説明

フレームワーク修繕による免疫グロブリンの免疫原性の低下

【課題】親抗体の特異性および親和性を維持しつつ免疫原性が低下した、または排除された再作成免疫グロブリンを生産する新しくかつ改良された手段の提供。
【解決手段】得られた免疫グロブリンの特異性および親和性における有意な低下がないような状態で、意図した種、特に、ヒトで用いた場合に、潜在的免疫原性を低下させるように免疫グロブリンを再作成するための新規な、フレームワーク(FR)修繕と名付けられたアプローチ、つまり、ヒト化抗体の機能的ヒト抗体化への改変。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ここにその内容を本出願に一体化させる2001年6月27日に出願された米国シリアル番号09/892,613の利益を主張する。
【0002】
本出願を通じて、種々の文献を括弧に入れて引用する。これらの刊行物の全内容の開示を、ここに、引用して本出願に一体化させ、本発明が属する技術水準をより充分に記載する。
【0003】
本発明は、臨床的適応症(治療および診断双方)に関して抗体を再作成し、または再構成するにおける新規な方法に関する。該方法は組換え技術および抗体配列を再設計するにおける段階的および全体的アプローチの使用を組み合わせる。本発明は、特に、イン・ビボで用いた場合に未改変カウンターパートよりも免疫原性が低いように改変された抗体を提供する。
【背景技術】
【0004】
モノクローナル抗体(Mab)は、癌、移植、ウイルス感染等を含めた種々の病気の治療で用いられる最も成功した蛋白質薬剤となった。しかしながら、モノクローナル抗体の使用に関して問題があったので、魔法の弾丸の概念は実現するのに25年より長きを要した。主な問題の1つは、齧歯類およびマウス源のものであるほとんどのモノクローナル抗体の元来の源に由来する。これらの外来性蛋白質のヒトへの反復された注入は、不可避的に、抗体に対する宿主免疫応答:いわゆるヒト抗マウス抗体(HAMA)応答の誘導をもたらす。キメラ抗体(例えば、ヒト定常領域に連結したマウス可変領域)を構築するための分子工学の技術を用いる初期の試みは、HAMA応答を軽減するのに幾分効果的であったが、ヒト抗キメラ抗体(HACA)応答を誘導するのに充分に免疫原性であり得る全抗体配列の1/3を構成するマウス可変配列の大きなストレッチが依然としてある。抗体工学におけるより進歩した改良は、最近、ドナーマウスまたはラットの免疫グロブリンからの相補性決定領域(CDR)がヒトフレームワーク領域に移植されたヒト化抗体を創製するのに利用されてきた(例えば、引用してここに一体化させるEPO公開番号0239400)。該プロセスは「ヒト化」または「CDR移植」と呼ばれる。ヒト化の元来の概念は、ヒトフレームワークへのCDRの直接的移植を記載し、非−ヒト配列を5%未満まで低下させ、それにより、HAMAおよびHACA応答を低下させる。しかしながら、さらなる改変のないフレームワーク配列の直接的置き換えは、時々、10倍以上もと大きな抗原に対する親和性を喪失しかねない(Jonesら,Nature,321:522−525,1986;Verhoyenら,Science,239:1534−1536,1988)。CDR移植された、またはヒト化された抗体の親和性を維持するためには、選択された位置におけるドナー免疫グロブリンからの対応するアミノ酸での、アクセプター免疫グロブリンのヒトフレームワークアミノ酸の置き換えが必要であろう。置き換えが起こる位置は公開された基準の組によって決定される(引用してここに一体化させる米国特許第5,85,089号;米国特許第693,762号;米国特許第5,693,761号)。しかしながら、ヒトフレームワーク配列のストレッチ内のマウスアミノ酸の存在は、新しいTおよびB細胞エピトープの創製において免疫原性であり得る。さらに、置き換えるべき適切なフレームワークアミノ酸の同定は時々困難であり得、さらに、ヒト化抗体の特異性および親和性に対する有意なインパクトなくしてヒト化における成功の機会を低下させる。
【0005】
親抗体の特異性および親和性を維持しつつ免疫原性が低下した、または排除された再作成免疫グロブリンを生産する新しくかつ改良された手段が従って必要とされる。好ましくは、再作成された免疫グロブリンは、TまたはB細胞についての免疫原性エピトープの源であり得る、親抗体からのFRアミノ酸置換を含むべきではない。しかしながら、該アプローチは、少数のマウス残基またはマウス配列のストレッチを最終設計に含ませることができる配列設計における柔軟性を供し、最終の目標は、ヒトで用いるため得られた抗体の特異性および親和性を維持しつつ免疫原性を低下させることである。本発明はこれらの目標を満たすにおける方法およびアプローチを記載する。
【0006】
発明の概要
本発明は、ドナー免疫グロブリンからの一般に1以上の相補性決定領域(CDR)および1以上のヒトまたは霊長類免疫グロブリンからのフレームワーク配列の部分を有する免疫グロブリン鎖を再作成するための新規な方法に関する。好ましい方法は、まず、全ての種の免疫グロブリンからのフレームワーク配列を、Kabatデータベース(Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest, Maryland:US Department of Health and Human Services,NIH,1991)に従ってFR1、FR2、FR3およびFR4の区画化されたサブ領域に分割し、次いで、親免疫グロブリンの可変領域アミノ酸配列サブ領域における、全フレームワークの代わりに個々のFRを、ヒトまたは霊長類免疫グロブリン鎖の収集における対応する配列と比較し、次いで、最高程度の相同性を持つ適当なヒトまたは霊長類FRを選択して、親免疫グロブリンの元来のFRを置き換えることを含む(フレームワーク−またはFR修繕)。ヒトFRは1を超えるヒトまたは霊長類免疫グロブリン配列から選択することができる。ヒトまたは霊長類免疫グロブリン配列の収集は異なるデータベース(例えば、Kabatデータベース、National Biomedical Research Foundation Protein Identification Resource,Brookhaven Protein Data Bank インターネット等)から得ることができる。ヒトまたは霊長類免疫グロブリンから選択された個々のFR配列は、典型的には、対応する親FR配列に対して60%以上の相同性を有するであろう。高い総じての相同性が修復用のFRを選択するための重要な基準であろうが、もしCDRに直接隣接する、あるいは抗原結合部位と接触するループ位置における配列の相同性がコンピューターモデリングを介して実験的に決定されるか、または予測されれば、より低い相同性のFRが用いられるであろう。そのFRが修復されるべき親免疫グロブリンは重鎖または軽鎖いずれかであり得る。修復された軽鎖および重鎖を用いて、部分的または全長ヒト定常領域を含むまたは含まない、2つの軽鎖/重鎖対を有する完全なFR−修復免疫グロブリンまたは抗体を形成することができる。
【0007】
(重鎖および軽鎖双方に適用される)親免疫グロブリン鎖を修復するために選択された個々のFRは:
(1)好ましくは、親免疫グロブリン鎖のそれと同一のCDRに直ちに隣接するアミノ酸配列を有し;
(2)親免疫グロブリン鎖のそれと、もし完全でなくても同一の、構造において保存的に類似であるCDRに直ちに隣接するアミノ酸配列を有し;
(3)好ましくは、三次元免疫グロブリンモデルにおいてCDR(または効果的な抗原結合部位)から約3Å内にあり、かつ抗原、または親またはFR修復免疫グロブリンのCDRと相互作用できると予測される親免疫グロブリンの対応するFR位置において同一アミノ酸を有し;
(4)三次元免疫グロブリンモデルにおいてCDR(または効果的な抗原結合部位)から約3Å内にあり、かつ抗原、または親またはFR修復免疫グロブリンのCDRと相互作用できると予測される親免疫グロブリンの対応するFR位置におけるアミノ酸と構造において保存的に類似するアミノ酸を有するべきである。
【0008】
FR修復免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の各々は、典型的には、選択基準のいずれか1つまたは全てに従う1以上のヒトまたは霊長類免疫グロブリンからのFR源を含む。本発明のFR修復重鎖および軽鎖は、無傷抗体、抗体断片、または抗体−ベースの誘導体(例えば、一本鎖抗体、ダイアボディー等)と組み合わせた場合、ヒトにおいて実質的に非免疫原性であり、抗原に対して親免疫グロブリンと実質的に同一の親和性および特性(例えば、結合に際しての内部化)を保持する。これらの親和性レベルは、抗原に対する親免疫グロブリンの元来の親和性の4倍の範囲内、好ましくは約2倍内で変化すべきである。
【0009】
同様の原理が、異なる種からのFRを持つ一つの種の親免疫グロブリンを再作成するか、または修繕するのに適用される。蛋白質および/または分子工学の分野における当業者は、FR‐修復免疫グロブリン、またはその誘導体を得るために本発明の設計および原理を採用することができるであろう。一旦設計されれば、例えば、部位特異的突然変異誘発および遺伝子‐合成によってFR修繕免疫グロブリン配列を構築するにおいて種々の技術が存在する。プロデューサー細胞系におけるトランスフェクションのための適当な免疫グロブリン定常重鎖および軽鎖を含む発現ベクターに、組み立てられたFR修繕配列をサブクローン化する。細菌、酵母、昆虫および哺乳動物細胞を含めた、異なる細胞系をFR修繕免疫グロブリンの生産で用いることができる。
【0010】
別法として、免疫グロブリンはトランスジェニックまたはトランスクマティック動物の乳中で、またはトランスジェニック植物中の貯蔵蛋白質として生産することができる。本発明は、結合親和性を犠牲とすることなく、かつ親免疫グロブリンのフレームワークアミノ酸の導入から得られた新しいTおよびB細胞エピトープをヒトFRに導入する尤度なくして、免疫原生が低下したまたは排除された免疫グロブリンを創製するにおいて比較的容易で(CDRと相互作用する重要なFRアミノ酸を同定する必要無し)高度に柔軟性のある(もし必要であれば、個々のFRのマッチおよび変化に対する自由度)改良された新規な方法を提供する。FR修繕抗体は、単独で、あるいは他の免疫グロブリンまたは治療様式と組み合わせて用いられる、裸の形態のまたは融合または化学的コンジュゲートとして、低い(10mg/m2未満)または高い(100mg/m2を超える)用量で、単回で、または反復して用いられ、種々の病気を治療するのにヒトで用いるのに適当であろう。
