説明

ブルッカイト型酸化チタンの製造方法及び光触媒コーティング剤

【課題】温和な条件で、光触媒コーティング剤としての用途に好適なpH中性付近のブルッカイト型酸化チタン水分散液を効率的に製造する。
【解決手段】原料チタン化合物をペルオキソ化して、得られたペルオキソチタン酸溶液を水熱処理するに当たり、ペルオキソ化工程の前後で脱イオン処理を行って、水熱処理工程に供するペルオキソチタン酸溶液のアンモニウムイオン濃度を200ppm以下好ましくは100ppm以下、pHを6以下好ましくは3〜5とし、85〜150℃で30分〜10時間水熱処理することにより、ブルッカイト型結晶を含む酸化チタン水分散液を得る。得られたブルッカイト型結晶を含む酸化チタン水分散液にペルオキソチタン酸を添加してなる光触媒コーティング剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブルッカイト型酸化チタンの製造方法及び光触媒コーティング剤に係り、特に、ペルオキソチタン酸を前駆体として用いて、温和な条件でブルッカイト型酸化チタンを効率的に製造する方法と、製造されたブルッカイト型酸化チタンを含む光触媒コーティング剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、陶磁器、金属、プラスチック等の各種基材表面に酸化チタン等の光触媒のコーティング膜を形成することが行われている。光触媒コーティング膜を形成することにより、基材に防汚、消臭、抗菌等の機能を付与することができる。光触媒としては、酸化チタンの他、酸化亜鉛、酸化タングステン、硫化カドミウム、酸化第二鉄、チタン酸ストロンチウム等の金属酸化物があるが、これらのうち、特に、酸化チタンのコーティング膜は誘電体膜、半導体膜、紫外線カット膜、着色膜、その他各種の保護膜としても広く用いられている。
【0003】
酸化チタンにはアナターゼ、ルチル、ブルッカイト型の三つの結晶相が知られているが、光触媒として利用されているのは、活性の高さと製造の容易さから、殆どがアナターゼ型である。ブルッカイト型酸化チタンは三つの結晶相の中で唯一天然に存在しない結晶型であるが、アナターゼ型と似た光吸収特性(バンドギャップ3.2eV)を持つため、光触媒材料としての利用が期待される。
【0004】
従来、光触媒コーティング剤の材料としてのブルッカイト型酸化チタン(或いはブルッカイト型を含む酸化チタン)の合成方法については、例えば次のような方法が提案されているが、いずれも非常に厳しい条件での処理が必要であったり、分散液が得られても強酸性や強アルカリ性であるため、コーティング剤として使用する場合、基材が限定されたり、環境への配慮が必要であるといった欠点を有していた。
【0005】
(1) 出発原料に四塩化チタンの塩酸水溶液を用い、熱水により加水分解及び結晶化を行い、ブルッカイト型酸化チタン結晶を含む分散液を得る。生成した分散液はpHが1以下の強酸性であるため、電気透析等によりpH2〜3に調整する(特開2003−238158号公報)。この方法では、得られる酸化チタンの結晶型は処理温度と原料の四塩化チタン濃度で制限することができ、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型の作り分けが可能である。例えば、四塩化チタン濃度0.25mol/Lの原料を用いて、104℃(沸点)で処理すると、ブルッカイト型の比率97%の酸化チタンを得ることができる。
【0006】
しかし、この特開2003−238158号公報記載の方法では、得られる酸化チタン分散液が強酸性の分散液であるため、光触媒コーティング剤としての用途において、基材が金属の場合、腐食の問題がある。また、中性の分散液にするには、乾燥して一度固体として取り出し、再度分散させる必要があるため、分散径が大きくなったり、コストがかかるといった問題がある。
【0007】
(2) ペルオキソチタン酸を中間原料とし、ペルオキソチタン酸をイオン交換樹脂等を用いて脱塩し、イオン濃度を1000ppm以下(好ましくは200ppm以下)に調整する。イオン濃度を調整したペルオキソチタン酸に有機塩基又はアンモニアを加えpH8〜14(好ましくは13〜14)に調整後、120〜350℃にて水熱処理を行い(好ましくは200〜300℃で10時間水熱処理)、ブルッカイト型酸化チタン結晶を含む分散液を得る(特開2000−335919号公報)。例えば、有機塩基として水酸化テトラメチルアンモニウムを用い、pH13.7、300℃で10時間水熱処理してブルッカイト型酸化チタン60%と、アナターゼ型酸化チタン40%とを含む分散液を得る。
