説明

ブラッグ回折するセキュリティー標識

【課題】小売りの製品の包装に使用されるような紙基材またはプラスチック基材に適用されるセキュリティーデバイスを提供すること。
【解決手段】
ブラッグ則に従って照射を回折するすかしを物品にマークする方法が開示される。この方法は、規則的で周期的な粒子のアレイを物品にマークする配置で、この物品に塗布する工程を含む。このすかしは、マトリックス中に固定された規則的で周期的な粒子のアレイを含む。このすかしは、視角により色を変化し得、ある視角では消え、他の視角ではまた現れたりし得、またはある角度での検出によって検出可能な目に見えない照射を回折し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、照射回折する物質より生成されるすかし、およびセキュリティーデバイスとしての上記すかしの使用に関する。本発明はさらにすかしを生成する方法に関し、上記すかしは、すかしを引き出すまたは見るために光学デバイスの使用を必要としてもいいし、しなくてもよい。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ホログラムはしばしば、文書のセキュリティーのいくらかの程度を提供するのに使用される。多くの銀行カードは、本物のカード使用者のイメージを含むホログラムイメージを備えるため、上記カード使用者の身元が実証され得る。ホログラムはまた、セキュリティー文書に埋め込まれるので、それらは裸眼では目に見えない。このような文書を証明する、または認証するために、上記ホログラムは適切な波長の光に照射される。使用される波長に依存して、上記ホログラムのイメージは、直接見られ得るか、あるいは適切なイメージ技術を用いて検知され得る。ホログラムがセキュリティーの初期レベルを提供する場合、ホログラムを生成する技術はすぐに入手可能となり得、その結果、ホログラムはコピーされ得、それによってホログラムの価値を制限する。紙上にプレスされる製造業者のロゴのイメージのような従来のすかし、または法定紙幣のすかしも再現され得る。
【0003】
電子的に配布される文書に対しては、デジタルのすかしが使用されている。デジタルのすかしは、目に見えない暗号であり得、それは電子ファイル上に上張りされている。上記上張りは重要な情報または隠された情報を含み得、それは適切な解読デバイスの正しい位置における合法的な受容者によってのみ引き出せる。デジタルのすかしは、電子文書中に埋め込まれ得る。誰かが上記電子文書のコピーおよび使用を試みると、上記デジタルのすかしは文書と共にコピーされ、および文書がオリジナルよりコピーされたことの証拠となる。あるいは、文書の変更は上記デジタルのすかしを破壊し得、および内容を無効にさせ得る。
【0004】
従来の光学すかしは、上記すかしを引き出すために、コピー機のような光学デバイスを使用する。光学すかしは、文書の所有権を示すために、組織のロゴと単語との組み合わせであり得る。もし上記光学すかしを有する印刷された文書をコピーする試みがある場合、上記コピーされた文書は、この文書がオリジナルでないと記載するすかしを示す。光学すかしは、許可されていない模造品より印刷された文書を保護するのに特に有用である。
【0005】
すかしを引き出すのにコピー機のような光学デバイスに依存する光学すかしは、束になっていない紙の文書に適する一方で、小売りの製品の包装に使用されるような紙基材またはプラスチック基材に適用されるセキュリティーデバイスに対して、必要性が残る。包装された製品が実際に特定の製造業者によって製造されたという消費者の追及する確実さは、製品の包装をテストするための光学デバイスへの参入を有さないかもしれない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の趣旨)
本発明は、物品に照射すかし(radiation watermark)をマークする方法を含み、これは上記物品にマークする配置で規則的で周期的な粒子のアレイを物品に塗布する工程を含み、ここで、上記アレイは検出可能な波長で照射を回折する。本発明はさらに、イメージを示す物品を作製する方法を含み、これはイメージの配置で周期的な粒子のアレイを上記物品上に塗布する工程、上記粒子のアレイをマトリックス組成物でコートする工程、およびコートされた粒子のアレイを固定させる工程を含み、その結果、上記イメージは固定されたアレイによる照射の回折により検出可能である。本発明にはまた、イメージを示す物品を作製する方法が含まれ、少なくとも1つのマトリックス組成物をイメージの配置で上記物品に塗布する工程、周期的な粒子のアレイを形成する工程、上記粒子をコートするために粒子のアレイを上記マトリックス組成物で取り囲む工程、および上記コートされた粒子のアレイを固定する工程を含み、その結果、上記イメージは固定されたアレイによる照射の回折により検出可能である。
例えば、本発明は、以下を提供する:
(項目1)
物品に照射すかしをマークする方法であって、該方法は:
規則的で周期的な粒子のアレイを物品にマークする配置で、該物品に塗布する工程
を含み、ここで該アレイは検出可能な波長で照射を回折する、方法。
(項目2)
項目1に記載の方法であって、前記すかしがある視角では現れ、他の視角では消える、方法。
(項目3)
項目1に記載の方法であって、前記すかしが実質的にすべての視角で可視光を回折する、方法。
(項目4)
項目1に記載の方法であって、前記すかしが可視光スペクトル外で照射を回折する、方法。
(項目5)
項目1に記載の方法であって、前記アレイが膜の形状である、方法。
(項目6)
項目5に記載の方法であって、前記膜が前記物品上に生成される、方法。
(項目7)
項目5に記載の方法であって、前記膜が前記物品から離れて生成され、および該物品に塗布される、方法。
(項目8)
項目1に記載の方法であって、前記アレイが前記物品に塗布するための粒子形状である、方法。
(項目9)
項目8に記載の方法であって、前記粒子のアレイが前記物品に塗布するためのコーティング組成物の構成要素である、方法。
(項目10)
項目1に記載の方法であって、前記アレイがマトリックス中に収容された粒子を含む、方法。
(項目11)
