説明

ブラインドの昇降停止装置

【課題】昇降コードの緩みを検知して、ブラインドの昇降動作を自動的に停止させるブラインドの昇降停止装置において、昇降コードと昇降停止装置の位置の自由度を高める。
【解決手段】昇降停止装置は、ヘッドボックスに対して往復動可能に配置されるスライダ38と、スライダ38が往復動範囲の中立位置にあるときに昇降ドラム22の回転を規制し、スライダ38が往復動範囲の中立位置以外にあるときには昇降ドラムの回転の規制を解除可能であるマイクロスイッチ36と、を備え、スライダ38は、中立位置に対して往復動範囲のいずれの側からも接近可能であり、昇降コードが緊張状態においては、中立位置に対していずれかの側にあり、昇降コードが弛むと中立位置に移動するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降コードの緩みを検知して、ブラインドの昇降動作を自動的に停止させるブラインドの昇降停止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブラインドの昇降停止装置としては、特許文献1に示されるものがある。この昇降停止装置は回動レバーとマイクロスイッチとで構成され、回動レバーは、ヘッドボックスに回動可能に軸支され、回動レバーの先端部には巻取ドラムから垂下した昇降コードが挿通し、昇降コードは回動レバーの先端部を挿通した後、回動レバー先端部の下方に位置する案内孔を経てヘッドボックスの下方に垂下しており、また、回動レバーの基端部からは押圧部が突出し、押圧部はマイクロスイッチのばね片に当接及び離隔可能となっている。昇降コードが緊張している時には昇降コードから作用する張力で回動レバーが障害物の非検知位置に回動し、この回動力で押圧部がマイクロスイッチのばね片を押圧しており、モータが作動可能となっている。一方、昇降コードが弛むと、ばね片の付勢力により押圧部がマイクロスイッチのばね片から離隔する方向に回動レバーが回動し、ばね片の押圧が解除されてモータの作動が停止して、障害物を検知し、停止した状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−177584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のブラインドの昇降停止装置では、回動レバーが回動する動きによってマイクロスイッチを作動させるようになっているため、回動レバーの先端部と昇降コードが垂下する位置との相対関係は不変であり、昇降コードと昇降停止装置の位置に自由度がないという問題がある。
【0005】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、昇降コードと昇降停止装置の位置の自由度を高めることができるブラインドの昇降停止装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ヘッドボックス内に回転可能に支持される回転軸と、ヘッドボックス内に設けられ回転軸の回転に連動して回転する複数の昇降ドラムと、昇降ドラムに巻取り及び巻解き可能に連結されるとともにヘッドボックスから垂下して遮蔽材を昇降可能な複数の昇降コードとを有するブラインドの昇降コードの弛みを検出してブラインドの昇降動作を停止させる昇降停止装置において、
ヘッドボックスに対して往復動可能に配置されるスライダと、スライダが往復動範囲の中立位置にあるときに昇降ドラムの回転を規制し、スライダが往復動範囲の中立位置以外にあるときには昇降ドラムの回転の規制を解除可能である規制手段と、を備え、
スライダは、中立位置に対して往復動範囲のいずれの側からも接近可能であり、昇降コードが緊張状態においては、中立位置に対していずれかの側にあり、昇降コードが弛むと中立位置に移動する、ことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、昇降コードは、ヘッドボックスの少なくとも2箇所から垂下可能となっており、昇降コードが第1位置から垂下する場合には、昇降コードの緊張状態において昇降コードがスライダを中立位置から離反するように一方方向に押し出しており、昇降コードが第2位置から垂下する場合には、昇降コードの緊張状態において昇降コードがスライダを中立位置から離反するように他方方向に押し出すことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、昇降ドラムを回転可能に支持するドラム受けに、昇降コードを案内可能なガイド部が少なくとも2箇所設けられ、ガイド部は緊張状態の昇降コードがスライダを押し出すように昇降コードを案内可能であることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発明において、規制手段はマイクロスイッチであり、スライダにはマイクロスイッチのバネ片の先端部が当接する切欠部が形成され、切欠部は、スライダが中立位置にある状態においてバネ片の先端部を受け入れる底面と、底面の両側から開口端部に向かって拡開するように傾斜する傾斜面と、からなり、スライダが中立位置から離反するいずれかの方向に移動すると傾斜面がマイクロスイッチのバネ片を押圧するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スライダは、中立位置に対していずれの側からも接近することが可能であるから、それに合わせて、昇降コードの位置を変更することができ、昇降コードと昇降停止装置の位置の自由度を高めることができる。よって、例えば、昇降コードがヘッドボックスから異なる位置で垂下する異なる種類のブラインドに対して、共通の昇降停止装置を使用することができる。
【0011】
また、ドラム受けに前後方向に少なくとも2箇所のガイド部を設けることにより、昇降コードを垂下させる位置をブラインドの種類に応じて選択することができる。
【0012】
また、切欠部の底面とその両側にある傾斜面とがマイクロスイッチのバネ片と協働するために、スライダのいずれの側からの接近に対してもマイクロスイッチのオン/オフの切替えを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を実施するブラインドの正面図である。
【図2】本発明の実施形態の昇降停止装置を含む各部材の分解斜視図である。
【図3】図2に示す各部材を組付けた状態を表す斜視図である。
【図4】ヘッドボックス内の昇降ドラム部分を表す部分断面図である。
【図5】図4の5−5線に沿って見た断面図(昇降コードとラダーコードを省略)である。
【図6】本発明の昇降停止装置の実施形態を表す平面図である。
【図7】ヘッドボックス(昇降ドラム)の異なる3か所の位置から垂下する昇降コードの配回しをそれぞれ表した側断面図であり、(a)はヘッドボックス(昇降ドラム)の後側、(b)はヘッドボックス(昇降ドラム)の前側、(c)はヘッドボックス(昇降ドラム)の中央である。
【図8】ヘッドボックス(昇降ドラム)の後側から垂下した昇降コードと昇降停止装置の状態を示す側断面図であり、(a)は昇降ドラムの回転が規制されていないときの状態を、(b)は昇降ドラムの回転が規制されているときの状態を、それぞれ表す。
【図9】ヘッドボックス(昇降ドラム)の中央から垂下した昇降コードと昇降停止装置の状態を示す側断面図であり、(a)は昇降ドラムの回転が規制されていないときの状態を、(b)は昇降ドラムの回転が規制されているときの状態を、それぞれ表す。
【図10】ヘッドボックス(昇降ドラム)の後側から垂下した昇降コードと昇降停止装置の状態を示す平面図であり、(a)は昇降ドラムの回転が規制されていないときの状態を、(b)は昇降ドラムの回転が規制されているときの状態を、それぞれ表す。
【図11】ヘッドボックス(昇降ドラム)の中央から垂下した昇降コードと昇降停止装置の状態を示す平面図であり、(a)は昇降ドラムの回転が規制されていないときの状態を、(b)は昇降ドラムの回転が規制されているときの状態を、それぞれ表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の昇降停止装置が適用されるブラインドの一例であり、ブラインド10は、ヘッドボックス12と、ヘッドボックス12から垂下するラダーコード16と、ラダーコード16に支持される遮蔽材14と、ヘッドボックス12から垂下し遮蔽材14を昇降可能な昇降コード18と、遮蔽材14の下部に位置し、ラダーコード16及び昇降コード18の下端が連結されるボトムレール19と、を有する。この例では、遮蔽材14は、整列配置される多数のスラットで構成されているが、これに限るものではなく、スクリーンといった任意の遮蔽材とすることができる。
【0016】
ヘッドボックス12内には、回転軸20、昇降ドラム22、回転ドラム24、ドラム受け26、電源トランス40、電源ユニット42、モータ44、制御ユニット46がそれぞれ配設されている。
【0017】
回転軸20はヘッドボックス12の長手方向に延びており、モータ44によって回転駆動可能となっている。モータ44の駆動は制御ユニット46により制御され、モータ44には商用電源から電源トランス40及び電源ユニット42を介して電力が供給される。
【0018】
