説明

フレキシブルチューブ用継手

【課題】シール部材の改良により、組立の手間や材料コスト、製造コストを低減する。
【解決手段】同一軸心上に一体に接合された筒状本体11と、止輪61とを具備し、フレキシブルチューブ1における被覆体3の先端部分を除去して山部4と谷部5を露出させたコルゲイト管2を、止輪61から筒状本体11の内部に挿入することで、コルゲイト管2を筒状本体11に接合可能とし、筒状本体11の内面とコルゲイト管2との間に、中心層32と外包層33からなる環状のシール部材31を介在させ、シール部材31は、中心層32がゴム材料と耐火発泡材とを含んで構成され、外包層32がゴム材料を含んで構成されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブルチューブ用継手に関し、特にガス配管などに用いられるコルゲイト管にて構成されたフレキシブルチューブを接続するための継手において、シール部材を改良した継手に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばガス配管において、コルゲイト管にて構成されたフレキシブルチューブを接続する継手には、たとえば特許文献1乃至3に開示されるものがある。
これは、同一軸心上に一体に接合された一端側の筒状体と、筒状体の他端側に装着された止輪からなり、山部と谷部を有するコルゲイト管に被覆体が外嵌されたフレキシブルチューブを接続する時に、先端部分の被覆体を取り除いたコルゲイト管の先端部を、止輪から筒状本体の内部に挿入することで、フレキシブルチューブを筒状体に接合可能としたものである。
【0003】
この筒状体には、コルゲイト管との隙間からガスの漏出を防止するために気密用シール材を内装している。また火災により高温に晒されて気密用シール材が焼失した場合に、ガスの漏出を防止する耐火用シール材も内装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−211838号公報
【特許文献2】特開2008−240771号公報
【特許文献3】特許第4409199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、気密用と耐火用の2種類のシール部材が必要なことや、筒状体内にシール部材と耐火部材のそれぞれの収容部を形成する加工工程や、2種類のシール部材をそれぞれ組み込む組立工程などで手間やコストが嵩むという問題があった。
【0006】
本発明は、シール部材の改良により、組立の手間や材料コスト、製造コストを低減できるフレキシブルチューブ用継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、
同一軸心上に一体に接合された筒状本体と、この筒状本体に装着された止輪とを具備し、フレキシブルチューブにおける被覆体の先端部分を除去して山部と谷部を露出させたコルゲイト管を、前記止輪から前記筒状本体の内部に挿入することで、コルゲイト管を筒状本体に接合可能としたフレキシブルチューブ用継手であって、
前記筒状本体の内面とコルゲイト管との間に、中心層と外包層からなる環状のシール部材を介在させ、
前記シール部材は、前記中心層がゴム材料と耐火発泡材とを含んで構成され、前記外包層がゴム材料を含んで構成されるものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、
中心層は、高温に晒された時の体積の膨張率が4乃至8倍であり、
前記中心層は、筒状本体が高温に晒されてシール部材の外包層が消失した時に、少なくとも外包層の中心層を含む体積以上か、または外包層の半径方向の厚み以上に膨張して、コルゲイト管の外周部で当該筒状本体との間の空隙を埋めるように形成されたものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の構成において、
中心層のゴム材料と外包層のゴム材料とが同一のゴム材料であり、
前記ゴム材料がニトリルゴムであるものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至2記載の構成において、
耐火発泡材が熱膨張黒鉛であり、
