説明

ブラシ装置

【課題】ピッグテールとブラシ保持部とが接触することを低減することができるブラシ装置を提供する。
【解決手段】各ブラシ保持部7は、基板6の一部にて構成される下壁と、基板6から軸方向に立設され周方向で対をなす第1側壁10及び第2側壁11と、下壁と軸方向に対向する蓋壁12とを備えている。各ブラシ保持部7には、各ブラシ保持部7の第1側壁10と蓋壁12とに跨って設けられ、周方向反時計回り側(周方向一方側)と軸方向反基板側(軸方向一方側)とに開口する導出口16が設けられている。各ブラシ保持部7には、ブラシ8が径方向に移動可能に保持されており、該ブラシ8に接続されたピッグテール15は、自身とブラシ8との接続位置よりも周方向反時計回り側(周方向一方側)且つ軸方向先端側(軸方向一方側)で接続端子22a,22bに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流子の外周面に当接するブラシを備えたブラシ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直流モータのブラシ装置には、略円柱状に形成された整流子の径方向外側に設けられ、該整流子の外周面に当接するブラシと、ブラシを径方向に移動可能に保持するブラシ保持部と、ブラシを整流子側に付勢するスプリングとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。このブラシ装置は、モータケース側に固定される基板とブラシ保持部とが一体に形成され、ブラシ保持部の上壁(蓋壁)にはブラシに接続されたピッグテールを導出するためのスリットが設けられており、該スリットから導出されたピッグテールが基板に設けられた接続端子に接続されている。
【特許文献1】特開2003−299321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記ブラシ装置では、ピッグテールは、ブラシ保持部の上壁(蓋壁)に設けられたスリットから基板に設けられた接続端子へと引き出されるため、ピッグテールがスリットを構成する面、即ちブラシ保持部に接触し易く、この接触により生じる摩擦力(摩擦抵抗)によって整流子とブラシとの良好な接触が妨げられる虞がある。
【0004】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ピッグテールとブラシ保持部とが接触することを低減することができるブラシ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、略円柱状の整流子の外周に当接し、ピッグテールを介して接続端子に接続されるブラシと、前記ブラシを径方向に移動可能に保持するブラシ保持部と、前記ブラシを前記整流子側に付勢する付勢部材とを備えたブラシ装置において、前記ブラシ保持部は、モータケース側に固定される基板の一部にて構成される下壁と、前記基板から軸方向に立設され前記ブラシの周方向両側面にそれぞれ沿う第1側壁及び第2側壁と、前記下壁と軸方向に対向し前記ブラシの軸方向端面に沿う蓋壁と、前記ピッグテールを導出するための導出口とを備え、前記導出口は、前記第1側壁と前記蓋壁とに跨って設けられ、周方向一方側と軸方向一方側とに開口し、前記ピッグテールは、自身と前記ブラシとの接続位置よりも周方向一方側且つ軸方向一方側で前記接続端子に接続された。
【0006】
同構成によれば、導出口は、ブラシの周方向側面に沿う第1側壁とブラシの軸方向端面に沿う蓋壁とに跨って設けられ、周方向一方側と軸方向一方側とに開口するため、従来の蓋壁のみに形成されるスリットに比べて大きく開口する。そして、ピッグテールは、ブラシとの接続位置よりも周方向一方側且つ軸方向一方側で接続端子に接続されるため、ブラシ保持部の側壁や蓋壁が形成されない方向(開口の中央方向)へ引き出されて接続端子に接続されることになる。よって、ピッグテールとブラシ保持部とが接触することを低減することができる。その結果、ピッグテールとブラシ保持部との接触により生じる摩擦力(摩擦抵抗)によって整流子とブラシとの良好な接触が妨げられるといったことが低減され、整流子とブラシとの良好な接触を安定して得ることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブラシ装置において、前記ピッグテールは、前記ブラシの周方向一方側の側面に接続された。
