説明

フロアマット

【課題】 スライドレール等の立壁の凹部の様々な寸法にも容易に装着が可能であり、加工に手間がかからずコストを低く押さえることが可能であり、必要に応じて縁部に様々な機能を持たせることも可能なフロアマットを提供する。
【解決手段】 表材層が、下地層としての樹脂シートに積層一体化されてなるフロアマット100,100’であって、前記フロアマット100,100’の周縁部101,101’のうち少なくとも一部においてフロアマット耳部がフロアマット本体部に隣接して形成されており、フロアマット本体部では表材層としてのカーペット111が前記樹脂シートに積層一体化されており、フロアマット耳部では表材層としての縁布112が前記カーペット111と突き合わされるようにして前記樹脂シートに積層一体化されており、フロアマット耳部の厚さがフロアマット本体部の厚さよりも少ないことを特徴とするフロアマット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の室内床面において、フロアカーペットの上面でフロアマットを固定するに好適なフロアマットに関し、特に座席スライドレールが設けられた自動車の室内床面において、フロアカーペットの上面で、座席スライドレール周りで位置ずれすることなく、交換可能に固定するに好適なフロアマットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車室内の床面は自動車のフロアパネル(鋼板)をフロアカーペットで被覆することにより装飾されている。近年、バン、ワゴン形式の自動車では、セカンドシート(二列目座席)や、サードシート(三列目座席)を自動車内で大きく前後に動かせるようにして、自動車室内の有効利用を図ることが多くなっている。このためにセカンドシート、サードシートの下には大型のスライドレールが自動車の前後方向に平行に設けられており、フロアマットにおいても、このスライドレール周りを隙間なく、位置ずれなく配設する構造が求められている。
【0003】
このような構造に適したフロアマットの固定構造と、その固定構造に用いるフロアマットとして、特開2003−182437号公報(特許文献1)に、図5に示されるように、床面の内装材(フロアカーペット60、60’)と、内装材より上に上表面(図6の20a)が出ている状態で所定の方向に延びる長尺部品(座席スライドレール20)とが設けられた乗物の室内床面(自動車の室内床面1)において、内装材上に部分的に載置したピースマット(10、10’)を固定するピースマット固定構造が開示されている。この公報には、ピースマットには長尺部品を入れる少なくとも1つのスリット(11、11’)がピースマットの端縁(突き合わせ面19)から切り込まれており、スリットに長尺部品を入れる形にピースマットが長尺部品の周りに配設され、且つピースマットにおけるスリットの切れ込み端部(図7、8の12)が長尺部品の端縁(26)に固定されてなるピースマット固定構造が開示されている。
【0004】
また、前記ピースマットは、図6に示されるように基布(61)にパイル糸(62)を立毛形成してなる立毛調ピースマットであり、図7に示されるようにピースマットにおけるスリットの切れ込み端部(12)のパイル糸(16)は、エンドキャップ(40)を嵌めるため、切れ込み端部以外の部位のパイル糸(15)に比較して、低い高さに処理されていることが開示されている。さらに前記ピースマットは、図5及び図5のC−C断面図である図9に示されるように切れ込み端部などの少なくとも一端縁に沿ってある幅でパイル糸(17)が熱潰し処理されており、このパイル糸が熱潰し処理されてなるピースマットの端縁が、室内の床面(フロアパネル50)とこの床面から立ち上がる立壁(サイドトリム71)との境界部に形成した凹部(72)(以後、立壁凹部と呼ぶ場合がある)に差し込まれることが開示されている。
【0005】
このように、このフロアマット(ピースマット)はスリットの切れ込み端部などで、エンドキャップを嵌めるため、あるいは立壁凹部に差し込まれるため、一端縁に沿ってある幅でパイル糸が熱潰し処理されており、フロアパネルまたはフロアカーペットに装着できる構造となっている。
【0006】
しかし、このフロアマットにあっては、フロアマットの端縁でパイル糸が熱潰し処理されているので、潰した後の高さはパイル糸の高さに応じた一定の高さとならざるをえなかった。このため、例えば立壁凹部に差し込む場合、フロアマットごとに立壁凹部の寸法を変える必要があった。或いは、立壁凹部の寸法が決まっている場合は、パイルの高さを変えたり、パイル糸の種類を変えるなどパイルの立毛条件を変えて対応しなければならないという問題があった。
【0007】
また、一旦フロアマットを形成した後にパイル糸の熱潰し処理を行うに際して、超音波や高周波による熱溶融処理を行おうとすると、打ち抜き用の型に入れて処理する必要があるが、この場合大型の型が必要となり実現が困難であった。また熱溶融やレーザ照射や振動溶着等の方法を用いて人手で部分的な処理を行おうとすると、パイルを潰す高さや加工幅が不揃いになったり非常に手間がかかるという問題があった。
