説明

ブリスターパック

【課題】開封時に、凸部を押圧する等の操作を必要とせず、また凸部内の収容部から被包装物が不用意に飛び出すおそれがなく、さらに開封時の引き抜き手段としての台紙とシート材との不用意な分離が生じることのないブリスターパックを提供すること。
【解決手段】被包装物を収容可能な収容部を有するブリスターケース2と、該収容部の開口部分を覆うように、折り曲げられて配設された引き抜き用シートと、該引き抜き用シートの外側に設けられたカバーシート3とでブリスターパック本体1が構成され、前記引き抜き用シートの1片が前記ブリスターパック本体1の外側に延設されるとともに、該引き抜き用シートを挟持する挟持用シートが設けられ、該挟持用シートと引き抜き用シートとで把持片16が形成され、該把持片16を把持して引っ張ることにより、前記引き抜き用シートが前記ブリスターパック本体の外側1に引き抜かれて被包装物が収容部から取り出せる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスターパック、さらに詳しくは、錠剤やカプセル等の医薬品、食品、化粧品等の被包装物の包装に用いるブリスターパックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、錠剤やカプセル等の医薬品の包装には、プラスチック製の成形シートに複数の凸部を形成し、この凸部内の収容部に固形剤からなる医薬品を収容してシールシートで密封し、服用時には上記凸部を押圧することにより固形剤からなる医薬品でシールシートを押し破って取り出すようにした、いわゆるPTP包装と称されるブリスターパックがある。このPTP包装のブリスターパックは、固形剤が個々に包装されていること、計数管理が容易であること、コンパクトで保管等が容易であること、取り出し操作が比較的簡単であること等の利点から、固形剤の包装に多用されている。そして、このようなPTP包装のブリスターパックに関する発明として、たとえば下記特許文献1のような特許出願がなされている。
【0003】
ところが、この特許文献1に開示されたような従来のPTP包装のブリスターパックは、取出し操作が比較的簡単であるとはいえ、凸部を一つずつ押圧して固形剤を押出さなければならず、たとえば老人等のように握力の弱い使用者が使用する場合には、取出しが困難となることもあった。
【0004】
そこで、このような問題点を解決するために、たとえば下記特許文献2のような特許出願がなされている。この特許文献2に記載された発明は、1回に取り出される収容部のみを開封して所定数量の被包装物を正確に且つ簡単に取り出すことができ、且つ錠剤、カプセル剤はもちろんのこと、顆粒剤、ゼリー、液剤などの被包装物や、崩壊錠のように壊れ易い被包装物の包装にも適用できるようなブリスターパックを提供するものである。
【0005】
このブリスターパックは、複数の凸部2を形成した成型シート4にシールシート5を貼り合わせて各凸部2内の収容部3を個別密封し、上記シールシート5にスリット6を設けて、このスリット6によりシールシート5を1回に取り出される収容部3全体を覆う開封部7に区画し、この開封部7におけるシールシート5の破断強度を、シールシート5と成型シート4との接着強度よりも高く設定し、上記開封部7の縁部に掴み部8を設けて、この掴み部8を引っ張ることにより開封部7を成型シート4から引き剥がし可能に構成したものである。
【0006】
しかしながら、このようなブリスターパックにおいては、区画された開封部を成型シート4から引き剥がすことによって、被包装物を取り出すように構成されているので、取り出す際に錠剤やカプセル等の被包装物が不用意に飛び出す可能性がある。
【0007】
一方、PTP包装等の医薬品用ではないが、本発明に最も近似する先行技術として、下記特許文献3に開示された発明がある。この特許文献3に係る発明は、商品を収容する収容凹部を有するブリスターケースと、上記収容凹部に対向する状態で上記ブリスターケースの背部に配設され上記ブリスターケースの一側から他側に向かってスライドさせる台紙とを備え、上記ブリスターケースの背面に上記収容凹部の開口部を覆うようにしてシート材を剥離可能に貼着し、このシート材の一側端部と台紙の一側端部とを連結し、上記台紙を一側から他側に向かってスライドさせることにより上記シート材の一側端部を他側に引っ張って上記ブリスターケースの背面から剥離させるように構成したものである。
【0008】
しかしながら、この特許文献3に係る発明では、台紙とシート材とが接続され、台紙を引っ張ることでシート材が引き出され、それによって開封可能とする構成であり、台紙を引っ張ったときに、台紙とシート材とが不用意に分離するおそれがある。
【0009】
【特許文献1】特開2003−226360号公報
【特許文献2】特開2001−46469号公報
