説明

フレッティング疲労試験治具、フレッティング疲労試験装置、及び、フレッティング疲労強度評価方法

【課題】負荷応力に対する相対すべり量を任意に変化させてフレッティング疲労強度を容易かつ低コストで評価することができるフレッティング疲労試験治具、そのフレッティング疲労試験治具を備えたフレッティング疲労試験装置、及び、フレッティング疲労強度評価方法を提供する。
【解決手段】相対すべりによる疲労を評価するフレッティング疲労試験装置1に、試験片50を取り付けるためのフレッティング疲労試験治具20a、20bであって、前記試験片50を押圧するように配置されて、前記試験片50と接触する境界において前記試験片を相対すべり可能に支持する少なくとも一つの接触部22a、22bと、前記接触部に前記相対すべり方向に負荷応力に応じた変位を付与する弾性体21a、21bと、を備えることを特徴とするフレッティング疲労試験治具20a、20b。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービン材料等のフレッティング疲労試験に用いられるフレッティング疲労試験治具、フレッティング疲労試験装置、及び、フレッティング疲労強度評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フレッティングとは、面圧が作用している機械の構造物同士の接触面間において、摩擦力を伴った微小な相対すべり(数μm〜数十μm程度)が繰り返し生じる現象である。例えば、蒸気タービンの翼根と翼溝のはめあい部では、蒸気タービンの運転時に、面圧が作用した状態で微小な相対すべりが繰り返し生じ、フレッティングによる疲労(フレッティング疲労)が生じる。このフレッティング疲労により、構造部材にき裂が発生したり、構造部材が破壊されたりすることがある。フレッティング現象を伴う場合、構造部材の疲労強度は、フレッティング現象を伴わない場合と比べて大きく低下するため、構造部材の設計の際に大きな問題とされている。
【0003】
上述した構造部材のフレッティング疲労強度を測定する手法として種々のものが提案されている。例えば、特許文献1には、試験片を固定するチャックと、試験片の下部を軸方向に加振する加振装置と、試験片の平行部を両側よりシューで押圧しチャックからの距離を調整可能とした面圧負荷装置とからなるフレッティング疲労試験装置が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、一端にロードセルが取り付けられた試験片の他端をばね板の中央部に支持するとともに、前記ばね板の両端をベースにねじ止めし、更に前記ねじにロードセルが取り付けられた接触片を支持したフレッティング疲労試験装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭57−75555号公報
【特許文献2】実開平5−36349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1及び特許文献2に提案されたようなフレッティング試験装置では、図5の直線100で示されるように、ある負荷応力に対してひとつのすべり量のみでフレッティング疲労強度を評価することになる。相対すべり量は、フレッティング疲労特性に大きな影響を及ぼす因子であり、より信頼性の高い構造部材の設計をするために、できるだけ多くの負荷応力とすべり量の対応につきフレッティング疲労強度を評価することが好ましい。
また、図5の直線100で示される応力と相対すべり量の関係のみではなく、図5のA及びBの領域でフレッティング疲労試験を行うためには、試験条件ごとに異なる治具を作製すれば可能であるが、多大なコストと時間がかかるという問題がある。
【0007】
この発明は前述した事情に鑑みてなされたものであって、負荷応力に対する相対すべり量を任意に変化させてフレッティング疲労強度を容易かつ低コストで評価することができるフレッティング疲労試験治具、そのフレッティング疲労試験治具を備えたフレッティング疲労試験装置、及び、フレッティング疲労強度評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するために、本発明は、相対すべりによる疲労を評価するフレッティング疲労試験装置に、試験片を取り付けるためのフレッティング疲労試験治具であって、前記試験片を押圧するように配置されて、前記試験片と接触する境界において前記試験片を相対すべり可能に支持する少なくとも一つの接触部と、前記接触部の少なくとも一つに、前記相対すべり方向に負荷応力に応じた変位を付与する弾性体とを備えることを特徴としている。
【0009】
