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ブラシの製造方法及びブラシ
説明

ブラシの製造方法及びブラシ

【課題】 ブラシ繊維の繊維密度を大幅に高めることが可能なブラシの製造方法、及び、該ブラシの製造方法を用いて得られるブラシを提供する。
【解決手段】 ブラシ繊維用糸条を整経する工程、整経したブラシ繊維用糸条に所定の間隔で交互に低溶融温度樹脂含有溶液と溶解性樹脂含有溶液とを含浸させる工程、樹脂含浸後のブラシ繊維用糸条を乾燥する工程、ブラシ繊維用糸条を交互に折りたたむ工程、ブラシ繊維用糸条を低溶融温度樹脂の溶融温度以上に加熱することにより低溶融温度樹脂を加圧成形する工程、及び、前記溶解性樹脂を除去する工程を有するブラシの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ブラシ繊維の繊維密度を大幅に高めることが可能なブラシの製造方法、及び、該ブラシの製造方法を用いて得られるブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシ基体とブラシ繊維とからなるブラシは、種々の分野で使用されており、特に、洗浄、清掃、帯電、塗布、研削、研磨等の各種処理を行うブラシ等として好適に使用されている。例えば、製造工程において、異物の清掃、除去等に使用されるクリーニングブラシでは、クリーニングが不充分であると、異物の存在によって、得られる製品の品質が低下するという問題があった。
【0003】
これに対して、一般的に使用される帯電ブラシを用いた例としては、特許文献1や特許文献2に示すように、荷電性能や除電性能に優れた導電性繊維とブラシ基体とからなる導電性ブラシを金属製の丸棒からなる支軸に螺旋状に巻き付け、接合することによって形成されたものが開示されている。
【0004】
しかしながら、近年の技術革新に伴い、従来の導電性ブラシでは、除去能力が不充分であった。また、従来の導電性ブラシは、使用するにつれ、導電性繊維(ブラシ繊維)にへたりが生じ、帯電性能やクリーニング性能を長期にわたり維持することが困難であるという問題もあった。
更に、従来の導電性ブラシは、ブラシ基体が支軸から剥がれ易くなっており、導電性ブラシとしての役割を充分に果たせないだけでなく、機器自体を破壊してしまう可能性があった。
【0005】
また、従来の導電性ブラシの作製方法としては、ブラシ繊維の一端部に接着剤を塗布してブラシ基体に固定する方法や、ブラシ繊維をパイル織りにより起毛してブラシ基体に織り込むことにより作製する方法も行われている。
しかしながら、接着剤で固定する方法では、ブラシ繊維の繊維密度を高めることができないという問題や、ブラシ繊維が抜け易いという問題があった。
また、パイル織りにより起毛する方法では、ブラシ繊維の繊維密度が低くなるだけでなく、織り込み工程が煩雑となり、作業効率が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−56538号公報
【特許文献2】特開2004−93948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記現状に鑑み、ブラシ繊維の繊維密度を大幅に高めることが可能なブラシの製造方法、及び、該ブラシの製造方法を用いたブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ブラシ繊維用糸条を整経する工程、整経したブラシ繊維用糸条に所定の間隔で交互に低溶融温度樹脂含有溶液と溶解性樹脂含有溶液とを含浸させる工程、樹脂含浸後のブラシ繊維用糸条を乾燥する工程、ブラシ繊維用糸条を交互に折り畳む工程、ブラシ繊維用糸条を前記低溶融温度樹脂の溶融温度以上に加熱して低溶融温度樹脂を加圧成形する工程、及び、前記溶解性樹脂を除去する工程を有するブラシの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
