説明

ブラックマトリックス基板およびカラーフィルタの製造方法

【課題】 透明基板上に多面付けパターンを形成したブラックマトリックス層を有するブラックマトリックス基板を用いたカラーフィルタの製造において、顔料を分散させた液状の感光性樹脂組成物をスピン塗布するときに、また、柱状凸部形成用の感光性樹脂組成物をスピン塗布するときに、塗布不良を生じないブラックマトリックス基板と、それを用いたカラーフィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】 表示装置用カラーフィルタに用いられ、透明基板上にブラックマトリックス層を形成したブラックマトリックス基板を、ブラックマトリックス層が複数の表示部を有する多面付けパターンとして形成されており、多面付けパターン間の透明基板上に、ブラックマトリックス層と同じ材料でダミーパターンが形成されたものとし、このダミーパターンを、多面付けパターンの各辺に平行な直線、多重線のいずれか、もしくはこれらの組合せでとするとともに、ブラックマトリックス層とは不連続なものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーの液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(以後、有機ELと記す。)表示装置等に用いられる表示装置用カラーフィルタのブラックマトリックス基板と、それを用いたカラーフィルタの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットディスプレイとして、カラーの液晶表示装置や有機EL表示装置が注目されており、これらの表示装置にはカラーフィルタが用いられている。例えば、カラー液晶表示装置には、一例として、透明基板上に遮光性の高いブラックマトリックス層を形成し、その上に複数の着色パターン(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色)からなる着色層を設けたカラーフィルタと、そのカラーフィルタ上に透明電極および配向層を備えた基板と、薄膜トランジスタ(TFT素子)、画素電極および配向層を備えた対向電極基板と、これら両基板を所定の間隙をもたせて対向させ、シール部材で密封して、上記間隙に液晶材料を注入して形成された液晶層とから概略構成された透過型の液晶表示装置がある。また、上記のカラーフィルタの基板と着色層との間に反射層を設けた反射型の液晶表示装置もある。
【0003】
ブラックマトリックス層は、発色効果や表示コントラストを上げるために、着色パターンのR、G、Bの各画素の境界部分に形成される。また、アクティブマトリックス方式の液晶表示装置では、薄膜トランジスタ(TFT)をスイッチング素子として用いているため、光リーク電流を抑制する必要がある。このため、ブラックマトリックス層に対してより高い遮光性が要求されている。
【0004】
従来、カラーフィルタを製造するためのブラックマトリックス基板としては、透明基板上に、クロム等の金属または金属化合物の薄膜をフォトエッチングしてブラックマトリックス層を形成したもの、親水性樹脂レリーフを染色してブラックマトリックス層としたもの、黒色顔料等を分散した感光樹脂組成物を用いてブラックマトリックス層を形成したもの、黒色電着塗料を電着してブラックマトリックス層を形成したもの、印刷によりブラックマトリックス層を形成したもの等がある。
【0005】
上記のブラックマトリックス基板の中でも、金属または金属化合物の薄膜よりなるブラックマトリックス基板は、高品質、高精度のパターン形成が可能なのでカラーフィルタに広く用いられている。このブラックマトリックス基板の製造には、基板上にブラックマトリックス層の材料としてのクロム、酸化クロム等の金属、もしくは金属化合物を薄膜状に
成膜し、成膜された薄膜上に、例えば、ポジ型のフォトレジストを用いてレジストパターンを形成し、次に、成膜された金属薄膜の露出部分をエッチングし、次いでレジストパターンを剥膜し、クロム、酸化クロム等の金属薄膜からなるブラックマトリックス層が形成される。また、近年、黒色顔料等を分散した感光樹脂組成物を用いて形成されたブラックマトリックス基板は、遮光性に加え体積抵抗を高くすることが可能なので、そのような特性が求められる液晶表示方式等に使用されている。樹脂によるブラックマトリックス基板は、ガラス基板上に黒色顔料等を分散した感光樹脂組成物を塗布し、所定のパターンで露光し、現像するという、いわゆるフォトリソグラフィ法により形成される。
【0006】
