説明

フレームなし太陽光発電パネル用保護モジュール

【課題】積み重ねたときに荷崩れを生じさせない、フレームなし太陽光発電パネル用保護モジュールを提供する。
【解決手段】フレームなし太陽光発電パネルの角部の2辺を覆う直交する壁部材2と、壁部材2の内面に2辺を接して一体成型された太陽光発電パネルの角部を載のせる棚部材3と、壁部材2が交叉する角部の上下に形成された第1のフック部4および第1のフック部4と係合する係合凹部5と、壁部材2の角部から離れた壁部材2の端部の上下に形成された第2のフック部6および第2のフック部6と係合する角孔71をあけた弾性変形する舌片7とを具備する保護モジュールを、フレームなし太陽光発電パネルの各角部に嵌め込んでパネルを保護するとともに、上下の保護モジュールを係合させてフレームなし太陽光発電パネルを積み重ねて保管または運搬する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製造されたフレームなし太陽光発電パネルを積み重ねて保管・運搬する際に、積み重ねられた上下に隣接する太陽光発電パネルの間に嵌め込んで太陽光発電パネルを保護する保護モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光エネルギーを電気に変換する太陽光発電モジュールは、ガラス板の裏面にシリコン膜からなる光起電力層および導電体層を形成し、その表面に合成樹脂の保護層を形成したものであり、この太陽光発電モジュールの周囲をアルミニウムまたはアルミニウム合金製の引抜材を加工したフレームにより囲んで太陽光発電パネルを構成していた。
【0003】
太陽光発電パネルのコストを低減するために、アルミニウム製のフレームを使用しないフレームなし太陽光発電パネルとすることが実施されている。
【0004】
図7の平面図(a)および正面図(b)に示すように、フレームなし太陽光発電パネル8は、ガラス−プラスチック・モジュールまたはガラス−ガラス・モジュール81と、その下面に電気回路を入れて電線を引き出すために設けられた制御箱82とにより構成される。
【0005】
このようなフレームなし太陽光発電パネル8においては、保護モジュール1を各角部に嵌め込もうとしても、上下両面が平坦で掴みどころがないから外れ易い。
【0006】
下記特許文献1の図6および図7に開示された従来の保護モジュールは、小径部および大径部よりなる段付きの円筒と、この段付きの円筒の軸線と直交する方向に設けられた2辺を壁で囲んだ棚部とを有する成型品であって、段付きの円筒を上下に挿し込んで複数の棚部付きの柱を構成するものである。そして、複数の太陽光発電パネルの四つの角部をこの柱の各棚部に載せて保持するものである。
【0007】
運送中に保護モジュールが外れる事故を防ぐために、下記特許文献2に開示されている保護モジュールは、直交する2辺の壁部材と、この2辺の壁部材に保持された棚部材とを備え、直交する2辺の壁部材の隅部に貫通孔をあけたもので、太陽光発電パネルを載せて積み重ねられた保護モジュールの貫通孔にボルトを挿通してパレットとともに上下をナットで締め付けて一体化するもである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−32978号公報
【特許文献2】特開2009−24617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に開示された保護モジュールを用いて複数の太陽光発電パネルを梱包して運送する際に、激しい動的荷重がかかって保護モジュールを構成する柱の継ぎ目が外れると、荷崩れして太陽光発電パネルを破損するという問題があった。
【0010】
上記特許文献2に開示された保護モジュールにおいては、積み重ねた状態で複数の保護モジュールを一体化するために、ボルトとナットを使用しているので、荷造りする際にも荷解きする際にも、直立する4本のボルトが邪魔になり、ボルトを誤って太陽光発電パネルの上に倒すとパネルを破損することがあった。
【0011】
そこで、この発明のフレームなし太陽光発電パネル用保護モジュールは、このような課題を解決するために考えらえたもので、太陽光発電パネルとともに保護モジュールを積み重ねたとき、上下に隣接する保護モジュールを連結して一体化することにより、荷崩れを防止するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明のフレームなし太陽光発電パネル用保護モジュールは、太陽光発電パネルの各角部に嵌め込んで太陽光発電パネルを保護して積み重ねる保護モジュールであって、太陽光発電パネルの角部の2辺を覆う直交する2辺の壁部材と、これらの壁部材の内面に2辺を接して一体成型された太陽光発電パネルを載せる棚部材と、上記2辺の壁部材が交叉する角部の上下に形成された第1のフック部およびこの第1のフック部と係合する第1の係合凹部と、上記2辺の壁部材の角部から離れた2つの壁部材の端部の上下に形成された第2のフック部およびこの第2のフック部と係合する第2の係合凹部を有する弾性変形する舌片とを具備するものである。
【0013】