【0011】
発明の詳細な記載
本発明は、「フレームワーク(FR)修繕」と命名されたプロセスを介して、ヒトまたは霊長類の配列に対して高度な相同性を持つ免疫グロブリンの設計における新しいアプローチを確立することを目的とする。FR修繕免疫グロブリン(以後、修繕された免疫グロブリン)は、ヒトで用いる場合、実質的に低下した、または排除された免疫原性を有し、特異的抗原に対する親免疫グロブリンの特異性および親和性を維持しつつ、特異的抗原およびエフェクター機能(例えば、補体固定、ADCC等)を標的化する能力のごときヒト免疫グロブリンの特徴のほとんどまたは全てを担うであろう。修繕された免疫グロブリンは、そのうち、各可変領域が、Kabatの分類(Kabatら,op.cit)に従って、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を表わす配列を含む重鎖および軽鎖を含むであろう。1以上の相補性決定領域(CDR)を含む各親免疫グロブリン鎖の4つのFRの少なくとも一つは、対応するヒトまたは霊長類FRで置き換えるか、またはそれで「修繕される」であろう。親免疫グロブリン鎖の2以上のFRを置き換えるべき場合、それらは同一のヒトまたは霊長類免疫グロブリンからの、または同一サブグループ内の、または異なるサブグループにおける異なるヒトまたは霊長類免疫グロブリンからの、またはヒトおよび霊長類免疫グロブリンの組合せからの対応するFRで修繕することができる。修繕された免疫グロブリンは典型的な医薬周辺において大規模生産用の適当な宿主系で発現され、適当な様式または組合せでヒトで用いて、広い範囲のヒトの病気を治療または検出するであろう。
【0012】
本発明の良好な理解を保証するために、いくつかの定義を記載する。本明細書中で用いるごとく、「免疫グロブリン」とは、免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコード化された1以上のポリペプチドよりなる蛋白質をいう:典型的な免疫グロブリン蛋白質は、対になった2つの重鎖と2つの軽鎖を含む。全長免疫グロブリン重鎖はサイズが約50kDであり(長さがほぼ446アミノ酸)、重鎖可変領域遺伝子(約160アミノ酸)および定常領域遺伝子によってコード化される。アルファ、ガンマ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、デルタ、イプシロンおよびミュー配列のごとき異なるイソタイプの重鎖定常領域をコード化する異なる定常領域遺伝子がある。全長免疫グロブリン軽鎖はサイズが約25kDであり(長さがほぼ214アミノ酸)、軽鎖可変領域遺伝子(約110アミノ酸)およびカッパまたはラムダ定常領域遺伝子によってコード化される。天然に生じる免疫グロブリンは、通常、各対が一つの軽鎖および一つの重鎖を有する免疫グロブリン鎖の二つの同一対よりなるテトラマーの形態の抗体として知られる。各対においては、軽鎖および重鎖可変領域は、一緒に、抗原への結合を担い、定常領域は抗体に典型的なエフェクター機能を担う。
【0013】
免疫グロブリンはFv(Hustonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.85:5879−5833;Birdら,Science 242:423−426,1988)、ダイアボディー、ミニ抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、二官能性ハイブリッド抗体(Lanzavecchiaら,Eur.J.Immunol.17:105,1987)のごとき天然に生じる、化学的に改変された、または遺伝子工学的に作成されたのいずれかの異なる形態であり得る(一般に、Hoodら,「Immunology」,Benjamin,NY,第2版,1984;HunkapillerおよびHood,Nature 323:15−16,1986参照)。
【0014】
重鎖および軽鎖双方の可変領域は、Kabatのデータベース(Kabatら,op.cit.)で定義されているごとく、超可変配列の3つのストレッチ、または相補性決定領域(CDR)によって中断された、4つのフレームワークサブ領域(FR1、FR2、FR3およびFR4)を含むセグメントに分類され、CDR1はFR1およびFR2の間に位置し、CDR2はFR2およびFR3の間に位置し、およびCDR3はFR3およびFR4の間に位置する。FR1、FR2、FR3またはFR4として特定のサブ領域を特定することなく、他の者によって言及されるフレームワーク領域は単一の天然に生じる免疫グロブリン鎖の可変領域内の組み合わされたFRを表す。本明細書中で用いるごとく、FRは、4つのサブ領域のうちの一つを表し、FR類はフレームワーク領域を構成する4つのサブ領域の2以上を表す。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種内で比較的保存されている。抗体のフレームワーク領域は、構成軽鎖および重鎖の組み合わされたフレームワーク領域であり、CDRを位置決定し、それを整列させるように働く。CDRは、一義的には、結合特異性および親和性を抗原のエピトープに付与する抗体の結合部位の形成を担う。
【0015】
親抗体は、低下したまたは最小化された免疫原生でもって、異なる種、例えば、ヒトに用いるのに適した形態、配列または構造に再作成し、再構成するか、または本発明ではFR修繕すべき、特定の種、例えば、マウスの抗体である。
【0016】
キメラ抗体は、親V‐領域配列からの優位な配列改変なくして、異なる種の対応する重鎖および軽鎖定常領域にその可変領域が連結された抗体である。キメラ抗体の構築は、通常、可変領域をコード化するDNA配列を、対応する定常鎖をコード化するDNA配列に連結することによって達成される。最も普通のタイプのキメラ抗体は、マウス可変領域およびヒト定常領域を含むものである。この場合、発現されたハイブリッド分子は、親マウス抗体の結合特異性および親和性、およびヒト抗体のエフェクター機能を有するであろう。最も重要には、組換え蛋白質のアミノ酸の2/3はヒト起源であり、従って、治療キメラ抗体のC2B8(またはRituxan)の場合におけるごとく、ヒトで用いた場合、低下したまたは有意でない免疫原性が予測される(Davisら,J.Clin.Oncol.17:1851−1857,1999;Coiffierら,Blood 92:1927−1932,1998;McLaughlinら,J.Clin.Oncol.16:2825−2833,1998)。
【0017】
「ヒト化」免疫グロブリンは、一般に、ヒトフレームワーク領域および非ヒト免疫グロブリンからの1以上のCDRを含む免疫グロブリンとして受け止められている(Jonesら,op.cit;Verhoeyenら,op.cit;Riechmannら,op.cit.)。CDRを供する非ヒト免疫グロブリンは「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを供するヒト免疫グロブリンは「アクセプター」と呼ばれる。通常、他の者によって用いられ、言及されてきたごとくアクセプターは単一のヒト免疫グロブリン種に由来する。「ヒト化」免疫グロブリンの親和性を維持するために、ドナーのアミノ酸残基は、アクセプター免疫グロブリンのフレームワーク領域に一体化されなければならないであろう。一連の刊行物(引用してここに一体化させる米国特許第5,85,089号;米国特許第5,693,762号;米国特許第5,693,761号)に公表されているごとく、ドナー配列への変換用のアクセプター免疫グロブリン内の限定された数のアミノ酸を選択する基準の組がある。ヒト化免疫グロブリンは定常領域を含んでも含まなくてもよい。ヒト化重鎖免疫グロブリンは、対応するヒト重鎖定常領域を含むヒト化免疫グロブリンであり、ヒト化軽鎖免疫グロブリンは、対応するヒト軽鎖定常領域を含むヒト化免疫グロブリンである。ヒト化抗体は、ヒト化軽鎖およびヒト化重鎖免疫グロブリンを含む抗体である。
【0018】
成功したヒト化抗体は以下の特徴:
(1)ヒトで用いるためのヒト化抗体の複数注入を可能とする、ヒト化配列に由来する有意に低下した、好ましくは排除された免疫原生;
(2)元の抗原に対する特異性および親和性を含めた乱れが最小の免疫原生(3倍以内);
(3)補体固定、補体媒介細胞傷害性、抗体依存性細胞の細胞傷害性等のごときヒトエフェクター機能を誘導することができること;
を有しなければならないであろう。
【0019】
さらなる配列改変なくしてヒトアクセプターフレームワークへドナーCDRを直接的に移植する結果、抗原親和性が実質的に喪失されるようである。選択されたドナーアミノ酸のアクセプターフレームワーク領域への導入は、幾分問題を矯正し、ほとんどの場合、親和性を改良するが、該アプローチは冗長であり、時々、突然変異する適当なフレームワークアミノ酸を同定するにおいてコンピューターモデリングの助けを要し、オールオアナンモードでのアクセプターヒトフレームワークの選択において柔軟性を欠く。最も重要なことには、ヒト「アクセプター」フレームワークにおいて親「ドナー」残基を保有することによって潜在的な新しい免疫原性エピトープを導入するようである。
【0020】
本発明はこれらの問題に立ち向かい、免疫原性ではないか、または免疫原性が低いが、親抗体におけるごとく特異的抗原に対して元の親和性のほとんどまたは全てが保有されたFR修繕抗体を創製するにおいて柔軟性および単純性が増大した新規なアプローチを創出する。キメラまたはヒト化免疫グロブリンに対する免疫応答のほとんどは、理論に拘束される意図はないが、可変領域におけるエピトープに対して向けられるので、本発明が実現する原理を、限定されるものではないが、例として可変領域を用いることによって説明する。
【0021】
