説明

ブレーキ摩擦材

【課題】剪断強度及び接着強度が高く、摩擦特性の安定性、異音の低減性、品質安定性に優れ、しかも、亀裂や割れが生じる虞が無く、製造が容易なブレーキ摩擦材を提供する。
【解決手段】本発明のブレーキ摩擦材は、平均繊維径が5〜10μmのウォラストナイトを含有する強化繊維、結合材、潤滑材、摩擦調整材、及び充填材を含有してなるブレーキ摩擦材であり、このブレーキ摩擦材を100質量%としたとき、ウォラストナイト10〜15質量%、変性無しのフェノール樹脂6.0〜6.6質量%及び未加硫のニトリルゴム粉末1〜2質量%を結合材とし、銅繊維および/またはスチール繊維からなる金属繊維12〜20質量%、平均粒径が10〜20μmのチタン酸カリウム板状繊維5〜10質量%、ロックウール5〜10質量%含有してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車等のブレーキ摩擦材に関し、より詳しくは、剪断強度及び接着強度が高く、摩擦特性の安定性、異音の低減性、品質安定性に優れ、しかも、製造が容易なブレーキ摩擦材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等のブレーキ摩擦材には、補強材として、スチール繊維などの金属繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、あるいはチタン酸ナトリウム多結晶繊維等の天然または人造の繊維等が使用されている。
このブレーキ摩擦材は、上記の補強材の他、フェノール樹脂などの結合材、黒鉛、二硫化モリブデンなどの潤滑材、カシューダスト、セラミック粉、金属粉などの摩擦調整材、硫酸バリウムなどの充填材、及び水酸化カルシウムなどのpH調整材などを数種混合し、その後、常温にて圧縮成形(予備成形)し、次いで、予め接着剤を塗布した裏金とともに加熱圧縮成形し、さらに熱処理した後、溝加工や表面研磨を施すことにより製造されている。
【0003】
このようなブレーキ摩擦材としては、既に、本発明者等により、変性無しのフェノール樹脂及び未加硫のニトリルゴム粉末を結合材とし、金属繊維、チタン酸カリウム板状繊維、セピオライト、ロックウールを含有したブレーキ摩擦材が提案されている(特許文献1)。
このブレーキ摩擦材は、摩擦材中に均一分散が容易な平均粒径が10〜20μmのチタン酸カリウム板状繊維を含んでいることから、剪断強度及び接着強度が高く、摩擦特性の安定性、異音の低減性に優れたものとなっている。
また、硬化性の良い変性無しのフェノール樹脂を含んでいることから、加熱成形の時間が短縮され、製造が容易なものとなっている。
【特許文献1】特開2005−282738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の自動車の性能の向上に伴い、ブレーキ摩擦材においても特性の向上が求められており、接着強度、摩擦特性、異音性能等に対して、さらなる特性の向上が求められている。特に、摩擦特性については、摩擦特性の変動が小さく、安定性に優れているものが求められている。
しかしながら、本発明者等が提案したチタン酸カリウム板状繊維を含むブレーキ摩擦材においても、その容積の大きさや季節における環境の変化等により成形後に内部に亀裂が生じる虞があり、場合によっては内部亀裂に起因する割れが生じる虞があり、その結果、亀裂や割れによる不良率が高くなる虞があった。
この原因は、セピオライト等の吸湿し易い材料を含んでいるために、特に湿度の高い時期では、材料の吸湿が進み、この吸湿した材料を用いて加熱成形すると、加熱成型時の温度(150℃程度)により吸湿した水分が散逸し、この水分により成形体の内部に亀裂が生じ、この亀裂が割れを引き起こすためである。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、剪断強度及び接着強度が高く、摩擦特性の安定性、異音の低減性、品質安定性に優れ、しかも、亀裂や割れが生じる虞が無く、製造が容易なブレーキ摩擦材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、吸湿性の高いセピオライトに代えて吸湿性の殆ど無いウォラストナイトを用いれば、加熱成形時においても亀裂や割れが生じる虞がなくなり、その結果、亀裂や割れによる不良率を大幅に低減することができ、製造も容易になることを見出し、さらに、このウォラストナイトの平均繊維径を5〜10μmとすることにより、剪断強度及び接着強度が高く安定したものとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明のブレーキ摩擦材は、少なくとも強化繊維、結合材、潤滑材、摩擦調整材、及び充填材を含有してなるブレーキ摩擦材において、前記強化繊維は、その一部に平均繊維径が5〜10μmのウォラストナイトを含有してなることを特徴とする。
【0008】
前記ブレーキ摩擦材を100質量%としたとき、ウォラストナイト10〜15質量%、変性無しのフェノール樹脂6.0〜6.6質量%及び未加硫のニトリルゴム粉末1〜2質量%を結合材とし、金属繊維12〜20質量%、チタン酸カリウム板状繊維5〜10質量%、ロックウール5〜10質量%含有してなることが好ましい。
前記チタン酸カリウム板状繊維の平均粒径は、10〜20μmであることが好ましい。
