説明

フードロック装置の操作ケーブル組付構造及びフードロック装置の操作ケーブル組付方法

【課題】ベースプレートをラジエータサポートに固定した後に操作ケーブルを組み付けることができるフードロック装置の操作ケーブル組付構造及びフードロック装置の操作ケーブル組付方法を得る。
【解決手段】ベースプレート24は、第一係止部40Aに連通して操作ケーブル14のアウタ部材14Cを第一係止部40Aへ通すための通し部40Bがラジエータサポート12側とは反対側へ向けて開口しており、ポール42の第二係止部50Aは、ラジエータサポート12側とは反対側へ向けて開口している。このため、操作ケーブル14の組付時には、操作ケーブル14の先端係止部14Bを第二係止部50Aとの係止位置に配置してから、操作ケーブル14を第二係止部50Aの開口内及び通し部40Bの開口内へ通し、操作ケーブル14のアウタ部材14Cを第一係止部40Aへ係止させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フードロック装置の操作ケーブル組付構造及びフードロック装置の操作ケーブル組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフードロック装置においては、ロッキングレバー(ポール)の先端にケーブルワイヤ(操作ケーブル)の先端係止部が係止されている(例えば、特許文献1参照)。このような係止構造は、フードロック装置のベースプレートとラジエータサポートとの間に設けられ、ベースプレートをラジエータサポートに締結させる前にケーブルワイヤをロッキングレバー側に係止させる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−269201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構造では、ベースプレートをラジエータサポートに締結した後にケーブルワイヤを組み付けることができないので、ケーブルワイヤの組付作業性が良くない。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、ベースプレートをラジエータサポートに固定した後に操作ケーブルを組み付けることができるフードロック装置の操作ケーブル組付構造及びフードロック装置の操作ケーブル組付方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明のフードロック装置の操作ケーブル組付構造は、ラジエータサポートに固定され、側部に操作ケーブルのアウタ部材が係止される第一係止部を備えると共に、前記第一係止部に連通して前記操作ケーブルのアウタ部材を前記第一係止部へ通すための通し部が前記ラジエータサポート側とは反対側へ向けて開口するベースプレートと、前記ベースプレートの前記ラジエータサポートとの対向面側に回転可能に固定され、前記操作ケーブルの先端係止部が係止される第二係止部を備えると共に、前記第二係止部が前記操作ケーブルの挿通用として装置幅方向に貫通しかつ前記ラジエータサポート側とは反対側へ向けて開口するポールと、を有する。
【0007】
請求項1に記載する本発明のフードロック装置の操作ケーブル組付構造によれば、ベースプレートは、ラジエータサポートに固定されており、ベースプレートの側部における第一係止部には、操作ケーブルのアウタ部材が係止される。これに対して、ベースプレートのラジエータサポートとの対向面側には、ポールが回転可能に固定されており、このポールの第二係止部には、操作ケーブルの先端係止部が係止される。
【0008】
ここで、ベースプレートは、第一係止部に連通して操作ケーブルのアウタ部材を第一係止部へ通すための通し部がラジエータサポート側とは反対側へ向けて開口しており、ポールの第二係止部は、操作ケーブルの挿通用として装置幅方向に貫通しかつラジエータサポート側とは反対側へ向けて開口している。このため、操作ケーブルの組付時には、ベースプレートをラジエータサポートに固定した後であっても、操作ケーブルの先端係止部を第二係止部との係止位置に配置してから、操作ケーブルを第二係止部の開口内及び通し部の開口内へ通し、操作ケーブルのアウタ部材を第一係止部へ係止させることができる。
【0009】
請求項2に記載する本発明のフードロック装置の操作ケーブル組付構造は、請求項1記載の構成において、前記ポールは、前記第二係止部が前記操作ケーブルの先端係止部を係止させた状態で前記先端係止部の前記ラジエータサポート側とは反対側の部位を受ける受部を備えている。
【0010】