中心層における熱膨張黒鉛の含有が20重量%乃至40重量%であるものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、筒状本体と止輪とを具備し、被覆体の先端部が削除されたフレキシブルチューブのコルゲイト管を止輪から筒状本体に挿入して接続した継手において、筒状本体の内面とコルゲイト管との間に介在されたシール部材を、耐火発泡材とゴム材料からなる中心層と、この中心層を覆いゴム材料からなる外包層とで構成したので、この外包層内により、通常時に優れたシール性を発揮でき、火災により外包層が焼失した時に、中心層が膨張して筒状本体とコルゲイト管を良好にシールすることができ、ガスの漏洩を防止することができる。したがって、従来必要であった気密用と耐火用の2種類のシール部材を不要とし、筒状本体内におけるシール部材の収容構造を簡略化でき、フレキシブルチューブ用継手の組立性を改善することができて、材料コスト、製造コストを低減することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、筒状本体が高温に晒されてシール部材の外包層が消失した時に、前記中心層が、少なくとも外包層の体積以上か、または外包層の半径方向の厚み以上となるので、コルゲイト管の外周部で筒状本体内との空隙を確実にシールすることができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、ニトリルゴムが耐油性、耐水性、耐ガス透過性に優れた材料であるため、より優れたシール性能を発揮できる。
請求項4記載の発明によれば、耐火発泡材を熱膨張黒鉛とし、中心層における熱膨張黒鉛の含有が20重量%乃至40重量%としたので、ゴム材料による中心層の可撓性を損なうことなく、火災発生に高温に晒された時にも高いシール性を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るフレキシブルチューブ用継手の実施例1を示し、フレキシブルチューブの接合状態の半縦断面図である。
【図2】シール部材を示す一部切り欠き斜視図である。
【図3】フレキシブルチューブに引き抜き方向の負荷がかかった場合の部分縦断面図である。
【図4】フレキシブルチューブ用継手が高温に晒された場合の部分縦断面図である。
【図5】止輪の部分拡大縦断面図である。
【図6】フレキシブルチューブ用継手の一部切り欠き斜視図である。
【図7】本発明に係るフレキシブルチューブ用継手の実施例2を示し、フレキシブルチューブ挿入前の半縦断面図である。
【図8】フレキシブルチューブ接合状態の半縦断面図である。
【図9】フレキシブルチューブ用継手が高温に晒された場合の半縦断面図である。
【図10】本発明に係るフレキシブルチューブ用継手の実施例3を示し、フレキシブルチューブ挿入前の縦断面図である。
【図11】フレキシブルチューブ接合状態の縦断面図である。
【図12】フレキシブルチューブ用継手が高温に晒された場合の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施例1]
以下、本発明に係るシール部材を内装したフレキシブルチューブ用継手の実施例1を図1乃至図6を参照して説明する。
【0016】
図1において、1はフレキシブルチューブで、薄肉のステンレス製のコルゲイト管2と、このコルゲイト管2の外周を覆う樹脂製のチューブ状の被覆体3とによって構成されている。このコルゲイト管2は、山部4と谷部5とが交互に形成されている。このフレキシブルチューブ1は、コルゲイト管2の先端側で所定数の山部4について被覆体3が取り除かれた状態で継手10に接合される。
【0017】
(筒状本体)
この継手10は、筒状本体11と、この筒状本体11の同一軸心O上に一体に装着される止輪61とを具備している。この筒状本体11は、真鍮などの金属によって形成され、その一端側に外ねじ部12が形成されて、ガス管やガス器具などの被接続体に接続することができる。外ねじ部12の他端側に工具掛かり部13が形成され、外ねじ部12のねじ込み操作のために用いられる。筒状本体11の他端側の内周には、他端側から一端側に、内ねじ部15と、入口側内周面16と、奥側内周面21とが順に形成され、さらに奥側内周面21のエンド部に奥端面19が形成されている。また、この奥端面19の内周部に、コルゲイト管2を案内するための筒状突部20が他端側に突出して形成されている。そして、奥側内周面21と筒状突部20との間に、コルゲイト管2の先端部と後述のシール材とを収容する収容部(空隙)22が形成される。また筒状突部20の他端部外周面には、コルゲイト管2の嵌入を案内するテーパ面20aが形成されている。そして収容部22の内周部にコルゲイト管2の先端部分が配置されている。
【0018】
(止輪)
止輪61は、真鍮などの金属と透明樹脂の複合体で筒状に形成されている。すなわち、筒状本体11に接合される金属製の基端筒部63と、この基端筒部63の他端側に嵌合固定されて外側からフレキシブルチューブ1が目視可能な透明な樹脂製の先端筒部64とで構成されている。
【0019】
