説明

ブライトストックブレンドの製造方法

【課題】高粘度指数で高粘度のブライトストック基油及び摩耗安定性を向上したギア油配合物を提供すること。
【解決手段】100℃での粘度が8〜25mm/秒のパラフィン系基油成分と、残留脱アスファルト油成分とを含むブライトストック基油ブレンド。該ブレンドはギア油又はシリンダー油配合物の一部として使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブライトストックブレンド、ブライトストックブレンドの製造方法及びその使用法に向けたものである。
【0002】
GB−A−1496045には高粘度基油の製造方法が記載されている。この文献には、原油供給源の真空残留物に対し、まずプロパン脱アスファルト工程を行なって脱アスファルト油(DAO)を得ることが記載されている。更にDAOに対し、フルフラル抽出処理を行なって多環式化合物を除去している。多環式化合物は、粘度指数が低い上、酸化安定性が悪いので望ましくない。フルフラル抽出後、得られた油には、流動点を降下させるため、溶剤脱蝋工程が行なわれる。最後に脱蝋油は水素化仕上げされる。
【0003】
US−A−4592832は、軽質アラビアン真空残留物から100℃での動粘度が37mm/秒で粘度指数が95のブライトストック油を製造する方法を開示している。この軽質アラビアン真空残留物に対し、プロパン脱アスファルト工程を行なってDAOを製造する。DAOにはN−メチルピロリドン(NMP)溶剤抽出工程を行なった後、脱蝋してブライトストックを得ている。
【0004】
ブライトストックの製造に必要な前記処理工程を行なった結果、高粘度と高粘度指数とを組合わせた基油を得るのは困難である。US−A−4592832に示されるように、軽質アラビアン真空残留物よりも飽和物及び/又は粘度指数に寄与する化合物の含有量が少ない原油から出発すると、困難である。これはDAO中に存在する芳香族化合物が粘度指数低下の一因となる一方、飽和物成分が粘度低下及び可変性粘度指数の一因となることで説明できる。したがって、これら芳香族化合物を溶剤抽出工程で除去すれば、粘度は犠牲にして、粘度指数は向上する。
【0005】
US−A−2003/0100453は、グループIの鉱物誘導基油とフィッシャー・トロプシュ誘導基油とのブレンドを開示している。このブレンドは、フィッシャー・トロプシュ油よりも良好なオキシデーター(oxidator)A安定性を示し、またグループIの鉱物誘導基油よりも良好なオキシデーターBN安定性を示すと報告している。このブレンドの欠点は、適切に高い酸化安定性においては、適切に高い粘度指数を有する潤滑油しか中間乃至低粘度を持つように配合できないことである。
【特許文献1】GB−A−1496045
【特許文献2】US−A−4592832
【特許文献3】US−A−2003/0100453
【特許文献4】US−A−20040178118
【特許文献5】WO−A−2004/007647
【特許文献6】US−A−US2004/0065588
【特許文献7】WO−A−2004/0033595
【特許文献8】WO−A−02070627
【特許文献9】WO−A−9934917
【特許文献10】WO−A−9410264
【特許文献11】EP−A−0582347
【特許文献12】US−A−5059299
【特許文献13】WO−A−9220759
【特許文献14】WO−A−9201657
【特許文献15】US−A−20040065581
【特許文献16】WO−A−02/070627
【特許文献17】WO−A−2004/007647
【特許文献18】WO−A−0246333
【特許文献19】US−A−6051129
【特許文献20】US−A−2003/0075477
【特許文献21】US−A−6468417
【特許文献22】US−B−6596673
【非特許文献1】Lubricant Base Oil and Wax Processing,Avilino Sequeira,Jr,Marcel Dekker Inc.,New York,1994,ISBN 0−8247−9256−4、p53〜80及び第5章
【非特許文献2】Ryland,Lloyd B.,Tamale,M.W.及びWilson,J.N.,Cracking Catalysts,Catalysis;第VII巻、編集Paul H.Emmett,Reinhold Publishing Corporation,New York、1960、pp.5−9
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高粘度指数で高粘度のブライトストック基油を提供することである。本発明の更なる目的は、摩耗安定性を向上したギア油配合物を提供することである。本発明のなお更なる目的は、鉱油成分を一層良く利用して、鉱物油の収率を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の組成物に向けたものである。即ち、100℃での粘度が8〜25mm/秒のパラフィン系基油成分と、鉱物誘導残留物脱アスファルト油成分を、基油ブレンドの合計重量に対し40〜99重量%とを含むブライトストック基油ブレンド。
【0008】
本発明は、以下の方法にも向けたものである。鉱物誘導真空残留物に対して脱アスファルト工程を行なって脱アスファルト油を得る工程、任意に脱アスファルト油を溶剤脱蝋して、脱蝋脱アスファルト油成分を得る工程、及び100℃での粘度が8〜25mm/秒のパラフィン系基油成分を、脱蝋脱アスファルト油成分及び/又は前記溶剤抽出で得られた抽出物とブレンドする工程による油ブレンドの製造方法。