蛋白質に対する免疫原性に寄与する少なくとも二つの種類のエピトープが存在する。いわゆる「T細胞エピトープ」は、細胞内で蛋白質の分解の間に放出され、引き続いて、主要組織適合性複合体(MHC)の分子によって提示されて、T細胞の活性化をトリガーする短いペプチド配列である。MHCクラスIIによって提示されたペプチドでは、次いで、T細胞のそのような活性化は、B細胞の直接的刺激によって抗体応答を生起して、そのような抗体を生産することができる。ヒト化可変領域の構造の詳細な分析は、潜在的に免疫原生であるCDRのストレッチの不回避な存在を明らかにする。これらのCDRは、フレームワーク配列の残りを4つのサブ領域、すなわちFR1、FR2、FR3およびFR4に物理的かつ機能的に区画化する(Kabatら,op.cit.)。T細胞エピトープは線状の連続的な短いペプチドであるので、各FR区画におけるそのようなエプトープの有無は、異なるFRが同一または異なるフレームワークに由来するか否かを問わず、相互に対して相関を有すべきではない。Queenらのヒト化アプローチを用いるアクセプターフレームワーク領域へのドナーフレームワーク残基の導入(引用して個々に一体化させる米国特許第5,85,089号;米国特許第5,693,762号;米国特許第5,693,761号)は、新しい免疫原性T細胞エピトープを創製する可能性を有し、その結果、ヒト化抗体に対する免疫応答、特に、ドナーCDRループによって形成されたイディオタイプ領域に対する抗体応答が誘出される。各ヒト化免疫グロブリン鎖へ一体化された3ないし7の間のドナーアミノ酸を有するのは普通ではなく、新しいT細胞エピトープについての出現の機会を多いに増加させる。
【0022】
同様に、ヒトフレームワーク内に埋もれたこれらのドナー由来残基は、抗体によって認識できる新しい免疫原性B細胞エピトープを形成することができる。アクセプターフレームワークへのドナー残基の再導入は、ヒト化免疫グロブリンの元の抗原親和性を維持するにおいて重要であることはよく確立されているが、理想的には、さらなる改変および親和性の喪失なくしてドナーCDRをアクセプターフレームワークに直接移植することによってヒト化を達成することができれば、それが好ましい。
【0023】
本発明は、特異的抗原に対するその親和性がその元のレベルの3倍以内に維持される免疫グロブリンの免疫原性を低下させ、または排除するにおける新しいアプローチを提供する。該アプローチは柔軟であり、多様であり、単純であって、通常は技巧を凝らしたコンピューターモデリング分析を必要としない(がそれは、それが用いられるのを排除しない)。それは、以前の利用できる方法で抗体をヒト化するにおいて、免疫原性の低下および親和性の維持の間の逆関係の問題を取り扱う。例として免疫グロブリン可変領域を用い、1組の基準および原理が配列をFR修繕するときに従われる。該基準を単独で用いることができるか、あるいは必要がある場合は組み合わせて、低下したまたは排除された免疫原性、および所望の親和性または他の特徴を達成することができる。
【0024】
FR修繕による免疫グロブリン可変領域ヒト化において、親免疫グロブリンアミノ酸配列を、Kabatら(opt.cit.)の分類に従ったFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4に区画化する。区画化されたFRの各々は別々に取り扱われ、それを用いて、公のドメイン、商業的存在、または私的所有いずれかで入手可能な全てのデータベースで見出される対応するFRセグメントと整列させる(例えば、Kabatデータベース,opt.cit.;the National Biomedical Research Fundation Protein Identification Resource)。免疫グロブリンは1を超える免疫グロブリン源からのFRで修繕することができる。好ましくは、対応する親FRに対して最高程度の相同性(>60%)を持つヒトFRセグメントを用いる。しかしながら、免疫グロブリン鎖の一次配列中の3つのCDRの1以上に隣接するFR中のアミノ酸は当該抗原と直接相互作用することができ(引用してここに一体化させるAmitら,Science,233:747‐753,1986)、より低い相同性を持つヒトFRと同一のこれらのアミノ酸の選択は以下に記載する基準に従って用いる。
【0025】
それが、CDR1に直ぐに隣接する3以上のアミノ酸において、親FR1に対して最高の相同性、好ましくは100%を有する場合には、ヒトFR1が用いられる。
【0026】
それが、フランキングCDR1およびCDR2に直ぐに隣接する両末端の3以上のアミノ酸において、親FR2に対して最高の相同性、好ましくは100%を有する場合には、ヒトFR2が用いられる。
【0027】
それが、フランキングCDR2およびCDR3に直ぐに隣接する両末端の3以上のアミノ酸において、親FR3に対して最高の相同性、好ましくは100%を有する場合には、ヒトFR3が用いられる。
【0028】
それが、CDR3に直ぐに隣接する3以上のアミノ酸において親FR4に対して最高の相同性、好ましくは100%を有する場合には、ヒトFR4が用いられる。
【0029】
CDRに隣接する3以上のアミノ酸において100%相同性を持つFRが同定することができない場合、gly、ala;val、ile、leu;asp、glu;asn、gln;ser、thr;lys、arg;およびphe、tyrのごとき保存的に類似するアミノ酸を含むこれらの位置において最も近い相同性を持つFRが選択される。
好ましくは、コンピューターモデリング(その全てを引用して一体化させるLevyら,Biochemistry28:7168−7175,1989;Bruccoleriら,Nature335:564−568,1988;Chothiaら,Science233:755−758,1986参照)、結晶構造、公開された情報または先行経験いずれかに基づいて、CDR/抗原結合部位(その全てを引用してここに一体化させるChothiaおよびLesk,J.Mol.Biol.196:901,1987;Chothiaら,Nature342:877,1989およびTramontanoら,J.Mol.Biol.215:175,1990)に近いか、あるいはそれとの相互作用を有することが知られている位置におけるそのアミノ酸が親FRのそれと同一であるか、または保存的に類似するヒトFRが選択される。
【0030】
FR修繕は、前記基準に適合する満足すべきFRを入手可能なデータベースが生じさせない場合、必要な場合の修繕されたFRの対応する位置における親アミノ酸の導入、または異なる霊長類、マウス等のごとき異なる種からの免疫グロブリンにFRを含めることを排除しない。重要な目標は、親和性の実質的喪失なくして、免疫原性が低下した、好ましくは排除された抗体を生産することである。該アプローチはこの点で成功する機会を上昇させ、柔軟性、簡潔性および操作の容易性の点で他の方法よりも優れたかなりの改良を伴う。
【0031】
ヒト定常配列を運ぶFR修繕抗体は、標的抗原に結合すると、補体媒介細胞傷害性(CM)または抗体依存性細胞の細胞傷害性(ADCC)のごときヒト免疫エフェクター機能を誘導することができるであろう。さらに、治療または診断目的でヒトに注入すると、ヒトFRで修繕された抗体は非‐免疫原性であると予測され、すなわち、注入された蛋白質に対して抗体応答を誘導せず、もし必要であれば、最大臨床利益を達成するためのヒト患者への複数注入を可能とするであろう。非‐ヒト抗体は、ヒト抗体のそれよりもかなり短い循環半減期を有することが報告されている(Shawら,J.Immunol.138:4534‐4538,1987)。ほとんどのヒト配列を運ぶ修繕された抗体は、おそらくは、天然に生じるヒト抗体を暗示する延長された半減期を有するであろう。
【0032】
FR修繕免疫グロブリンの構築において、免疫グロブリンの可変領域についての配列設計は、前記で説明した基準および原理を用いて成される。設計されたFR修繕可変領域配列は、当業者によく知られた種々の標準的組換え技術を用いて組み立てられる。好ましくは、通常は約350塩基対のサイズの設計された配列は遺伝子合成され(その全てを引用してここに一体化させるLeungら,Molecullar Immunol.32:1413−1427,1995;Daugherpyら,Nucl.Acid Res.19:2471−2476;DeMartinoら,Antibody Immunoconj.Radiopharmaceut.4:829,1991;Jonesら,op.cit)、あるいは部位またはオリゴヌクレオチドに特異的な突然変位誘発の方法によって、個々のFRを導入して親FRを置き換えることができる(双方をここに引用して一体化させるGillmanおよびSmith,Gene 8:81−97,1979;およびRobertsら,Nature 328:731−734)。
【0033】
FR修繕免疫グロブリンをコード化するDNAセグメントは、細菌増殖および異なる宿主細胞における発現に適したDNA発現ベクターにおいてヒト重鎖および軽鎖領域をコード化するDNA配列に連結される。種々の宿主細胞系における発現に適した種々のDNAベクターがある。適当なDNAベクターは、FR修繕免疫グロブリンの発現のために選択することができる。典型的には、適当な発現制御DNA配列は、免疫グロブリン鎖をコード化するDNAセグメントに作動可能に連結される。好ましくは、発現制御配列は、真核生物宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトできるベクターにおける真核生物プロモーター系であるが、原核生物宿主用の制御配列も用いることができるFR修繕免疫グロブリン重鎖および軽鎖をコード化する配列は、一つの単一DNA発現ベクターに、または別々の重鎖および軽鎖発現ベクターに取り込むことができる。後者の場合には、宿主細胞は、適当な対の重鎖および軽鎖ポリペプチドを持つFR修繕抗体を生じさせるために双方のベクターが同時に取り込まれなければならない。一般に、後の分泌のためにゴルジ装置への免疫グロブリンポリペプチドの輸送を可能とするリーダー配列が、真核生物宿主細胞における発現のために各免疫グロブリン鎖のN末端に含まれる。一旦ベクターが適当な宿主細胞に取り込まれたならば、宿主はヌクレオチド配列の高レベル発現に適した条件下に維持され、その結果、ヒト化軽鎖、重鎖、軽鎖/重鎖ダイマーまたは無傷抗体、結合断片、単一鎖抗体(sFv)、ダイアボディー、またはその誘導体、または他の免疫グロブリンの形態の収集および精製をそれに続けることができる(ここに引用して一体化させるBeychok,Cells of Immunoglobulin Synthesis,Academic Press,NY,1979参照)。