従来、ブラシを製造する方法としては、ブラシ繊維の一端部に接着剤を塗布してブラシ基体に固定する方法や、ブラシ繊維をパイル織りにより起毛してブラシ基体に織り込むことにより作製する方法が用いられていたが、ブラシ繊維の繊維密度を高めることができないという問題や、作業効率が低下するという問題があった。
また、特に長いブラシ繊維のブラシを作製する場合に、所望の間隔でブラシ繊維が形成されたブラシを製造できないという問題もあった。
本発明のブラシの製造方法では、上述の方法を用いることで、ブラシ繊維の繊維密度を大幅に高めることができ、かつ、ブラシを製造する際の生産効率を向上させることが可能となる。また、得られるブラシは、ブラシ繊維が脱離しにくいものとなる。
【0010】
本発明のブラシの製造方法の一例について、図1〜5を使って説明する。なお、図1〜5は、横方向からの断面図である。
本発明では、まず、ブラシ繊維用糸条11を整経した後、整経したブラシ繊維用糸条11に所定の間隔で交互に低溶融温度樹脂含有溶液aと溶解性樹脂含有溶液bとを含浸させる。
これにより、ブラシ繊維用糸条11に低溶融温度樹脂含浸部11aと溶解性樹脂含浸部11bとが形成される。次いで、樹脂含浸後のブラシ繊維用糸条11を乾燥機12を用いて所定の温度で乾燥する(図1)。なお、図1の工程は一連の機器で行うことが好ましい。
次いで、乾燥後のブラシ繊維用糸条を交互に折りたたむ工程を行う(図2)。上記折りたたみ工程は、ブラシ繊維用糸条11の低溶融温度樹脂含浸部11aと溶解性樹脂含浸部11bとが、図3に示すような2層構造となるように行うことが好ましい。
更に、低溶融温度樹脂含浸部11aと溶解性樹脂含浸部11bの2層構造となるように形成されたブラシ繊維用糸条11を、低溶融温度樹脂の溶融温度以上、溶解性樹脂の溶融温度未満に加熱しながら、水平方向に加圧することにより、低溶融温度樹脂含浸部11aを熱成形する(図4)。
次いで、ブラシ繊維用糸条11の溶解性樹脂含浸部11bの溶解性樹脂を洗浄溶媒等を用いて除去した後、適度な長さに切断する工程を行う。これにより、ブラシ基体2とブラシ繊維1とを有するブラシが作製される(図5)。
【0011】
本発明のブラシの製造方法では、まず、ブラシ繊維用糸条を整経する工程を行う。
上記ブラシ繊維用糸条の整経密度は、得られるブラシの繊維密度に応じて決定されるため、特に限定されないが、15〜200本/cmが例示できる。
【0012】
上記ブラシ繊維用糸条としては、低溶融温度樹脂含有溶液及び溶解性樹脂含有溶液を含浸させることが可能なものであれば、特に限定されないが、例えば、綿糸、ポリエステル繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系糸、導電性繊維等を用いることができる。
上記ブラシ繊維用糸条はフィラメントであってもよい。上記フィラメントとしては、モノ又はマルチフィラメントを用いることができるが、マルチフィラメントを用いることが好ましい。
【0013】
上記ポリエステル繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートや、それらにジカルボン酸成分、ジオール成分あるいはオキシカルボン酸成分が共重合されたもの、あるいはそれらポリエステルをブレンドしたポリエステル等からなるものが挙げられる。さらには、生分解性ポリエステルとして知られるポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリε−カプロラクタム等の脂肪族ポリエステルでもよい。
【0014】
上記ポリアミド繊維としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン12、ポリメタキシレンアジパミドやこれら各成分を共重合したものやブレンドしたものからなる繊維等が挙げられる。
【0015】
上記導電性繊維としては、炭素繊維の他、ナイロン系、アクリル系、ポリエステル系等の合成繊維にカーボンブラックを練り込んだ複合繊維、表面がカーボンブラックでコーティングされた合成繊維等が挙げられる。
