBの組成物は、冷却を行う方法に有用である。これらの方法では、グループAのおよびグループBの組成物は冷媒である。
【0103】
一実施態様では、冷却を行う方法は、図1に関連して上に記載されたようなフラデッドエバポレーター冷却装置で冷却を行うことを含む。この方法では、グループAまたはグループBの組成物は、第1冷却媒体の近くで蒸発させられて蒸気冷媒を形成する。冷却媒体は、水などの暖かい液体であり、それは、冷却システムからパイプを経てエバポレーターへ運ばれる。暖かい液体は冷却され、ビルなどの、冷却される本体に通される。組成物は次に、冷却塔から持ち込まれる冷却した液体である第2冷却媒体の近くで凝縮させられる。第2冷却媒体は、蒸気冷媒を液体冷媒へ冷却する。この方法では、フラデッドエバポレーター冷却装置はまた、ホテル、オフィスビル、病院および大学を冷却するために使用されてもよい。
【0104】
別の実施形態では、冷却を行う方法は、図2に関連して上に記載されたような直接膨張式冷却装置で冷却を行うことを含む。この方法では、グループAまたはグループBの冷媒組成物は、エバポレーターに通される。第1液体冷却媒体は、エバポレーターで蒸発させられて冷却媒体蒸気を形成し、それによって組成物を冷却する。組成物は、エバポレーターから、冷却される本体へ通される。この方法では、直接膨張式冷却装置はまた、ホテル、オフィスビル、病院、大学、ならびに海軍潜水艦または海軍水上艦を冷却するために使用されてもよい。
【0105】
別の実施形態では、冷却を行う方法は、図3に関して上に記載されたような閉ループ式伝熱システムで冷却を行うことを含む。この方法は、冷却される本体の近くでグループBの冷媒組成物を蒸発させる工程を含む。冷媒組成物はその後凝縮させられる。
【0106】
高GWP冷媒は、約1000以上の100年対象期間でのGWPを有する冷媒または伝熱流体として機能することができる任意の化合物である。本発明のグループAのおよびグループBの組成物は、ゼロのまたは低いオゾン層破壊係数および低い地球温暖化係数(GWP)を有する。本明細書に開示されるような組成物は、現在使用中の多くのハイドロフルオロカーボン冷媒よりも小さい地球温暖化係数を有する。典型的には、HFC−1225yeなどの、フルオロオレフィンは、約25未満のGWPを有すると予期される。本発明の一態様は、1000未満、500未満、150未満、100未満、または50未満の地球温暖化係数の冷媒を提供することである。
【0107】
気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)(IPCC)によって公表されたGWP計算に基づき、代替を必要としている冷媒および伝熱流体には、HFC−134aが含まれるが、それに限定されない。それ故、本発明に従って、フラデッドエバポレーター冷却装置、直接膨張式冷却装置または閉ループ式伝熱システムでHFC−134aを置き換える方法が提供される。本方法は、HFC−134aの代わりに、グループAの組成物を含む冷媒組成物をフラデッドエバポレーター冷却装置、直接膨張式冷却装置もしくは閉ループ式伝熱システムに、またはグループAもしくはグループBの組成物をフラデッドエバポレーター冷却装置もしくは直接膨張式冷却装置に提供する工程を含む。
【0108】
134aを置き換えるこの方法で、グループAまたはグループBのどちらかの組成物は、HFC−134aで運転するために元々デザインされかつ製造されたかもしれない遠心冷却装置で有用である。別の実施形態では、グループAおよびグループBの組成物は、HFC−134aで運転するために元々デザインされかつ製造されたかもしれない往復式冷却装置で有用である。容積式圧縮機またはスクロール圧縮機のどちらかを用いる別の実施形態では、グループAまたはグループBの組成物は、HFC−134aで運転するために元々デザインされかつ製造されたかもしれないスクリュー冷却装置で有用である。
【0109】
あるいはまた、134aを置き換えるこの方法で、本明細書に開示されるグループAまたはグループBの組成物は、新しいフラデッドエバポレーター冷却装置、新しい直接膨張式冷却装置、または新しい閉ループ式伝熱システムなどの、新しい機器で有用であるかもしれない。かかる新しい機器では、往復式、スクリューまたはスクロール圧縮機を含む、遠心圧縮機か容積式圧縮機かのどちら、およびこれと共に使用される熱交換器が使用されてもよい。
【実施例】
【0110】
冷却性能データ
表3は、HFC−134aと比べて本明細書に記載される組成物について圧縮機吸引圧力(Comp Suct Pres)、圧縮機吐出圧力(Disch Pres)、圧縮機吐出温度(Disch Temp)、エネルギー効率(COP)、能力(Cap)、および平均グライド(Avg Glide)として、冷却性能を示す。データは次の条件に基づいている。
【0111】
エバポレーター温度 7℃
凝縮器温度 48℃
サブクール温度 5℃
リターンガス温度 12℃
圧縮機効率は 70%である。
【0112】
【表3】