【0034】
重鎖および軽鎖についての異なるヒト定常領域があるのは良く知られた事実である。特定のイソタイプは、異なる目的で用いるために選択することができる特定のエフェクター特徴を有する。ヒト定常領域DNA配列は、種々のヒト細胞、好ましくは不滅化B−細胞からよく知られた手法に従って単離することができる(Kabat op.cit.およびWP87/02671参照)。本発明の免疫グロブリンを生じさせるためのCDRは、同様に、例えばCD22およびCD20のごとき所定の抗原に結合させることができるモノクローナル抗体から誘導され、抗体を生産することができるマウス、ラット、ウサギまたは他の脊椎動物を含めたいずれかの便宜な哺乳動物源においてよく知られた方法によって生産される。定常領域およびフレームワークDNAおよび分泌用の適当な源細胞はAmerican Type Culture Collection(ここに引用して一体化させる「Catalogue of Cell Lines and Hybridomas」,第6版,1988,Rockville,MD,USA)のごとき多数の源から得ることができる。
【0035】
(プロモーターおよびエンハンサーを含めた)発現制御配列に作動可能に連結したFR修繕免疫グロブリン鎖についてのコーディング配列を含むDNA発現ベクターは、典型的には、エピソームとして、または宿主染色体DNAの一体化部分として宿主生物中で複製可能である。テトラサイクリン、ネオマイシン、ベータラクタマーゼ等のごとき選択マーカーをベクターに含ませて、DNAベクターで形質転換された細胞の検出を可能とする(例えば、ここに引用して一体化させる米国特許第4,704,362号)。
【0036】
細菌宿主は、DNAベクターを増殖させるのに、ならびに取り込まれた免疫グロブリンDNAを発現させるのに適している。例えば、大腸菌は、本発明についてのDNA配列をクローニングするのに用いる最も通常に用いられる原核生物宿主である。同一目的で有用な他の微生物宿主は、その例として、バチルス(例えば、Bacillus subtilus)および他の腸内細菌(例えば、Salmonella,Scrratia)、および種々のシュードモナス種を含む。これらの宿主におけるクローン化配列の発現は、宿主細胞に適合する発現制御配列(例えば、複製起点)、およびDNAベクターに含ませるべき機能的プロモーターの存在を必要とする。よく知られたプロモーター系の例は、限定されるものではないが、トリプトファン(TRP)プロモーター系、ベータ‐ラクタマーゼプロモーター系、ファージラムダプロモーター系等を含む。これらのプロモーターは、全ての必要なモチーフに加えて、任意に、オペレーター配列と共に、転写開始および翻訳に必要なリボソーム結合部位配列等を含む、プロモーター系の下流の機能的遺伝子配列の発現または転写を制御することを担う。
【0037】
同様に、酵母のごとき他の微生物も発現で用いることができる。例えば、好ましい宿主は、所望により、3−ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖酵素を含めた、プロモーターのごとき適当な発現制御エレメント、および複製起点、終止配列などを含む発現ベクターに適した宿主であるSaccharomycesであろう。
【0038】
無脊椎動物起源の真核生物宿主細胞を用いることができる。例えば、hi−5、SF9、SF21のごとき昆虫細胞。宿主細胞における高レベル発現で重要な便宜なクローニング部位、プロモーター、終止配列を含む適当な発現ベクターは市販されている(Invitrogen,San Diego,CA)。
【0039】
好ましくは、哺乳動物組織細胞培養を用いて、本発明のポリペプチドを発現させ、それを生産することができる(ここに引用して一体化させるWinnacker,「From Genes to Clones」,VCH Publisher,NY,NY,1987参照)。最も普通に用いられる哺乳動物宿主細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系、種々のCOS細胞系、HeLa細胞、およびSP2/0細胞系、NS0細胞系、YB2/0細胞系等のごとき骨髄腫細胞系、および形質転換されたB細胞またはハイブリドーマである。これらの細胞系は重鎖CH2ドメインにおいてアミノ酸297のごとき適当な部位において正しいグリコシル化を付与することができ、全長免疫グロブリンを分泌することができ、およびこの特別な発明で選択された宿主細胞系である。他の宿主細胞のための発現ベクターと同様に、真核生物細胞発現ベクターは、通常、グリコシル化および輸出のために発現されたポリペプチドをゴルジ装置に向けるためのリーダー配列、注目するDNAセグメント(例えば、重鎖および軽鎖コーディング配列および発現制御配列)、終止コドン、(リボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化配列、および転写ターミネーター配列のごとき)他の必要なプロセッシング情報部位、および(突然変異体Dhfr、グルタミンシンテターゼ(GS)、ヒグロマイシン、ネオマイシンのごとき)選択マーカーと共に、プロモーター(例えば、免疫グロブリン遺伝子、メタロチオネイン遺伝子、SV40、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、ウシパピローマウイルス等に由来するもの)、エンハンサーを含めた適当な発現制御配列を含む(個々に引用して一体化させるKellems,「Gene Amplification in mammalian cells」,Marcem Dekker Inc.,NY,NY,1993参照)。
【0040】
注目するDNAセグメントを含むベクターを宿主細胞へ、宿主細胞ゲノムへ一時的にまたは安定して組み込むように導入するための多くの確立されよく知られた方法が存在する。それらは、限定されるものではないが、塩化カルシウムトランスフェクション、リン酸カルシウム処理、エレクトロポレーション、リポフェクション等を含む(ここに引用して一体化させるManiatisら,Molecular Cloning:A Laboratory Mannual, Cold Spring Harbor Press,1982参照)。適当な発現ベクターが取り込まれた宿主細胞の同定は、典型的には、まず、ベクターで用いる選択マーカーに従った選択圧下で細胞を増殖させ、次いで、ELISAおよびウエスタン分析のごとき標準的な手法によって、分泌された蛋白質、例えば、重鎖および軽鎖の2つの対を含む全抗体、または本発明の他の免疫グロブリンの形態を検出することによって達成できるであろう。発現された免疫グロブリンの精製は、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動等を含めた当該分野の標準的な手法に従って行なうことができる(一般に、R.Scopes,「Protein Purification」,Springer−Verlag,NY,1982参照)。少なくとも約90ないし95%均一性の実質的に純粋な免疫グロブリンが好ましく、医薬用途では、98ないし99%以上の均一性が最も好ましい。所望により一旦部分的にまたは均一になるまで精製すれば、次いで、ポリペプチドは(体外を含めて)治療で、あるいはアッセイ手法、免疫蛍光染色等を開発し、実行するにおいて用いることができる(一般に、Immunological Methods Vols IおよびII,LefkovitsおよびPernis編,Academic Press,NY,NY,1979および1981参照)。
【0041】
本発明の抗体は、典型的には、個々に、または他の治療様式と組み合わせて、抗体‐ベースの療法に感受性の病気を治療するにおいて用途が見出されるであろう。例えば、免疫グロブリンは、全て、多くの先行抗体に伴う実質的有害免疫反応(例えば、アナフィラキシーショック)なくして、受動免疫化、または補体媒介溶解によるごとき望まない細胞または抗原の除去で用いることができる。
【0042】
本発明の抗体の好ましい用法は、病巣部位において局所、皮下、静脈内および筋肉内のいずれかで投与される50mgないし400mg/m2の範囲の投与量でそれらの裸の形態(裸の抗体)を用いる病気の治療であろう。異なる間隔での複数投与を行なって、例えば、1週間間隔で、1週間に1回で4週間、最適な治療または診断応答が達成されるであろう。本発明に由来する抗体の用法は、化学療法薬物(例えば、CHOP、Dox、5−Fu等)、放射線療法、放射線免疫療法、ワクチン、酵素、トキシン/イムノトキシン、または本発明または他から由来する他の抗体のごとき異なる治療様式と組み合わせることができる。本発明の抗体は、抗―腫瘍抗体のイディオタイプに特異的であれば、腫瘍抗原に対するAb3の誘導用の腫瘍ワクチンとして用いることができる。当業者によく知られた多数の更なる剤、または剤の組合せを利用することもできる。
【0043】
加えて、本発明の抗体は異なる医薬組成物で利用することができる。該抗体は、それらの裸の形態で、あるいは薬物、放射性核種、トキシン、サイトカイン、可溶性因子、ホルモン、酵素(例えば、カルボキシルエステラーゼ、リボヌクレアーゼ)、ペプチド、(腫瘍ワクチンとしての)抗原、DNA、RNA、あるいは標的化剤または送達ビヒクルとして働く抗体部位と共に特異的治療機能を有するいずれかの他のエフェクター分子とのコンジュゲーテッド蛋白質として用いることができる。さらに、本発明の抗体断片、単一鎖Fv、ダイアボディー等のごとき抗体または抗体誘導体は、(例えば、二特異的抗体としての)異なる発明の抗体または抗体誘導体、トキシン、サイトカイン、可溶性因子、ホルモン、酵素、ペプチド等のような他の機能性部位に対する融合蛋白質として用いることができる。当業者によく知られた医薬組成物の異なる組合せも利用することができる。
【0044】
また、本発明のFR修繕抗体は、例えば、特異的抗原の検出用の診断ツールとして、イン・ビトロ目的で用いることもできる。
【0045】
以下の実施例は説明のために掲げ、限定するものではない。
【0046】
実験