本発明のフレッティング疲労試験治具によれば、試験片を押圧する接触部と、この接触部を相対すべり方向に負荷応力に応じた変位を付与する弾性体とを備えているので、フレッティング疲労試験装置に用いた場合に、負荷応力をできるだけ多くの相対すべり量と対応させてフレッティング疲労試験を行うことが可能となる。また、簡易な構成としているので容易かつ低コストで試験を行うことができる。
【0010】
また、前記弾性体は、対向配置された少なくとも一対の接触部を支持していて、前記弾性体の少なくとも一つは、弾性定数を調節可能とされても良い。
このような構成のフレッティング疲労試験治具によれば、対向配置された接触部が試験片を支持する構成とされているので、フレッティング疲労試験装置に用いた場合に、繰り返しの負荷応力がかかる方向がずれることを抑制してフレッティング疲労試験を行うことが可能となる。また、弾性体の弾性定数を調節可能な構成とされているので、負荷応力に対する相対すべり量を変化させて多様な条件のフレッティング疲労試験を行うことができ、設計に必要とするデータを容易かつ低コストで得ることが可能となる。
【0011】
また、前記弾性体は、対向配置された少なくとも一対の接触部を支持していて、前記弾性体がそれぞれ弾性定数を調節可能とされても良い。
このような構成のフレッティング疲労試験治具によれば、弾性定数の異なる弾性体に支持された接触部が試験片を押圧する構成とされているので、フレッティング疲労試験において、負荷応力に対応する複数の相対すべり量に基づくフレッティング疲労試験を行うことが可能となる。
【0012】
また、前記弾性体は、皿バネを備えていても良い。
皿バネを備えた弾性体とすることにより、弾性体の弾性定数を容易に調節することができる。また、安価な弾性体とすることができるため、試験にかかるコストを低減することが可能である。
【0013】
また、本発明は、上述のフレッティング疲労試験治具と、前記試験片に対して、繰り返しの応力を負荷する応力負荷手段と、を備えることを特徴としている。
本発明の疲労試験装置によれば、上述したフレッティング疲労試験治具と、応力負荷手段を備えているので、一回の試験において負荷応力に対する複数の相対すべり量を測定することができる。
【0014】
また、本発明は、フレッティング疲労試験装置を用いて相対すべりによる疲労を評価するフレッティング疲労強度評価方法であって、弾性体に支持されて試験片に対して押圧するように構成された接触部によって前記試験片を前記フレッティング疲労試験装置に取り付け、前記弾性体の弾性定数を調節することにより、前記試験片に繰り返しの応力を負荷して前記試験片と前記接触部との間で生じる相対すべり量を変化させてフレッティング疲労強度を評価することを特徴としている。
【0015】
本発明の疲労強度評価方法によれば、接触部により試験片を押圧しながら繰り返しの応力を負荷するので、接触部と試験片の境界で相対すべりを生じさせ、確実にフレッティング疲労試験を行うことができる。また、弾性定数を調整することにより、フレッティング試験時の負荷応力に対する相対すべり量を変化させることができるので、構造部材の設計に必要とされる試験条件で容易かつ低コストに試験を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、負荷応力に対する相対すべり量を任意に変化させてフレッティング疲労強度を容易かつ低コストで評価することができるフレッティング疲労試験治具、そのフレッティング疲労試験治具を備えたフレッティング疲労試験装置、及び、フレッティング疲労強度評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るフレッティング疲労試験治具とフレッティング疲労試験装置の概略説明図である。
【図2】一実施形態に係るフレッティング疲労試験治具のバネ部の拡大図である。
【図3】一実施形態に係るフレッティング疲労試験を行った時の負荷応力と相対すべりの関係の一例を表した図である。
【図4】第二の実施形態に係るバネ部の説明図である。
【図5】従来のフレッティング疲労試験治具を用いたフレッティング疲労試験時の負荷応力と相対すべり量の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第一の実施形態)
以下に、本発明の実施の形態について添付した図面を参照して説明する。
本実施形態は、フレッティング疲労試験治具、フレッティング疲労試験装置、及び、フレッティング疲労強度評価方法に関するものである。
【0019】
図1に、本実施形態に係る試験片がセットされている状態のフレッティング疲労試験装置1を示す。このフレッティング疲労試験装置1は、フレッティング疲労試験装置1の枠体であるベース部10と、ベース部10に固定されたフレッティング疲労試験治具20と、ロードセル30と、ロードセル30の下方に配置されるアクチュエーター40と、を備えている。そして、試験片50は、フレッティング疲労試験治具20とロードセル30によって支持されている。
