説明

ブレーキパッドおよびその製造方法

【課題】ブレーキ鳴きを抑制できるブレーキパッドおよびその製造方法の提供。
【解決手段】一面側の長手方向中央部に設けられる平坦面部20と、一面側の長手方向端部に設けられる傾斜面部21とを有し傾斜面部21が熱成形時に形成される摩擦材13と、摩擦材13の他面側に貼付される裏金15とからなり、摩擦材13の平坦面部20と傾斜面部21との角部25の硬度を、平坦面部20の硬度以下としてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクブレーキ用のブレーキパッドおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキパッドの製造方法として、摩擦材の熱成形時にその長手方向端部となる位置に傾斜面部を形成するとともに、長手方向中央部の平坦面部よりも傾斜面部の密度を小さくする製造方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−83978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の製造方法では、摩擦材の平坦面部と傾斜面部との角部の硬度が、平坦面部の硬度よりも大きくなってしまう。このため、ディスクが角部に接触するとブレーキ鳴きを生じる可能性があった。
【0005】
したがって、本発明は、ブレーキ鳴きを抑制できるブレーキパッドおよびその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、摩擦材の平坦面部と傾斜面部との角部の硬度を、平坦面部の硬度以下とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブレーキ鳴きを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るブレーキパッドを示すもので(a)は正面図、(b)は(a)のX−X断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るブレーキパッドの予備成形品および予備成形用金型を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るブレーキパッドの成形用金型に予備成形品を投入した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るブレーキパッドおよび成形用金型を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るブレーキパッドを示す熱成形後の断面図である。
【図6】ブレーキパッドおよび下型を示す断面図であって、(a)は比較例1を、(b)は比較例2を、(c)は比較例3を、(d)は比較例4を、それぞれ示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態を以下に説明する。
【0010】
図1に示す本実施形態に係るブレーキパッド11は、車両用のディスクブレーキに設けられて、車輪とともに回転する図示略のディスクに接触して制動力を発生させるもので、一面側の接触面12でディスクに接触する摩擦材13と、摩擦材13の他面側の貼付面14に貼付される板状の裏金15とからなっている。
【0011】
裏金15は、金属製であり、ディスク回転方向(図1の左右方向)に長い平板状をなしており、その板厚方向一側が摩擦材13を保持する保持面16となっている。また、裏金15には、その長手方向中間部に、板厚方向に貫通する貫通孔17が長手方向に離間して二カ所形成されている。
【0012】
摩擦材13は、裏金15と同様、ディスク回転方向に長い形状をなしており、接触面12の長手方向中央部にディスク軸線方向(図1(a)の紙面直交方向)に直交して広がる平坦面部(摩擦材平坦面部)20が貼付面14と平行に形成されている。また、摩擦材13は、接触面12の長手方向両端部に端側ほど貼付面14からの高さが低くなるように平坦面部20に対して鈍角をなして傾斜する傾斜面部(摩擦材傾斜面部)21が鏡面対象に形成されている。また、摩擦材13には、平坦面部20の長手方向中央部に平坦面部20側から貼付面14に向けて凹むスリット22がディスク半径方向(図1(a)の上下方向)に沿うように形成されている。また、摩擦材13の貼付面14には、裏金15の貫通孔17に入り込む突起部23が長手方向に離間して二カ所形成されている。また、摩擦材13の枠状の外面24は、すべて貼付面14および平坦面部20に対し直交する方向に沿っている。
