説明

フロアシステム、及びこのフロアシステムに用いるフロアパネル

【課題】建物の床面とフロアパネルとの間に空間を形成しなくても配線できる床構造を実現でき、かつ安価で、配線の変更等も容易で低コストに行え、また床上に直置きできるため音響問題もほとんど生じないフロアシステムを提供する。
【解決手段】床面10上に配置する2枚以上の対になる複数枚のフロアパネル1、1を、それらの間に配線可能にするために間隔を開けて配し、2枚のフロアパネル1、1の間に形成される隙間6内に所要の配線を施し、隙間6の上部をカバーパネル5で塞ぐ。カバーパネル5の上面はフロアパネル1、1の上面と面一あるいは略面一となって隙間6の上部を覆う。またカバーパネル5の下側では床面10上に配線材7を配廻す。これで床面10へ直置き式であるにもかかわらず、フリーアクセスフロアと称し得るフロアシステムを容易かつ安価に構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリーアクセスフロア等と称され、オフィススペース、事務所スペース、商業施設、工場、学校などのようにコンピュータや種々の機器を備え、そのために多くの配線を床上に敷設する必要がある場所に設置されるフロアシステムと、これに用いるフロアパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
上述のようなフロアシステムとしては、床面から垂直上方向に間隔を空けてフロアパネルを連設し、建物の床面とフロアパネルとの間に空間を形成し、この空間に配線を行うようにした二重床構造のものが知られている(例えば特許文献1、2参照)。この例のように従来のこの種のフロアシステムは、建物の床面とフロアパネルとの間に空間を設けるための支持具あるいは支持構造が必要とされる。そのため、フロアシステムの価格は高価にならざるを得ず、などでは気軽には導入できず、またいったん設置すると配線を容易に変更することができないものなどが多かった。
【特許文献1】特開2002−106156号公報
【特許文献2】特開2009−041336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、特許文献1、2に開示されているフロアシステムでは、新たに導入する場合のコストが高いだけでなく、例えばオフィスのレイアウトの変更に伴って配線を変更する場合には、フロアパネルを取り外すだけでなく、時には支持構造をなす支持具等の配置替えしなければならないため、作業が煩雑なものになることはもちろん、工事のためのコストも高くついていた。
【0004】
また、フロアパネル上に重量物を載せると、連設してあるフロアパネルがはねたり、フロアパネル下の空間の存在により人の歩行による振動、機械の作動に伴う振動などが大きな音響として現出したりしていた。
【0005】
本発明は、上述の従来の問題点にかんがみてなしたもので、建物の床面とフロアパネルとの間に空間を形成しなくても安価にいわゆる二重床構造の代替として使用可能であり、もちろん配線も行え、配線の変更等が容易かつ低コストに可能であり、さらには音響問題も解決できるフロアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、床面上に配置する複数のフロアパネルと、配線可能にするために間隔を開けて配した前記フロアパネルの間の隙間の上部を塞ぐカバーパネルとからなり、前記フロアパネルの少なくとも一の縁部を段付きとし、少なくとも一対の前記フロアパネルを前記段付き縁部同士が対向するようにかつ両フロアパネルの間に隙間を形成して前記カバーパネルを前記段付き縁部上に前記フロアパネルの上面に載置して該隙間の上部を覆えるように配置し、前記カバーパネルの下側で前記フロアパネル間に形成される隙間に配線可能としてなることを特徴とするフロアシステムである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記カバーパネルを前記段付き縁部上に前記フロアパネルの上面と面一あるいは略面一に配してなることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記カバーパネルを前記段付き縁部上に取り外し可能に固着してなることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかのフロアシステムにおいて、前記カバーパネルに穴を設け、前記隙間内からの配線材の取り出し、コンセント等の配線器具の取り付けを可能としてなることを特徴とする。
【0010】
また請求項5の発明は、請求項1から3のいずれかのフロアシステムにおいて、前記カバーパネルに、対向する一対の前記フロアパネルの前記段付き縁部に沿う途中部位で分割された寸法となるものを用い、前記隙間内からの配線材の取り出し、コンセント等の配線器具の取り付けを可能としてなることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかのフロアシステムに用いることを特徴とするフロアパネルであって、床面上に配置して間隔を開けて配した他のフロアパネルの間の隙間の上部を塞ぐカバーパネルを載置するために、少なくとも一の縁部を段付きとしてなり、かつ前記段付き部の段差寸法を前記カバーパネルの厚さと同寸法として前記フロアパネルの上面と面一あるいは略面一に配置可能とし、対をなす他の同形状のフロアパネルと前記段付き縁部同士が対向するようにかつ両者の間に配線のための隙間を形成可能としてなることを特徴とするフロアパネルである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るフロアシステムは、建物の床面とフロアパネルとの間に空間を形成しなくてももちろん配線も行える床構造を実現でき、しかも安価で、配線の変更等も容易かつ低コストに行え、また床上に直置きできるため音響問題もほとんど生じないようにすることができる。