【0009】
本発明は、前記油ブレンド又は前記方法で製造した油ブレンドを工業用ギア油の一部として、また該ブレンドをベースとするギア油配合物に使用する方法にも向けたものである。
本発明は更に、前記油ブレンド又は前記方法で製造した油ブレンドを低速度2サイクルエンジンのシリンダー油の一部として使用する方法にも向けたものである。
【0010】
なお更なる面では、本発明は、前記ブレンドをTDAE(処理した蒸留物芳香族抽出物)、ナフテン系及びパラフィン系プロセス油のような各種現存のプロセス油の代替品として使用する方法にも向けたものである。これらのブレンドは、ゴム配合物(例えばタイヤ、及びその他の自動車用及び工業技術用ゴム物品)、ゴム成型品及びゴムシールの増量油として広く使用できる。
【0011】
本発明の油ブレンドは、ゴム配合物(例えばタイヤ、及びその他の自動車用及び工業技術用ゴム物品)、ゴム成型品及びゴムシールの増量油として広く使用できる。出願人は、特に前述のような曇ったパラフィン系基油成分を含むブレンドがマイクロクリスタリンワックス添加剤を使用する必要性をなくす一方、こうして得られた増量ゴム物品の低温特性が向上することを見出した。本発明方法で製造されるゴム増量油は、合成ゴム、天然ゴム及びそれらの混合物に使用してよい。本発明方法で製造されるゴム増量油組成物に好適な合成ゴムの例としては、限定されるものではないが、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ポリクロロプレン(CR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)及びブチルゴム(IIR)が挙げられる。
【0012】
ブレンドは、更にバンバリーミキサーのニーダー油として、印刷インクの担体油として、及び添加剤用担体油として使用できる。他の用途としては、金属鋳造用砂バインダーとして、印刷インク用カーボンブラックの製造に、電線及び電気ケーブルの絶縁材料に、またダストバインダー油としての使用が挙げられる。
【0013】
出願人は、鉱物誘導残留物脱アスファルト油成分をパラフィン系基油とブレンドすると、高粘度で高粘度指数のブライトストック油が可能であることを見出した。このブレンドは、100℃での動粘度が30mm/秒を超える。この粘度は40mm/秒未満である。ブレンドの粘度指数は、好ましくは95を超え、更に好ましくは100〜110である。ブレンドの成分は非常に誘導し易いので、このブレンドは非常に魅力的である。ブレンド中に存在する、溶剤抽出処理を受けないか、或いは少なくとも非常に厳格な溶剤抽出処理を受けなかった脱アスファルト油成分が使用できることが見出された。したがって、ブレンドの脱アスファルト油成分は、GB−A−1496045の方法を用いた場合よりも簡単に製造できる。脱アスファルト油成分にほぼパラフィン性の基油をブレンドすると、溶剤抽出を低減し又は省略してこれら種類の生成物に高粘度指数も有する高粘稠油が得られることが見出された。
【0014】
鉱物誘導残留物脱アスファルト油成分は、脱アスファルト処理工程の生成物として定義される。脱アスファルト処理工程ではアスファルトは、還元(reduced)原油原料から、又は原油原料の真空蒸留の残留物、塔底フラクションから除去される。この脱アスファルト処理は、アスファルト化合物用の軽質液体溶剤、例えばプロパンを使用する。脱アスファルト処理は周知で、例えばLubricant Base Oil and Wax Processing,Avilino Sequeira,Jr,Marcel Dekker Inc.,New York,1994,ISBN 0−8247−9256−4、p53〜80に記載されている。本発明のブレンドに使用される鉱物誘導残留物脱アスファルト油成分は、前記アスファルト処理で直接得られるDAO生成物であってよい。或いは鉱物誘導残留物脱アスファルト成分は、高酸化安定性を必要としない用途の場合、溶剤抽出により該脱アスファルト成分から単離されるような芳香族抽出物であってもよい。
【0015】
鉱物誘導残留生成物は、前記溶剤抽出法で得られるような鉱物ブライトストックであってもよい。このような鉱物ブライトストックを用いた場合には、特に酸化安定性も向上した優れたギア油が得られることが見出された。ギア油が本発明の他のブレンドをベースとするギア油、即ち、DAO又はDACOベースのブレンドであれば、摩耗性能は鉱物油誘導油と比べてなお優れているが、幾つかの場合、特定の用途には酸化安定性が不十分であった。
【0016】
DAO生成物、その芳香族抽出物、又は溶剤抽出処理で得られるラフィネートには脱蝋処理を行なうことが好ましい。脱蝋処理は例えば溶剤脱蝋処理である。鉱物誘導残留物脱アスファルト油成分の流動点は、好ましくは−3℃未満である。
【0017】
DAO生成物には、芳香族化合物の一部を除去するため、マイルドな溶剤抽出を行なってよい。得られる任意に脱蝋した鉱物誘導残留物脱アスファルト油成分のIP 368による極性化合物含有量が好適には60〜80重量%であれば、溶剤抽出は省略できることが見出された。油ブレンド中のIP 368による極性化合物含有量は、好ましくは60重量%未満である。
【0018】
