説明

ブラシレスモータ

【課題】過負荷運転などによる温度上昇や高温環境下での使用などの熱によるモータへの温度負荷に対して、耐熱性を高め、高温環境下でもトルク低下をきたさないモータを提供する。
【解決手段】希土類磁石を、回転子または固定子に備えたブラシレスモータであって、前記希土類磁石が、表面から内部に、M元素(但し、Mは、Pr、Dy、TbまたはHo)を拡散浸透させて粒界改質処理を行った後、酸液に浸漬すると共に、前記酸液に超音波を作用させることによって、表面を洗浄したNd−Fe−B系の希土類磁石であることを特徴とするブラシレスモータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスモータに関し、より詳しくは、使用中に温度上昇を伴うブラシレスモータ(以下、単に「モータ」ともいう)および高温環境下で使用するブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に使用されているモータにおいては、モータの回転子または固定子に備えられた永久磁石(以下、単に「磁石」とも言う)の耐熱性が高くないため、過負荷運転などにより使用中の温度が上昇した場合や、繰り返し高温環境下で使用した場合、磁石が熱による不可逆性の減磁を起こし、その結果として、常温に戻ったとき、モータのトルクが著しく低下し、回復しない。なお、加熱により減少した磁化のうち、室温に戻しても回復しない磁化の加熱前の磁化に対する比率を、不可逆減磁率といい、前記のように、モータのトルクが著しく低下し、回復しないことは、不可逆減磁率が大きいことを示している。
【0003】
しかし、近年、FA、電装、H−EV車等の機器において、使用中に温度上昇を伴うモータや、高温環境下で使用するモータとして、耐熱性に優れた、即ち、常温と高温での運転が繰り返されてもモータのトルクが低下しないモータが要望されている(目安としては、150℃における不可逆減磁率が、2%以下)。
【0004】
例えば、物品搬送用のモータ内蔵ローラにおいて、通常のモータを使用しても、使用環境下でのモータ温度が100℃以下であれば、停止等により常温に戻ることに伴い、元のトルクに回復するが、100℃を上回ると磁石の不可逆減磁率が突如として大きくなり、常温に戻ってもトルクが回復しない現象が起こる。つまり、モータが過負荷運転による温度上昇を繰り返し受けることにより、トルクが低下、即ち、搬送能力が徐々に衰えてしまうことになる。その結果、当初は搬送可能であった物品が、場合によっては、搬送できなくなる。
従って、重量物品の搬送による過負荷運転や高温環境下での使用が強いられるモータ内蔵ローラには、耐熱性に優れたモータを提供する必要がある。
【0005】
耐熱性に優れたモータを提供するためには、磁石の最大エネルギー積を低下させずに高保磁力を有すると共に、過負荷運転などによる温度上昇や高温環境下での使用など熱によるモータへの温度負荷に対して、不可逆性の減磁を生じることが少ない、即ち、高温時での減磁耐力に優れた磁石を必要とする。
【0006】
高保磁力を有すると共に、高温時での減磁耐力に優れた磁石としては、テルビウム(Tb)やディスプロシウム(Dy)などの重希土類元素を含有させたNd−Fe−B系の希土類磁石が挙げられる。
【0007】
この磁石は、NdFe14B化合物主相をNdリッチな粒界相が取り囲んだ構造をしている。従来より、NdFe14B化合物と比較して異方性磁界の大きなDyFe14B又はTbFe14B化合物の磁気的性質を利用して、磁石合金中にDyやTbを数〜十数質量%程度含有させることによって、保磁力を向上させることが行われてきた。しかし、この場合には、同時に、磁束密度Bと磁界Hとの積で表される最大エネルギー積(BHmax)と残留磁化(Br)が著しく低下するという問題があった。
【0008】
このような問題に対応するために、残留磁束密度の低下を抑制しつつ保磁力を向上させる方法として、Dy元素等を含まないNd−Fe−B系の焼結磁石の表面からDy金属をスパッタリングによって成膜して熱拡散する方法や、Dyフッ化物を還元して拡散する方法など、いわゆる粒界改質法が開発されている(特許文献1〜3)。
【0009】