【特許文献3】特開2006−168760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、PTP包装等として使用するブリスターパックを開封する際において、従来のように凸部を押圧する等の操作を必要とすることなく、また凸部内の収容部から被包装物が不用意に飛び出すおそれがなく、
さらに上記のような開封時の引き抜き手段としての台紙とシート材との不用意な分離が生じることのないブリスターパックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、被包装物を収容可能な収容部を有するブリスターケースと、該ブリスターケースの収容部の開口部分を覆うように、折り曲げられた状態で配設された引き抜き用シートと、該引き抜き用シートの外側に設けられたカバーシートとでブリスターパック本体が構成され、前記折り曲げられた引き抜き用シートの対面する2片のうち、1片のみが前記ブリスターパック本体の外側に延設されているとともに、該延設された引き抜き用シートを挟持する挟持用シートが設けられて、該挟持用シートと前記延設された引き抜き用シートとで把持片が形成され、該把持片を把持してブリスターパック本体と反対側へ引っ張ることによって、前記引き抜き用シートが前記ブリスターパック本体の外側に引き抜かれて被包装物がブリスターケースの収容部から取り出し可能となるように構成されていることを特徴とするブリスターパックを提供する。
【0012】
引き抜き用シートは、合成樹脂製フィルムにアルミニウムをラミネートしたアルミニウムラミネートフィルムで構成されていることが好ましい。さらに、把持片に、指を挿入するための孔が穿設されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のブリスターパックは、上述のように把持片を把持し、引き抜き用シートをブリスターパック本体から引き抜くことによってブリスターパック本体からの被包装物の取り出しを行うことができるものであるため、従来のように被包装物が収容された凸部を押圧する等の操作を必要とすることがなく、また上記特許文献2に係る発明のようにシートを捲って被包装物を取り出すような構成のものではないので、被包装物を取り出す際に被包装物が不用意に飛び出すようなおそれもない。
【0014】
さらに、引き抜き用シートは折り曲げられた状態でブリスターパック本体内に配設され、
折り曲げられた引き抜き用シートの対面する2片のうち、1片のみがブリスターパック本体の外側に延設されているとともに、該延設された引き抜き用シートを挟持する挟持用シートが設けられて、該挟持用シートと前記延設された引き抜き用シートとで把持片が形成されており、把持片を把持して引き抜き用シートを引き抜く場合に、引き抜き用シートは挟持用シートとともに挟持された状態で引き抜かれることとなるので、挟持用シートと引き抜き用シートとが分離されるようなことはなく、安定した状態で引き抜き操作が行われることとなり、上記特許文献3のように、台紙を引っ張ったときに、台紙とシート材とが不用意に分離するおそれがあるというような問題も生じないのである。
【0015】
さらに、引き抜き用シートが、ブリスターケースの収容部の開口部分を覆うように折り曲げられた状態でブリスターパック本体内に配設されているので、収容部内に収容されている被包装物に対する保護効果が向上するという効果がある。しかも、把持片を把持して引き抜き用シートを引き抜く操作を行うときに、引き抜き用シートの折り返し状態が自動的に解消されるので、把持片を把持して引き抜き用シートを引き抜く1回の操作のみで被包装物を取り出すことができ、引き抜き操作が簡易に行えることとなる。
【0016】
さらに、ブリスターケースの収容部の開口部分を上向きとした状態で引き抜き用シートの引き抜き操作を行うことによって、引き抜き用シートをブリスターパック本体から引き抜いた後においても、被包装物を落下させることなく、収容部内に収容したままの状態に維持することができ、従って、どのような場所ででも被包装物の取り出し作業を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、一実施形態のブリスターパックについて図面に従って説明する。
【0018】
一実施形態のブリスターパックは、図1及び図2に示すように、ブリスターパック本体1と、把持片16とで構成されている。ブリスターパック本体1は、被包装物を収容可能な収容部を有するブリスターケース2と、該ブリスターケース2の収容部12の開口部分12aを覆うように、折り曲げられた状態で配設された引き抜き用シート4と、前記ブリスターケース2の外側に貼着されたカバーシート3とで構成されている。
【0019】
