フロアパネルシステム
【課題】電気機器のレイアウト自由度を向上させることのできるフロアパネルシステムを得る。
【解決手段】伝送物管理装置8から伝送線6に高周波電流を供給して、伝送路7の周囲に磁束密度が変化する磁界を発生させる。伝送路7に発生した磁界の磁束密度変化を利用して誘導電流を発生させる電磁ピックアップ10を設け、この電磁ピックアップ10をフロアパネル4の表面に伝送路7に対して非接触状態で載置する。電磁ピックアップ10で発生した電流をアウトレット9に供給する。これにより、電磁ピックアップ10を伝送路7が配設されている部分であれば、フロアパネル4の上面に電磁ピックアップ10を載置するのみで電力や情報信号を取り出すことができる。
【解決手段】伝送物管理装置8から伝送線6に高周波電流を供給して、伝送路7の周囲に磁束密度が変化する磁界を発生させる。伝送路7に発生した磁界の磁束密度変化を利用して誘導電流を発生させる電磁ピックアップ10を設け、この電磁ピックアップ10をフロアパネル4の表面に伝送路7に対して非接触状態で載置する。電磁ピックアップ10で発生した電流をアウトレット9に供給する。これにより、電磁ピックアップ10を伝送路7が配設されている部分であれば、フロアパネル4の上面に電磁ピックアップ10を載置するのみで電力や情報信号を取り出すことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎床上にフロアパネルを敷設することで二重床を構築するフロアパネルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロアパネルシステムとして、一端部にコンセントを接続するとともに他端部にプラグを接続した配線をフロアパネルの内部に設け、当該フロアパネルを順次敷設し、隣接するフロアパネルどうしのコンセントとプラグを電気的に接続させるとともに、フロアパネルの上面に上方に向かって開口するアウトレット用コンセントを埋設し、当該アウトレット用コンセントを分岐配線を介して上記配線に電気的に接続させたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平4−134127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のフロアパネルシステムでは、アウトレットの取出し位置がフロアパネルの上面に設けたコンセントの配設位置のみに限定されるため、電気機器の設置がアウトレット用コンセントの配設位置近傍に限定されてしまい、電気機器のレイアウト自由度が制限されるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、電気機器のレイアウト自由度を向上させることのできるフロアパネルシステムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明にあっては、基礎床上に複数のフロアパネルを敷設して二重床を構築するフロアパネルシステムであって、前記フロアパネルに設けられた伝送媒体に高周波電流を供給し、当該伝送媒体の周囲に発生する磁界の磁束密度を変化させる高周波電源と、前記フロアパネルの表面に前記伝送媒体に対して非接触状態で載置され、前記伝送媒体の磁束密度変化で誘導電流を発生させる電磁ピックアップと、前記電磁ピックアップに電気的に接続して、当該電磁ピックアップで発生した電流が供給されるアウトレットと、を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載のフロアパネルシステムにおいて、前記フロアパネルには開口部が形成されており、当該フロアパネルは、前記開口部を開閉可能に閉止する平坦な蓋体を備え、前記蓋体を、前記電磁ピックアップの設置部分としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、伝送媒体の周囲に発生する磁界の磁束密度の変化を電磁ピックアップで拾うことにより、伝送媒体に接触していない状態で電磁ピックアップに誘導電流を発生させることができる。これにより、伝送媒体が配設されている部分であれば、フロアパネルの上面に電磁ピックアップを載置するのみで電力や情報信号を取り出すことができ、それをアウトレットに送ることができる。したがって、配線が配設されている部分であれば、いかなる場所であっても情報信号を非接触状態で簡単に取り出すことができ、電気機器のレイアウト自由度を向上させることができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、伝送媒体の取出し用の開口部を開閉可能に閉止する平坦な蓋体を、電磁ピックアップの設置部分としたため、その蓋体が閉止されている時に電磁ピックアップを用いて電力や情報信号を取り出すことができ、また、電磁ピックアップを用いることなく通常の床下配線用としても用いることができるようになる。したがって、いずれかの選択が可能となってフロアパネルの用途を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図、図2は電磁ピックアップの設置状態を示す斜視図、図3は電磁ピックアップの設置部分の床面を分解して示す側面図である。
【0010】
まず、フロアパネルシステム1の概要を説明する。図1に示すように、フロアパネルシステム1は、基礎床2上に配置される複数の支柱3と、これらの支柱3を介して基礎床2上に碁盤の目状に敷設される矩形の複数のフロアパネル4と、を備えている。フロアパネル4は、その4隅が支柱3によって支持されるようになっており、隣合うフロアパネル4の隣合う隅同士は、同一の支柱3によって支持される。このフロアパネルシステム1と基礎床2とによって、フロアパネル4と基礎床2との間に空間(床下空間)5を有する二重床が形成される。
【0011】
フロアパネル4には、伝送物を伝送する伝送媒体である伝送線6が設けられている。ここで、便宜上、図面において伝送線6は単に線で示してある。伝送線6は、フロアパネル4の中心部を挟んで相互に対向するフロアパネル4の隅同士を結ぶように配置されており、全体でX字状を成している。隣合うフロアパネル4の伝送線6同士は、支柱3の導体部を介して接続され、これらの伝送線6及び導体部等によって、フロアパネルシステム1内に伝送路7が形成される。この伝送路7には、伝送物管理装置8やアウトレット(外部接続機器)9が接続可能となっており、アウトレット9に接続された電気機器(図示せず)と伝送物管理装置8とが伝送路7(伝送線6)を介して接続されるようになっている。
【0012】
フロアパネルシステム1が伝送路7によって伝送する伝送物は、電力と情報信号との少なくとも一方である。つまり、伝送物は、電力のみ、情報信号のみ、又は、電力と情報信号との両方である。フロアパネルシステム1は、電力を伝送する場合には、電力供給システムとして機能し、情報信号を伝送する場合には、情報伝送システムとして機能し、電力と情報信号との両方を伝送する場合には、電力・情報複合システムとして機能する。
【0013】
電力は、交流又は直流であってもよいが、本実施形態では、後述するように伝送物管理装置8を高周波電源として用いる関係上、電力は交流となる。情報信号は、アナログ信号やデジタル信号である。情報信号は、具体的には、LAN用信号、xDSL用信号、テレビジョン受像機用信号、電話機用信号、電気機器用制御信号等であり、これらの信号は高周波の電気信号によって構成される。情報信号は、電力と別体又は一体に伝送され、情報信号が電力と一体に伝送される場合には、情報信号が重畳された交流が用いられる。
【0014】
伝送物管理装置8は、電力を供給可能な電源装置、情報を送受信可能なサーバ、又は、それら電源装置及びサーバの両方の機能を有する複合装置等であるが、特に、本実施形態では伝送物管理装置8は、後述するように、伝送路7に高周波電流を供給する高周波電源となっている。
【0015】
伝送線6は、伝送物が電力である場合には、電力を伝送可能な電源線が用いられ、伝送物が情報信号である場合には、情報信号を伝送可能なメタル線等の情報通信線が用いられる。また、伝送物が電力と情報信号との両方である場合には、伝送線6は、電源線と情報通信線との2系統で構成されるか、又は、電源線だけの1系統で構成される。伝送線6が電源線だけの1系統で構成される場合には、この電源線によって、情報信号が重畳された交流が伝送される。
【0016】
アウトレット9は、伝送物が電力である場合には、交流用コンセントや特定の電気機器用の専用端子等の電力用アウトレットが用いられる。図1には、アウトレット9として交流用コンセントを例示してある。交流用コンセントには、電源用フロアコンセントやテーブルタップ、各種電気機器が接続可能である。
【0017】