【0113】
【表4】

【0114】
【表5】

【0115】
【表6】

【0116】
【表7】

【0117】
【表8】

【0118】
【表9】

【0119】
【表10】

【0120】
【表11】

【0121】
【表12】

【0122】
【表13】

【0123】
【表14】

【0124】
【表15】

【0125】
表3の多くの組成物は、より低い吐出圧力および吐出温度を維持しながらHFC−134aと比べて同様なエネルギー効率(COP)を有する。表3にリストされる組成物の幾つかについての冷凍能力もまたR134aと同様であり、これらの組成物が冷凍およびエアコンでR134aの代替冷媒であり得ることを示唆する。さらに、組成物の幾つかは低い平均グライドを有し、従ってフラデッドエバポレーター型冷却装置での使用を可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.約50質量パーセント〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび約50質量パーセント〜約1質量パーセントの2,3,3,3−テトラフルオロプロペン;
b.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびペンタフルオロエタン;
c.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびシクロプロパン;
d.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびプロピレン;
e.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびフルオロエタン;
f.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびプロピレン;
g.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびペンタフルオロエタン;
h.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、およびフルオロエタン;
i.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、およびシクロプロパン;
j.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、およびアンモニア;
k.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、およびプロピレン;
l.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、およびアンモニア;
m.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、およびシクロプロパン;
n.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、およびプロパン;
o.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、およびプロピレン;または
p.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、およびジフルオロメタン
からなる群から選択された組成物。
【請求項2】
本質的に
a.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびペンタフルオロエタン;
b.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびアンモニア;または
c.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエタン
からなるa.bまたはcからなる群から選択された組成物。
【請求項3】
ポリアルキレングリコール、ポリオールエステル、ポリビニルエーテル、鉱油、アルキルベンゼン、合成パラフィン、合成ナフテン、またはポリ(アルファ)オレフィンからなる群から選択された潤滑剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
相溶化剤、UV染料、可溶化剤、トレーサー、安定剤、パーフルオロポリエーテルまたは官能化パーフルオロポリエーテルからなる群から選択された少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
a.約80質量パーセント〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび約20質量パーセント〜約1質量パーセントのペンタフルオロエタン;
b.約90質量パーセント〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび約10質量パーセント〜約1質量パーセントのシクロプロパン;
c.約90質量パーセント〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび約10質量パーセント〜約1質量パーセントのプロピレン;
d.約90〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび約1〜約10質量パーセントのフルオロエタン;
e.約90〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび約1〜約10質量パーセントのアンモニア;
f.約90〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび約1〜約10質量パーセントのプロピレン;
g.約40質量パーセント〜約98質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、約1質量パーセント〜約50質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび約1質量パーセント〜約20質量パーセントのペンタフルオロエタン;
h.約40質量パーセント〜約98質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、約1質量パーセント〜約50質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および約1質量パーセント〜約10質量パーセントのフルオロエタン;
i.約40質量パーセント〜約98質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、約1質量パーセント〜約50質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および約1質量パーセント〜約10質量パーセントのシクロプロパン;
j.約40質量パーセント〜約98質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、約1質量パーセント〜約50質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および約1質量パーセント〜約5質量パーセントのアンモニア;
k.約40質量パーセント〜約98質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、約1質量パーセント〜約50質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および約1質量パーセント〜約5質量パーセントのプロピレン;
l.約40質量パーセント〜約97質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、約1質量パーセント〜約50質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン、約1質量パーセント〜約20質量パーセントのペンタフルオロエタン、および約1質量パーセント〜約5質量パーセントのアンモニア;
m.約40質量パーセント〜約97質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、約1質量パーセント〜約50質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン、約1質量パーセント〜約20質量パーセントのペンタフルオロエタン、および約1質量パーセント〜約5質量パーセントのシクロプロパン;
n.約40質量パーセント〜約97質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、約1質量パーセント〜約50質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン、約1質量パーセント〜約20質量パーセントのペンタフルオロエタン、および約1質量パーセント〜約5質量パーセントのプロパン;
o.約40質量パーセント〜約97質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、約1質量パーセント〜約50質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン、約1質量パーセント〜約20質量パーセントのペンタフルオロエタン、および約1質量パーセント〜約5質量パーセントのプロピレン;または
p.約40質量パーセント〜約97質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、約1質量パーセント〜約50質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン、約1質量パーセント〜約20質量パーセントのペンタフルオロエタン、および約1質量パーセント〜約10質量パーセントのジフルオロメタン
からなる群から選択された、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
本質的に
a.約80質量パーセント〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび約1質量パーセント〜約20質量パーセントのペンタフルオロエタン;
b.約90質量パーセント〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび約1質量パーセント〜約10質量パーセントのアンモニア;または
c.約90質量パーセント〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび約1質量パーセント〜約10質量パーセントの1,1−ジフルオロエタン
からなる、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
冷却しようとする本体の近くで請求項1または2に記載の組成物を蒸発させる工程と、その後、該組成物を凝縮させる工程とを含み、ここで組成物が冷媒である移動式エアコンシステムで冷却を行う方法。