上記導電性繊維の具体例としては、導電性レーヨン繊維REC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10(ユニチカ社製)、SA−7(東レ社製)、サンダーロン(日本蚕毛社製)、ベルトロン(KBセーレン社製)、クラカーボ(クラレ社製)、ローバル(三菱レーヨン社製)等の市販品がある。
【0016】
上記ブラシ繊維用糸条の太さは特に限定されないが、繊維径が5〜300μmであることが好ましい。上記ブラシ繊維用糸条の繊維径が5μm未満であると、繊維の腰が弱くなり、繊維の反発弾性を利用したブラッシング効果を得がたく、連続使用による繊維のへたりも早くなる傾向がある。
上記ブラシ繊維用糸条の繊維径が300μmを超えると、ブラッシング対象への均一接触が得がたくなる傾向があり、好ましくない。上記ブラシ繊維用糸条の太さを上記範囲内とすることで、ブラッシングによる均一接触性に優れたブラシとなる。
【0017】
本発明のブラシの製造方法では、次いで、整経したブラシ繊維用糸条に所定の間隔で交互に低溶融温度樹脂含有溶液と溶解性樹脂含有溶液とを含浸させる工程を行う。
なお、上記含浸工程においては、低溶融温度樹脂含有溶液及び溶解性樹脂含有溶液が、繊維内部に必要以上に浸入しない程度に含浸させることが好ましい。
【0018】
上記低溶融温度樹脂含有溶液及び溶解性樹脂含有溶液を含浸させる方法としては、例えば、整経したブラシ繊維用糸条の所定の位置に低溶融温度樹脂含有溶液及び溶解性樹脂含有溶液に接触、滴下する方法、スプレーにて含浸させる方法、バーコーターやナイフコーターで含浸させる方法、ローラースタンプで含浸させる方法等が挙げられる。
【0019】
上記低溶融温度樹脂含有溶液と溶解性樹脂含有溶液とを含浸させる際の低溶融温度樹脂含浸部及び溶解性樹脂含浸部の長さは、得られるブラシ繊維の長さや、ブラシ基体の厚みに応じて決定されるため、特に限定されないが、4〜70mm毎とすることが好ましい。長さを上記範囲内とすることで、ブラッシングによる均一接触性に優れたブラシとなる。
【0020】
上記低溶融温度樹脂含有溶液としては、低溶融温度樹脂を、該低溶融温度樹脂を溶解可能な溶剤で溶解させた溶液を用いることができる。
上記低溶融温度樹脂とは、後述する工程において加熱成形が可能な程度に溶融温度の低い樹脂をいう。特に、上記溶解性樹脂が溶融温度を有する樹脂である場合は、上記溶解性樹脂よりも溶融温度が低い樹脂であることが好ましい。
上記溶解性樹脂よりも溶融温度が高い樹脂を用いた場合、低溶融温度樹脂含有溶液を含浸させた部分が熱成形してしまい、所望のブラシを製造できないことがある。
【0021】
本発明において、上記低溶融温度樹脂の溶融温度は、1/2法溶融温度を用いて測定する。
なお、1/2法溶融温度は、従来からフローテスターでの昇温法において試料の溶融特性を評価する目安として、多くの分野において温度特性の測定に利用されているものである。
上記1/2法溶融温度は、定荷重押出し式細管式レオメーター(フローテスター)により測定することができる。具体的な測定方法としては、フローテスター((株)島津製作所製、CFT−100D)を用いて、2cmの試料を80℃にて180秒間予熱した後、6.0℃/分の速度で昇温させながら、ピストン圧力:5.884×10Paで、ダイ(穴径1.0mm、穴ストレート部長さ2.0mm)から押し出すようにして測定する方法が挙げられる。図7に、フローテスターの測定により得られる流動曲線を、横軸に温度、縦軸にピストンストロークをとり模式的に示した。該流動曲線において、流出終了点Smaxと最低点Sminの差の1/2の値Xを求め((X=Smax−Smin)/2)、XとSminを加えた点Aの位置における温度が、すなわち1/2法溶融温度である。
【0022】