項目10に記載の方法であって、前記粒子が、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリルポリマー、アルキドポリマー、ポリエステル、シロキサン含有ポリマー、ポリスルフィド、エポキシ含有ポリマー、および/またはエポキシ含有ポリマー由来のポリマーを含み、そして前記マトリックスが、ポリウレタン、アクリルポリマー、アルキドポリマー、ポリエステル、シロキサン含有ポリマー、ポリスルフィド、エポキシ含有ポリマー、および/またはエポキシ含有ポリマー由来のポリマーからなる群より選ばれる物質を含む、方法。
(項目12)
項目11に記載の方法であって、前記マトリックスがさらに無機物質を含む、方法。
(項目13)
項目1に記載の方法であって、前記アレイがマトリックス中に収容されたコア−シェル粒子を含む、方法。
(項目14)
項目13に記載の方法であって、前記粒子コアが、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリルポリマー、アルキドポリマー、ポリエステル、シロキサン含有ポリマー、ポリスルフィド、エポキシ含有ポリマー、および/またはエポキシ含有ポリマー由来のポリマーを含み、そして前記マトリックスおよび前記シェルのそれぞれが、ポリウレタン、アクリルポリマー、アルキドポリマー、ポリエステル、シロキサン含有ポリマー、ポリスルフィド、エポキシ含有ポリマー、および/またはエポキシ含有ポリマー由来のポリマーを含む、方法。
(項目15)
項目14に記載の方法であって、前記マトリックスがさらに無機物質を含む、方法。
(項目16)
項目1に記載の方法に従って生成されるすかしを有する物品。
(項目17)
項目16に記載の物品であって、前記アレイの回折波長が該物品の供給源を認証し、または該物品の身元を実証する、物品。
(項目18)
項目16に記載の物品であって、前記すかしが装飾である、物品。
(項目19)
イメージを示す物品を作製する方法であって、該方法は:
規則的で周期的な粒子のアレイをイメージの配置で該物品上に塗布する工程;
該粒子のアレイをマトリックス組成物でコーティングする工程;および
該コートされた粒子のアレイを固定する工程
を含み、その結果、該固定されたアレイによる照射の回折により該イメージが検出可能である、方法。
(項目20)
項目19に記載の方法であって、前記粒子がコア−シェル粒子であり、該コアが実質的に非膨張性であり、および該シェルが非膜形成性であり、該方法がさらに:
該シェル中に前記マトリックスの構成要素を拡散させることにより、該シェルを膨張させる工程;および
前記コートされたコア−シェル粒子のアレイの少なくとも一部分を固定する工程
を含み、その結果、固定された部分は所望の波長で照射を回折する、方法。
(項目21)
項目20に記載の方法であって、前記拡散するマトリックス構成要素がポリマー化可能なモノマーを含む、方法。
(項目22)
項目21に記載の方法であって、前記固定する工程が、前記マトリックス中および前記シェル中で、前記マトリックスモノマーを架橋する工程を含む、方法。
(項目23)
項目22に記載の方法であって、前記固定する工程が、マスクを通して前記マトリックスモノマーを照射硬化し、前記コートされたアレイの第1の部分を固定する工程を含む、方法。
(項目24)
項目23に記載の方法であって、該方法がさらに、他のマスクを通して前記マトリックスモノマーを照射硬化し、前記コートされたアレイの第2の部分を固定する工程を含み、その結果、前記第1のアレイの固定された部分および該第2のアレイの固定された部分が異なる波長の照射を回折する、方法。
(項目25)
項目19に記載の方法であって、前記アレイの一部分が第1のマトリックス組成物でコートされ、そして該アレイの他の部分が第2のマトリックス組成物でコートされ、その結果、(i)前記粒子と前記マトリックスとの間の屈折率の違いが、それぞれの部分で異なるか、(ii)該コートされたアレイの有効屈折率がそれぞれの部分で異なるか、(iii)両方である、方法。
(項目26)
項目19の方法に従って生成される物品。
(項目27)
イメージを示す物品を作製する方法であって、該方法が:
少なくとも1つのマトリックス組成物を該物品にイメージの配置で塗布する工程、
周期的な粒子のアレイを形成する工程、
該粒子のアレイを該マトリックス組成物中に取り囲み、該粒子をコートする工程;および
該コートされた粒子のアレイを固定する工程
を含み、その結果、該固定されたアレイによる照射の回折によって、該イメージが検出可能である、方法。
(項目28)
項目27に記載の方法であって、前記アレイの一部分が第1のマトリックス組成物にコートされ、そして該アレイの他の部分が第2のマトリックス組成物にコートされ、その結果、(i)前記粒子と前記マトリックスとの間の屈折率の違いがそれぞれの部分で異なるか、(ii)該コートされたアレイの有効屈折率がそれぞれの部分で異なるか、(iii)両方である、方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、照射すかしを生成する方法の概略的なフローチャートである;
【図2】図2は、マトリックス物質の離れた塗布により、照射すかしを生成する方法の概略的なフローチャートである;
【図3】図3は、マスクを通しての硬化を有する、照射すかしを生成する方法の概略的なフローチャートである;
【図4】図4は、膨張可能な粒子を用いて、さまざまなブラッグ回折特性を有する照射すかしを生成する方法の概略的なフローチャートである;
【図5】図5は、粒子をマトリックス物質で取り囲むことにより、照射すかしを生成する方法の概略的なフローチャートである;そして
【図6】図6は、粒子を複数のマトリックス物質で取り囲むことにより、さまざまなブラッグ回折特性を有する工程の概略的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(発明の詳細な説明)
本発明は、規則的で周期的な粒子のアレイを物品に塗布することにより、製品に照射すかしをマークする方法を含み、ここで上記アレイは、アレイがすかしとして機能する波長の照射を回折する。照射すかしは、照射によりイメージとして検出可能なマーク(例えば、グラフィックデザイン、レタリングまたは同類のもの)に言及する。本明細書中での本発明のすかしへの言及は、他の方法で述べられない場合、このような照射すかしに関する。上記すかしは、ある視角では現れ得、他の視角では消え得、または視角によって色を変え得る。本発明のすかしはまた、可視光スペクトル外の照射を回折し得る。上記アレイは、物品上に生成され得るか、物品上に塗布するために、シートの形状であり得る。あるいは、上記アレイは、物品に塗布するために、塗料またはインクのようなコーティング組成物中で、粒子形状であり得る。本発明に従い生成されたすかしを有する物品は、製品の供給源を認証し得、製品の身元を実証し得、または装飾であり得る。