請求項2に記載する本発明のフードロック装置の操作ケーブル組付構造によれば、ポールは、第二係止部が操作ケーブルの先端係止部を係止させた状態で、受部が操作ケーブルの先端係止部のラジエータサポート側とは反対側の部位を受ける。このため、操作ケーブルの先端係止部は、第二係止部及び受部によって保持される。
【0011】
請求項3に記載する本発明のフードロック装置の操作ケーブル組付構造は、請求項2記載の構成において、前記ポールは、前記受部から前記第二係止部側とは反対側へ延設されたリブを備えている。
【0012】
請求項3に記載する本発明のフードロック装置の操作ケーブル組付構造によれば、ポールのリブは、受部から第二係止部側とは反対側へ延設されている。このため、操作ケーブルの組付時には、受部を挟んで第二係止部側とは反対側へ操作ケーブルの先端係止部側が誤って通されるといった誤組付が、リブによって防止又は抑制される。
【0013】
請求項4に記載する本発明のフードロック装置の操作ケーブル組付構造は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の構成において、前記第二係止部は、前記ベースプレートの前記ラジエータサポート側とは反対側から見て前記ベースプレートの下方側に位置している。
【0014】
請求項4に記載する本発明のフードロック装置の操作ケーブル組付構造によれば、ポールの第二係止部は、ベースプレートのラジエータサポート側とは反対側から見てベースプレートの下方側に位置している。このため、操作ケーブルの組付時には、操作ケーブルの先端係止部がポールの第二係止部側へ容易に配置される。
【0015】
請求項5に記載する本発明のフードロック装置の操作ケーブル組付構造は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の構成において、前記第二係止部から前記ラジエータサポート側とは反対側へ延設部が延設されると共に、前記延設部の先端が前記ベースプレートに対して前記ラジエータサポート側とは反対側に突出している。
【0016】
請求項5に記載する本発明のフードロック装置の操作ケーブル組付構造によれば、第二係止部からラジエータサポート側とは反対側へ延設部が延設されると共に、延設部の先端がベースプレートに対してラジエータサポート側とは反対側に突出している。このため、操作ケーブルの組付時には、ポールの第二係止部の位置が組付作業者によって容易に認識される。
【0017】
請求項6に記載する本発明のフードロック装置の操作ケーブル組付構造は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の構成において、前記ベースプレートは、前記操作ケーブルの先端係止部側を前記第二係止部の下方側から前記第二係止部側へ案内可能なガイド部を備えている。
【0018】
請求項6に記載する本発明のフードロック装置の操作ケーブル組付構造によれば、ベースプレートのガイド部は、操作ケーブルの先端係止部側を第二係止部の下方側から第二係止部側へ案内可能となっている。このため、操作ケーブルの組付時には、ベースプレートのガイド部によって、操作ケーブルの先端係止部側が第二係止部の下方側から第二係止部側へ案内される。
【0019】
請求項7に記載する本発明のフードロック装置の操作ケーブル組付方法は、ラジエータサポートに固定され、側部に操作ケーブルのアウタ部材が係止される第一係止部を備えると共に、前記第一係止部に連通して前記操作ケーブルのアウタ部材を前記第一係止部へ通すための通し部が前記ラジエータサポート側とは反対側へ向けて開口するベースプレートと、前記ベースプレートの前記ラジエータサポートとの対向面側に回転可能に固定され、前記操作ケーブルの先端係止部が係止される第二係止部を備えると共に、前記第二係止部が前記操作ケーブルの挿通用として装置幅方向に貫通しかつ前記ラジエータサポート側とは反対側へ向けて開口するポールと、を備えるフードロック装置の操作ケーブルの組付けに適用されるフードロック装置の操作ケーブル組付方法であって、前記操作ケーブルの先端係止部を前記第二係止部との係止位置に配置する第一工程と、前記操作ケーブルを前記第二係止部の開口内及び前記通し部の開口内へ通し、前記操作ケーブルのアウタ部材を前記第一係止部に係止する第二工程と、を有する。
【0020】
