説明

フレキシブルコンテナの検査方法

【課題】フレキシブルコンテナの検査において、ピンホール等の欠陥部の発見率を高め、フレキシブルコンテナの再利用品を使用した場合において、屋外保管時における水濡れ防止等を図ることを課題とする。
【解決手段】フレキシブルコンテナの全体形状を保った状態で、該フレキシブルコンテナに発光ダイオードの光を照射し、該フレキシブルコンテナの欠陥部を透過する光を検出することにより欠陥部を検知することを特徴とするフレキシブルコンテナの検査方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルコンテナの検査方法に関し、さらに詳しくは、フレキシブルコンテナの検査において、簡単な装置を用いて安全かつ簡単にピンホール等の欠陥部を探知し、ピンホール等の欠陥部の発見率を飛躍的に高めることのできるフレキシブルコンテナの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉末や粒体を充填して運搬又は保管するための容器として、フレキシブルコンテナと呼ばれる袋状の容器が知られている。フレキシブルコンテナの素材は、それに充填する内容物の種類によっても異なるが、ポリエチレンやポリプロピレンのオレフィン系樹脂からなるフラットヤーンを織製した基布を袋状に形成したもの等が一般的となっている。
【0003】
フレキシブルコンテナは、一般に形状が特に限定されず、その全体形状が円柱状とされることもあるが、その全体形状が四角柱状とされることが多い。これにより、複数のフレキシブルコンテナを隙間無く敷き詰めたり積み重ねたりすることが可能になり、空間を効率的に使用することができるようになる。
フレキシブルコンテナの形状等は、目的に応じて種々の改良が加えられている。例えば、特許文献1には、内容物を充填した状態での全体形状をできるだけ四角柱状に保ち、運搬や保管する際に空間を効率的に使用することのできるフレキシブルコンテナが提案されている。
【0004】
フレキシブルコンテナは、高価なものが多いため、必要により内部の洗浄等を行って再利用される。再利用に際しては、洗浄、乾燥後のフレキシブルコンテナにピンホール等の欠陥の有無を検査し、検査に合格したものが再利用に供される。
例えば、特許文献2には、作業環境を悪化しないフレキシブルコンテナバッグの自動洗浄装置及びその洗浄方法が提案されている。
【0005】
従来、フレキシブルコンテナのピンホール等の欠陥部は、目視等の検査により点検し、その有無を確認していた。
しかしながら、こうした目視等の検査方法では、必ずしも欠陥部の発見率が充分でなく、そのため、再利用品の一部にピンホール等の欠陥部を有するものが存在すると、屋外保管時に雨等による水漏れ等の問題が発生することがあった。
【0006】
一方、特許文献3には、シート状もしくは板状の材料等からなる検査対象物に存在する様々な傷等の欠陥を精度良く検出できる欠陥検査の装置として、複数の発光ダイオードを光軸が互いに平行になるように直線状に配列してなる発光ダイオード配列体を複数段に配設した欠陥検出装置が提案されている。
【0007】
こうした状況下に、フレキシブルコンテナの検査において、簡単な装置を用いて安全かつ簡単にピンホール等の欠陥部を探知し、ピンホール等の欠陥部の発見率を飛躍的に高めることのできるやり方が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−274728号公報
【特許文献2】特開2009−072744号公報
【特許文献3】特開2009−139275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点に鑑み、簡単な装置を用いて安全かつ簡単にピンホール等の欠陥部を探知し、ピンホール等の欠陥部の発見率を飛躍的に高めることのできるフレキシブルコンテナの検査方法を提供し、それによって、フレキシブルコンテナの再利用品を使用した場合において、屋外保管時における水濡れ防止等を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、フレキシブルコンテナに発光ダイオード(以下、「LED」ともいう。)の光を照射し、該フレキシブルコンテナの欠陥部を透過する光を検出することにより欠陥部を検知することにより、これらの課題を解決するフレキシブルコンテナの検査方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明の第1の発明によれば、フレキシブルコンテナの全体形状を保った状態で、該フレキシブルコンテナに発光ダイオードの光を照射し、該フレキシブルコンテナの欠陥部を透過する光を検出することにより欠陥部を検知することを特徴とするフレキシブルコンテナの検査方法が提供される。
【0012】
本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、フレキシブルコンテナの外部における照度と該フレキシブルコンテナの内部における照度に差を設けることを特徴とするフレキシブルコンテナの検査方法が提供される。
【0013】
