説明

フルオロポリマーの凝集方法および組成物

【課題】金属塩および金属イオンを本質的に含有しない高純度ハロゲン化ポリマーを製造する方法を提供する。
【解決手段】1種または複数種のハロゲン化モノマーおよび少なくとも1種類の硬化部位モノマーの重合単位からなるポリマーを凝集固化する際に、金属イオンおよび金属塩を本質的に含まずに、凝集剤としてオニウム化合物を使用する製造方法。かかる材料は、高純度フルオロポリマーを適用する半導体分野において、有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロポリマーの凝集および凝集組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水性乳化重合を用いて、部分フッ素化コポリマーの硬化性組成物の水性ラテックスを製
造することができる。最初に、ポリヒドロキシル化合物の塩またはポリヒドロキシル化合
物および窒素もしくはリン加硫成分を含有する第4級化合物混合物を添加し、第二に、凝
集のために酸を添加することによって、水性ラテックスからフッ化ビニリデンと少なくと
も1種類のフッ化オレフィンとの弾性コポリマーを凝集させ、単離または分離することも
記述されている。
【0003】
酸洗浄によってフッ素プラスチックから金属イオンを除去することは知られているが、
かかる溶液は、フルオロエラストマーの硬化部位と反応し、および/またはこれらの硬化
部位の有効性を制限し、またはこれらの硬化部位の目的を破壊し得る。一般に、フルオロ
ポリマーにおいて見られる望ましくない不純物の中では、金属イオンが挙げられる。半導
体業界では、かかる金属イオンは特に望ましくないことが判明している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の発明者らは、金属塩および金属イオンを本質的に含有しないパーフルオロエラ
ストマーを提供するための溶液を発見した。簡潔には、本発明は、凝集剤としてオニウム
化合物を使用して、ポリマー粒子を含有するラテックスを凝集することを含む、過ハロゲ
ン化エラストマーを製造する方法であって、そのポリマー粒子が、1種または複数種の過
ハロゲン化コモノマーおよび少なくとも1種類の硬化部位モノマーの共重合単位から本質
的になり、凝集が、金属イオンおよび金属塩を本質的に含まず行われる方法を提供する。
【0005】
他の態様において、本発明は、パーフルオロエラストマーなどの過ハロゲン化エラスト
マーを製造する方法であって、1種または複数種の過ハロゲン化または過フッ素化コモノ
マーの共重合単位を少なくとも1種類の硬化部位モノマーの共重合単位と共に有するポリ
マーラテックスを提供する段階と、オニウム化合物を使用してラテックスを凝集させる段
階であって、凝集が、金属イオンおよび金属塩を本質的に含有せず行われる段階と、凝集
したラテックスを洗浄する段階と、任意に、凝集ラテックスを乾燥させる段階と、を含む
方法を提供する。一態様において、ラテックスは、フッ素化乳化剤および開始剤を使用し
て、水性媒体中で1種または複数種の過ハロゲン化または過フッ素化コモノマーを少なく
とも1種類の硬化部位モノマーと共に重合させることによって提供することができる。
【0006】
他の態様において、本発明は、窒素またはニトリル含有硬化部位モノマーから誘導され
る共重合単位を含有する、パーフルオロポリマーなどの硬化性過ハロゲン化ポリマーを含
むエラストマー組成物を提供し、そのポリマーは、オニウム化合物を使用して凝集され、
かつそのポリマーは、更なる成分を添加することなく硬化することができ、かつ組成物は
本質的に、金属イオンおよび金属塩を含有しない。
【0007】
他の態様において、本発明は、硬化部位モノマーから誘導される共重合単位を含有する
パーフルオロポリマーなどの硬化性過ハロゲン化ポリマーを提供する段階であって、その
ポリマーがオニウム化合物を使用して凝集される段階;任意に更なる成分を添加すること
なく、ポリマーを硬化させる段階であって、その組成物が本質的に、金属イオンおよび金
属塩を含有しない段階;熱などによって組成物を硬化させる段階;任意に硬化組成物を後
硬化および/または熱老化させる段階;を含む、フルオロポリマー組成物を製造する方法
を提供する。
【0008】
本発明の一態様の利点は、金属イオンの導入を最小限にするか、または排除する凝集方
法を提供することである。本発明の他の態様の利点は、金属イオンを本質的に含有せず、
かつ金属塩を本質的に含有しない硬化性フルオロポリマー組成物を提供することである。
本発明の他の態様の利点は、自己硬化性フルオロポリマー組成物を提供することである。
さらに、本発明のフルオロポリマーは一般に、公知のフルオロポリマー系と比較して向上
した硬化速度および向上したスコーチ安全性を有する。
【0009】
本発明の他の特徴および利点は、本発明の以下の詳細な説明および特許請求の範囲から
明らかであるだろう。開示内容の原理の上記の概要は、例示されるそれぞれの実施形態ま
たは本発明の開示内容のすべての実施を説明するものではない。以下の詳細な説明は、本
明細書に開示される原理を用いて、特定の好ましい実施形態をさらに詳しく例証するもの
である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明では、有効量のオニウム化合物を使用して、パーフルオロポリマー組成物を凝集
させることができ、したがって、従来の方法で一般に使用されている金属イオンおよび金
属塩の導入を最小限にする、または排除することができる。したがって、一態様において
、本発明は、フッ素化乳化剤および開始剤を使用して、水性媒体中で1種または複数種の
過フッ素化コモノマーを少なくとも1種類の硬化部位モノマー(例えば、窒素含有硬化部
位モノマー)と共に重合させて、ラテックスを形成することを含む、パーフルオロポリマ
ーを製造する方法を提供する。次いで、有効量の有機オニウム化合物を使用することによ
って、このラテックスを凝集させ、凝集ラテックスを形成する。この凝集作業は、最小限