また、アウトレット9は、伝送物が情報信号である場合には、情報コンセントや、特定の電気機器用の専用端子等の情報用アウトレットが用いられる。情報コンセントは、具体的には、LAN用コンセントや、テレビジョン受像機用コンセント、電話機用コンセント、複合コンセント等である。複合コンセントは、LAN用コンセントや、テレビジョン受像機用コンセント、電話機用コンセント等の種類が異なる2つ以上のコネクタを一体に備えるコンセントである。情報用アウトレットには、情報用フロアコンセントやテーブルタップ、無線通信端末、LAN機器、コンピュータ、テレビジョン受像機、電話機等の各種電気機器が接続可能である。
【0018】
また、アウトレット9は、伝送物が電力と情報信号との両方の場合には、伝送線6の種類に応じて、上述した電力用アウトレット及び情報用アウトレットの両方や、電力用アウトレット及び情報用アウトレットを一体化した複合アウトレット、特定の電気機器用の専用端子が用いられる。複合アウトレットには、電源・情報複合フロアコンセントやテーブルタップ、無線通信端末、LAN機器、コンピュータ、テレビジョン受像機、電話機等の各種電気機器が接続可能である。
【0019】
ここで、本実施形態のフロアパネルシステム1は、図1に示すように、高周波電源としての伝送物管理装置8から伝送媒体としての伝送線6に高周波電流を供給するようになっており、伝送物管理装置8から供給する高周波電流によって伝送路7の周囲に磁束密度が変化する磁界を発生させている。
【0020】
そして、図2に示すように、伝送路7に発生した磁界の磁束密度変化を利用して誘導電流を発生させる電磁ピックアップ10を設け、この電磁ピックアップ10をフロアパネル4の表面に伝送路7に対して非接触状態で載置するようになっている。電磁ピックアップ10で発生した電流は、当該電磁ピックアップ10に電気的に接続したアウトレット9に供給される。
【0021】
電磁ピックアップ10は、床面に接触する下部がコイルを設けたコアとなっている。そして、伝送路7に供給された高周波電流の周波数に応じて、伝送路7に磁界の増大・減衰現象が発生し、それが磁束密度の変化となって電磁ピックアップ10のコイルに誘導電流が発生するようになっている。
【0022】
電磁ピックアップ10とアウトレット9とはハーネス9Hによって電気的に接続されており、それら電磁ピックアップ10とアウトレット9とが一体となって床面上の任意の部位に設置できるようになっている。
【0023】
本実施形態では、図3に示すように、フロアパネル4の上面にカーペット11が敷設されており、このカーペット11とフロアパネル4との間に上述した伝送線6が挟み込まれるようにして配設されている。なお、図1では伝送線6を便宜上単に線状として示したが、実際には、図3に示すように、所定幅を有する薄肉の帯板状に形成されており、その帯板状の伝送線6がカーペット11の裏面に配置された際にも、カーペット11はほとんど盛り上がることなく平坦性が維持されるようになっている。
【0024】
そして、電磁ピックアップ10は、カーペット11の上方から伝送線6の幅内に載置されることになる。このとき、電磁ピックアップ10の底面10aには面ファスナー12が取り付けられており、その面ファスナー12がカーペット11に着脱自在に結着されることにより、電磁ピックアップ10のズレや外れを防止できるようになっている。
【0025】
以上の本実施形態によれば、伝送路7の周囲に発生する磁界の磁束密度の変化を電磁ピックアップ10で拾うことにより、伝送路7に接触していない状態で電磁ピックアップ10に誘導電流を発生させることができる。これにより、伝送路7が配設されている部分であれば、フロアパネル4の上面に電磁ピックアップ10を載置するのみで電力や情報信号を取り出すことができ、それをアウトレット9に送ることができる。したがって、伝送線6が配設されている部分であれば、いかなる場所であっても電力や情報信号を非接触状態で簡単に取り出すことができ、電気機器のレイアウト自由度を向上させることができる。
【0026】
ところで、本実施形態にあっては、カーペット11とフロアパネル4との間に上述した伝送線6が挟み込まれて配設されることによって、フロアパネル4と基礎床2との間の空間5に配設する伝送線6を少なくしたり無くすことができる。これにより、フロアパネルシステム1の床面(上面)を低くすることができるようになり、室内空間の高さを高くして室内を広くすることができる。
【0027】
また、カーペット11とフロアパネル4との間に伝送線6を配設することによって、フロアパネル4に電気機器99を内蔵してその電気機器99を伝送線6に接続したり、フロアパネル4外の電気機器(図示せず)を伝送線6に接続(以下、外部接続ともいう)することができ、これにより、そのフロアパネル4内外の電気機器99の遠隔制御や使用をすることができる。このような構成の例を以下に説明する。
【0028】
例えば、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として位置検出センサを採用することで、人の位置を検出することが可能となる。
【0029】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として空調機器を採用することで、温度や湿度などの室内空気環境を個別制御することが可能となる。
【0030】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として照明器具を採用することで、室内照明を制御することが可能となる。
【0031】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として電力量センサを採用することで、フロアパネルシステム1内の電力量や電力分配を制御することが可能となる。
【0032】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として物体の有無を検出可能な荷重センサを採用することで、有形資産の位置を検出して管理することが可能となる。
【0033】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として、人を検出可能な人感センサを採用することで、不審者の存在(危険)を労働者に通知することが可能となる。この場合、例えば、フロアパネルシステム1を廊下に適用して、残業中の労働者に不審者が廊下にいるなどの危険を通知することが可能となる。
【0034】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として圧電素子を採用することで、電力を生み出してその電力を他の電気機器に供給することが可能となる。
【0035】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。図4は、本実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図、図5は、フロアパネルの1つを示す拡大斜視図である。
【0036】
図4に示すように、本実施形態のフロアパネルシステム101の基本的な構造は、第1の実施形態のフロアパネルシステム1と同じである。よって、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と同じ部分には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0037】
図4に示すように、本実施形態のフロアパネルシステム101は、各フロアパネル104の四隅部がそれぞれ支柱3で支持され、また、図5に示すように、複数のフロアパネル104のいずれかに蓋体としてのワイヤーリングカバー13が設けられるようになっている。
【0038】
すなわち、本実施形態のフロアパネルシステム101では、図4に示すように、敷設されるフロアパネル104の四隅部に対応して基礎床2上に配置される複数の支柱3と、これらの支柱3を介して基礎床2上に碁盤の目状に敷設される複数の矩形状のフロアパネル104と、を備えている。各フロアパネル104は、それらの四隅が支柱3によって支持されるようになっており、隣合うフロアパネル104の隣合う隅同士は、同一の支柱3によって支持される。
【0039】
また、フロアパネル104は、矩形板状に形成されて内部空間を有するパネル本体104Mを骨格部材として備えており、このパネル本体104M内に伝送線6が配設されている。伝送線6は、図5に示すように、第1の実施形態と同様に帯板状に形成されて、フロアパネル104の対辺の中央部同士を結ぶように各フロアパネル104において全体的に十字状を成している。
【0040】