【0008】
特開2000−335919号公報には、最終的に得られる分散液のpHについての記載はなされていないが、高pHであることが予想され光触媒コーティング剤としての用途において好ましくない。300℃の高温処理では、有機塩基が分解され中性である可能性もあるが、低い温度では強塩基性の可能性がある。また、300℃の高温処理では、水の蒸気圧は約86気圧に達するため、工業的実施は困難である。
【特許文献1】特開2003−238158号公報
【特許文献2】特開2000−335919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、温和な条件で、光触媒コーティング剤としての用途に好適なpH中性付近のブルッカイト型結晶を含む酸化チタン水分散液を効率的に製造する方法と、このようなブルッカイト型結晶を含む酸化チタン水分散液を用いた光触媒コーティング剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明(請求項1)のブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法は、原料チタン化合物からペルオキソチタン酸を製造するペルオキソ化工程と、該ペルオキソ化工程で得られたペルオキソチタン酸溶液を水熱処理する水熱処理工程と、該ペルオキソ化工程前及び/又はペルオキソ化工程後に、脱イオン処理を行って、前記水熱処理工程に供するペルオキソチタン酸溶液のアンモニウムイオン濃度を200ppm以下、pHを6以下に調整する調整工程とを備え、前記水熱処理工程において、ペルオキソチタン酸溶液を85〜150℃で30分〜10時間水熱処理することにより、ブルッカイト型結晶を含む酸化チタンを含む水分散液を得ることを特徴とする。
【0011】
請求項2のブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法は、請求項1において、該ペルオキソ化工程が、可溶性チタン化合物の水溶液にアルカリ剤を添加して中和、加水分解することにより水酸化チタンを析出させ、得られた水酸化チタンに過酸化水素を添加してペルオキソチタン酸を得る工程であることを特徴とする。
【0012】
請求項3のブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法は、請求項1又は2において、前記調整工程において、イオン交換樹脂により脱イオン処理することを特徴とする。
【0013】
請求項4のブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記調整工程における脱イオン処理で、前記水熱処理工程に供するペルオキソチタン酸溶液のアンモニウムイオン濃度を100ppm以下、pHを3〜5に調整することを特徴とする。
【0014】
請求項5のブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法は、請求項1ないし4のいずれか1項において、ブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法により製造された酸化チタンが水分散液かつ中性(pH6〜8)であることを特徴とする。
【0015】
本発明(請求項6)の光触媒コーティング剤は、請求項1ないし5のいずれか1項のブルッカイト型酸化チタンの製造方法により製造されたブルッカイト型酸化チタンを含むことを特徴とする。
【0016】
請求項7の光触媒コーティング剤は、請求項6において、請求項1ないし5のいずれか1項のブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法により得られた酸化チタン分散液にペルオキソチタン酸を添加してなる水系かつ中性の光触媒コーティング剤であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法によれば、85〜150℃で30分〜10時間という温和な水熱処理条件で、光触媒コーティング剤としての用途に好適なpH中性付近のブルッカイト型結晶を含む酸化チタン水分散液を効率的に製造することができる。
【0018】