同構成によれば、ピッグテールはブラシの周方向一方側の側面に接続されているため、ピッグテールは周方向に導出される。よって、ブラシの軸方向端面に接続されたピッグテールを軸方向に導出した場合と比較して、短軸化を図ることができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のブラシ装置において、前記下壁及び前記蓋壁は、軸方向に重ならないように形成された。
同構成によれば、下壁及び蓋壁は軸方向に重ならないように形成されているため、例えばブラシ保持部を上下型のみで容易に一体成形することができる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載のブラシ装置において、前記付勢部材は、圧縮コイルばねであって、前記ブラシ保持部は、前記ブラシの径方向外側に設けられ前記付勢部材を径方向外側から支持する付勢部材支持部を備え、前記第1側壁及び前記第2側壁は、径方向において前記付勢部材に対応する部分に、前記基板から前記付勢部材の軸方向中央を超えて突設された突設部を備え、前記下壁は、径方向において前記付勢部材に対応する部分に、前記第1側壁から前記第2側壁側へ前記付勢部材の周方向中央を超えて延設された付勢部材側下壁延設部を備え、前記蓋壁は、径方向において前記付勢部材に対応する部分に、前記第2側壁から前記第1側壁側へ前記付勢部材の周方向中央を超えて延設された付勢部材側蓋壁延設部を備えた。
【0010】
同構成によれば、第1側壁及び第2側壁の突設部により付勢部材の軸方向中央部分が支持(周方向両方向の移動が規制)される。また、下壁の付勢部材側下壁延設部及び蓋壁の付勢部材側蓋壁延設部により付勢部材の周方向中央部分が支持(軸方向両側への移動が規制)されるため、付勢部材を安定支持することができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載のブラシ装置において、前記下壁は、径方向において前記ブラシに対応する部分に、前記第1側壁から前記第2側壁側へ前記ブラシの周方向中央を超えて延設されたブラシ側下壁延設部を備え、前記蓋壁は、径方向において前記ブラシに対応する部分に、前記第2側壁から前記第1側壁側へ前記ブラシの周方向中央を超えて延設されたブラシ側蓋壁延設部を備えた。
【0012】
同構成によれば、下壁のブラシ側下壁延設部及び蓋壁のブラシ側蓋壁延設部により、ブラシの周方向中央部分が支持(軸方向両側への移動が規制)されるため、ブラシを安定支持することができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載のブラシ装置において、前記接続端子は、厚さ方向が軸方向に対して直交する方向となるように前記基板に保持された導電板を前記基板と平行になるように折り曲げて形成された。
【0014】
同構成によれば、接続端子を、厚さ方向が軸方向に対して直交する方向となるように基板に保持された導電板を基板と平行になるように折り曲げて形成することにより、接続端子を軸方向に大きく突出させることなく基板から離れた位置に容易に設けることができる。また、導電板は、厚さ方向が軸方向に対して直交する方向となるように基板に保持されているため、軸方向から見て基板において導電板を保持する部分を小さくすることが可能となり、基板を径方向に小さくすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ピッグテールとブラシ保持部とが接触することを低減することができるブラシ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、直流モータ1の回転軸2には、図示しないロータコアとともに略円柱形状の整流子3が固定され、該整流子3の近傍には、ブラシ装置4が設けられている。なお、図1には、回転軸2及び整流子3を2点鎖線にて図示している。
【0017】
ブラシ装置4のブラシホルダ5は、図示しないモータケースに対して固定される樹脂製の基板6と、該基板6に一体形成され(基板6の一部を含み)整流子3の径方向外側に配置される2つのブラシ保持部7とにより構成される。基板6は、略円盤状に形成され、その中心孔6aには回転軸2(整流子3)が挿通されている。ブラシ保持部7は、基板6の端面6bから軸方向に突出するとともに、整流子3を挟んで径方向で対をなすように配置されている。