これらの方法により、Dy元素はNdFe14B化合物主相よりも粒界相に選択的に拡散浸透する結果、残留磁化の低下を抑制して大幅な保磁力向上を実現している。これら粒界改質磁石はDy含有量を半減しても、粒界改質しない磁石と同等の保磁力を発生するため、希少資源でかつ高価なDy元素を節減できる効果を併せ持っている。
【特許文献1】特開2004−304038号公報
【特許文献2】WO 2006/064848 A1公報
【特許文献3】特開2005−210876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、これらの方法で製造されたNd−Fe−B系の粒界改質磁石は、Dy元素を粒界相に拡散させる過程で700〜1000℃の高温熱処理を行うことにより、磁石表面にNdの酸化物が形成され、またDyフッ化物の還元によるCaFなどが生成する。また、一般的に希土類元素は酸化され易いため、希土類磁石を放置すると、放置中に磁石表面に酸化物の被膜が生成する。
【0011】
これらの酸化物やフッ化物は磁石表面の不純物残渣であり、例えば磁石に防錆用のNiめっきを施したときのめっきの付着性を阻害するほか、モータに応用された場合の長期間の運転において酸化膜中の酸素やフッ素が磁石内部に拡散して、減磁耐力等の磁気特性(以下、単に磁気特性と言う)が徐々に低下し、モータのトルクが低下するなどの悪影響をおよぼすため、除去する必要がある。
【0012】
これらの不純物残渣を除去する方法としては、機械的なバレル方法がある。しかし、この方法を採用した場合、磁石相互や研磨片との衝突により磁石に欠けを生じ易く、またバレル装置稼動中の騒音が問題となる。また、砂の粉末などを磁石表面に高速で吹きつけるショットブラスト方法があるが、上述同様に磁石の欠けと騒音の問題、および砂と磁石の分離回収作業での粉塵等の問題がある。
【0013】
一方、磁石表面の残渣を除去するための別の方法として、化学的な酸洗浄方法がある。化学的な酸洗浄方法を採用した場合、磁石の表面に強固に付着した不純物残渣を除去することができ、また、塩酸や硝酸などの濃度と時間を調整することによって、簡便に表面の不純物残渣を除去できる。しかし、この酸洗浄を行った磁石は、洗浄前に対して磁気特性が低下し、所望とする高い磁気特性を確保することが困難であり、過負荷運転などによる温度上昇や高温環境下での使用などの熱によるモータへの温度負荷に対して、耐熱性を高め、高温環境下でもトルク低下をきたさないモータを得ることができなかった。
【0014】
上記した酸洗浄後の磁気特性の低下の原因は、以下のように推察される。即ち、例えば塩酸による酸洗浄を行う場合、磁石の主要成分であるNdが、イオン化して溶解する際に水素ガスが発生する。この水素ガスが、Nd−Fe−B系の磁石内の、主としてNdリッチ粒界相に吸収され、保磁力発現の重要な役割を担っている粒界相が変質や体積膨張を起こす結果、保磁力の低下を引き起こすものと推察される。また、酸洗浄は、一般に室温で数分から数十分の短時間処理であるために、吸収された水素は、主に磁石の表面近傍に留まる。そのため、酸洗浄後の磁石の磁気特性は,本来の高い保磁力をもつ磁石の磁気特性と低下した保磁力をもつ磁石の磁気特性とを合成した特性となる。特に、数mm以下の小型の磁石場合には、体積に対する表面積の比率が大きいため、水素の吸収による特性低下が大きい。
【0015】
本発明は、上記の問題に鑑み、過負荷運転などによる温度上昇や高温環境下での使用などの熱によるモータへの温度負荷に対して、耐熱性を高め、高温環境下でもトルク低下をきたさないモータを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、前記したNd−Fe−B系の粒界改質磁石に対する酸洗浄の方法を工夫することにより、洗浄前に対して磁気特性が低下せず、所望とする高い磁気特性を有する磁石をモータに組み込むことにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、各請求項の発明について説明する。
【0017】
請求項1に記載の発明は、
希土類磁石を、回転子または固定子に備えたブラシレスモータであって、
前記希土類磁石が、表面から内部に、M元素(但し、Mは、Pr、Dy、TbまたはHo)を拡散浸透させて粒界改質処理を行った後、酸液に浸漬すると共に、前記酸液に超音波を作用させることによって、表面を洗浄したNd−Fe−B系の希土類磁石であることを特徴とするブラシレスモータである。