請求項7に記載する本発明のフードロック装置の操作ケーブル組付方法によれば、ラジエータサポートに固定され、側部に操作ケーブルのアウタ部材が係止される第一係止部を備えると共に、第一係止部に連通して操作ケーブルのアウタ部材を第一係止部へ通すための通し部がラジエータサポート側とは反対側へ向けて開口するベースプレートと、ベースプレートのラジエータサポートとの対向面側に回転可能に固定され、操作ケーブルの先端係止部が係止される第二係止部を備えると共に、第二係止部が操作ケーブルの挿通用として装置幅方向に貫通しかつラジエータサポート側とは反対側へ向けて開口するポールと、を備えるフードロック装置の操作ケーブルの組付けに、本発明のフードロック装置の操作ケーブル組付方法が適用される。第一工程では、操作ケーブルの先端係止部をポールの第二係止部との係止位置に配置する。第二工程では、操作ケーブルを第二係止部の開口内及び通し部の開口内へ通し、操作ケーブルのアウタ部材を第一係止部に係止する。このため、ベースプレートをラジエータサポートに固定した後に操作ケーブルを組み付けることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載のフードロック装置の操作ケーブル組付構造によれば、ベースプレートをラジエータサポートに固定した後に操作ケーブルを組み付けることができるという優れた効果を有する。
【0022】
請求項2に記載のフードロック装置の操作ケーブル組付構造によれば、操作ケーブルの先端係止部を第二係止部及び受部によって保持することができるという優れた効果を有する。
【0023】
請求項3に記載のフードロック装置の操作ケーブル組付構造によれば、操作ケーブルの組付時には、受部を挟んで第二係止部側とは反対側へ操作ケーブルの先端係止部側が誤って通されるといった誤組付を、リブによって防止又は抑制することができるという優れた効果を有する。
【0024】
請求項4に記載のフードロック装置の操作ケーブル組付構造によれば、操作ケーブルの組付時には、操作ケーブルの先端係止部をポールの第二係止部側へ容易に配置することができるという優れた効果を有する。
【0025】
請求項5に記載のフードロック装置の操作ケーブル組付構造によれば、操作ケーブルの組付時に、組付作業者は、ポールの第二係止部の位置を容易に認識することができるという優れた効果を有する。
【0026】
請求項6に記載のフードロック装置の操作ケーブル組付構造によれば、操作ケーブルの組付時には、ベースプレートのガイド部によって、操作ケーブルの先端係止部側が第二係止部の下方側から第二係止部側へ案内されるので、操作ケーブルの組付性を向上することができるという優れた効果を有する。
【0027】
請求項7に記載のフードロック装置の操作ケーブル組付方法によれば、ベースプレートをラジエータサポートに固定した後に操作ケーブルを組み付けることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るフードロック装置の操作ケーブル組付構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るフードロック装置の操作ケーブル組付構造を示す正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るフードロック装置の操作ケーブル組付構造を示す平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るフードロック装置の操作ケーブル組付構造に適用されるポールを示す正面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るフードロック装置の操作ケーブル組付構造に適用されるポールを示す側面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るフードロック装置の操作ケーブル組付方法を説明するための斜視図である。図6(A)は、操作ケーブルの先端係止部がポールの第二係止部との係止位置の車両下方側に配置された状態を示す。図6(B)は、第一工程が完了した状態を示す。図6(C)は、第二工程が完了した状態を示す。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るフードロック装置の操作ケーブル組付構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るフードロック装置の操作ケーブル組付構造及びフードロック装置の操作ケーブル組付方法について図1〜図6を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRはフードロック装置20が組み付けられた状態での車両前方側を示しており、矢印UPはフードロック装置20が組み付けられた状態での車両上方側を示しており、矢印Wはフードロック装置20が組み付けられた状態での車両幅方向を示している。