回転軸20の長手方向に間隔をあけて複数の昇降ドラム22が設けられ、各昇降ドラム22には、昇降コード18の上端が巻取り及び巻解き可能に連結される。また、昇降ドラム22の一端にはドラムハブ25を介して回転ドラム24が同軸に設けられており、各回転ドラム24には、ラダーコード16の垂直コードの各上端が巻取り及び巻解き可能に連結される。
【0019】
回転軸20が、昇降ドラム22と回転ドラム24の軸心を貫通しており、昇降ドラム22は回転軸20の回転に連動して一体に回転し、回転ドラム24は昇降ドラム22の回転に連動して所定角度は一体に回転するがそれ以上は空転するように構成されている。
【0020】
図2ないし図4に示すように、各昇降ドラム22及び各回転ドラム24は、ヘッドボックス12に固定されるドラム受け26に対して回転可能に支持される。
【0021】
ドラム受け26の底面には、図5に示したように、昇降コード18及びラダーコード16が挿通可能な5つの開口部26a、26b、26c、26b、26aが形成されている。開口部26a、26a、26cは、昇降コード18が挿通するためのものであり、3つの開口部のうちのいずれかの開口部を昇降コード18が挿通する。開口部26b、26bは、ラダーコード16の2つの垂直コードの上端が挿通するためのものである。この例では、昇降コード18及びラダーコード16が、ヘッドボックス12の長手方向のほぼ同一位置でヘッドボックス12から垂下することができるように、開口部26a、26b、26c、26b、26aは、前後方向にほぼ整列して、且つ、前後で対称的に形成されている。
【0022】
ドラム受け26の昇降ドラム22と回転ドラム24との境界部に相当する部分には、ラダーコード16の2つの垂直コードを、回転ドラム24から開口部26bまで斜めに配回すためのラダーコードガイド部が設けられる。図4に示すように、ラダーコードガイド部は、各垂直コードを上方から案内する上部案内部26dと、各垂直コードを下方から案内する下部案内部26eと、を備える。上部案内部26dは回転ドラム24の下方近傍に形成されており、ラダーコード16との接触面が滑らかな曲面となっている。下部案内部26eは、上部案内部26dに対して斜め下方の位置で開口部26bの上方近傍に形成されており、ラダーコード16との接触面が滑らかな曲面となっている。この2つの上部案内部26dと下部案内部26eとで誘導することで、ラダーコード16の2つの垂直ラダーコード16をそれぞれ回転ドラム24の前後側から、前後間隔が回転ドラム24の直径よりも小さい開口部26b、26bまで斜め下方に且つその前後幅が漸次小さくなるようにして、且つ低抵抗で配回すことができる。
【0023】
さらに、ドラム受け26には、開口部26a〜26cの上方に対応してセパレータ30及びドラムカバー32が取り付けられる。
【0024】
セパレータ30は、ドラム受け26の前後部に固定されて、図5に示すように、昇降ドラム22の回転ドラム24側端部近傍の円周方向下部略半周を包囲する。昇降ドラム22の残りの上部略半周はドラムカバー32によって包囲され、ドラムカバー32の下端はセパレータ30の上端部に連結される。セパレータ30及びドラムカバー32と昇降ドラム22との間には昇降コード18が1本分挿通できる隙間が形成され、これにより、昇降コード18が互いに重なり合うことがなく、昇降ドラム22に密着して巻き付けられるようになっている。
【0025】
セパレータ30には、図5に示すように、前後方向3か所に昇降コード18が挿通する第1挿通孔30a、第2挿通孔30b、第3挿通孔30cがそれぞれ形成されており、ドラム受け26の開口部26a、26c、26aにそれぞれ連通している。これにより、昇降ドラム22からの昇降コード18は、各挿通孔30a、30b、30cのうちのいずれかを挿通し、対応するドラム受け26の開口部26a、26c、26aのいずれかを通ってヘッドボックス12から垂下される。各挿通孔30a、30b、30cを形成するセパレータ30の壁面のうち昇降コード18の昇降ドラム22の巻取り方向側の壁面は、それぞれ昇降コード18を案内する滑らかな曲面で形成された第1ガイド部30d、第2ガイド部30e、第3ガイド部30fとなっている。また、セパレータ30の第1挿通孔30a及び第2挿通孔30bを画成する側壁には、これらを貫通する第1貫通穴30g及び第2貫通穴30hがそれぞれ形成されている(図2参照)。
【0026】
また、ドラム受け26の底部には、本発明による昇降停止装置が配設される。本発明による昇降停止装置は、マイクロスイッチ(規制手段)36及びスライダ38を有しており、このため、ドラム受け26の底部には、図2に示すように、マイクロスイッチ36及びスライダ38を収納する凹部26gと、スライダ38のドラム受け26の前後方向の往復動を案内する案内溝26hとが形成される。案内溝26hは、ドラム受け26の前後方向全長に亘って形成されている。