の金属イオンおよび金属塩で達成される。一般に、本発明では金属イオンおよび金属塩の
導入を避けることが好ましい。凝集後、凝集ラテックスを1回または複数回洗浄し、所望
の場合には、洗浄されたラテックスを乾燥させることができる。この洗浄段階によって、
重合プロセスから生じたアニオンが除去される。他の実施形態において、フッ素化乳化剤
を実質的に含有しない系を介することを除いては、上記のようにラテックスを製造するこ
とができる。つまり、系において、フッ素化乳化剤を約0.5重量%未満、さらに好まし
くは約0.1重量%未満、または時にさらに好ましくは約0.5重量%を有する。かかる
系は、約0.1未満、約0.001未満、または0のレベル(重量%)など、さらに少な
いフッ素化乳化剤を有し得る。
【0011】
有効量の有機オニウム化合物とは一般に、所望のプロセス条件においてパーフルオロポ
リマーを凝集させるレベルのオニウムを意味する。例えば、量が少なくとも凝集するが、
時間がかかることによって効率が悪く、量が多くとも凝集するが、無駄な費用がかかり、
あるいは更なる材料なしで硬化し、かつ向上したスコーチ特性を有するパーフルオロポリ
マーが生成される。一般に、有効量は、乾燥ポリマー100g当たり少なくとも約1〜2
ミリモル/(mmhr)、さらに好ましくは少なくとも約3.5mmhr、またはさらに
少なくとも約8.5mmhrである。他の態様において、有効量は、好ましくは少なくと
も約4mmhr〜約6mmhrである。他の態様において、有効量は、好ましくは約20
mmhr未満、さらに好ましくは約10mmhr未満である。
【0012】
本発明の組成物は、硬化部位モノマーから誘導される共重合単位を含有する硬化性パー
フルオロポリマーを含む。この組成物は本質的に、金属イオンおよび金属塩を含有しない
。他の態様において、本発明の組成物は、ニトリル含有硬化部位モノマーなどの窒素含有
硬化部位モノマーから誘導される共重合単位を含有する自己硬化性パーフルオロポリマー
を含む。この態様において、パーフルオロポリマーは、任意に硬化剤などの更なる材料と
配合することができるが、パーフルオロポリマーは、硬化剤を添加することなく硬化する
だろう。
【0013】
本発明において、適切なフルオロポリマーは、硬化部位モノマー、好ましくは少なくと
も2つの主要モノマーから誘導される共重合単位を含む。主要モノマーの適切な候補の例
としては、パーハロオレフィン(例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)およびヘキ
サフルオロプロピレン(HFP))、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、および
パーフルオロアルケンエーテル(例えば、パーフルオロ(アルキルビニル)エーテルおよ
びパーフルオロ(アルコキシビニル)エーテル)が挙げられる。
【0014】
過ハロゲン化フルオロポリマーは好ましくは、過フッ素化フルオロポリマーであり、し
ばしばTFE、CTFEまたはその組み合わせから誘導されるその共重合単位を少なくと
も約50モル%(mol%)含有し、任意にHFPを含む。パーフルオロポリマーの共重
合単位のバランス(10〜50モル%)は、1種または複数種のパーフルオロ(ビニルエ
ーテル)および硬化部位モノマー(以下に記載される)を含む。硬化部位モノマーは、ポ
リマーの約0.1〜約5モル%(さらに好ましくは約0.3〜約2モル%)を占める。
【0015】
適切な過フッ素化ビニルエーテルとしては、次式:
CF2=CFO(R2fO)a(R3fO)b4f (I)
(式中、R2fおよびR3fが、炭素原子1〜6個の同一または異なる直鎖状または分岐状
パーフルオロアルキレン基であり;aおよびbが独立して、0または1〜10の整数であ
り;R4fが、炭素原子1〜6個のパーフルオロアルキル基である)の過フッ素化ビニルエ
ーテルが挙げられる。好ましい種類のパーフルオロ(アルキルビニル)エーテルとしては
、次式;
CF2=CFO(CF2CFXO)d4f (II)
(式中、Xは、FまたはCF3であり;dは、0〜5であり、R4fは、炭素原子1〜6
個のパーフルオロアルキル基である)の組成物が挙げられる。さらに好ましいパーフルオ
ロ(アルキルビニル)エーテルは、上記の式(I)または式(II)のいずれかを参照し
て、式中、dが0または1であり、R2f、R3f、およびR4fのそれぞれが炭素原子1〜3
個を含有する。かかる過フッ素化エーテルの例としては、パーフルオロ(メチルビニル)
エーテル、パーフルオロ(エチルビニル)エーテル、およびパーフルオロ(プロピルビニ
ル)エーテルが挙げられる。
【0016】
有用な他の過フッ素化モノマーとしては、次式:
CF2=CFO[(CF2e(CFZ)gO]h4f (III)
(式中、R4fは、炭素原子1〜6個のパーフルオロアルキル基であり、eは1〜5であ
り、gは0〜5であり、hは0〜5であり、Zは、FまたはCF3である)の化合物が挙
げられる。この種類の好ましいメンバーは、式中、R4fがC37であり、eが1または2
であり、gが0または1であり、hは1である)のメンバーである。本発明において有用
なその他のパーフルオロ(アルキルビニル)エーテルモノマーとしては、次式:
CF2=CFO[(CF2CF(CF3)O)k(CF2pO(CF2q]CrF2r+1 (I
V)
(式中、kは0〜10であり、pは1〜6であり、qは0〜3であり、rは1〜5であ
る)のモノマーが挙げられる。この種類の好ましいメンバーとしては、式中、kが0また
は1であり、pが1〜5であり、qが0または1であり、rが1である、化合物が挙げら
れる。
【0017】
有用なパーフルオロ(アルコキシビニル)エーテルとしては、次式:
CF2=CFO(CF2t[CF(CF3)]uO(CF2O)wx2x+1 (V)
(式中、tが1〜3であり、uが0〜1であり、wが0〜3であり、xが1〜5、好ま
しくは1である)のエーテルが挙げられる。有用なパーフルオロ(アルコキシビニル)エ