【0008】
また、縁部のパイルを熱で潰すのでワンパターンのフロアマットしか得られず、縁部の色調を変えたり縁部に他の機能を付加するなどの多用な要求に答えることができないという問題もあった。
【0009】
【特許文献1】特開2003−182437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、立壁凹部などに装着が可能なフロアマットに関し、上記の問題を解決し、立壁凹部の様々な寸法にも容易に対応が可能であり、加工に手間がかからずコストを低く押さえることが可能であり、必要に応じてフロアマットの縁部に様々な機能を持たせることも可能なフロアマットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のフロアマットは、表材層が、下地層としての樹脂シートに積層一体化されてなるフロアマットであって、前記フロアマットの周縁部のうち少なくとも一部においてフロアマット耳部がフロアマット本体部に隣接して形成されており、フロアマット本体部では表材層としてのカーペットが前記樹脂シートに積層一体化されており、フロアマット耳部では表材層としての縁布が前記カーペットと突き合わされるようにして前記樹脂シートに積層一体化されており、フロアマット耳部の厚さがフロアマット本体部の厚さよりも少ないことを特徴とするフロアマットである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって、立壁凹部などに装着が可能なフロアマットに関し、立壁凹部の様々な寸法にも容易に対応が可能であり、加工に手間がかからずコストを低く押さえることが可能であり、必要に応じて縁部に様々な機能を持たせることも可能なフロアマットを提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明にかかるフロアマットの好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
本発明のフロアマットは、図1及び図1のA−A断面を示す図2に例示するように、表材層(110)が、下地層(120)としての樹脂シート(121)に積層一体化されてなるフロアマット(100)であって、前記フロアマットのある幅をもつ周縁部(101)のうち少なくとも一部においてフロアマット耳部(103)がフロアマット本体部(104)に隣接して形成されており、フロアマット本体部では表材層としてのカーペット(111)が前記樹脂シートに積層一体化されており、フロアマット耳部では表材層としての縁布(112)が、縁布の端縁と前記カーペットの端縁とが突き合わされるようにして前記樹脂シートに積層一体化されており、フロアマット耳部の厚さがフロアマット本体部の厚さよりも少ないフロアマット(100)である。
【0015】
前記下地層としての樹脂シートは、熱成型処理によって表材層と積層一体化が可能である限り特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂シート(例えば、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンなど)、熱可塑性エラストマーシート(例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマーなど)、或いは天然又は合成ゴムシート(例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴムなど)などを適用することができる。なお、樹脂シートの硬度(ショアーA硬度)は50〜90程度であるのが好ましく、65〜75程度であるのがより好ましい。また、樹脂シートの面密度は、500〜3000g/m2が好ましく、1000〜2000g/m2がより好ましい。
【0016】
前記表材層としてのカーペットは、前記フロアマット本体部を形成することができ、
また熱成型処理によって前記樹脂シートと積層一体化が可能である限り特に限定されず、例えば、タフテッドカーペット、ニードルパンチカーペット、緞通、フックカーペット、ウィルトンカーペット、アキスミンスターカーペットなどを適用することができる。またタフテッドカーペットとしては、例えばポリエステル繊維などの合成繊維からなるスパンボンド不織布を一次基布に用いたタフテッドカーペットであれば、下地層としての樹脂シートとの積層一体化の際、複雑な形状であってもカーペット端末のほつれが生じないため好ましい。
【0017】
また、前記表材層としてのカーペットの面密度は、400〜3000g/m2が好ましく、500〜1500g/m2がより好ましい。また、厚さは4〜15mmであることが好ましく、6〜12mmであることがより好ましい。厚さが4mm未満であれば、立壁凹部に装着する際の不具合が減少し、本願発明による効果も減少する場合がある。また、厚さが15mmを超えると、フロアマット耳部の縁布の上に毛倒れによるかぶりが発生して立壁凹部に装着する際の不具合が生じ易くなる場合がある。なお、タフト又はパイルを有するカーペットの厚さは、タフト又はパイルの先端からカーペットの下端面までの垂線の長さをスケールで測定した値を用いるものとする。但しタフト又はパイルには荷重をかけずに立ち上がっている状態で測定するものとし、任意に選択した20個所以上の測定値の平均値で表すものとする。また、タフト又はパイルを有していないカーペットの厚さは、JIS L1085−1998(不織布しん地試験方法)に記載される、6.1.2A法に準じて測定した値(ただし、荷重は2.0kPaとする)を用いるものとする。