出願人は、鉱物ブライトストック用の規格に適合しない市販の抽出ブライトストック、即ち、粘度指数が95未満の鉱油成分としてパラフィン系油とブレンドすると、得られるブレンドは、酸化安定性及び粘度指数の点ではブライトストックの規格に適合しなくても、少なくとも適合する鉱物油性分として使用できることを見出した。これは鉱物油の収率向上に有利に使用できる。
【0019】
この鉱油成分には極性化合物が比較的多量に含有できるので、比較的高粘度の油が得られる。該油の100℃での動粘度は、好ましくは40〜55mm/秒である。鉱物誘導残留物脱アスファルト油成分の粘度指数は、好ましくは50〜85である。好ましい実施態様では鉱物誘導残留物脱アスファルト油成分は、溶剤抽出処理を受けていない溶剤脱蝋DAOである。溶剤抽出処理とは、例えばフルフラル又はNMP溶剤抽出処理、或いは前述の“Lubricant Base Oil and Wax Processing”と題する教本の第5章に記載されるような他の方法を意味する。
【0020】
パラフィン系基油成分の粘度指数は好ましくは125〜180である。パラフィン系基油の100℃での動粘度は8mm/秒を超え、好ましくは12mm/秒を超え、更に好ましくは15mm/秒を超える。粘度指数と粘度との組合わせは、好ましいパラフィン系基油には一般的で、この粘度範囲の粘度指数に対し非常に低い値を有するナフテン系基油からパラフィン系基油を区別する。しかし、出願人は、100℃での動粘度が12〜25mm/秒、更に好ましくは15〜25mm/秒のフィッシャー・トロプシュ蝋から誘導したパラフィン系基油がパラフィン系基油成分として有利に使用できることを見出した。パラフィン系基油の流動点は、好ましくは0℃未満、更に好ましくは−9℃未満である。流動点は好適には−50℃を超える。
【0021】
パラフィン系基油は、例えばUS−A−20040178118に記載されるように、低分子量オレフィンをオリゴマー化して、所望の粘度を有するイソパラフィンを得ることにより製造できる。更に好ましくは、パラフィン系基油は、フィッシャー・トロプシュ合成段階で製造したパラフィン蝋を水素化異性化し、次いで水素化異性化工程の流出流から分離した残留物フラクションを脱蝋することにより製造される。パラフィン系基油の製造に好適なこれら方法の例は、WO−A−2004/007647、US−A−2004/0065588、WO−A−2004/0033595及びWO−A−02070627に記載されている。これらの文献はここに援用する。これら2種の方法で製造されるパラフィン系基油の混合物もパラフィン系基油として好適に使用できる。このような混合物の例は、前記US−A−20040178118に示されている。US−A−20040178118の方法の欠点は、所望のパラフィン系基油について高粘度を達成するため、ます2種の異なる方法で低粘度及び高粘度の2種の基油を作る必要のあることである。更に好ましくはフィッシャー・トロプシュ合成段階で製造した比較的重質のパラフィン蝋を水素化異性化する工程、及び水素化異性化工程の流出流から分離した残留物フラクションを脱蝋する工程を含む単一方法でパラフィン系基油を製造することである。
【0022】
水素化異性化工程の比較的重質の原料において、炭素原子数60以上の化合物と炭素原子数30以上の化合物との重量比は、少なくとも0.2、好ましくは少なくとも0.4、更に好ましくは少なくとも0.55である。更にこの原料は、炭素原子数30以上の化合物を30重量%以上、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは55重量%以上有する。このような原料は、ASF−α値(Anderson−Schulz−Flory連鎖成長ファクター)が少なくとも0.925、好ましくは少なくとも0.935、更に好ましくは少なくとも0.945、なお更に好ましくは少なくとも0.955のC20+フラクションを含有する。原料の初期沸点は、好ましくは200℃未満である。原料中に炭素原子数4以下の化合物及びその沸点範囲の沸点を有する化合物は存在しないことが好ましい。原料は、工程リサイクル及び/又は脱蝋後得られるような規格外の基油フラクションを含有してもよい。
【0023】
比較的重質のフィッシャー・トロプシュ生成物を生成できる好適なフィッシャー・トロプシュ合成法は、例えばWO−A−9934917に記載されている。
この方法は一般に
(a)フィッシャー・トロプシュ蝋を水素化分解/水素化異性化する工程、
(b)工程(a)の生成物から蒸留残留物を分離する工程、及び
(c)蒸留残留物を脱蝋してパラフィン系基油を得る工程、更に任意に
(d)パラフィン系基油を再蒸留して、所望粘度の残留物パラフィン系基油が得られるように、軽質末端を除去する工程、
を含む、フィッシャー・トロプシュ蝋を得るためのフィッシャー・トロプシュ合成法、水素化異性化工程及び残留物フラクションの流動点降下工程からなる。
【0024】