そして、図4に示すように、隣接するフロアパネル104の伝送線6同士が、フロアパネル104の突き合わせ端に設けた図外のコネクタを介して接続され、これらの伝送線6及びコネクタ等によってフロアパネルシステム101内に伝送路107が形成される。
【0041】
勿論、本実施形態にあっても、伝送物管理装置8から伝送路107に高周波電流を供給するとともに、伝送路107に発生した磁界の磁束密度変化を利用して電磁ピックアップ10に誘導電流を発生させ、その電流をアウトレット9に供給するようになっている。この場合、フロアパネル104の上面に第1の実施形態と同様にカーペットを敷設して、電磁ピックアップ10を面ファスナーで着脱自在に結着することが好ましい。
【0042】
ワイヤーリングカバー13は、図5に示すように、特定のフロアパネル104に設けられた伝送線6の取出し用の開口部13aを開閉可能に閉止するようになっており、本実施形態ではフロアパネル104の一側部を切欠いてその開口部13aを形成してある。このとき、開口部13aは伝送線6の取り出し易い位置、つまり、伝送線6の配設部分に対応して形成されることになる。また、ワイヤーリングカバー13は開口部13aを平坦に閉止するようになっている。
【0043】
ここで、本実施形態のフロアパネルシステム101では、上述のワイヤーリングカバー13を、電磁ピックアップ10の設置部分として設定している。
【0044】
以上の本実施形態によれば、伝送路107の周囲に発生する磁界の磁束密度の変化を電磁ピックアップ10で拾うことにより、伝送路107に非接触状態で電磁ピックアップ10に誘導電流を発生させることができ、第1の実施形態のフロアパネルシステム1と同様の作用効果を奏することができる。
【0045】
特に、本実施形態では、伝送線6の取出し用の開口部13aを閉止するワイヤーリングカバー13を電磁ピックアップ10の設置部分としたので、ワイヤーリングカバー13が閉止されている時に当該ワイヤーリングカバー13に電磁ピックアップ10を設置することにより、開口部13a内に収納された伝送線6に非接触の状態で電磁ピックアップ10に誘導電流を発生させることができる。また、ワイヤーリングカバー13に電磁ピックアップ10を設置しない場合は、そのワイヤーリングカバー13を通常の床下配線用としても用いることができる。
【0046】
したがって、ワイヤーリングカバー13は、電磁ピックアップ10を用いた電力取出し用か、電磁ピックアップ10を用いることなく通常の床下配線用か、のいずれかを選択することが可能となり、フロアパネル104の用途を広げることができる。
【0047】
また、本実施形態では、フロアパネル104のパネル本体104M内に伝送線6を設けることによって、第1の実施形態と同様に、フロアパネル104と基礎床2との間の空間5に配設する伝送線を少なくしたり無くすことができる。したがって、パネル本体104M内に伝送線6を設けずにフロアパネル104と基礎床2との間の空間5にだけ伝送線を配設する場合に比べて、フロアパネル104と基礎床2との間の空間5の高さを低くすることができ、フロアパネルシステム101の床面(上面)を低くすることができる。よって、室内空間の高さを高くして室内を広くすることができる。
【0048】
また、フロアパネル104に伝送線6を一体に設けることによって、第1の実施形態と同様に、フロアパネル104に電気機器99を内蔵してその電気機器99を伝送線6に接続したり、フロアパネル104外の電気機器(図示せず)を伝送線6に接続することができ、これにより、そのフロアパネル104に内外の電気機器99の遠隔制御や使用をすることができる。このような構成の例は、第1の実施形態と同じであるため、説明は省略する。
【0049】
ここで、フロアパネル104の変形例を説明する。以下の各変形例は、フロアパネル104に対して、伝送線6の配置が異なり、その他の構成は同じである。
【0050】
図6は、本実施形態にかかるフロアパネルの第1の変形例を概略的に示す斜視図である。図6に示す第1の変形例のフロアパネル104Aでは、フロアパネル104Aの一組の対辺の中央部同士を結ぶように伝送線6が設けられており、伝送線6は直線状を成している。
【0051】
図7は、本実施形態にかかるフロアパネルの第2の変形例を概略的に示す斜視図である。図7に示す第2の変形例のフロアパネル104Bでは、フロアパネル104Bの連続する3辺の中間部分を接続するように伝送線6が設けられており、伝送線6が全体で略V字状を成している。
【0052】
図8は、本実施形態にかかるフロアパネルの第3の変形例を概略的に示す斜視図である。図8に示す第3の変形例のフロアパネル104Cでは、フロアパネル104Cの一組の対辺同士を結ぶように一対の伝送線6が相互に平行に設けられている。
【0053】
図9は、本実施形態にかかるフロアパネルの第4の変形例を概略的に示す斜視図である。図9に示す第4の変形例のフロアパネル104Dでは、フロアパネル104Dの隣合う辺同士を接続するように伝送線6が設けられており、これらの伝送線6は相互に離間して配置されている。
【0054】
したがって、これらの各種のフロアパネル104,104A,104B,104C,104Dを組み合わせることにより、フロアパネルシステム101の伝送路107の経路を多種多様に構築することができる。
【0055】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。図10は、本実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図である。
【0056】
図10に示すように、本実施形態のフロアパネルシステム201は、フロアパネル204及び伝送路207が、第1の実施形態のフロアパネルシステム1は第2の実施形態のフロアパネルシステム101に対して異なる。
【0057】
具体的には、本実施形態のフロアパネルシステム201は、基礎床2上に配置される複数の支柱3と、これらの支柱3を介して基礎床2上に碁盤の目状に敷設される矩形の複数のフロアパネル204と、を備えている。フロアパネル204は、その四隅が支柱3によって支持されるようになっており、隣合うフロアパネル204の隣合う隅同士は、同一の支柱3によって支持される。このフロアパネルシステム201と基礎床2とによって、フロアパネル204と基礎床2との間に空間5を有する二重床が形成される。
【0058】
床面上には、各フロアパネル204の中心部を挟んで相互に対向するフロアパネル204の隅同士を結ぶように伝送線6が配設されており、その伝送線6は各フロアパネル204において全体的にX字状を成している。隣合うフロアパネル204の伝送線6同士は、支柱3の導体部を介して接続され、これらの伝送線6及び導体部等によって、フロアパネルシステム201内に伝送路7が形成される。この伝送路7には、高周波電源となる伝送物管理装置8やアウトレット9が接続可能となっており、アウトレット9に接続された電気機器(図示せず)と伝送物管理装置8とが伝送路7を介して接続されるようになっている。
【0059】
勿論、本実施形態にあっても、伝送物管理装置8から伝送路207に高周波電流を供給するとともに、伝送路207に発生した磁界の磁束密度変化を利用して電磁ピックアップ10に誘導電流を発生させ、その電流をアウトレット9に供給するようになっている。この場合、フロアパネル204の上面に第1の実施形態と同様にカーペットを敷設して、電磁ピックアップ10を面ファスナーで着脱自在に結着することが好ましい。
【0060】
以上の本実施形態にあっても、伝送路107の周囲に発生する磁界の磁束密度の変化を電磁ピックアップ10で拾うことにより、伝送路107に非接触の状態で電磁ピックアップ10に誘導電流を発生させることができ、第1の実施形態のフロアパネルシステム1と同様の作用効果を奏することができる。
【0061】
ところで、本実施形態では、電磁ピックアップ10を、伝送線6に対応したフロアパネル204の上面のみに限ることなく、支柱3が伝送路207の一部を構成することから、その支柱3の上端にも配置することによっても誘導電流を発生させることができる。
【0062】
ここで、フロアパネル204の変形例を説明する。以下の各変形例は、フロアパネル204に対して、伝送線6の配置が異なり、その他の構成は同じである。
【0063】
図11は、本実施形態にかかるフロアパネルの第1の変形例を概略的に示す斜視図である。図11に示す第1の変形例のフロアパネル204Aでは、その外周の4辺の各縁部に、それらの辺に沿って伝送線6が設けられており、これらの伝送線6は全体で略矩形を成している。
【0064】
図12は、本実施形態にかかるフロアパネルの第2の変形例を概略的に示す斜視図である。図12に示す第2の変形例のフロアパネル204Bでは、その外周の隣合う2辺の各縁部に、それらの辺に沿って伝送線6が設けられており、これらの伝送線6が全体で略L字状を成している。