上記低溶融温度樹脂は、1/2法溶融温度が100〜300℃であることが好ましい。上記1/2法溶融温度が100℃よりも低いと、ブラシの保管環境によっては90℃を超える高温になることもあるため、メルトダウンの危険性があり好ましくない。上記1/2法溶融温度が300℃を超えると製造装置に特殊な耐熱部品が必要になったり、製造段階でブラシ繊維の物性や寸法に悪影響を与えてしまう傾向があり好ましくない。上記低溶融温度樹脂の1/2法溶融温度のより好ましい範囲は125〜230℃である。
【0023】
上記低溶融温度樹脂については、後述する工程において熱成形可能な程度に溶融温度の低い樹脂、特に、上記溶解性樹脂よりも1/2法溶融温度が低いものであれば特に限定されないが、例えば、伸縮弾性エラストマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
なかでも、ブラシ基体の柔軟性等を考慮すると、伸縮弾性エラストマー樹脂が好ましい。なお、上記低溶融温度樹脂は、溶解性樹脂と相溶しないものであることが好ましい。
【0024】
上記伸縮弾性エラストマー樹脂(以下、単にエラストマー樹脂ともいう)は、伸長してもほぼ元の長さに戻る(伸長可能な範囲で降伏点を有しない)性質、すなわちゴム弾性(ヒステリシス曲線において10%以内に戻る)を有する熱可塑性エラストマーであれば特に限定はない。上記エラストマー樹脂としては、ポリウレタン、ポリスチレンブタジエン系ブロックコポリマー等が例示され、特に、ポリウレタンエラストマーが好適である。
【0025】
上記エラストマー樹脂は、引張伸度が100〜900%であることが好ましい。上記引張伸度を上記範囲内とすることで、支軸に確実に固定することができる。上記引張伸度は100〜600%であることがより好ましい。
なお、上記引張伸度は、JIS K7311に準拠した方法で測定することができる。
【0026】
また、上記エラストマー樹脂の引張強度(JIS K7311)は、30〜60MPa程度、さらに45〜60MPa程度の高強度のものが好ましい。また、表面硬度A(JIS K 6253)は、A70〜98程度、さらにA80〜90が好ましい。表面硬度Aが、A70未満であると強度の確保が難しくなり、A98を超えると伸度及び伸縮性が極端に悪くなる傾向にある。
【0027】
上記エラストマー樹脂の具体例としては、例えば、熱可塑性ポリウレタンエラストマーであるクラミロンU(クラレ社製)3195、8175等、パンデックス(ディーアイシーバイエルポリマー社製)T−1185N、1190N、1195N等が挙げられる。
【0028】
上記エラストマー樹脂の製法の一例として、ポリウレタンエラストマー樹脂の製法を以下に示す。ポリウレタンエラストマー樹脂は、例えば、芳香族ポリイソシアネートとポリオールから、ワンショット法、プレポリマー経由法等の公知の方法を用いて製造できる。
【0029】
上記芳香族ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ジイソシアネート、これらの芳香族ジイソシアネートの変性物(カーボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、ウレア基等を有するジイソシアネート変性物);及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0030】
上記芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネートなどが挙げられる。このうちで、特に好ましいものはMDIである。
【0031】
上記ポリオールとしては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、脂肪族系ポリオール等が挙げられ、特にポリエーテル系又はポリエステル系ポリオールが好適である。
上記ポリオールの数平均分子量は、弾性の観点から好ましくは300以上、より好ましくは1000以上、さらに好ましくは2000以上であり、好ましくは4000以下、より好ましくは3500以下、さらに好ましくは3000以下である。
【0032】
上記低溶融温度樹脂を溶解可能な溶剤としては、極性溶剤が好ましく、例えば、これらに限定されないが、水、ギ酸、その他有機酸、DMF、DMAc、アルコール類、エーテル類、ケトン類等が挙げられる。中でも環境負荷の小さい水が特に好ましい。