【0020】
ベース部10は、フレッティング疲労試験治具20を固定する部位である。このベース部10とフレッティング疲労試験治具20は、強固に固定されてフレッティング疲労試験時には動かないようになっている。なお、フレッティング疲労試験治具20が固定される位置は、試験片50の大きさ等に応じて、最適な位置に設定すれば良い。
【0021】
フレッティング疲労試験治具20(20a、20b)は、一端がベース部10に固定されている弾性体21a、21bと、弾性体21a、21bに支持されている接触部22a、22bと、接触部22a、22bを試験片側に押圧する押圧手段60と、を備えている。
弾性体21a、21bは、バネ部23a、23bと、バネ部23a、23bの一端に接続されている第一の支持部24a、24bと、バネ部23a、23bの他端に接続されている第二の支持部25a、25bと、を有している。
【0022】
図2にバネ部23aの拡大図を示す。バネ部23aは、複数の皿バネ26と、これらの皿バネ26を内部に収める筐体27とを備えており、皿バネ26の内部には第二の支持部25aに接続されたロッド28が設けられている。ロッド28は上方の皿バネ26と下方の皿バネ26の間に配置されており、ロッド28が動くことにより皿バネ26が弾性的に作用するようになっている。なお、バネ部23bも、バネ部23aと同様の構成とされている。
【0023】
バネ部23a、23bは、皿バネ26の種類を変更することによって、バネ部23a、23bのバネ定数を調節できるようになっている。図2では、皿バネ26が6つの場合について示しており、6つの皿バネ26の種類の組み合わせを変更することによってバネ定数を調節できるようになっている。なお、本実施形態では、皿バネ26が直列に接続された構成としているが、皿バネ26を並列に接続しバネ定数を調節する構成としても良い。
【0024】
本実施形態では、バネ部23aのバネ定数が、バネ部23bのバネ定数よりも大きくなるように調節されている。また、このようにすることで、弾性体21aの弾性定数が弾性体21bの弾性定数よりも大きくなる。
なお、フレッティング疲労試験で実施する試験条件に応じて、最適なバネ定数をもつバネの種類、組み合わせを選択して使用すれば良い。
【0025】
第一の支持部24a、24bと第二の支持部25a、25bは、弾性体21a、21bの長手方向に延在し、第二の支持部25a、25bの試験片側には接触部22a、22bが支持されている。
接触部22a、22bは、押圧手段60によって試験片側へ押圧されて、さらに弾性体21a、21bを押圧し、試験片50に面圧を負荷するものである。本実施形態では、接触部22a、22bは対抗配置されている。
【0026】
実際に、フレッティング疲労試験を行う際には、接触部22a、22bのエッジと試験片50の間に相対すべりが発生し、フレッティング疲労が生じることとなる。なお、接触部22a、22bの材質(硬さ、摩耗のし易さ)、表面粗さ等は、フレッティング疲労強度に影響を及ぼす因子であるので、必要に応じて最適な材質のものを選択するようにすれば良い。
【0027】
押圧手段60は、弾性体21a、21bを押圧するボルト61a、61bと、ボルト61a、61bを支持するリング形状のリング部62を有している。
ボルト61a、61bは、リング部62の側面からリング部62の円心方向へとリング部62を貫通し、第二の支持部25a、25bの側面に配置されている。リング部62は、円形状をしており、第二の支持部25a、25bを囲うように配置されている。リング部62とボルト61a、61bの接する面はネジ切りがされており、ボルト61a、61bをねじ込むことによって弾性体21a、21bを押圧できるようになっている。そして、弾性体21a、21bを介して接触部22a、22bと試験片50の間に面圧が負荷されて、試験片50はフレッティング疲労試験治具に取り付けられる。
【0028】
ロードセル30は、フレッティング疲労試験時に負荷される繰り返しの応力(図1の上下方向にかかる応力)を測定するためのものである。
アクチュエーター40(応力負荷手段)は、フレッティング疲労試験時に負荷される繰り返しの応力を発生させるためのものである。フレッティング疲労試験に必要とされる応力や試験速度に応じて、最適なアクチュエーターを選択すれば良い。このアクチュエーターの下方は、図示しないフレッティング疲労試験装置1の枠体に支持されている。
なお、試験片50については、測定対象とする材料から所定の試験片形状に加工すれば良い。
【0029】
次に、このように構成されたフレッティング疲労試験装置1を用いたフレッティング疲労強度の評価方法について説明する。