工程(a)の水素化転化/水素化異性化反応は、水素及び触媒の存在下で行うことが好ましい。このような触媒は、該反応に好適であるとして当業者に知られているものから選択できる。触媒は,原則として、当該技術分野でパラフィン系分子の異性化に好適であることが知られているいかなる触媒であってもよい。一般に好適な水素化転化/水素化異性化触媒は、非晶質シリカ−アルミナ(ASA)、アルミナ、弗素化アルミナ、モレキュラシーブ(ゼオライト)又はこれら2種以上の混合物のような耐火性酸化物担体上に水素化成分を担持して構成される。本発明の水素化転化/水素化異性化工程に適用される好ましい触媒の第一の種類は、水素化成分として白金及び/又はパラジウムを含む水素化転化/水素化異性化触媒である。非常に好ましい水素化転化/水素化異性化触媒は、非晶質シリカ−アルミナ(ASA)担体上に白金及びパラジウムを担持して構成される。白金及び/又はパラジウムは、担体の全重量に対し元素として計算して、好適には0.1〜5.0重量%、更に好適には0.2〜2.0重量%存在する。両方存在する場合、白金対パラジウムの重量比は、広範な限界内で変化してよいが、好適には0.05〜10、更に好適には0.1〜5の範囲である。ASA触媒上の好適な貴金属の例は、例えばWO−A−9410264及びEP−A−0582347に開示されている。弗素化アルミナ担体上の白金のような他の好適な貴金属基触媒は、例えばUS−A−5059299及びWO−A−9220759に開示されている。
【0025】
好適な第二の種類の水素化転化/水素化異性化触媒は、少なくとも1種の第VIB族金属、好ましくはタングステン及び/又はモリブデンと、少なくとも1種の第VIII族非貴金属、好ましくはニッケル及び/又はコバルトとを水素化成分として含む触媒である。通常、両金属は酸化物、硫化物又はそれらの組合わせで存在してよい。第VIB族金属は、触媒の全重量に対し元素として計算して、好適には1〜35重量%、更に好適には5〜30重量%の量で存在する。第VIII族非貴金属は、担体の全重量に対し元素として計算して、好適には1〜25重量%、好ましくは2〜15重量%の量で存在する。特に好適であることが判っている、この種の水素化転化触媒は、弗素化アルミナ上にニッケル及びタングステンを担持してなる触媒である。
【0026】
前記非貴金属系触媒は硫化物形態で使用することが好ましい。使用中、触媒を硫化物形態に維持するには、原料中に若干の硫黄が存在する必要がある。原料中には硫黄が好ましくは10mg/kg以上、更に好ましくは50〜150mg/kgの範囲で存在する。
【0027】
非硫化物形態で使用できる好ましい触媒は、第VIII族非貴金属、例えば鉄、ニッケルを、第IB族金属、例えば銅と共同で酸性支持体上に担持して構成される。銅は、パラフィンのメタンへの水素化分解を抑えるために存在することが好ましい。触媒の細孔容積は、水吸収法で測定して好ましくは0.35〜1.10ml/gmの範囲であり、表面積はBET窒素吸着法で測定して好ましくは200〜500m/gmの範囲であり、また嵩密度は0.4〜1.0g/mlの範囲である。触媒支持体は、アルミナが5〜96重量%、好ましくは20〜85重量%の広範囲で存在してよい非晶質シリカ−アルミナ製が好ましい。シリカ含有量は、SiOとして、好ましくは15〜80重量%の範囲である。支持体は、バインダー、例えばアルミナ、シリカ、第IVA族金属酸化物、及び各種粘土、マグネシア等、好ましくはアルミナ又はシリカを少量、例えば20〜30重量%含有してもよい。
【0028】
非晶質シリカ−アルミナ微小球体の製造については、Ryland,Lloyd B.,Tamale,M.W.及びWilson,J.N.,Cracking Catalysts,Catalysis;第VII巻、編集Paul H.Emmett,Reinhold Publishing Corporation,New York、1960、pp.5−9に記載されている。
この触媒は、溶液からこれら金属を支持体上に同時に含浸し、100〜150℃で乾燥し、次いで空気中、200〜550℃で焼成して製造される。第VIII族金属は約15重量%以下、好ましくは1〜12重量%の量で存在し、一方、第IB族金属は、通常、これより少量、第VIII族金属に対して、例えば1:2〜約1:20の重量比の量で存在する。
【0029】
通常の触媒を以下に示す。
Ni、重量% 2.5〜3.5
Cu、重量% 0.25〜0.35
Al−SiO重量% 65〜75
Al(バインダー)重量% 25〜30
表面積 290〜325m/g
細孔容積(Hg) 0.35〜0.45ml/g
嵩密度 0.58〜0.68g/ml
【0030】
他の種類の好適な水素化転化/水素化異性化触媒は、ゼオライト材料、好適には少なくとも1種の第VIII族金属成分、好ましくはPt及び/又はPdを水素化成分として含有するモレキュラシーブ型材料をベースとする触媒である。好適なゼオライト材料及びその他のアルミノシリケート材料としては、ゼオライトβ、ゼオライトY、超安定Y、ZSM−5、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−48、MCM−68、ZSM−35、SSZ−32、フェリエライト、モルデナイト、及びSAPO−11、SAPO−31のようなシリカ−アルミノホスフェートが挙げられる。好適な水素化転化/水素化異性化触媒の例は、例えばWO−A−9201657に記載されている。これら触媒の組合わせも可能である。極めて好適な水素化転化/水素化異性化方法は、ゼオライトβをベースとする触媒を使用する第一工程と、ZSM−5、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−48、MCM−68、ZSM−35、SSZ−32、フェリエライト、モルデナイトをベースとする触媒を用いる第二工程とを含む方法である。後者の群のうち、ZSM−22、ZSM−23及びZSM−48が好ましい。このような方法の例は、US−A−20040065581及びUS−A−20040065588に記載されている。US−A−20040065588の方法には、本発明の説明に関連する工程(a)及び(b)が同じZSM−48ベースの触媒を用いて行なわれている。