また、本発明の光触媒コーティング剤によれば、このようにして製造されたブルッカイト型酸化チタンを用いて、光触媒活性に優れ、基材劣化の問題もない光触媒コーティング剤が提供される。
【0019】
本発明のブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法において、ペルオキソ化は、可溶性チタン化合物の水溶液にアルカリ剤を添加して中和、加水分解することにより得た水酸化チタンに過酸化水素を添加して行うことが好ましい。
【0020】
また、脱イオン処理は、デカンテーション又は/かつイオン交換樹脂を用いて行うのが簡便であり、この脱イオン処理により、前記水熱処理工程に供するペルオキソチタン酸溶液のアンモニウムイオン濃度を100ppm以下、pHを3〜5に調整することが好ましい。
【0021】
また、本発明により得られたブルッカイト型結晶を含む酸化チタン水分散液はpH6〜8の中性を示し、そのまま用いるか、中性のペルオキソチタン酸溶液を添加することで、中性かつ水系の光触媒コーティング液として利用できる。更に、必要に応じて、界面活性剤等の添加剤を使用してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明のブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法及び光触媒コーティング剤の実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
本発明のブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法は、原料チタン化合物からペルオキソチタン酸を経て、ペルオキソチタン酸溶液を水熱処理するものであるが、この水熱処理に先立ち、脱イオン処理を行って、水熱処理に供するペルオキソチタン酸溶液のアンモニウムイオン濃度を200ppm以下好ましくは100ppm以下、pHを6以下好ましくは3〜5とすることにより、85〜150℃で30分〜10時間という温和な条件でのブルッカイト型酸化チタンの合成を可能とするものである。
【0024】
本発明において、原料チタン化合物からペルオキソチタン酸を製造する方法としては特に制限はないが、例えば、可溶性チタン化合物の水溶液にアルカリ剤を添加して中和、加水分解することにより水酸化チタンを析出させ、得られた水酸化チタンに過酸化水素を添加してペルオキソチタン酸を得る方法が挙げられる。
【0025】
この場合、使用される可溶性チタン化合物としては、四塩化チタン、硫酸チタン、硝酸チタン、アルコキシチタンなどを挙げることができる。これらの可溶性チタン化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。また、可溶性チタン化合物の水溶液の濃度は、過度に低いと生産性が悪く、過度に高いと反応の制御が困難になることから、可溶性チタン化合物の濃度はチタン分として0.01〜5重量%程度とすることが好ましい。
【0026】
この可溶性チタン化合物の水溶液に添加するアルカリ剤としては、通常アンモニアが、1〜30重量%濃度のアンモニア水として用いられる。アンモニアは、可溶性チタン化合物の中和・加水分解後のpHが6.5〜8になるように添加することが好ましい。アンモニアの添加で水酸化チタンの沈殿が生成されるため、これを常法に従って、加水及びデカンテーション等により洗浄した後、必要に応じて脱イオン処理を行い、その後、過酸化水素を添加してペルオキソ化する。
【0027】
ペルオキソ化に当たり、添加する過酸化水素の量は、少なすぎるとペルオキソ化が完了せず、多すぎるとペルオキソ化に関与しない過酸化水素が多くなりコストがかかるため、過酸化水素/水酸化チタン(モル比)は1〜15程度となるように過酸化水素を添加することが好ましい。ペルオキソ化反応は、過酸化水素を添加して0℃〜室温で1〜50時間程度撹拌することにより終了させることができる。
【0028】
本発明においては、このようにして得られたペルオキソチタン酸水溶液を水熱処理に供するに先立ち、脱イオン処理を行う。脱イオン処理は、ペルオキソ化工程の前後、即ち、過酸化水素の添加の前後のいずれで行っても良く、両方で行っても良い。脱イオン処理の手法としては特に制限はなく、電気透析による方法やイオン交換樹脂を用いる方法、或いはこれらの組み合わせによる方法が挙げられるが、イオン交換樹脂を用いる方法であれば、簡便に実施することができる。
【0029】