図4に示すように、基端筒部63に、筒状本体11の内ねじ部15にねじ込み可能な外ねじ部12が形成されている。また基端筒部63の外周部に一端側の大径部65と、この大径部65から段部を介して他端側に形成された小径部66とが設けられ、この小径部66には、段部から所定幅の環状の係止溝67が形成されている。基端筒部63内には、コルゲイト管2の挿入を案内する挿入穴84が形成され、外ねじ部12の内周部に、一端側ほど漸次大径となる内周テーパ部68が形成されている。
【0020】
先端筒部64は、外周側に配置される外筒部70と、外筒部70の孔部71に内嵌めされて所定位置に配置される規制筒部72とで構成されている。また外筒部70の外周面73が外ねじ部12よりも大径に形成され、内部に孔部71が形成されている。さらに外筒部70の他端側に、基端筒部63の小径部66に外嵌されて接着されシールされる連結筒部75と、この連結筒部75の一端側の内周面に沿って中心側に突設されて係止溝67に嵌合される環状爪部76とが設けられている。さらにまた挿し口30に対応して孔部71の内周部に略三角形断面の環状突起77が突設されている。
【0021】
前記規制筒部72は、他端側の内周コーナ部にフレキシブルチューブ1を案内するための湾曲面78と、フレキシブルチューブ1の被覆体3を挿入する大径孔部79が形成されている。またこの大径孔部79の一端部に、規制段部81を介して被覆体3の挿入を規制しかつコルゲイト管2の挿入を許容する小径孔部80が形成されて規制部を構成している。
【0022】
そして、外筒部70の孔部71内で環状突起77と規制筒部72との間に、リング状のパッキン82の収容溝83が形成されている。このパッキン82は、内周側に周方向に沿ってシール片が突出されるT字形断面で、被覆体3の外周面と止輪61との隙間をシールして水などの浸入を防止する。
【0023】
この状態の継手10に、コルゲイト管2の先端が谷部5で切管され、かつコルゲイト管2の先端から一定距離(所定の山数)だけ基端側で被覆体3が取り除かれた状態のフレキシブルチューブ1を、止輪61の挿し口30から小径孔部80を介して筒状本体11内に挿入する。すると、コルゲイト管2の先端の山部4がリテーナ38の突部39を押し広げてこの突部39の位置を通過し、標準シール材52の内周に圧入されるとともに、コルゲイト管2の先端が耐火用シール材51に近接する位置まで押し込まれて収容部22の内周側に収容される。この時、外筒部70および規制筒部72が透明な樹脂により形成されていることから、被覆体3の先端を目視することができるとともに、フレキシブルチューブ1が、コルゲイト管2の先端から一定距離で被覆体3が削除されていることから、目視により被覆体3の先端が規制段部81に当接または近接していることを確認すると、コルゲイト管2の先端が耐火用シール材51に近接する位置まで圧入されていることになる。したがって、この被覆体3の先端の位置を、目視により外筒部70および規制筒部72を通して確認することにより、フレキシブルチューブ1と継手10とが正常に接合されていることを正確に確認することができる。
【0024】
(リテーナ)
この止輪61の内周テーパ部68と筒状本体11の入口側内周面16とシール部材31の端面とで囲まれる空間37が形成され、この空間37に抜け止め具である環状のリテーナ38が配置されている。
【0025】
このリテーナ38は、真鍮などの金属材料により形成され、その一端側すなわち筒状本体11の奥側には、径方向内向きの突部39が形成されている。この突部39は、コルゲイト管2が継手10に挿入されたときにこのコルゲイト管2の谷部5にはまり込むことが可能である。またリテーナ38の外周には、止輪61の内周テーパ部68に接触可能なテーパ面40が形成されている。さらにリテーナ38は、突部39を有する一端側から、他端側に向かう軸心O方向の切り込みが周方向の複数の位置に形成されることで、図1の状態から突部39が拡径されてコルゲイト管2の山部4を通過させることができるように構成されている。そしてリテーナ38の一端側の外周には、横断面が矩形状の環状溝41が形成され、この環状溝41にはリテーナ38の突部39が、拡径状態から図1の縮径状態になるように力を及ぼすためのリングばね42がはめ込まれている。
【0026】
図1において、43は筒状本体11の端面と基端筒部63の段部との間に設けられたパッキン43で、継手10の内部から外部へのガスの通過は許容するが、継手10の外部から内部への水の通過は許容しないものである。
【0027】
(シール部材)