ーテルの代表的な具体的な例としては、CF2=CFOCF2OCF2CF2CF3、CF2
CFOCF2OCF3、CF2=CFO(CF23OCF3、およびCF2=CFOCF2CF
2OCF3が挙げられる。
【0018】
パーフルオロ(アルキルビニル)エーテルとパーフルオロ(アルコキシビニル)エーテ
ルの組み合わせも使用することができる。
【0019】
本発明において有用なパーフルオロオレフィンとしては、次式:
CF2=CF−R5f (VI)
(式中、R5fは、フッ素、または炭素原子1〜8個、好ましくは1〜3個のパーフルオ
ロアルキルである)のパーフルオロオレフィンが挙げられる。
【0020】
有用なフルオロポリマーの一例は、テトラフルオロエチレンおよび少なくとも1種類の
パーフルオロ(アルキルビニル)エーテルの主要モノマー単位で構成される。かかるコポ
リマーにおいて、共重合過フッ素化エーテル単位は、ポリマー中に存在する全モノマー単
位の約10〜約50モル%(さらに好ましくは15〜35モル%)を占める。パーフルオ
ロポリマーは好ましくは、硬化部位モノマーを約0.1〜約5モル%含有する。
【0021】
一方のラテックスをもう一方のラテックスとブレンドすることによって、または粉末ま
たはペレットをブレンドすることによってなど、上述のフルオロポリマー中に1種または
複数種の他のフルオロポリマーを組み込むことができる。さらに、1種または複数種の他
のフルオロポリマー(1種または複数種のコポリマーを含み得る)を、窒素含有硬化部位
モノマーから誘導される共重合単位を有するフルオロポリマー(コポリマーを含み得る)
とブレンドすることができる。ブレンドおよび/またはコポリマーにおいて有用な他のか
かるフルオロポリマーとしては、ホモポリマー、および上記の共重合単位ならびに部分フ
ッ素化もしくは非フッ素化共重合単位を含有するコポリマーなど、当技術分野で公知のポ
リマーが挙げられる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびPFA(
テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニル)エーテル)が有用である。他
のフルオロポリマー(1種または複数種)は、パーフルオロエラストマーであっても、そ
うでなくてもよく、それは、硬化部位モノマーから誘導される共重合単位を欠いており、
および/または選択される硬化剤系に順応する反応部位を含有し得る。例えば、それぞれ
が硬化部位モノマーから誘導される共重合単位を有する、2つの異なるフルオロポリマー
、例えばニトリル基を含有する窒素含有硬化部位モノマーをブレンドして、本発明のフル
オロポリマーを提供することができる。
【0022】
以下に記載されるような適切な硬化剤と共に、本発明のフルオロポリマーに他のフルオ
ロポリマーを含有させて、選択される特性を提供することができる。例えば、過酸化物硬
化に適しているフルオロポリマーおよび過酸化物硬化剤を含有させて、化学安定性を向上
させることができる。かかるブレンドを使用して、得られるブレンドの熱安定性および化
学安定性のバランスをとることができ、経済的な特典を得ることもできる。他の硬化剤を
使用して、窒素含有硬化部位モノマーを欠いているフルオロポリマーを含有させる必要な
く、窒素含有硬化部位モノマーを有するフルオロポリマーのブレンドを硬化することもで
きる。
【0023】
硬化部位モノマーを有するパーフルオロポリマー(1種または複数種)は好ましくは、
本発明の組成物を欠く比較用のフルオロポリマーと比べて向上した熱安定性を提供するの
に十分な割合を組成物全体に対して占める。この量は一般に、本発明の組成物中のフルオ
ロポリマー全体の少なくとも25重量%(wt%)、さらに好ましくは少なくとも50重
量%である。
【0024】
本発明のパーフルオロポリマーは、いくつかの例外を除いては、公知の経路によって製
造される。例えば、重合プロセスは、水性乳化重合または有機溶媒中での溶液重合として
モノマーのラジカル重合によって行うことができる。フルオロポリマーブレンドが望まし
い場合には、組み込みの好ましい経路は、選択された比でフルオロポリマーラテックスを
ブレンドし、続いて凝集し、乾燥させることによるものである。本発明では、凝集作業は
、本明細書に記載のように変更される。
【0025】
末端基の性質および量は、本発明のフルオロエラストマーの硬化の成功にとって、重要
ではない。例えば、ポリマーは、過硫酸アンモニウム(APS)/亜硫酸塩開始剤系によ
って生成されるSO3(-)末端基を含有し得るか、またはポリマーは、APS開始剤系によ
って生成されるCOO(-)末端基を含有し得るか、またはフルオロエラストマーは、「中
性」末端基、例えばフルオロスルフィン酸塩または有機過酸化物開始剤系の使用によって
生成される末端基を有する。任意の種類の連鎖移動剤が、末端基の数を著しく低減するこ
とができる。
【0026】
硬化部位成分、または硬化部位モノマーによって、本発明のパーフルオロポリマーを硬
化させることが可能となる。一実施形態において、少なくとも1種類のフルオロポリマー
の少なくとも1つの硬化部位成分は、窒素含有基を含有する。本発明の硬化部位モノマー
において有用な窒素含有基の例としては、ニトリル、イミデート、アミジン、アミド、イ
ミド、およびアミンオキシド基が挙げられる。有用な窒素含有硬化部位モノマーとしては
、ニトリル含有フッ化オレフィンおよびニトリル含有フッ素化ビニルエーテル、例えばC
2=CFO(CF2LCN、CF2=CFO[CF2CF(CF3)O]q(CF2O)y
F(CF3)CN、CF2=CF[OCF2CF(CF3)]rO(CF2tCN、およびC
2=CFO(CF2uOCF(CF3)CNが挙げられ、これらの式に関して、L=2〜
12;q=0〜4;r=1〜2;y=0〜6;t=1〜4;u=2〜6である。かかる硬
化部位モノマーの代表的な例としては、CF2=CFO(CF25CN、CF2=CFO(
CF23OCF(CF3)CN、およびパーフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6