本発明は、照射すかしを生成する方法を含み、上記照射すかしは、すかしを引き出すまたは見るために光学デバイスの使用を必要としてもいいし、しなくてもよい。本発明の照射すかしは、検出可能なイメージであり得、このイメージは塗布された物品を認証し得、または物品の身元を実証し得、または装飾であり得る。上記イメージは、イメージを照射にさらし、そのイメージから反射される放射を検出することによって検出可能である。照射および反射される放射のそれぞれは、可視光スペクトルまたは非可視光スペクトル内であり得る。本発明で使用されるすかしは、規則的で周期的な粒子のアレイからなる照射回折する物質より生成され、この物質はブラッグ則に従い、照射を回折する。
【0009】
上記照射回折する物質は、ポリマー性マトリックス中に収められた規則的で周期的な粒子のアレイを含む。規則的で周期的な粒子のアレイは、密接に詰められた粒子のアレイに言及し、このアレイはブラッグ則に従い、照射を回折する。入射照射は、上記アレイ中の粒子の上層部で、第1の層の平面に対して角度θで部分的に反射され、および部分的に下にある粒子の層に透過される。入射照射のいくらかの吸収も同様に起こる。透過した照射の一部は次に、アレイ中の粒子の第2の層で角度θでそれ自身が反射され、および部分的に下にある粒子の層に透過される。角度θでの部分的な反射および下にある粒子の層への部分的な透過というこの特性は、上記アレイの厚さを通して続く。上記反射される照射の波長は次式を満たす。
【0010】
mλ=2ndsinθ
ここで、(m)は整数であり、(n)は上記アレイの有効屈折率であり、そして(d)は粒子の層間の距離である。上記有効屈折率(n)は、上記アレイの物質の屈折率の体積平均として概算され、上記粒子のまわりにあるマトリックス物質を含む。ほぼ球形の粒子において、上記寸法(d)は、それぞれの層にある粒子の中心の平面間の距離であり、上記粒子の直径に比例する。このような場合、上記反射された波長λはまた、上記粒子の直径に比例する。
【0011】
上記粒子が収められた上記マトリックス物質は、有機ポリマーであり得、例えば、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリルポリマー、アルキドポリマー、ポリエステル、シロキサン含有ポリマー、ポリスルフィド、エポキシ含有ポリマー、および/またはエポキシ含有ポリマー由来のポリマーであり得る。
【0012】
上記粒子は、一体構造を有し得、および上記マトリックスとは異なる物質からなり得、ならびに上記マトリックス物質と同じポリマーから選択され得、および金属酸化物(例えば、アルミナ、シリカ、もしくは二酸化チタン)または半導体(例えば、カドミウムセレニド)のような無機物質でもあり得る。
【0013】
あるいは、上記粒子はコア−シェル構造を有し得、上記コアは上記に記載の粒子と同じ物質から生成され得る。上記シェルは上記マトリックス物質と同じポリマーより生成され得、上記コア−シェル粒子の特定のアレイにおいては、上記コア物質および上記マトリックス物質のそれぞれと異なる粒子シェルのポリマーを有する。上記シェル物質は、非膜形成性であり、ここでこのシェル物質は、シェル物質の膜を形成することなくそれぞれの粒子コアのまわりの位置に残り、その結果、上記コア−シェル粒子は上記ポリマー性マトリックス中で分離した粒子として残る。このように、ある実施形態において上記アレイは、少なくとも3つの一般的な部分、すなわち、マトリックス、粒子シェルおよび粒子コアを含む。代表的に、上記粒子はほぼ球形であり、全粒子直径の80〜90%または全粒子直径の85%を構成するコアの直径を有し、上記シェルは上記粒子直径の残りを構成し、半径の厚さ寸法を有する。上記コア物質および上記シェル物質は、異なる屈折率を有する。さらに、上記シェルの屈折率は、シェルの厚さ中での屈折率勾配の形としてシェルの厚さの関数として変化し得る。上記屈折率勾配は、上記シェルの厚さ中のシェル物質の組成物中の勾配の結果である。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、上記コア−シェル粒子は、開始剤を有するコアモノマーを溶液中に分散し、コア粒子を生成することによって生成される。シェルモノマーは、乳化剤または界面活性剤といっしょに上記コア粒子分散物に加えられ、それによって
、上記シェルモノマーは上記コア粒子上にポリマー化する。
【0015】
図1に示された1つの実施形態において、粒子2(一体構造またはコア−シェル構造のどちらか)は、キャリアーと同様の電荷を有する上記粒子2の分散物を提供し、支持体4上に上記分散物を塗布し、このキャリアーを蒸発させて、支持体4上に粒子2の規則的で周期的な粒子のアレイを生成し、粒子2のアレイをモノマーまたは他のポリマー前駆物質6でコートし、およびポリマー8を硬化して粒子2のアレイをポリマー8中に固定することにより、ポリマー性マトリックス6中に固定される。上記分散物は、荷電粒子2の10〜70容量%または荷電粒子2の30〜65容量%を含み得る。上記支持体4は可撓性物質(例えば、ポリエステル膜)であり得るか、非可撓性物質(例えば、ガラス)であり得る。上記分散物は上記支持体4上に、浸漬、スプレー、ブラシ、ロールコーティング、カーテンコーティング、フローコーティング、またはダイコーティング(die coating)によって、所望する厚さ、20ミクロンの最大厚さ、10ミクロンの最大厚さ、または5ミクロンの最大厚さまで塗布され得る。
【0016】
上記コア−シェル粒子を有する照射回折する物質に対し、上記アレイと流体マトリックス6モノマー組成物との相互浸透において、マトリックス6のモノマーのいくつかは、上記シェル内に拡散し得、それによって上記マトリックス6組成物が硬化されるまで、シェルの厚さ(および粒子の直径)を増大し得る。溶媒も上記シェル内に拡散し、膨張を引き起こし得る。上記溶媒は最終的に上記アレイより除去されるが、溶媒によるこの膨張は上記シェルの最終の大きさに影響を与え得る。上記アレイへのモノマーの相互浸透と上記モノマーが一部硬化する工程との間の時間の長さは、上記シェルによる膨張の程度を決定する。