カラーフィルタの着色パターンの代表的な形成方法は、例えば、R、G、Bからなる顔料をそれぞれ分散した液状の各色の感光性樹脂組成物を、順次、上記のブラックマトリックス基板上に塗布し、所定のパターンで露光し、現像するフォトリソグラフィ法により形成される。このカラーフィルタの形成においては、生産効率を高め製造コストを低減するために、通常、表示部の絵柄を同一の基板上に複数設けた多面付け基板が用いられている。
【0007】
上述したカラーフィルタの着色パターンの形成工程において、着色した液状の感光性樹脂組成物の塗布方法としては、スピン塗布法、ロール塗布法、ダイ塗布法、ナイフ塗布法、エクストルージョン塗布法、ビード塗布法、インクジェット法等の種々の塗布方法が用いられている。これらの塗布方法の中で、スピン塗布法は比較的簡易な装置で塗布可能であり、塗布法としての使用実績が長いため、広く用いられている。
スピン塗布法は、例えば、矩形の被塗布基板を塗布ユニットに搬入してスピンチャックに装着し、基板が静止した状態で、塗布ノズルから基板の略中心に液状の感光性樹脂組成物を吐出し、その後、スピンチャックにより基板を回転し、遠心力によって感光性樹脂組成物を基板表面に広げ、基板上に感光性樹脂組成物の塗布膜を形成している。
スピン塗布法は、塗布材料である感光性樹脂組成物の使用効率が10%程度と低く、高価な感光性樹脂組成物を無駄にしないために、吐出する液状の感光性樹脂組成物の量をできるだけ少なくし、かつ基板上に均一に塗布する必要がある。そのために、少ない塗布液量で均一に塗布する塗布装置が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−113217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の多面付けのブラックマトリックス基板を用い、少ない塗布液量で顔料を分散させた液状の感光性樹脂組成物をスピン塗布するときに、ブラックマトリックス基板の表面にブラックマトリックス層が形成されているため、その影響で液状の感光性樹脂組成物が真円状に拡散していかず、回転塗布時にしばしば塗り残しを生じたりする問題があった。一方、塗り残しを避けるために、塗布液量を多くすると、感光性樹脂組成物の使用量が増えるという問題だけでなく、液状の感光性樹脂組成物が基板の裏面に回り込みをして、感光性樹脂組成物が裏面に残存し、次工程以降の不良の原因になるという問題があった。
また、カラーフィルタと対向電極基板との間隙を制御して、この間隙に形成される液晶層の厚みを最適なものとするための一つの手段として、カラーフィルタに所望の高さで柱状凸部を形成する方法がある。この柱状凸部は、多面付けのブラックマトリックス基板に着色パターンを形成した後、柱状凸部用の感光性樹脂組成物を多面付け基板の全面にダイコート等により塗布し、次いで、スピンチャックにより基板を回転し、遠心力によって不要な感光性樹脂組成物を除去して、基板上に所望の厚みで感光性樹脂組成物の塗布膜を形成し、露光・現像することにより形成される。しかし、この柱状凸部用の感光性樹脂組成物の塗布膜形成においても、ブラックマトリックス層の影響で液状の感光性樹脂組成物が均一に拡散していかず、放射状のムラを生じることがあり、形成される柱状凸部の高さ精度が低下するという問題があった。この問題は、黒色顔料等を含有した樹脂材料からなるブラックマトリックスにおいて顕著である。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、透明基板上に多面付けパターンを形成したブラックマトリックス層を有するブラックマトリックス基板を用いたカラーフィルタの製造において、顔料を分散させた液状の感光性樹脂組成物をスピン塗布するときに、また、柱状凸部形成用の感光性樹脂組成物をスピン塗布するときに、塗布不良を生じないブラックマトリックス基板と、それを用いたカラーフィルタの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、表示装置用カラーフィルタに用いられ、透明基板上にブラックマトリックス層を形成したブラックマトリックス基板であって、前記ブラックマトリックス層複数の表示部を有する多面付けパターンとして形成されており、前記多面付けパターン間の前記透明基板上に前記ブラックマトリックス層と同じ材料でダミーパターンが形成されており、該ダミーパターンが前記多面付けパターンの各辺に平行な直線、多重線のいずれか、もしくはこれらの組合せであるとともに、前記ブラックマトリックス層とは不連続であることを特徴とするブラックマトリックス基板である。