【0031】
フィッシャー・トロプシュ生成物に対する前述のようにシリカ−アルミナ担体を含む非晶質触媒を用いる第一水素化異性化工程に続いて、モレキュラシーブを含む触媒を用いる第二水素化異性化工程を組合わせると、本発明で使用される基油の製造法として好ましいことも確認された。第一及び第二の水素化異性化工程を直列流で行なうことが更に好ましい。
【0032】
工程(a)では原料は、触媒の存在下、高温高圧で水素と接触させる。温度は通常、175〜380℃、好ましくは250℃より高く、更に好ましくは300〜370℃の範囲である。圧力は通常、10〜250バール、好ましくは20〜80バールの範囲である。水素は、ガスの1時間当り空間速度 100〜10000Nl/l/hr、好ましくは500〜5000Nl/l/hrで供給できる。炭化水素原料は、重量の1時間当り空間速度 0.1〜5kg/l/hr(原料質量/触媒床容積/時間)、好ましくは0.5kg/l/hrを超え、更に好ましくは2kg/l/hr未満で供給してよい。水素対炭化水素原料比は、100〜5000Nl/kg、好ましくは250〜2500Nl/kgの範囲であってよい。
【0033】
1パス当り370℃よりも高い沸点を有する原料が、370℃より低い沸点を有するフラクションまで反応する原料の重量%として定義する、工程(a)での転化率は、好ましくは少なくとも20重量%、更に好ましくは少なくとも25重量%であるが、好ましくは80重量%以下、更に好ましくは65重量%以下である。前記定義で使用される原料は、工程(a)の全炭化水素原料であり、したがって工程(b)で得られるような高沸点フラクションを任意に再循環させた分も含まれる。
【0034】
工程(b)では工程(a)の生成物から残留物が単離される。ここで残留物とは工程(a)の流出流に存在する最も高沸点の化合物が残留物の一部であることを意味する。蒸留は、WO−A−02/070627に示されるように常圧で、或いはWO−A−2004/007647に示されるように低圧で行なってよい。
【0035】
工程(c)は、溶剤脱蝋又は接触脱蝋で行ってよい。溶剤脱蝋は、例えばWO−A−0246333に記載されるように、曇りのないパラフィン油が得られるので有利である。曇りのない基油は、曇り点が15℃未満の組成物と定義する。曇った基油の曇り点は、15℃以上である。接触脱蝋は、WO−A−2004/033595及びWO−A−2004/0065588に記載されるように、曇った基油を生成する可能性がある。しかし、接触脱蝋は、操作が簡単なことから溶剤脱蝋よりも好ましい。このため、接触脱蝋で得られるような曇ったパラフィン系基油から曇りを除去する方法が開発された。このような方法の例はUS−A−6051129、US−A−2003/0075477及びUS−A−6468417である。出願人は今回、接触脱蝋で製造した曇ったパラフィン系基油をブレンド油の製造に用いると、透明で明色の生成物が得られることを見出した。こうして、フィッシャー・トロプシュ蝋から得られた、このような曇ったパラフィン系基油は、極めて関心のある用途がある。
【0036】
脱蝋は接触脱蝋で行うことが好ましい。接触脱蝋は当業者に周知の方法で、好適には水素と、モレキュラシーブを含み、任意に第VIII族金属のような水素化機能を有する金属を組合せた不均質触媒との存在下で行なわれる。モレキュラシーブ、更に好適には中間細孔サイズのゼオライトは、接触脱蝋条件下で基油前駆体フラクションの流動点低下に良好な触媒能力を示した。中間細孔サイズゼオライトの孔径は、好ましくは0.35〜0.8nmの範囲である。好適な中間細孔サイズゼオライトは、モルデナイト、ZSM−5、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、SSZ−32、ZSM−35及びZSM−48である。他の好ましいモレキュラシーブは、シリカ−アルミナホスフェート(SAPO)材料であり、この中、SAPO−11は、例えばUS−A−4859311に記載されるように、最も好ましい。ZSM−5は、第VIII族金属の不存在下でHZSM−5の形態で任意に使用してよい。他のモレキュラシーブは、第VIII族金属を添加し、組合わせて使用すること好ましい。好適な第VIII族金属は、ニッケル、コバルト、白金及びパラジウムである。可能な組合わせの例は、Ni/ZSM−5、Pt/ZSM−23、Pd/ZSM−23,Pt/ZSM−48及びPt/SAPO−11である。好適なモレキュラシーブ及び脱蝋条件の更なる詳細及び例は、例えばWO−A−9718278、US−A−5053373、US−A−5252527、US−A−4574043、US−A−5157191、WO−A−0029511、EP−A−832171に記載されている。
【0037】
接触脱蝋条件は当該技術分野で公知であり、通常、200〜500℃、好適には250〜400℃の範囲の操作温度、10〜200バール、好ましくは40〜70バールの範囲の水素圧、1時間当り触媒1リットル当り油0.1〜10kg(kg/l/hr)、好適には0.2〜5kg/l/hr、更に好適には0.5〜3kg/l/hrの範囲の重量の時間当り空間速度(WHSV)、及び油1リットル当り水素100〜2,000リットルの範囲の水素対油比である。
工程(c)の流出流からは、直接、所要の粘度で製造された所望のパラフィン系基油が得られる。必要ならば、工程(d)において、前記特定の粘度要件に適合するよう、蒸留により低沸点化合物を除去してよい。
【0038】