【0018】
前記表材層としての縁布は、前記フロアマット耳部を形成することができる布帛であれば特に限定されず、例えば、不織布、織編物、あるいは表材層としてのカーペットと異なる他のカーペット、例えば表材層としてのカーペットよりも毛足の短いカーペットなどを挙げることができる。なかでも、不織布は表材層としてのカーペットと隣接させる際に、色合わせを容易に行うことが出来るので好ましい。また、ニードルパンチによって形成され、必要に応じて更に樹脂含浸を行って得られる不織布であれば、得られるフロアマット耳部がクッション性に富み表面の滑り性も優れるのでより好ましい。
【0019】
前記縁布を構成する主たる繊維の種類は、特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系繊維、ビニロン繊維および合成パルプなどの合成繊維に限らず、レーヨンなどの半合成繊維、あるいは綿およびパルプ繊維などの天然繊維をあげることができる。
【0020】
また、前記縁布の面密度は、150〜700g/m2が好ましく、300〜500g/m2がより好ましい。また、厚さは立壁凹部に挿入できる限り特に限定されるものではないが、前記表材層としてのカーペットの厚さよりも1〜10mm低い値であることが好ましく、3〜8mm低い値であることがより好ましい。なお、タフト又はパイルを有する縁布の厚さは、タフト又はパイルの先端から縁布の下端面までの垂線の長さをスケールで測定した値を用いるものとする。但しタフト又はパイルには荷重をかけずに立ち上がっている状態で測定するものとし、任意に選択した20個所以上の測定値の平均値で表すものとする。また、タフト又はパイルを有していない縁布の厚さは、JIS L1085−1998(不織布しん地試験方法)に記載される、6.1.2A法に準じて測定した値(ただし、荷重は2.0kPaとする)を用いるものとする。
【0021】
本発明のフロアマットは、図1及び図1のA−A断面を示す図2に例示するように、前記表材層(110)が、前記下地層(120)としての樹脂シート(121)に積層一体化されている。
【0022】
また本発明のフロアマットは、図1及び図1のA−A断面を示す図2に例示するように、フロアマットのある幅をもつ周縁部(101)のうち少なくとも一部においてフロアマット耳部(103)がフロアマット本体部分(104)に隣接して形成されている。このようなフロアマット耳部は、図1に例示するようなフロアマットの形状に限らず、例えば図4(a)(b)に例示するような、フロアマット(100、100’)の端縁からスリット(102、102’)が切り込まれた形状において、スリットが切り込まれた部分におけるフロアマットの周縁部(101、101’)にフロアマット耳部(112、112’)として形成されていることも可能である。なお図4(a)(b)は、シートを大きく前後に動かすことを可能とする大型のスライドレールが設置された自動車内のフロアパネル及びフロアカーペット上で、このスライドレール周りを隙間なく、位置ずれなく配設するに好適な形状をしたフロアマットの一例を示す図である。図4(a)はフロント側に敷設され、図4(b)はリヤ側に敷設され、スリット(102、102’)が座席スライドレールの大きさに適合する形状となっている。
【0023】
前記フロアマット耳部の幅は、フロアマットを敷設する際の固定手段によって異なり、特に限定されるものではないが、フロアマット使用時の有効面積を出来る限り確保する上で、3〜30mmが好ましく、5〜15mmがより好ましい。また、フロアマット耳部の幅は、部分的に異なっていることも可能である。
【0024】
本発明のフロアマットは、図2に例示するように、フロアマット本体部(104)では表材層(110)としてのカーペット(111)が樹脂シート(104)に積層一体化されており、フロアマット耳部(103)では表材層(110)としての縁布(112)が、縁布の端縁とカーペット(111)の端縁とが突き合わされるようにして樹脂シート(120)に積層一体化されており、フロアマット耳部の厚さがフロアマット本体部の厚さよりも少なくなっている。
【0025】
表層材と樹脂シートの積層一体化は、表層材と樹脂シートとが不離一体に貼り合わされている形態を意味し、例えば、表層材と樹脂シートとを重ねた後、樹脂シートを熱溶融させ表層材の組織の一部を樹脂シートの中に取り込むことで得ることが出来る。具体的には、例えば金型の上に、表層材を載置して、更にその上に樹脂シートを重ねて置き、プレス機で樹脂シートの上から加熱及び加圧を行うことで得ることが出来る。従って、フロアマット耳部を形成する場合は、例えば、プレス板の上に表材層としてのカーペットと表材層としての縁布とを各端面が突き合うようにして載置して、更にその上に樹脂シートを重ねて置き、プレス機で樹脂シートの上から加熱及び加圧を行うことで得ることが出来る。