【0033】
上記溶解性樹脂含有溶液としては、溶解性樹脂を、該溶解性樹脂を溶解可能な溶剤で溶解させた溶液を用いることができる。
上記溶解性樹脂は、後述する工程において、成形されず、かつ、除去することが可能な樹脂である。上記低溶融温度樹脂よりも溶融温度が高い樹脂であることが好ましいが、成形されず、かつ、除去することが可能な樹脂であればよく、溶融温度を有しない樹脂も溶解性樹脂に含まれる。
上記溶解性樹脂を用いることにより、後述する工程において、低溶融温度樹脂含有溶液を含浸させた部分のみが熱成形され、溶解性樹脂含有溶液を含浸させた部分は熱成形されないことから、例えば、低溶融温度樹脂としてポリウレタンを用いる場合は、DMF、DMAc等を用いることで、溶解性樹脂のみを除去することが可能となる。上記低溶融温度樹脂よりも溶融温度が低いと、溶解性樹脂含有溶液を含浸させた部分も熱成形してしまい、所望のブラシを製造できないことがある。
なお、上記溶解性樹脂は、低溶融温度樹脂と相溶しないものであることが好ましい。
【0034】
上記溶解性樹脂は、1/2法溶融温度が100〜400℃であることが好ましい。上記1/2法溶融温度が100℃よりも低いと、低溶融温度樹脂の溶融温度も低くなるため、メルトダウンの危険性があり好ましくない。上記1/2法溶融温度が400℃を超えると、溶剤による溶解除去が困難となる傾向があり好ましくない。上記溶解性樹脂の溶融温度のより好ましい範囲は130〜400℃である。
なお、上記溶解性樹脂は、上記低溶融温度樹脂よりも1/2法溶融温度が5℃以上高いことが好ましい。
【0035】
上記溶解性樹脂については、上記低溶融温度樹脂よりも溶融温度が高いものであり、後の溶解性樹脂除去工程において、容易に除去できる樹脂であれば特に限定されないが、例えば、ナイロン6等のポリアミド系樹脂等が挙げられる。
また、本発明において、上記溶解性樹脂として、溶融温度を有しない樹脂を用いる場合、上記溶融温度を有しない樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
なお、溶融温度を有しないとは、例えば、フローテスターを用いて、1/2法溶融温度を測定する際に、ダイから試料を押し出すことができない場合等のことをいう。
【0036】
上記低溶融温度樹脂と溶解性樹脂との1/2法溶融温度の差は、5℃以上であることが好ましい。上記1/2法溶融温度の差が5℃未満であると、低溶融温度樹脂と同時に溶解性樹脂も一部で熱成形してしまうことがある。
【0037】
本発明では、次いで、樹脂含浸後のブラシ繊維用糸条を乾燥する工程を行う。
上記乾燥工程における乾燥温度は、上記低溶融温度樹脂含有溶液と溶解性樹脂含有溶液の溶剤を揮発可能な温度であれば、特に限定されず、80〜150℃が好ましい。
【0038】
本発明では、次いで、上記ブラシ繊維用糸条を交互に折りたたむ工程を行う。
このとき、上記ブラシ繊維用糸条を交互に折りたたむことに加えて、上記ブラシ繊維用糸条の低溶融温度樹脂含浸部同士及び溶解性樹脂含浸部同士を重ね合わせることで、低溶融温度樹脂含浸部と溶解性樹脂含浸部とが界面を有する2層構造とすることが好ましい。
上記ブラシ繊維用糸条を交互に折りたたむ方法としては、例えば、ブラシ繊維用糸条の低溶融温度樹脂含浸部の中心部と溶解性樹脂含浸部の中心部を把持し、低溶融温度樹脂含浸部同士及び溶解性樹脂含浸部同士を重ね合わせる方法や、2枚の歯車がかみ合う部位に挿入する等によって折り目をつけた後、送り速度差を利用して折りたたむ方法等が挙げられる。
【0039】
本発明では、次いで、ブラシ繊維用糸条を低溶融温度樹脂の溶融温度以上に加熱することにより低溶融温度樹脂を加圧成形する工程を行う。
なお、上記工程において、溶解性樹脂として、溶融温度を有する樹脂を用いる場合は、加熱温度を上記溶解性樹脂の溶融温度未満とすることが好ましい。
このような工程を行うことで、低溶融温度樹脂含浸部を互いに融着、熱成形することが可能となる。また、加圧成形後は適宜冷却工程を行う。