【0018】
本請求項の発明においては、回転子または固定子に備える希土類磁石として、表面から内部に、M元素(但し、Mは、Pr,Dy,Tb,又はHo)を拡散浸透させて粒界改質処理を行った後、酸液に浸漬すると共に、前記酸液に超音波を作用させることによって、表面を洗浄したNd−Fe−B系の希土類磁石を用いるため、以下に述べるように、過負荷運転などによる温度上昇や高温環境下での使用などの熱によるモータへの温度負荷に対して、耐熱性を高め、高温環境下でもトルク低下をきたさないモータを得ることができる。
【0019】
本請求項の発明においては、Nd−Fe−B系の希土類磁石が用いられ、例えば、NdFe14B化合物からなる固形状の焼結磁石、熱間塑性加工磁石、および粉末を樹脂で固めたボンド磁石を挙げることができる。
【0020】
本請求項の発明においては、上記のNd−Fe−B系の希土類磁石の表面から内部に、M元素(但し、Mは、Pr,Dy,Tb,又はHo)を拡散浸透させて粒界改質処理が行われる。
具体的な粒界改質処理の方法としては、例えば、Dy元素等を含まないNd−Fe−B系の焼結磁石の表面からDy金属をスパッタリングによって成膜して熱拡散する方法や、Dyフッ化物を還元して拡散する方法などを挙げることができる。
【0021】
これらの方法により、Dy元素は、NdFe14B化合物主相よりも粒界相に、選択的に拡散浸透し、その結果、残留磁化の低下を抑制して大幅な保磁力向上を実現することができる。これらの方法により粒界改質した磁石は、Dy含有量を半減しても、市販の焼結磁石と同等の保磁力を発生する。
【0022】
以上のように、M元素を希土類磁石の表面から粒界相に拡散浸透させることによって、磁気特性に優れ、保磁力を高めた希土類磁石とすることができる。この希土類磁石は、従来市販のNd−Fe−B系の磁石に対して、M元素がNdFe14B化合物主相よりも粒界相に選択的に拡散浸透するために、M元素を含有した(Nd、M)Fe14B化合物の生成による磁化の低下を回避することができ、市販磁石に対して大幅に保磁力を向上することができる。また、M元素が主相にほとんど取り込まれなくても大きな保磁力が得られるため、希少資源でかつ高価なDyやTbなどのM元素を従来比50%以下に節減できる効果がある。その結果、このような磁石を備えるモータの製造コストの低減を図ることができる。
【0023】
本請求項の発明においては、さらに、前記の粒界改質処理したNd−Fe−B系の希土類磁石を、酸液に浸漬すると共に、前記酸液に超音波を作用させることによって、表面を洗浄する。超音波を作用させながら表面を酸洗浄することにより、磁石表面に生成した酸化物やフッ化物等、磁石表面の不純物残渣を除去することができる。また、酸液に超音波を作用させることにより、酸液中にキャビテーション現象を生じさせるため、発生する水素ガスが希土類磁石内に吸収されにくい状態となり、この結果、希土類磁石は、酸洗浄を行っても、保磁力の低下を引き起こさないで、粒界改質処理によって得られた高い磁気特性を維持することができる。
【0024】
超音波の周波数としては、産業上一般に使用される20〜1000kHzを適用することができる。20Hz未満では動作ノイズが大きくなり、1000kHzを超えると洗浄除去される物質が周波数に追随しにくくなって洗浄能力が低下する。
【0025】
使用する酸液は特に限定されるものではないが、塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸など無機の強酸を、水で数十〜数百倍に希釈したもの、あるいはシュウ酸、ギ酸、酢酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸など有機の酸水溶液を用いることができる。
【0026】
上記の酸洗浄を行う際、粒界改質処理した磁石と酸液とを強制的に相対運動させたり、酸液を溜めた洗浄槽の系内を減圧もしくは排気すると、水素ガスが磁石内により一層吸収されにくい状態となるため、より好ましい。
【0027】
以上のように、Nd−Fe−B系の希土類磁石と、粒界改質処理と、超音波の作用下における酸洗浄を利用することにより、耐熱性が高く、高温環境下でもトルク低下をきたさないモータを提供することができる。
【0028】