本発明は、前記油ブレンドの製造法にも向けたものである。この方法は、鉱物誘導真空残留物に対し脱アスファルト工程を行なって脱アスファルト油を得る工程、脱アスファルト油から溶剤抽出処理により芳香族抽出物を抽出する工程、及びパラフィン系基油成分を芳香族抽出物とブレンドする工程による。必要ならば、ブレンド前に、まず芳香族抽出物に対し溶剤脱蝋を行なう。得られるブレンドの常温流れ特性を向上する場合は、脱蝋を必要とするかも知れない。或いは芳香族抽出物とパラフィン系基油成分又はパラフィン系基油前駆体成分とのブレンドに対し溶剤又は接触脱蝋工程を行なって、ブライトストックブレンドを得てもよい。パラフィン系基油前駆体成分は、フィッシャー・トロプシュ蝋から工程(a)及び(b)を含む方法で得るのが好ましい。工程(b)で得られる残留物は、前駆体材料を輸送の際、取扱い易くすると共に、重質油分を増やすために、部分的に脱蝋しておいてもよい。パラフィン系基油前駆体材料の流動点は、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは20〜60℃である。
【0039】
更に好ましくは前記油ブレンドは、鉱物誘導真空残留物に対して脱アスファルト工程を行なって脱アスファルト油を得る工程、脱アスファルト油を溶剤脱蝋して脱蝋脱アスファルト油を得る工程、及びパラフィン系基油成分を脱蝋脱アスファルト油成分とブレンドする工程により製造される。この方法は、溶剤抽出工程を行なう必要なく、ブライトストック型生成物が得られるので有利である。溶剤抽出は非常に複雑な方法で、このような工程を省略できると、非常に費用有効的な方法が得られる。更に、溶剤抽出法では抽出された重質の芳香族成分を用いれば、ブレンド基油中の鉱物成分の収率が向上する。
【0040】
出願人は、前述のような曇ったパラフィン系基油を使用できることも見出した。曇ったパラフィン系基油を含有させるブレンド操作を50℃より高い温度で行なうと、透明な油ブレンドが得られることが見出された。代りの方法では本発明の油ブレンドは、鉱物誘導真空残留物に対して脱アスファルト工程を行なって脱アスファルト油を得る工程、前述のようなパラフィン系基油成分又はパラフィン系基油前駆体成分を脱アスファルト油成分と混合する工程、及び該混合物に対し接触脱蝋工程、又は好ましくは溶剤脱蝋工程を行なう工程により製造される。この油ブレンドもケーブル油として利用できる。
【0041】
出願人は更に、鉱物誘導ブライトストックが脱アスファルト油のラフィネートであって、更に溶剤脱蝋されたラフィネートをベースとする残留基油であれば、得られるパラフィン系基油とのブレンドは、酸化安定性が向上すると共に、摩耗安定性が驚くほど向上したギア油として配合できることを見出した。
したがって本発明は、本発明のブライトストックブレンドを工業用ギア油の一成分として使用する方法、及び本発明のブライトストックブレンドを含有するギア油配合物にも関する。好適なギア油の例は,ISO 320又はISO 460によるギア潤滑油配合物である。
【0042】
他の好ましい利用はシリンダー油の一部としてである。シリンダー油は噴射装置によりワンスルー基準で使用することが好ましい。噴射装置は、低速ディーゼルエンジンのシリンダーライナーの周囲に配置された給油器にシリンダー油を適用する。ディーゼルエンジンは、一般に低速、中速又は高速として分類され、低速種は、最大の深い吃水船舶(the largest, deep draft vessel)及び工業的用途に使用されている。低速ディーゼルエンジンは、約57〜250rpmの範囲で操作する直結型自己逆転性2サイクルエンジンである。この種のエンジンは、燃焼生成物がクランクケースに入ってクランクケース油と混合するのを防止するため、クランクケースから動力シリンダーを分離する隔壁及びパッキン箱を有するクロスヘッド構造である。中速エンジンは、通常、250〜約1100rpmの範囲で操作し、4サイクルでも2サイクルでも操作できる。この種のエンジンは筒形ピストンデザインで、多くは残留物(residual)燃料で同様に操作する。これらは、残留物を殆ど又は全く含まない蒸留物燃料でも操作する。遠洋船舶(deep sea vessel)ではこの種のエンジンは、推進用、補助用又は両方に使用できる。低速及び中速の船舶用ディーゼルエンジンは、発電設備(power plant)操作にも広く使用されている、本発明もこれらに同様に利用可能である。
【0043】
各種のディーゼルエンジンは、ピストンリング、シリンダーライナー、クランクシャフト及び接続ロッド用のベアリング、カムやバルブ昇降機を含むバルブトレーン機構、その他の可動部品(moving member)を潤滑する潤滑油を使用している。潤滑油は、部品の摩耗を防止し、熱を除去し、燃焼生成物を中和し分散し、錆や腐食を防止し、更にスラッジの形成又は付着を防止する。低速度船舶用クロスヘッドディーゼルエンジンでは、シリンダー及びクランクケースは別々に潤滑され、シリンダーの潤滑は、シリンダーライナーの周囲に配置された給油器にシリンダー油を適用する噴射装置によりワンスルー基準で行なわれる。これは“全損失”潤滑システムとして知られている。シリンダー油は、通常、良好な酸化及び熱安定性、水乳化破壊性、腐食保護及び良好な泡立ち防止性能を付与するように配合される。アルカリ性洗浄添加剤も燃焼工程中に形成された酸を中和するために存在する。分散性、酸化防止性、泡立ち防止性、耐摩耗性及び極圧(EP)性能も好適な添加剤を使用して付与できる。
【0044】