【0018】
本実施の形態では、各ブラシ保持部7は、基板6の一部にて構成される下壁9(図2参照)と、基板6(下壁9)から軸方向に立設され周方向で対をなす第1側壁10及び第2側壁11と、下壁9(基板6)と軸方向に対向する蓋壁12とを備え、それらが径方向に延びる略四角筒状に形成されている。そして、各ブラシ保持部7には、略四角柱状に形成されたブラシ8が径方向に移動可能に収容保持されている。
【0019】
又、ブラシ保持部7は、ブラシ8の径方向外側に設けられる付勢部材支持部13を備える。本実施の形態の付勢部材支持部13は、基板6(下壁9)から軸方向に立設されている。又、付勢部材支持部13は、第1側壁10及び第2側壁11の径方向外側端部同士を連結している。そして、ブラシ8と付勢部材支持部13との間には、付勢部材としての圧縮コイルばね14が圧縮された状態で介在されている。圧縮コイルばね14は、その径方向外側端部が付勢部材支持部13に支持され、その径方向内側端部でブラシ8を径方向内側(整流子3側)に付勢する。尚、この状態で、ブラシ8は、その径方向内側先端部分がブラシ保持部7から整流子3側へ僅かに突出し、整流子3の外周に当接した状態で保持される。
【0020】
また、各ブラシ保持部7には、ブラシ8にその基端が埋設されて電気的に接続されたピッグテール15を導出するための導出口16が設けられている。詳しくは、本実施の形態では、ピッグテール15は、周方向反時計回り側(第1側壁10側)からブラシ保持部7の外部に導出されるように、ブラシ保持部7に収容保持されたブラシ8の周方向反時計回り側の側面8aにその基端が埋設(接続)されている。又、ピッグテール15は、ブラシ8の径方向外側であって、ブラシの前記軸方向(図2中、左右方向)の中央部にその基端が埋設(接続)されている。そして、導出口16は、第1側壁10と蓋壁12とに跨って設けられ、周方向反時計回り側(周方向一方側)と軸方向反基板側(軸方向一方側)とに開口している。尚、導出口16の一部を構成する第1側壁10の一部(径方向内側)は、勿論、前記ピッグテール15の基端部(その可動範囲)と周方向に対向しないように、前記軸方向の中間部より低く立設されている。又、導出口16は、ブラシ8を径方向内側からブラシ保持部7に挿入可能とすべく、ブラシ保持部7の径方向内側端面にも開口している。
【0021】
又、第1側壁10は、図2に示すように、径方向において前記圧縮コイルばね14に対応する部分であって径方向外側に、基板6から圧縮コイルばね14の軸方向(図2中、左右方向)中央を超えて(本実施の形態ではブラシ8の軸方向の長さと略同じ高さに)突設された突設部10aを備える。又、第2側壁11は、その径方向全体が基板6から圧縮コイルばね14の軸方向中央を超えて(本実施の形態ではブラシ8の軸方向の長さと略同じ高さに)形成され、その径方向において前記圧縮コイルばね14に対応する部分(径方向外側)が突設部11aを構成している。
【0022】
又、蓋壁12は、第2側壁11の先端における径方向中央部から第1側壁10側へ圧縮コイルばね14の周方向(図1中、左右方向)中央を超えて(本実施の形態では、若干超えるように)延設されている。そして、この蓋壁12の径方向において圧縮コイルばね14に対応する部分(径方向外側)は付勢部材側蓋壁延設部12aを構成し、径方向においてブラシ8に対応する部分(径方向内側)はブラシ側蓋壁延設部12bを構成している。尚、圧縮コイルばね14に対応する部分及びブラシ8に対応する部分は、ブラシ8の摩耗に伴って変化するが、蓋壁12は、常に(摩耗が進んでも)圧縮コイルばね14に対応する部分(付勢部材側蓋壁延設部12a)及びブラシ8に対応する部分(ブラシ側蓋壁延設部12b)を有するように形成されている。
【0023】
又、下壁9は、図3に示すように、蓋壁12と軸方向に重ならないように形成されている。この下壁9は、径方向において圧縮コイルばね14に対応する部分(径方向外側であって蓋壁12が形成されない部分)に、第1側壁10から第2側壁11側へ圧縮コイルばね14の周方向中央を超えて(本実施の形態では第2側壁11まで)延設された付勢部材側下壁延設部9aを備える。又、下壁9は、径方向においてブラシ8に対応する部分(径方向内側であって蓋壁12が形成されない部分)に、第1側壁10から第2側壁11側へブラシ8の周方向中央を超えて(本実施の形態では第2側壁11まで)延設されたブラシ側下壁延設部9bを備える。又、下壁9は、径方向において中央部であって蓋壁12が形成される部分(前記付勢部材側下壁延設部9aとブラシ側下壁延設部9bとの間)に、第1側壁10から第2側壁11側へブラシ8の周方向中央を超えないように延設された小延設部9cを備える。即ち、下壁9には、蓋壁12と軸方向に重なる部分に略長方形状の貫通孔9dが設けられている。