【0017】
照射回折する物質のすかしは、さまざまな方法で物品に塗布され得る。上記照射回折する物質は、上記支持体4から取り除かれて、粒子形状、例えば薄片10の形状のように細分化され得る。上記細分化された照射回折する物質は、物品に塗布するための塗料またはインクのようなコーティング組成物中に、添加剤として組み込まれ得る。細分化された照射回折する物質を含むコーティング組成物は、従来の技術(塗装、印刷、シルクスクリーニング、ライティング(writing)、ドローイング(drawing)または同類のもの)を使用して物品に塗布されて、基材上の分離した位置にイメージを作成し得、または基材をコートし得る。
【0018】
あるいは、上記照射回折する物質は、シートまたは膜12の形状で生成され得る。上記照射回折する物質の膜12は、次にホットスタンプのように、接着剤を用いて物品に塗布され得る。物品に塗布された照射回折する物質の膜12において、上記すかしは照射を回折する物品の部分として検出され得る。図2に示されるように、膜12中にイメージ(例えば、装飾および/またはレタリング)を作成するために、上記照射回折する物質は、上記規則的で周期的なアレイを製品の基材4上に生成し、上記マトリックス物質6のみを所望のイメージの位置に塗布し、マトリックス物質6を硬化することにより、所望のイメージの形状で生成され得る。上記マトリックス物質6によって塗布されていない、上記アレイの部分は、製品の基材上に固定されず、取り除かれ得、上記コートされたアレイ12のみをイメージの配置で与え得る。上記コートされたアレイ12は次に、物品への応用のため、上記製品の基材上から膜12として取り除かれる。図3に示される、膜12aでイメージを作成するための他の技術は、上記粒子2のアレイおよびポリマー化可能なマトリックス物質6を製品の基材4に塗布する工程を含み、マスク14を通して所望のイメージの位置のみに上記マトリックス6の硬化が達成される。照射硬化可能なマトリックス物質6(例えば、UV硬化性ポリマー8)は、露光マスク14を用いての使用に特に適する。上記粒子2を有する硬化されていないマトリックス物質6は次に取り除かれ、硬化された照射回折する物質12aをイメージの形状で与える。
【0019】
本発明に従い生成されたすかしは、単一の波長のバンドとして照射を回折し得る。複数の波長のバンドで照射を回折するすかしを生成する(例えば、検出可能なイメージに複数の色を作成する)ために、異なる照射回折する物質が上記すかしに使用され得る。回折された光の波長におけるシフトは、上記粒子サイズ(回折波長に比例する球形の粒子の粒子サイズ)を変えること、または照射回折する物質の有効屈折率(回折波長に比例する照射回折する物質の有効屈折率)を変えることによって達成され得る。上記照射回折する物質の有効屈折率は、特定の硬化可能なマトリックス物質を選択することにより変化され得る。例えば、単一の粒子タイプを用いること、および異なるマトリックス物質を離れた位置に塗布することは、異なる有効屈折率を生じさせる。単一構造(コア−シェルではない)を有する粒子に対し、複数の波長バンドで照射を屈折するすかしは、複数の照射回折する物質をイメージの異なる位置で使用することによって生成され得る。例えば、特定の視角で回折された可視光の2色を示すすかしは、赤色の出現を与えるある粒子サイズを有する第1の照射回折する物質を塗布し、および緑色の出現を与えるより小さい粒子サイズを有する第2の照射回折する物質を塗布することにより生成され得る。この手法では、多色のすかしは、複数の異なる照射回折する物質を物品上にイメージとして塗布することにより生成され得る。
【0020】
他の実施形態において、回折された照射の波長はシフトされ得、上記に記載のコア−シェル粒子を用いることにより複数の波長バンドの照射を回折するイメージを生成し得る。照射回折する物質のある部分に対する硬化時間は、調整され得るので、上記マトリックス物質の構成要素(例えばモノマーおよび溶媒)は、照射回折する物質中のある部分に時間を変えることによって拡散され、それによって上記粒子シェルの厚さを変える。粒子シェルの厚さの増大は、粒子直径の増大および粒子間の距離の増大を生じさせ、それによって回折される照射の波長が増大する。照射回折する物質の部分に対する硬化時間は、図4に示されるようにさまざまなイメージマスクを使用することにより変化され得、さまざまな硬化時間の部分を作成し得る。コア−シェル粒子2は、製品の支持体4に塗布され、照射ポリマー化可能なマトリックス物質6でコートされる。第1の硬化工程は、第1のマスク16を通して露光されることで達成される。露光されなかった部分18中の粒子2は固定されず、マトリックス物質6はシェル内で拡散を続け、それにより粒子2は膨張し、したがって露光されなかった部分18中の上記粒子2の大きさは、露光された部分20中の粒子の大きさより大きくなる。露光されなかった部分18は、第2のマスク22を通して硬化される。生じた膜は、異なる粒子の大きさを有する部分18および20を含み、これらは異なる波長バンドで照射を屈折させる。2つより多くの硬化マスクが、2つより多くの異なる粒子の大きさの部分を生成するのに使用され得る。さまざまな硬化時間を有する部分は、さまざまな照射回折特性の部分を生じさせる。この手法において、すかしは1つの粒子タイプから生成され得、ここですかし内で回折される照射の波長は変化する。可視照射を回折するすかしに対し、1つのタイプのコア−シェル粒子を用いることにより、上記すかしは多色で現れ得る。
【0021】
