説明

ブラシ装置およびブラシ装置の作製方法

【課題】本発明は、ソフトなタッチで、クッション性の高いブラシ装置およびブラシ装置の作製方法に関するものである。
【解決手段】本発明のブラシ装置は、素材およびその間に含まれた空気のクッションによって被研磨材の表面が柔らかいものに適するものである。また、前記ブラシ装置は、複数の単位ブラシを集合して構成されている。前記単位ブラシは、第1の折り込み部と第2の折り込み部を備えており、前記素材のみならず、折り込まれた部分にも空気を蓄えることができ、研磨に際しクッション性を向上させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトなタッチで、クッション性の高いブラシ装置およびブラシ装置の作製方法に関するものである。本発明は、ブラシの素材およびブラシ集合体の中に空気を取り込みソフトなタッチとクッション性を有するブラシ装置およびブラシ装置の作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、固い表面を研磨する鏡面研磨用工具は、たとえば、実公平6−18781号公報に記載されているように、ステンレス製の極細線からなる線材を織った後、一対の切断端部を内側に折り返すとともに、他の一対の端部も内側に折り返した後、チャネルに芯線を用いることによりブラシを作製していた。前記ブラシは、端部に切断面からなる部分がないために、被研磨材の表面を一様に研磨できる。
【特許文献1】実公平6−18781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、近年、液晶、ガラス、樹脂等の面を研磨する必要が多くなった。前記柔らかい表面を研磨する素材は、たとえば、スポンジ、バフ素材等があった。また、前記従来のブラシは、研磨を機械によって行うため、被研磨材に当たる場合の衝撃がかかる場合がある。前記ブラシと被研磨材との当接時の問題を考慮したブラシ装置は、開発されていない。
【0004】
以上のような課題を解決するために、本発明は、柔らかい表面を有する被研磨材を研磨するソフトでクッション性を考慮したブラシ装置およびブラシ装置の作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(第1発明)
第1発明のブラシ装置は、空気を含むことができる素材からなり、面状からなる前記素材の両側端部を互いに内方向へ折り込んだ第1の折り込み部と、第1の折り込み部における上下端部を互いに内方向へ折り込んだ第2の折り込み部とからなる単位ブラシと、前記単位ブラシの複数が線状または環状に組み立てられたブラシ集合体と、前記ブラシ集合体を往復運動または回転運動させる駆動装置と、から少なくとも構成され、前記ブラシ集合体の移動により前記単位ブラシの折り込み側部から空気を含んだ状態で被研磨部材を研磨することを特徴とする。
【0006】
(第2発明)
第2発明のブラシ装置において、第1発明の素材は、織布、不織布、発泡性ゴム部材、天然繊維、合成繊維の内の少なくとも一つからなることを特徴とする。
【0007】
(第3発明)
第3発明のブラシ装置において、第1発明または第2発明のブラシ集合体は、複数の単位ブラシをチャネルに取り付けたチャネルブラシであることを特徴とする。
【0008】
(第4発明)
第4発明のブラシ装置において、第1発明から第3発明のブラシ集合体は、一本の前記チャネルブラシが回転軸に沿って螺旋状に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
(第5発明)
第5発明のブラシ装置において、第1発明から第4発明のブラシ集合体は、前記チャネルブラシが複数個回転軸に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
(第6発明)
第6発明のブラシ装置において、第1発明から第5発明のブラシ集合体は、カップブラシ、ロールブラシ、ホイールブラシのいずれかであることを特徴とする。
【0011】
(第7発明)
第7発明におけるブラシ装置の作製方法は、空気を含むことができる素材からなり、面状に作製された前記素材の両側端部を互いに内方向へ折り込み、その後、前記折り込み部における上下端部を互いに内方向へ折り込んで一つの単位ブラシを形成し、前記単位ブラシの複数を取り付けてブラシ集合体を組み立て、前記ブラシ集合体を駆動基材に取り付け、前記ブラシ集合体を駆動させることにより、前記単位ブラシの折り込み側部から空気を取り込むことができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、空気を含むことができる素材を複数回、折り込むことにより、ブラシを回転させた場合に、空気を巻き込んで、被研磨材との当接がソフトで、クッション性を有するブラシ装置およびブラシ装置の作製方法である。