【0013】
そして、本実施形態に係るブレーキパッド11は、後に詳述するように、傾斜面部21が加熱加圧成形(熱成形)時に形成されており、平坦面部20は加熱加圧成形後に研磨加工されて形成されている。加えて、摩擦材13の平坦面部20と傾斜面部21との鈍角をなす角部25の硬度は、平坦面部20の硬度以下となっている。
【0014】
次に、上記したブレーキパッド11を製造する製造方法について説明する。
【0015】
まず、裏金15を以下のように形成する。
【0016】
平板形状の圧延鋼板からなる素材をプレス成形で貫通孔17を含む上記外形形状に打ち抜き、脱脂洗浄後、乾燥させる。次に、保持面16にスチールボールを打ち付けるショットブラスト処理を行い、保持面16の全面を所定の表面粗さに形成する。なお、貫通孔17は必ずしも設ける必要はない。
【0017】
次に、エアブロー等により裏金15を洗浄し、裏金15の保持面16の全面にエポキシ−フェノール樹脂の接着剤を塗布し、乾燥させる。
【0018】
他方で、摩擦材13の図2に示す予備成形品13aを以下のように形成する。
【0019】
ここで、予備成形品13aは、摩擦材13と同様、ディスク回転方向(図2の左右方向)に長い形状をなしており、厚さ方向(図2の上下方向)の一面側に接触面12aが形成されている。この接触面12aには、その長手方向中央部に、厚さ方向に直交して広がる平坦な中央面部(予備成形中央面部)20aが形成されている。また、接触面12aの長手方向両端部には、端側ほど、厚さ方向の他面側にあって中央面部20aと平行をなす貼付面14aからの高さが低くなるように中央面部20aに対して鈍角をなして傾斜する傾斜面部(予備成形傾斜面部)21aが鏡面対象に形成されている。
【0020】
また、予備成形品13aには、貼付面14aに、裏金15の貫通孔17に入り込む突起部23aが二カ所形成されている。なお、この突起部23aは、裏金15に貫通孔17を設けない場合には、形成する必要はない。
【0021】
また、予備成形品13aには、中央面部20aおよび貼付面14aに対し直交する方向に沿って外面24aが形成されている。外面24aは、摩擦材13の外面24および後述する成形用金型30の内面34よりも一回り小さい形状、例えば1mm程度小さい形状をなしている。このようにすることにより、予備成形品13aを型崩れされることなく、成形用金型30に投入することが可能となっている。また、予備成形品13aの厚みは、摩擦材13の厚みに対して約2倍となるように成形されるようになっている。
【0022】
予備成形品13aを成形するに当たり、配合材料各種を秤量し、レーディゲミキサを用いて混合して、摩擦材料を得る。この摩擦材料をパッド一枚あたりに必要な量を計り取り、予備成形用金型30aに投入し、室温にて加圧成形して固めることで、上記した予備成形品13aを成形し、予備成形用金型30aから取り出した予備成形品13aを乾燥させる(予備成形工程)。
【0023】
ここで、予備成形用金型30aは、上下に開口する枠型31aと、枠型31aの下部開口を閉塞する下型32aと、枠型31aの上部開口を閉塞する上型33aとで構成されている。
【0024】
枠型31aは、その内面34aにおいて予備成形品13aの外面24aを形成するものであり、内面34aは、摩擦材13の外面24および後述する成形用金型30の内面34よりも一回り小さい形状をなしている。
【0025】
下型32aは、その上面35aにおいて予備成形品13aの接触面12aを形成するものであり、上面35aには、その長手方向中央部に、中央面部20aを形成するための平坦な中央面部形成面部36aが内面34aに対して直交するように形成されている。また、上面35aの長手方向両端部には、傾斜面部21aを形成するための傾斜面部形成面部37aが中央面部形成面部36aに対して鈍角をなして傾斜するように鏡面対象に形成されている。傾斜面部形成面部37aと中央面部形成面部36aとの角部38aは、予備成形品13aの角部25aを形成する。
【0026】
上型33aは、その下面40aにおいて予備成形品13aの貼付面14aを形成するものであり、下面40aには、突起部23aを形成するための凹部41aが長手方向に離間して二カ所形成されている。なお、この凹部41aは、裏金15に貫通孔17を設けない場合には、形成する必要はない。