【0026】
本発明のフロアマットでは、フロアマット耳部の厚さは、フロアマット本体部分の厚さよりも少なくなっている限り、特に限定されないが、フロアマット耳部の厚さはフロアマット本体部分の厚さよりも好ましくは、1〜10mm低い値であることが好ましく、3〜8mm低い値であることがより好ましい。なお、タフト又はパイルを有するフロアマット耳部又はフロアマット本体部分の厚さは、タフト又はパイルの先端からフロアマット耳部の下端面又はフロアマット本体部分の下端面までの垂線の長さをスケールで測定した値を用いるものとする。但しタフト又はパイルには荷重をかけずに立ち上がっている状態で測定するものとし、任意に選択した20個所以上の測定値の平均値で表すものとする。また、タフト又はパイルを有していないフロアマット耳部又はフロアマット本体部分の厚さは、JIS L1085−1998(不織布しん地試験方法)に記載される、6.1.2A法に準じて測定した値(ただし、荷重は2.0kPaとする)を用いるものとする。
【0027】
前記フロアマット耳部は、例えば図7に示されるような、フロアマット(ピースマット)におけるスリットの切れ込み端部(12)を固定する、エンドキャップ(40)を嵌めるために好適な構造となっている。また前記フロアマット耳部は、図5のC−C断面図である図9に示されるような、室内の床面(フロアパネル50)とこの床面から立ち上がる立壁(サイドトリム71)との境界部に形成した凹部(72)(立壁凹部)に差し込まれるために好適な構造となっている。あるいは、図3に例示するように、サイドトリム或いは座席スライドレールに敷設される立壁(140)の根元の立壁凹部(141)にフロアマット(100)のフロアマット耳部(103)が、フロアカーペット(130)と共に差し込まれた形態となっているように、前記フロアマット耳部はこのような立壁凹部に差し込むのに好適な構造となっている。
【0028】
本発明のフロアマットは、前述のようにフロアマット耳部がフロアマット本体部に隣接して形成されており、フロアマット本体部では表材層としてのカーペットが前記樹脂シートに積層一体化されており、フロアマット耳部では表材層としての縁布が前記カーペットと突き合わされるようにして前記樹脂シートに積層一体化されており、しかもフロアマット耳部の厚さがフロアマット本体部の厚さよりも少なくなっている。それゆえ、本発明のフロアマットは、立壁凹部の様々な寸法にも容易に対応が可能であり、また従来技術と比較して加工に手間がかからずコストを低く押さえることが可能であり、必要に応じて縁部に様々な機能を持たせることも可能であり、特にシートを大きく前後に動かすことを可能とする大型のスライドレールが設置された、バン、ワゴン形式の自動車内のフロアパネル及びフロアカーペット上に敷設するに好適なフロアマットである。
【0029】
以下、本発明の実施例につき説明するが、これは発明の理解を容易とするための好適例に過ぎず、本発明はこれら実施例の内容に限定されるものではない。
【実施例】
【0030】
(実施例1)
表材層用のカーペットとして、面密度100g/mのポリエステルスパンボンド不織布を一次基布に用いて、2640デシテックスのポリプロピレン繊維を面密度700g/mになるようにタフトして、さらにスチレンブタジエン共重合体によるバッキング処理を面密度250g/mになるように施した、厚さが7.5mm、面密度が1050g/mのタフテッドカーペットを準備した。次いで、表材層用の縁布として、3.3デシテックスのポリエステル繊維50%と6.6デシテックスのポリエステル繊維50%とからなる面密度350g/mのウエブにニードルパンチを行い、さらに変性アクリル酸エステル共重合体による接着処理を面密度50g/mになるように施した、厚さが3.0mm、面密度400g/mのニードルパンチ不織布を準備した。また、下地層用の樹脂シートとして、面密度1500g/mのスチレン系熱可塑性エラストマーからなる樹脂シートを準備した。次いで、図4に示す形態となるように、プレス板の上に前記表材層用のカーペット(タフテッドカーペット)と前記表材層用の縁布(ニードルパンチ不織布)とを各端面が突き合うようにして載置して、更にその上に前記樹脂シートを重ねて置き、プレス機で樹脂シートの上から加熱及び加圧処理を行った。
【0031】