請求項2の発明は、前記ブラックマトリックス層およびダミーパターンが、金属および/または金属化合物を材料とした薄膜、または黒色顔料を有する樹脂材料より構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明のブラックマトリックス基板の中央部に塗布ノズルにより液状の着色感光性樹脂層組成物を吐出しスピン塗布を行って、該着色感光性樹脂層組成物の塗布膜を形成し、該塗布膜をフォトリソグラフィー法でパターニングして着色パターンを形成する工程を、所望の色数行うことにより着色層を形成する着色層形成工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
請求項4の発明は、前記着色層形成工程の後に、カラーフィルタの中央部に塗布ノズルにより液状の保護層用樹脂層組成物を吐出しスピン塗布を行って、該保護層用樹脂層組成物の塗布膜を形成し、該塗布膜を硬化して保護層を形成する保護層形成工程を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、多面付けパターン間の透明基板上にブラックマトリックス層と同じ材料でダミーパターンが形成されているブラックマトリックス基板を提供することにより、液状の感光性樹脂組成物をスピン塗布する際に、塗布液量を増やすことなく安定した液量で塗り残しやムラのない塗布が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ダミーパターンを設けた本発明のブラックマトリックス基板の上面外観図である。
【図2】ダミーパターンを設けた本発明のブラックマトリックス基板の他の例を示す上面外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、透明基板上に形成されたブラックマトリックス層を有するブラックマトリックス基板の一例を示す上面外観図である。図1では、表示部の絵柄が4面付けされた場合のブラックマトリックス基板10を例示しており、4面付けパターン間の透明基板11上に、ブラックマトリックス層12と同じ材料で、ブラックマトリックス層12の表示部の各辺に平行に直線状のダミーパターン13が形成されている。
本発明において、ダミーパターンの形状は、直線、点線、破線、鎖線、多重線、ブロックのいずれか、もしくはこれらの組合せが用いられる。ダミーパターンは、表示装置として支障のないように、表示部間の中間の位置に設けるのが好ましい。
図2は、ダミーパターンとして直線の二重線23を設けた場合の例である。
【0016】
以下、図1をもとに説明する。透明基板11としては、通常、表示装置用カラーフィルタに用いられる無アルカリガラス基板、石英ガラス基板等が用いられる。本発明においては、ガラスの大きさは、ガラス基板の略中央部に感光性樹脂組成物溶液を吐出するいわゆる中央ディスペンス方式によるスピン塗布法が適用可能な大きさが好ましい。
【0017】
本発明においては、ブラックマトリックス層12としては、クロム等の金属または金属化合物の薄膜をフォトエッチングしてブラックマトリックス層を形成したもの、カーボンブラック等の黒色顔料を分散した感光樹脂組成物を用いてブラックマトリックス層を形成したもの、黒色電着塗料を電着してブラックマトリックス層を形成したもの等が用いられらるが、膜厚を薄くしても遮光性の高い金属または金属化合物の薄膜によるブラックマトリックス層がより好ましい。
本発明において、ブラックマトリックス層12の厚さとしては、0.06μm〜2.0μmの範囲であるのが好ましい。0.06μm未満であると、光学的な黒濃度が不足するからであり、一方、2.0μmを超えると塗布時に障害となり易くなり、ブラックマトリックス層を形成するパターン精度も低下してくるからである。
【0018】
本発明において、ブラックマトリックス層12として金属および/または金属化合物薄膜を用いる場合には、遮光膜材料として実績が高く、薄膜成膜や薄膜の高精度パターンエッチングが比較的容易なクロム、クロム酸化物、クロム窒化物、クロム弗化物、クロム酸化窒化物、クロム酸化炭化物、クロム酸化窒化炭化物から選ばれた1層または2層以上からなる薄膜が好ましい。金属としてのクロムの反射率を低減したい場合には、クロムと共に上記のいずれかのクロム化合物を併用し、クロム/クロム化合物の2層薄膜あるいはクロム化合物/クロム/クロム化合物の3層薄膜とするのが好ましい。
上記のクロム等の金属および/または金属化合物薄膜は、真空蒸着法、スパッタリング法等の真空成膜法により形成される。
【0019】