FR修繕免疫グロブリン鎖のアミノ酸配列に設計するにおいて、(VHおよびVL双方に適用される)マウス可変領域配列を、Kabatの分類(Kabatら,OP.CIT.)に従って、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4に区画化した。修繕のための個々のFRの選択は、前記したガイドラインに従った。
【0047】
それが、CDR1に直ぐに隣接した3以上のアミノ酸において親FR1に対して最高の相同性、好ましくは100%を有する場合にはヒトFR1が用いられる。
【0048】
それが、フランキングCDR1およびCDR2に直ぐに隣接した双方の端部の3以上のアミノ酸において親FR2に対して最高の相同性、好ましくは100%を有する場合にはヒトFR2が用いられる。
【0049】
それが、フランキングCDR2およびCDR3に直ぐに隣接する双方の端部の3以上のアミノ酸において親FR3に対して最高の相同性、好ましくは100%を有する場合にはヒトFR3が用いられる。
【0050】
それが、CDR3に直ぐに隣接する3以上のアミノ酸において親FR4に対して最高の相同性、好ましくは100%を有する場合にはヒトFR4が用いられる。
【0051】
CDRに隣接する3以上のアミノ酸における100%相同性を持つヒトFRを同定することができない場合、gly、ala;val,ile,leu;asp、glu;asn、gln;ser、thr;lys、arg:およびphe、tyrのごとき保存的に類似するアミノ酸を含むこれらの位置において最も近い相同性を持つFRが選択される。
【0052】
好ましくは、コンピューターモデリング(Levyら,Biochemistry op.cit.;Bruccoleriら;op.cit:Chothiaら,ot.cit.参照)、結晶構造、公表された情報、または以前の経験いずれかに基づいて、CDR/抗原結合部位(ChothiaおよびLesk,op.cit.;Chothiaら,op.cit.およびTramontanoら,op.cit.)に近くであるか、またはそれとの相互作用を有することが知られている位置におけるそのアミノ酸が親FRのそれと同一であるか、または保存的に類似するヒトFRが選択される。
【0053】
前記の全てを満足する特定のヒトFRが入手不可能であって、直接的修繕の結果、親和性または特異性が喪失される場合、抗原結合部位との相互作用を有するか、または抗体の最終的な親和性に寄与すると考えられるマウス残基を最良の入手可能なFRに逆に導入する。別法として、マッチングヒトカウンターパートを持たない特定のFRは、改変のないそのマウス組成物に保存され、使用され;最終のFR修繕配列はヒトおよびマウスFRの混合物を含むであろう。例示の目的で、2つのマウス抗B細胞抗体を、本明細書中に記載したアプローチを用いてFR修繕する。
【0054】
実施例1
FR修繕した抗CD22抗体
FR修繕した抗CD22軽鎖および重鎖についての遺伝子の設計
マウス抗CD22抗体であるRFB4(Liら,Cell Immunol.118:85,1989;Mansfieldら,Blood 90:2020−2026,1997)の重鎖および軽鎖の配列を例として用い、FR修繕を用いて再作成された抗体の免疫原性を低下させるか、または排除するアプローチを説明する。マウス抗体についての重鎖(a)および軽鎖(b)可変領域の配列を図1に示す。
【0055】
RFB4用の重鎖可変領域についての個々のFRの修繕は以下のごとくに行なった。
a.FR1;マウスVHのFR1配列を、Kabatのデータベース(Kabatら,op.cit.)からのヒトVHのFR1配列と比較した。最高の配列相同性のヒトFR1が好ましいが、CDR1に最も近い配列についての特定の強調を取った。マウスFR1に対して最高の相同性の3つのFR1配列がある。それらは、すなわち、EIK、RF−SJ1およびWASである。マウス親と同一のCDR1に最も近い5つの残基との最高の総じての相同性を持つFR1はEIKであるが、位置12には失われた残基があり、これは、得られた抗体の免疫反応性に影響する潜在的問題を生じる可能性がある。修繕のためにピックアップした好ましいFR1は、従って、WASからのものであった。まず、CDR1に対して3番目に近い残基位置28を除き、CDR1の次の11のアミノ酸の全ストレッチはマウス親と同一である。位置28において、マウス配列においてアラニンの代わりにセリン残基が見出される。セリンはアラニンのヒドロキシル化バージョンと考えられるので、変化は保存的である。さらに、ヒトおよびマウスの間で異なる残基は特徴が比較的類似する。例えば、位置5におけるバリンおよびロイシン、位置13におけるリシンおよびグルタミン、位置19におけるリシンおよびアルギニン、および位置28におけるアラニンおよびセリン。従って、抗CD22抗体のFR1を修繕するために、WASからのヒト配列を選択した(図2A)。
【0056】
b.FR2:同一のトークンによって、かつ相同性の程度に基づき、抗CD22抗体のFR2を修繕するために、ヒトWAS配列を選択する(図2A)。
【0057】
c.FR3:同一であるCDR2およびCDR3に最も近い配列および高度の相同性でもって、抗CD22抗体のFR3を修繕するために、ヒトGAL配列を選択した(図2A)。
【0058】
d.FR4:同一であるCDR3に最も近い配列、およびマウス親に対する高度な相同性を持つ多くのヒトFR4がある。この例では、抗CD22抗体のFR4を修繕するために、ヒトDOB配列を選択した(図2A)。
【0059】
抗CD22抗体についてのFR修繕VH配列の最終的設計(図3A)は、ヒトWAS FR1およびFR2,およびGAL FR3およびDOB FR4よりなり、抗CD22抗体の元のVH FRを置き換える。FR修繕配列の最終設計において、マウスFR残基の単一突然変異または再導入はない。
【0060】
同様の戦略を用い、FR修繕した軽鎖(VL)についての配列設計は以下の通り行なった:
a.FR1:マウスVLのFR1を修繕するために、ヒトJOHを選択した。それは、高度の配列相同性、および親配列と同一であるCDR1に隣接する8つのアミノ酸のストレッチを有する(図2B)。
【0061】
b.FR2:同様の理由で、マウスVLのFR2を修繕するために、ヒトVd’CLを選択した。4を超える同一配列がCDR1およびCDR2に隣接する(図2B)。
【0062】
c.FR3:マウスVLのFR3を修繕するために、ヒトWESを選択した。FR3は最長の配列を有し、WESおよびマウスFR3の間の配列相同性は高く、CDR2およびCDR3に近接する配列は同一である(図2B)。
【0063】
d.FR4:同様の理由で、マウスVLのFR4を修繕するために、ヒトRZを選択した(図2B)。
【0064】
抗CD22抗体についてのFR修繕VL配列の最終的設計(図3B)は、ヒトJOH FR1、Vd’CL FR2、WES FR3およびRZ FR4より成り、抗CD22抗体の元のVL FRを置き換える。もう1度、FR修繕した配列の最終設計においてマウスFR残基の突然変異または再導入はない。
【0065】
FR修繕した重鎖および軽鎖遺伝子の構築
FR修繕した抗体の設計された重鎖および軽鎖可変領域配列は、種々の公表された方法を用い、オリゴヌクレオチド合成およびPCRの組合せを用いて組み立てられる(Leungら,op.cit.;Daughertyら,op.cit.;DeMartinoら,op.cit.;Jonesら,op.cit.)。
【0066】
FR修繕重鎖可変領域配列(配列番号1)を構築するには、全長DNA配列を2つの半体:N末端半体およびC末端半体に分ける。両者をPCRによって別々に構築し、完全な可変領域配列は、KpnI部位においてNおよびC末端半体を接合することによって形成した。
N末端半体は以下のごとくに構築した:N鋳型(配列3)はVH領域のアミノ酸14ないし50をコード化する合成センス鎖オリゴヌクレオチド(111量体)である(配列番号2)。該鋳型は2つのプライマーによってPCR増幅する;
5’プライマー(配列番号4)は、VH領域のアミノ酸1ないし19をコード化する合成センス鎖オリゴヌクレオチド(57量体)である。プライマーの3’端部は18ネクレオチドだけ鋳型の5’端部と重複する。
【0067】
3’プライマー(配列番号5)は、アミノ酸43ないし59をコード化する合成アンチセンス鎖オリゴヌクレオチド(48量体)である。該プライマーは21ヌクレオチドだけ鋳型と重複する。
【0068】
N鋳型(配列番号3)は、標準的技術および手法を用い、5’および3’プライマー組(配列番号4および5)を用いてPCR増幅した。
【0069】
C末端半体は以下のごとく構築した:C鋳型(配列番号6)はVH領域のアミノ酸68ないし111をコード化する合成センス鎖オリゴヌクレオチド(132量体)である(配列番号2)。該鋳型は2つのプライマーによってPCR増幅させた:
5’プライマー(配列番号7)は、VH領域のアミノ酸55ないし74をコード化する合成センス‐鎖オリゴヌクレオチド(60量体)である。プライマーの3’端部は21ヌクレオチドだけ鋳型の5’端部と重複する。
【0070】
3’プライマー(配列番号8)は、VH領域のアミノ酸105ないし123をコード化する合成アンチセンス‐鎖オリゴヌクレオチド(58量体)である。該プライマーおよび該鋳型は21ヌクレオチドだけ重複する。
【0071】
C鋳型(配列番号6)は、標準的技術および手法を用い、5’および3’プライマー組(配列番号7および8)を用いてPCR増幅させる。
【0072】
全長FR修復RFB4 VHドメインの構築ではN鋳型(配列番号3、111量体)C鋳型(配列番号6、132量体)、およびそれらの核5’―および3’プライマー(N鋳型では配列番号4および5、およびC鋳型では配列番号7および8)を、自動Applied Bioシステム 380B DNAシンセサイザー(Foster City,CA)で合成した。オリゴヌクレオチドはCHROMOSPIN−10TMカラム(Clonetech,Palo Alto,CA)を通すことによって脱塩した。オリグヌクレオチドは20μMの最終濃度に調整した。種々の希釈(10×、100×、1000×および10000×等)における1μlの鋳型オリゴヌクレオチドを、10μlの10×PCR緩衝液(500mMのKCl,100mMのトリスHCl緩衝液,pH8.3,15mMのMgCl2)および5単位のAMPLITAQTM DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer,Applied Biosystems Division,Foster City,CA)の存在下で、5μlのそれらの対応するフランキングプライマーと混合した。この反応混合物を100μlの最終容量まで調整し、1分間の94℃における変性、1分間の50℃におけるアニーリング、および1分間の72℃における重合よりなるPCR反応の30サイクルに付した。PCR反応混合物は、2%アガロースゲル電気泳動下で分析した。正しいサイズの充分に豊富な生成物を生起した最高鋳型希釈を、さらなる処理のために選択する。