この発明のフレームなし太陽光発電パネル用保護モジュールにおいて、2辺の壁部材の交差部に形成される稜線が、太陽光発電パネルに向かって僅かな角度θだけ傾くように、保護モジュールの頂面および/または底面を内向きの対角線方向に上記角度θだけ傾けたものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明の保護モジュールによると、完成したフレームなし太陽光発電パネルの各角部に嵌め込んで積み重ねたとき、太陽光発電パネルを保護するとともに、上下の保護モジュールを連結して一体化できるので、運送中に上下の保護モジュールの外れに起因する荷崩れの発生を防止することができる。また、簡単な操作により、上下の保護モジュールの連結および連結を解いて分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の保護モジュールの第1の実施形態を示す平面図(a)、正面図(b)および縦断面図(c)、
【図2】図1に示す保護モジュールの底面図、
【図3】この発明の保護モジュールを用いて太陽光発電パネルを積み重ねる手順を説明する説明図、
【図4】この発明の保護モジュールを用いて太陽光発電パネルを重ねた状態を示す縦断面図、
【図5】積み重ねた太陽光発電パネルから保護モジュールを取り外す手順を説明する説明図、
【図6】この発明の保護モジュールの第2の実施形態を説明するための説明図、
【図7】フレームなし太陽光発電パネルの平面図(a)、正面図(b)および太陽光発電パネルの各角部に保護モジュールを嵌め込んだ状態を示す平面図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
この発明の太陽光発電パネル用保護モジュール1は、図1の平面図(a)、正面図(b)および平面図(a)における線X−Xに沿って切断した縦断面図(c)、図2の底面図に示すように、垂直で直交する2辺の壁部材2と、これら2辺の壁部材2の内面に2辺を接してフレームなし太陽光発電パネル8の角部を載せて支持する棚部材3とにより構成されおり、合成樹脂を射出成型したものである。
【0017】
2辺の壁部材2の底面から棚部材3の上面までの高さHは、太陽光発電モジュール81の下面に取り付けられた制御箱82の厚みhよりも高く設定されている(図3参照)。
【0018】
2辺の壁部材2は、材料の節約および壁部材の強度を高めるために、内壁21、外壁22および仕切り板23と、これら内壁21、外壁22および仕切り板23で囲まれた区画24、25、26とにより構成される。
【0019】
これらの区画のうち、区画25、26は上下に貫通してもよく、中間部に上下を仕切る板部材を設けてもよいのである。端部の区画24の底部は、底板63で閉じられている。
【0020】
直交する2辺の外壁22の頂面の外側には、突条221が形成されており、2辺の外壁22の底面には、突条221と嵌合する段部222が形成されている。
【0021】
この発明の保護モジュール1は、複数枚の太陽光発電パネル8の四隅に嵌め込んで積み重ねたとき、全ての保護モジュール1を縦方向に連結して一体化したり、一つづつ外して分離できる連結手段を備えている。
【0022】
この連結手段は、保護モジュール1の下面の角部から下向きに突出した第1のフック部4と、両端部の2つの区画24の底部63から下向きに突出した2つの第2のフック部6とを備えており、両フック4、6の鈎部41、61は、反対向きに形成されている。
【0023】
2辺の壁部材2と棚部材3の上面との3辺が交叉する隅部に形成されて、第1のフック部4と係合する係合凹部5と、両端部の区画24の底部63から上向きに立ち上がり、第2のフック部6の鈎部61と係合する角孔71を開けた弾性を有する舌片7とを備えている。
【0024】
第1のフック部4と係合する係合凹部5は、図1に示すように、2辺の外壁22が交叉する交叉部から対角線方向に開口した角孔51と、この角孔51の上縁から2辺の外壁22の頂面の交叉部との間に形成された斜面52とにより構成される。
【0025】
第2のフック部6と係合する角孔71をあけた舌片7は、区画24の底部63の端部から上向きに立ち上がっており、肉厚を比較的薄くしたもので、対角線方向に弾性変形して曲がり得るように構成されている。
【0026】
次に、このように構成された保護モジュール1を用いて太陽光発電パネルを積み重ねる手順を図3に基づいて説明する。
【0027】
最下段に当たる保護モジュール1は、第1のフック部4および第2のフック部6を予め切り取ったものを4つ用意し、これを太陽光発電パネル8の4隅に合わせてパッレトの上に固定する。
【0028】
既に太陽光発電パネル8を載置した下段の保護モジュール1の上に保護モジュール1を嵌め込む際には、上段の保護モジュール1を下段の保護モジュール1と位置合わせして下向きに押しつけると、第1のフック部4の鈎部41が、係合凹部5の斜面52を滑りながら降下して、角孔51と係合する。また、第2のフック部6の鈎部61が、舌片7を外向きに押し拡げながら降下して鈎部61が舌片7の角孔71と係合する。
【0029】
このように、上下2つの保護モジュール1の突条221および段部222が嵌合した状態で連結され、最後に連結した保護モジュール1の棚部材3の上に太陽光発電パネル8の角部を載せる。このような手順を繰り返し行って、図4の縦断面図に示すように、所望枚数の太陽光発電パネル8を積み重ねたのち、梱包するのである。