イオン交換樹脂による脱イオン処理は、被脱イオン処理水をイオン交換樹脂を充填したカラムに通水して行っても良く、また、被脱イオン処理水にイオン交換樹脂を懸濁させて脱イオン処理した後、これを濾別することにより行っても良い。なお、ペルオキソ化に先立ち、水酸化チタンの沈殿を脱イオン処理する場合には、イオン交換樹脂を懸濁させ脱イオン処理した後、適当なメッシュによりイオン交換樹脂を濾別すれば良い。
【0030】
この脱イオン処理において、被脱イオン処理水の固形分濃度によっては、ペルオキソ化後にアンモニウムイオン濃度200ppm以下かつpH6以下に調整した処理液がゲル化する場合もあるが、ゲル化した場合であっても、これをそのまま次工程に供することができる。
【0031】
このように脱イオン処理の手法や時期には特に制限はないが、本発明では脱イオン処理を行うことにより、水熱処理に供するペルオキソチタン酸水溶液のアンモニウムイオン濃度を200ppm以下好ましくは100ppm以下、pHを6以下好ましくは3〜5とする。水熱処理に供するペルオキソチタン酸水溶液のアンモニウムイオン濃度が200ppmを超え、またpHが6を超えると後段の水熱処理でブルッカイト型酸化チタンを得ることができない。ペルオキソチタン酸水溶液のアンモニウムイオン濃度及びpHは低い程好ましいが、過度に低いと水熱処理前後で沈殿しやすくなるため、アンモニウムイオン濃度は0.1〜100ppm、pHは3〜5程度に調整することが好ましい。
【0032】
このようにしてアンモニウムイオン濃度及びpHが調整されたペルオキソチタン酸水溶液は、次いで水熱処理に供されるが、このペルオキソチタン酸水溶液のペルオキソチタン酸濃度が過度に高いと粒径が大きくなったり沈殿が生じ、逆に過度に低いと生産性が悪くなるため、脱イオン処理の前後で必要に応じて水を添加して希釈するか限外ろ過することにより濃縮することにより、水熱処理に供するペルオキソチタン酸水溶液のペルオキソチタン酸濃度を0.1〜3重量%、より好ましくは0.3〜1重量%とすることが好ましい。
【0033】
このようにして、アンモニウムイオン濃度、pH及びペルオキソチタン酸濃度を調整したペルオキソチタン酸水溶液は、85〜150℃で30分〜10時間、好ましくは90〜120℃で1〜4時間程度水熱処理する。これにより、水熱処理条件によっても異なるが、通常、ブルッカイト型酸化チタン含有量が30〜50重量%程度のブルッカイト型/アナターゼ型酸化チタン微粒子の分散液が得られる。得られた分散液は通常pH6〜8の中性域であり、その酸化チタンの分散微粒子の平均粒径も20〜100nmと非常に微細であり、これをそのまま、或いは、必要に応じてペルオキソチタン酸を添加混合することにより光触媒コーティング剤を調整することができる。
【0034】
このようにして得られる本発明のブルッカイト型結晶を含む酸化チタン光触媒コーティング剤は、中性かつ水系であり、密着性にも優れていることから、タイルやガラスの様なセラミックスのほか、金属、樹脂等、様々な基材に対応でき、光触媒コーティング剤としての用途に好適である。
【実施例】
【0035】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1
四塩化チタンの50重量%水溶液(住友シチックス(株)製)を蒸留水で100倍に希釈した後、この水溶液に、3重量%アンモニア水を徐々に添加して中和・加水分解することにより水酸化チタンの沈殿を得た。このときの上澄み液のpHは7.05であった。得られた水酸化チタンの沈殿物を加水及びデカンテーションにより繰り返し洗浄した後、イオン交換樹脂(三菱化学(株)製「ダイヤイオンSMNUP」)を加え、撹拌した後、メッシュによりイオン交換樹脂のみ濾別することにより脱イオン処理を行い、アンモニウムイオン濃度を400ppmに調整した。この脱イオン処理後の液に、過酸化水素/水酸化チタン(モル比)が6相当の35重量%過酸化水素水を添加し、室温で10時間撹拌して十分に反応を行った後、イオン交換水を添加して濃度調整を行うことにより、黄色透明液体のペルオキソチタン酸水溶液(A)を得た。
【0036】