具体的には、図4のように、上下方向の幅を極力隙間がないように設定し、低溶融温度樹脂の溶融温度付近、つまり低溶融温度樹脂が軟化する温度まで昇温しながら、左右どちらか一方もしくは両方から平板で徐々に圧縮し、一定の圧力に到達した時点で一定の時間静置させる。その後、圧縮した状態で加温を止め、室温程度まで降温させる方法を用いることができる。
【0040】
上記工程において、加熱を行う際の温度は、使用する低溶融温度樹脂及び溶解性樹脂の種類に応じて決定されるため、特に限定されない。また、加熱時間についても適宜設定することができる。
【0041】
上記水平方向に加圧する際の圧力は、使用するブラシ繊維用糸条、低溶融温度樹脂、溶解性樹脂の種類に応じて決定されるため、特に限定されないが、100〜10000Paが好ましい。上記水平方向に加圧する際の圧力を上記範囲内とすることで、ブラシ全体が変形することなく一体化が可能となる。
【0042】
本発明では、次いで、上記溶解性樹脂を除去する工程を行う。上記溶解性樹脂を除去する方法としては、上記ブラシ繊維用糸条を劣化させることなく、溶解性樹脂のみを除去可能な方法であれば特に限定されないが、例えば、溶解性樹脂を溶解可能な溶剤に浸漬して溶解性樹脂を除去する方法、溶解性樹脂のみを溶解することのできる溶媒に浸漬して洗浄する方法等を用いることができる。
【0043】
上記溶解性樹脂を溶解可能な溶剤としては、極性溶媒が好ましく、例えば、DMF、DMAc、DMSO、THF、HPIP、MEK、トルエン、アセトン、ギ酸、エタノール、イソプロピルアルコール、水等が挙げられる。これらのなかでは、環境負荷の小さい溶剤、例えば、水等が好ましい。
【0044】
本発明では、最後に、必要に応じて、上記ブラシ繊維用糸条をシャーリングする工程を行う。これにより、ブラシ基体とブラシ繊維とを有するブラシを作製することができる。
なお、シャーリングとは、ブラシ繊維用糸条の折り目部分の先をカットすることをいう。
【0045】
また、熱成形されたブラシ基体の中心を水平方向にカットする工程を行ってもよい。具体的には、カッターを用いてカットする方法、ワイヤーを用いてカットする方法等が挙げられる。
【0046】
本発明のブラシの製造方法を用いることで、従来のブラシの製造方法と比較して、ブラシ繊維の繊維密度を高めることができるとともに、支軸に確実に固定することが可能なブラシを製造することができる。このようなブラシも本発明の1つである。
【0047】
本発明のブラシは、ブラシ基体とブラシ繊維とを有する。
【0048】
また、上記ブラシの繊維の長さは2〜30mmが好ましい。上記ブラシ繊維の長さが2mm未満であると、繊維の弾性を利用したブラッシング対象への均一接触が得がたくなる。上記ブラシ繊維の長さが30mmを超えると、繊維の反発弾性を利用したブラッシング効果を得がたく、連続使用による繊維のへたりも早くなる傾向があり、好ましくない。上記ブラシの繊維の長さを上記範囲内とすることで、ブラッシングによる均一接触性に優れたブラシとなる。
【0049】
更に、上記ブラシ繊維の繊維密度は1万〜20万本/cmであることが好ましい。上記ブラシ繊維の繊維密度を上記範囲内とすることで、ブラシとブラッシング対象との均一接触が、上記ブラシとブラッシング対象間の位置精度の影響を受けにくくなり、組み付け精度によらず均一接触性が優れたブラシとなる。
【0050】
本発明のブラシの形状としては、特に限定されないが、ブラシ基体が円筒形状であり、かつ、上記ブラシ基体の円筒外表面にブラシ繊維を有するものが好ましい。このような形状を有することで、種々の径の主軸に適合させることが容易となり、熱処理による主軸への固定も容易となる。
【0051】