図5に示される他の実施形態において、すかしはインサイチューで物品30上に生成される。キャリアーと同様の電荷を有する粒子2の分散物は、基材4に塗布され、そして上記キャリアーは蒸発させられて、規則的な粒子2のアレイを基材4上に生成する。マトリックス物質6は上記物品30に塗布され、そして上記基材4上の粒子2のアレイは、基材4を物品30に向けて推し進めることによりマトリックス物質6と接触させられ、粒子2のアレイをマトリックス物質6中に取り囲む。マトリックス物質6は、アレイをこのマトリックス物質6中に固定するために硬化される。マトリックス物質6は物品30にイメージの配置で塗布され得る。粒子アレイをマトリックス物質6中に取り囲む場合、上記アレイは物品30上にマトリックス物質6の位置のみに保持される。あるいは、イメージの範囲のみを硬化するために、イメージは上記マトリックス物質6をマスク14を通して硬化させることにより形成され得る。硬化されていないマトリックス物質6は物品30上に接着せず、取り除かれ、イメージの範囲のみに照射回折する物質を与える。物品30上で粒子2のアレイをマトリックス物質6中に取り囲むことにより生成したすかしは、単一の照射の波長バンドを屈折させ得る。上記に記載のように、物品に塗布された照射回折する物質を生成することに関して、複数の波長バンドでの回折を達成するために、異なる粒子サイズまたは異なる屈折率を有する異なる粒子のアレイが、上記マトリックス物質中に取り囲まれ得る。コア−シェル粒子がアレイに使用される場合、上記シェルは、イメージマスクを使用して上記マトリックス物質の硬化時間を調整し、上記に記載のようにさまざまな硬化時間の部分を作成することにより、マトリックス物質の構成要素により選択的に膨張され得る。
【0022】
さまざまな屈折の波長の部分はまた、照射屈折する物質の有効屈折率を変えることにより生成され得る。単一の粒子のアレイおよびその屈折率に対し、異なる屈折率のマトリックス物質を使用することにより、有効屈折率は変化され得る。図6を参照すると、例として、さまざまな屈折率を有する複数のマトリックス物質6a、6bおよび6cは、インクジェット印刷のような多色印刷に使用する従来の印刷プロセスによって、物品30上に塗布され得る。粒子2のアレイは、さまざまなマトリックス物質6a、6bおよび6cに取り囲まれ、そしてマトリックス物質は単一の工程で硬化され、異なる屈折率を有するポリマー8a、8bおよび8cを与える。ポリマー8a〜8cの位置でコートされたアレイの有効屈折率は異なり、その結果コートされたアレイは異なるブラッグ回折特性を示す。
【0023】
上記に記載された実施形態は、限定することを意味しない。本発明のすかしは、粒子サイズ、粒子タイプ(コア−シェルかそうでないか)およびマトリックス物質の組み合わせを使用することによって、物品上でマトリックスを粒子のアレイに塗布する工程、または物品上に塗布されたマトリックス物質内に粒子のアレイを取り囲む工程を含むプロセスの組み合わせにおいて、生成され得る。例えば、異なる光回折特性を有する複数の粒子タイプは、基材または物品上に塗布され、分離されたアレイ内のしかるべき所に固定され得る。生じた複数の固定されたアレイは、単一の基材または物品上で異なる光回折特性(例えば、正面および上下面(flop)の色)を示す。
【0024】
本発明のすかしは、セキュリティー標識として使用され得る。上記すかしは、第1の角度(例えば、すかしを有する基材の正面)から見られた場合、第1の波長バンドで照射を回折し、そして第2の角度(例えば、基材の上下面(flap))から見られた場合、第2の波長バンドで照射を回折する。それぞれの視角で回折された照射は、可視スペクトル内であり得るか、可視スペクトル外であり得る。例えば、第1の視角(ブラッグ則のθ)では、すかしは無色で現れる(可視スペクトル外に照射を回折する)か、さもなければ検出されない。すかしは、視角(ブラッグ則のθ)を変えることによって見られ得、回折された照射の波長を与え得、この波長は可視スペクトルにおいて(色として)検出可能であるか、可視スペクトル外で検出可能である。無色の波長バンドは、分光光度計(または照射を検出するための他のデバイス)がある波長の照射のみを検出するために前もってセットされる場合、検出され得る。
【0025】
視角によって色を変えるすかしは、セキュリティー標識としてホログラムと同様に使用され得る。使用者はすかしを有する物品を、すかしの存在および適切な出現を確認するように扱う。色を示すことから無色になるまで変化するすかしも同様に使用され得る。可視スペクトルにおいてブラッグ回折するこのようなすかしは、製品の供給源を認証するために特に消費者製品にマークするのに適する。可視スペクトル外で単独で照射を回折するすかしは、塗布された基材を認証する光学識別特徴として使用され得る。可視スペクトル外で機能を有するすかしは、製品の外観をじゃましたり、変えたりしない。そのかわり、このような製品は、回折された照射の識別特徴を示すためにテストされ、製品の身元を実証し得る。
【0026】
本明細書中で使用する場合、特別に他の方法で述べられていないならば、すべての数、例えば値、範囲、量またはパーセントを示す数は、その用語が明白に示されてなくても、単語「約」より始められたかのように、読まれ得る。本明細書に記載される任意の数的な範囲は、本明細書で包括されたすべての下位範囲を包含することが意図される。複数形は単数形を包含し、逆もまた同じである。また、本明細書中で使用する場合、用語「ポリマー」は、プレポリマー、オリゴマー、ならびにホモポリマーおよびコーポリマーの両方に言及することが意味され;接頭語「ポリ」は2つまたはそれより多く、に言及する。
【0027】
照射回折する物質のすかしとしての、これらの例示的な使用は、限定することを意味されない。さらに、以下の実施例は単に本発明を例証するものであり、限定することを意図されない。
【実施例】
【0028】
(実施例1:有機マトリックス)
紫外線照射硬化性有機組成物を以下の手順で調製した。ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノンの50/50ブレンド(0.3g)(Aldrich Chemical Company,Inc.,Milwaukee,WIより市販)を、10gのプロポキシレート化された(3)グリセリルトリアクリレート(Sartomer Company, Inc.,Exton,PAより市販)に撹拌しながら加えた。
【0029】
(実施例2:膨張のための溶媒を有する有機マトリックス)
紫外線照射硬化性有機組成物を以下の手順で調製した。ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノンの50/50ブレンド(0.3g)(Aldrich Chemical Company,Inc.より市販)ならびに1.4gのアセトンを10gのプロポキシレート化された(3)グリセリルトリアクリレート(Sartomer Company, Inc.より市販)に撹拌しながら加えた。
【0030】
(実施例3:ホットスタンプのための有機マトリックス)