得られたペルオキソチタン酸水溶液(固形分濃度0.5重量%、pH8.1、アンモニウムイオン濃度300ppm)100gに対し、上記と同様のイオン交換樹脂40gを加え、3時間撹拌した後、イオン交換樹脂を濾別した。得られた濾液のpHは3.4、アンモニウムイオン濃度は15ppmであった。このようにして脱イオン処理されたペルオキソチタン酸水溶液(ペルオキソチタン酸濃度0.48重量%)を95℃にて200分かけて水熱処理することにより、pH6.5のほぼ白色半透明のブルッカイト型酸化チタン含有アナターゼ酸化チタンゾル(固形分濃度1.0重量%)を得た。このゾルの粒子径を動的光散乱測定装置(堀場製作所製)により測定した結果、メジアン粒子径48nmであった。また、X線回折(リートベルト法)にてゾル中の各結晶型の割合を調べたところ、ブルッカイト型が40%、アナターゼ型が60%でルチル型が微量含まれていた。
【0037】
比較例1
実施例1と同様にしてペルオキソチタン酸水溶液(A)を調製した。ただし、固形分濃度1.0重量%とした(pH8.1、アンモニウムイオン濃度300ppm)。
【0038】
このペルオキソチタン酸水溶液を95℃にて10時間水熱処理することにより、ほぼ白色半透明のアナターゼ型酸化チタンゾル(固形分濃度1.0重量%)を得た。このゾルの粒子径を動的光散乱測定装置(堀場製作所製)により測定した結果、メジアン粒子径は35nmであった。
【0039】
上記実施例1及び比較例1の結果を表1にまとめて示す。
【0040】
【表1】

【0041】
以上の結果から、本発明によれば、温和な条件で、ブルッカイト型酸化チタンを含むpH中性かつ水系の光触媒コーティング剤を製造することができることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料チタン化合物からペルオキソチタン酸を製造するペルオキソ化工程と、
該ペルオキソ化工程で得られたペルオキソチタン酸溶液を水熱処理する水熱処理工程と、
該ペルオキソ化工程前及び/又はペルオキソ化工程後に、脱イオン処理を行って、前記水熱処理工程に供するペルオキソチタン酸溶液のアンモニウムイオン濃度を200ppm以下、pHを6以下に調整する調整工程と
を備え、前記水熱処理工程において、ペルオキソチタン酸溶液を85〜150℃で30分〜10時間水熱処理することにより、ブルッカイト型酸化チタンを含む水分散液を得ることを特徴とするブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、該ペルオキソ化工程が、可溶性チタン化合物の水溶液にアルカリ剤を添加して中和、加水分解することにより水酸化チタンを析出させ、得られた水酸化チタンに過酸化水素を添加してペルオキソチタン酸を得る工程であることを特徴とするブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記調整工程において、イオン交換樹脂により脱イオン処理することを特徴とするブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記調整工程における脱イオン処理で、前記水熱処理工程に供するペルオキソチタン酸溶液のアンモニウムイオン濃度を100ppm以下、pHを3〜5に調整することを特徴とするブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、ブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法により製造された酸化チタンが水分散液かつ中性(pH6〜8)であることを特徴とするブルッカイト型結晶を含む酸化チタン分散液の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項のブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法により製造された酸化チタンを含むことを特徴とする光触媒コーティング剤。
【請求項7】
請求項6において、請求項1ないし5のいずれか1項のブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの製造方法により得られた酸化チタン分散液にペルオキソチタン酸を添加してなる水系かつ中性の光触媒コーティング剤であることを特徴とする光触媒コーティング剤。

【公開番号】特開2006−124243(P2006−124243A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−316344(P2004−316344)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】