−ジオキサ−1−オクテン)が挙げられる。
【0027】
本発明において有用な他の適切な硬化部位成分は、過酸化物硬化反応に関与することが
できるハロゲンを含有するフルオロポリマーまたはフッ素化モノマー材料である。かかる
ハロゲンは、フルオロポリマー鎖に沿って、および/または末端位置に存在する。一般に
、ハロゲンは臭素またはヨウ素である。フルオロポリマー鎖に沿った位置にハロゲンを導
入するのに共重合が好ましい。この経路において、上記のフルオロポリマー成分の選択は
、適切なフッ素化硬化部位モノマーと組み合わされる。かかるモノマーは、例えば、一般
式Z−Rf−Ox−CF=CF2(式中、Zは、BrまたはIであり、Rfは、過フッ素化さ
れており、かつ1つまたは複数のエーテル酸素原子を含有し得る、置換または非置換C1
−C12フルオロアルキレンであり、xは0または1である)から選択することができる。
ブロモまたはヨードフッ化オレフィンの例としては:ブロモジフルオロエチレン、ブロモ
トリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレン、1−ブロモ−2,2−ジフルオロ
エチレン、および4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1等、ならびに
ブロモ−またはヨードフルオロビニルエーテル、例えば:BrCF2OCF=CF2、Br
CF2CF2OCF=CF2、BrCF2CF2CF2OCF=CF2、CF3CF(Br)CF
2OCF=CF2等が挙げられる。また、非フッ素化ブロモまたはヨードオレフィン、例え
ば、臭化ビニルおよび4−ブロモ−1−ブテンを使用することができる。
【0028】
フルオロポリマーの側鎖位置の硬化部位成分の量は一般に、約0.05〜約5モル%(
さらに好ましくは0.1〜2モル%)である。
【0029】
硬化部位成分は、フルオロポリマー鎖の末端位置にも存在し得る。連鎖移動剤または開
始剤を使用して、末端位置にハロゲンを導入することができる。一般に、適切な連鎖移動
剤は、ポリマー製造中に反応媒体に導入されるか、または適切な開始剤から誘導される。
【0030】
有用な連鎖移動剤の例としては、次式Rfx(式中、Rfが、過フッ素化され得る、置
換または非置換C1−C12フルオロアルキルラジカルであり、Zは、BrまたはIであり
、xは、1または2である)を有するものが挙げられる。臭化物を含む具体的な例として
は、CF2Br2、Br(CF22Br、Br(CF24Br、CF2(Cl)Br、CF3
CF(Br)CF2Br等が挙げられる。
【0031】
本発明のパーフルオロポリマー組成物は、有機オニウム組成物を使用して少なくとも一
部凝集される。有用なオニウム化合物としては、フルオロエラストマー組成物において有
用な触媒または硬化剤として、先に記載の化合物が挙げられる。本発明では、かかるオニ
ウム化合物は、凝集作業中に含有され、さらに、これによって、窒素含有硬化部位が使用
される場合、材料は未硬化および自己硬化性のままである。本発明において有利なことに
、金属塩および金属イオンは凝集に必要ではない。このことは、高純度のパーフルオロポ
リマーも可能にし、金属塩または金属イオンはほとんど、または全く含まれない。当然の
ことながら、金属が含有されない場合には、金属抽出手段は一般に必要ではない。
【0032】
一実施形態、本発明において有用なオニウム化合物としては、一般式:
k(+)(-) (VII)
を有する化合物が挙げられる。
【0033】
式VIIにおいて、Qは、リン(P)、硫黄(S)、窒素(N)、ヒ素(As)、また
はアンチモン(Sb)であり、kは、Qの原子価よりも高い値である。Rはそれぞれ独立
して、炭素原子1〜20個を有するアルキル、アリール、アラルキル、またはアルケニル
基である。さらに、Rは、置換または非置換、フッ素化または非フッ素化基であることが
できる。
【0034】
式VIIにおけるアニオンは、−OH、Br−、Cl−、HCOO−、R’COO−ま
たは−OR’であり、ただしR’は、C1−C10アルキルである。アルキル基は、置換ま
たは非置換、フッ素化または非フッ素化基であることができる。一態様において、好まし
いアニオンは、ヒドロキシド、カルボキシレート、およびアルコキシドである。
【0035】
好ましいオニウムとしては、Rが、アルキル、ベンジル、およびフェニルから選択され
るものが挙げられる。オニウム組成物は、購入することができるし、または公知の手段に
よって製造することができる。
【0036】
当技術分野で公知のように、有機オニウムは、ルイス塩基(例えば、ホスフィン、アミ
ン、およびスルフィド)の共役酸であり、ルイス塩基を適切なアルキル化剤(例えば、ア
ルキルハロゲン化物またはアシルハロゲン化物)と反応させることによって得られ、その
結果、ルイス塩基の電子供与性原子の原子価が増加し、有機オニウム化合物上に正電荷が
生じる。本発明において好ましい有機オニウム化合物は、有機部位に結合する、少なくと
も1つのヘテロ原子、つまりP、S、またはNなどの非炭素原子を含有する。
【0037】
本発明において特に有用な有機オニウム化合物の種類は広く、相対的に正のイオンおよ
び相対的に負のイオンを含み、リン、硫黄、または窒素は一般に、正イオンの中心原子を
含有し、負イオンは、非フッ素化、部分フッ素化であることができる、つまり少なくとも
1つの水素原子が残存しているという条件で、少なくとも1つの水素原子がフッ素で置換
される、あるいは過フッ素化であることができる、アルキルまたはシクロアルキル酸アニ
オンである。
【0038】
適切なリン化合物の例としては、テトラメチルホスホニウム、トリブチルアリルホスホ
ニウム、トリブチルベンジルホスホニウム、ジブチルジフェニルホスホニウム、テトラブ
チルホスホニウム、トリブチル(2−メトキシ)プロピルホスホニウム、トリフェニルベ
ンジルホスホニウム、およびテトラフェニルホスホニウムが挙げられる。これらのホスホ