筒状本体11の収容部22に、本発明に係る筒状のシール部材31がコルゲイト管3に外嵌されて配置されている。図2に示すように、このシール部材31は、中心層32と、この中心層32の周囲を覆う外包層33とを具備し、中心層32がゴム材料と耐火発泡材とを含む耐火用シール材からなり、外包層33がゴム材料を含む気密シール材からなる。そして、継手10が高温に晒されてシール部材31の外包層33が消失した時に、この中心層32が少なくとも外包層33の体積を超えて、外包層33の半径方向の厚さ以上か、または外包層33の中心層32を含む体積以上に膨張し、コルゲイト管2の外周部で筒状本体11との空隙を埋めてシール性を保持するように、加熱による中心層32の体積の膨張率と、外包層33と中心層32の体積比がそれぞれ設定されている。
【0028】
中心層32のゴム材料と外包層33のゴム材料とは同一のゴム材料であり、耐油性、耐水性および耐ガス透過性に優れたニトリルゴム(NBR)が好適であるが、これに限定されるものではない。また耐火発泡材として、熱膨張性能の高い熱膨張黒鉛が好適であるが、これに限定されるものではない。
【0029】
中心層32のゴム材料に対する耐火発泡材の含有比率は、20重量%乃至40重量%が好適である。これは、耐火発泡材の含有比率が20重量未満であると、火災時の体積膨張率が小さく、火災時のシール性を損なうおそれがあるからであり、また40重量%を超えると、ゴム材料による中心層32の可撓性を損なうことにより、平常時の気密シール性を損なうおそれがあるからである。ゴム材料に対する耐火発泡材の含有比率が20重量%乃至40重量%であれば、ゴム材料による中心層32の可撓性を損なうことなく、通常時のシール性を発揮でき、火災発生時においても、高いシール性を確保することができる。さらに中心層32のゴム材料に対する耐火発泡材の含有比率が25重量%乃至35重量%の場合は、さらに最適となる。
【0030】
また、加熱による中心層32の体積膨張率は、たとえば4乃至8倍に設定されている。これは、中心層32の体積膨張率が4倍未満であれば、火災発生時に高温に晒された時にシール部材31(外包層33)と同じ体積とするために、中心層32の体積が大きくなりすぎて、外包層33の厚みが薄くなり、平常時のシール性を損なうおそれがあるからである。また中心層32の体積膨張率が8倍を超えると、中心層32の成形時にゴム弾性が小さくなって脆くなり、形状保持が困難となって外包層33で包み込む形成ができないという問題が生じるからである。
【0031】
(フレキシブルチューブと継手の接合)
フレキシブルチューブ1を継手10に接合する際には、フレキシブルチューブ1先端の一定範囲で被覆体3を除去してコルゲイト管2を露出させた状態で、これを挿し口30から継手10の内部に挿入する。このとき、コルゲイト管2は、その先端部がリテーナ38を押し広げてこのリテーナ38の位置を通過したうえで、シール部材31の内周に挿入される。そして、コルゲイト管2の先端部は、シール部材31の内周を通って奥端面19に到達する。適当数の山部4の外周が少なくともシール部材31の内周に密接している。また、リテーナ38の突部39が、コルゲイト管2におけるその先端から距離をおいた位置の谷部5にはまり込む。さらに、止輪61の内部には、フレキシブルチューブ1における被覆体3の先端部がはまり込む。パッキン82は、この被覆体3の外周をシールすることで、継手10の内部に水などが浸入するのを防止している。
【0032】
継手10とフレキシブルチューブ1との間のシールは、通常時はシール部材31の外包層33によって行われる。火災発生などにより継手10が高温に晒されたときには、外包層33は焼失するが、それに替わって中心層32がシール機能を発揮する。すなわち、中心層32はゴム材料と耐火発泡材とを含む耐火用シール材であり、高温に晒されたときに耐火発泡材の体積が増大することによって、外包層33の焼失などによって生じた空隙を埋め、それによって所要のシール機能を発揮する。
【0033】
またフレキシブルチューブ1に継手10からの抜け出し力が作用した場合には、コルゲイト管2の一つの谷部5に突部39がはまり込んでいるリテーナ38の外周のテーパ面40が止輪61の内周テーパ部68に当たり、リテーナ38は止輪61から径方向内向きの反力を受ける。すると、リテーナ38とコルゲイト管2との引掛り状態が確実なものになり、これによって継手10からのフレキシブルチューブ1の抜け出しが防止される。
【0034】
このようにして継手10とフレキシブルチューブ1とが接合されることでガス配管を構成することができ、このガス配管を用いてたとえばガス管とガス器具との間の配管に供することができる。
【0035】
(実施例1の効果)