紫外線照射硬化性有機組成物を以下の手順で調製した。ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノンの50/50ブレンド(22.6g)(Aldrich Chemical Company,Inc.より市販)を、227gのエチルアルコール中で、170gの2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、85gのCN968(ウレタンアクリレート)および85gのCN966J75(ウレタンアクリレート)を25%イソボルニルアクリレート(すべてSartomer Company,Inc.)とブレンドしたものに撹拌しながら加えた。
【0031】
(実施例4:オーバーコーティングのための有機マトリックス)
紫外線照射硬化性有機組成物を以下の手順で調製した。ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノンの50/50ブレンド(0.15g)(Aldrich Chemical Company,Inc.より市販)を5gのエトキシレート化された(3)ビスフェノール A ジアクリレート(Sartomer Company,Inc.より市販)に撹拌しながら加えた。
【0032】
(実施例5:粒子状製品のための有機マトリックス)
紫外線照射硬化性有機組成物を以下の手順で調製した。ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノンの50/50ブレンド(22.6g)(Aldrich Chemical Company,Inc.より市販)を、615gのエチルアルコール中で、549gのプロポキシレート化された(3)グリセリルトリアクリレート、105.3gのペンタエリトリトールテトラアクリレートおよび97.8gのエトキシレート化された(5)ペンタエリトリトールテトラアクリレート(すべてSartomer Company,Inc.より市販)に撹拌しながら加えた。
【0033】
(実施例6:コア/シェル粒子)
ポリスチレン−ジビニルベンゼンのコア/スチレン−メチルメタクリレート−エチレングリコールジメタクリレート−ジビニルベンゼンのシェルの粒子の水中分散物を以下の手順で調製した。2.4gの重炭酸ナトリウム(Aldrich Chemical Company,Inc.より市販)を2045gの脱イオン水と混合し、温度計、ヒートマントル、スターラー、還流冷却管および窒素吹き込み管を備えた4リットルの反応釜に加えた。この混合物に窒素を40分間撹拌しながら吹き込み、次に窒素を充填した。Aerosol MA80−I(22.5g(205g脱イオン水中)、Cytec Industries,Inc.より市販)をこの混合物に撹拌しながら加え、24gの脱イオン水でリンスした。この混合物をヒートマントルを用いて、約50℃に加熱した。スチレンモノマー(416.4g、Aldrich Chemical Company,Inc.より市販)を撹拌しながら加えた。この混合物を60℃まで加熱した。ナトリウムパーサルフェート(6.2g(72g脱イオン水中)、Aldrich Chemical Company,Inc.より市販)を撹拌しながら混合物に加えた。混合物の温度を40分間一定に保った。撹拌しながら、ジビニルベンゼン(102.7g、Aldrich
Chemical Company,Inc.より市販)を混合物に加え、温度を約60℃で2.3時間保った。ナトリウムパーサルフェート(4.6g(43.2g脱イオン水中)、Aldrich Chemical Company,Inc.より市販)を撹拌しながらこの混合物に加えた。
【0034】
スチレン(103g)、メチルメタクリレート(268g)、エチレングリコールジ
メタクリレート(9g)およびジビニルベンゼン(7g)(すべてAldrich Chemical Company,Inc.より市販)の混合物をこの反応混合物に撹拌しながら加えた。Sipomer COPS−I(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸41.4g、Rhodia,Inc.,Cranbury,NJより市販)をこの反応混合物に撹拌しながら加えた。混合物の温度を60℃で約4.2時間保った。生じたポリマー分散物を5ミクロンのフィルターバッグを通してろ過した。このプロセスをもう1度繰り返した。2つの生じたポリマー分散物を次に、4インチの限外ろ過ハウジング(housing)を用いて、2.41インチのポリビニリデンフルオリド膜(どちらもPTI Advanced Filtration,Inc.,Oxnard,CAより市販)によって限外ろ過し、ならびに蠕動ポンプを用いて、約170ml/秒の流量で汲み上げた。3000gの限外ろ過物を取り除いた後に、脱イオン水(3002g)を分散物に加えた。10388.7gの限外ろ過物が10379gの脱イオン水に置き換わるまで、この交換を数回繰り返した。次に混合物の固体含有量が44.1重量%になるまで、さらに限外ろ過物を取り除いた。
【0035】
この物質をスロット−ダイコーター(slot−die coater)(Frontier Industrial Technology,Inc.,Towanda,PA)によって、ポリエチレンテレフタレート(PET)基材に塗布し、180°Fで30秒乾燥し、約7ミクロンの多孔性乾燥厚さにした。Cary 500 分光光度計(Varian,Inc.より市販)を用いての測定により、生じた製品は光を552nmで回折した。
【0036】
(実施例7:コア/シェル粒子)
ポリスチレン−ジビニルベンゼンのコア/スチレン−メチルメタクリレート−エチレングリコールジメタクリレート−ジビニルベンゼンのシェルの粒子を、実施例6に記載の方法で、22.5gに代えて、23.5gのAerosol MA80−Iを用いて調製した。この物質をPET基材上に堆積し、およびCary 500 分光光度計(Varian,Inc.より市販)を用いての測定により、光を513nmで回折した。
【0037】
(実施例8:コア/シェル粒子)
ポリスチレン−ジビニルベンゼンのコア/スチレン−メチルメタクリレート−エチレングリコールジメタクリレート−ジビニルベンゼンのシェルの粒子を、実施例6に記載の方法で、22.5gに代えて、26.35gのAerosol MA80−Iを用いて調製した。この物質をPET基材上に堆積し、およびCary 500 分光光度計(Varian,Inc.より市販)を用いての測定により、光を413nmで回折した。