ニウムは、水酸化物、塩化物、臭化物、アルコキシド、フェノキシド等であることができ
る。テトラアルキルホスホニウムヒドロキシドおよびテトラアルキルホスホニウムアルコ
キシドが好ましい。
【0039】
本発明において有用なスルホニウム化合物は、アニオンとイオン会合し、かつ炭素−硫
黄共有結合によって3つの有機部位(R’)に共有結合する、少なくとも1つの硫黄原子
を有する。これらの有機部位は同一または異なる。スルホニウム化合物は、1つを超える
相対的に正の硫黄原子、例えば、[(C652+(CH24+(C652]2Cl-
を有し、炭素−硫黄共有結合のうちの2つは、二価有機部位の炭素原子間にあり、つまり
硫黄原子は環状構造におけるヘテロ原子である。
【0040】
本発明において有用な種類のスルホニウム化合物は、式:
【化1】


(式中、各Rは、かかる基の少なくとも1つが芳香族基であるという条件で、同一また
は異なり、かかる基は、C4−C20芳香族ラジカル(例えば、置換および非置換フェニル
、チエニル、およびフラニル)およびC1−C20アルキルラジカルから選択することがで
きる)を有する塩である。アルキルラジカルとしては、置換アルキルラジカル(例えば、
ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールなどの置換基)が挙げられる。Zは、酸素
;硫黄;>S=O;>C=O;−SO2−;−NR’’−(式中、R’’は、アリールま
たはアシル(アセチル、ベンゾイル等);炭素−炭素結合;および−CR45−(式中、
4およびR5は、水素、C1−C4アルキルラジカル、およびC2−C4アルケニルラジカル
から選択される);から選択される。好ましくは、スルホニウム化合物は、少なくとも1
つのアリール基を含有する。
【0041】
Qが窒素である場合には、好ましい正イオンは、一般式[NR’4+または[HNR3
+(式中、Rは、式VIIについて上述のとおりである)を有する。前駆物質化合物と
して有用な代表的な第4級有機オニウムとしては、フェニルトリメチルアンモニウム、テ
トラペンチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム
、テトラヘプチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム
、トリブチルベンジルアンモニウム、トリブチルアリルアンモニウム、テトラベンジルア
ンモニウム、テトラフェニルアンモニウム、ジフェニルジエチルアミノアンモニウム、ト
リフェニルベンジルアンモニウム、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0
]ウンデカ−7−エニウム、ベンジルトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム、およびビ
ス(ベンジルジフェニルホスフィン)イミニウムが挙げられる。これらのアンモニウムは
、水酸化物、塩化物、臭化物、アルコキシド、フェノキシド等であることができる。これ
らの正イオンの中では、テトラブチルアンモニウムおよびテトラフェニルアンモニウムが
好ましい。
【0042】
QがAsまたはSbである場合、好ましい正イオンとしては、塩化テトラフェニルアル
ソニウムおよび塩化テトラフェニルスチボニウムが挙げられる。
【0043】
概して、テトラアルキルホスホニウム化合物が、触媒の正イオンに対してさらに好まし
い。
【0044】
有機オニウム化合物の混合物もまた、本発明において有用である。上述の前駆物質は一
般に、市販されており(例えば、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミ
カル社(Aldrich Chemicals,Milwaukee,WI))、または
公知の手順によって製造することができる。
【0045】
一部の実施形態において、本発明のパーフルオロポリマーは、更なる硬化剤を添加する
必要がなく、このパーフルオロポリマーは加熱によって硬化することができることから自
己硬化性である。一部の実施形態において、パーフルオロポリマーは自己硬化性であり、
異なる硬化特性を生じさせ、および/または硬化エラストマーの特性の変化を起こすため
に、硬化剤がさらに添加される。
【0046】
本発明は、フルオロエラストマー組成物およびパーフルオロエラストマー組成物などの
フルオロポリマー組成物の製造において有用である。本発明のフルオロポリマー組成物は
、金属塩および金属イオンを本質的に含有しない。かかる材料は、高純度フルオロポリマ
ーを適用する分野において、例えば金属イオンが有害であると考えられる半導体分野にお
いて特に有用であることが見出されている。
【0047】
本発明の目的および利点は、以下の実施例によってさらに説明され、これらの実施例に
記載の特定の材料およびその量、ならびに他の条件および詳細は、本発明を過度に制限す
ると解釈すべきではない。
【実施例】
【0048】
別段の指定がない限り、示されている結果は、以下の試験法を用いて得られた。試験結
果を以下の表に表す。
【0049】
試験法
硬化レオロジー:モンサント移動ダイレオメーター(Monsanto Moving
Die Rheometer)(MDR)モデル2000を使用して、ASTM D 5
289−93aに従って177℃、予熱なし、経過時間30分(12分と示されていない
限り)、弧の角度0.5度で、未硬化の配合試料について試験を行った。一定状態のトル
クまたは最大トルク(MH)が得られない場合には、指定の期間中に達成される最小トル
ク(ML)および最高トルクのどちらも測定した。トルクがMLを2単位超えて増加する時
間(「Ts2」)、トルクがML+0.5(MH−ML)に等しい値(「Tc50」)に達
する時間、トルクがML+0.9(MH−ML)に達する時間(Tc90)もまた測定した

【0050】
プレス加硫:物理的性質を決定するために、別段の指定がない限り、177℃で15分間
、約6.9メガパスカル(MPa)で加圧することによって、寸法150×150×2.