上記実施例1によれば、筒状本体11と止輪61とを具備し、被覆体3の先端部が削除されたフレキシブルチューブ1のコルゲイト管2を、止輪61から筒状本体11に挿入して接続した継手において、筒状本体11の奥側内周面21とコルゲイト管2との間に介在されたシール部材31を、耐火発泡材とゴム材料からなる中心層32と、この中心層32の周囲を覆うゴム材料からなる外包層33とで構成したので、外包層33内により、通常時に優れたシール性を発揮でき、火災などで高温に晒された時にシール部材31の外包層33が焼失した場合に、中心層32が膨張して筒状本体11とコルゲイト管2の間の空隙を良好にシールすることができ、ガスの漏洩を防止することができる。したがって、従来必要であった気密用と耐火用の2つのシール部材を不要とし、筒状本体11内におけるシール部材の収容構造を簡略化でき、フレキシブルチューブ用継手の組立性を改善することができて、材料コスト、製造コストを低減することができる。
【0036】
また外包層33が焼失した時に、中心層32が少なくとも外包層33の体積以上か、または少なくとも外包層33断面の半径方向の厚み以上となるようにしたので、筒状本体11の奥側内周面21とコルゲイト管2との間の収容部22を確実にシールすることができる。
【0037】
さらにゴム材料を、耐油性、耐水性、耐ガス透過性に優れたニトリルゴムとしたことにより、より優れたシール性能を発揮できる。さらにまた、耐火発泡材を熱膨張黒鉛とし、中心層32における熱膨張黒鉛の含有が20重量%乃至40重量%としたので、ゴム材料による中心層32の可撓性を損なうことなく、火災発生時において高いシール性を発揮させることができる。
【0038】
[実施例2]
本発明に係るフレキシブルチューブ用継手の実施例2を図7乃至図9を参照して説明する。
【0039】
図7は、フレキシブルチューブ1の挿入前の状態、図8はフレキシブルチューブ1の挿入状態(仮想線は、フレキシブルチューブ1に引き抜き方向の負荷が加わった状態)、図9は高温に晒された状態をそれぞれ示している。
【0040】
図7乃図9において、101は、継手100を構成する筒状本体で、一端側に雄ねじ部102が形成され、他端側に止輪110が同一軸心上に装着されている。この筒状本体101の穴部で奥端側に、コルゲイト管2の端部を規制する可動筒103が挿入され、この可動筒103の外周部に、コイルばね104aを含む保持手段104が外嵌されている。
【0041】
保持手段104の他端側に、環状のガイド部材105を介して本発明に係る筒状のシール部材131が配置されている。このシール部材131は、中心層132と、この中心層132の周囲を覆う外包層133からなり、中心層132がゴム材料と耐火発泡材とを含む耐火用シール材からなり、外包層133がゴム材料を含む気密用シール材からなり、実施例1と同一の材質にて構成される。
【0042】
シール部材131の他端側にリテーナ106が配置され、フレキシブルチューブ1に引き抜き方向の負荷がかかった時に、止輪110のテーパ面に当接して複数の爪部をコルゲイト管2の谷部に係止させ、フレキシブルチューブ1の抜け止めを行う。107は止輪110を抜け止めするストッパリング、108は止輪110の通気穴に配置された選択透過部材、109は分解リング、111は水密パッキンである。
【0043】
上記構成において、火災等により継手100が高温にさらされた場合、外包層133が焼失するが、それに替わって中心層132がシール機能を発揮する。すなわち、中心層132はゴム材料と耐火発泡材とを含む耐火用シール材であり、高温に晒されたときに耐火発泡材の体積が増大して元の体積の4乃至8倍の範囲で膨張し、シール部材131の体積以上となるとともに、保持手段104のコイルばね104aによりガイド部材105が他端側に押し出されることによって、中心層132がガイド部材105とリテーナ106との間に充満されて、外包層33の焼失などによって生じた筒状本体101とコルゲイト管5との間の空隙を埋め、所要のシール機能を発揮することができる。
【0044】
[実施例3]
本発明に係るフレキシブルチューブ用継手の実施例3を図10乃至図12を参照して説明する。
【0045】
図10は、フレキシブルチューブ1の挿入前の状態、図11はフレキシブルチューブ1の挿入状態、図12は高温に晒された状態をそれぞれ示している。
図10乃至図12において、201は一端側に雄ねじ部(図示せず)が形成された継手200の筒状本体で、筒状本体201の他端側に止輪210が同一軸心上に装着されている。
【0046】
筒状本体200内には、コルゲイト管2を案内する筒状のシール部材231が内嵌されており、このシール部材231は、中心層232と、この中心層232の周囲を覆う外包層233とを具備し、中心層232がゴム材料と耐火発泡材とを含む耐火用シール材からなり、外包層233がゴム材料を含む気密用シール材からなり、実施例1および2と同一の材質にて構成される。
【0047】