【0027】
マイクロスイッチ36は、ドラム受け26の凹部26g内で移動不能に拘束される。マイクロスイッチ36は、その本体から離反するように常時付勢されたバネ片36aを有しており、バネ片36aの先端部にはローラ36bが取り付けられている。また、マイクロスイッチ36の本体のバネ片36aの基部付近には接点36cが設けられる。
【0028】
スライダ38は、図2に示すように、円筒状の本体を有し、その外周面には、円周方向に180度隔てて全長に亘って突条38aが形成されており、突条38aから円周方向に90度隔てた位置に直径方向に突出する突出片38bが、また、突出片38bから円周方向に180度隔てた位置のスライダ38の軸方向両端部に直径方向に突出する第1係止片38e及び第2係止片38fがそれぞれ形成されている。突出片38bがマイクロスイッチ36側に位置するように配され、2本の突条38aのうちの一方がドラム受け26の案内溝26hに嵌め合わされる。これにより、スライダ38は案内溝26hに沿ってドラム受け26の前後方向に摺動可能である。また、スライダ38の第1係止片38e及び第2係止片38fは、セパレータ30の第1貫通孔30g及び第2貫通孔30hをそれぞれ貫通しており、これにより、スライダ38の上下方向への移動が規制されて、突条38aの案内溝26hからの脱落が防止されている。
【0029】
スライダ38の突出片38bには、マイクロスイッチ36のバネ片36aの先端部のローラ36bを受け入れる切欠部が形成されており、図6に最も良く示したように、切欠部は、底面38cと、底面38cの両側から切欠部の開口端部に向かって拡開するように傾斜する2つの傾斜面38dと、からなる。
【0030】
スライダ38の案内溝26hに沿った前後の摺動範囲で、マイクロスイッチ36のバネ片36aの先端部のローラ36bがいずれかの傾斜面38dに当接しているときには、傾斜面38dがマイクロスイッチ36のバネ片36aを押圧しており、よって接点36cは押圧された状態にあり、マイクロスイッチ36の出力信号はオフ信号となる。
【0031】
一方、スライダ38が案内溝26hに沿って前後に摺動して中立位置になると、マイクロスイッチ36のバネ片36bの先端部のローラ36bが底面38cに当接しまたは底面38cに受け入れられ、マイクロスイッチ36のバネ片36aはその付勢力により、接点36cから離反する。これにより、マイクロスイッチ36の出力信号がオン信号となり、制御ユニット46に入力されて、モータ44の駆動を停止するようになっている。
【0032】
スライダ38の第1係止片38e及び第2係止片38fは、以下で説明するように、昇降コード18が配回される位置によってこれらのいずれかが昇降コード18の張力により押圧可能とされており、昇降コード18の張力によりスライダ38を付勢している。
【0033】
この例では、昇降コード18は、同じ昇降ドラム22及びドラム受け26を用いて、図7(a)、(b)、(c)に示すように3通りの配回しが可能となっている。例えば、高遮蔽タイプのように昇降コードを遮蔽材であるスラットに貫通させないタイプの場合には、遮蔽材14であるスラットに昇降コード18を挿通させるための孔が形成されておらず、昇降コード18は、遮蔽材14の前側または後側を垂下するものであるため、図7(a)及び図7(b)のようにヘッドボックス12の後側及び前側から垂下する配回しを両方1つのブラインドに備えるとよい。また、標準タイプのブラインドのように昇降コードを遮蔽材であるスラットに貫通させるタイプの場合には、図7(c)のようにヘッドボックス12の前後方向中央位置から垂下する配回しを備えるとよい。
【0034】
図7(a)に示すように遮蔽材14の後側に昇降コード18を垂下させる場合、昇降ドラム22の後側で昇降コード18が昇降ドラム22に対して接離するようにし、昇降コード18を最も後側の第1ガイド部30dに案内させて第1挿通孔30aを挿通させ、昇降停止装置のスライダ38の後側の第1係止片38eの後側を垂下させ、開口部26aを挿通させてヘッドボックス12から垂下させる。ここで、第1ガイド部30dは、昇降コード18が緊張状態のときに昇降コード18が第1係止片38eを押し出して、スライダ38を中立位置から一方向へ離反するように、昇降コード18を案内する。このように、ヘッドボックス12の後側から昇降コード18が垂下するため、遮蔽材14の後側に昇降コード18を垂下させることができる。
【0035】
図7(b)に示すように遮蔽材14の前側に昇降コード18を垂下させる場合、昇降ドラム22の前側で昇降コード18が昇降ドラム22に対して接離するようにし、昇降コード18を最も前側の第3ガイド部30fに案内させて第3挿通孔30cを挿通させ、開口部26aを挿通させてヘッドボックス12から垂下させる。これにより、ヘッドボックス12の前側から昇降コード18が垂下するため、遮蔽材14の前側に昇降コード18を垂下させることができる。この図7(b)の配回しは、図7(a)の配回しと同時に使用されるために、図7(b)の配回しには、昇降停止装置を省略することができる。
【0036】
図7(c)に示すように遮蔽材14の前後方向中央位置の孔に昇降コード18を挿通し垂下させる場合、昇降ドラム22の中央で昇降コード18が昇降ドラム22に対して接離するようにし、昇降コード18を中央の第2ガイド部30eに案内させて第2挿通孔30bを挿通させ、昇降停止装置のスライダ38の前側の第2係止片38fの前側を垂下させ、開口部26cを挿通させてヘッドボックス12から垂下させる。ここで、第2ガイド部30eは、昇降コード18が緊張状態のときに、昇降コード18が第2係止片38fを押し出して、スライダ38を中立位置から他方向へ離反するように、昇降コード18を案内する。このように、ヘッドボックス12の中央から昇降コード18が垂下するため、遮蔽材14の中央に形成された孔を挿通して昇降コード18を垂下させることができる。
【0037】
こうして、ドラム受け26及び昇降停止装置の構成及び配置が同じものに対して3種類の昇降コード18の配回しのいずれかを実現することができる。
【0038】
図7(a)に示すように昇降コード18が配回されたブラインド10では、昇降コード18が緊張状態のときには、図8(a)及び図10(a)に示すように、昇降コード18がスライダ38の第1係止片38eを押圧して、スライダ38が中立位置から一方向へ離反するように摺動しており、マイクロスイッチ36のバネ片36aの先端部のローラ36bは一方の傾斜面38dに位置している。これにより、マイクロスイッチ36からはオフ信号が出されており、通常の動作が行われる。よって、モータ44が駆動可能であり、モータ44が動作すると、昇降ドラム22が回転し、昇降コード18の巻取りあるいは巻解きが行われる。また、回転ドラム24が回転し、遮蔽材14を傾動させる。
【0039】
一方、遮蔽材14の下降時に、ボトムレール19が障害物に当接するなどして、昇降コード18に弛みが発生した場合、スライダ38の第1係止片38eには昇降コード18からの押圧力が作用しなくなるため、マイクロスイッチ36のバネ片36aが傾斜面38dを押圧する押圧力により、図8(b)及び図10(b)に示すように、マイクロスイッチ36のバネ片36aの先端部のローラ36bが転動してスライダ38の底面38cに当接または受け入れられる中立位置まで、スライダ38が摺動する。これにより、マイクロスイッチ36の信号がオン信号となり、モータ44の駆動を停止させるので、昇降ドラム22の回転が停止し、昇降コードが弛んだまま巻解かれ続けることを防ぐことができる。
【0040】
図7(c)に示すように昇降コード18が配回されたブラインド10では、昇降コード18が緊張状態のときには、図9(a)及び図11(a)に示すように、昇降コード18がスライダ38の第2係止片38fを押圧して、スライダ38が中立位置から他方向へ離反するように摺動しており、マイクロスイッチ36のバネ片36aの先端部のローラ36bが他方の傾斜面38dに位置している。これにより、マイクロスイッチ36からはオフ信号が出されており、通常の動作が行われる。よって、モータ44が動作すると、昇降ドラム22が回転し、昇降コード18の巻取りあるいは巻解きが行われる。また、回転ドラム24が回転し、遮蔽材14を傾動させる。
【0041】
一方、遮蔽材14の下降時に、ボトムレール19が障害物に当接するなどして、昇降コード18に弛みが発生した場合、スライダ38の第2係止片38fには昇降コード18からの押圧力が作用しなくなるため、マイクロスイッチ36のバネ片36aが傾斜面38dを押圧する押圧力により、図9(b)及び図11(b)に示すように、マイクロスイッチ36のバネ片36aの先端部のローラ36bが転動してスライダ38の底面38cに当接または受け入れられる中立位置まで、スライダ38が摺動する。これにより、マイクロスイッチ36の信号がオン信号となり、モータ44の駆動を停止させるので、昇降ドラム22の回転が停止し、昇降コードが弛んだまま巻解かれ続けることを防ぐことができる。
【0042】
このように、本発明の昇降停止装置においては、スライダ38が前後方向どちらの摺動方向からも中立位置へと摺動することができるため、ドラム受け26、昇降停止装置、昇降ドラム22、回転ドラム24等の部品や構成を変更することなく、昇降コード18の配回しを変更するだけで、高遮蔽タイプまたは標準タイプといったブラインドの異なる種類にも対応することができ、昇降コードと昇降停止装置の位置の自由度を高めることができる。
【0043】
また、ドラム受け26に対する昇降停止装置、セパレータ30、ドラムカバー32の組み込み方向を前記実施形態とは左右逆にするだけで、共通部品で、昇降コード18が昇降ドラム22に逆方向に巻き付けられたブラインドにも対応することができる。
【0044】
なお、以上の説明では、電動ブラインドを対象としていたが、これに限定されるものではなく、本発明は、手動のブラインドにも適用することができる。その場合には、スライダ38の摺動に応じて規制手段が昇降ドラム22または回転軸20を介して昇降ドラム22の回転を規制し、または回転の規制を解除可能となっているとよい。また、スライダ38が中立位置へと摺動する手段としてマイクロスイッチ36のバネ片36aが傾斜面28dを押圧する押圧力を利用しているが、スライダ38が中立位置となるように別途設けたバネによって付勢するようにしてもよく、その場合には緊張状態にある昇降コード18の押圧力よりも弱い力によって、スライダ38をバネで付勢するようにすれば良い。
【符号の説明】
【0045】
10 ブラインド
12 ヘッドボックス
14 遮蔽材
18 昇降コード
20 回転軸
22 昇降ドラム
26 ドラム受け
30d 第1ガイド部
30e 第2ガイド部
36 マイクロスイッチ(規制手段)(昇降停止装置)
36a バネ片(昇降停止装置)
36b ローラ(先端部)
38 スライダ
38c 底面(切欠部)
38d 傾斜面(切欠部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックス(12)内に回転可能に支持される回転軸(20)と、ヘッドボックス(12)内に設けられ回転軸(20)の回転に連動して回転する複数の昇降ドラム(22)と、昇降ドラム(22)に巻取り及び巻解き可能に連結されるとともにヘッドボックス(12)から垂下して遮蔽材(14)を昇降可能な複数の昇降コード(18)とを有するブラインド(10)の昇降コード(18)の弛みを検出してブラインドの昇降動作を停止させる昇降停止装置において、
ヘッドボックス(10)に対して往復動可能に配置されるスライダ(38)と、スライダ(38)が往復動範囲の中立位置にあるときに昇降ドラム(22)の回転を規制し、スライダ(38)が往復動範囲の中立位置以外にあるときには昇降ドラム(22)の回転の規制を解除可能である規制手段(36)と、を備え、
スライダ(38)は、中立位置に対して往復動範囲のいずれの側からも接近可能であり、昇降コード(18)が緊張状態においては、中立位置に対していずれかの側にあり、昇降コードが弛むと中立位置に移動する、ことを特徴とするブラインドの昇降停止装置。
【請求項2】
昇降コード(18)は、ヘッドボックス(12)の少なくとも2箇所から垂下可能となっており、昇降コード(18)が第1位置から垂下する場合には、昇降コード(18)の緊張状態において昇降コード(18)がスライダ(38)を中立位置から離反するように一方方向に押し出しており、昇降コード(18)が第2位置から垂下する場合には、昇降コードの緊張状態において昇降コードがスライダ(38)を中立位置から離反するように他方方向に押し出すことを特徴とする請求項1記載のブラインドの昇降停止装置。
【請求項3】
昇降ドラム(22)を回転可能に支持するドラム受け(26)に、昇降コード(18)を案内可能なガイド部(30d、30e)が少なくとも2箇所設けられ、ガイド部は緊張状態の昇降コードがスライダ(38)を押し出すように昇降コード(18)を案内可能であることを特徴とする請求項1又は2記載のブラインドの昇降停止装置。
【請求項4】
規制手段はマイクロスイッチ(36)であり、スライダ(38)にはマイクロスイッチ(36)のバネ片(36a)の先端部(36b)が当接する切欠部が形成され、切欠部は、スライダ(38)が中立位置にある状態においてバネ片(36a)の先端部(36b)を受け入れる底面(38c)と、底面(38c)の両側から開口端部に向かって拡開するように傾斜する傾斜面(38d)と、からなり、スライダが中立位置から離反するいずれかの方向に移動すると傾斜面(38d)がマイクロスイッチ(36)のバネ片(36a)を押圧するようにしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のブラインドの昇降停止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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