請求項2に記載の発明は、
前記希土類磁石が、水素含有量50ppm以下のNd−Fe−B系の希土類磁石であることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータである。
【0029】
本請求項の発明では、回転子または固定子に備える希土類磁石として、酸洗浄後の希土類磁石における水素含有量が50ppm以下のNd−Fe−B系の希土類磁石が用いられているため、上記した酸洗浄処理の効果、ひいては粒界改質処理の効果が、一層顕著に現れ、耐熱性が高く、高温環境下でもトルク低下をきたさないモータを提供することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、過負荷運転などによる温度上昇や高温環境下での使用などの熱によるモータへの温度負荷に対して、耐熱性を高め、高温環境下でもトルク低下をきたさないモータを提供できる。
また、希少で高価な元素(DyやTbなど)の使用量を低減できる永久磁石を備えているため、モータ製造に要するコストの上昇を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明をその最良の実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0032】
(永久磁石の製作)
Nd12.5Fe79.5で示される組成の原料合金を、粉砕、成形、焼結して得られた焼結磁石を切断し、30mm×8mm×2mmのサイズの板状Nd−Fe−B系焼結磁石片を複数個製作した。次に、DyF粉末1gおよびCaH粉末0.6gをエタノールを用いてスラリー化させ、前記磁石片表面に塗布して乾燥させた。続いてこれらの磁石片をSUS製のルツボに装填し、Arガス雰囲気中、900℃で2時間保持して、DyFをDy金属に還元すると同時に磁石内へ拡散させる熱処理を行って粒界改質磁石を作製した。この磁石試料をルツボから取り出し、試料表面のCaF粉末をブラシで軽く除去して、SUS304製網カゴに装填した。
【0033】
次に、網カゴを、濃度70%の硝酸を純水で100倍に希釈した酸水溶液中に、発振周波数28kHz、出力100Wの超音波を加えながら浸漬して、酸洗浄処理を行い、Nd−Fe−B系焼結磁石(以下、処理済磁石という)を得た。
【0034】
図1にその横断面および縦断面の概念図を示すブラシレスモータのロータコア2に、得られた処理済磁石1を埋め込み、ロータシャフト4に圧入固定したインナーロータタイプのIPM(Interior Permanent Magnet)型ブラシレスモータ22を製作した。
【0035】
以下、図1に基づき、上記ブラシレスモータ22の構成につき、説明する。
処理済磁石1が円周上90°おきに均等に埋め込まれたロータコア2、および4極着磁された位置検出磁石3は、ロータシャフト4に回転固定されている。ロータシャフト4の両端は、軸受5および軸受5を保持するモータフレーム6を介してモータケース7で保持され、また、モータケース7で圧入固定されているステータ8に対して軸心が同一である。
【0036】
マグネットワイヤ13が巻装されたステータ8に対して、ロータ(4極:パラレル円周方向)は、スラスト方向に同位置に配置し、回転可能になるように軸受5およびモータフレーム6を経てモータケース7に固定されている。
【0037】
ホールIC9は、軸心に対して60°毎に3ヶ所ホール基板10上に配置されて、ロータに配置した位置検出磁石3の磁極を検知し、ホール基板10および中空になっている軸19を貫通するケーブル11を介して、別途接続される制御基板12へと信号を送る。別途接続される制御基板12はその信号を受け、適宜ステータ8へ巻装されたマグネットワイヤ13へ電流を流し、ロータシャフト4を回転させる。
【0038】
(耐熱性の確認)
まず、常温(25℃)でモータの動特性を、モータアナライザを用いて、測定する。
測定方法は、以下の通りである。
(動特性測定要素):回転数、トルク、入力電圧、入力電流、入力、出力、効率(モータ単体及び制御基板込の2種)
【0039】
(測定方法)