ブラックマトリックス層12は、開口部に透明基板が露出した画素を微小単位として格子状に細分化したパターンで形成されており、各画素の開口部は矩形状もしくは略矩形状をなすものである。略矩形状としては、開口部の四隅がカットされた形状、あるいは四隅が丸みを有する形状を有するものがある。
上記のブラックマトリックス層12は、通常、線幅は約6〜50μm程度、各格子に囲まれる画素開口部の大きさは、x方向の短辺の長さは約40〜150μm程度(したがって、x方向の画素ピッチは約46〜200μm)、y方向である長辺の長さは約120〜450μm程度(したがって、y方向の画素ピッチは約126〜500μm)である。
【0020】
本発明において、表示部の面付け間にダミーパターンを設けることにより、ブラックマトリックス基板の中央部に塗布ノズルより液状の着色感光性樹脂組成物を吐出し、スピン塗布する時に、ダミーパターンが障害となり、着色感光性樹脂組成物溶液が面付け間の透明基板上を優先的に流れてしまうことが抑制されることにより、基板上全面に着色感光性樹脂組成物溶液が均一に拡散して塗布され、塗り残しが生じなくなる。
【0021】
本発明のブラックマトリックス基板を用いたカラーフィルタは、液晶表示装置用、有機EL表示装置のいずれにも適用できるものである。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
透明基板として、大きさ300mm×700mmの低膨張ガラス基板を洗浄後、スパッタリング法によりクロムを80nmの厚さに成膜し、クロムを遮光膜とするブランクスを形成した。
次に、上記のクロムブランクスに絵柄が同じ4面付けのブラックマトリックス層のパターンをフォトエッチング法により形成した。同時に、図1に示すように、4面の面付け間のx方向、y方向に、ブラックマトリックス層の表示部の各辺に平行に中央で交差する直線状のダミーパターンを形成し、ブラックマトリックス基板を得た。ダミーパターンの幅はx方向、y方向ともに5μm、長さはx方向、y方向ともに、透明基板中央より表示部の各辺末端と略等しい長さまでとした。
【0023】
次に、上記のブラックマトリックス基板を洗浄後、基板中央部に下記の第1色目の赤色パターン用樹脂組成物Rをノズルより吐出し、スピン塗布した。塗布液量は22ccであった。塗布膜は塗り残しが生じず、均一な塗布膜が形成された。
(赤色パターン用樹脂組成物R)
・バインダー樹脂:アクリル系共重合体 … 5.0重量部
・モノマー:ジペンタエリスリトール多官能アクリレート … 4.0重量部
・顔料:赤顔料P.R.254 … 4.8重量部
黄顔料P.Y.138 … 1.2重量部
・分散剤:カプロラクトン共重合体 … 3.0重量部
・光重合開始剤:チバガイギー社製イルガキュア369 … 1.2重量部
ジエチルチオキサントン … 0.4重量部
ビイミダゾール … 0.4重量部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 80.0重量部
【0024】
次に、上記の赤色パターン用樹脂組成物塗布膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングし、第1色目の赤色パターンを形成した。
【0025】
続いて、下記の緑色パターン用樹脂組成物G、青色パターン用樹脂組成物G、保護層用樹脂組成物OCの順にスピン塗布とフォトリソグラフィを繰り返し、カラーフィルタを作製した。上記の樹脂組成物は、スピン塗布において、いずれも塗り残しが生じず均一な塗布膜を形成することができた。
(緑色パターン用樹脂組成物G)
・バインダー樹脂:アクリル系共重合体 … 5.0重量部
・モノマー:ジペンタエリスリトール多官能アクリレート … 4.0重量部
・顔料:緑顔料P.G.36 … 4.2重量部
黄顔料P.Y.150 … 1.8重量部
・分散剤:カプロラクトン共重合体 … 3.0重量部
・光重合開始剤:チバガイギー社製イルガキュア369 … 2.0重量部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 60.0重量部
メチルブトキシアセテート … 10.0重量部
3−エトキシプロピオン酸エチル … 10.0重量部
【0026】
(青色パターン用樹脂組成物G)
・バインダー樹脂:アクリル系共重合体 … 5.0重量部
・モノマー:ジペンタエリスリトール多官能アクリレート … 4.0重量部
・顔料:青顔料P.B.15:6 … 6.0重量部
・分散剤:カプロラクトン共重合体 … 3.0重量部
・光重合開始剤:チバガイギー社製イルガキュア907 … 1.4重量部