0mmの試料シートを製造した。
【0051】
後硬化:後硬化した試料シートを空気中で熱にさらした(250℃で16時間)。試験前
に、試料を周囲温度に戻した。
【0052】
物理的性質:ASTMダイDで、プレス加硫または後硬化シートから切断された試料につ
いて、ASTM D 412−92を用いて、破断点引張強さ、破断点伸び、および10
0%モジュラスを決定した。単位はMPaで報告される。
【0053】
硬度:ASTM D 2240−85方法Aを用いて、タイプA−2ショアデュロメータ
ー(TypeA−2 Shore Durometer)で試料を測定した。単位は、シ
ョアAスケールでポイントで報告される。
【0054】
圧縮永久ひずみ:ASTM D395−89方法Bを用いて、Oリング試料を測定した。
Oリングは、断面厚0.139インチ(3.5mm)を有した。その結果は、最初のたわ
みのパーセンテージとして報告される。
【0055】
材料
別段の指定がない限り、すべての材料が、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリ
ッチ・ケミカル社(Aldrich Chemicals,Milwaukee,WI)
から市販されている。
【0056】
実施例1〜7
水中の40%テトラブチルホスホニウムヒドロキシド(TBPOH40%)15gを脱
イオン(DI)水500mLに添加した。この混合物に、ラテックス(水性乳化重合によ
って製造された、テトラフルオロエチレン65.4モル%(mol%)、パーフルオロメ
チルビニルエーテル33.3モル%、CF2=CFO(CF25CN1.3モル%のコポ
リマー30重量%を含有する水性ラテックス(以降、「ラテックスA」))600gを攪
拌しながら一滴ずつ添加した。ガラス器具を脱イオン水30mLですすいだ。そのブレン
ドをチーズクロスを通して濾過し、得られた塊(crumb)を絞ることによって、余分
な水を除去した。脱イオン水(50〜55℃)1600mLにその塊を加え、約10分間
攪拌し、チーズクロスを通して濾過することによって、塊を4回洗浄した。得られた凝集
塊を105℃のオーブン内で6時間乾燥させ、次いでMDRレオメーターの記録を177
°C(12分)、160℃(30分)および140℃(60分)で行い、硬化特性を評価
した。以下の表に示すようにTBPOHの量を変えて、実施例2〜7を実施例1と同様に
行った。すべての試料が乾燥後にオフホワイトの色を有した。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
実施例8
TBPOHの量が33.3gであり、それを脱イオン水1665mLに添加し、上記の
ラテックスA2000gを攪拌しながら一滴ずつ添加したことを除いては、実施例8を実
施例1と同様に行った。4回目の洗浄作業を省いたことを除いては、実施例1と同様に、
材料を濾過し(チーズクロス)、洗浄した。得られた凝集塊を105℃に維持したオーブ
ン内で一晩乾燥させた。最初の材料およびエージングした材料の試料を試験し、その結果
を以下の表に示す。
【0060】
比較例1〜2(CE1およびCE2)
CE1において、塩化マグネシウム9gを脱イオン水1500mLに添加した。この混
合物に、上記のラテックス2000gを攪拌しながら一滴ずつ添加した。得られた材料を
実施例8と同様に濾過し、洗浄し、乾燥させた。最初の材料およびエージングした材料の
試料を試験し、その結果を以下の表に示す。
【0061】
以下に記載のように製造された触媒A7.5gをCE1フルオロポリマー94gに添加
することによってCE2を製造した。CE1と同様に試料を試験し、その結果を以下の表
に示す。表3において、室温(約22℃)で相対湿度95%の高湿度条件を用いた。
【0062】
触媒Aは、PFE131TX(ダイニオン社(Dyneon)から入手可能)80重量
%とテトラブチルホスホニウムパーフルオロアジペート20重量とのブレンドであり、以
下のように製造することができる。2L丸底フラスコは、電磁攪拌、温度プローブ、およ
び窒素バブラーへの連結を備えている。パーフルオロアジピン酸(フロリダ州アラチュア
のシンクエスト・ラボラトリーズ社(SynQuest Laboratories,I
nc.,Alachua,FL)から市販のオクタフルオロアジポイルフルオライドから
製造される)188g(0.65モル)および蒸留水488gをフラスコに装入する。攪
拌しながら、テトラブチル水酸化アンモニウム(アルドリッチ社から入手可能)の40重
量%水溶液898g(1.3モル)を1時間にわたって添加し、わずかな発熱反応が認め
られる。混合物を室温(約23℃)でさらに1時間攪拌する。15トル(2kPa)の減
圧下にてフラスコを65℃に加熱し、水を除去し、定量的収量で523g(0.65モル
)の(C494POOC(CF24COOP(C494が得られると予想される。ビス
−(テトラブチルホスホニウム)−パーフルオロアジペートは、融点123℃を有し、F
NMRによって、構造および2:1のモル比が確認される。フルオロポリマー80重量%
と、ビス−テトラブチルホスホニウムパーフルオロアジペート20重量%との混合物を2
本ロールミルを使用してブレンドし、触媒Aを製造した。
【0063】
【表3】

【0064】
本発明のこの態様から、自己硬化性であるフルオロポリマーには、硬化剤を添加する必
要はないことが実証された。さらに、フルオロポリマーの凝集の従来の経路によって、自
己硬化するフルオロポリマーは得られなかった。さらに、本発明の実施形態によって、優
れた貯蔵寿命と向上した硬化特性を有する自己硬化性フルオロポリマーが得られた。
【0065】
実施例9
ゴム100部につき実施例4のフルオロポリマー100部(phr)の組み合わせ(c
ombination)を、硫酸バリウム40phr、二酸化チタン5phrと混合した

【0066】
比較例3(CE3)
フルオロポリマーがPFE131TX(ダイニオン(Dyneon)社)であり、シリ
カ充填剤(ニュージャージー州パーシッパニーのデグッサ社(Degussa Corp
.,Parsippany,NJ)からAerosil R972として市販されている
)1.5phr、触媒(ダイニオンE−18412)5phr、ジメチルスルホン0.5
phrを添加した(硫酸バリウム40phrおよび二酸化チタン5phrに加えて)こと
を除いては、これを実施例9と同様に製造した。
【0067】
実施例10
実施例4のフルオロポリマー100phrの組み合わせをFEF N550カーボンブ
ラック20phrと混合した。
【0068】
比較例4(CE4)
触媒B(以下に記載のように製造された酢酸テトラブチルホスホニウム)1phrを添
加した(カーボンブラック20phrに加えて)ことを除いては、実施例10と同様にこ
れを製造した。
【0069】
水に溶解したテトラブチルホスホニウムヒドロキシド(0.143モル)の40重量%
溶液98.66gの混合物を使用して、触媒Bを製造することができる。500mLフラ
スコ中で酢酸(純度99.7%)8.6gでこれを中和する。混合物を約5分間かき混ぜ