【0030】
図1に示されるフードロック装置20は、エンジンルーム10を開閉可能に覆うフード(図示省略)のロック用とされ、車両前端部においてラジエータサポート12の上部を構成するラジエータサポートアッパ12Aに固定されている。なお、図1に示すフードロック装置20では、操作ケーブル組付構造22と直接関係しないフードロック機構部の大部分の図示を省略している。
【0031】
図1及び図2に示されるように、フードロック装置20は、車両正面視で略十字形状に形成された板状のベースプレート24を備えている。ベースプレート24の幅方向中央側を構成する本体部26は、一般面が車両上下方向及び車両幅方向を含む面を面方向として配置されている。本体部26の幅方向中央部には、フード(図示省略)側のストライカ(図示省略)を入り込ませるための切欠部26Aが形成されている。この切欠部26Aは、ベースプレート24の上端で開口すると共に略車両上下方向に沿って長手方向とされ、ベースプレート24の厚さ方向に貫通して形成されている。
【0032】
また、ベースプレート24は、車両幅方向の両側が車両前方側に略直角に屈曲された側壁部28、30(図1参照)を備えると共に、側壁部28、30の車両前方側の端部からは互いに離反する方向へ延設された取付片32、34が設けられている。また、ベースプレート24は、車両下方側が車両前方側に略直角に屈曲された下壁部36(図1参照)を備えると共に、下壁部36の車両前方側の端部からは車両下方側へ延設された取付片38が設けられている。
【0033】
ベースプレート24の取付片32、34、38には、ボルト挿通孔32A、34A、38Aが貫通形成されている。ボルト挿通孔32A、34A、38Aには、ボルト(図示省略)が挿通され、当該ボルトの先端側がラジエータサポート12のラジエータサポートアッパ12A側のナット(図示省略)で螺合されることによって、ベースプレート24がラジエータサポートアッパ12A(ラジエータサポート12)に固定されている。
【0034】
図1に示されるように、ベースプレート24の側壁部30の下部には、ラジエータサポート12のラジエータサポートアッパ12A側とは反対側(車両後方側)から直線状に切り欠かれた切欠部40が車両前後方向を長手方向として形成されている。側部としての側壁部30は、操作ケーブル14(「フードロックケーブル」、「フードオープナケーブル」等ともいう)のアウタ部材14Cが係止される第一係止部40Aを切欠部40の反開口側に備えると共に、切欠部40の開口側においては第一係止部40Aに連通して操作ケーブル14のアウタ部材14Cを第一係止部40Aへ通すための通し部40Bがラジエータサポートアッパ12A(ラジエータサポート12)側とは反対側へ向けて開口している。
【0035】
操作ケーブル14は、ワイヤを備えたケーブル本体14Aと、ケーブル本体14Aの先端部に設けられた球状の先端係止部14Bと、先端係止部14Bから若干離れてケーブル本体14Aの外周側に設けられたアウタ部材14Cと、を備えており、アウタ部材14Cは、外周部に第一係止部40Aへの係止用とされる係止溝114Cが形成されている。また、操作ケーブル14の図示しない基端側は、例えば、車室内に設けられたフードオープナノブに直接又は間接的に連結されている。
【0036】
ベースプレート24の本体部26におけるラジエータサポートアッパ12A(ラジエータサポート12)との対向面26B側には、ポール42(「パウル」、「ロッキングレバー」ともいう。)が回転可能に固定されている。より具体的には、ポール42は、レバー状とされ、その基部44がピン46によって車両前後方向に貫通されてベースプレート24に対して(ピン46回りに)回転移動可能に取り付けられている。
【0037】
ポール42の側部には、係合凹部48が形成されている。この係合凹部48は、フードロック装置20における図示しないラッチの係合凸部と係合(嵌合)可能とされて当該ラッチの保持用とされている。なお、前記ラッチは、図示しないフード側に設けられたストライカと係合してストライカを保持するロック位置とストライカと係合しない非ロック位置との間で回転移動可能とされている。また、ポール42は、ロック位置にある前記ラッチを保持する位置方向(図1では、ピン46を中心とした反時計回り方向に回転移動する方向)へスプリング(図示省略)によって常に付勢されている。
【0038】