【0027】
上記の予備成形工程で成形された予備成形品13aを、図3に示す成形用金型30に投入する。
【0028】
ここで、成形用金型30は、上下に開口する枠型31と、枠型31の下部開口を閉塞する下型32と、枠型31の上部開口を覆うように配置された裏金15を押さえる上型33とで構成されている。
【0029】
枠型31は、その内面34において摩擦材13の外面24を形成するものであり、内面34は、予備成形品13aの外面24aよりも一回り大きい形状をなしている。
【0030】
下型32は、その上面35において摩擦材13の接触面12を形成するものであり、上面35には、その長手方向中央部に、中央面部20を形成するための平坦な中央面部形成面部36が内面34に対して直交するように形成されている。また、上面35の長手方向両端部には、傾斜面部21を形成するための傾斜面部形成面部37が中央面部形成面部36に対して鈍角をなして傾斜するように鏡面対象に形成されている。傾斜面部形成面部37と中央面部形成面部36との角部38は、摩擦材13の角部25を形成する。
【0031】
上型33の下面40には、裏金15を位置決めしつつ押さえるための位置決め凹部41が形成されている。
【0032】
ここで、予備成形品13aの中央面部20aと傾斜面部21aとの角部25aの位置は、成形用金型30の中央面部形成面部36と傾斜面部形成面部37との角部38の位置よりも、長手方向中央部側に設けられている。言い換えれば、両側の角部25a間の距離が、両側の角部38間の距離よりも短くなっており、中央面部20aの長さが中央面部形成面部36の長さよりも短くなっている。角部25aと角部38との位置は、例えば、成形用金型30の長手方向寸法が120〜130mmの場合には、角部38よりも5mm程度内側となるように角部25aの位置が形成されており、角部25a間の距離に対して角部38間の距離を1.1倍から1.2倍ぐらいの比率で設定するようにしている。また、予備成形品13aの中央面部20aと傾斜面部21aとの角部25aの角度は、成形用金型30の中央面部形成面部36と傾斜面部形成面部37との角部38の角度(小側の角度)よりも小さくされている。
【0033】
そして、150℃に加熱した状態にある成形用金型30において、図3に示すように下型32を枠型31に対して所定距離下げた状態で、成形用金型30内に予備成形品13aを投入し、予備成形品13aの二カ所の突起部23aを二カ所の貫通孔17に嵌合させるようにして裏金15を保持面16にて予備成形品13aの貼付面14aに重ね、上型33の位置決め凹部41で裏金15を位置決めしつつ押さえる。これにより、予備成形品13aの中央面部20aが成形用金型30の中央面部形成面部36の中央に位置決めされる。
【0034】
この状態で、下型32を所定距離上昇させることで、予備成形品13aを成形用金型30内で、40MPaで4分間加熱および加圧することになり、これにより、予備成形品13aが、図4に示すように加熱圧縮されて摩擦材13となる(摩擦材成形工程)。
【0035】
そして、上記の加熱圧縮で一体に結合された摩擦材13および裏金15を成形用金型30から取り出して、恒温槽にて220℃に昇温、放置冷却の合計8時間の焼成処理を行う。すると、予備成形品13aの中央面部20aの位置に図5に示すように中央側ほど膨出する形状の中央面部(摩擦材中央面部)20’を有し、予備成形品13aの傾斜面部21aの位置に、傾斜面部(摩擦材傾斜面部)21を有する形状の摩擦材13が形成される。
【0036】
その後、裏金15の塗装を行い、摩擦材13の膨出形状の中央面部20’を両側の角部25の位置まで研磨して平坦な中央面部20を形成するとともに、スリット18を切削加工により形成することで、図1に示すブレーキパッド11が得られる。なお、傾斜面部21は、切削加工されることはなく、上記した加熱加圧成形時に形成される。
【0037】
以上により、図2に示す予備成形品13aの中央面部20aと傾斜面部21aとの角部25aの位置は、図1に示す摩擦材13の中央面部20と傾斜面部21との角部25の位置よりも、長手方向中央部側に設けられている。言い換えれば、両側の角部25a間の距離が、両側の角部25間の距離よりも短くなっており、中央面部20aの長さが中央面部20の長さよりも短くなっている。また、予備成形品13aの中央面部20aと傾斜面部21aとの角部25aの角度は、摩擦材13の中央面部20と傾斜面部21との角部25の角度よりも小さくなっている。