本発明の第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、発光ダイオードの光は、フレキシブルコンテナの外部より照射され、かつ該フレキシブルコンテナの内部において検出されることを特徴とするフレキシブルコンテナの検査方法が提供される。
【0014】
本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、フレキシブルコンテナの外部の照度は800ルクス以上、該フレキシブルコンテナの内部の照度は50ルクス以下であることを特徴とするフレキシブルコンテナの検査方法が提供される。
【0015】
本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、フレキシブルコンテナは、洗浄乾燥されたものであることを特徴とするフレキシブルコンテナの検査方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フレキシブルコンテナの検査において、フレキシブルコンテナに発光ダイオードの光を照射し、該フレキシブルコンテナの欠陥部を透過する光を検出することにより欠陥部を検知することにより、ピンホール等の欠陥部の発見率を高め、フレキシブルコンテナの再利用品を使用した場合において、屋外保管時における水濡れ防止等を図ることができる。また、光源に発行ダイオードを用いるため、光源の長寿命化、低消費電力化、小型化を可能とし、省エネルギー、二酸化炭素排出量低減化に向けた取組みを可能とするため、産業上の有用性は非常に高い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のフレキシブルコンテナの検査方法に係る装置を示した概略の縦断面図である。
【図2】本発明のフレキシブルコンテナの検査方法に係る装置を示した概略の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のフレキシブルコンテナの検査方法は、フレキシブルコンテナの全体形状を保った状態で、該フレキシブルコンテナに発光ダイオードの光を照射し、該フレキシブルコンテナの欠陥部を透過する光を検出することにより欠陥部を検知するものである。
フレキシブルコンテナは、種々の材質、種々の形状のものが挙げられるが、本発明においては、シートからなるものが好ましい。フレキシブルコンテナの材質は、特に限定されるものでないが、ポリエチレンやポリプロピレンのようなオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)等が好ましいものとして挙げられる。
【0019】
フレキシブルコンテナは、全体形状を保ち、内部に充填物のない状態で、検査に供される。例えば、立方体状、直方体状、円柱状、筒状等のフレキシブルコンテナを図1のように配置する。フレキシブルコンテナの外部には、光源装置として発光ダイオードを配置し、フレキシブルコンテナの内部には、光検出手段を配置する。そして、フレキシブルコンテナにピンホール等の欠陥部が存在すると、発光ダイオードからの光は該欠陥部を通過し、フレキシブルコンテナの内部の光検出手段に到達し、光を検出することにより欠陥部を検知することができる。
【0020】
光源装置に用いられる発光ダイオード(LED)は、各種のLEDランプを用いることができ、特に検知しやすさの観点から白色LEDが好ましい。光源装置に発光ダイオード(LED)を用いると、消費電力が、60Wの電球と比べて1/3〜1/10で済み、また、LEDの寿命は通常50,000時間以上であり、電球の1,000〜1,500時間の寿命に比べて50倍以上長持ちし、光源を交換する頻度が少なく好ましい。さらに、光源装置に発光ダイオード(LED)は、白熱電球に比べて発熱量が少なく、フレキシブルコンテナの検査時に発熱による各種障害を低減することが可能である。
【0021】
フレキシブルコンテナに欠陥部が存在する場合、その欠陥部(ピンホール等)を透過する光を検出することにより欠陥部を検知することができる。光の検出手段としては、目視による方法はもちろんのこと、モニタカメラ、CCDカメラ、固体撮像素子等の光検出装置を用いることができる。検出手段は、昇降装置により、上下に移動可能としてもよい。
【0022】
本発明の検査方法において、フレキシブルコンテナの外部における照度と該フレキシブルコンテナの内部における照度に差を設けることが、光検知性の観点から好ましい。特に好ましい態様として、発光ダイオードの光は、フレキシブルコンテナの外部より照射され、かつ該フレキシブルコンテナの内部において検出されるように配置することが好ましい。
ただし、必要に応じて、発光ダイオードの光は、フレキシブルコンテナの内部より照射して、かつ該フレキシブルコンテナの外部において検出されるように配置してもよい。
【0023】
発光ダイオードの光源をフレキシブルコンテナの外部に配置し、かつ該フレキシブルコンテナの内部に検出手段を配置する場合、フレキシブルコンテナの外部の照度を800ルクス以上、該フレキシブルコンテナの内部の照度を50ルクス以下に調整することが、光検知性の観点から好ましい。照度は、JIS−C−7612:1985に準拠し、照度計を用いて、フレキシブルコンテナ底部に接した位置で測定する。
【0024】
発光ダイオードの光源の配置場所やその数は、特に限定されないが、フレキシブルコンテナの周囲に、必要な数だけ配置することが好ましい。例えば、図2に示すように、フレキシブルコンテナの各コーナー部に少なくとも4基配置すると、欠陥部発見率が向上するので好ましい。
【実施例】
【0025】
以下に、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0026】
(実施例1)
光源として日動工業社製の照明器具LEDライト(型式LEN−60D−100E、100V60W)を4基用い、フレキシブルコンテナの周囲に配置した。5年間繰返し使用・再使用を行なった角型フレキシブルコンテナの中から無作為に抽出した350袋について、それぞれフレキシブルコンテナの内部において、外部からの光を目視により確認し、ピンホール等の欠陥部の有無を調べた。また、検査時の照度をJIS−C−7612:1985に準拠して測定すると、フレキシブルコンテナの外部の照度は2,500ルクス、内部の照度は48ルクスであった。なお、フレキシブルコンテナ1袋当たりの検査時間は、約30秒とした。その結果、検査対象350袋中、143袋のフレキシブルコンテナにピンホールを発見し、欠陥発見率は41%であった。
【0027】
(比較例1)
光源として40Wの白色蛍光灯12本を用い、フレキシブルコンテナの周囲に配置した。実施例1で用いた5年間使用した角型フレキシブルコンテナ350袋について、それぞれフレキシブルコンテナの内部において、外部からの光を目視により確認し、ピンホール等の欠陥部の有無を調べた。また、検査時の照度をJIS−C−7612:1985に準拠して測定すると、フレキシブルコンテナの外部の照度は250ルクス、内部の照度は45ルクスであった。なお、フレキシブルコンテナ1袋当たりの検査時間は、約30秒とした。その結果、検査対象350袋中、99袋のフレキシブルコンテナにピンホールを発見し、欠陥発見率は28%であった。
【0028】
実施例1と比較例1の結果から、本発明の検査方法によると、ピンホール等の欠陥部発見率が向上していることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、フレキシブルコンテナの検査において、フレキシブルコンテナに発光ダイオードの光を照射し、該フレキシブルコンテナの欠陥部を透過する光を検出することにより欠陥部を検知することにより、ピンホール等の欠陥部の発見率を高め、フレキシブルコンテナの再利用品を使用した場合において、屋外保管時における水濡れ防止等を図ることができる。また、光源に発行ダイオードを用いるため、光源の長寿命化、低消費電力化、小型化を可能とし、省エネルギー、二酸化炭素排出量低減化に向けた取組みを可能とするため、産業上の有用性は非常に高い。
【符号の説明】
【0030】
1 フレキシブルコンテナ
2 光源装置
3 光検出手段
4 照度計
5 昇降装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルコンテナの全体形状を保った状態で、該フレキシブルコンテナに発光ダイオードの光を照射し、該フレキシブルコンテナの欠陥部を透過する光を検出することにより欠陥部を検知することを特徴とするフレキシブルコンテナの検査方法。
【請求項2】
フレキシブルコンテナの外部における照度と該フレキシブルコンテナの内部における照度に差を設けることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルコンテナの検査方法。
【請求項3】
発光ダイオードの光は、フレキシブルコンテナの外部より照射され、かつ該フレキシブルコンテナの内部において検出されることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブルコンテナの検査方法。
【請求項4】
フレキシブルコンテナの外部の照度は800ルクス以上、該フレキシブルコンテナの内部の照度は50ルクス以下であることを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルコンテナの検査方法。
【請求項5】
フレキシブルコンテナは、洗浄乾燥されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフレキシブルコンテナの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−191248(P2011−191248A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59228(P2010−59228)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(593025664)三菱化学物流株式会社 (1)
【出願人】(594196358)株式会社ロンビック (5)
【出願人】(303061270)日本ポリケム株式会社 (2)
【Fターム(参考)】