【0073】
NおよびC鋳型用の二本鎖PCR増幅産物をゲル精製し、KpnIで制限消化した。制限したNおよびC二本鎖DNAをKpnI部位で連結し、連結した産物をN鋳型用の5’プライマー(配列番号4)およびC鋳型用の3’プライマー(配列番号8)を用いる更なるラウンドのPCR増幅に付した。〜350のサイズを持つPCR産物をTAクローニングベクター(Invitrogen,San Diego、CA)に直接的にクローン化した。クローン化された断片の配列はサンガーの方法(Sangerら,PNAS 74:5463−5467,1977)によって、示されたVH配列と同一であることが確認された。確認された配列を用いて、IgHプロモーター、Igエンハンサー、ヒトIgG1定常領域ゲノム配列、および選択マーカーgptを含む重鎖発現ベクターのVH配列を置き換えた。最終の重鎖発現ベクターをhpRFB4pSMhと命名する。
【0074】
FR修繕軽鎖可変領域配列(配列番号9)を構築するために、全長VL可変領域配列を2つの半体に分けた。N末端およびC末端半体をPCRによって別々に組み立て、SpeI部位を介して一緒に接合した。
【0075】
N末端半体は以下のごとく構築した:N鋳型(配列番号11)は、VL領域のアミノ酸11ないし46をコード化する合成センス鎖オリゴヌクレオチド(108量体)である(配列番号10)。鋳型は2つのプライマーによってPCR−増幅した。
【0076】
5’プライマー(配列番号12)はVL領域のアミノ酸1ないし17をコード化する合成センス鎖オリゴヌクレオチド(51量体)である。プライマーの3’端部は21ヌクレオチドだけ鋳型の5’端部と重複する。
【0077】
3’プライマー(配列番号13)は、アミノ酸40ないし53をコード化する合成アンチセンス鎖オリゴヌクレオチド(40量体)である。該プライマーは18ヌクレオチドだけ鋳型と重複する。
N鋳型(配列番号11)は、標準的技術および手法を用いて、5’および3’プライマーの組(配列番号12および13)を用いてPCRを増幅させる。
【0078】
C末端半体は以下のごとく構築した:C鋳型(配列番号14)は、VL領域のアミノ酸59ないし98をコード化する合成センス鎖オリゴヌクレオチド(120量体)である(配列番号10)。鋳型は二つのプライマーによってPCR‐増幅させた:
5’プライマー(配列番号15)は、VL領域のアミノ酸50ないし65をコード化する合成センス鎖オリゴヌクレオチド(49量体)である。該プライマーの3’端部は21ヌクレオチドだけ鋳型の5’端部と重複する。
【0079】
3’プライマー(配列番号16)は、VL領域のアミノ酸92ないし107をコード化する合成アンチセンス鎖オリゴヌクレオチド(48量体)である。該プライマーおよび該鋳型は21ヌクレオチドだけ重複する。
【0080】
C鋳型(配列番号14)は、標準的技術および手法を用い、5’および3’プライマーの組(配列番号15および16)を用いてPCR増幅させる。
【0081】
FR修繕RFB4 VLドメインの構築にはN鋳型(配列番号11,108‐量体)、C鋳型(配列番号14,120量体)、およびそれらの各5’および3’プライマー(N鋳型については配列番号12および13、およびC鋳型については配列番号15および16)を自動Applied Biosystem 380B DNAシンセサイザーで合成した。該オリゴヌクレオチドはCHROMOSPIN‐10TMカラム(Clonetech)を通すことによって脱塩した。オリゴヌクレオチドは20μMの最終濃度に調整した。種々の希釈(10×、100×、1000×および1000×等)における1μlの鋳型オリゴヌクレオチドを、10μlの10×PCR緩衝液(500mMのKCl、100mMのトリスHCl緩衝液、pH8.3、15mMのMgCl2)および5単位のAMPLITAQTM DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer)の存在下で、5μlのそれらの対応するフランキングプライマーと混合した。この反応混合物を100μlの最終容量に調整し、1分間の94℃における変性、1分間の50℃におけるアニーリング、および1分間の72℃における重合よりなる30サイクルのPCR反応に付した。PCR反応混合物を2%アガロースゲル電気泳動下で分析した。正しいサイズの充分に豊富な産物を生起させる最高鋳型希釈をさらなる処理のために選択する。
【0082】
NおよびC鋳型についての二本鎖PCR増幅産物をゲル精製し、SpeIで制限‐消化した。制限されたN‐およびC二本鎖DNAをSpeI部位で連結し、連結された産物を、N鋳型についての5’プライマー(配列番号12)およびC鋳型についての3’プライマー(配列番号16)を用いるもう一つのラウンドのPCR‐増幅に付した。〜320のサイズを持つPCR産物をTAクローニングベクター(Invitrogen)に直接クローン化した。クローン化した断片の配列はサンガーの方法(Sanger op.cit.)によって、設計されたVL配列と同一であることが確認された。確認された配列を用いて、IgHプロモーター、Igエンハンサー、ヒト・カッパ定常領域ゲノム配列、および選択マーカーhygを含む軽鎖発現ベクターのVL配列を置き換えた。最終の軽鎖発現ベクターをhpRFB4pSMkと命名する。
【0083】
FR修繕した抗体の発現および親和性
発現プラスミドhpRFB4pSMhおよびhpRFB4pSMkを線状化し、マウスSp2/0細胞に共トランスフェクトした。該プラスミドでトランスフェクトされた細胞を、標準的な方法によって、該プラスミド上のgptおよびhyg遺伝子によって付与されたマイコフェノール酸および/またはヒグロマイシンBの存在下で選択した。選択で生存する細胞を、ELISA法を用い、ヒト抗体分泌につきテストした。ヒト抗体を分泌していると同定されているクローンを、500mlのローラー瓶中で生産用に拡大培養した。抗体は、標準的なプロテインAカラムを用いて精製した。精製された抗体を、還元および非‐還元の双方の条件下でSDS‐PAGEゲルで分析した(図4)。FR修繕抗体(hpRFB4)の親和性をフローサイトメトリーによってまず評価した。1%FCSおよび0.01%(w/v)アジ化ナトリウムを補足した最終容量100μlのPBS(PBS‐FA)中で、1μgの精製されたhpRFB4またはキメラRFB4(cRFB4)と共にRaji細胞(5×105)を培養した。cRFB4は、改変することなくマウス親から直接由来した可変領域配列中のhpRFB4とは異なる。混合物を4℃において30分間培養し、PBSで3回洗浄して、未結合抗体を除去した。Raji細胞への抗体の結合レベルは、最終容量100μlのPBS‐FA中に20×希釈されたFITC標識ヤギ抗ヒトIgG1、Fc断片特異的抗体(Jackson ImmunoResearch,West GrovePA)を添加し、4℃において30分間インキュベートすることによって評価した。混合物をPBS3回洗浄し、FACSCAN蛍光細胞分析分離装置(Becton Dickinson,Bedford,MA)によって蛍光強度を測定した(図5)。結果は、双方の抗体が同様な親和性をもってRaji細胞によく結合したことを示した。
【0084】
RFB4のVHおよびVL配列の再作成前および後に抗体の親和性を比較するために、競合結合アッセイを行なった。固定した量(ストックからの10×希釈)のFTTC‐コンジュゲーテッドRFB4(Ancell Corporation,Bayport,MN)を変化させる濃度のcRFB4またはhpRFB4いずれかと混合した。混合物をPBS‐FA中の最終容量100μlにてRaji細胞に添加し、4℃にて30分間培養した。PBSで3回洗浄した後、FITC‐RFB4と結合したRaji細胞の蛍光強度をFASCAN(Becton Dickinson,Bedford,MA)によって測定した。結果は、RFB4配列のFR修繕は、再作成された抗体の親和性に対して有意な効果を有しないことを示した(図6)。
【0085】
実施例2
FR修繕した抗CD20抗体
FR修繕した抗CD20軽鎖および重鎖についての遺伝子の設計
マウス抗CD20抗体1F5(Ref.)の重鎖および軽鎖配列を例として用いて、FR修繕を用いて再作成された抗体の免疫原性を低下させるか、または排除するアプローチを説明する。マウス抗体についての重鎖および軽鎖可変領域の配列を図(7)に示す。
【0086】
1F5についてのFR修繕免疫グロブリンのアミノ酸配列の設計において、前記した規則の同一の組が適用される。しかしながら、全ての前記した要件を満たす適当なFRがない状況が常にある。FR修繕アプローチはかなりの程度の柔軟性を提供し、問題のFRへのマウス残基の導入、別法として、改変なくして元のマウスFRを含ませることを可能とする。得られたFR修繕抗体は、恐らくは、マウスまたはキメラ抗体と比較して有意に低下した免疫原性を有するであろう。抗CD20抗体1F5を、これらの点を説明するためにFR修繕についての例として用いる。
【0087】
1F5VH配列の個々のFRの修繕は以下のごとく行なった:
a.FR1:マウスVHのFR1配列を、Kabatのデータベース(Kabatら,op.cit.)からのヒトVHのFR1配列と比較した。最高の配列相同性のヒトFR1が、特に、CDR1に最も近い配列において好ましい。LS2‘CLからのヒトFR1配列はマウス抗CD20抗体のそれに対して80%近くの配列相同性を有し、CDR1に隣接する10の残基はマウス親配列と同一である。従って、LS2’CLからのヒトFR1配列を、抗CD20抗体のFR1を修繕するために選択した(図8A)。
【0088】
b.FR2:抗CD20抗体のFR2配列を修繕するために、ヒトNEWMのFR2配列を選択した。CDR1に最も近いNEWM FR2の第三の残基はマウス親配列のそれと同一ではないが、それは保存されたKからRへの変換である(図8A)。
