説明

フレームの連結構造

【課題】フレームどうしを、簡単な作業で容易に連結することができ、かつ、強固に組付けることができる、フレームの連結構造を提供する。
【解決手段】柱状のフレーム10どうしを、ジョイント20を介して連結するフレームの連結構造であって、フレーム10は、全体としてほぼ正方形をなし、中心部に円形のピン挿入孔11が設けられ、所定角部にネジ孔13が形成され、ジョイント20は、全体としてほぼ立方体形状をなす本体21と、この本体21の所定面中央から突設され、ピン挿入孔11に挿入される少なくとも3つのピン23と、本体21のピン突設面及びその対向面の所定角部に、両面を貫通して形成されたネジ挿入孔25とを有し、ピン23をピン挿入孔11に挿入し、ネジ挿入孔25を通して挿入したボルト5をネジ孔13に螺着させることにより、フレーム10とジョイント20とが連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電気・電子部品の組立装置や、計測用装置等の各種装置を乗せたりする架台等を形成するのに好適な、フレームの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
以前から、金属や樹脂等からなる柱状のフレームを、ジョイントを介して適宜連結して所定形状とし、これを、電気・電子部品の組立装置や計測用装置等の各種装置を乗せるための架台や、それらを収容するための筺体として用いたり、或いは、棚や机、椅子等の各種インテリアの枠体などに用いたりすることが広く行われている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、立方体状のコーナーブロックの互いに隣接する三面の夫々に、短柱状の継手を突設した継手ユニットの複数個と、任意の長さの筒状をなして、その末端部を前記継手に緊密に嵌着させ得る、筒状桁材及び筒状柱材(以下、筒材という)の各複数本との組合わせから成る組立式架台が開示されている。その実施形態では、継手は角筒状をなすと共に、その外面に複数の螺孔が形成され、それに対応して筒材も角筒状をなすと共に、その外面にボルト孔が形成されている。そして、継手の螺孔にボルト孔が整合するように、角筒状の各継手を角筒状の筒材の端部に挿入して、ボルト孔を通して螺孔にボルトを螺着させることにより、各継手に筒材が固定されるようになっている。
【0004】
また、下記特許文献2には、基部に設けたネジ軸に向かって次第に小径となるテーパー部を有するジョイント部材と、該ジョイント部材のネジ軸が螺着するネジ孔を複数有する接続用のブロック部材と、少なくとも一端部が中空に形成されたフレームと、フレームの中空をなす端部付近の側方より螺入され、該フレームの中空部に挿入された前記ジョイント部材のテーパー部を押圧して、フレームをブロック部材に固着させる固定ネジとよりなる枠体形成装置が開示されている。組付けるに際しては、まず、ブロック部材のネジ孔にネジ軸を螺着させて、ブロック部材の各面に複数のジョイント部材を固着し、これらのジョイント部材を各フレームの中空部にそれぞれ挿入する。その後、各フレームの端部側方から固定ネジを螺入して、このネジの先端部を前記ジョイント部材のテーパー部に圧接させることにより、複数のジョイント部材にフレームが固定され、ブロック部材を介して複数のフレームが固着されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−168444号公報
【特許文献2】特開昭59−125514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、フレームどうしを連結させて、各種装置の架台等として用いた後、装置の修理や改造等の理由によって、組立てられたフレームを分解したりサイズを変更したりする場合がある。しかし、従来用いられている、ブロックの角柱状のボスを、柱状のフレームの孔に圧入させることにより、フレームどうしを連結させる構造では、フレームの孔にボスが圧入されるため、組付け後にブロックからフレームを取外しにくく、上述のフレームの分解作業等を容易に行うことができない場合がある。
【0007】
また、上記特許文献1の組立式架台の場合、コーナーブロックの各継手が筒材に挿入され、かつ、この継手が筒材にネジ留め固定されるようになっており、継手が筒材に対する位置決め及び固定の役割を兼ねている。しかし、継手の螺孔及び筒材のボルト孔の寸法精度が悪い場合、コーナーブロックの継手の周縁に筒材の端部が突き当たらず浮いてしまって、両部材間に隙間が生じることがあり、フレームの連結強度に問題が生じることがあった。また、各継手及び筒材は共に角筒状をなしているので、継手挿入前に螺孔及びボルト孔を整合させなければならず、連結作業が面倒であった。