シール部材231の外包層233には、一端奥部から他端側に、管端受け部202と、中間部でコルゲイト管2の挿入時にシール作用部203が谷部に嵌合してシールする略円形断面のシール作用部203と、図12に示すように、他端部に内装され、コルゲイト管2に引き抜き方向の負荷がかかった時に、爪部を谷部に係合させて抜け止めを行う金属爪(リテーナの一種)204とがそれぞれ設けられている。前記中心層232はシール作用部203から金属爪204の手前部分に内包されている。
【0048】
止輪210には、内周部に被覆体3の端部の挿入を規制する突き当て部205が突設され、また筒状本体201から止輪210を抜け止めするスナップリング206が外嵌されている。207は防水パッキン、208は誤作動防止リングである。
【0049】
所定範囲で被覆体3が削除されたコルゲイト管2が、止輪210を介して筒状本体201内に挿入されると、他端側に配置されたシール部材231が奥側(一端側)に押し込まれ、シール作用部203がコルゲイト管2の谷部に嵌合されて気密シールが行われる。そして金属爪204がコルゲイト管2の谷部に係合され抜け止めされる。
【0050】
上記構成において、火災等により継手200が高温に晒された場合、シール部材231の外包層233が焼失するが、それに替わって中心層232がシール機能を発揮する。すなわち、中心層232はゴム材料と耐火発泡材とを含む耐火用シール材であり、高温に晒されたときに耐火発泡材の体積が増大され、金属爪204の奥側で、元の体積の4乃至8倍の範囲で膨張して、外包層233の焼失などによって生じたコルゲイト管2の外周で筒状本体201内の他端部分の空隙を埋めることによって、所要のシール機能を発揮することができる。
【符号の説明】
【0051】
O 軸心
1 フレキシブルチューブ
2 コルゲイト管
3 被覆体
10 継手
11 筒状本体
31 シール部材
32 中心層
33 外包層
38 リテーナ
61 止輪
63 基端筒部
64 先端筒部
82 パッキン
100 継手
101 筒状本体
104 保持手段
104a コイルばね
105 ガイド部材
106 リテーナ
110 止輪
131 シール部材
132 中心層
133 外包層
200 継手
201 筒状本体
202 管端受け部
203 シール作用部
204 金属爪
206 スナップリング
210 止輪
231 シール部材
232 中心層
233 外包層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一軸心上に一体に接合された筒状本体と、この筒状本体に装着された止輪とを具備し、フレキシブルチューブにおける被覆体の先端部分を除去して山部と谷部を露出させたコルゲイト管を、前記止輪から前記筒状本体の内部に挿入することで、コルゲイト管を筒状本体に接合可能としたフレキシブルチューブ用継手であって、
前記筒状本体の内面とコルゲイト管との間に、中心層と、この中心層の外周部を覆う外周層からなる環状のシール部材を介在させ、
前記シール部材は、中心層がゴム材料と耐火発泡材とを含んで構成され、外包層がゴム材料を含んで構成される
ことを特徴とするフレキシブルチューブ用継手。
【請求項2】
中心層は、高温に晒された時の体積の膨張率が4乃至8倍であり、
前記中心層は、筒状本体が高温に晒されてシール部材の外包層が消失した時に、少なくとも外包層の中心層を含む体積以上か、または外包層の半径方向の厚み以上に膨張して、コルゲイト管の外周部で当該筒状本体との間の空隙を埋めるように形成された
ことを特徴とする請求項1記載のフレキシブルチューブ用継手。
【請求項3】
中心層のゴム材料と外包層のゴム材料とが同一のゴム材料であり、
前記ゴム材料がニトリルゴムである
ことを特徴とする請求項1または2記載のフレキシブルチューブ用継手。
【請求項4】
耐火発泡材が熱膨張黒鉛であり、
中心層における熱膨張黒鉛の含有が20重量%乃至40重量%である
ことを特徴とする請求項1乃至3記載のフレキシブルチューブ用継手。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−241744(P2012−241744A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109959(P2011−109959)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000161998)京葉瓦斯株式会社 (46)
【出願人】(000196680)西部瓦斯株式会社 (47)
【出願人】(000167794)広島ガス株式会社 (15)
【出願人】(000191397)新和産業株式会社 (56)
【出願人】(000145471)株式会社十川ゴム (28)
【Fターム(参考)】