【0065】
図13は、本実施形態にかかるフロアパネルの第3の変形例を概略的に示す斜視図である。図13に示す第3の変形例のフロアパネル204Cでは、その外周の一つの辺の縁部に、その辺に沿って伝送線6が設けられており、伝送線6は直線状となっている。
【0066】
これらの各種のフロアパネル204,204A,204B,204Cを組み合わせることにより、フロアパネルシステム201の伝送路7の経路を多種多様に構築することができる。
【0067】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態について図面を参照して説明する。図14は、本実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図、図15は、フロアパネルを概略的に示す斜視図である。なお、第1〜第3の実施形態と同じ部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0068】
図14に示すように、本実施形態のフロアパネルシステム301は、置き敷きタイプの矩形のフロアパネル304を複数備えており、これらのフロアパネル304が基礎床2上に碁盤の目状に直接敷設される。このフロアパネルシステム301と基礎床2とによって、二重床が形成される。なお、図14では、フロアパネル304同士の境界部分を太線で示してある。
【0069】
図14に示すように、フロアパネル304は、矩形板状のパネル本体304Mを骨格部材として備えている。このパネル本体304Mには、上面開口の配線用溝311が十字状に形成されており、この配線用溝311の上面は、着脱可能な蓋312で閉塞される。隣合うフロアパネル304同士の配線用溝311は、相互に連通されており、かかる複数の配線用溝311によって、フロアパネルシステム301に格子状の溝313が形成される。この溝には伝送線が配設可能となっている。
【0070】
蓋312には、伝送線6が配線用溝311の形状に合わせて十字状をなすように設けられている。そして、隣合うフロアパネル304における蓋312の伝送線6同士は、相互に接続され、これらの蓋312内の伝送線6等によって、フロアパネルシステム301内に格子状の伝送路307が形成される。この伝送路307には、第1の実施形態と同様に、高周波電源となる伝送物管理装置8やアウトレット9が接続可能となっており、アウトレット9に接続された電気機器(図示せず)と伝送物管理装置8とが伝送路307を介して接続されるようになっている。フロアパネルシステム301が伝送路307によって伝送する伝送物は、第1の実施形態と同じである。
【0071】
勿論、本実施形態にあっても、伝送物管理装置8から伝送路307に高周波電流を供給するとともに、伝送路307に発生した磁界の磁束密度変化を利用して電磁ピックアップ10に誘導電流を発生させ、その電流をアウトレット9に供給するようになっている。この場合、フロアパネル304の上面に第1の実施形態と同様にカーペットを敷設して、電磁ピックアップ10を面ファスナーで着脱自在に結着することが好ましい。
【0072】
以上の本実施形態によれば、フロアパネル304の蓋312内に伝送線6が設けられていることにより、フロアパネル304を基礎床2に直接敷設しても、フロアパネルシステム301内に伝送路307が形成されるので、フロアパネル304の下面と基礎床2との間に配線用の空間を形成する必要がなく、その分、フロアパネルシステム301の床面(上面)を低くすることができる。よって、室内空間の高さを高くして室内を広くすることができる。なお、このような効果は、例えば、第2の実施形態のフロアパネル104を支柱3を介さずに直接基礎床2に敷設することでも得ることができる。また、第1の実施形態のフロアパネル4を支柱3を介さずに直接基礎床2に敷設して、隣合うフロアパネル4の伝送線6同士を接続部材によって接続することによっても、上記と同じ効果を得ることができる。
【0073】
また、このようにフロアパネル304に伝送線6を一体に設けることによって、第1の実施形態と同様に、フロアパネル304に電気機器99を内蔵してその電気機器99を伝送線6に接続したり、フロアパネル304外の電気機器(図示せず)を伝送線6に接続することができ、これにより、そのフロアパネル304内外の電気機器99の遠隔制御や使用をすることができる。このような構成の例は、第1の実施形態と同じであるため、説明は省略する。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、第1の実施形態では伝送線6をフロアパネル4とカーペット11との間に配設したが、フロアパネル4のパネル本体内に伝送線6を配設してもよい。また、第2・第3の実施形態では、パネル本体104M、204M内に伝送線6が設けられたものを説明したが、これに限ることなく、伝送線6がパネル本体104M、204Mの外側に配置されてパネル本体104M、204Mに一体に設けられたものであっても良い。例えば、パネル本体104M、204Mの下面に沿って伝送線6が設けられていても良い。また、第2・第3の実施形態のパネル本体104M、204M内に、例えばモルタル等の充填物を充填しても良い。
【0075】
また、第4の実施形態では、蓋312内に伝送線6が設けられたものを説明したが、これに限ることなく、伝送線6が蓋312の外側に配置されて蓋312に一体に設けられたものであっても良い。例えば、蓋312の下面に沿って伝送線6が設けられていても良い。
【0076】
また、電磁ピックアップ10は、フロアパネルの上面に敷設したカーペットに面ファスナーを介して着脱自在に結着したが、カーペットや面ファスナーを用いることなく、吸盤や磁石によってフロアパネルの上面に直接着脱自在に取り付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる電磁ピックアップの設置状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる電磁ピックアップの設置部分の床面を分解して示す側面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかるフロアパネルの1つを示す拡大斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかるフロアパネルの第1の変形例を概略的に示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態にかかるフロアパネルの第2の変形例を概略的に示す斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかるフロアパネルの第3の変形例を概略的に示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態にかかるフロアパネルの第4の変形例を概略的に示す斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルの第1の変形例を概略的に示す斜視図である。
【図12】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルの第2の変形例を概略的に示す斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルの第3の変形例を概略的に示す斜視図である。
【図14】本発明の第4の実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図である。
【図15】本発明の第4の実施形態にかかるフロアパネルを概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0078】
1、101、201、301 フロアパネルシステム
2 基礎床
4、104、104A〜104D、204、204A〜204C、304 フロアパネル
5 空間
6 伝送線(伝送媒体)
8 伝送物管理装置(高周波電源)
9 アウトレット
10 電磁ピックアップ
13 ワイヤーリングカバー(蓋体)