また、ポール42の下部は、二股状とされており、車両正面視で左側(側壁部30側)には、湾曲片状の第一脚部50が形成されている。図1に示されるように、第一脚部50は、ラジエータサポートアッパ12A側に曲げられると共にラジエータサポートアッパ12A側とは反対側に折り返されており、図5に示されるポール42の側面視で車両後方側(ラジエータサポートアッパ12A(図1参照)側とは反対側)へ向けて開口したJ字形状に形成されている。
【0039】
図1に示されるように、第一脚部50における折返部側は、操作ケーブル14の先端係止部14Bが係止される第二係止部50Aとされている。第二係止部50Aは、操作ケーブル14の挿通用として装置幅方向に貫通しかつラジエータサポートアッパ12A(ラジエータサポート12)側とは反対側へ向けて開口しており、ベースプレート24のラジエータサポートアッパ12A(ラジエータサポート12)側とは反対側から見てベースプレート24の下方側に位置している。また、第二係止部50Aに操作ケーブル14の先端係止部14Bが係止された状態では、第二係止部50Aの側面に先端係止部14Bが接すると共に、第二係止部50Aの折返部内にケーブル本体14Aが通されている。
【0040】
また、図1及び図3(フードロック装置20の平面図)に示されるように、第一脚部50において、第二係止部50Aからラジエータサポートアッパ12A(ラジエータサポート12)側とは反対側へ延設された延設部50Bの先端がベースプレート24に対してラジエータサポートアッパ12A(ラジエータサポート12)側とは反対側に突出している。なお、延設部50Bの先端を視認しやすくするために、延設部50Bの先端(又は延設部50Bの先端を含むポール42全体)の色とベースプレート24の色とが異なる色に設定されてもよい。
【0041】
図1に示されるように、二股状とされたポール42の下部において、車両正面視で第一脚部50の右側側方には、車両正面視で略C字形状とされた第二脚部52が形成されている。第二脚部52の中間部で第一脚部50側に接近した部位は、第二係止部50Aが操作ケーブル14の先端係止部14Bを係止させた状態で先端係止部14Bのラジエータサポートアッパ12A(ラジエータサポート12)側とは反対側の部位を受ける受部52Aとされている。
【0042】
また、図1及び図4(ポール42の正面図)に示されるように、第二脚部52の先端部は、受部52Aから第二係止部50A側とは反対側へ延設されたリブ52Bとされている。このリブ52Bは、正面視でポール基端側からポール先端側へ向けて第二係止部50A側とは反対側へ傾斜している。
【0043】
また、図1に示されるように、ベースプレート24の取付片38において、リブ52Bの近傍となる側端面には、略車両上下方向に延在するガイド部38Bが形成されている。このガイド部38Bは、操作ケーブル14の先端係止部14B側を第二係止部50Aの下方側から第二係止部50A側へ(換言すれば、概ね第二係止部50Aの近傍へ向けて)案内可能とされている。
【0044】
(操作ケーブル組付方法及び作用・効果)
次に、フードロック装置20の操作ケーブル14の組付けに適用されるフードロック装置20の操作ケーブル組付方法について図6を参照しながら説明すると共に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。なお、本実施形態では、フードロック装置20のベースプレート24がラジエータサポート12に固定された状態で操作ケーブル14が組み付けられる場合を説明する。
【0045】
図6(A)に示されるように、まず、組付作業者は、操作ケーブル14の先端係止部14Bをケーブル本体14Aの車両前方側へ向けた状態でポール42の第二係止部50Aとの係止位置の車両下方側に配置する。
【0046】
ここで、ポール42の第二係止部50Aからラジエータサポート12側とは反対側へ延設された延設部50Bの先端が、ベースプレート24に対してラジエータサポート12側とは反対側に突出している(図3参照)ので、組付作業者は、ポール42の第二係止部50Aの位置(操作ケーブル14の組付位置)を容易に認識することができる。
【0047】
次に、組付作業者が操作ケーブル14の先端係止部14B側をベースプレート24のガイド部38Bに沿わせて上方側へ持ち上げると、操作ケーブル14の先端係止部14B側は、ガイド部38Bによって第二係止部50Aの下方側から第二係止部50A側へ案内される。また、ポール42のリブ52Bが受部52Aから第二係止部50A側とは反対側へ延設されているので、受部52Aを挟んで第二係止部50A側とは反対側へ操作ケーブル14の先端係止部14B側が誤って通されるといった誤組付が、リブ52Bによって防止又は抑制される。さらに、ポール42の第二係止部50Aがベースプレート24のラジエータサポート12側とは反対側から見てベースプレート24の下方側に位置しているので、組付作業者は、操作ケーブル14の先端係止部14Bをポール42の第二係止部50A側(係止位置)に容易に配置することができる。