【0030】
次に、図5に基づいて、連結状態の保護モジュール1の連結を解いて分離する手順を説明する。
【0031】
梱包を解いて、最上段に当たる保護モジュール1に載置されている太陽光発電パネル8を取り去る。
【0032】
そして、太陽光発電パネル8を取り去った保護モジュール1を矢印で示す対角線方向に押すと、第2のフック部6により舌片7が押されて舌片7は弾性変形して曲がる。
【0033】
この舌片7の弾性変形により、保護モジュール1は対角線方向に移動し、第1のフック部4も移動して、鈎部41が係合していた係合凹部5の角孔51から抜け出し、同時に上下2つの保護モジュール1の突条221と段部222との嵌合も外れるので、保護モジュール1の角部を上向きに上げることにより、細線で示すように、上段の保護モジュール1は、下段の保護モジュール1との連結を解いて取り外すことができる。
【0034】
上から順次に太陽光発電パネル8を取り去るごとに、同様の手順により保護モジュール1の連結を解いて取り外すことができる。
【0035】
(第2の実施形態)
以上で説明した第1の実施形態においては、太陽光発電パネル8の各角部に保護モジュール1を嵌め込んで積み重ねたとき、複数段の保護モジュール1は連結されて4本の自立した柱を形成する。
【0036】
しかし、各柱には、太陽光発電パネル8の中心方向に押す力が作用していないので、積み重ねられた複数段の太陽光発電パネル8に横方向の力がかかると横揺れする虞がある。
【0037】
そこで、この第2の実施形態においては、図6に示すように、2辺の壁部材が交差して形成される稜線20が、太陽光発電パネル8に向かって僅かな角度θだけ傾くように、保護モジュール1の頂面および/または底面が平行ではなく、内向きの対角線方向に狭まるように設定しておく。
【0038】
太陽光発電パネル8を載せないで、保護モジュール1だけを積み重ねると、保護モジュール1の頂面を角度θだけ傾けた場合には、図6の側面図(a)に示すように、二段目から保護モジュール1の稜線20が対角線方向に傾き、保護モジュール1の底面を角度θだけ傾けた場合には、図6の側面図(b)に示すように、一段目から保護モジュール1の稜線20が対角線方向に傾く。
【0039】
しかし、太陽光発電パネル8を載せて積み重ねると、保護モジュール1が柱を形成したとき、太陽光発電パネル8が存在するので内向きに傾くことはできない。そのために、図6の側面図(c)に角度θを誇張して示すように、保護モジュール1の角部に加重が集中するから、この角度θは、必要な範囲で小さくすることが望ましい。
【0040】
太陽光発電パネル8を載せて保護モジュール1を積み重ねると、図6の側面図(c)に示すように、保護モジュール1は傾くことなく、太陽光発電パネル8の角部を、平面図(d)に矢印で示すように内側の対角線方向に向かって押すように作用する。
【0041】
このように、太陽光発電パネル8の角部にある保護モジュール1によって形成された各柱が、内向きに押し合うのでガタツキが有っても、ガタツキを全て内向きの対角線方向へ集中させることになって積層体は安定する。
【0042】
以上で説明した実施形態においては、第1のフック部4および第2のフック部6と、係合凹部5および舌片7の角孔71を例示したが、角孔71に限ることなく、第2のフック部6と係合できるもので他の形状であってもよいのである。
【符号の説明】
【0043】
1 保護モジュール
2 壁部材
21 内壁
22 外壁
221 突条
222 段部
3 棚部材
4 第1のフック部
41 鈎部
5 係合凹部
51 角孔
52 斜面
6 第2のフック部
61 鈎部
7 舌片
71 角孔
8 太陽光発電パネル
81 太陽光発電モジュール
82 制御箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームなし太陽光発電パネルの各角部に嵌め込んで太陽光発電パネルを保護して積み重ねる保護モジュールであって、
太陽光発電パネルの角部の2辺を覆う直交する2辺の壁部材と、
該壁部材の内面に2辺を接して一体成型された太陽光発電パネルの角部を載せる棚部材と、
上記2辺の壁部材が交叉する角部の上下に形成された第1のフック部および該第1のフック部と係合する第1の係合凹部と、
上記2辺の壁部材の角部から離れた2つの壁部材の端部の上下に形成された第2のフック部および該第2のフック部と係合する第2の係合凹部を有する弾性変形する舌片と、
を具備することを特徴とするフレームなし太陽光発電パネル用保護モジュール。
【請求項2】
2辺の壁部材の交差部に形成される稜線が、太陽光発電パネに向かって僅かな角度θだけ傾くように、保護モジュールの頂面および/または底面を内向きの対角線方向に上記角度θだけ傾けたことを特徴とする請求項1に記載のフレームなし太陽光発電パネル用保護モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−229021(P2012−229021A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96651(P2011−96651)
【出願日】平成23年4月23日(2011.4.23)
【出願人】(503237954)株式会社オー・エヌ・シー (6)
【Fターム(参考)】