【0013】
また本発明に係るフロアパネルは、上述のようなフロアシステムを安価に構成するために大いに資するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1に係るフロアシステムと、これに用いるフロアパネルの実施例1を示す斜視図
【図2】図1のII−II方向から見た断面図
【図3】本発明の実施例1に係るフロアパネルとカバーパネルとを組み合わせ、配線を施して構成してなるフロアシステムを示す斜視図
【図4】本発明の実施例1に係るフロアパネルへのカバーパネルの固定形態の変形例を示す図2相当の断面図
【図5】本発明の実施例2を示す平面図
【図6】本発明の実施例3を示す平面図
【図7】本発明の実施例4を示す図2相当の断面図
【図8】本発明の実施例5を示す図2相当の断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、床面上に配置する複数のフロアパネルを配線可能にするために間隔を開けて配し、これらフロアパネルの間の隙間の上部をカバーパネルで塞いで構成するフロアシステムと、これに用いるフロアパネルである。フロアパネルは少なくとも一の縁部、可能であれば四周の縁部をすべて段付きとし、少なくとも一対の前記フロアパネルを段付き縁部同士が対向するようにかつ両フロアパネルの間に隙間を形成し、カバーパネルを段付き縁部上に載置して該隙間の上部を覆えるように配置し、カバーパネルの下側でフロアパネル間に形成される隙間に配線可能とする。
【実施例】
【0016】
以下、本発明に係るフロアシステムと、これに用いるフロアパネルの実施例を図面を参照して説明する。但し、各図における上下を上下方向、床面を水平方向と称するが、これは説明の都合上の上下、水平方向であって、本発明は、斜面への配置などのように実際には上下、水平にならない場合をも含む。
【0017】
<実施例1>
図1は、本発明に係るフロアシステムと、これに用いるフロアパネルの実施例1を示す斜視図、図2は図1のII−II方向から見た断面図、図3は本発明に係るフロアパネルとカバーパネルとを組み合わせ、配線を施して構成してなるフロアシステムを示す斜視図である。
【0018】
なお本実施例ではフロアパネル1を2個のみ使用している例を示しているが、実際には建物の床面10上の敷設が必要な面積にあわせて複数枚のフロアパネル1を用いる。また略正方形状のフロアパネル1のみ示して説明するが、本発明に係るフロアパネルの平面形状はこれに限定されず、種々の三角形、長方形、多角形をその形状として採用できる。ただし、正方形あるいは長方形がもっとも製造性を考えれば妥当な形状であろう。
【0019】
フロアパネル1は、例えば合板材等からなり、板材として所要の厚み寸法を有する平板状の部材であり、表面積の広い広板材2と、表面積が広板材2よりは小さくて広板材2の上面に固着する狭板材3とからなる。広板材2の外周縁全周にわたって段付き縁部を構成する段部と周縁部4が形成されるように狭板材3の寸法を設定してある。段付き縁部を構成する段部とは、狭板材3の外周端面となる。なお、かならずしも周縁部4を広板材2の全周にわたって形成する必要は無く、少なくとも一縁に形成してあれば足りる場合もある。また、広板材2と狭板材3とを合成素材などを用いて一体に成形してもよい。
【0020】
また本発明に係るフロアシステムは、上述したフロアパネル1と組み合わせるカバーパネル5を要する。カバーパネル5は、基本的にはその形状が長板状、すなわち細長い長方形を有するものであり、後述する配線に必要なだけの寸法の空間を2枚のフロアパネル1、1の間に形成するために必要な幅寸法(短手方向の寸法)を有する。長手方向の寸法は、基本的には種々2枚のフロアパネル1、1の周縁部4の長さと同じとするが、後述するように周縁部4の長さより短いものや、長いものも必要になることがあり得る。またカバーパネル5は、周縁部4上に置いた際に、その上面がフロアパネル1、1の上面と面一あるいは略面一となる厚さを有するものが好ましい。
【0021】
図3は上述したフロアパネル1、1とカバーパネル5とを組み合わせ、カバーパネル5の下側に形成される隙間6に配線材7を敷設した状態を示す。すなわち、床面10上に配置する2枚の対になるフロアパネル1、1(実際には既述のように床面10上の要敷設面積に対応する枚数、対の数となる。)を、それらの間に配線可能にするために間隔を開けて配し、両フロアパネル1、1の間に形成される隙間6内に所要の配線を施し、隙間6の上部をカバーパネル5で塞ぐ。カバーパネル5の上面はフロアパネル1、1の上面と面一あるいは略面一となって隙間6の上部を覆い、カバーパネル5の下側には床面10上に配線材7が配廻される形態となり、床面10へ直置き式であるにもかかわらず、フリーアクセスフロアと称し得るフロアシステムを、容易かつ安価に構成できる。なお、図2に示すようにカバーパネル5をフロアパネル1の周縁部4にビス8で固定しても良いが、例えば図4に示すように接着させても良いし(図中8aは接着剤を示す)、あるいは隙間6を形成するために対をなしている2枚の狭板材3、3にそれぞれ凹所を設け、固定用の部材を掛け渡して固定しても良い。