ブリスターケース2は全体が合成樹脂で構成され、折曲部2cを介して一片2aと他片2bとが連設され、さらに該他片2bから延長片2dが延設されることによって構成されている。延長片2dは、ミシン目13を介して前記他片2bから分断しうるように構成されている。そして、前記ブリスターケース2の一片2aの外側に凸部14が突設されており、該凸部14の内部が、前記被包装物が収容されうる収容部12として形成されている。
また、前記ブリスターケース2の他片2bと延長片2dとには、孔5及び孔6がそれぞれ穿設されている。
【0020】
またカバーシート3は、ラベルとなりうる薄紙で構成され、表面に文字等の情報を筆記、
捺印、刻印、レーザーマーカー等の印字、印刷等しうるように構成されている。このカバーシート3は、前記ブリスターケース2と同様に折曲部3cを介して一片3aと他片3bとが連設されることによって構成されている。また、前記カバーシート3の他片3bには、孔7が穿設されている。さらにカバーシート3の一片3aにも孔9が穿設され、該孔9に前記ブリスターケース2の凸部14が挿入され、該孔9から凸部14が突出されている。
【0021】
さらに引き抜き用シート4は、合成樹脂製フィルムにアルミニウムをラミネートしたアルミニウムラミネートフィルムで構成され、前記ブリスターケース2と同様に折曲部4cを介して一片4aと他片4bとが連設され、さらに該他片4bから延長片4dが延設されることによって構成されている。この引き抜き用シート4の延長片4dには、前記ブリスターケース2の延長片2dに穿設された孔6と連通するように、孔19が穿設されている。
【0022】
また、引き抜き用シート4の延長片4dの外側面と、ブリスターケース2の延長片2dの外側面には、挟持用シート15、15が貼着されている。この挟持用シート15、15は、前記カバーシート3と同材質のラベルとなりうる薄紙からなり、カバーシート3と同様に表面に文字等の情報を筆記、捺印、刻印、レーザーマーカー等の印字、印刷等しうるように構成されている。そして、挟持用シート15、15には、前記ブリスターケース2の延長片2dの孔6及び引き抜き用シート4の延長片4dの孔19と連通するように、それぞれ孔8、10が穿設されている。
【0023】
このような挟持用シート15、15が設けられた結果、引き抜き用シート4の延長片4dは、該挟持用シート15、15に挟持された状態となる。そして、このような引き抜き用シート4の延長片4d、ブリスターケース2の延長片2d、及び両側の挟持用シート15、15によって、把持片16が形成されている。
【0024】
ブリスターケース2、カバーシート3、及び引き抜き用シート4は、図1に示すように平面略長方形状に形成され、ブリスターケース2の凸部14は平面略長円状に形成されている。また、ブリスターケース2の孔5及びカバーシート3の孔7は、平面略長円状に形成されている。さらに、ブリスターケース2の孔6、引き抜き用シート4の孔19、及び
挟持用シート15、15の孔8、10は、図1に示すようにそれぞれ平面円形状に形成されている。
【0025】
そして、このような構成からなるブリスターパック17を展開した状態は、図3及び図4に示すように、ブリスターパック本体1の一片1a及び他片1bが折曲部1cを介して連設された状態であるとともに、該他片1bから把持片16が連設された状態とされており、ブリスターパック本体1の折曲部1cを介して一片1aを他片1b側に折り曲げることによって、上記図1及び図2のようにブリスターパック17が構成されたものである。
【0026】
このように、ブリスターパック本体1の一片1a及び他片1b、並びに把持片16の3つの片が連設されて構成されたブリスターパック17が、さらに上記連設方向と交差する方向に複数連設されることによって、図5に示すような、ブリスターパック連設体18が得られることとなる。この場合、1のブリスターパック17の一片1a及び他片1bと、その1のブリスターパック17に隣接するブリスターパック17の一片1a及び他片1bとの境界線部分には、ミシン目20が形成されている。ただし、このようなミシン目20を形成することは条件となるものではなく、ミシン目20を形成せずに複数のブリスターパック17を連接してブリスターパック連設体18を構成することも可能である。
【0027】
また、1のブリスターパック17の把持片16と、その1のブリスターパック17に隣接するブリスターパック17との境界線部分には切込21が形成されている。従って把持片16の部分においては、隣接するブリスターパック17、17の相互間は連設された状態となっていない。ただし、このような切込21を形成して非連設状態とすることなく、ミシン目を介して連設状態とすることも可能である。この場合には、ミシン目を介して隣接するブリスターパック17、17の把持片16ごとに分断した上で、把持片16を把持して引き抜き用シート4の引き抜き操作が行われることとなる。
【0028】