【請求項8】
冷却媒体をエバポレーターに通す工程と、請求項1または2に記載の組成物を蒸発させて蒸気を生成させる工程と、それによって冷却媒体を冷却する工程と、冷却媒体をエバポレーター外に出して冷却しようとする本体へ通過させる工程とを含む、フラッデドエバポレーター冷却装置で冷却を生じさせる方法。
【請求項9】
請求項1または2に記載の組成物をエバポレーターに通す工程と、冷却媒体をエバポレーターで蒸発させて冷却媒体蒸気を生成させる工程と、それによって組成物を冷却する工程と、組成物をエバポレーター外に出して、冷却しようとする本体へ通過させる工程とを含む、直膨型冷却装置で冷却を行う方法。
【請求項10】
フラッデドエバポレーター冷却装置、直膨型冷却装置または閉ループ式伝熱システムでHFC−134aを置き換える方法であって、請求項1または2に記載の組成物をHFC−134aの代わりに上記フラデッドエバポレーター冷却装置、直接膨張式冷却装置または閉ループ式伝熱システムに備える工程を含む方法。
【請求項11】
冷却媒体をエバポレーターに通す工程と、組成物を蒸発させて蒸気を生成させる工程と、それによって冷却媒体を冷却する工程と、冷却媒体をエバポレーター外に出して冷却しようとする本体へ通過させる工程とを含む、フラッデドエバポレーター冷却装置で冷却を生じさせる方法であって、ここで組成物が
a.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびジフルオロメタン;
b.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびペンタフルオロエタン;
c.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン;
d.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエタン;
e.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびシクロプロパン;
f.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびプロパン;
g.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン;
h.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびジフルオロメタン;
i.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,1−ジフルオロエタン;
j.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびフルオロエタン;または
k.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびプロパン
からなる群から選択される方法。
【請求項12】
組成物をエバポレーターに通す工程と、冷却媒体をエバポレーターで蒸発させて冷却媒体蒸気を生成させる工程と、それによって組成物を冷却する工程と、組成物をエバポレーター外に出して、冷却しようとする本体へ通過させる工程とを含む、直膨型冷却装置で冷却を生じさせる方法であって、ここで組成物が
a.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびジフルオロメタン;
b.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびペンタフルオロエタン;
c.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン;
d.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエタン;
e.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびシクロプロパン;
f.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびプロパン;
g.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン;
h.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびジフルオロメタン;
i.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,1−ジフルオロエタン;
j.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびフルオロエタン;または
k.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびプロパン
からなる群から選択される方法。
【請求項13】
フラッデドエバポレーター冷却装置または直膨型冷却装置でHFC−134aを置き換える方法であって、組成物を上記フラデッドエバポレーター冷却装置または直膨型冷却装置に備える工程を含み、ここで上記組成物が
a.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびジフルオロメタン;
b.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびペンタフルオロエタン;
c.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン;
d.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエタン;
e.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびシクロプロパン;
f.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよびプロパン;
g.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタン;
h.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびジフルオロメタン;
i.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよび1,1−ジフルオロエタン;
j.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびフルオロエタン;または
k.1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびプロパン
からなる群から選択される方法。
【請求項14】
組成物が、
a.約80質量パーセント〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび約20質量パーセント〜約1質量パーセントのジフルオロメタン;
b.約80質量パーセント〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパンおよび約20質量パーセント〜約1質量パーセントのペンタフルオロエタン;
c.約50質量パーセント〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび約50質量パーセント〜約1質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン;
d.約90質量パーセント〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび約10質量パーセント〜約1質量パーセントの1,1−ジフルオロエタン;
e.約90質量パーセント〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパンおよび約10質量パーセント〜約1質量パーセントのシクロプロパン;
f.約90質量パーセント〜約99質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび約10質量パーセント〜約1質量パーセントのプロパン;
g.約1質量パーセント〜約60質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、約20質量パーセント〜約50質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および約1質量パーセント〜約50質量パーセントの2,3,3,3−テトラフルオロプロペン;
h.約40質量パーセント〜約98質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、約1質量パーセント〜約50質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および約1質量パーセント〜約10質量パーセントのジフルオロメタン;
i.約40質量パーセント〜約98質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、約1質量パーセント〜約50質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および約1質量パーセント〜約10質量パーセントの1,1−ジフルオロエタン;
j.約40質量パーセント〜約98質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、約1質量パーセント〜約50質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および約1質量パーセント〜約10質量パーセントのフルオロエタン;または
k.約40質量パーセント〜約98質量パーセントの1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、約1質量パーセント〜約50質量パーセントの1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および約1質量パーセント〜約5質量パーセントのプロパン
からなる群から選択される、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
凝縮させる工程の前に組成物を圧縮する工程をさらに含み、そしてここで該圧縮が遠心、スクリュー、スクロールまたは往復式圧縮機で起こる、請求項8、9、11または12のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−534743(P2010−534743A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518395(P2010−518395)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/071098
【国際公開番号】WO2009/018117
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】