13a 開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎床上にフロアパネルを敷設することで二重床を構築するフロアパネルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロアパネルシステムとして、一端部にコンセントを接続するとともに他端部にプラグを接続した配線をフロアパネルの内部に設け、当該フロアパネルを順次敷設し、隣接するフロアパネルどうしのコンセントとプラグを電気的に接続させるとともに、フロアパネルの上面に上方に向かって開口するアウトレット用コンセントを埋設し、当該アウトレット用コンセントを分岐配線を介して上記配線に電気的に接続させたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平4−134127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のフロアパネルシステムでは、アウトレットの取出し位置がフロアパネルの上面に設けたコンセントの配設位置のみに限定されるため、電気機器の設置がアウトレット用コンセントの配設位置近傍に限定されてしまい、電気機器のレイアウト自由度が制限されるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、電気機器のレイアウト自由度を向上させることのできるフロアパネルシステムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明にあっては、基礎床上に複数のフロアパネルを敷設して二重床を構築するフロアパネルシステムであって、前記フロアパネルに設けられた伝送媒体に高周波電流を供給し、当該伝送媒体の周囲に発生する磁界の磁束密度を変化させる高周波電源と、前記フロアパネルの表面に前記伝送媒体に対して非接触状態で載置され、前記伝送媒体の磁束密度変化で誘導電流を発生させる電磁ピックアップと、前記電磁ピックアップに電気的に接続して、当該電磁ピックアップで発生した電流が供給されるアウトレットと、を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載のフロアパネルシステムにおいて、前記フロアパネルには開口部が形成されており、当該フロアパネルは、前記開口部を開閉可能に閉止する平坦な蓋体を備え、前記蓋体を、前記電磁ピックアップの設置部分としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、伝送媒体の周囲に発生する磁界の磁束密度の変化を電磁ピックアップで拾うことにより、伝送媒体に接触していない状態で電磁ピックアップに誘導電流を発生させることができる。これにより、伝送媒体が配設されている部分であれば、フロアパネルの上面に電磁ピックアップを載置するのみで電力や情報信号を取り出すことができ、それをアウトレットに送ることができる。したがって、配線が配設されている部分であれば、いかなる場所であっても情報信号を非接触状態で簡単に取り出すことができ、電気機器のレイアウト自由度を向上させることができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、伝送媒体の取出し用の開口部を開閉可能に閉止する平坦な蓋体を、電磁ピックアップの設置部分としたため、その蓋体が閉止されている時に電磁ピックアップを用いて電力や情報信号を取り出すことができ、また、電磁ピックアップを用いることなく通常の床下配線用としても用いることができるようになる。したがって、いずれかの選択が可能となってフロアパネルの用途を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図、図2は電磁ピックアップの設置状態を示す斜視図、図3は電磁ピックアップの設置部分の床面を分解して示す側面図である。
【0010】
まず、フロアパネルシステム1の概要を説明する。図1に示すように、フロアパネルシステム1は、基礎床2上に配置される複数の支柱3と、これらの支柱3を介して基礎床2上に碁盤の目状に敷設される矩形の複数のフロアパネル4と、を備えている。フロアパネル4は、その4隅が支柱3によって支持されるようになっており、隣合うフロアパネル4の隣合う隅同士は、同一の支柱3によって支持される。このフロアパネルシステム1と基礎床2とによって、フロアパネル4と基礎床2との間に空間(床下空間)5を有する二重床が形成される。
【0011】
フロアパネル4には、伝送物を伝送する伝送媒体である伝送線6が設けられている。ここで、便宜上、図面において伝送線6は単に線で示してある。伝送線6は、フロアパネル4の中心部を挟んで相互に対向するフロアパネル4の隅同士を結ぶように配置されており、全体でX字状を成している。隣合うフロアパネル4の伝送線6同士は、支柱3の導体部を介して接続され、これらの伝送線6及び導体部等によって、フロアパネルシステム1内に伝送路7が形成される。この伝送路7には、伝送物管理装置8やアウトレット(外部接続機器)9が接続可能となっており、アウトレット9に接続された電気機器(図示せず)と伝送物管理装置8とが伝送路7(伝送線6)を介して接続されるようになっている。
【0012】
フロアパネルシステム1が伝送路7によって伝送する伝送物は、電力と情報信号との少なくとも一方である。つまり、伝送物は、電力のみ、情報信号のみ、又は、電力と情報信号との両方である。フロアパネルシステム1は、電力を伝送する場合には、電力供給システムとして機能し、情報信号を伝送する場合には、情報伝送システムとして機能し、電力と情報信号との両方を伝送する場合には、電力・情報複合システムとして機能する。
【0013】
電力は、交流又は直流であってもよいが、本実施形態では、後述するように伝送物管理装置8を高周波電源として用いる関係上、電力は交流となる。情報信号は、アナログ信号やデジタル信号である。情報信号は、具体的には、LAN用信号、xDSL用信号、テレビジョン受像機用信号、電話機用信号、電気機器用制御信号等であり、これらの信号は高周波の電気信号によって構成される。情報信号は、電力と別体又は一体に伝送され、情報信号が電力と一体に伝送される場合には、情報信号が重畳された交流が用いられる。
【0014】
伝送物管理装置8は、電力を供給可能な電源装置、情報を送受信可能なサーバ、又は、それら電源装置及びサーバの両方の機能を有する複合装置等であるが、特に、本実施形態では伝送物管理装置8は、後述するように、伝送路7に高周波電流を供給する高周波電源となっている。
【0015】
伝送線6は、伝送物が電力である場合には、電力を伝送可能な電源線が用いられ、伝送物が情報信号である場合には、情報信号を伝送可能なメタル線等の情報通信線が用いられる。また、伝送物が電力と情報信号との両方である場合には、伝送線6は、電源線と情報通信線との2系統で構成されるか、又は、電源線だけの1系統で構成される。伝送線6が電源線だけの1系統で構成される場合には、この電源線によって、情報信号が重畳された交流が伝送される。
【0016】
アウトレット9は、伝送物が電力である場合には、交流用コンセントや特定の電気機器用の専用端子等の電力用アウトレットが用いられる。図1には、アウトレット9として交流用コンセントを例示してある。交流用コンセントには、電源用フロアコンセントやテーブルタップ、各種電気機器が接続可能である。
【0017】
また、アウトレット9は、伝送物が情報信号である場合には、情報コンセントや、特定の電気機器用の専用端子等の情報用アウトレットが用いられる。情報コンセントは、具体的には、LAN用コンセントや、テレビジョン受像機用コンセント、電話機用コンセント、複合コンセント等である。複合コンセントは、LAN用コンセントや、テレビジョン受像機用コンセント、電話機用コンセント等の種類が異なる2つ以上のコネクタを一体に備えるコンセントである。情報用アウトレットには、情報用フロアコンセントやテーブルタップ、無線通信端末、LAN機器、コンピュータ、テレビジョン受像機、電話機等の各種電気機器が接続可能である。
【0018】
また、アウトレット9は、伝送物が電力と情報信号との両方の場合には、伝送線6の種類に応じて、上述した電力用アウトレット及び情報用アウトレットの両方や、電力用アウトレット及び情報用アウトレットを一体化した複合アウトレット、特定の電気機器用の専用端子が用いられる。複合アウトレットには、電源・情報複合フロアコンセントやテーブルタップ、無線通信端末、LAN機器、コンピュータ、テレビジョン受像機、電話機等の各種電気機器が接続可能である。
【0019】
ここで、本実施形態のフロアパネルシステム1は、図1に示すように、高周波電源としての伝送物管理装置8から伝送媒体としての伝送線6に高周波電流を供給するようになっており、伝送物管理装置8から供給する高周波電流によって伝送路7の周囲に磁束密度が変化する磁界を発生させている。
【0020】
そして、図2に示すように、伝送路7に発生した磁界の磁束密度変化を利用して誘導電流を発生させる電磁ピックアップ10を設け、この電磁ピックアップ10をフロアパネル4の表面に伝送路7に対して非接触状態で載置するようになっている。電磁ピックアップ10で発生した電流は、当該電磁ピックアップ10に電気的に接続したアウトレット9に供給される。