まず、図1のように、フレッティング疲労試験治具の第一の支持部24a、24bをベース部の所定の位置に対向配置し、対向配置された一対の接触部22(接触部22a、22b)を試験片に配置する。そして押圧手段60のリング部62を第二の支持部25a、25bを囲うように配置し、ボルト61a、61bをねじ込んで弾性体21a、21bを押圧し、接触部22a、22bから試験片50へと面圧を負荷して試験片50を取り付ける。
【0030】
本実施形態では、バネ部23aのバネ定数が、バネ部23bのバネ定数よりも大きくなるように予め調節されており、弾性体21aの弾性定数が、弾性体21bの弾性定数よりも大きくなっている。そして、試験片50にロードセル30とアクチュエーター40を順に取り付け、アクチュエーター40から試験片50へと繰り返しの応力を負荷する。アクチュエーター40により負荷される応力によって生じる接触部22a、22bと試験片50の境界の相対すべりの変位量は、レーザー変位計等の測定器によって計測される。
【0031】
この時に試験片50に負荷される応力および相対すべり量の関係を図3に示す。弾性体21a(弾性定数が大きい)側の接触部22aと試験片50の間の負荷応力と相対すべり量の関係は、負荷応力に対して相対すべり量が小さく直線70のようになっている。一方、弾性体21b(弾性定数が小さい)側の接触部22bと試験片50の間の負荷応力と相対すべり量の関係は、負荷応力に対して相対すべり量が大きくなっており、直線80のようになっている。そのため、本実施形態のフレッティング疲労試験装置1を用いることで、同一負荷応力に対して相対すべり量が異なる条件でフレッティング疲労強度を評価することが可能となる。
【0032】
そして、所定の応力を所定の回数(または試験片が破断されるまで)繰り返し負荷することにより、ある応力下における2種類の相対すべり量の場合のフレッティング疲労強度を把握することができる。
【0033】
また、さらに異なる負荷応力と相対すべり量の条件でフレッティング疲労試験を行う場合には、皿バネ26を調節してバネ定数を変化させて上述した試験を再度実施する。このようにして、負荷応力に対する多様な相対すべり量についてフレッティング疲労試験を行うことが可能である。
【0034】
本実施形態に係るフレッティング疲労試験治具20によれば、試験片50を押圧する接触部22a、22bと試験片50が相対すべりする方向における弾性体21a、21bのバネ定数を調節できるので、フレッティング疲労試験を行う際に、負荷応力を複数の相対すべり量と対応させて容易に試験を行うことが可能となる。そして、構造部材を設計する際に必要とされる条件でのデータの取得が可能となるので、より精度の高い設計をすることができる。
【0035】
また、接触部22a、22bが対向配置されたて試験片を支持する構成とされているので、フレッティング疲労試験時に負荷される応力の方向がずれることを抑制し、信頼性の高いフレッティング疲労試験を行うことができる。
【0036】
また、同負荷応力で2種類の相対すべり量の条件を一度のフレッティング疲労試験において行うことができるので、試験の回数を減らして短時間でデータの取得をすることができ、また試験にかかる費用を低コストに抑えることが可能となる。
【0037】
また、本実施形態では、バネ部は6つの皿バネ26から構成されており、皿バネ26の種類を変更することにより、フレッティング疲労試験に必要なバネ定数を任意に設定できるようになっているので、負荷応力に対する相対すべり量の関係を広い範囲に変化させてフレッティング疲労試験を行うことが可能となる。
【0038】
また、本実施形態のフレッティング疲労試験装置1によれば、上述したフレッティング疲労試験治具20と、試験片に応力を負荷するアクチュエーター40とを備えているので、負荷応力に対する相対すべり量を変化させてフレッティング疲労試験を行うことが可能である。
【0039】
また、本実施形態のフレッティング疲労強度評価方法によれば、負荷応力に対する相対すべり量の関係を広範囲に変化させることができるので、構造部材の設計に必要とされる試験条件でフレッティング疲労強度を評価することが可能となる。また、一度の試験で同時に2つの負荷応力と相対すべりの条件で試験を行うことができるので、試験の回数を減少させて短時間で必要なデータを採取し、試験に要する費用も低減することができる。
【0040】
(第二の実施形態)
次に、本発明の第二の実施形態に係るフレッティング疲労試験治具について説明する。
第二の実施形態は、バネ部の構成が第一の実施形態と異なる点を除いて、その他の構成については第一の実施形態と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0041】