【0048】
これらにより、組付作業者は、図6(B)に示されるように、操作ケーブル14の先端係止部14Bをポール42の第二係止部50Aとの係止位置に配置する(第一工程)。
【0049】
次に、組付作業者は、操作ケーブル14を先端係止部14Bの係止位置回りに回転させるようにして、図6(C)に示されるように、操作ケーブル14を第二係止部50Aの開口内及び通し部40Bの開口内へ通し、操作ケーブル14のアウタ部材14Cを第一係止部40Aに係止する(第二工程)。これにより操作ケーブル14を先端係止部14Bがポール42の第二係止部50Aに係止される。
【0050】
以上のようにベースプレート24がラジエータサポート12に固定された後に組付作業者が操作ケーブル14を組み付けられるのは、ベースプレート24において第一係止部40Aに連通して操作ケーブル14のアウタ部材14Cを第一係止部40Aへ通すための通し部40Bがラジエータサポート12側とは反対側へ向けて開口すると共に、ポール42の第二係止部50Aが操作ケーブル14の挿通用として装置幅方向に貫通しかつラジエータサポート12側とは反対側へ向けて開口しているからである。
【0051】
また、ポール42は、第二係止部50Aが操作ケーブル14の先端係止部14Bを係止させた状態で、受部52Aが操作ケーブル14の先端係止部14Bのラジエータサポート12側とは反対側の部位を受ける。このため、操作ケーブル14の先端係止部14Bは、第二係止部50A及び受部52Aによって保持される。また、操作ケーブル14の先端係止部14Bがラジエータサポート12側とは反対側へ抜けるのを受部52Aによって阻止(防止又は抑制)できる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係るフードロック装置20の操作ケーブル組付構造22及びフードロック装置20の操作ケーブル組付方法によれば、ベースプレート24をラジエータサポート12に固定した後に操作ケーブル14を組み付けることができる。換言すれば、操作ケーブル14の組付性が向上する。
【0053】
ここで、対比構造と比較しながら補足説明すると、例えば、ベースプレートの側壁部の下部でラジエータサポート側へ延出された部位に形成されてかつ操作ケーブルのアウタ部材を当該ベースプレートの係止部へ通すための通し部位が上方側のみに向けて開口すると共に、操作ケーブルの先端係止部を係止するためのポールの係止部がラジエータサポート側へ向けて開口している対比構造では、作業スペースの確保や視認性の確保等のために、ベースプレートをラジエータサポートに締結していない状態で操作ケーブルの組付けや取外しをなければならない。これに対して、本実施形態に係るフードロック装置20の操作ケーブル組付構造22では、このような制約がない。つまり、本実施形態に係るフードロック装置20の操作ケーブル組付構造22では、作業順序の自由化(作業順序の選択可能化)を実現できる。
【0054】
また、前記対比構造では、フードロック装置のベースプレートをラジエータサポートに締結する前でないと操作ケーブルを組み付けられないので、例えば、ラジエータサポートの車両後方側にベースプレートを配置する構成の場合、ラジエータサポートを車両に組み付けた後、組付作業者は、操作ケーブルが組み付けられたフードロック装置のベースプレートを、体を捻ってラジエータサポートに締結する必要がある。これに対して、本実施形態に係るフードロック装置20の操作ケーブル組付構造22では、フードロック装置20のベースプレート24をラジエータサポート12に締結してユニット化(ASSY化)してから当該ラジエータサポート12を車両に組み付け、その後に操作ケーブル14を組み付けることが可能になり(フロントエンドモジュール化)、作業姿勢が改善される。
【0055】
また、前記対比構造では、エンジンルーム内の修理の際に、車両からラジエータサポートを外す必要がある場合、操作ケーブルを外すためにフードロック装置のベースプレートをラジエータサポートから外す必要がある。これに対して、本実施形態に係るフードロック装置20の操作ケーブル組付構造22では、エンジンルーム10内の修理の際に、車両からラジエータサポート12を外す必要があっても、フードロック装置20のベースプレート24がラジエータサポート12に締結された状態で操作ケーブル14を外せるので、ラジエータサポート12からフードロック装置20のベースプレート24を外さないで車両からラジエータサポート12を外すことができる。