本実施形態のブリスターパック17は、たとえばカプセル、錠剤等の医薬品の包袋用として用いられる。その際、被包袋物として単位あたりの医薬品(カプセル剤であれば1カプセル、錠剤であれば1錠)が1つのブリスターパック17の収容部12内に収容されるので、上記図5に示すようなブリスターパック連設体18には、ブリスターパック17が連設された個数分の医薬品が収容されることとなる。たとえば上記図5の例では、6個のブリスターパック17が連設されてブリスターパック連設体18が構成されているので、6カプセル又は6錠の医薬品が収容されることとなる。
【0029】
このようなブリスターパック連設体18は、一般のPTP包装等の場合と同様に、製薬メーカーによって販売される商品としての流通時や、調剤薬局等から患者に提供される処方時等において、複数のブリスターパック17が連設されたままの状態で使用される。
【0030】
患者等、医薬品を投与する使用者が使用する際にも、ブリスターパック連設体18の状態で開封や被包装物の取り出しを行うことができるが、予めブリスターパック連設体18をブリスターパック17ごとに分断した後に、開封や被包装物の取り出しを行うことも可能である。
【0031】
上記図5では、ブリスターパック連設体18を展開した状態が示されているが、ブリスターパック連設体18の使用前には、上記図1、2等に示すように、折曲部2cを介してブリスターパック17の一片2aが他片2b側に折り曲げられた状態とされ、そのように一片2aが他片2b側に折り曲げられた状態のブリスターパック17が複数連設されて
ブリスターパック連設体18が形成された状態とされている。
【0032】
尚、本実施形態では、便宜上、1個の被包袋物を収容しうるものをブリスターパック17とし、そのブリスターパック17を複数連設したものをブリスターパック連設体18として説明したが、本発明における「ブリスターパック」とは、本実施形態における1個の被包袋物を収容しうるブリスターパック17のみならず、上記ブリスターパック連設体18のように、1個の被包袋物を収容しうるものをさらに複数連設したようなものも含む意味であり、従ってブリスターパックに具備されている収容部12の個数も問わないものである。
【0033】
次に、このような構成からなるブリスターパックを開封する場合について説明する。上述のように、患者等の使用者は、複数のブリスターパック17が連設されたブリスターパック連設体18の状態で開封や被包装物の取り出しを行うことができ、また予めブリスターパック連設体18をブリスターパック17ごとに分断した後に、開封や被包装物の取り出しを行うこともできる。
【0034】
しかしながら、いずれの手順を採用しても、被包装物を取り出す操作及び作用は共通するので、ここでは、便宜上、1個のブリスターパック17のみに着目し、そのブリスターパック17を開封して被包装物を取り出す操作と作用について説明する。
【0035】
先ず、図6に示すようにブリスターケース2の凸部14を下向き、すなわちブリスターケース2の収容部12の開口部分12aを上向きとし、その状態で、同図に示すように把持片16を同図の矢印方向に引っ張る。
【0036】
この場合において、把持片16を構成するブリスターケース2の延長片2d、引き抜き用シート4の延長片4d、及び挟持用シート15、15には、それぞれ孔6、孔19、孔8、孔10が穿設されているため、その孔6、孔8、孔19、孔10に指を挿入して把持片16を把持することで、握力の弱い老人等の使用者であっても、引き抜き用シート4に直接指を触れつつ、その引き抜き用シート4を矢印方向に容易に引き抜くことができる。
【0037】
そして、そのまま把持片16を図7の矢印方向に引っ張ることで、折曲部4cを介して一片4aが他片4b側に折り曲げられた引き抜き用シート4の折り返し状態が解除され、さらに把持片16を図7の矢印方向に引っ張ることで、引き抜き用シート4は図8に示すようにブリスターパック本体1から抜き出されることとなる。
【0038】
この場合において、被包装物を収容するブリスターケース2の収容部12の開口部分12aが上向きとなるようにブリスターパック本体1を反転させた状態で引き抜き用シート4の引き抜き操作を行っているので、引き抜き用シート4をパック本体1から抜き出した後においても、被包装物は図8に示すように収容部12内に収容されたままの状態に維持される。
【0039】
そして、ブリスターパック本体1から被包装物を取り出す場合には、図9のようにブリスターパック本体1を反転させることによって、連通状態とされているブリスターケース2の孔5及びカバーシート3の孔7から被包装物11を落下させることができ、被包装物の取り出しを容易に行うことができるのである。
【0040】