ジエチルチオキサントン … 0.6重量部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 60.0重量部
メチルブトキシアセテート … 10.0重量部
3−エトキシプロピオン酸エチル … 10.0重量部
【0027】
(保護層用樹脂組成物OC)
・バインダー樹脂:アクリル系共重合体 … 8.0重量部
エポキシ樹脂 … 4.0重量部
・モノマー:ジペンタエリスリトール多官能アクリレート … 6.0重量部
・光重合開始剤:チバガイギー社製イルガキュア907 … 1.4重量部
ビイミダゾール … 0.6重量部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 65.0重量部
メチルブトキシアセテート … 15.0重量部
【0028】
(参考例1)
透明基板として、大きさ300mm×700mmの低膨張ガラス基板を洗浄後、ネガ型ブラックレジストを1μmの厚さにスピン塗布し、90℃で30分間プリベークした。
【0029】
次に、上記の塗布基板に、絵柄が同じ6面付けのブラックマトリックス層のパターンをフォトリソグラフィ法により形成した。同時に、6面の面付け間のx方向、y方向に、ブラックマトリックス層の表示部の各辺に平行になるようにして破線状のダミーパターンを形成した。露光量は50mJ/cm2(露光波長365nm)で、露光後、水酸化カリウム水溶液(0.05重量%)で現像し、次いで200℃で30分間ポストベークしてブラックマトリックス基板を得た。破線状のダミーパターンはx方向、y方向ともに、幅10μm、長さ1mmでピッチ1.5mmとした。
【0030】
次に、実施例1と同様に、上記のブラックマトリックス基板の基板中央部に、実施例1で用いた第1色目の赤色パターン用樹脂組成物Rをノズルより吐出し、スピン塗布した。塗布液量は23ccであった。塗布膜は塗り残しが生じず、均一な塗布膜が形成された。
以後、緑色パターン用樹脂組成物G、青色パターン用樹脂組成物G、保護層用樹脂組成
物OCの順にスピン塗布とフォトリソグラフィを繰り返し、カラーフィルタを作製した。上記の樹脂組成物は、スピン塗布において、いずれも塗り残しが生じず均一な塗布膜を形成することができた。
(参考例2)
透明基板として、大きさ300mm×700mmの低膨張ガラス基板を洗浄後、ネガ型ブラックレジストを1μmの厚さにスピン塗布し、90℃で30分間プリベークした。
次に、上記の塗布基板に、絵柄が同じ6面付けのブラックマトリックス層のパターンをフォトリソグラフィ法により形成した。同時に、6面の面付け間の全面に、ブラックマトリックス層から連続してダミーパターンを形成した。露光量は50mJ/cm2(露光波長365nm)で、露光後、水酸化カリウム水溶液(0.05重量%)で現像し、次いで200℃で30分間ポストベークしてブラックマトリックス基板を得た。
次に、実施例1と同様に、上記のブラックマトリックス基板の基板中央部に、実施例1で用いた第1色目の赤色パターン用樹脂組成物Rをノズルより吐出し、スピン塗布した。塗布液量は23ccであった。塗布膜は塗り残しが生じず、均一な塗布膜が形成された。
以後、緑色パターン用樹脂組成物G、青色パターン用樹脂組成物G、保護層用樹脂組成
物OCの順にスピン塗布とフォトリソグラフィを繰り返し、カラーフィルタを作製した。上記の樹脂組成物は、スピン塗布において、いずれも塗り残しが生じず均一な塗布膜を形成することができた。
(参考例3)
参考例1と同様にして、ブラックマトリックス基板を作製し、このブラックマトリックス基板に、参考例1と同様にして、赤色、緑色、青色の着色パターンを形成してカラーフィルタを作製した。
このカラーフィルタ上に下記組成の柱状凸部用の感光性樹脂組成物をダイコートにより塗布(塗布液量25cc)した。次に、スピンチャックにより基板を回転し、遠心力によって不要な感光性樹脂組成物を除去して、感光性樹脂組成物の塗布膜を形成した。この柱状凸部用の樹脂組成物塗布膜には、放射状のムラは発生しなかった。次いで、柱状凸部用の樹脂組成物塗布膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングし、複数の柱状凸部を形成した。形成された柱状凸部は、3.5μmの均一な高さを有するものであった。
(柱状凸部用の感光性樹脂組成物)
・バインダー樹脂:アクリル系共重合体 … 15.0重量部
エポキシ樹脂 … 9.0重量部
・モノマー:ジペンタエリスリトール多官能アクリレート … 12.0重量部
・光重合開始剤:チバガイギー社製イルガキュア907 … 2.8重量部