【0038】
(実施例9:コア/シェル粒子)
ポリスチレン−ジビニルベンゼンのコア/スチレン−メチルメタクリレート−エチレングリコールジメタクリレート−ジビニルベンゼンのシェルの粒子を、実施例6に記載の方法で、22.5gに代えて、24.0gのAerosol MA80−Iを用いて調製した。この物質をPET基材上に堆積し、およびCary 500 分光光度計(Varian,Inc.より市販)を用いての測定により、光を511nmで回折した。
【0039】
(実施例10:粒子状コア/シェルアレイ)
PET基材上に堆積したポリスチレン−ジビニルベンゼンのコア/スチレン−メチルメタクリレート−エチレングリコールジメタクリレート−ジビニルベンゼンのシェルの粒子を、実施例6に記載の方法で、22.5gに代えて、23.5gのAerosol MA80−Iを用いて調製した。この物質をPET基材上に堆積し、およびCary 500
分光光度計(Varian,Inc.より市販)を用いての測定により、光を520nmで回折した。
【0040】
実施例5で調製したマトリックス物質1389gを、PET基板上の多孔性乾燥粒子のすきまの空間に、スロット−ダイコーター(Frontier Industrial Technology,Inc.より市販)を用いて塗布した。塗布後、このサンプルをオーブン内で135°Fで80秒乾燥させ、次に100W水銀灯を用いて、紫外線照射硬化させた。この生成された可撓性で透明な膜は、観察者に対し、0度または平行な角度から見られた場合、赤色を有した。この同じ膜は、観察者に対し、45度以上の角度から見られた場合緑色であった。
【0041】
この膜を、脱イオン水とイソプロピルアルコールの50/50混合物で2回洗浄し、エアーナイフアセンブリ(Exair Corporation,Cincinnati,OHより市販)を用いてPET基材から取り除いた。この物質を真空でコレクションバッグに集めた。この物質を、超遠心ミル(Retch GmbH & Co.,Haan,Germanyより市販)を用いて、粉末状にすりつぶした。この粉末を、25ミクロンおよび20ミクロンの炭素鋼ふるい(Fisher Scientific International,Inc.より市販)に通した。この20ミクロンふるい内にある粉末を集めた。
【0042】
(実施例11:ホットスタンプのためのコア/シェル膜)
10重量%のポリ(メチルメタクリレート)(平均分子量120,000、Aldrich Chemical Company,Inc.より市販)のアセトン中混合物を、1つのミルPET支持体層にスロット−ダイコーター(Frontier Industrial Technology,Inc.より市販)を用いて、約250nmの膜の厚さで塗布した。次にこの物質をオーブン内で150°Fで40秒乾燥させた。この生じたポリ(メチルメタクリレート)膜に、実施例9の物質をスロット−ダイコーターを用いて堆積させ、185°Fで40秒乾燥させ、約7ミクロンの有孔性乾燥厚さにした。実施例3で調製した580.6gのマトリックス物質を、この乾燥した粒子のすきまの空間に、スロット−ダイコーター(Frontier Industrial Technology,Inc.より市販)を用いて塗布した。塗布後、このサンプルをオーブン内で135°F、100秒で乾燥させ、次に100W水銀灯を用いて紫外線照射硬化させた。
【0043】
(実施例12:1色のカラーシフトするすかし)
実施例1で調製したマトリックス物質の2滴を、不透明チャート(opacity chart)(The Leneta Company,Mahwah,NJ)の黒い部分においた。この部分は、かなり細かいScotch−Brite(登録商標)パッド(3M Corp.,Minneapolis,MNより市販の研磨用パッド)を用いて軽くすりへらされ、研磨されていた。実施例6で調製したPET基材上の物質は、不透明チャート上に下向きに置かれ、したがってコートされてない側のPET基材を上に触れさせて、ポリスチレン−ジビニルベンゼンのコア/スチレン−メチルメタクリレート−エチレングリコールジメタクリレート−ジビニルベンゼンのシェルの粒子を、実施例1の硬化可能なマトリックス物質内にとどめた。PET基材の上側にローラーを用いて、実施例1の硬化可能なマトリックス物質を、実施例6のコア/シェル粒子のすきまの空間に広げて、押し込んだ(force)。次に透明なイメージ範囲を有するマスクを、PET基材上の、実施例1および実施例6の両方の物質を有する不透明チャートの範囲に置いた。このサンプルを、100W水銀灯を用いて、マスクの透明なイメージ範囲を通して、紫外線照射硬化させた。この粒子を含むマスクおよびPET基材を、次に不透明チャートから取り除き、そしてこのサンプルをイソプロピルアルコールを用いて洗浄し、未硬化の物質を取り除いた。マスクの透明な範囲に対応するイメージを有する膜を、不透明チャートの上に形成させた。保護クリアコーティングは、実施例1のマトリックス物質を4滴加えることにより、イメージに塗布された。このマトリックス物質を次にPET膜の一部でおおい、ローラーを使って広げた。このサンプルを100W水銀灯を用いて紫外線照射硬化した。生じたイメージは、観察者に対し平行または0度の角度から見られた場合、赤銅色を有した。この同じイメージは、観察者に対して45度以上の角度から見られた場合、緑色を有した。
【0044】
(実施例13:イメージカラーの無色へのカラーシフト)
サンプルを、実施例12に記載の方法と同じ方法で、実施例6の物質に代えて、実施例8の物質を用いて調製した。生じたイメージは、観察者に対して平行または0度の角度から見られた場合、紫色を有した。この同じイメージは、観察者に対して45度以上の角度から見られた場合、無色であった。
【0045】
(実施例14:透明な基材上のイメージカラーのカラーシフト)
サンプルを、実施例12に記載の方法と同じ方法で、不透明チャートを3ミルの膜のポリエチレンテレフタレート(PET)に置き換えて、調製した。生じた透明なイメージは、観察者に対して平行または0度の角度から見られた場合、赤銅色を有した。この同じイメージは、観察者に対して45度以上の角度から見られた場合、緑色であった。イメージを含む膜が黒い物体上に置かれると、色の知覚強度は大きく増加した。