【0024】
図2に示すように、基板6において前記ブラシ保持部7が突出する側と反対側の端面6cには、保持部17が突設されている。保持部17には、一対の給電板18がインサート成形により埋設されている。尚、図2では、給電板18が紙面直交方向に並ぶため、1つのみ図示している。各給電板18は、保持部17の先端から更に突出(露出)する外部側接続端子18a(図2参照)と、基板6において前記ブラシ保持部7が突出する側の端面6bから突出(露出)するブラシ側接続端子18b(図1参照)とを有する。尚、一対のブラシ側接続端子18bは、一方(図1中、下側)のブラシ保持部7の近傍であって、同ブラシ保持部7の周方向反時計回り側に並設される。
【0025】
また、基板6において前記ブラシ保持部7が突出する側の端面6bには、その基端部が前記各ブラシ側接続端子18bと電気的に接続され、先端部が前記ブラシ保持部7の近傍であってそのブラシ保持部7の周方向反時計回り側に配置される一対の導電板19a,19bが保持されている。この導電板19a,19bは、その厚さ方向が軸方向に対して直交する方向となるように、言い換えると、その幅方向が軸方向に沿った方向となるように、前記端面6bに形成された保持溝20にその一部が嵌入されて保持されている。尚、一方の(図1中、下側のブラシ保持部7に対応した)導電板19aは短く形成され、他方の(図1中、上側のブラシ保持部7に対応した)導電板19bは長く形成されるとともに、その中間部が(図1中、上側の)ブラシ保持部7の径方向外側を通るように基板6の外縁近傍に略沿って配置されている。
【0026】
また、各導電板19a,19bの先端部には、基板6の端面6bから軸方向に突出する導電板突出部21a,21bが設けられている。又、各導電板突出部21a,21bの先端部であって、ブラシ8とピッグテール15との接続位置よりも反基板側(軸方向一方側であって、図2中、右側)の位置には、基板6と平行になるように折り曲げられて形成された接続端子22a,22bが設けられている。そして、接続端子22a,22bには、ピッグテール15の先端部が電気的に接続されている。即ち、前記ピッグテール15は、自身(その基端部)とブラシ8との接続位置よりも周方向反時計回り側(周方向一方側)且つ軸方向先端側(軸方向一方側)で接続端子22a,22bに接続されている。なお、本実施の形態の接続端子22a,22bは、ブラシ保持部7の高さよりも低い位置で折り曲げられて形成されている。又、前記給電板18の外部側接続端子18aは、図示しない外部電源に接続されることになる。そして、給電板18、導電板19a,19b(接続端子22a,22b)、ピッグテール15を介して外部電源から各ブラシ8に電流が供給されることになる。
【0027】
次に、上記実施の形態の作用効果を以下に記載する。
(1)導出口16は、ブラシ8の周方向側面に沿う第1側壁10とブラシ8の軸方向端面に沿う蓋壁12とに跨って設けられ、周方向一方側と軸方向一方側とに開口するため、従来の蓋壁のみに形成されるスリットに比べて大きく開口する。そして、ピッグテール15は、ブラシ8との接続位置よりも周方向一方側且つ軸方向一方側で接続端子22a,22bに接続されるため、ブラシ保持部7の側壁や蓋壁12が形成されない方向(開口の中央方向)へ引き出されて接続端子22a,22bに接続されることになる。よって、ピッグテール15とブラシ保持部7とが接触することを低減することができる。その結果、ピッグテール15とブラシ保持部7との接触により生じる摩擦力(摩擦抵抗)によって整流子3とブラシ8との良好な接触が妨げられるといったことが低減され、整流子3とブラシ8との良好な接触を安定して得ることができる。
【0028】
(2)ピッグテール15はブラシ8の周方向反時計回り側の側面8aに接続されているため、ピッグテール15は周方向に導出される。よって、ブラシ8の軸方向端面に接続されたピッグテールを軸方向に導出した場合と比較して、直流モータ1の短軸化を図ることができる。なお、このような構成は、プランジャポンプ駆動用モータなどの扁平型モータには特に有利である。