ビイミダゾール … 1.2重量部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 45.0重量部
メチルブトキシアセテート … 15.0重量部
【0031】
(比較例1)
ダミーパターンを設けてない以外は、実施例1と同じ絵柄を有する4面付けのブラックマトリックス基板を形成した。この基板に実施例1と同様に、第1色目の赤色パターン用樹脂組成物Rをスピン塗布した。しかし、実施例1と同じ塗布液量22ccでは塗り残しが生じてしまった。
基板を再洗浄し、塗布液量を30ccに増量することにより、はじめて塗り残しがない塗布膜を得ることができた。
(比較例2)
ダミーパターンを設けてない以外は、参考例1と同じ絵柄を有する4面付けのブラックマトリックス基板を形成した。この基板に参考例1と同様に、第1色目の赤色パターン用樹脂組成物Rをスピン塗布した。しかし、実施例1と同じ塗布液量23ccでは塗り残しが生じてしまった。
基板を再洗浄し、塗布液量を30ccに増量することにより、はじめて塗り残しがない塗布膜を得ることができた。この赤色パターン用樹脂組成物塗布膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングし、第1色目の赤色パターンを形成した。同様にして、緑色、青色の着色パターンも形成してカラーフィルタを作製した。
このカラーフィルタ上に、参考例3と同様にして、柱状凸部用の感光性樹脂組成物の塗布膜を形成した。しかし、形成した樹脂組成物塗布膜には、放射状のムラが発生し、その後、フォトリソグラフィ法によりパターニングして形成した複数の柱状凸部は、高さが3.1〜3.8μmの範囲であり、高さにバラツキが見られた。
【産業上の利用可能性】
【0032】
カラーの液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置等の各種の表示装置に使用するカラーフィルタ用のブラックマトリックス基板として有用である。
【符号の説明】
【0033】
10、20 ブラックマトリックス基板
11、21 透明基板
12、22 ブラックマトリックス層
13、23 ダミーパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置用カラーフィルタに用いられ、透明基板上にブラックマトリックス層を形成したブラックマトリックス基板であって、
前記ブラックマトリックス層が複数の表示部を有する多面付けパターンとして形成されており、前記多面付けパターン間の前記透明基板上に前記ブラックマトリックス層と同じ材料でダミーパターンが形成されており、該ダミーパターンが前記多面付けパターンの各辺に平行な直線、多重線のいずれか、もしくはこれらの組合せであるとともに、前記ブラックマトリックス層とは不連続であることを特徴とするブラックマトリックス基板。
【請求項2】
前記ブラックマトリックス層およびダミーパターンが、金属および/または金属化合物を材料とした薄膜、または黒色顔料を有する樹脂材料より構成されていることを特徴とする請求項1に記載のブラックマトリックス基板。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のブラックマトリックス基板の中央部に塗布ノズルにより液状の着色感光性樹脂層組成物を吐出しスピン塗布を行って、該着色感光性樹脂層組成物の塗布膜を形成し、該塗布膜をフォトリソグラフィー法でパターニングして着色パターンを形成する工程を、所望の色数行うことにより着色層を形成する着色層形成工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項4】
前記着色層形成工程の後に、カラーフィルタの中央部に塗布ノズルにより液状の保護層用樹脂層組成物を吐出しスピン塗布を行って、該保護層用樹脂層組成物の塗布膜を形成し、該塗布膜を硬化して保護層を形成する保護層形成工程を有することを特徴とする請求項3に記載のカラーフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−63779(P2012−63779A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243097(P2011−243097)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【分割の表示】特願2005−275085(P2005−275085)の分割
【原出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】