【0046】
(実施例15:複数色のカラーシフト)
サンプルを、実施例12に記載の方法と、保護クリアコーティングを除いた同様の方法で調製した。この手順を2回繰り返した。第1の繰り返しプロセスは、実施例6の物質に代えて実施例8の物質を有し、第2のイメージマスクを使用した。第2の繰り返しプロセスは、実施例7の物質を有し、第3のイメージマスクを使用した。保護クリアコートは、実施例1のマトリックス物質を4滴加えることによって、イメージに塗布された。このマトリックス物質を次に、PET膜の一部でおおい、ローラーを使ってコーティング中に広げた。このサンプルを次に、100W水銀灯を用いて紫外線照射硬化させた。生じたイメージは、観察者に対して平行または0度の角度から見られた場合、赤銅色である範囲を有した。この同じ範囲は、観察者に対し45度以上から見られた場合、緑色を有した。このイメージはまた、観察者に対して平行または0度の角度から見られた場合、紫色であり、観察者に対し45度以上から見られた場合、無色である範囲を含んだ。また、観察者に対して平行または0度の角度から見られた場合、緑色であり、観察者に対し45度以上から見られた場合、青色である範囲がイメージ上にあった。
【0047】
(実施例16:溶媒膨張によるカラーシフト)
サンプルを、実施例13に記載の方法と、イメージのある部分において、実施例1のマトリックス物質に代えて、実施例2のマトリックス物質を用いたことを除いて、同じ方法で調製した。実施例1のマトリックス物質より形成されたイメージの部分は、観察者に対して平行または0度の角度から見られた場合、紫色を有した。この同じイメージは、観察者に対し45度以上から見られた場合、無色であった。実施例2のマトリックス物質より形成されたイメージの部分は、観察者に対して平行または0度の角度から見られた場合、青色を有した。この同じイメージは、観察者に対し45度以上から見られた場合、紫色であった。
【0048】
(実施例17:屈折率の違いによるカラーシフト)
サンプルを、実施例12に記載の方法と、イメージのある部分において、実施例1のマトリックス物質に代えて、実施例4のマトリックス物質を用いたことを除いて、同じ方法で調製した。実施例1のマトリックス物質より形成された透明なイメージの部分は、観察者に対して平行または0度の角度から見られた場合、赤銅色を有した。この同じイメージは、観察者に対し45度以上から見られた場合、緑色であった。実施例4のマトリックス物質より形成された透明なイメージの生じた部分は、観察者に対して平行または0度の角度から見られた場合、赤色を有した。この同じイメージは、観察者に対し45度以上から見られた場合、緑色であった。
【0049】
(実施例18:ホットスタンプ)
水媒介性接着剤(PPG Industries,Inc.より市販)を実施例11で調製した物質に、約7ミクロンの膜の厚さで塗布し、150°Fで3分乾燥させた。この物質を、接着側を不透明チャート(The Leneta Companyより市販)の黒い部分に向けて置き、250〜300°Fで、Model 55 ホットスタンプ機(Kwikprint Mfg.Co.,Inc.,Jacksonville,FLより市販)を用いてホットスタンプした。生じたイメージは、観察者に対して平行または0度の角度から見られた場合、赤銅色を有した。この同じイメージは、観察者に対し45度以上から見られた場合、緑色であった。
【0050】
(実施例19:シルクスクリーニング)
実施例10の物質(5g)を20gのクリアシルクスクリーン媒体(Golden #3690−6、Golden Artist Colors,Inc.,New Berlin,NY.より市販)中で撹拌した。この混合物を、黒いMi−Teintes(登録商標)紙(Canson,Inc.,S.Hadley,MAより市販)上に、シルクスクリーンフレームキットおよびDiazo Photo Emulsionキット(Speedball Art Products Company,Statesville,NC.より市販)を用いて、シルクスクリーニングした。生じたイメージは、30分空気乾燥させ、次にUV−Resistant Acrylic Coating(the Krylon Products Group,Cleveland,OH.より市販)を塗布した。この生じたイメージは、観察者に対して平行または0度の角度から見られた場合、赤銅色を有した。この同じイメージは、観察者に対し45度以上から見られた場合、緑色を有した。
【0051】
(実施例20:ハンドライティング)
実施例10の物質(0.2g)を、2.5gのTriaTM Ink Blender(Letraset,Ltd.,Kent,England.より市販)中で撹拌した。この混合物を、0.8mmチップ Rapidograph(登録商標)ペン(KOH−I−NOOR(登録商標) Professional Products Group,Leeds,MA.より市販)のインク液溜め中に移した。イメージを、このペンを用いて、不透明チャート(The Leneta Company,Mahwah,NJより市販)上にハンドライティングした。このイメージは、観察者に対して平行または0度の角度から見られた場合、赤銅色を有した。この同じイメージは、観察者に対し45度以上から見られた場合、緑色を有した。
【0052】
本発明の特定の実施形態が、例示の目的のために上記に記載されているのに対し、本発明の詳細に対する非常に多くの変化は、添付した特許請求の範囲に規定された本発明より逸脱することなく、行われ得る、ということは当業者に明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−95774(P2011−95774A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−17301(P2011−17301)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【分割の表示】特願2008−548887(P2008−548887)の分割
【原出願日】平成19年1月3日(2007.1.3)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】