図4に、第二の実施形態のバネ部23cを説明する図を示す。バネ部23cは、複数の皿バネ26と、これらの皿バネ26を内部に収める筐体27と、筐体27の下方にナット90を備えている。そして、皿バネ26の内部には第二の支持部25aに接続されたロッド28が設けられている。ロッド28は上方の皿バネ26と下方の皿バネ26の間に配置されており、ロッド28が動くことにより皿バネ26が弾性的に作用するようになっている。
【0042】
この皿バネ26は、ナット90を締めつけることによって、皿バネ26が縮む構成とされている。このような構成のバネ部23cの場合、ナット90の締め付け量に応じて皿バネ26が変位し、バネ定数を調節することができる。
【0043】
上述した構成のバネ部23cを備えたフレッティング疲労試験治具によれば、フレッティング疲労試験の際に、ナット90の締め付ける量に応じてバネ定数を調節することができるので、負荷応力に対する相対すべり量を容易に変更して試験を行うことが可能となる。
なお、第二の実施形態において、第一の実施形態のように、皿バネの種類や組み合わせ方法を変更してバネ定数を調節することとしても良い。
【0044】
以上、本発明の一実施形態である、フレッティング疲労試験治具、フレッティング疲労試験装置、及び、フレッティング疲労強度評価方法について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、この発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0045】
上記実施の形態では、接触部が二つの場合について説明したが、接触部は一つでも、三つ以上であっても良い。また、二つの弾性体のうち片方の弾性体は、バネ部を備えていない構成とされても良い。
【0046】
また、上記の実施の形態では、弾性体は皿バネを備える場合について説明したが、コイルスプリング等の他のバネを備えることとしても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 フレッティング疲労試験装置
20(20a、20b) フレッティング疲労試験治具
21(21a、21b) 弾性体
22(22a、22b) 接触部
40 アクチュエーター(応力負荷手段)
50 試験片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対すべりによる疲労を評価するフレッティング疲労試験装置に、試験片を取り付けるためのフレッティング疲労試験治具であって、
前記試験片を押圧するように配置されて、前記試験片と接触する境界において前記試験片を相対すべり可能に支持する少なくとも一つの接触部と、
前記接触部の少なくとも一つに、前記相対すべり方向に負荷応力に応じた変位を付与する弾性体と、を備えることを特徴とするフレッティング疲労試験治具。
【請求項2】
前記弾性体は、対向配置された少なくとも一対の接触部を支持していて、前記弾性体の少なくとも一つは、弾性定数を調節可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のフレッティング疲労試験治具。
【請求項3】
前記弾性体は、対向配置された少なくとも一対の接触部を支持していて、前記弾性体がそれぞれ弾性定数を調節可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のフレッティング疲労試験治具。
【請求項4】
前記弾性体は、皿バネを備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のフレッティング疲労試験治具。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のフレッティング疲労試験治具と、
前記試験片に対して、繰り返しの応力を負荷する応力負荷手段と、を備えることを特徴とするフレッティング疲労試験装置。
【請求項6】
フレッティング疲労試験装置を用いて相対すべりによる疲労を評価するフレッティング疲労強度評価方法であって、
弾性体に支持されて試験片に対して押圧するように構成された接触部によって前記試験片を前記フレッティング疲労試験装置に取り付け、
前記弾性体の弾性定数を調節することにより、前記試験片に繰り返しの応力を負荷して前記試験片と前記接触部との間で生じる相対すべり量を変化させてフレッティング疲労強度を評価することを特徴とするフレッティング疲労強度評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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