【0013】
本発明によれば、ブラシ素材自体が空気を含むものであり、さらに、折り込みを複数回行うことにより、さらに、多くの空気を貯えることができ、被研磨材に対してソフトタッチで研磨できる優れたブラシ装置およびブラシ装置の作製方法が得られる。
【0014】
本発明によれば、単位ブラシの折り込み端部が多少開くようになるため、往復運動または回転運動により、この部分から空気を取り込み易い形状になっているため、常に、空気を取り込みながら研磨を行うことができる。
【0015】
本発明によれば、必要に応じて、空気とともに水をブラシ内に取り込むこともでき、被研磨材に対する多くの対応が容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1発明)
第1発明のブラシ装置は、金属類あるいは鉱石類等を除く空気を含むことができる素材からなり、前記素材およびその間に含まれた空気のクッションによって被研磨材の表面が柔らかいものに適するものである。また、前記ブラシ装置は、複数の単位ブラシを集合して構成されている。前記単位ブラシは、第1の折り込み部と第2の折り込み部を備えており、前記素材のみならず、折り込まれた部分にも空気を蓄えることができ、研磨に際しクッション性を向上させている。
【0017】
前記第1の折り込み部は、前記面状からなる前記素材の両側端部を互いに内方向へ折り込み、前記両側端部を重ねることなく、少し隙間を持たせることが望ましい。第2の折り込み部は、第1の折り込み部における上下両端部を互いに内方向へ折り込んみ、前記両端部を重ねることなく、少し隙間を持たせることが望ましい。前記単位ブラシは、複数個が組み立てられ、ブラシ集合体となる。前記ブラシ集合体は、ほぼ直線状または環状に組み立てられ、駆動装置によって往復運動または回転運動できるようになる。前記ブラシ装置は、ブラシ集合体が往復運動または回転運動することにより、前記単位ブラシの折り込み側部から空気を取り込んだ状態で被研磨部材の表面をソフトに研磨することができる。前記ブラシ集合体は、単位ブラシの複数を線状または環状にする場合、単線または複線とすることができる。
【0018】
(第2発明)
第2発明のブラシ装置は、第1発明における素材として、織布、不織布、発泡性ゴム部材、天然繊維、合成繊維の内の少なくとも一つからなり、折り込み部以外の素材にも空気を蓄えることができるようにして、ブラシと被研磨材との当接面をソフトにすることで、被研磨面を所望の状態にすることができる。
【0019】
(第3発明)
第3発明のブラシ装置は、第1発明または第2発明の単位ブラシが複数個チャネルに取り付けられてブラシ集合体を構成している。前記ブラシ集合体は、複数の単位ブラシからなるチャネルブラシとしているため、単位ブラシの折り込み部分から多くの空気を取り込むことができる。
【0020】
(第4発明)
第4発明のブラシ装置は、複数の単位ブラシを一本のチャネルに取り付けて、ブラシ集合体としたものを回転軸に沿って螺旋状に取り付けられている。前記ブラシ装置は、単位ブラシおよび螺旋を形成する間からも空気を取り込むことができ、ソフトなタッチの研磨ができる。
【0021】
(第5発明)
第5発明のブラシ装置は、複数の単位ブラシから構成されたチャネルブラシ互いに独立した複数個が回転軸に取り付けられている。前記ブラシ装置は、単位ブラシおよび独立したチャネルブラシの間から空気を取り込むことができ、クッション性の良いブラシを得ることができる。
【0022】
(第6発明)
第6発明のブラシ装置は、ブラシ集合体を回転軸に対して取り付けたカップブラシ、ロールブラシ、ホイールブラシのいずれかであり、平面をソフトタッチで研磨するのに都合が良い。
【0023】
(第7発明)
第7発明のブラシ装置の作製方法は、空気を含むことができる素材に往復運動または回転運動により、前記素材からなるブラシ集合体に空気を多く含ませることにより、ソフトなタッチとクッション性を向上させるものである。第1工程は、面状に作製された前記素材の両側端部を互いに当接または多少の間隙をもって内方向へ折り込む。第2工程は、前記折り込み部における上下端部を互いに当接または多少の間隙をもって内方向へ折り込んで一つの単位ブラシを形成する。