【0029】
(3)下壁9及び蓋壁12は軸方向から見て互いに重ならないように形成されているため、例えばブラシ保持部7を上下型のみで容易に一体成形することができる。
(4)第1側壁10及び第2側壁11の突設部10a,11aにより圧縮コイルばね14の軸方向中央部分が支持(周方向両方向の移動が規制)される。また、下壁9の付勢部材側下壁延設部9a及び蓋壁12の付勢部材側蓋壁延設部12aにより圧縮コイルばね14の周方向中央部分が支持(軸方向両側への移動が規制)されるため、圧縮コイルばね14を安定支持することができる。
【0030】
(5)下壁9のブラシ側下壁延設部9b及び蓋壁12のブラシ側蓋壁延設部12bにより、ブラシ8の周方向中央部分が支持(軸方向両側への移動が規制)されるため、ブラシ8を安定支持することができる。
【0031】
(6)接続端子22a,22bを、厚さ方向が軸方向に対して直交する方向となるように基板6に保持された導電板19a,19bを基板6と平行になるように折り曲げて形成することにより、接続端子22a,22bを軸方向に大きく突出させることなく基板6から離れた位置に容易に設けることができる。また、導電板19a,19bは、厚さ方向が軸方向に対して直交する方向となるように基板6に保持されているため、軸方向から見て基板6において導電板19a,19bを保持する部分を小さくすることが可能となり、本実施の形態のようにブラシ保持部7の径方向外側を通るように配置しても基板6を径方向に小さくすることができる。
【0032】
尚、本発明の実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、ピッグテール15は、ブラシ8の周方向反時計回り側の側面8aに接続されるとしたが、軸方向端面に接続してもよい。なお、この場合、勿論、蓋壁12の形状を変更する(小さくする)といった必要がある。
【0033】
・上記実施の形態では、下壁9及び蓋壁12は、軸方向に重ならないように形成されるとしたが、軸方向に重なるように形成してもよい。なお、この場合、例えばスライドコアを用いて一体成形するといった必要が生じる。また、この場合、付勢部材支持部13を別部材から構成してもよい。
【0034】
・上記実施の形態では、第1側壁10及び第2側壁11は、基板6から圧縮コイルばね14の軸方向中央を超えて突設され(突設部11a,12aを有し)、下壁9及び蓋壁12は、第2側壁11から第1側壁10側へ圧縮コイルばね14の周方向中央を超えて延設され(付勢部材側下壁延設部9a及び付勢部材側蓋壁延設部12aを有し)ている。しかしながら、このような態様に限定されず、圧縮コイルばね14を支持することが可能であれば、第1側壁10、第2側壁11、下壁9及び蓋壁12の形状や延設方向は適宜変更可能である。
【0035】
・上記実施の形態では、下壁9及び蓋壁12は、ブラシ8の周方向中央を超えて延設され(ブラシ側下壁延設部9b及びブラシ側蓋壁延設部12bを有し)ている。しかしながら、このような態様に限定されず、ブラシ8を移動可能に保持することが可能であれば、下壁9及び蓋壁12の形状や延設方向は適宜変更可能である。
【0036】
・上記実施の形態では、接続端子22a,22bは、ブラシ保持部7の高さよりも低い位置に形成されているとしたが、ピッグテール15とブラシ8との接続位置よりも周方向反時計回り側(周方向一方側)且つ軸方向先端側(軸方向一方側)に設けられていればよい。例えば、接続端子をブラシ保持部7の高さよりも高い(軸方向に突出する)位置に形成してもよい。
【0037】
・上記実施の形態では、導電板19a,19b(導電板突出部21a,21b)は、厚さ方向が軸方向に対して直交する方向となるように基板6に保持されるとしたが導電板19a,19b(導電板突出部21a,21b)の構成は他の構成に変更してもよい。例えば、厚さ方向が軸方向と沿うように基板6に保持された導電板19a,19b(導電板突出部21a,21b)としてもよい。
【0038】
・上記実施の形態では、付勢部材として圧縮コイルばね14を用いたが、捩りコイルばねを用いてもよい。なお、この場合、例えば付勢部材支持部13を削除する等、捩りコイルばねに応じた変更が必要となる。
【0039】