供試品(処理済磁石を組込んだブラシレスモータ)を専用固定台に取り付け、カップリングを介してモータアナライザへとロータシャフト4を回転固定する。上記測定要素が測定できるようモータアナライザ専用端子へモータおよび制御基板12の電源線および信号線等を接続する。モータアナライザはPC操作のため、予めインストールされたソフトを使用し、必要試験条件を設定する。回転数またはトルク基準で特性測定を行うことができ、今回は回転数基準を選択した。設定回転数毎にその他の要素が測定することができ、それぞれの要素を画面上にプロットし、CSV形式でデータとして残すことができるのでその資料を基に評価を行う。
【0040】
(測定条件)
最初に、室内常温常湿で測定を行う。
【0041】
次いで、マントルヒーターでモータ全体を包み込み仮想的に高温環境下を作り出す。
熱電対をモータコイル部に取付け、PCカード型データ収集システムで温度を監視し、各所定温度(60/100/120/150/180℃)に加熱して1時間保持し、その後空冷する。常温に戻った後、再度動特性を測定する。
【0042】
常温のトルクを基準とし、所定温度に加熱した後のトルクの変化率を求めた。
結果を、図2に示す。
図2に示すように、処理前は100℃を超えるとトルクが激減しているのに対し、処理後は180℃でもトルクの低下は漸減程度(2%以下)であり、安定したモータトルクが得られていることが分かる。
【0043】
(モータの使用例)
図3は、前記のIPM型ブラシレスモータを内蔵したローラの断面概念図である。
図1に示したモータのロータシャフト4の先端に対し回転固定で勘合する太陽歯車14は、遊星減速機構15を経て減速された出力軸16へと出力され、出力軸16は、パイプ17へ回転固定された出力板18と回転固定で勘合し、パイプ17へと出力伝達することにより、パイプ17が回転する。また、軸19は、モータケース7に対して回転固定かつパイプ17に対して回転可能に固定および取付フレーム20に対して固定金具21を介して固定される。軸19を取付フレーム20に取り付け、回転固定させることによりパイプ17が回転し物品を搬送可能とする。
【0044】
従来は、高温環境下での使用や、重量搬送物による過負荷運転がある場合、モータ内蔵ローラは熱を持つたびに徐々にトルク低下し、場合によっては物品を搬送しなくなる可能性があった。処理済磁石を応用した本発明のブラシレスモータをローラに内蔵することにより、高温環境下での使用や重量搬送物による過負荷運転等を経てもモータトルクの低下はなく、搬送不良を生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るブラシレスモータの縦、横断面の概念図である。
【図2】モータ温度とトルク変化率の関係を示す図である。
【図3】本発明に係るブラシレスモータを内蔵したローラの断面概念図である。
【符号の説明】
【0046】
1 処理済磁石
2 ロータコア
3 位置検出磁石
4 ロータシャフト
5 軸受
6 モータフレーム
7 モータケース
8 ステータ
9 ホールIC
10 ホール基板
11 ケーブル
12 制御基板
13 マグネットワイヤ
14 太陽歯車
15 遊星減速機構
16 出力軸
17 パイプ
18 出力板
19 軸
20 取付フレーム
21 固定金具
22 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類磁石を、回転子または固定子に備えたブラシレスモータであって、
前記希土類磁石が、表面から内部に、M元素(但し、Mは、Pr、Dy、TbまたはHo)を拡散浸透させて粒界改質処理を行った後、酸液に浸漬すると共に、前記酸液に超音波を作用させることによって、表面を洗浄したNd−Fe−B系の希土類磁石であることを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項2】
前記希土類磁石が、水素含有量50ppm以下のNd−Fe−B系の希土類磁石であることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−236858(P2008−236858A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70488(P2007−70488)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(801000061)財団法人大阪産業振興機構 (168)
【Fターム(参考)】