【0024】
第3工程において、前記単位ブラシは、複数を直線状または環状にしてブラシ集合体が組み立てられる。第4工程は、前記ブラシ集合体を往復運動または回転運動を行う駆動基材に取り付けられる。前記ブラシ集合体からなるブラシ装置は、往復運動または回転運動によって、被研磨材を磨くとともに、前記単位ブラシの折り込み側部から空気を取り込んで、ソフトでクッション性の高いブラシ装置を得ることができる。
【実施例1】
【0025】
図1(イ)は、本発明の単位ブラシを説明するための斜視図、(ロ)は単位ブラシをチャネルブラシとして組み立てたブラシ装置の例、(ハ)は環状のチャネルブラシを複数備えたブラシ装置の例、(ニ)はチャネルブラシを螺旋状にしたブラシ装置の例を説明するための図である。図1(イ)において、面状からなる前記素材は、金属類あるいは鉱石類等を除く、空気を含むことができる素材からなる。前記素材は、織布、不織布、発泡性ゴム部材、天然繊維、合成繊維の内の少なくとも一つからなる。また、前記素材は、前記各素材の複合したものを織って得ることもできる。
【0026】
前記面状からなる素材の両側端部は、互いに内側に折り込み、重なることがないように当接または多少間隔を置くように配置されて、第1の折り込み部111とする。第1の折り込み部111を有する上下両端部は、互いに内方向へ折り込んみ、前記両端部を重ねることなく、少し隙間を持たせて、第2の折り込み部112としている。また、第1の折り込み部111および第2の折り込み部112からなる素材は、単位ブラシ11を構成している。
【0027】
前記単位ブラシ11は、複数個が組み立てられ、ブラシ集合体となる。前記ブラシ集合体は、必要に応じて、ほぼ直線状または環状に組み立てられ、図示されていない、駆動装置によって往復運動または回転運動を行うことにより、被研磨面を研磨することができる。前記ブラシ集合体からなるブラシ装置は、往復運動または回転運動することにより、前記単位ブラシの折り込み側部から空気を取り込んだ状態で被研磨部材の表面をソフトに研磨することができる。前記ブラシ集合体は、単位ブラシ11の複数を線状または環状に組み立てることができる。
【0028】
図1(ロ)において、チャネルブラシ12は、複数の単位ブラシ11を二つ折りにして、その間に芯棒14を挟み込んだ後、チャネル13の間に押し込む。複数の単位ブラシ11、11′、11″・・・は、図1(ロ)に示すようにチャネル13に押し込まれた後、前記チャネル13の両側を押圧することにより、一本のチャネルブラシができる。前記チャネルブラシ12は、それぞれの端部に空気取込部113、114が形成される。
【0029】
図1(ハ)において、環状チャネルブラシ15は、図1(ロ)に示すチャネルブラシを環状に成形して環状ブラシ151とする。前記環状ブラシ151は、複数個が図示のように連設されて環状ブラシ15となる。図1(ニ)において、図1(ロ)に示すチャネルブラシ12は、回転軸161に沿って螺旋状に設けられ、螺旋状チャネルブラシ16となる。これらのブラシは、たとえば、図1(ハ)に示すように、矢印152の方向に回転した場合、矢印153から空気を吸込み、繊維等とともに内部を膨らませる。前記空気を含んだブラシ装置は、被研磨材(図示されていない)に対してソフトなタッチで、接触しながら研磨を行うことができる。
【実施例2】
【0030】
図2は本発明の第2実施例で、(イ)はカップブラシの例、(ロ)は棒状ブラシの例、(ハ)は往復運動を行うブラシの例である。図1(イ)において、カップブラシ21は、チャネルからなる支持金具211に複数の単位ブラシ212が研磨面213を下に向けて取り付けられている。前記単位ブラシ212の間には、折り込み部の端部から空気を取り込む空気取込部214が形成されている。前記カップブラシ21は、回転する際に空気取込ブラシ214から空気を取り込み、ブラシの素材とともに、クッション性の富んだブラシとなる。
【0031】
図2(ロ)において、棒状ブラシ22は、支持金具221に複数単位ブラシ223が複数個、棒状に取り付けられている。前記単位ブラシ223の隣合った部分には、空気取り込み部224が形成されているため、単位ブラシ223が膨らんだ状態で回転し、図示されていない、被研磨材をソフトに研磨することができる。
【0032】
図2(ハ)において、ブラシ装置23は、取付金具231に2列に単位ブラシ232が取り付けられている。前記ブラシ装置23は、装置取付部235によって駆動装置に取り付けられる。前記ブラシ装置23は、矢印のように、往復運動を行う際に、空気取込部234から空気を取り込み、クッション性を高いブラシ装置となる。