・上記実施の形態では、基板6には2つのブラシ保持部7が設けられているが、ブラシ保持部7の数は適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施の形態のブラシ装置を軸方向一方側から見た模式図。
【図2】図1のA−O−B断面図。
【図3】本実施の形態のブラシ装置の一部を軸方向他方側から見た模式図。
【符号の説明】
【0041】
3…整流子、4…ブラシ装置、6…基板、7…ブラシ保持部、8…ブラシ、8a…側面、9…下壁、9a…付勢部材側下壁延設部、9b…ブラシ側下壁延設部、10…第1側壁、10a,11a…突設部、11…第2側壁、12…蓋壁、12a…付勢部材側蓋壁延設部、12b…ブラシ側蓋壁延設部、13…付勢部材支持部、14…付勢部材としての圧縮コイルばね、15…ピッグテール、16…導出口、19a,19b…導電板、22a,22b…接続端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円柱状の整流子の外周に当接し、ピッグテールを介して接続端子に接続されるブラシと、
前記ブラシを径方向に移動可能に保持するブラシ保持部と、
前記ブラシを前記整流子側に付勢する付勢部材と
を備えたブラシ装置において、
前記ブラシ保持部は、モータケース側に固定される基板の一部にて構成される下壁と、前記基板から軸方向に立設され前記ブラシの周方向両側面にそれぞれ沿う第1側壁及び第2側壁と、前記下壁と軸方向に対向し前記ブラシの軸方向端面に沿う蓋壁と、前記ピッグテールを導出するための導出口とを備え、
前記導出口は、前記第1側壁と前記蓋壁とに跨って設けられ、周方向一方側と軸方向一方側とに開口し、
前記ピッグテールは、自身と前記ブラシとの接続位置よりも周方向一方側且つ軸方向一方側で前記接続端子に接続されたことを特徴とするブラシ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブラシ装置において、
前記ピッグテールは、前記ブラシの周方向一方側の側面に接続されたことを特徴とするブラシ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のブラシ装置において、
前記下壁及び前記蓋壁は、軸方向に重ならないように形成されたことを特徴とするブラシ装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のブラシ装置において、
前記付勢部材は、圧縮コイルばねであって、
前記ブラシ保持部は、前記ブラシの径方向外側に設けられ前記付勢部材を径方向外側から支持する付勢部材支持部を備え、
前記第1側壁及び前記第2側壁は、径方向において前記付勢部材に対応する部分に、前記基板から前記付勢部材の軸方向中央を超えて突設された突設部を備え、
前記下壁は、径方向において前記付勢部材に対応する部分に、前記第1側壁から前記第2側壁側へ前記付勢部材の周方向中央を超えて延設された付勢部材側下壁延設部を備え、
前記蓋壁は、径方向において前記付勢部材に対応する部分に、前記第2側壁から前記第1側壁側へ前記付勢部材の周方向中央を超えて延設された付勢部材側蓋壁延設部を備えたことを特徴とするブラシ装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のブラシ装置において、
前記下壁は、径方向において前記ブラシに対応する部分に、前記第1側壁から前記第2側壁側へ前記ブラシの周方向中央を超えて延設されたブラシ側下壁延設部を備え、
前記蓋壁は、径方向において前記ブラシに対応する部分に、前記第2側壁から前記第1側壁側へ前記ブラシの周方向中央を超えて延設されたブラシ側蓋壁延設部を備えたことを特徴とするブラシ装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載のブラシ装置において、
前記接続端子は、厚さ方向が軸方向に対して直交する方向となるように前記基板に保持された導電板を前記基板と平行になるように折り曲げて形成されたことを特徴とするブラシ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−104294(P2008−104294A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284881(P2006−284881)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】