る(pH紙はpH9を示す)。浴温度約50℃で回転蒸発器(rotovap)を使用し
て、水が凝縮しなくなるまで、混合物から水を除去する。エタノール(100mL)をフ
ラスコに添加し、凝縮が起こらなくなるまで、回転蒸発器で溶液をストリッピングする。
溶液にエタノールをさらに100mL添加し、続いて、凝縮が起こらなくなるまで回転蒸
発器でストリッピングする。これによって、透明であり、わずかに粘性のオイル約60g
が得られる。NMR分析から、このオイルはエタノール19%を含有することが明らかと
なった。カール・フィッシャー(Karl−Fisher)滴定によって、このオイルは
、目的のテトラブチルホスホニウムアセテートと共に水1.8重量%を含有することが分
かった。
【0070】
実施例9および10ならびにCE3およびCE4の未硬化の配合試料について、硬化レ
オロジー試験を行った。それぞれの配合混合物のシートをプレス加硫し、試験し、続いて
後硬化した。後硬化された試料を圧縮永久ひずみについて試験した。すべての試験結果が
、以下の表に含まれる。
【0071】
【表4】

【0072】
【表5】

【0073】
実施例11
水中の40%テトラブチルホスホニウムヒドロキシド(TBPOH40%)33.3g
を脱イオン(DI)水1665mLに添加した。この混合物に、ラテックス(水性乳化重
合によって製造された、テトラフルオロエチレン62.5モル%(mol%)、パーフル
オロメチルビニルエーテル36.9モル%、ブロモトリフルオロエチレン0.6モル%の
コポリマー30重量%を含有する水性ラテックス「ラテックスB」)2000gを攪拌し
ながら一滴ずつ添加した。そのブレンドをチーズクロスを通して濾過し、脱イオン水で3
回洗浄した。得られた凝集塊を105℃のオーブン内で一晩乾燥させ、次いでMDRの記
録および他の試験を以下の表6に示すように行った。硬化特性および物理的性質を試験す
るために、ゴム100部につきこの実施例のフルオロポリマー150部(phr)の組み
合わせをカーボンブラック(デグッサ社から入手可能なMT N−990)20phr、
酸化亜鉛2.5phr、トリアリルイソシアヌレート(日本化成株式会社(Nippon
Kasei Chemical Co.,Ltd.)からPerkalink 301
−50Dとして入手可能)3.5phr、過酸化物硬化剤(2,5−ジメチル−2,5−
ジ(t−ブチルパーオキシ)、ヘキサン粉末として記載される、アクゾ・ノベル・ケミカ
ルズ社(Akzo Nobel Chemicals)からのTrigonox 101
−50D、不活性充填剤を含有し、50%)1.35phrおよび加工助剤(米国ストラ
クトール社(Struktol Company of America)から、高分子
量、脂肪族、脂肪酸エステルおよび縮合生成物の高濃縮非含水ブレンドとして記載される
ストラクトール(Struktol)WB−222)1phrと配合した。
【0074】
比較例5(CE5)
塩化マグネシウム9gを脱イオン水1500mLに添加した。この混合物にラテックス
B(実施例11参照)2000gを攪拌しながら一滴ずつ添加した。そのブレンドをチー
ズクロスを通して濾過し、脱イオン水で3回洗浄した。得られた凝集塊を105℃のオー
ブン内で一晩乾燥させ、次いでMDRの記録および他の試験を以下の表6に示すように行
った。硬化特性よび物理的性質を試験するために、実施例11の配合材料の説明における
フルオロポリマーの代わりに、この比較例の材料のフルオロポリマーをゴム100部につ
き150部(phr)使用し、他の5つの材料を実施例11に従って使用した。
【0075】
【表6】

【0076】
実施例11およびCE5の試料を170℃で10分間プレス加硫し、230℃で16時
間後硬化した。
【0077】
【表7】

【0078】
本発明の範囲および原理から逸脱することなく、種々の変更を加えることができること
は、上記の説明から当業者には明らかであり、本発明は、上述の例示的な実施形態に過度
に制限されるものではないことを理解されたい。すべての出版物および特許が、あたかも
それぞれの出版物または特許が具体的かつ個々に、参照により組み込まれると示されるが
ごとく同程度に参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集剤としてオニウム化合物を使用して、ポリマー粒子を含有するラテックスを凝集さ
せることを含む、過ハロゲン化ポリマーを製造する方法であって、前記ポリマー粒子が、
1種または複数種の過ハロゲン化コモノマーおよび少なくとも1種類の硬化部位モノマー
の共重合単位から本質的になり、前記凝集が、金属イオンおよび金属塩を本質的に含まず
行われ、任意に、前記ラテックスが、フッ素化乳化剤を実質的に含有しない系において製
造される方法。
【請求項2】
前記ポリマーを洗浄する段階;および任意に前記ポリマーを乾燥させる段階;をさらに
含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オニウム化合物が、式:
k(+)(-)
(式中、Rはそれぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換C1−C20アルキル、アリ
ール、アラルキル、またはアルケニル基であり、Qは、N、P、S、As、Sbであり;
kは、Qの原子価よりも高い値であり;Xは、OH、Br、Cl、HCOO、R’COO
またはOR’(R’は、フッ素化または非フッ素化であり得るC1−C10アルキルである
)である)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記オニウム化合物が、アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウムから選択さ
れる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記オニウム化合物が、テトラアルキルオニウムヒドロキシド、テトラアルキルオニウ
ムアルコキシド、テトラアルキルオニウムカルボキシレート、およびテトラブチルホスホ
ニウムヒドロキシドから選択され、テトラアルキルオニウムにおけるアルキル基がそれぞ
れ独立して、C1−C10である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ラテックスが、フッ素化乳化剤および開始剤を用いて、1種または複数種の過フッ
素化コモノマーを少なくとも1種類の硬化部位モノマーと共に重合させることによって製
造され、任意に前記開始剤が過流酸アンモニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
重合が、水性媒体中で行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
硬化部位モノマーが、窒素含有硬化部位モノマー、ニトリル含有硬化部位モノマー、ま