本実施形態では、上記のように折曲部4cを介して一片4aを他片4b側に折り曲げた状態で引き抜き用シート4をパック本体1内に収容するとともに、その折り曲げられた引き抜き用シート4でブリスターケース2の収容部12を閉塞し、把持片16を把持して引き抜き用シート4をブリスターパック本体1から引き抜くことで被包装物11をパック本体1から取り出すことを可能としたものであるため、凸部を押して被包装物を取り出すような操作や、シールシートをブリスターケース2から剥離するような操作を必要とせず、操作中に被包装物11がブリスターパック本体1から不用意に落下するおそれもない。
【0041】
また、本実施形態では、上記のように折曲部4cを介して一片4aを他片4b側に折り曲げた状態で引き抜き用シート4をパック本体1内に収容しているので、引き抜き用シート4が2重の状態でブリスターケース2の収容部12の開口部分12aを覆うように配設された状態となり、収容部12内に収容されている被包装物11に対する保護効果が向上する。
【0042】
しかも、把持片16を把持して引き抜き用シート4を引き抜く操作を行うときに、引き抜き用シート4の折り返し状態が自動的に解消されるので、把持片16を把持して引き抜き用シート4を引き抜く1回の操作のみで被包装物11を取り出すことができ、引き抜き操作が簡易に行えることとなる。
【0043】
尚、上記実施形態では、カバーシート3として全体がラベルとなりうる薄紙で構成したが、これに限らず、たとえば全体が台紙となりうるような厚紙で構成することも可能である。この場合には、図10に示すように、ブリスターケース2は、凸部14を有する周辺部分のみに設けられており、上記図1、2等の実施形態のように折曲部2cを介して一片2aと他片2bとが連設され、さらに該他片2bから延長片2dが延設されるような構成とはされていない。
【0044】
また、この図10の実施形態では、同図にように、把持片16を構成する挟持用シート15、15が、折曲部15aを介して折り曲げられて形成されている。そして、この挟持用シート15も、上記カバーシート3と同様に厚紙で構成されている。把持片16を把持し、引き抜き用シート4をブリスターパック本体1から引き抜くことによって被包装物11をブリスターパック本体1から取り出す作用等については、上記図1等の実施形態と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
【0045】
さらに、上記実施形態では、把持片16がパック本体1から延長して形成されていたが、これに限らず、たとえば図11に示すように、把持片16がパック本体1に対して折り曲げられたような状態で設けられていてもよい。この場合には、図12に示すように折り曲げられていた把持片16を展開し、その状態で上記図1の実施形態と同様に把持片16を把持して引き抜き用シート4をブリスターパック本体1から引き抜くことになる。
【0046】
さらに、上記実施形態では、ブリスターパック本体1や把持片16を、平面略長方形状に形成したが、ブリスターパック本体1や把持片16の形状は該実施形態に限定されるものではない。またブリスターケース2の凸部14の形状や孔5、7の形状も上記実施形態の平面略長円形状に限定されない。さらに、孔6、8、10、19の形状も上記実施形態の平面円形状に限定されない。
【0047】
さらに、ブリスターケース2の材質も、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系合成樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等の種々の合成樹脂の素材を用いることが可能であり、その材質は問わない。さらに、アルミニウムと合成樹脂製シートとをラミネートしたいわゆるアルミ成形フィルムのようなものを使用することも可能である。このようなアルミ成形フィルムとしては、たとえば脂肪族ポリアミドやポリエチレンテレフタレート等からなるベースフィルムにアルミニウムを積層し、そのアルミニウムにポリ塩化ビニルやポリプロピレン等を積層して多層構造にしたようなものが用いられる。
【0048】
さらに上記実施形態では、引き抜き用シート4の全体がアルミニウムラミネートフィルムで構成されていたが、引き抜き用シート4の材質も上記実施形態に限定されない。ただし、アルミニウムラミネートフィルムで構成することによって、たとえばアルミ箔等を用いる場合に比べてしわの発生を大幅に軽減することができるという利点がある。また、アルミニウムと合成樹脂製フィルムとのラミネートフィルムであるので、引き抜き時において、引き抜き用シート4が不用意に破損するようなおそれもない。
【0049】
尚、引き抜き用シート4の材質としては上記のようなアルミニウムラミネートフィルムやアルミ箔等に限らず、アルミニウム等の金属を含まない合成樹脂製フィルムのみからなるようなものを使用することも可能である。この場合、2種以上の合成樹脂をラミネートしたフィルムを用いることも可能であるが、ラミネートしていない単層の合成樹脂製フィルムを用いることも可能である。
【0050】
また、上記実施形態では、カバーシート3や把持片16の材質として、ラベルに用いることができるような薄紙や、厚紙等の紙製のものを使用したが、カバーシート3や把持片16の材質も紙に限定されるものではなく、たとえば合成樹脂製のシートを用いることも可能である。
【0051】
さらに上記実施形態では、ブリスターケース2が、1枚の合成樹脂製シートを折り曲げることにより、折曲部2cを介して一片2aと他片2bとが連設されて構成されていたが、このように1枚の合成樹脂製シートの折り曲げによって形成せず、たとえば2枚の合成樹脂製シートの端部を貼り合わせることによってブリスターケース2が構成されていてもよい。またカバーシート3も同様に、上記実施形態のように折曲部3cを介して一片3aと他片3bとが連設されることによって構成されているものに限らず、2枚の紙等の端部を貼り合わせることによって構成されたものであってもよい。
【0052】
さらに上記実施形態では、把持片16の構成部材である外側の挟持用シート15、15、ブリスターケース2の延長片2d、及び引き抜き用シート4の延長片4dの4つの構成部材のすべてに孔8、10、6、19を連通状態で穿設したため、このような連通状態の孔8、10、6、19内に指を挿入し、その孔の内周面に指を接触させることで、引き抜き用シート4を引っ張ってブリスターパック本体1から引き抜き用シート4を引き抜く作業を非常に容易に行うことができるという好ましい効果が得られたが、このように把持片16に連通状態の孔を穿設することは本発明に必須の条件ではない。把持片16に孔を穿設せず、そのように孔が穿設されていない把持片16を把持して引き抜き用シート4をブリスターパック本体1から引き抜くことも可能である。
【0053】
尚、本発明のブリスターパックの用途も、上述のような医薬品、食品、化粧品等に限定されるものではなく、その用途は問うものではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】一実施形態としてのブリスターパックのパック本体を示す平面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】折曲部分を展開した状態のブリスターパックの平面図。
【図4】図3のB−B線断面図。
【図5】ブリスターパック連設体の平面図。
【図6】引き抜き用シートを引き抜き開始直後の断面図。
【図7】引き抜き用シートの引き抜き操作中の断面図。
【図8】引き抜き用シートの引き抜き後の断面図。
【図9】パック本体から被包装物を取り出す状態を示す断面図。
【図10】他実施形態の断面図。
【図11】他実施形態の断面図。
【図12】図11のブリスターパックを展開した状態の断面図。
【符号の説明】
【0055】
1…ブリスターパック本体 2…ブリスターケース
3…カバーシート 4…引き抜き用シート
11…被包装物 12…収容部
16…把持片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を収容可能な収容部(12)を有するブリスターケース(2)と、該ブリスターケース(2)の収容部(12)の開口部分(12a)を覆うように、折り曲げられた状態で配設された引き抜き用シート(4)と、該引き抜き用シート(4)の外側に設けられたカバーシート(3)とでブリスターパック本体(1)が構成され、前記折り曲げられた引き抜き用シート(4)の対面する2片のうち、1片のみが前記ブリスターパック本体(1)の外側に延設されているとともに、該延設された引き抜き用シート(4)を挟持する挟持用シート(15)が設けられて、該挟持用シート(15)と前記延設された引き抜き用シート(4)とで把持片(16)が形成され、該把持片(16)を把持してブリスターパック本体(1)と反対側へ引っ張ることによって、前記引き抜き用シート(4)が前記ブリスターパック本体(1)の外側に引き抜かれて被包装物がブリスターケース(2)の収容部(12)から取り出し可能となるように構成されていることを特徴とするブリスターパック。
【請求項2】
引き抜き用シート(4)が、合成樹脂製フィルムにアルミニウムをラミネートしたアルミニウムラミネートフィルムで構成されている請求項1記載のブリスターパック。
【請求項3】
把持片(16)に、指を挿入するための孔が穿設されている請求項1又は2記載のブリスターパック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−96536(P2009−96536A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272180(P2007−272180)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000129057)株式会社カナエ (39)
【Fターム(参考)】