【0021】
電磁ピックアップ10は、床面に接触する下部がコイルを設けたコアとなっている。そして、伝送路7に供給された高周波電流の周波数に応じて、伝送路7に磁界の増大・減衰現象が発生し、それが磁束密度の変化となって電磁ピックアップ10のコイルに誘導電流が発生するようになっている。
【0022】
電磁ピックアップ10とアウトレット9とはハーネス9Hによって電気的に接続されており、それら電磁ピックアップ10とアウトレット9とが一体となって床面上の任意の部位に設置できるようになっている。
【0023】
本実施形態では、図3に示すように、フロアパネル4の上面にカーペット11が敷設されており、このカーペット11とフロアパネル4との間に上述した伝送線6が挟み込まれるようにして配設されている。なお、図1では伝送線6を便宜上単に線状として示したが、実際には、図3に示すように、所定幅を有する薄肉の帯板状に形成されており、その帯板状の伝送線6がカーペット11の裏面に配置された際にも、カーペット11はほとんど盛り上がることなく平坦性が維持されるようになっている。
【0024】
そして、電磁ピックアップ10は、カーペット11の上方から伝送線6の幅内に載置されることになる。このとき、電磁ピックアップ10の底面10aには面ファスナー12が取り付けられており、その面ファスナー12がカーペット11に着脱自在に結着されることにより、電磁ピックアップ10のズレや外れを防止できるようになっている。
【0025】
以上の本実施形態によれば、伝送路7の周囲に発生する磁界の磁束密度の変化を電磁ピックアップ10で拾うことにより、伝送路7に接触していない状態で電磁ピックアップ10に誘導電流を発生させることができる。これにより、伝送路7が配設されている部分であれば、フロアパネル4の上面に電磁ピックアップ10を載置するのみで電力や情報信号を取り出すことができ、それをアウトレット9に送ることができる。したがって、伝送線6が配設されている部分であれば、いかなる場所であっても電力や情報信号を非接触状態で簡単に取り出すことができ、電気機器のレイアウト自由度を向上させることができる。
【0026】
ところで、本実施形態にあっては、カーペット11とフロアパネル4との間に上述した伝送線6が挟み込まれて配設されることによって、フロアパネル4と基礎床2との間の空間5に配設する伝送線6を少なくしたり無くすことができる。これにより、フロアパネルシステム1の床面(上面)を低くすることができるようになり、室内空間の高さを高くして室内を広くすることができる。
【0027】
また、カーペット11とフロアパネル4との間に伝送線6を配設することによって、フロアパネル4に電気機器99を内蔵してその電気機器99を伝送線6に接続したり、フロアパネル4外の電気機器(図示せず)を伝送線6に接続(以下、外部接続ともいう)することができ、これにより、そのフロアパネル4内外の電気機器99の遠隔制御や使用をすることができる。このような構成の例を以下に説明する。
【0028】
例えば、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として位置検出センサを採用することで、人の位置を検出することが可能となる。
【0029】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として空調機器を採用することで、温度や湿度などの室内空気環境を個別制御することが可能となる。
【0030】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として照明器具を採用することで、室内照明を制御することが可能となる。
【0031】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として電力量センサを採用することで、フロアパネルシステム1内の電力量や電力分配を制御することが可能となる。
【0032】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として物体の有無を検出可能な荷重センサを採用することで、有形資産の位置を検出して管理することが可能となる。
【0033】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として、人を検出可能な人感センサを採用することで、不審者の存在(危険)を労働者に通知することが可能となる。この場合、例えば、フロアパネルシステム1を廊下に適用して、残業中の労働者に不審者が廊下にいるなどの危険を通知することが可能となる。
【0034】
また、フロアパネル4に内蔵又は外部接続する電気機器99として圧電素子を採用することで、電力を生み出してその電力を他の電気機器に供給することが可能となる。
【0035】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。図4は、本実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図、図5は、フロアパネルの1つを示す拡大斜視図である。
【0036】
図4に示すように、本実施形態のフロアパネルシステム101の基本的な構造は、第1の実施形態のフロアパネルシステム1と同じである。よって、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と同じ部分には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0037】
図4に示すように、本実施形態のフロアパネルシステム101は、各フロアパネル104の四隅部がそれぞれ支柱3で支持され、また、図5に示すように、複数のフロアパネル104のいずれかに蓋体としてのワイヤーリングカバー13が設けられるようになっている。
【0038】
すなわち、本実施形態のフロアパネルシステム101では、図4に示すように、敷設されるフロアパネル104の四隅部に対応して基礎床2上に配置される複数の支柱3と、これらの支柱3を介して基礎床2上に碁盤の目状に敷設される複数の矩形状のフロアパネル104と、を備えている。各フロアパネル104は、それらの四隅が支柱3によって支持されるようになっており、隣合うフロアパネル104の隣合う隅同士は、同一の支柱3によって支持される。
【0039】
また、フロアパネル104は、矩形板状に形成されて内部空間を有するパネル本体104Mを骨格部材として備えており、このパネル本体104M内に伝送線6が配設されている。伝送線6は、図5に示すように、第1の実施形態と同様に帯板状に形成されて、フロアパネル104の対辺の中央部同士を結ぶように各フロアパネル104において全体的に十字状を成している。
【0040】
そして、図4に示すように、隣接するフロアパネル104の伝送線6同士が、フロアパネル104の突き合わせ端に設けた図外のコネクタを介して接続され、これらの伝送線6及びコネクタ等によってフロアパネルシステム101内に伝送路107が形成される。
【0041】
勿論、本実施形態にあっても、伝送物管理装置8から伝送路107に高周波電流を供給するとともに、伝送路107に発生した磁界の磁束密度変化を利用して電磁ピックアップ10に誘導電流を発生させ、その電流をアウトレット9に供給するようになっている。この場合、フロアパネル104の上面に第1の実施形態と同様にカーペットを敷設して、電磁ピックアップ10を面ファスナーで着脱自在に結着することが好ましい。
【0042】
ワイヤーリングカバー13は、図5に示すように、特定のフロアパネル104に設けられた伝送線6の取出し用の開口部13aを開閉可能に閉止するようになっており、本実施形態ではフロアパネル104の一側部を切欠いてその開口部13aを形成してある。このとき、開口部13aは伝送線6の取り出し易い位置、つまり、伝送線6の配設部分に対応して形成されることになる。また、ワイヤーリングカバー13は開口部13aを平坦に閉止するようになっている。
【0043】
ここで、本実施形態のフロアパネルシステム101では、上述のワイヤーリングカバー13を、電磁ピックアップ10の設置部分として設定している。
【0044】
以上の本実施形態によれば、伝送路107の周囲に発生する磁界の磁束密度の変化を電磁ピックアップ10で拾うことにより、伝送路107に非接触状態で電磁ピックアップ10に誘導電流を発生させることができ、第1の実施形態のフロアパネルシステム1と同様の作用効果を奏することができる。
【0045】