【0022】
またなお図3では、図中右側のフロアパネル1と図示しない他のフロアパネル1の間に配する2枚のカバーパネル5を描いてあるが、このような形態でフロアパネル1、1の間の隙間6をカバーパネル5で塞いでいくためには、既述のように種々の長さ寸法のカバーパネル5が必要となる。
【0023】
<実施例2>
図5は本発明の実施例2を示す。本実施例は、カバーパネル5に穴9を設け、図示は省略するが、隙間6内から配線材7の取り出し、コンセント等の配線器具の取り付けを可能としたものである。その他の構成は実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0024】
<実施例3>
図6は本発明の実施例3を示す。本実施例は、長手寸法が短く、先の実施例のカバーパネル5を長手方向で二分割したような形態の2枚のカバーパネル5、5を用い、これらを間隔を開けてフロアパネル1、1の間の上に配置し、開口部分11を形成し、図示は省略するが、実施例2と同様にこの開口部分から配線材7を取り出したり、コンセント等の配線器具を取り付けたりすることを可能としている。その他の構成は実施例1、2と同様であるので説明を省略する。
【0025】
<実施例4>
図7は本発明の実施例4を示す。本実施例は、実施例1の上下を逆転させ、狭板材3が床面10側に、広板材2が上側に位置し、カバーパネル5は突き合わせた広板材2の上側に固着する構成となっている。したがって、できるだけ薄いものが好ましく、テープ材などでもよい。狭板材3、3の間にできる隙間6に配線材7を配廻す点は先に説明した各種実施例と同じである。またこの実施例の場合、広板材2に切り欠きを設け、カバーパネル5には穴あるいは開口を設け、そこから配線材7を取りなすなどの構成も取り得る。
【0026】
<実施例5>
図8は本発明の実施例5を示す。本実施例は、実施例1の広板材2の下面側に狭板材3aを設け(狭板材3、3aはサイズが異なっていても良い)、下面側の狭板材3a、3a間に実施例1の場合よりも幅広の隙間6を形成しており、配廻す配線材7の本数を増やしたり、余裕を持った配廻しを可能としたりしているものである。
【符号の説明】
【0027】
1:フロアパネル
2:広板材
3:狭板材
3a:狭板材
4:周縁部
5:カバーパネル
6:隙間
7:配線材
8:ビス
8a:接着剤
9:穴
10:床面
11:開口部分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に配置する複数のフロアパネルと、配線可能にするために間隔を開けて配した前記フロアパネルの間の隙間の上部を塞ぐカバーパネルとからなり、
前記フロアパネルの少なくとも一の縁部を段付きとし、
少なくとも一対の前記フロアパネルを前記段付き縁部同士が対向するようにかつ両フロアパネルの間に隙間を形成し、
前記カバーパネルを前記段付き縁部上に前記フロアパネルの上面に載置して該隙間の上部を覆えるように配置し、
前記カバーパネルの下側で前記フロアパネル間に形成される隙間に配線可能としてなる
ことを特徴とするフロアシステム。
【請求項2】
請求項1のフロアシステムにおいて、前記段付き部の段差寸法を前記カバーパネルの厚さと同寸法とし、前記カバーパネルを前記段付き縁部上に前記フロアパネルの上面と面一あるいは略面一に配置可能としてなることを特徴とするフロアシステム。
【請求項3】
請求項1または2のフロアシステムにおいて、前記カバーパネルを前記段付き縁部上に取り外し可能に固着してなることを特徴とするフロアシステム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかのフロアシステムにおいて、前記カバーパネルに穴を設け、前記隙間内からの配線材の取り出し、コンセント等の配線器具の取り付けを可能としてなることを特徴とするフロアシステム。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかのフロアシステムにおいて、前記カバーパネルに、対向する一対の前記フロアパネルの前記段付き縁部に沿う途中部位で分割された寸法となるものを用い、前記隙間内からの配線材の取り出し、コンセント等の配線器具の取り付けを可能としてなることを特徴とするフロアシステム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかのフロアシステムに用いることを特徴とするフロアパネルであって、
床面上に配置して間隔を開けて配した他のフロアパネルの間の隙間の上部を塞ぐカバーパネルを載置するために、少なくとも一の縁部を段付きとしてなり、
かつ前記段付き部の段差寸法を前記カバーパネルの厚さと同寸法として前記フロアパネルの上面と面一あるいは略面一に配置可能とし、
対をなす他の同形状のフロアパネルと前記段付き縁部同士が対向するようにかつ両者の間に配線のための隙間を形成可能としてなる
ことを特徴とするフロアパネル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−252322(P2011−252322A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127251(P2010−127251)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(598052458)大成産業株式会社 (2)
【出願人】(591056101)株式会社ディーケイプラスチック (5)
【Fターム(参考)】