【0089】
c.FR3:満足すべき高い配列相同性を持つヒト重鎖FR3配列およびCDR2およびCDR3に隣接する同一配列は同定することができなかった。783C’CLからのヒトFR3は78%の配列相同性を呈したが、CDR2に近接してそれを挟む残基は、差が保存されているにもかかわらず、劇的に異なった。例えば、CDR2に最も近い一番目、二番目および四番目の残基である位置57、58および60(Kabatのナンバリング,Kabatら,op.cit.)におけるK、AおよびLは、各々、保存されたヒト残基R、VおよびIによって置き換えられる。それにもかかわらず、CDR2に近接する多数の変化は、保存的であるが、その結果、抗原結合部位においてかなり立体配座が変化し得る。親和性の喪失の危険性なくして、かつFR修繕アプローチの柔軟性に対する説明として、FR3はヒトFRのいずれかで修繕されないであろう。その代わり、マウスFR3配列をこの特定の抗体で保持させた(図8A)。
【0090】
d.FR4:CDR3に最も近い配列が同一であり、マウス親に対する高度な相同性を持つ多くのヒトFR4がある。この例においては、抗CD20抗体のFR4を修繕するために、ヒト4G12’CL配列を選択した(図8A)。
【0091】
抗CD20抗体についてのFR修繕VH配列の最終設計(図9A)は、ヒトLS2’CL FR1、NEWM FR2、マウス1F5 FR3および4G12’CL FR4よりなり、マウス抗CD20抗体の元のVH FR’を置き換える。
【0092】
代替設計は、ヒトLS2’CL FR1、NEWM FR2,783C’CL FR3、および4G12’CL FR4に埋められたマウスCDRを含む修繕されたVHであろう(図10A)。説明の目的で、前者のバージョンの構築を以下に記載する。
【0093】
同様の戦略を用い、FR修繕軽鎖についての配列設計は以下のごとく構築した:
a.FR1:マウスVLのFR1を修繕するために、ヒトBJ19を選択した。これは、マウス親に対して最高の相同性を持つヒトFR1配列である(61%)。さらに、マウスのそれとは異なるヒト残基のいくつかは保存されている。例えば、各々、位置18および19におけるEからD、およびKからRの変換は保存された変化である(図8B)。
【0094】
b.FR2:マウスFR2に対して高い配列相同性(73%)であることが判明したヒトFR2、MOTがあるが、位置32(Kabatのナンバリング,Kabatらop.cit.)におけるトリプトファン、CDR2に最も近い三番目の残基を、MOT FR2配列中の非保存的バリンで置き換えた。この置き換えは、潜在的に、抗原結合部位の最終立体配座に対して有意な影響を有するであろう。従って、VLドメインのマウスFR2はFR修繕抗体の設計で残すと判断した(図8B)。
【0095】
c.FR3:マウスVLのFR3を修繕するために、ヒトWESを選択した。FR3は最も長い配列を有し、WESおよびマウスFR3の間の配列相同性は71%であり、CDR2およびCDR3に近接してそれを挟む三つのヒト残基はマウスのそれと同一である(図8B)。
【0096】
d.FR4:同様の理由で、マウスVLのFR4を修繕するために、NIG‐58からのヒトλ FR4配列を選択した。該配列は、ヒトおよびマウスの間で同一であるCDR3に隣接する7残基のストレッチに対して72%相同性である(図8B)。
【0097】
抗CD20抗体についてのFR修繕VL配列の最終設計(図9B)は、ヒトBJ19 FR1、マウス1F5 FR2、WES FR3、およびNIG‐58 FR4よりなり、抗CD20抗体の元のVL FRを置き換える。FR修繕VLの代替設計はヒトBJ19 FR1、MOTFR2、WES FR3、およびNIG‐58 FR4よりなり、CDRループを支持する足場を形成する(図10B)。本出願における説明の目的で、前者のFR修繕VLの構築のみを以下に記載する。
【0098】
FR修繕重鎖および軽鎖遺伝子の構築
種々の公表された方法を用い、オリゴヌクレオチド合成およびPCRの組合せによって、FR修繕抗体の設計された重鎖および軽鎖可変領域配列を組み立てた。
【0099】
FR修繕重鎖可変領域配列(配列番号17)を構築するために、全長DNA配列を二つの半体に分けた。N末端半体およびC末端半体をPCRによって別々に構築し、SpeI部位においてN‐およびC末端半体を接合することによって、完全な可変領域配列を形成する。
【0100】
N末端半体は以下のごとく構築した:N鋳型(配列番号19)は、VH領域のアミノ酸12ないし49をコード化する合成センス鎖オリゴヌクレオチド(114量体)である(配列番号18)。該鋳型を二つのプライマーによってPCR増幅する:
5’プライマー(配列番号20)は、VH領域のアミノ酸1ないし19をコード化する合成センス鎖オリゴヌクレオチド(57量体)である。プライマーの3’末端は、24ヌクレオチドだけ鋳型の5’末端と重複する。
【0101】
3’プライマー(配列番号21)は、アミノ酸43ないし60をコード化する合成アンチセンス‐鎖オリゴヌクレオチド(55量体)である。該プライマーは21ヌクレオチドだけ鋳型と重複する。
【0102】
標準的な技術および手法を用い、N鋳型(配列番号19)を、5’および3’プライマーの組(配列番号20および21)を用いてPCR増幅する。
【0103】
C末端半体は以下のごとく構築した:C鋳型(配列番号22)は、VH領域のアミノ酸70ないし111をコード化する合成センス鎖オリゴヌクレオチド(126量体)である(配列番号18)。該鋳型は二つのプライマーによってPCR‐増幅した:
5’プライマー(配列番号23)は、VH領域のアミノ酸57ないし76をコード化する合成センス鎖オリゴヌクレオチド(61量体)である。該プライマーの3’端部は21ヌクレオチドだけ鋳型の5’端部と重複する。
【0104】
3’プライマー(配列番号24)は、VH領域のアミノ酸105ないし123をコード化する合成アンチセンス鎖オリゴヌクレオチド(59量体)である。該プライマーおよび該鋳型は21ヌクレオチドだけ重複する。
【0105】
標準的な技術および手法を用い、C鋳型(配列番号22)を、5’および3’プライマーの組(配列番号23および24)を用いてPCR増幅した。
【0106】
FR修繕1F5 VHドメインの構築のために、N鋳型(配列番号19、114‐量体)、C鋳型(配列番号22、126量体)、およびそれらの各5’および3’プライマー(N鋳型については配列番号20および21、およびC鋳型については配列番号23および24)を自動Applied Biosystem 380B DNAシンセサイザーによって合成した。CHROMOSPIN‐10TMカラム(Clonetech)を通すことによって、オリゴヌクレオチドを脱塩した。オリゴヌクレオチドを20μMの最終濃度に調整した。10μlの10× PCR緩衝液(500mMのKCl、100mMのトリスHCl緩衝液、pH8.3、15mMのMgCl2)および5単位のAMPLITAQTM DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer)の存在下で、種々の希釈(10×、100×、1000×および10000×等)における1μlの鋳型オリゴヌクレオチドを5μlのそれらの対応するフランキングプライマーと混合した。この反応混合物を100μlの最終容量に調整し、1分間の94℃における変性、1.5分間の50℃におけるアニーリング、および1分間の72℃における重合よりなる30サイクルのPCR反応に付した。2%アガロースゲル電気泳動下で、PCR反応混合物を分析した。正しいサイズの充分に豊富な産物を生起させた最高の鋳型希釈をさらなる処理のために選択する。
【0107】
NおよびC鋳型についての二本鎖PCR増幅産物をゲル精製し、KpnI部位で制限消化した。NおよびC二本鎖DNAをSpeI部位で連結し、連結された産物を、N鋳型についての5’プライマー(配列番号19)およびC鋳型についての3’プライマー(配列番号22)を用いるもう一つのラウンドのPCR増幅に付した。〜350のサイズを持つPCR産物をTAクローニングベクター(Invitrogen)に直接クローン化した。クローン化された断片の配列は、サンガーの方法(Sangerら,op.cit.)によって設計されたVH配列と同一であることが確認された。確認された配列を用いて、IgHプロモーター、Igエンハンサー、ヒトIgG1定常領域ゲノム配列、および選択マーカーgptを含む重鎖発現ベクターのVH配列を置き換えた。最終の重鎖発現ベクターをhp1F5pSMhと命名する。
【0108】
FR修繕軽鎖可変領域配列(配列番号25)を構築するために、全長VL可変領域配列を二つの半体に分ける。N末端およびC末端半体をPCRによって別々に組み立て、BspEI部位を介して一緒に連結させる。
【0109】
N末端半体は以下のごとく構築した:N鋳型(配列番号27)は、VL領域のアミノ酸9ないし51をコード化する合成センス鎖オリゴヌクレオチド(129量体)である(配列番号26)。該鋳型は二つのプライマーによってPCR増幅した:
5’プライマー(配列番号28)は、VH領域のアミノ酸1ないし15をコード化する合成センス‐鎖オリゴヌクレオチド(45‐量体)である。該プライマーの3’端部は21ヌクレオチドだけ鋳型の5’端部と重複する。
【0110】
3’プライマー(配列番号29)は、アミノ酸45ないし57をコード化する合成アンチセンス鎖オリゴヌクレオチド(40量体)である。該プライマーは21ヌクレオチドだけ鋳型と重複する。
【0111】
標準的な技術および手法を用い、N鋳型(配列番号27)を、5’および3’プライマーの組(配列番号28および29)を用いてPCR増幅した。
【0112】
C末端半体は以下のごとく構築した:C鋳型(配列番号30)は、VH領域のアミノ酸61ないし100をコード化する合成センス鎖オリゴヌクレオチド(120量体)である(配列番号26)。該鋳型は二つのプライマーによってPCR増幅する:
5’プライマー(配列番号31)は、VH領域のアミノ酸54ないし67をコード化する合成センス鎖オリゴヌクレオチド(43量体)である。該プライマーの3’端部は21ヌクレオチドだけ鋳型の5’端部と重複する。
【0113】