特に、本実施形態では、伝送線6の取出し用の開口部13aを閉止するワイヤーリングカバー13を電磁ピックアップ10の設置部分としたので、ワイヤーリングカバー13が閉止されている時に当該ワイヤーリングカバー13に電磁ピックアップ10を設置することにより、開口部13a内に収納された伝送線6に非接触の状態で電磁ピックアップ10に誘導電流を発生させることができる。また、ワイヤーリングカバー13に電磁ピックアップ10を設置しない場合は、そのワイヤーリングカバー13を通常の床下配線用としても用いることができる。
【0046】
したがって、ワイヤーリングカバー13は、電磁ピックアップ10を用いた電力取出し用か、電磁ピックアップ10を用いることなく通常の床下配線用か、のいずれかを選択することが可能となり、フロアパネル104の用途を広げることができる。
【0047】
また、本実施形態では、フロアパネル104のパネル本体104M内に伝送線6を設けることによって、第1の実施形態と同様に、フロアパネル104と基礎床2との間の空間5に配設する伝送線を少なくしたり無くすことができる。したがって、パネル本体104M内に伝送線6を設けずにフロアパネル104と基礎床2との間の空間5にだけ伝送線を配設する場合に比べて、フロアパネル104と基礎床2との間の空間5の高さを低くすることができ、フロアパネルシステム101の床面(上面)を低くすることができる。よって、室内空間の高さを高くして室内を広くすることができる。
【0048】
また、フロアパネル104に伝送線6を一体に設けることによって、第1の実施形態と同様に、フロアパネル104に電気機器99を内蔵してその電気機器99を伝送線6に接続したり、フロアパネル104外の電気機器(図示せず)を伝送線6に接続することができ、これにより、そのフロアパネル104に内外の電気機器99の遠隔制御や使用をすることができる。このような構成の例は、第1の実施形態と同じであるため、説明は省略する。
【0049】
ここで、フロアパネル104の変形例を説明する。以下の各変形例は、フロアパネル104に対して、伝送線6の配置が異なり、その他の構成は同じである。
【0050】
図6は、本実施形態にかかるフロアパネルの第1の変形例を概略的に示す斜視図である。図6に示す第1の変形例のフロアパネル104Aでは、フロアパネル104Aの一組の対辺の中央部同士を結ぶように伝送線6が設けられており、伝送線6は直線状を成している。
【0051】
図7は、本実施形態にかかるフロアパネルの第2の変形例を概略的に示す斜視図である。図7に示す第2の変形例のフロアパネル104Bでは、フロアパネル104Bの連続する3辺の中間部分を接続するように伝送線6が設けられており、伝送線6が全体で略V字状を成している。
【0052】
図8は、本実施形態にかかるフロアパネルの第3の変形例を概略的に示す斜視図である。図8に示す第3の変形例のフロアパネル104Cでは、フロアパネル104Cの一組の対辺同士を結ぶように一対の伝送線6が相互に平行に設けられている。
【0053】
図9は、本実施形態にかかるフロアパネルの第4の変形例を概略的に示す斜視図である。図9に示す第4の変形例のフロアパネル104Dでは、フロアパネル104Dの隣合う辺同士を接続するように伝送線6が設けられており、これらの伝送線6は相互に離間して配置されている。
【0054】
したがって、これらの各種のフロアパネル104,104A,104B,104C,104Dを組み合わせることにより、フロアパネルシステム101の伝送路107の経路を多種多様に構築することができる。
【0055】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。図10は、本実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図である。
【0056】
図10に示すように、本実施形態のフロアパネルシステム201は、フロアパネル204及び伝送路207が、第1の実施形態のフロアパネルシステム1は第2の実施形態のフロアパネルシステム101に対して異なる。
【0057】
具体的には、本実施形態のフロアパネルシステム201は、基礎床2上に配置される複数の支柱3と、これらの支柱3を介して基礎床2上に碁盤の目状に敷設される矩形の複数のフロアパネル204と、を備えている。フロアパネル204は、その四隅が支柱3によって支持されるようになっており、隣合うフロアパネル204の隣合う隅同士は、同一の支柱3によって支持される。このフロアパネルシステム201と基礎床2とによって、フロアパネル204と基礎床2との間に空間5を有する二重床が形成される。
【0058】
床面上には、各フロアパネル204の中心部を挟んで相互に対向するフロアパネル204の隅同士を結ぶように伝送線6が配設されており、その伝送線6は各フロアパネル204において全体的にX字状を成している。隣合うフロアパネル204の伝送線6同士は、支柱3の導体部を介して接続され、これらの伝送線6及び導体部等によって、フロアパネルシステム201内に伝送路7が形成される。この伝送路7には、高周波電源となる伝送物管理装置8やアウトレット9が接続可能となっており、アウトレット9に接続された電気機器(図示せず)と伝送物管理装置8とが伝送路7を介して接続されるようになっている。
【0059】
勿論、本実施形態にあっても、伝送物管理装置8から伝送路207に高周波電流を供給するとともに、伝送路207に発生した磁界の磁束密度変化を利用して電磁ピックアップ10に誘導電流を発生させ、その電流をアウトレット9に供給するようになっている。この場合、フロアパネル204の上面に第1の実施形態と同様にカーペットを敷設して、電磁ピックアップ10を面ファスナーで着脱自在に結着することが好ましい。
【0060】
以上の本実施形態にあっても、伝送路107の周囲に発生する磁界の磁束密度の変化を電磁ピックアップ10で拾うことにより、伝送路107に非接触の状態で電磁ピックアップ10に誘導電流を発生させることができ、第1の実施形態のフロアパネルシステム1と同様の作用効果を奏することができる。
【0061】
ところで、本実施形態では、電磁ピックアップ10を、伝送線6に対応したフロアパネル204の上面のみに限ることなく、支柱3が伝送路207の一部を構成することから、その支柱3の上端にも配置することによっても誘導電流を発生させることができる。
【0062】
ここで、フロアパネル204の変形例を説明する。以下の各変形例は、フロアパネル204に対して、伝送線6の配置が異なり、その他の構成は同じである。
【0063】
図11は、本実施形態にかかるフロアパネルの第1の変形例を概略的に示す斜視図である。図11に示す第1の変形例のフロアパネル204Aでは、その外周の4辺の各縁部に、それらの辺に沿って伝送線6が設けられており、これらの伝送線6は全体で略矩形を成している。
【0064】
図12は、本実施形態にかかるフロアパネルの第2の変形例を概略的に示す斜視図である。図12に示す第2の変形例のフロアパネル204Bでは、その外周の隣合う2辺の各縁部に、それらの辺に沿って伝送線6が設けられており、これらの伝送線6が全体で略L字状を成している。
【0065】
図13は、本実施形態にかかるフロアパネルの第3の変形例を概略的に示す斜視図である。図13に示す第3の変形例のフロアパネル204Cでは、その外周の一つの辺の縁部に、その辺に沿って伝送線6が設けられており、伝送線6は直線状となっている。
【0066】
これらの各種のフロアパネル204,204A,204B,204Cを組み合わせることにより、フロアパネルシステム201の伝送路7の経路を多種多様に構築することができる。
【0067】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態について図面を参照して説明する。図14は、本実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図、図15は、フロアパネルを概略的に示す斜視図である。なお、第1〜第3の実施形態と同じ部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0068】
図14に示すように、本実施形態のフロアパネルシステム301は、置き敷きタイプの矩形のフロアパネル304を複数備えており、これらのフロアパネル304が基礎床2上に碁盤の目状に直接敷設される。このフロアパネルシステム301と基礎床2とによって、二重床が形成される。なお、図14では、フロアパネル304同士の境界部分を太線で示してある。
【0069】
図14に示すように、フロアパネル304は、矩形板状のパネル本体304Mを骨格部材として備えている。このパネル本体304Mには、上面開口の配線用溝311が十字状に形成されており、この配線用溝311の上面は、着脱可能な蓋312で閉塞される。隣合うフロアパネル304同士の配線用溝311は、相互に連通されており、かかる複数の配線用溝311によって、フロアパネルシステム301に格子状の溝313が形成される。この溝には伝送線が配設可能となっている。