【0008】
一方、上記特許文献2の枠体形成装置では、フレーム中空部に挿入されたジョイント部材のテーパー部に、固定ネジの先端部が圧着されることにより、ジョイント部材にフレームが固着されるようになっている。しかし、テーパー部は、ネジ軸に向かって次第に小径とされているため、テーパー部の外周とフレーム中空部の内周との間に隙間が生じ、その結果、ジョイント部材に対してフレームがガタ付いてしまって、強固に取付けることができない場合があった。
【0009】
また、ジョイント部材は全体として円柱状をなしているので、フレームの中空部内で回転可能となっており、固定ネジがジョイント部材のテーパー部に圧接することにより、ジョイント部材にフレームが回り止めされて固定されている。この場合、固定ネジの先端部をテーパー部に圧接しているだけなので、固定ネジのテーパー部に対する圧着力が不十分となりやすく、フレームに強い回転力が作用した場合には、フレームが回ってしまって、ブロック部材に対してフレームが位置ずれする虞れがある。
【0010】
したがって、本発明の目的は、フレームどうしを、簡単な作業で容易に連結することができ、かつ、強固に組付けることができる、フレームの連結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第1のフレームの連結構造は、柱状をなすフレームどうしを、ジョイントを介して連結するフレームの連結構造であって、
前記フレームは、その端面が、全体としてほぼ正方形をなし、中心部に円形のピン挿入孔が設けられ、所定の角部にネジ孔が形成された形状をなし、
前記ジョイントは、全体としてほぼ立方体形状をなす本体と、この本体の所定面の中央から円柱状又は円筒状をなして突設され、前記フレームのピン挿入孔に挿入される少なくとも3つのピンと、前記本体のピン突設面及びその対向面の所定角部に、両面を貫通するように形成されたネジ挿入孔とを有し、
前記ジョイントのピンを前記フレームのピン挿入孔に挿入し、前記ジョイントのネジ挿入孔を通して挿入したネジを前記フレームのネジ孔に螺着させることにより、前記フレームと前記ジョイントとが連結されていることを特徴とするフレームの連結構造を提供する。
【0012】
上記第1の連結構造によれば、ジョイントのピンをフレームの端面のピン挿入孔に挿入するだけで、フレームどうしを仮組みすることができ、その状態でジョイントのネジ挿入孔を通してネジを挿入し、このネジをフレームのネジ孔に螺着させることにより、フレームをジョイントに連結固定できるので、フレームの組立作業が容易になる。
【0013】
また、この連結構造により組立てられたフレーム組立体を、各種装置の架台や筺体等に適用した場合、修理や改造等の理由によって、分解したりサイズを変更したりする必要が生じることがある。この場合、ジョイントのネジ挿入孔に挿入されたネジを緩めて抜き出し、ジョイントのピンをフレームのピン挿入孔から抜き出すだけの簡単な作業で、ジョイントとフレームとをばらすことができるので、フレーム組立体の分解やサイズ変更の作業を容易に行うことができる。
【0014】
更に、フレームの端面がジョイントの所定の面に当接した状態で、上記ピンとネジとによって位置決めされた上で締付け固定されるので、ジョイントに対してフレームを確実に回り止めして連結することができると共に、フレームの端面がジョイントに密接し、組付けられたフレーム組立体の強度や精度が高くなり、各種の製造装置や分析装置の架台や筺体として利用することができる。
【0015】
また、ジョイントは、フレームどうしが連結された角部等に位置し、ピン等は外部から見えない状態になり、外部に突出するものも特にないので、外観が良好になる。
【0016】
本発明においては、前記フレームは、端面の4つの角部にそれぞれ前記ネジ孔が形成されていると共に、フレームの少なくとも一つの側面の中央部に長手方向に沿った第1アリ溝が形成された形状をなすことが好ましい。これによれば、4つの角部にネジ孔が形成されているので、ジョイントから挿通されるネジがどの角部に位置してもネジ止めすることができ、少なくとも一つの側面の中央部に設けた第1アリ溝によって、連結補助具やブラケットを装着することができると共に、フレームを軽量化することができる。
【0017】
本発明においては、前記フレームの、前記第1アリ溝が形成された少なくとも一つの側面には、前記フレームの角部から前記第1アリ溝に至る部分に、前記第1アリ溝よりも小さい幅の第2アリ溝が長手方向に沿って形成されていることが好ましい。これによれば、フレームを更に軽量化できると共に、フレームに付設する様々な装置を取付けるためのブラケットであって、比較的小さいものも固定しやすくなる。
【0018】
本発明の第2のフレームの連結構造は、柱状をなすフレームどうしを、ジョイント及び連結補助具を介して連結するフレームの連結構造であって、