【0038】
次に、以上の製造方法で製造されたブレーキパッド11の実施例の硬度分布を計測するため、図1(a)に示す一方の傾斜面部21の位置A、平坦面部20のこの傾斜面部21側の位置B、平坦面部20の中央部側の位置C、平坦面部20の他方の傾斜面部21側の位置D、他方の傾斜面部21の位置Eの各位置にてロックウェル硬度計にてHRRスケールで硬度を測定した。また、実施例の鳴き発生率を評価した。なお、ブレーキ鳴き試験は、実車を用いて、初速50〜65(km/h)、パッド温度50〜250℃、減速度0.1〜3.5(m/s2)の範囲で約3000回の制動を行い、鳴きの発生した頻度を求めた。
【0039】
また、比較例1〜4を作製し、実施例と同様の試験を行った。
【0040】
ここで、比較例1は、図6(a)に示すように、平坦な予備成形品13bを、平坦な上面35bを有する下型32bを備えた成型用金型で加熱加圧成形し、その後の熱処理後に砥石を用いて傾斜面部を研削加工したものである。
【0041】
また、比較例2は、図6(b)に示すように平坦な予備成形品13cを、中央面部形成面部36cおよび傾斜面部形成面部37cを有する下型32cを備えた成型用金型で加熱加圧成形して中央面部および傾斜面部を形成したものである。
【0042】
また、比較例3は、図6(c)に示すように、中央面部20dおよび傾斜面部21dを有する予備成形品13dを、中央面部形成面部36dおよび傾斜面部形成面部37dを有する下型32dを備えた成型用金型で加熱加圧成形して中央面部および傾斜面部を形成したものである。なお、中央面部20dに対する傾斜面部21dの角度は、中央面部形成面部36dに対する傾斜面部形成面部37dの角度(小側の角度)と一致しており、結果、完成品の同じ部分の角度と一致する。また、中央面部20dおよび傾斜面部21dの角部25dの長手方向位置は、中央面部形成面部36dおよび傾斜面部形成面部37dの角部38dの長手方向位置と一致し、結果、完成品の同じ部分の長手方向位置と一致している。
【0043】
また、比較例4は、図6(d)に示すように、中央面部20eおよび傾斜面部21eを有する予備成形品13eを、中央面部形成面部36eおよび傾斜面部形成面部37eを有する下型32eを備えた成型用金型で加熱加圧成形して中央面部および傾斜面部を形成したものである。なお、中央面部20eに対する傾斜面部21eの角度は、中央面部形成面部36eに対する傾斜面部形成面部37eの角度(小側の角度)よりも小さくなっており、結果、完成品の同じ部分の角度よりも小さくなっている。ここで、傾斜面部21eの角度は、予備成形品13eの熱成形前後の厚さから圧縮率が約2倍であることを求め、この圧縮率に合わせて熱成形前が後に対して角度が2倍になるように設定している。また、中央面部20eおよび傾斜面部21eの角部25eの長手方向位置は、中央面部形成面部36eおよび傾斜面部形成面部37eの角部38eの長手方向位置と一致し、結果、完成品の同じ部分の長手方向位置と一致している。
【0044】
その結果は、以下の表の通りである。なお、表において硬度の範囲○〜△は、○以上△未満を示している。
【0045】
【表1】

【0046】
この表から明らかなように、実施例では、位置A〜Eで硬度が均一であり、鳴きの発生率が0%であって鳴きの発生もなく、研削による廃棄物量も1.5gと少ないことがわかる。なお、位置Bの硬度は、これに近接する角部25の硬度に相当し、位置Dの硬度は、これに近接する角部25の硬度に相当することになるため、実施例では、摩擦材13の角部25の硬度が平坦面部20の位置Cの硬度と同等になっている。
【0047】
比較例1は、摩擦材の硬度の高い長手方向の端部を研削しているため、位置A〜Eで硬度が比較的均一であり、鳴きの発生率が0%であって鳴きの発生もないが、研削による廃棄物量が6.1gと多くなっている。
【0048】
比較例2は、加熱加圧成形時に長手方向の端部の材料が突っ張り、端部が硬くなるのに対し、中央部が極度に軟らかく成形されるため、鳴きの発生率が8.7%と高くなっている。なお、比較例2でも、位置Bの硬度は、これに近接する角部25の硬度に相当し、位置Dの硬度は、これに近接する角部25の硬度に相当することになるため、摩擦材の角部の硬度が平坦面部である位置Cの硬度より大きくなっている。
【0049】
比較例3は、加熱加圧成形時に長手方向の端部の圧縮比が高くなり、端部が硬く成形されるため、鳴きの発生率が5.7%と高くなっている。比較例3でも、位置Bの硬度は、これに近接する角部25の硬度に相当し、位置Dの硬度は、これに近接する角部25の硬度に相当することになるため、摩擦材の角部の硬度が平坦面部である位置Cの硬度より大きくなってしまっている。このように、摩擦材の角部の硬度が平坦面部である位置Cの硬度より大きくなってしまっていると、制動初期にディスクが摩擦材の角部に接触すると、角部の硬度が大きいため、ブレーキ鳴きを生じる可能性がある。
【0050】
比較例4は、加熱加圧成形時に長手方向の端部の圧縮比と中央部の圧縮比とが同じであるが、端部が硬く成形されるため、鳴きの発生率が3.3%と高くなっている。なお、比較例4でも、位置Bの硬度は、これに近接する角部25の硬度に相当し、位置Dの硬度は、これに近接する角部25の硬度に相当することになるため、摩擦材の角部の硬度が平坦面部である位置Cの硬度より大きくなっている。
【0051】
以上から、傾斜面部21を加熱加圧成形で形成し、摩擦材13の角部25の硬度を平坦面部20の硬度以下とすることで、発生する廃棄物量、言い換えれば摩擦材料の使用量を抑制することができ、研削加工の工程数を減らすことができて、その上で、ブレーキ鳴きを抑制できることがわかる。
【0052】
また、上記したように、摩擦材料を予備成形用金型30a内で加圧して固めることで、一面側の長手方向中央部に中央面部20aを有し当該一面側の長手方向端部に傾斜面部21aを有する予備成形品13aを成形する工程と、予備成形品13aを成形用金型30内で加熱および加圧することで、中央面部20aの位置に中央面部20’を有し傾斜面部21aの位置に傾斜面部21を有する摩擦材13を成形する工程とを含み、予備成形品13aの中央面部20aと傾斜面部21aとの角部25aの位置が、摩擦材13の中央面部20’と傾斜面部21との角部25の位置よりも長手方向中央部側に設けるように成形することで、角部25の材料の圧縮比を平坦面部20の圧縮比以下にでき、傾斜面部21を加熱加圧成形で形成し、摩擦材13の角部25の硬度が平坦面部20の硬度以下のブレーキパッド11を簡易且つ良好に製造することができる。
【0053】
なお、予備成形品13aの大きさを適宜調整することで、予備成形品13aを成形用金型30内で加熱および加圧することで、中央面部20aの位置に平坦面部20を有し傾斜面部21aの位置に傾斜面部21を有する摩擦材13を成形すること、つまり平坦面部20をも熱成形時に形成することも可能である。
【符号の説明】
【0054】
11 ブレーキパッド
13 摩擦材
13a 予備成形品
15 裏金
20 平坦面部
20a 中央面部(予備成形中央面部)
20’ 中央面部(摩擦材中央面部)
21 傾斜面部(摩擦材傾斜面部)
21a 傾斜面部(予備成形傾斜面部)
25 角部
25a 角部
30 成形用金型
30a 予備成形用金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面側の長手方向中央部に設けられる平坦面部と、前記一面側の長手方向端部に設けられる傾斜面部とを有し該傾斜面部が熱成形時に形成される摩擦材と、
該摩擦材の他面側に貼付される裏金とからなるブレーキパッドにおいて、
前記摩擦材の前記平坦面部と前記傾斜面部との角部の硬度を、前記平坦面部の硬度以下としてなることを特徴とするブレーキパッド。
【請求項2】
摩擦材料を予備成形用金型内で加圧して固めることで、一面側の長手方向中央部に予備成形中央面部を有し当該一面側の長手方向端部に予備成形傾斜面部を有する予備成形品を成形する工程と、
前記予備成形品を成形用金型内で加熱および加圧することで、前記予備成形中央面部の位置に摩擦材中央面部を有し前記予備成形傾斜面部の位置に摩擦材傾斜面部を有する摩擦材を成形する工程とを含み、
前記予備成形品の前記予備成形中央面部と前記予備成形傾斜面部との角部の位置が、前記摩擦材の前記摩擦材中央面部と前記摩擦材傾斜面部との角部の位置よりも長手方向中央部側に設けられていることを特徴とするブレーキパッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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