【0056】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るフードロック装置60の操作ケーブル組付構造62及びフードロック装置60の操作ケーブル組付方法について、図7を用いて説明する。図7には、本発明の第2の実施形態に係るフードロック装置60の操作ケーブル組付構造62が斜視図(第1の実施形態における図1に相当する斜視図)にて示されている。
【0057】
この図に示されるように、フードロック装置60の操作ケーブル組付構造62は、第一係止部40A(図1参照)に代えて、上方側へ向けて開口した第一係止部64Aを備える点で、第1の実施形態に係るフードロック装置20の操作ケーブル組付構造22(図1参照)とは異なる。他の構成は、第1の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。なお、フードロック装置60は、以下に記載する点を除き、第1の実施形態におけるフードロック装置20(図1参照)と同様の構成である。
【0058】
図7に示されるように、ベースプレート24の側壁部30の下部には、ラジエータサポート12のラジエータサポートアッパ12A側とは反対側(車両後方側)から略T字状に切り欠かれた切欠部64が形成されている。側壁部30は、操作ケーブル14のアウタ部材14Cが係止される第一係止部64Aを切欠部64のT字形状下部側に備えると共に、切欠部64の開口側においては操作ケーブル14のアウタ部材14Cを第一係止部64Aへ通すための通し部64Bがラジエータサポート12(ラジエータサポートアッパ12A)側とは反対側へ向けて開口している。なお、側壁部30には、切欠部64に代えて、第一係止部64Aと同様の形状及び通し部64Bと同様の形状を備えて屈曲状(側面視で上下逆向きの略L字状)に切り欠かれた切欠部が形成されてもよい。
【0059】
また、フードロック装置60の操作ケーブル組付方法としては、第二工程において、組付作業者は、操作ケーブル14を第二係止部50Aの開口内及び通し部64Bの開口内へ通し、操作ケーブル14のアウタ部材14Cを第一係止部64Aに係止する。他の点は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0060】
上記構成によっても、前述した第1実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0061】
[実施形態の補足説明]
なお、上記実施形態では、ポール42が第二脚部52に受部52Aを備えており、操作ケーブル14の先端係止部14Bをより安定的に保持する観点からはこのような構成が好ましいが、ポールは、例えば、受部52Aの代わりに第一脚部50にて第二係止部50Aの開口側を狭く設定することで、ケーブル本体14Aの先端側をラジエータサポートアッパ12A側とは反対側へ抜けにくくしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、ポール42が第二脚部52にリブ52Bを備えており、誤組付を防止又は抑制する観点からはこのような構成が好ましいが、ポールはリブを備えない構成であってもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、ポール42の第二係止部50Aは、ベースプレート24のラジエータサポート12側とは反対側から見てベースプレート24の下方側に位置しており、操作ケーブル14の先端係止部14Bをポール42の第二係止部50A側へ容易に配置するためにはこのような構成が好ましいが、ポールの第二係止部は、ベースプレートのラジエータサポート側とは反対側から見て、例えば、ベースプレートよりも僅かに上方側に位置している等、ベースプレートの下方側に位置していなくてもよい。
【0064】
さらに、上記実施形態では、ポール42における延設部50Bの先端がベースプレート24に対してラジエータサポート12側とは反対側に突出しており、組付作業者がポール42の第二係止部50Aの位置を容易に認識できるようにするためにはこのような構成が好ましいが、ポールにこのような延設部が設けられていなくてもよい。
【0065】
さらにまた、上記実施形態では、ベースプレート24は、操作ケーブル14の先端係止部14B側を第二係止部50Aの下方側から第二係止部50A側へ案内可能なガイド部38Bを備えており、操作ケーブル14の組付性向上の観点からはこのような構成が好ましいが、ベースプレートはこのようなガイド部を備えていなくてもよい。