前記フレームは、その端面が、全体としてほぼ正方形をなし、中心部に円形のピン挿入孔が設けられ、少なくとも一つの側面に第1アリ溝が形成された形状をなし、
前記ジョイントは、全体としてほぼ立方体形状をなす本体と、この本体の所定面の中央から円柱状又は円筒状をなして突設され、前記フレームのピン挿入孔に挿入される少なくとも3つのピンを有し、
前記連結補助具は、ほぼL字状をなし、その両端部が前記第1アリ溝に適合するアリ型形状をなし、該両端部に前記フレームへの固定手段が設けられており、
前記ジョイントのピンを前記フレームのピン挿入孔に挿入すると共に、前記連結補助具の両端部を対応するフレームの前記第1アリ溝に挿入し、前記固定手段によって前記連結補助具の両端部を対応するフレームに固定することにより、前記フレームと前記ジョイントとが連結されていることを特徴とするフレームの連結構造を提供する。
【0019】
上記発明によれば、例えば、ジョイントの5つの面にフレームが連結される場合、ジョイントの対向する面にいずれもフレームが配置されて、ネジ挿入孔が隠れてしまうことになるが、連結補助具を用いることによって、交差するフレームどうしを連結することができる。また、連結補助具の固定手段を外すことによって、フレームどうしを分解することもできる。
【0020】
本発明の第3のフレームの連結構造は、上記第1の連結構造と、上記第2の連結構造とを備えていることを特徴とする。この第3のフレームの連結構造によれば、ジョイントの対向する面にピンを有し、ネジを挿通させることができない部分には、連結補助具を用いることにより、両者を併用してフレームどうしを連結することができる。
【0021】
本発明においては、前記ジョイントの1つの面の中央に、脚部材取付用のネジ孔が設けられていることが好ましい。これによれば、ジョイントのネジ孔に、キャスターの支軸を螺着させたり、高さ調整用のアジャスターの支軸を螺着させたりすることにより、ジョイントにキャスターやアジャスター等の脚部材を取付けることができる。キャスターをジョイントに取付けた場合には、フレーム組立体を移動しやすくすることができ、アジャスターをジョイントに取付けた場合には、フレーム組立体を所定高さに調整することができる。
【0022】
本発明においては、前記ジョイントは、1つの角部を中心にして互いに隣接する3つの面にピンを有するもの、1つの対向する面とそれらの面と直交する1つの面の3つの面にピンを有するもの、1つの対向する面とそれらの面と直交しかつ互いに直交する2つの面の4つの面にピンを有するもの、5つの面にピンを有するものの組合せからなることが好ましい。これによれば、上記4つのジョイントを組合せることにより、様々な形状のフレーム組立体を構成することが可能となる。
【0023】
本発明においては、前記フレーム及び前記ジョイントは、アルミニウム又はアルミニウム合金からなることが好ましい。これによれば、フレーム及びジョイントが、鉄等と比べて比重が小さく、軽量なアルミニウム又はアルミニウム合金からなるので、フレームどうしを連結してなるフレーム組立体全体の軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ジョイントのピンをフレームの端面のピン挿入孔に挿入するだけで、フレームどうしを仮組みすることができ、その状態でジョイントのネジ挿入孔を通してネジを挿入し、このネジをフレームのネジ孔に螺着させることにより、フレームをジョイントに連結固定できるので、フレームの組立作業が容易になる。
【0025】
また、ジョイントのネジ挿入孔に挿入されたネジを緩めて抜き出し、ジョイントのピンをフレームのピン挿入孔から抜き出すだけの簡単な作業で、フレーム組立体を分解することができる。更に、フレームの端面がジョイントの所定の面に当接した状態で、ピンとネジとによって位置決めされた上で締付け固定されるので、フレームの端面がジョイントに密接し、組付けられたフレーム組立体の強度や精度が高くなり、各種の製造装置や分析装置の架台や筺体として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のフレームの連結構造の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同連結構造を構成するフレームの斜視図である。
【図3】同連結構造を構成するジョイントの斜視図である。
【図4】同ジョイントの背面斜視図である。
【図5】同ジョイントを示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図6】同ジョイントを示しており、(a)は左側面図、(b)は右側面図である。
【図7】同ジョイントを示しており、(a)は背面図、(b)は底面図である。