本発明のブラシは、洗浄用ブラシとして好適に用いることができる。また、ブラッシング、ポリッシングが必要な用途に利用可能である。更に、帯電ブラシ、除電ブラシにも好適に使用することができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明のブラシの製造方法を用いることで、従来のブラシの製造方法と比較して、ブラシ繊維の繊維密度を高めることができるとともに、ブラシ作製の作業効率を大幅に改善することができる。本発明のブラシは、例えば、クリーニングブラシ、帯電ブラシ、除電ブラシ、転写ブラシ等に使用した場合、クリーニング性、帯電性等の性能に優れるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明のブラシの製造方法の一例を模式的に示す図面である。
【図2】本発明のブラシの製造方法の一例を模式的に示す図面である。
【図3】本発明のブラシの製造方法の一例を模式的に示す図面である。
【図4】本発明のブラシの製造方法の一例を模式的に示す図面である。
【図5】本発明のブラシの製造方法の一例を模式的に示す図面である。
【図6】弾性回復率測定の概略を模式的に示す図面である。
【図7】フローテスターの測定により得られる流動曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0055】
(実施例1)
ポリウレタン樹脂(PANDEX T−1185N、1/2法溶融温度214℃、引張伸度525%)の12重量%N,N−ジメチルホルムアミド溶液を低溶融温度樹脂溶液とした。また、ポリビニルアルコール(ナカライテスク社製、重合度500、溶融温度を有しない)の20重量%水溶液を溶解性樹脂溶液とした。なお、引張伸度はJIS K7311に準拠した方法で測定した。
ポリエステル糸(シャッぺスパン#90)を整経密度50本/10mmで整経した後、図1に示すように、得られた低溶融温度樹脂溶液と溶解性樹脂溶液を10mm毎に交互に含浸させた。次いで、樹脂含浸後のポリエステル糸を90℃で20分間乾燥した。
その後、図2に示すように、整経したポリエステル糸を交互に折りたたみ、2層構造とした後、8MPaで水平方向に加圧しながら170℃で30秒間加熱を行い、ポリウレタン樹脂を熱成形した。
次いで、ポリビニルアルコールを水に浸漬することにより除去した後、ポリエステル糸のループ状の部分をシャーリングし、毛長を揃えることでブラシを作製した。
なお、得られたブラシは、繊維密度が19.4万本/cmであり、ブラシ毛の長さは4mmであった。また、ブラシ基体の厚みは5mm、幅は10mm、長さは20mmであった。
【0056】
(実施例2)
ポリウレタン樹脂に代えて、ポリエーテルブロックアミド共重合体(ペバックス MV1041SA01、1/2法溶融温度197℃、引張伸度450%)の20重量%HFIP溶液を低溶融温度樹脂溶液とした以外は実施例1と同様にしてブラシを作製した。なお、得られたブラシは、繊維密度が18万本/cmであり、ブラシ毛の長さは4mmであった。また、ブラシ基体の厚みは5mmであった。
【0057】
(実施例3)
ポリエステル糸(シャッぺスパン#90)に代えて、導電性ナイロン系繊維(ベルトロン、KBセーレン社製、44dtex/12f)を用い、整径密度を200本/10mmとした以外は実施例1と同様にしてブラシを作製した。
なお、得られたブラシは、繊維密度が10万本/cmであり、ブラシ毛の長さは4mmであった。また、ブラシ基体の厚みは5mmであった。
【0058】
(実施例4)
ポリビニルアルコールの20重量%水溶液に代えて、ナイロン6(UBEナイロン、宇部興産社製、1/2法溶融温度248℃)の20重量%蟻酸溶液を溶解性樹脂溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂を熱成形した。
次いで、ナイロン6をギ酸に浸漬することにより除去した後、ポリエステル糸のループ状の部分をシャーリングし、毛長を揃えることでブラシを作製した。
なお、得られたブラシは繊維密度が19.4万本/cmであり、ブラシ毛の長さは4mmであった。また、ブラシ基体の厚みは5mmであった。
【0059】
(比較例1)
ポリビニルアルコール水溶液樹脂を用いないこと以外は実施例1と同様にしてブラシを作製した。但し、整経したポリエステル糸を交互に折りたたむ工程を正常に行うことができず、評価が可能なブラシは得られなかった。