たはハロゲン化硬化部位モノマーから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーが窒素含有硬化部位モノマーを含み、かつ前記ポリマーが、更なる成分を
添加することなく硬化することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマーを乾燥させる段階、前記ポリマーを成形する段階、および任意に、乾燥さ
せ、成形されたポリマーを硬化させる段階をさらに含み、任意に成形によって、シート、
ホース、ガスケット、またはOリングが形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
硬化剤を前記パーフルオロポリマーとブレンドすることさらに含み、任意に前記硬化剤
が、アミジン塩、過酸化物、アンモニウム塩、アンモニア生成化合物、置換トリアジン誘
導体、非置換トリアジン誘導体、過酸化物、ビス−アミノフェノール、ビス−アミドオキ
シム、および有機スズ化合物から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記過ハロゲン化ポリマーが、約10,000ppb未満の金属イオンおよび金属塩を
含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記過ハロゲン化ポリマーが、約1000ppb未満の金属イオンおよび金属塩を含有
する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記硬化部位モノマーが、CF2=CFO(CF2LCN;CF2=CFO(CF2u
CF(CF3)CN;CF2=CFO(CF25CN;CF2=CFO[CF2CF(CF3
)O]q(CF2O)yCF(CF3)CN;CF2=CF[OCF2CF(CF3)]rO(C
2tCN;およびパーフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オ
クテン);から選択される化合物であり、式中、L=2〜12;q=0〜4;r=1〜2
;y=0〜6;t=1〜4、およびu=2〜6である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
窒素含有硬化部位モノマーから誘導される共重合単位を含み、かつオニウム化合物で凝
集される硬化性過ハロゲン化エラストマーを含むエラストマー組成物であって、前記エラ
ストマーが、更なる成分を添加することなく硬化することができ、かつ前記組成物が、金
属イオンおよび金属塩を本質的に含有しない、エラストマー組成物。
【請求項16】
前記パーフルオロエラストマーが、約1000ppb未満の金属イオンおよび金属塩を
含有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記オニウム化合物が、式:
k(+)(-)
(式中、Rはそれぞれ独立して、水素、C1−C20アルキル、アリール、アラルキル、
またはアルケニル基であり、Qは、N、P、S、As、Sbであり;kは、Qの原子価よ
りも高い値であり;Xは、OH、Br、Cl、HCOO、R’COOまたはOR’(R’
は、フッ素化または非フッ素化であり得るC1−C10アルキルである)である)を有する
、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記オニウム化合物が、アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウムから選択さ
れる、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
前記オニウム化合物が、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホ
ニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブ
ロミド、またはその組み合わせから選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
前記オニウム化合物が、テトラアルキルオニウム、テトラアルキルオニウムヒドロキシ
ド、テトラアルキルオニウムアルコキシド、テトラアルキルオニウムカルボキシレート、
およびテトラブチルホスホニウムヒドロキシド、またはその組み合わせから選択され、テ
トラアルキルオニウムにおけるアルキル基がそれぞれ独立して、C1−C10である、請求
項15に記載の方法。
【請求項21】
前記窒素含有硬化部位モノマーが、任意に:CF2=CFO(CF25CN、CF2=C
FO(CF2LCN;CF2=CFO(CF2uOCF(CF3)CN;CF2=CFO[
CF2CF(CF3)O]q(CF2O)yCF(CF3)CN;またはCF2=CF[OCF2
CF(CF3)]rO(CF2tCN;およびパーフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3
,6−ジオキサ−1−オクテン)から選択されるニトリル含有モノマーを含み、式中、L
=2〜12;q=0〜4;r=1〜2;y=0〜6;t=1〜4、およびu=2〜6であ
る、請求項15に記載の組成物。
【請求項22】
硬化剤をさらに含み、任意に前記硬化剤が、アミジン塩、過酸化物、アンモニウム塩、
アンモニア生成化合物、置換トリアジン誘導体、非置換トリアジン誘導体、過酸化物、ビ
ス−アミノフェノール、ビス−アミドオキシム、および有機スズ化合物から選択される、
請求項15に記載の組成物。
【請求項23】
前記フルオロポリマーが、(i)テトラフルオロエチレン、および(ii)過フッ素化
コモノマー、および任意に(iii)1種または複数種のパーフルオロビニルエーテルか
ら誘導される共重合単位を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項24】
(a)請求項15に記載の組成物を提供する段階;および
(b)前記組成物を硬化させる段階;を含み、かつ任意に、
(c)硬化前に前記組成物を成形する段階;
をさらに含む、フルオロポリマーを製造する方法。
【請求項25】
硬化前に組成物中に硬化剤を混合することをさらに含む、請求項24に記載の方法であ
って、任意に、前記硬化剤が、アミジン塩、過酸化物、アンモニウム塩、アンモニア生成
化合物、置換トリアジン誘導体、非置換トリアジン誘導体、過酸化物、ビス−アミノフェ
ノール、ビス−アミドオキシム、および有機スズ化合物のうちの1種または複数種から選
択される方法。

【公開番号】特開2011−137171(P2011−137171A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47567(P2011−47567)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【分割の表示】特願2006−547560(P2006−547560)の分割
【原出願日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】