【図8】同ジョイントを示しており、(a)は図5(b)のA−A矢示線に沿った断面図、(b)は図5(a)のB−B矢示線に沿った断面図である。
【図9】本発明の連結構造により得られたフレーム組立体を示す斜視図である。
【図10】本発明のフレームの連結構造の他の実施形態を示しており、同連結構造を構成するジョイントの斜視図である。
【図11】同ジョイントを示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図12】同ジョイントを示しており、(a)は左側面図、(b)は右側面図である。
【図13】同ジョイントを示しており、(a)は背面図、(b)は底面図である。
【図14】本発明の連結構造を用いて、フレーム組立体を組立てる際の状態を示す斜視図である。
【図15】本発明の連結構造により得られたフレーム組立体を示す斜視図である。
【図16】本発明のフレームの連結構造に用いられるジョイントの、他の実施形態を示す斜視図である。
【図17】本発明のフレームの連結構造に用いられるジョイントの、更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図18】同ジョイントを示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図19】同ジョイントを示しており、(a)は左側面図、(b)は右側面図である。
【図20】同ジョイントを示しており、(a)は背面図、(b)は底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明のフレームの連結構造(以下、「連結構造」という)の一実施形態について説明する。この連結構造は、柱状をなすフレームどうしを、ジョイントを介して連結して、所定形状をなしたフレーム組立体を構成するためのものである。
【0028】
図1〜9には、本発明の連結構造の一実施形態が示されている。この連結構造は、複数のフレーム10と、これら複数のフレーム10どうしを連結するジョイント20とから構成されている。
【0029】
図1,2に示すように、フレーム10は所定長さで伸びる角柱状をなしており、その端面が、全体としてほぼ正方形をなしている。フレーム10の端面の中心部には、ジョイント20のピン23(後述)が挿入される円形のピン挿入孔11が形成されている。この実施形態におけるピン挿入孔11は、フレーム10の長手方向に沿って貫通して形成されているが、フレーム10の端面からピン23を挿入可能な深さで設けた孔でもよい。
【0030】
また、フレーム10の端面の4つの角部には、それぞれネジ孔13が形成されている。このネジ孔13の内部は、対向する端面のネジ孔13に連通する貫通孔となっていることが好ましい。更に、フレーム10の長手方向に沿った各側面の中央部に、開口部の幅が内部の幅よりも狭い第1アリ溝15がフレーム10の長手方向に沿って形成されている。また、フレーム10の長手方向に沿った所定の側面には、前記フレーム10の角部から前記第1アリ溝15に至る部分に、前記第1アリ溝15よりも小さい幅の第2アリ溝17が形成されている。
【0031】
次にジョイント20について説明する。図1及び図3〜8に示すように、このジョイント20は、全体としてほぼ立方体形状をなす本体21と、この本体21の所定面の中央から円柱状又は円筒状をなして突設され、前記フレーム10のピン挿入孔11に挿入される少なくとも3つのピン23と、前記本体21のピン突設面及びその対向面の所定角部に、両面を貫通するように形成されたネジ挿入孔25とを有している。
【0032】
図8(a)に示すように、本体21の所定面の中央には、所定深さでピン嵌入孔27が形成されており、このピン嵌入孔27の底部中央からは、その内周に雌ネジが螺刻されたボルト固定孔28が形成されている。
【0033】
一方、所定長さで伸びるピン23は、この実施形態の場合、軸方向中央にボルト挿通孔23aが形成された円筒状をなしている。このピン23は、フレーム10のピン挿入孔11に挿入可能な程度に、同ピン挿入孔11の内径に対してほぼ適合した外径で形成されており、ジョイント20に連結されたフレーム10のガタ付きを最小限に抑えることができるようになっている。また、ピン23の先端部外周には面取り23bが施され、ピン挿入孔11に挿入しやすくなっている。
【0034】
そして、ピン23の基端部を、前記本体21のピン嵌入孔27に嵌め込むと共に、ボルト5を、ピン23のボルト挿通孔23aを通して、本体21のボルト固定孔28に螺着させることにより、本体21の所定面の中央にピン23が突設されるようになっている。この実施形態のジョイント20では、1つの角部C(図3参照)を中心にして互いに隣接する3つの面に、3つのピン23が突設された構造となっている。なお、ピン23はボルト5でネジ留め固定させるだけではなく、ピン嵌入孔27に圧入させてもよく、機械切削等により削り出しやダイキャスト等によって本体21と一体形成してもよく、特に限定されるものではない。
【0035】
図3,4及び図8(b)を併せて参照すると、本体21の、ピン23が突設されたピン突設面S1、及び、ピン突設面S1に対向するピン対向面S2の所定角部には、両面を貫通するようにネジ挿入孔25が形成されている。このネジ挿入孔25は、ピン23をフレーム10のピン挿入孔11に挿入し、それぞれ正方形状をなすフレーム10及びジョイント20及びフレーム10の各辺を一致させたときに、フレーム10角部の所定のネジ孔13に整合するように形成されている。
【0036】
また、ネジ挿入孔25のピン対向面S2側の端部には、ネジ挿入孔25よりも拡径した円形状のザグリ凹部25aが形成されている。そして、ボルト5は、ピン対向面S2のザグリ凹部25a側からネジ挿入孔25に挿入され、その先端部がピン突設面S1からピン23と平行に突出するようになっている。このようなネジ挿入孔25が、ピン23の個数に対応して、複数形成されている(この実施形態では、3つ形成されている)。このとき、複数のネジ挿入孔25に挿入された複数のボルト5が、互いにぶつかってしまうことを防止するために、各ネジ挿入孔25は互いに干渉しない位置に形成されていることが好ましい。
【0037】
更に、図4及び図8(a),(b)に示すように、ジョイント20のピン突設面S1以外の所定面の中央には、図示しないキャスターやアジャスター30等の脚部材を、取付けるための脚部材取付ネジ孔29が設けられている。この実施形態における脚部材取付ネジ孔29は、フレーム組立体の底面に相当する面に形成されている。
【0038】
そのため、この脚部材取付ネジ孔29に、図示しないキャスターの支軸を螺着させたり、図4に示すような、高さ調整用のアジャスター30の支軸31を螺着させたりすることにより、ジョイント20にキャスターやアジャスター30等の脚部材を取付けることができる。図示しないキャスターをジョイント20に取付けた場合には、フレーム組立体をスムーズに移動させることができるので、所定の設置場所に設置しやすくなる。一方、上記アジャスター30の場合は、脚部材取付ネジ孔29に対して支軸31のねじ込み深さを調整することにより、フレーム組立体の傾きや高さを適宜調整することができる。
【0039】
また、以上説明したフレーム10及びジョイント20は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄系合金等の金属や、ポリアセタール、ポリカーボネート等の合成樹脂などで形成することができる。特に、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成することが好ましい。この場合、フレーム10及びジョイント20が、鉄等と比べて比重が小さく軽量で、合成樹脂等よりも剛性の高いアルミニウム又はアルミニウム合金からなるので、フレームどうしを連結して構成されるフレーム組立体の軽量化を図ることができると共に、ジョイント20とフレーム10との連結強度を高めることができる。
【0040】
次に、上記構造からなる本発明の連結構造による、フレームの連結手順及びその作用効果について説明する。
【0041】
すなわち、所定フレーム10の長手方向一端面のピン挿入孔11に、ジョイント20のピン23を整合させ、フレーム10の一端面にジョイント20のピン突設面S1が突き当たるまで、フレーム10のピン挿入孔11にジョイント20のピン23を挿入する。このとき、円形状をなしたピン挿入孔11に対応して、ピン23が円筒状をなしているので、フレーム10に対してジョイント20を回転させることができ、位置合わせが容易となる。この作業を他のフレーム10に対して繰り返して、ジョイント20の他のピン23を、他の所定フレーム10のピン挿入孔11にそれぞれ挿入することにより、ジョイント20を介して複数のフレーム10どうしを仮組みすることができる。
【0042】
こうして、ジョイント20とフレーム10とを仮組みすると、ジョイント20のネジ挿入孔25が、フレーム10の対応するピン挿入孔11に整合する。その後、ジョイント20のピン対向面S2側から、ボルト5をネジ挿入孔25に挿入していき、その先端部をピン突設面S1から突出させてフレーム10のネジ孔13に螺着させることにより、フレーム10とジョイント20とを連結固定させることができる。
【0043】
上記の連結作業を適宜繰り返すことより、所望形状のフレーム組立体を組立てることができる。この実施形態では、図9に示すように、所定方向に長く伸びる直方体状のフレーム組立体が構成されるようになっており、12本のフレーム10が、コーナー部に配置された8つのジョイント20によりそれぞれ連結された構造となっている。
【0044】
以上のように、この連結構造では、ピン23をピン挿入孔11に挿入するだけで、フレーム10どうしを仮組みすることができ、その状態でジョイント20のネジ挿入孔25を通してボルト5を挿入し、フレーム10のネジ孔13に螺着させるだけの簡単な作業で、複数のフレーム10をジョイント20に連結固定できるので、フレーム10の組立作業を容易かつ迅速に行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0045】
また、円筒状のピン23を円形状のピン挿入孔11に挿入することにより、ジョイント20とフレーム10とを、相対的に回転可能に仮組みすることができるので、フレーム10のネジ孔13とジョイント20のネジ挿入孔25とをしっかりと整合させなくても、ジョイント20又はフレーム10を適宜回転するだけで、ネジ孔13とネジ挿入孔25とを整合させることができ、フレーム10の組立作業をスムーズに行うことができる。
【0046】
更に、図9に示すように、各フレーム10の長手方向端面が、ジョイント20の所定の面に当接した状態で、ピン23によりジョイント20とフレーム10とが位置決めされた上で、ボルト5によってジョイント20とフレーム10とが締付け固定されるので、ジョイント20に対してフレーム10を確実に回り止めして連結することができると共に、フレーム10の端面がジョイント20の各面に密接するため、フレーム組立体の強度や精度が高くなり、各種の製造装置や分析装置の架台や筺体として好適に利用することができる。すなわち、引用文献1のように、コーナーブロック(「ジョイント」に相当)の継手(「ピン」に相当)により、ブロックと筒材との位置決め及び固定させる構造ではなく、フレーム10とジョイント20とを確実に突き合わせてネジ留め固定することできるので、フレーム10とジョイント20との間に隙間が生じることを抑制して、連結強度や精度等の低下を防止することができる。
【0047】
また、ジョイント20は、フレーム10どうしが連結された角部等に位置し、ピン23等は外部から見えない状態になり、外部に突出するものも特にないので、フレーム組立体の外観を良くすることができる。更に、この実施形態では、ジョイント20のネジ挿入孔25にザグリ凹部25aを設け、このザグリ凹部25aにボルト5の頭部が入り込むようになっているので、ジョイント20の所定面からボルト5の頭部が出っ張ることを防止することができ、フレーム組立体を設置面にガタ付きなく載置できる。
【0048】
ところで、上記連結構造により組立てられたフレーム組立体は、例えば、電気・電子部品の組立装置や計測用装置等の各種装置を乗せるための架台や、それらを収容するための筺体として用いることができる。このような用途では、各種装置を修理したり改造したりした場合に、フレーム組立体を分解したりサイズを変更したりする必要が生じることがある。この場合、ジョイント20のネジ挿入孔25に挿入されたボルト5を緩めて抜き出し、ジョイント20のピン23をフレーム10のピン挿入孔11から抜き出すだけの簡単な作業で、ジョイント20とフレーム10とをバラバラに取外すことができるので、フレーム組立体の分解やサイズ変更の作業を容易に行うことができる。
【0049】
また、この実施形態においては、前記フレーム10は、その端面の4つの角部にそれぞれネジ孔13が形成されていると共に、フレーム10の各側面の中央部に長手方向に沿った第1アリ溝15が形成されている。これによれば、フレーム10の4つの角部にネジ孔13が形成されているので、ジョイント20から挿通されるボルト5が、どの角部に位置してもネジ止めすることができる。また、各側面の中央部に設けた第1アリ溝15によって、後述する連結補助具40(図14,15参照)や、棚等を取付けるためのブラケットを装着することができると共に、フレーム10を軽量化することができる。
【0050】
なお、この実施形態におけるジョイント20は、図3に示すように、1つの角部Cを中心にして互いに隣接する3つの面に、3つのピン23が突設された構造となっている。そのため、特定のピン23のピン突設面S1に対向するピン対向面S2が、他のピン23のピン突設面S1と重なってしまうことがなく、立方体形状をなすジョイント20の6面のうち3面がピン突設面S1とされ、残りの3面がピン対向面S2となっている。そのため、3つのピン23の全てを、各フレーム10のピン挿入孔11に挿入しても、残りの3面からボルト5を挿入することができるので、連結補助具40が不要となる。
【0051】