【0066】
なお、上記実施形態では、ベースプレート24がラジエータサポートアッパ12Aの車両後方側に配設されているが、ベースプレートはラジエータサポートアッパの車両前方側に配設されていてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、操作ケーブル14の先端係止部14Bが球状とされているが、操作ケーブルの先端係止部は、例えば、円柱状等のような他の形状の先端係止部であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
12 ラジエータサポート
14 操作ケーブル
14B 先端係止部
14C アウタ部材
20 フードロック装置
22 操作ケーブル組付構造
24 ベースプレート
26B 対向面
30 側壁部(側部)
38B ガイド部
40A 第一係止部
40B 通し部
42 ポール
50A 第二係止部
50B 延設部
52A 受部
52B リブ
60 フードロック装置
62 操作ケーブル組付構造
64A 第一係止部
64B 通し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジエータサポートに固定され、側部に操作ケーブルのアウタ部材が係止される第一係止部を備えると共に、前記第一係止部に連通して前記操作ケーブルのアウタ部材を前記第一係止部へ通すための通し部が前記ラジエータサポート側とは反対側へ向けて開口するベースプレートと、
前記ベースプレートの前記ラジエータサポートとの対向面側に回転可能に固定され、前記操作ケーブルの先端係止部が係止される第二係止部を備えると共に、前記第二係止部が前記操作ケーブルの挿通用として装置幅方向に貫通しかつ前記ラジエータサポート側とは反対側へ向けて開口するポールと、
を有するフードロック装置の操作ケーブル組付構造。
【請求項2】
前記ポールは、前記第二係止部が前記操作ケーブルの先端係止部を係止させた状態で前記先端係止部の前記ラジエータサポート側とは反対側の部位を受ける受部を備えている請求項1記載のフードロック装置の操作ケーブル組付構造。
【請求項3】
前記ポールは、前記受部から前記第二係止部側とは反対側へ延設されたリブを備えている請求項2記載のフードロック装置の操作ケーブル組付構造。
【請求項4】
前記第二係止部は、前記ベースプレートの前記ラジエータサポート側とは反対側から見て前記ベースプレートの下方側に位置している請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のフードロック装置の操作ケーブル組付構造。
【請求項5】
前記第二係止部から前記ラジエータサポート側とは反対側へ延設部が延設されると共に、前記延設部の先端が前記ベースプレートに対して前記ラジエータサポート側とは反対側に突出している請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のフードロック装置の操作ケーブル組付構造。
【請求項6】
前記ベースプレートは、前記操作ケーブルの先端係止部側を前記第二係止部の下方側から前記第二係止部側へ案内可能なガイド部を備えている請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のフードロック装置の操作ケーブル組付構造。
【請求項7】
ラジエータサポートに固定され、側部に操作ケーブルのアウタ部材が係止される第一係止部を備えると共に、前記第一係止部に連通して前記操作ケーブルのアウタ部材を前記第一係止部へ通すための通し部が前記ラジエータサポート側とは反対側へ向けて開口するベースプレートと、前記ベースプレートの前記ラジエータサポートとの対向面側に回転可能に固定され、前記操作ケーブルの先端係止部が係止される第二係止部を備えると共に、前記第二係止部が前記操作ケーブルの挿通用として装置幅方向に貫通しかつ前記ラジエータサポート側とは反対側へ向けて開口するポールと、を備えるフードロック装置の操作ケーブルの組付けに適用されるフードロック装置の操作ケーブル組付方法であって、
前記操作ケーブルの先端係止部を前記第二係止部との係止位置に配置する第一工程と、
前記操作ケーブルを前記第二係止部の開口内及び前記通し部の開口内へ通し、前記操作ケーブルのアウタ部材を前記第一係止部に係止する第二工程と、
を有するフードロック装置の操作ケーブル組付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate