説明

ブラインド

【目的】 日射の遮蔽と採光とを季節や天候などの条件に自動的に常時合致させることができ、日射を極力遮蔽し、あるいは日射を極力室内に取り込んで光源や熱源として利用するなどして、室内の温度や照度を快適な条件に保持できる。
【構成】 多数のスラット1で構成するブラインドにおいて、各スラット1の上面を鏡面8とし、窓枠などの影を受けない任意のスラット1の上面に複数のフォトセンサ10をスラット巾方向に設け、該センサ10からの出力により決定される回動角度で各スラットを自動的に回動する角度調節用モータ2をスラット1に接続する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窓面に設置するブラインドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】かかるブラインドで例えば横型のものは、周知の如く多数の回動自在なスラットを水平方向に並設し、スラットの回動角度を変えることで主として屋外からの日射を遮蔽するものであるが、特公平4−21798号公報などにあるようにスラットの一方の面を鏡面に形成して、この鏡面で屋外からの自然光を室内の上方に反射させ自然光の直接的な進入を防止しつつ室内に採光する機能を備えるものもある。
【0003】日射を完全に遮蔽するか、反射光として室内に採光するかは、季節や天候などの条件によって決定され、また、日射を遮蔽するためのスラットの回動角度は太陽光の照射角によって決定されるが、従来はこれらの決定を人が行い、スラットの回動も手動で行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このため、例えば日射を常時遮蔽したい夏期に直射日光が室内に進入したり、また、直射光のない曇天日など天空日射を室内に取り入れたいときでも日射を完全に遮蔽して自然光を有効に活用できなかったり、さらに一日のうちでも時間により刻々変化する太陽光の照射角に対してスラットの角度変更が追従しきれないなど、日射の遮蔽と採光とを季節や天候などの条件に常時合致させることが困難であった。
【0005】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、日射の遮蔽と採光とを季節や天候などの条件に自動的に常時合致させることができ、室内の温度や照度を快適な条件に保持できるブラインドを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するため、多数のスラットで構成するブラインドにおいて、各スラットの上面を鏡面とし、窓枠などの影を受けない任意のスラットの上面に複数のフォトセンサをスラット巾方向に設け、該センサからの出力により決定される回動角度で各スラットを自動的に回動する角度調節用モータをスラットに接続することを要旨とするものである。
【0007】
【作用】本発明によれば、フォトセンサとして例えば太陽電池の出力によって太陽高度を判断し、この結果と冷房モード、暖房モードの別に基づいて角度調節用モータの回転角度が決定され、季節や天候に適した角度だけスラットが回動して効率よく日射を遮蔽し、また、採光する。
【0008】
【実施例】以下、図面について本発明の実施例を詳細に説明する。図1は本発明のブラインドの実施例を示す説明図で、図は横型ブラインドを示し、多数のスラット1を水平に並列させ、各スラット1の角度調節用モータ2の駆動軸に連結したプーリー3に紐4を巻回し、この紐4の途中を各スラット1の端部の前後に順次結合して各スラット1を前後に回動自在なものに構成する。図中5はスラット1の巻き上げ用モータを示し、この巻き上げ用モータ5に連結するプーリー6に巻回した2本の紐7を各スラット1の中央付近に結合する。
【0009】各スラット1の幅は上下のスラット間隔(スラットピッチ)の1.1 倍程度、例えばスラット幅11cm、スラットピッチ10cmとし、各スラットの回動角度を図2に示すようにスラット幅とスラットピッチとにより上下のスラット1で少なくとも水平光線を遮蔽できるよう外側に傾斜する角度から、水平位置から内側に15°傾斜する角度に設定する。
【0010】ここで内側に15°傾斜する角度に設定したのは、冬期など日射をとり入れたい場合で太陽の高度が高いときに、直接窓ぎわの床に入射するのを避けてできるだけ室内奥深く反射光を導いて熱源、光源として利用できる角度であるためである。
【0011】各スラット1は図2にも示すように上面を鏡面8に形成するとともに、下面を鏡面ではない明色の普通の拡散面9に形成する。この場合、鏡面8は、反射光が室内の天井に当たって光の濃淡を形成し目障りとなるようであれば、光を多少散乱させるようなヘアライン仕上げとすることも可能である。
【0012】そして、窓枠や庇の影を受けない中央下部の任意の1枚のスラット1の上面に、スラット1の幅方向にフォトセンサ10として例えば1cm2 程度の大きさの太陽電池を10個並べて取り付ける。
【0013】以上のようにして各スラット1が所定角度の範囲で回動自在に取り付けられるが、回動角度はフォトセンサ10の出力により判断される太陽高度や季節、例えば夏期の冷房時であるのか冬期の暖房時であるのかなどのデータを制御装置(図示は省略する)に取り込み、このデータをもとに角度調節用モータ2の回動角度すなわちスラット1の回動角度を決定する。なお、スラット1の回動角度の調節は手動による修正も可能なものとした。
【0014】次に動作について説明する。冷房モードか暖房モードかの情報は期間によってスケジュールとして予め制御装置に設定しておくか、空調システムの運転状態によりここから信号として取り入れる。
【0015】また、窓11に日射が直接当たっているかの判断は、スラット1の上面に取り付けた複数のフォトセンサ10のうち最も外側のものからの出力によって行う。又は窓11のガラス面に1ヶ所専用のフォトセンサを設けてこれからの出力によって判断しても良い。例えば太陽電池の発電効率はアモルファス系のシリコン太陽電池で10%程度であるが、スラット1面上の最も外側の太陽電池に入射する日射量が一定量例えば200kcal に相当する電池の出力と比較して、それ以上か以下かで判断する。
【0016】そして、前記のようにして判断した結果、窓11に日射が直接当たらない場合は、冷暖房のモードに関係なく、図3に示すようにスラット角度が水平になるように角度調節用モータ2を回転して眺望を極力妨げないようにする。このとき、スラット1は鏡面8が上向きになり、天空日射がここで反射して室内の天井を照らすから、昼光照明が得られ、太陽光を光源として利用できる。この場合、巻き上げ用モータ5に出力して全部のスラット1を上方に巻き上げてもよい。
【0017】次に窓11に日射が直接当たり、かつ夏期などで冷房モードの場合を説明すると、この場合は図4〜図6に示すように直接日射がスラット1の上面の鏡面8により窓11の外側に極力反射して遮蔽するようにスラット角度を制御し、冷房負荷を低減する。
【0018】フォトセンサ10からの出力により図4に示すように太陽高度が低いと判断されたとき、図5のように太陽高度が中位のとき、図6のように太陽高度が高いとき、いずれの場合もフォトセンサ10を取り付けたスラット1の上に落ちる、直上のスラット1の前端の影が最も長くなるように、すなわち最も外側まで届くようにスラット1の角度を決定し、この角度になるよう角度調節用モータ2の駆動軸を自動回転する。直上のスラット1の影の長さの判断は、フォトセンサ10としての10個の太陽電池のうち出力のあるものの位置と数により行い、太陽高度が高くなるにしたがい、スラット角度が水平に近くなる。
【0019】なお、図5の鎖線で示す位置のように影が最も長くなる角度よりもさらに10°程度スラット角度を立てたほうが有効に日射を遮蔽できる。また、前記のようにしてフォトセンサ10によって影の長くなる角度を探すとき、直射光の当たるセンサ10の数が同じ場合は、スラット角度を立てた位置に決定する。
【0020】次に窓11に日射が直接当たり、かつ冬期などで暖房モードの場合を説明すると、この場合は図7〜図9に示すようにスラット1の鏡面8により太陽光線を室内側に反射させて積極的に日射を取り入れ、熱、光源として利用する。
【0021】フォトセンサ10からの出力により図7に示すように太陽高度が低いと判断されたとき、図8のように太陽高度が中位のとき、図9のように太陽高度が高いとき、いずれの場合もフォトセンサ10を取り付けたスラット1の上に落ちる、直上のスラット1の前端の影が最も短くなるように、すなわち最も内側の位置の太陽電池にのみ日射が当たってやっと遮蔽できるようにスラット1の角度を決定し、この角度になるよう角度調節用モータ2の駆動軸を自動回転する。
【0022】これによりスラット1は外側に傾斜する位置から、水平位置、内側に傾斜する位置へと太陽高度により回動する。そして、水平およびこれに近い位置となることで、鏡面8による反射光線が室内の天井面に当たり、光源及び熱として利用でき、窓面に当たる日射量を窓面から室内の奥に導くことで室内の負荷状態が均一化する。また、この場合、鏡面8で日射を反射することによってスラット1に吸収される日射量を少なくでき温度上昇を防いで窓際の不快な熱輻射を防ぐことができ、さらにスラット角度が水平となることで眺望が妨げられることがない。
【0023】なお、図9のように太陽高度が高い場合は、スラット1の影が最も長くなる角度にスラット1の角度を決定すると、鏡面8からの反射光が低くなりすぎるため、鎖線で示す位置のように水平よりも15°内側に傾斜する角度まで立てたほうが反射光を室内に有効に導入できる。
【0024】本発明のブラインドは前記実施例では一重ガラスの窓11の外側に設けるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、内側、あるいはダブルスキンの二重ガラスの内部に設置する場合にも適用できる。また、フォトセンサ10からの出力によりスラット1の角度が自動的に設定され、モータ2によってこの角度にスラット1が自動的に回動するが、手動により修正することも可能である。
【0025】
【発明の効果】以上述べたように本発明のブラインドは、日射の遮蔽と採光とを季節や天候などの条件に自動的に常時合致させることができ、日射を極力遮蔽し、あるいは日射を極力室内に取り込んで光源や熱源として利用するなどして、室内の温度や照度を快適な条件に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブラインドの説明図である。
【図2】本発明のブラインドの要部の側面図である。
【図3】本発明のブラインドの窓に日射が直接当たらない場合の説明図である。
【図4】本発明のブラインドの窓に日射が直接当たり、かつ冷房モードの場合で太陽高度が低いときの説明図である。
【図5】本発明のブラインドの窓に日射が直接当たり、かつ冷房モードの場合で太陽高度が中位のときの説明図である。
【図6】本発明のブラインドの窓に日射が直接当たり、かつ冷房モードの場合で太陽高度が高いときの説明図である。
【図7】本発明のブラインドの窓に日射が直接当たり、かつ暖房モードの場合で太陽高度が低いときの説明図である。
【図8】本発明のブラインドの窓に日射が直接当たり、かつ暖房モードの場合で太陽高度が中位のときの説明図である。
【図9】本発明のブラインドの窓に日射が直接当たり、かつ暖房モードの場合で太陽高度が高いときの説明図である。
【符号の説明】
1…スラット 2…角度調節用モータ
3…プーリー 4…紐
5…巻き上げ用モータ 6…プーリー
7…紐 8…鏡面
9…拡散面 10…フォトセンサ
11…窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】 多数のスラットで構成するブラインドにおいて、各スラットの上面を鏡面とし、窓枠などの影を受けない任意のスラットの上面に複数のフォトセンサをスラット巾方向に設け、該センサからの出力により決定される回動角度で各スラットを自動的に回動する角度調節用モータをスラットに接続することを特徴とするブラインド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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