3’プライマー(配列番号32)は、VH領域のアミノ酸94ないし107をコード化する合成アンチセンス鎖オリゴヌクレオチド(42量体)である。該プライマーおよび鋳型は21ヌクレオチドだけ重複する。
【0114】
標準的な技術および手法を用い、C鋳型(配列番号30)を、5’および3’プライマーの組(配列番号31および32)を用いてPCR増幅した。
【0115】
FR修繕1F5VLドメインの構築のために、N鋳型(配列番号27、129‐量体)、C鋳型(配列番号30、120量体)およびそれらの各5’および3’プライマー(N鋳型についての配列番号28および29、およびC鋳型についての配列番号31および32)を自動Applied Biosystem 380B DNAシンセサイザーで合成した。CHROMOSPIN−0TMカラム(Clonetech)を通すことによって、オリゴヌクレオチドを脱塩した。オリゴヌクレオチドを20μMの最終濃度に調整した。10μlの10×PCR緩衝液(500mMのKCl、100mMのトリスHCl緩衝液、pH8.3、15mMのMgCl2)および5単位のAMPLITAQTM DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer)の存在下で、種々の希釈(10×、100×、1000×および10000×等)における1μlの鋳型オリゴヌクレオチドを5μlのそれらの対応するフランキングプライマーと混合した。この反応混合物を100μlの最終容量に調整し、1分間の94℃における変性、1.5分間の50℃におけるアニーリング、および1分間の72℃における重合よりなる30サイクルのPCR反応に付した。2%アガロースゲル電気泳動下、PCR反応混合物を分析した。正しいサイズの充分に豊富な産物を生起した最高の鋳型希釈を更なる処理のために選択する。
【0116】
NおよびC鋳型についての二本鎖PCR増幅産物をゲル‐精製し、SpeI部位で制限消化した。NおよびC二本鎖DNAをBspEI部位において連結し、N鋳型についての5’プライマー(配列番号12)およびC鋳型についての3’プライマー(配列番号16)を用いて増幅した。〜320のサイズを持つPCR産物をTAクローニングベクター(Invitrogen)に直接クローン化した。クローン化された断片の配列は、サンガーの方法(Sangerら,op.cit.)によって設計されたVL配列と同一であることが確認された。確認された配列を用いて、IgHプロモーター、Igエンハンサー、ヒト・カッパ定常領域ゲノム配列、および選択マーカーhygを含む軽鎖発現ベクターのVLを置き換えた。最終の軽鎖発現ベクターはhp1F5pSMkと命名する。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】マウス抗CD22抗体RFB4の重鎖(VH(A))および軽鎖(VL(B))可変領域のアミノ酸配列(一文字コード)。CDRは四角で囲われている。
【図2A−B】最高の相同性の異なるヒトFRにての、RFB4の重鎖(A)および軽鎖(B)可変領域の区画化されたフレームワーク配列(FR)の比較。FR1、FR2、FR3およびFR4を示す。CDRは四角で囲われている。FR配列の左側の括弧に入れたイタリック体はヒトFRの源を示す。対応するマウスFRのそれとは異なるヒトFRにおけるアミノ酸は太字で示す。
【図3】FR修繕抗体hpRFB4の重鎖(A)および軽鎖(B)可変領域の最終設計配列(一文字コード)。CDRは四角で囲われている。元のマウスFRのそれとは異なるヒトFRにおけるアミノ酸を太字で示す。
【図4】還元および非還元双方の条件下での、精製されたcRFB4およびhpRFB4のSDS‐PAGE分析。
【図5】Raji細胞に対するcRFB4およびhpRFB4の結合特異性および親和性についてのフローサイトメトリー分析。対照として無関係な抗体を用いた。
【図6】cRFB4およびhpRFB4の間の結合親和性を比較する競合結合アッセイ。
【図7】マウス抗CD20抗体1F5の重鎖(A)および軽鎖(B)可変領域のアミノ酸配列(一文字コード)。CDRは四角で囲われている。
【図8A−B】最高の相同性の異なるヒトFRを持つ1F5の重鎖(A)および軽鎖(B)可変領域の区画化フレームワーク配列(FR)の比較。FR1、FR2、FR3およびFR4が示される。CDRは四角で囲われている。FR配列の左側の横の括弧に入れたイタリック体は、ヒトFRの源を示す。対応するマウスFRのそれとは異なるヒトFRにおけるアミノ酸を太字で示す。
【図9】FR修繕抗体hp1F5の重鎖(A)および軽鎖(B)の最終設計配列(一文字コード)。CDRは四角で囲われている。元のマウスFRのそれとは異なるヒトFRにおけるアミノ酸を太字で示す。ヒト配列によって置き換えていないマウスFRに下線を施す。
【図10】1F5についてのFR修繕可変領域の代替設計のアミノ酸配列(代替設計)。CDRは四角で囲われている。対応するマウスフレームワークのそれとは異なるヒトフレームワークアミノ酸は太字で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親の免疫グロブリンからの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)と、FR1、FR2,FR3およびFR4と定義された重鎖および軽鎖フレームワークセグメントを備えた可変領域を含む免疫グロブリンであって、重鎖の少なくとも2つのフレームワークセグメント並びに軽鎖の少なくとも2つのフレームワークセグメントはヒトまたは霊長類の免疫グロブリンからの対応するドナーフレームワークセグメントで置換され、重鎖のフレームワークセグメントは少なくとも3つの異なる免疫グロブリン重鎖からのものであり、軽鎖のフレームワークは少なくとも3つの異なる免疫グロブリン軽鎖からのものであることを特徴とする免疫グロブリン。
【請求項2】
少なくとも1つの前記ドナーフレームワークセグメントは置換FRセグメントに対して71%以上の相同性を有していることを特徴とする請求項1記載の免疫グロブリン。
【請求項3】
少なくとも1つの前記ドナーフレームワークセグメントはCDRに隣接する3つのアミノ酸残基にて置換FRセグメントに対して71%以上の相同性を有していることを特徴とする請求項1記載の免疫グロブリン。
【請求項4】
少なくとも1つの前記ドナーフレームワークセグメントはCDRに隣接する4つのアミノ酸残基にて置換FRセグメントに対して71%以上の相同性を有していることを特徴とする請求項1記載の免疫グロブリン。
【請求項5】
少なくとも1つの前記ドナーフレームワークセグメントはCDR/アンチゲン結合部位と相互作用することが知られる位置で対応する親FRに対して71%以上の相同性を有していることを特徴とする請求項1記載の免疫グロブリン。
【請求項6】
少なくとも1つの前記ドナーフレームワークセグメントはオリジナルの親の免疫グロブリンからのものであることを特徴とする請求項1記載の免疫グロブリン。
【請求項7】
ヒトIgG1定常領域およびヒトカッパ定常領域とをさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載の免疫グロブリン。
【請求項8】
親の免疫グロブリンからの3つの重鎖および3つの軽鎖相補性決定領域(CDR)とフレームワークセグメントとを備えた可変領域を含む免疫グロブリンを設計する方法であって、
A.親の免疫グロブリンからのフレームワーク配列をKabat分類に従ってFR1、FR2、FR3およびFR4の区分されたセグメントに分割するステップと、
B.全フレームワークに代わって個別のフレームワークセグメントをヒトまたは霊長類の免疫グロブリン鎖の対応する配列と比較するステップと、
C.ヒトまたは霊長類のドナーフレームワークセグメントを選択して親の免疫グロブリンのオリジナルフレームワークセグメントを置換するステップ、または親の免疫グロブリンからのオリジナルフレームワークセグメントを維持するステップであって、重鎖のフレームワークセグメントは少なくとも3つの異なる免疫グロブリン重鎖からのものであり、軽鎖のフレームワークセグメントは少なくとも3つの異なる免疫グロブリン軽鎖からのものであるステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項9】
少なくとも1つの前記ドナーフレームワークセグメントは置換FRセグメントに対して71%以上の相同性を有していることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの前記ドナーフレームワークセグメントはCDRに隣接する3つのアミノ酸残基にて置換FRセグメントに対して71%以上の相同性を有していることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの前記ドナーフレームワークセグメントはCDRに隣接する4つのアミノ酸残基にて置換FRセグメントに対して71%以上の相同性を有していることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの前記ドナーフレームワークセグメントはCDR/アンチゲン結合部位と相互作用することが知られる位置で対応する親FRに対して71%以上の相同性を有していることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの前記ドナーフレームワークセグメントはオリジナルの親の免疫グロブリンからのものであることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項14】
ヒトIgG1定常領域およびヒトカッパ定常領域とをさらに含んでいることを特徴とする請求項8記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−62367(P2009−62367A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225563(P2008−225563)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【分割の表示】特願2003−508987(P2003−508987)の分割
【原出願日】平成14年6月10日(2002.6.10)
【出願人】(503461663)
【Fターム(参考)】