【0060】
(比較例2)
ループ用経糸に導電性繊維(ベルトロン、KBセーレン社製、44dtex/12f)、地経糸と地緯糸にナイロン繊維(東レ製、122dtex/30f)を用いてパイル織物を作製した後に、パイル先端をシャーリング加工で毛羽立たせた。
なお、得られたブラシは繊維密度が1.8万本/cmであり、ブラシ毛の長さは4mmであった。また、ブラシ基体の厚みは0.5mmであった。
【0061】
(比較例3)
実施例1と同様の方法で、導電性ナイロン系繊維(ベルトロン、KBセーレン社製、88dtex/12f、1/2法溶融温度220℃)を整径した後、引出し保持手段、押圧手段、折曲・接着ガイドを有する植毛装置(特開平6−305088号公報の図6と同様の装置、押圧手段として1mm厚平板を使用)を用いて、表面に接着剤が塗布されたポリウレタンシート(厚み2mm、1/2法溶融温度[T1/2]105℃)に、導電性ナイロン系繊維を折曲、押圧した後、ブラシ毛の長さが12mmとなるように切断することにより、導電性ナイロン系繊維を植毛した。
なお、得られたブラシは、繊維密度が0.8万本/cmであった。
【0062】
(評価)
(弾性回復率測定)
実施例及び比較例で得られたブラシについて、弾性回復率を以下の手順で測定し、得られた弾性回復率から「ブラシのへたり易さ」を評価した。
また、弾性回復率測定の概略を図6に示した。図6(a)は正面図、図6(b)は側面図である。
【0063】
(1)ブラシパイル両側面にパイル長よりも長い板を配置し、パイルが幅方向に倒れないように規制する。
(2)上記(1)で配置した2枚の板の間隔と同じ幅の長方形の2mm厚ガラス板3を用意し、パイル1が一方向に倒れるようにしてパイル平面上に乗せる。
(3)ガラス板3との合計重量が100g/cmとなる錘4を、ガラス板3の上に乗せて1時間放置する。放置後におけるパイル1の傾斜角(a°)から弾性回復率を以下の式を用いて計算した。なお、弾性回復率の測定は各10個について行い、その平均値を採用した。
弾性回復率(%)=100×(荷重放置後の水平面からの傾斜角)/90°
【0064】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によれば、ブラシ繊維の繊維密度を大幅に高めることができ、かつ、ブラシを製造する際の生産効率を向上させることが可能なブラシの製造方法、及び、該ブラシの製造方法を用いて得られるブラシを提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ繊維用糸条を整経する工程、
整経したブラシ繊維用糸条に所定の間隔で交互に低溶融温度樹脂含有溶液と溶解性樹脂含有溶液とを含浸させる工程、
樹脂含浸後のブラシ繊維用糸条を乾燥する工程、
ブラシ繊維用糸条を交互に折りたたむ工程、
ブラシ繊維用糸条を低溶融温度樹脂の溶融温度以上に加熱することにより低溶融温度樹脂を加圧成形する工程、及び、
前記溶解性樹脂を除去する工程を有する
ことを特徴とするブラシの製造方法。
【請求項2】
低溶融温度樹脂は、引張伸度が100〜900%の伸縮弾性エラストマー樹脂からなることを特徴とする請求項1記載のブラシの製造方法。
【請求項3】
伸縮弾性エラストマー樹脂は、ポリウレタンエラストマーであることを特徴とする請求項2記載のブラシの製造方法。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載のブラシの製造方法を用いて製造されたブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−187141(P2012−187141A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50638(P2011−50638)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】