【0033】
本発明の単位ブラシの長さおよび幅は、任意にすることができるとともに、素材を研磨目的に合わせることが容易にできる。また、前記単位ブラシを集合したブラシ集合体は、任意の個数を組み立てて、任意の形状にすることができる。
【0034】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。ブラシ素材の種類、混合の程度、太さ、形状は、周知または公知のものを任意に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】(イ)は、本発明の単位ブラシを説明するための斜視図、(ロ)は単位ブラシをチャネルブラシとして組み立てたブラシ装置の例、(ハ)は環状のチャネルブラシを複数備えたブラシ装置の例、(ニ)はチャネルブラシを螺旋状にしたブラシ装置の例を説明するための図である。(実施例1)
【図2】本発明の第2実施例で、(イ)はカップブラシの例、(ロ)は棒状ブラシの例、(ハ)は往復運動を行うブラシの例である。(実施例2)
【符号の説明】
【0036】
11、11′、11″・・・単位ブラシ
111・・・第1の折り込み部
112・・・第2の折り込み部
12・・・チャネルブラシ
13・・・チャネル
14・・・芯棒
113、114・・空気取込部
15・・・環状ブラシ
151・環状チャネルブラシ
16・・・螺旋状チャネルブラシ
161・・・回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を含むことができる素材からなるブラシ装置において、
面状からなる前記素材の両側端部を互いに内方向へ折り込んだ第1の折り込み部と、第1の折り込み部における上下端部を互いに内方向へ折り込んだ第2の折り込み部とからなる単位ブラシと、
前記単位ブラシの複数が線状または環状に組み立てられたブラシ集合体と、
前記ブラシ集合体を往復運動または回転運動させる駆動装置と、
から少なくとも構成され、前記ブラシ集合体の移動により前記単位ブラシの折り込み側部から空気を含んだ状態で被研磨部材を研磨することを特徴とするブラシ装置。
【請求項2】
前記素材は、織布、不織布、発泡性ゴム部材、天然繊維、合成繊維の内の少なくとも一つからなることを特徴とする請求項1に記載されたブラシ装置。
【請求項3】
前記ブラシ集合体は、複数の単位ブラシをチャネルに取り付けたチャネルブラシであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたブラシ装置。
【請求項4】
前記ブラシ集合体は、一本の前記チャネルブラシが回転軸に沿って螺旋状に取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されたブラシ装置。
【請求項5】
前記ブラシ集合体は、前記チャネルブラシが複数個回転軸に取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されたブラシ装置。
【請求項6】
前記ブラシ集合体は、カップブラシ、ロールブラシ、ホイールブラシのいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載されたブラシ装置。
【請求項7】
空気を含むことができる素材からなるブラシ装置の作製方法において、
面状に作製された前記素材の両側端部を互いに内方向へ折り込み、
その後、前記折り込み部における上下端部を互いに内方向へ折り込んで一つの単位ブラシを形成し、
前記単位ブラシの複数を取り付けてブラシ集合体を組み立て、
前記ブラシ集合体を駆動基材に取り付け、
前記ブラシ集合体を駆動させることにより、前記単位ブラシの折り込み側部から空気を取り込むことができることを特徴とするブラシ装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−107061(P2009−107061A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281320(P2007−281320)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(398029234)
【出願人】(300038675)
【出願人】(506324806)
【Fターム(参考)】