本発明のシリンダー油は、(i)ブライトストックブレンド、パラフィン系基油成分又は曇ったパラフィン系基油成分と、(ii)分散剤、過剰塩基洗浄剤、耐摩耗剤、摩擦低下剤、粘度向上剤、増粘剤、金属不動態化剤、酸封鎖剤及び酸化防止剤よりなる群から選ばれた1種以上の添加剤とを含む。更に好ましくは以上挙げた添加剤の全てが存在する。このような添加剤の例は、US−B−6596673に記載されている。この文献はここに援用する。
【0045】
出願人は、本発明のブライトストックブレンドばかりでなく、パラフィン系基油自体もシリンダー油配合物の一部として有利に使用できることを見出した。出願人は更に、前述のような曇ったパラフィン系基油もこのようなシリンダー油の基油成分としても使用できることを見出した。特にシリンダー油配合物に過剰塩基洗浄剤も存在すると、曇りは、意図する用途でのシリンダー油の特性に悪影響を与えない。任意に曇ったパラフィン系基油は、シリンダー油配合物中の唯一の基油成分であることが好ましい。シリンダー油が専らパラフィン系基油をベースとする場合、充分な配合油の100℃での動粘度は、好ましくは12〜22mm/秒である。
【0046】
任意にブライトストックブレンドの一部として、このようなパラフィン系基油成分が存在すると、シリンダー油には高粘度指数が付与される。このような高粘度指数により、低温条件下で潤滑油タンクから一層容易にポンプ送りできる上、類似の全鉱物系低粘度指数配合物に比べて高温操作条件下でのシリンダー内の油膜厚を更に厚くすることができる。
本発明を以下の非限定的実施例で説明する。
【実施例】
【0047】
実施例1
第1表に挙げた基油を用いて油ブレンドA〜Dを製造した。ブレンドはいずれも室温(20℃)で透明で明色であった。これらブレンドの特性を第3表に挙げる。
【0048】
【表1】

【0049】
第1表の脱蝋DAOは、Shell Nederland Verkoop Maatschappij BVから商品名“MVIP 1300”として得た。この製品は、原油の残留物フラクションに対しプロパン脱アスファルト工程を行なった後、メチルエチルケトン(50容量%/50容量%)を用いて溶剤脱蝋して製造した。
第1表の曇ったパラフィン系基油は、以下の方法で得た。水素異性化したフィッシャー・トロプシュ蝋から、第2表に挙げた特性を有する蒸留残留物を単離した。
【0050】
【表2】

【0051】
前記残留物を白金0.7重量%、ZSM−12 25重量%及びシリカバインダーよりなる脱蝋触媒と接触させた。脱蝋条件は、水素圧40バール、WHSV=1kg/l.h、水素ガス流量=500Nl/kg原料である。実験は300℃及び325℃で行なった。流出流から沸点が490℃を超える残留物を単離し、第1表の曇った基油を得た。325℃で得られた油に対し−20℃で溶剤脱蝋を行なった。溶剤はメチルエチルケトン50容量%及びトルエン50容量%で、第1表に示す透明で明色の基油を得た。
【0052】
【表3】

【0053】
実施例2
100℃での動粘度が32mm/秒(cSt)である2種の異なる鉱物誘導ブライトストック、及び100℃での動粘度が19mm/秒で、イソパラフィン対ノーマルパラフィン比が3:1を超える曇ったパラフィン系基油(前述の重質原料を用いてフィッシャー・トロプシュ法で製造)から、これら成分を50℃に加熱し、ブレンドして2種のブレンドを製造した。
ブレンドAは前記パラフィン系基油58.36重量%及び中東鉱油誘導ブライトストック(第4表のブライトストック1)41.64重量%を含有する。
ブレンドBは、前記パラフィン系基油53.70重量%及び低い厳密性で抽出したカスピ海(Kaspian)鉱油誘導ブライトストック(第4表のブライトストック2)46.30重量%を含有する。
これらブライトストックの特性は次のとおりである(第4表参照)。
【0054】
【表4】

【0055】
比較用ブレンドAは、中東鉱油から誘導した、基油及びブライトストックで構成した。特にこのブレンドは、60℃での粘度が105レッドウッド秒のグループI高粘度指数基油20.5重量%、60℃での粘度が160レッドウッド秒のグループI高粘度指数基油20.5重量%(これらの基油は当業界ではISO 100グレード基油とも言われる)、及び60℃での粘度が650レッドウッド秒のブライトストック(当業界では150BSとも言われる。即ち、98.9℃での粘度が150セイボルト秒のブライトストック)57.2重量%で構成される。
【0056】
これらのブレンドは透明で明色であり、いずれも100℃での動粘度が約25mm/秒(cSt)、40℃での動粘度が約260mm/秒(cSt)、粘度指数が125であった。これらのブレンドをISO 220及びISO 460の工業用ギア油配合物(市販の酸化防止剤及び摩耗向上剤添加剤包装を使用)に配合し、最終配合物の粘度をISO 220又はISO 460の粘度測定法要件に適合するよう調節した。比較例として、鉱物誘導高粘度指数ブライトストック及び蒸留物基油配合物を用いて、ギア油配合物を製造した。次にこれらのギア油配合物についてASTM D2893による121℃、13日間の酸化テスト及びASTM D4998による改良FZG摩耗性能テストを行なった(第5表参照)。
【0057】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
100℃での粘度が8〜25mm/秒のパラフィン系基油成分と、鉱物誘導残留物脱アスファルト油成分とを含むブライトストック基油ブレンド。
【請求項2】
鉱物誘導残留物脱アスファルト油成分が、基油ブレンドの合計重量に対し40〜99重量%の量で存在する請求項1に記載の基油ブレンド。
【請求項3】
ブレンドが、30mm/秒を超える100℃での動粘度及び95を超える粘度指数を有する請求項1又は2に記載の基油ブレンド。
【請求項4】
粘度指数が100〜110である請求項3に記載の基油ブレンド。
【請求項5】
ブレンドの100℃での動粘度が40mm/秒未満である請求項1〜4のいずれか1項に記載の基油ブレンド。
【請求項6】
鉱物誘導残留物脱アスファルト油成分が、−3℃未満の流動点、70〜85の粘度指数、及びIP 368で測定して60〜80重量%の極性化合物を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の基油ブレンド。
【請求項7】
パラフィン系基油成分の粘度指数が125〜180である請求項1〜6のいずれか1項に記載の基油ブレンド。
【請求項8】
ブレンド中の極性化合物の含有量が、IP 368で測定して60重量%未満である請求項1〜7のいずれか1項に記載の基油ブレンド。
【請求項9】
パラフィン系基油成分の曇り点と流動点との差が25℃より大きく、基油ブレンドの曇り点と流動点との差が25℃より小さい請求項1〜8のいずれか1項に記載の基油ブレンド。
【請求項10】
鉱物誘導真空残留物に対して脱アスファルト工程を行なって脱アスファルト油を得る工程、脱アスファルト油を溶剤脱蝋して、脱蝋脱アスファルト油成分を得る工程、及びパラフィン系基油成分を脱蝋脱アスファルト油成分とブレンドする工程による請求項1〜9のいずれか1項に記載の基油ブレンドの製造方法。
【請求項11】
鉱物誘導真空残留物に対して脱アスファルト工程を行なって脱アスファルト油を得る工程、脱アスファルト油から溶剤抽出法により芳香族抽出物を抽出する工程、及びパラフィン系基油成分を芳香族抽出物(DACO)とブレンドする工程による請求項1〜9のいずれか1項に記載の基油ブレンドの製造方法。
【請求項12】
鉱物誘導真空残留物に対して脱アスファルト工程を行なって脱アスファルト油を得るか、或いは更に脱アスファルト油から芳香族抽出物を得る工程、パラフィン系基油成分又はパラフィン系基油前駆体成分を脱アスファルト油成分又は芳香族化合物と混合する工程、及び該混合物に対し脱蝋工程を行なう工程による請求項1〜9のいずれか1項に記載の基油ブレンドの製造方法。
【請求項13】
(i)鉱物誘導真空残留物に対して脱アスファルト工程を行なって脱アスファルト油を得る工程、
(ii)脱アスファルト油から溶剤抽出法により芳香族抽出物を抽出して、抽出物及びラフィネートを得る工程、
(iii)工程(ii)で得られたラフィネートを溶剤脱蝋してブライトストックを得る工程、及び
(iv)ブライトストックをパラフィン系基油成分とブレンドする工程、
による請求項1〜9のいずれか1項に記載の基油ブレンドの製造方法。
【請求項14】
パラフィン系基油成分の曇り点と流動点との差が25℃より大きく、かつブレンド工程が50℃より高い温度で行なわれる請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の基油ブレンドと、更に分散剤、過剰塩基洗浄剤、耐摩耗剤、摩擦低下剤、粘度向上剤、増粘剤、金属不動態化剤、酸封鎖剤及び酸化防止剤よりなる群から選ばれた1種以上の添加剤とを含むギア油配合物。
【請求項16】
鉱物誘導残留物脱アスファルト油成分が請求項13の方法で得られたものである請求項15に記載のギア油配合物。
【請求項17】
(i)請求項1〜9のいずれか1項に記載の基油ブレンド、パラフィン系基油成分又は曇ったパラフィン系基油成分と、(ii)分散剤、過剰塩基洗浄剤、耐摩耗剤、摩擦低下剤、粘度向上剤、増粘剤、金属不動態化剤、酸封鎖剤及び酸化防止剤よりなる群から選ばれた1種以上の添加剤とを含む低速ディーゼルエンジン用シリンダー油配合物。
【請求項18】
シリンダー油が過剰塩基洗浄剤、分散剤及び曇ったパラフィン系基油を含み、かつシリンダー油配合物の100℃での動粘度が12〜22mm/秒である請求項15に記載のシリンダー油。
【請求項19】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の基油ブレンドと、更に少なくとも1種のゴム又はゴム成分とを含むゴム組成物。
【請求項20】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の基油ブレンドをゴム用増量油として使用する方法。
【請求項21】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の基油ブレンドを、バンバリーミキサーのニーダー油として、印刷インクの担体油として、添加剤用担体油として、金属鋳造用バインダーとして、カーボンブラック用担体油として、電線及び電気ケーブル絶縁材料用増量油として、及びダストバインダー油として使用する方法。

【公表番号】特表2008−545032(P2008−545032A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518865(P2008−518865)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063798
【国際公開番号】WO2007/003623
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】