この結果、図2に示すような本発明のフロアマットを得た。すなわち得られたフロアマット(100)は、表材層(110)が、下地層(120)としての樹脂シート(121)に積層一体化されており、前記フロアマットのある幅をもつ周縁部(101)のうち少なくとも一部においてフロアマット耳部(103)がフロアマット本体部(104)に隣接して形成されており、フロアマット本体部では表材層としてのカーペット(111)が前記樹脂シートに積層一体化されており、フロアマット耳部では表材層としての縁布(112)が縁布の端縁と前記カーペットの端縁とが突き合わされるようにして前記樹脂シートに積層一体化されており、フロアマット耳部の厚さがフロアマット本体部の厚さよりも少ないフロアマット(100)であった。また、得られたフロアマット(100)は、フロアマット耳部(103)の厚さが4.5mmであり、フロアマット本体部(104)の厚さが9.0mmであり、樹脂シート(121)部分の厚さは1.5mmであった。また、フロアマット耳部(103)の幅は8mmであった。このように、フロアマット耳部の厚さがフロアマット本体部の厚さよりも少ないので、図3に示すサイドトリム或いは座席スライドレールに敷設される立壁凹部(141)にフロアマット耳部(103)を容易にしかも位置ずれなく差し込むことができた。
【0032】
(比較例1)
実施例1において、表材層用の縁布として、3.3デシテックスのポリエステル繊維50%と6.6デシテックスのポリエステル繊維50%とからなる面密度875g/mのウエブにニードルパンチを行い、さらに変性アクリル酸エステル共重合体による接着処理を面密度125g/mになるように施した、厚さが7.5mm、面密度1000g/mのニードルパンチ不織布を準備したこと、以外は実施例1と同様にして、フロアマットを得た。得られたフロアマット(100)は、フロアマット耳部(103)の厚さが9.0mmであり、フロアマット本体部(104)の厚さが9.0mmであり、樹脂シート(121)部分の厚さは1.5mmであった。また、フロアマット耳部(103)の幅は8mmであった。このように、フロアマット耳部の厚さがフロアマット本体部の厚さと同じであったので、図3に示すサイドトリム或いは座席スライドレールに敷設される立壁凹部(141)にフロアマット耳部(103)を容易に差し込むことができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のフロアマットの例を示す図である。
【図2】図1のA−A断面を示す図である。
【図3】本発明のフロアマットのフロアマット耳部を立壁凹部に差し込んだ状態を示す図である。
【図4】本発明のフロアマットの別の例として、座席スライドレールに適合するスリットが切り込まれたフロアマットを示す図であり、(a)はフロント側用、(b)はリヤ側用の図である。
【図5】従来のフロアマット(ピースマット)を示す図であり、フロアマットが自動車の室内床面に敷設されている状態を示す図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】図5の座席スライドレール周りの構造を示す分解斜視図である。
【図8】図5のB−B断面図であり、座席スライドレールの端部でフロアマットをエンドキャップで固定している状態を示す図である。
【図9】図5のC−C断面図であり、自動車室内の床面とこの床面から立ち上がる立壁との境界部付近の立壁凹部を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
100、100’ フロアマット
101、101’ フロアマットの周縁部
102、102’ スリット
103 フロアマット耳部
104 フロアマット本体部
110 表材層
111 カーペット
112 縁布
120 下地層
121 樹脂シート
130 フロアカーペット
140 立壁
141 立壁凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表材層が、下地層としての樹脂シートに積層一体化されてなるフロアマットであって、前記フロアマットの周縁部のうち少なくとも一部においてフロアマット耳部がフロアマット本体部に隣接して形成されており、フロアマット本体部では表材層としてのカーペットが前記樹脂シートに積層一体化されており、フロアマット耳部では表材層としての縁布が前記カーペットと突き合わされるようにして前記樹脂シートに積層一体化されており、フロアマット耳部の厚さがフロアマット本体部の厚さよりも少ないことを特徴とするフロアマット。
【請求項2】
前記フロアマットの形状が、フロアマットの端縁から少なくとも1つのスリットが切り込まれた形状であり、前記スリットが切り込まれた部分におけるフロアマットの周縁部に前記フロアマット耳部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフロアマット。
【請求項3】
前記カーペットがスパンボンド不織布を一次基布に用いたタフテッドカーペットであり、且つ前記縁布がニードルパンチによって形成された不織布であることを特徴とする請求項1または2に記載のフロアマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−44600(P2006−44600A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231951(P2004−231951)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000229542)日本バイリーン株式会社 (378)
【Fターム(参考)】