更に、この実施形態においては、図1,2に示すように、フレーム10の長手方向に沿った所定の側面には、フレーム10の角部から前記第1アリ溝15に至る部分に、同第1アリ溝15よりも小さい幅の第2アリ溝17が形成されている。フレーム組立体を、組立装置や計測装置等を載置用架台や収納用筺体として用いたとき、ケーブルの保持板やアース端子の接続板等の、比較的小さな治具や装置を取付けたい場合がある。このような場合に、上記第2アリ溝17を利用して、前記のような小さい部材を適宜取付けることができる。
【0052】
図10〜15には、本発明のフレームの連結構造の他の実施形態が示されている。なお、前記図1〜9に示す実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。この実施形態では、前記実施形態と比べてジョイントの構造が異なっていると共に、ジョイントとフレームとを連結補助具で連結する点が異なっている。
【0053】
すなわち、この実施形態におけるジョイント20aは、立方体形状を構成する6つの面のうち、5つの面の中央からピン23が突設されており、5つのピン23を備えている。
【0054】
また、図14,15に示すように、連結補助具40は、ほぼL字状をなし、その両端部が前記第1アリ溝15に適合するアリ型形状をなし、該両端部に前記フレーム10への固定手段が設けられている。固定手段としては、連結補助具40の両端部の長手方向両側辺から突設された圧接片41,41と、同連結補助具40の両端部に形成された複数のボルト孔43と、このボルト孔43に螺着されるボルト5とからなる。そして、連結補助具40の端部を第1アリ溝15内に嵌入すると共に、ボルト孔43にボルト5を螺着させ、その先端部を第1アリ溝15の底面に圧着させることにより、第1アリ溝15の幅狭開口部の両側辺15a,15a(図2参照)に圧接片41,41がそれぞれ圧接して、ジョイント20aに各フレーム10が連結固定されるようになっている。
【0055】
上記構造からなる連結構造では、例えば、図15に示すようなスタンド状のフレーム組立体を構成することができる。すなわち、図14に示すように、ジョイント20の、ピン23が突設されていない面を下面とすると共に、L字状なした連結補助具40の裏面側をジョイント20の上面及びそれに直交する各側面にセットする。その状態で、ジョイント20aの4つの側面から突設されたピン23を、4つのフレーム10のピン挿入孔11にそれぞれ挿入すると共に、連結補助具40の一端部を各フレーム10の第1アリ溝15にそれぞれ嵌入する。その後、ジョイント20aの上面からフレーム10を下降させて、上面のピン23をフレーム10のピン挿入孔11に挿入すると共に、4つの連結補助具40の他端部を、フレーム10の4つの第1アリ溝15にそれぞれ嵌入する。そして、各連結補助具40のボルト孔43にボルト5を螺着させ、その先端部を第1アリ溝15の底面に圧着させ、第1アリ溝15の幅狭開口部の両側辺15a,15a(図2参照)に、圧接片41,41をそれぞれ圧接させることにより、ジョイント20aに各フレーム10が連結固定されて、図15に示すようなスタンド状のフレーム組立体を組立てることができる。
【0056】
上記のように、ジョイント20aの5つの面にフレーム10が連結される場合、ジョイント20aの対向する面にいずれもフレーム10が配置されて、ネジ挿入孔25が隠れてしまうことになるが、上記の連結補助具40を用いることによって、交差するフレーム10どうしを適宜連結することができる。また、連結補助具40の固定手段であるボルト5を緩めて、フレーム10をジョイント20aから離れる方向にスライドさせることにより、フレーム10をジョイント20aから取外して、フレーム組立体を分解することができる。
【0057】
図16には、本発明の連結構造に用いられるジョイントの、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0058】
すなわち、この実施形態におけるジョイント20bは、1つの対向する面とそれらの面と直交する1つの面との、3つの面の中央からそれぞれピン23が突設されており、3つのピン23を備えている。この実施形態によれば、上記ジョイント20bの各ピン23を、3つのフレーム10のピン挿入孔11にそれぞれ挿入し、ジョイント20bとフレーム10とを、連結補助具40及びボルト5で連結することにより、前記実施形態とは異なる構造のフレーム組立体を組立てることができる。
【0059】
図17〜20には、本発明の連結構造に用いられるジョイントの、更に他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0060】
すなわち、この実施形態におけるジョイント20cは、1つの対向する面と、それらの面と直交しかつ互いに直交する2つの面との、4つの面の中央からそれぞれピン23が突設されており、4つのピン23を備えている。そして、この実施形態においても、上記ジョイント20cの各ピン23を、4つのフレーム10のピン挿入孔11にそれぞれ挿入し、ジョイント20cとフレーム10とを、連結補助具40及びボルト5で連結することにより、前記実施形態とは異なる構造のフレーム組立体を組立てることができる。