【0070】
蓋312には、伝送線6が配線用溝311の形状に合わせて十字状をなすように設けられている。そして、隣合うフロアパネル304における蓋312の伝送線6同士は、相互に接続され、これらの蓋312内の伝送線6等によって、フロアパネルシステム301内に格子状の伝送路307が形成される。この伝送路307には、第1の実施形態と同様に、高周波電源となる伝送物管理装置8やアウトレット9が接続可能となっており、アウトレット9に接続された電気機器(図示せず)と伝送物管理装置8とが伝送路307を介して接続されるようになっている。フロアパネルシステム301が伝送路307によって伝送する伝送物は、第1の実施形態と同じである。
【0071】
勿論、本実施形態にあっても、伝送物管理装置8から伝送路307に高周波電流を供給するとともに、伝送路307に発生した磁界の磁束密度変化を利用して電磁ピックアップ10に誘導電流を発生させ、その電流をアウトレット9に供給するようになっている。この場合、フロアパネル304の上面に第1の実施形態と同様にカーペットを敷設して、電磁ピックアップ10を面ファスナーで着脱自在に結着することが好ましい。
【0072】
以上の本実施形態によれば、フロアパネル304の蓋312内に伝送線6が設けられていることにより、フロアパネル304を基礎床2に直接敷設しても、フロアパネルシステム301内に伝送路307が形成されるので、フロアパネル304の下面と基礎床2との間に配線用の空間を形成する必要がなく、その分、フロアパネルシステム301の床面(上面)を低くすることができる。よって、室内空間の高さを高くして室内を広くすることができる。なお、このような効果は、例えば、第2の実施形態のフロアパネル104を支柱3を介さずに直接基礎床2に敷設することでも得ることができる。また、第1の実施形態のフロアパネル4を支柱3を介さずに直接基礎床2に敷設して、隣合うフロアパネル4の伝送線6同士を接続部材によって接続することによっても、上記と同じ効果を得ることができる。
【0073】
また、このようにフロアパネル304に伝送線6を一体に設けることによって、第1の実施形態と同様に、フロアパネル304に電気機器99を内蔵してその電気機器99を伝送線6に接続したり、フロアパネル304外の電気機器(図示せず)を伝送線6に接続することができ、これにより、そのフロアパネル304内外の電気機器99の遠隔制御や使用をすることができる。このような構成の例は、第1の実施形態と同じであるため、説明は省略する。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、第1の実施形態では伝送線6をフロアパネル4とカーペット11との間に配設したが、フロアパネル4のパネル本体内に伝送線6を配設してもよい。また、第2・第3の実施形態では、パネル本体104M、204M内に伝送線6が設けられたものを説明したが、これに限ることなく、伝送線6がパネル本体104M、204Mの外側に配置されてパネル本体104M、204Mに一体に設けられたものであっても良い。例えば、パネル本体104M、204Mの下面に沿って伝送線6が設けられていても良い。また、第2・第3の実施形態のパネル本体104M、204M内に、例えばモルタル等の充填物を充填しても良い。
【0075】
また、第4の実施形態では、蓋312内に伝送線6が設けられたものを説明したが、これに限ることなく、伝送線6が蓋312の外側に配置されて蓋312に一体に設けられたものであっても良い。例えば、蓋312の下面に沿って伝送線6が設けられていても良い。
【0076】
また、電磁ピックアップ10は、フロアパネルの上面に敷設したカーペットに面ファスナーを介して着脱自在に結着したが、カーペットや面ファスナーを用いることなく、吸盤や磁石によってフロアパネルの上面に直接着脱自在に取り付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる電磁ピックアップの設置状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる電磁ピックアップの設置部分の床面を分解して示す側面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかるフロアパネルの1つを示す拡大斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかるフロアパネルの第1の変形例を概略的に示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態にかかるフロアパネルの第2の変形例を概略的に示す斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかるフロアパネルの第3の変形例を概略的に示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態にかかるフロアパネルの第4の変形例を概略的に示す斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルの第1の変形例を概略的に示す斜視図である。
【図12】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルの第2の変形例を概略的に示す斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施形態にかかるフロアパネルの第3の変形例を概略的に示す斜視図である。
【図14】本発明の第4の実施形態にかかるフロアパネルシステムを概略的に示す斜視図である。
【図15】本発明の第4の実施形態にかかるフロアパネルを概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0078】
1、101、201、301 フロアパネルシステム
2 基礎床
4、104、104A〜104D、204、204A〜204C、304 フロアパネル
5 空間
6 伝送線(伝送媒体)
8 伝送物管理装置(高周波電源)
9 アウトレット
10 電磁ピックアップ
13 ワイヤーリングカバー(蓋体)
13a 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎床上に複数のフロアパネルを敷設して二重床を構築するフロアパネルシステムであって、
前記フロアパネルに設けられた伝送媒体に高周波電流を供給し、当該伝送媒体の周囲に発生する磁界の磁束密度を変化させる高周波電源と、
前記フロアパネルの表面に前記伝送媒体に対して非接触状態で載置され、前記伝送媒体の磁束密度変化で誘導電流を発生させる電磁ピックアップと、
前記電磁ピックアップに電気的に接続して、当該電磁ピックアップで発生した電流が供給されるアウトレットと、を備えることを特徴とするフロアパネルシステム。
【請求項2】
前記フロアパネルには開口部が形成されており、
当該フロアパネルは、前記開口部を開閉可能に閉止する平坦な蓋体を備え、
前記蓋体を、前記電磁ピックアップの設置部分としたことを特徴とする請求項1に記載のフロアパネルシステム。
【請求項1】
基礎床上に複数のフロアパネルを敷設して二重床を構築するフロアパネルシステムであって、
前記フロアパネルに設けられた伝送媒体に高周波電流を供給し、当該伝送媒体の周囲に発生する磁界の磁束密度を変化させる高周波電源と、
前記フロアパネルの表面に前記伝送媒体に対して非接触状態で載置され、前記伝送媒体の磁束密度変化で誘導電流を発生させる電磁ピックアップと、
前記電磁ピックアップに電気的に接続して、当該電磁ピックアップで発生した電流が供給されるアウトレットと、を備えることを特徴とするフロアパネルシステム。
【請求項2】
前記フロアパネルには開口部が形成されており、
当該フロアパネルは、前記開口部を開閉可能に閉止する平坦な蓋体を備え、
前記蓋体を、前記電磁ピックアップの設置部分としたことを特徴とする請求項1に記載のフロアパネルシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−112014(P2010−112014A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283390(P2008−283390)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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