【符号の説明】
【0061】
5 ボルト
10 フレーム
11 ピン挿入孔
13 ネジ孔
15 第1アリ溝
15a,15a 両側辺
17 第2アリ溝
20,20a,20b,20c ジョイント
21 本体
23 ピン
23a ボルト挿通孔
23b 面取り
25 ネジ挿入孔
25a ザグリ凹部
27 ピン嵌入孔
28 ボルト固定孔
29 脚部材取付ネジ孔
30 アジャスター
31 支軸
40 連結補助具
41 圧接片
43 ボルト孔
C 角部
S1 ピン突設面
S2 ピン対向面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状をなすフレームどうしを、ジョイントを介して連結するフレームの連結構造であって、
前記フレームは、その端面が、全体としてほぼ正方形をなし、中心部に円形のピン挿入孔が設けられ、所定の角部にネジ孔が形成された形状をなし、
前記ジョイントは、全体としてほぼ立方体形状をなす本体と、この本体の所定面の中央から円柱状又は円筒状をなして突設され、前記フレームのピン挿入孔に挿入される少なくとも3つのピンと、前記本体のピン突設面及びその対向面の所定角部に、両面を貫通するように形成されたネジ挿入孔とを有し、
前記ジョイントのピンを前記フレームのピン挿入孔に挿入し、前記ジョイントのネジ挿入孔を通して挿入したネジを前記フレームのネジ孔に螺着させることにより、前記フレームと前記ジョイントとが連結されていることを特徴とするフレームの連結構造。
【請求項2】
前記フレームは、端面の4つの角部にそれぞれ前記ネジ孔が形成されていると共に、フレームの少なくとも一つの側面の中央部に長手方向に沿った第1アリ溝が形成された形状をなす請求項1記載のフレームの連結構造。
【請求項3】
前記フレームの、前記第1アリ溝が形成された少なくとも一つの側面には、前記フレームの角部から前記第1アリ溝に至る部分に、前記第1アリ溝よりも小さい幅の第2アリ溝が長手方向に沿って形成されている請求項2記載のフレームの連結構造。
【請求項4】
柱状をなすフレームどうしを、ジョイント及び連結補助具を介して連結するフレームの連結構造であって、
前記フレームは、その端面が、全体としてほぼ正方形をなし、中心部に円形のピン挿入孔が設けられ、少なくとも一つの側面に第1アリ溝が形成された形状をなし、
前記ジョイントは、全体としてほぼ立方体形状をなす本体と、この本体の所定面の中央から円柱状又は円筒状をなして突設され、前記フレームのピン挿入孔に挿入される少なくとも3つのピンを有し、
前記連結補助具は、ほぼL字状をなし、その両端部が前記第1アリ溝に適合するアリ型形状をなし、該両端部に前記フレームへの固定手段が設けられており、
前記ジョイントのピンを前記フレームのピン挿入孔に挿入すると共に、前記連結補助具の両端部を対応するフレームの前記第1アリ溝に挿入し、前記固定手段によって前記連結補助具の両端部を対応するフレームに固定することにより、前記フレームと前記ジョイントとが連結されていることを特徴とするフレームの連結構造。
【請求項5】
前記請求項1記載の連結構造と、前記請求項4記載の連結構造とを備えていることを特徴とするフレームの連結構造。
【請求項6】
前記ジョイントの1つの面の中央に、脚部材取付用のネジ孔が設けられている請求項1〜5のいずれか1つに記載のフレームの連結構造。
【請求項7】
前記ジョイントは、1つの角部を中心にして互いに隣接する3つの面にピンを有するもの、1つの対向する面とそれらの面と直交する1つの面の3つの面にピンを有するもの、1つの対向する面とそれらの面と直交しかつ互いに直交する2つの面の4つの面にピンを有するもの、5つの面にピンを有するものの組合せからなる請求項1〜6のいずれか1つに記載のフレームの連結構造。
【請求項8】
前記フレーム及び前記ジョイントは、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる請求項1〜7のいずれか1つに記載のフレームの連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−38590(P2011−38590A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186356(P2009−186356)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(390025276)株式会社TSS (6)
【出願人】(593132917)白銅株式会社 (2)
【Fターム(参考)】