前記金属繊維は、銅繊維および/またはスチール繊維であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のブレーキ摩擦材によれば、強化繊維の一部に吸湿性の殆ど無い平均繊維径が5〜10μmのウォラストナイトを含有することとしたので、加熱成形時における亀裂や割れの発生を防止することができ、したがって、亀裂や割れによる不良率を大幅に低減することができる。また、静止摩擦係数が異常に高くなるのを防止することができ、異音の音圧、特にグー音の音圧を低減することができる。
また、ウォラストナイトの平均繊維径を5〜10μmとしたので、剪断強度及び接着強度を高く安定したものとすることができる。
【0010】
また、ウォラストナイトの含有量を10〜15質量%とすることにより、剥離を防止することができ、ブレーキ摩擦材としての信頼性を向上させることができる。
以上により、剪断強度及び接着強度が高く、摩擦特性の安定性、異音の低減性、品質安定性に優れ、しかも、亀裂や割れが生じる虞が無く、製造が容易なブレーキ摩擦材を、低コストで提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のブレーキ摩擦材の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0012】
本実施形態のブレーキ摩擦材は、少なくとも強化繊維、結合材、潤滑材、摩擦調整材、及び充填材を含有したもので、この強化繊維は、その一部に平均繊維径が5〜10μmのウォラストナイトを含有している必要があり、さらに、ブレーキ摩擦材を100質量%としたときに、平均繊維径が5〜10μmのウォラストナイト10〜15質量%、変性無しのフェノール樹脂6.0〜6.6質量%及び未加硫のニトリルゴム粉末1〜2質量%により結合材を構成し、金属繊維を12〜20質量%、チタン酸カリウム板状繊維を5〜10質量%、ロックウールを5〜10質量%含有している必要がある。
【0013】
上記の強化繊維としては、その一部に平均繊維径が5〜10μmのウォラストナイトを含有していることが必要であり、このウォラストナイトは、強化繊維中に均一分散していることが好ましい。
上記のチタン酸カリウム板状繊維の平均粒径は、10〜20μmが好ましい。
上記の金属繊維は、銅繊維および/またはスチール繊維が好ましい。
ここで、銅繊維および/またはスチール繊維が好ましい理由は、これらの金属繊維は、高温高湿等の環境下においても腐食し難く、展性に富み、よって、摩擦特性の安定性、品質安定性に優れているからである。
【0014】
この金属繊維に、その他の繊維として、アラミド繊維等の有機繊維を含んでもよい。
潤滑材としては、黒鉛、コークス、三硫化アンチモン、二硫化モリブデン等が好適に用いられる。
【0015】
摩擦調整材としては、有機系摩擦調整材および/または無機系摩擦調整材が好適に用いられる。有機系摩擦調整材としては、カシューダスト、ゴム粉等が、無機系摩擦調整材としては、珪酸ジルコニウム、アルミナ、酸化鉄、錫等の粉末が好適に用いられる。
充填材としては、硫酸バリウム等が好適に用いられる。
このブレーキ摩擦材は、必要に応じてpH調整材等を含有してもよい。このpH調整材としては、水酸化カルシウム等が用いられる。
【0016】
このブレーキ摩擦材においては、気孔率と呼ばれる空孔が高温時の分解生成物(ガスや液状の重合物)の逃げ道となり摩擦特性の低下防止を図るとともに、ブレーキ摩擦材の剛性を低下させ減衰性を向上させることで異音の発生を防止する。このブレーキ摩擦材では、気孔率が15〜20%になるように、材料の配合、成形条件を管理する。
【0017】
このような構成とすることにより、ウォラストナイトと、変性無しのフェノール樹脂と、未加硫のニトリルゴム粉末と、金属繊維と、チタン酸カリウム板状繊維と、ロックウールのそれぞれの全質量が最適化され、その結果、剪断強度及び接着強度が高まり、摩擦特性の変動が小さくかつ安定性に優れたものとなり、異音の防止に優れたものとなり、しかも、亀裂や割れが生じる虞が無く、製造が容易となる。
【0018】
ここで、ウォラストナイトの平均繊維径を5〜10μmと限定した理由は、ウォラストナイト自体が嵩密度が低い材料であるために、その平均繊維径が10μmを越えると、ウォラストナイト自体の表面積が小さくなるために接着面積が小さくなり、その結果、接着強度が低下するからであり、一方、平均繊維径が5μm未満では、逆にウォラストナイト自体の表面積が大きくなるために摩擦材自体の密度が低下し、したがって、接着強度が低下するからである。
【0019】
さらに、このウォラストナイトの全質量を10〜15質量%と限定した理由は、ウォラストナイト自体が柔軟性に富みかつ嵩密度が低い材料であるために、その全質量が10質量%未満では、摩擦材自体の密度は高くなるもののウォラストナイト全体量における表面積が小さくなるために接着面積が小さくなり、また、密度が高くなるために摩擦材の気孔率も低下し、その結果、摩擦材の剛性が高くなり、異音が発生し易くなるからであり、一方、全質量が15質量%を越えると、摩擦材自体の密度が低くなり、強度が低下するからである。
【0020】
また、変性無しのフェノール樹脂の全質量を6.0〜6.6質量%と限定した理由は、全質量が6.0質量%未満では、他の材料の隙間に樹脂が充填されず、接着強度が低下するからであり、一方、全質量が6.6質量%を超えると、他の材料の隙間に樹脂が充填され、接着強度も向上するが、摩擦特性の低下、異音の発生等の不具合が生じるからである。
【0021】
未加硫のニトリルゴム粉末の全質量を1〜2質量%と限定した理由は、全質量が1質量%未満では、ゴム振動減衰性が不足して異音が発生する可能性があるからであり、一方、全質量が2質量%を超えると、フェード試験での高温時に分解生成物(ガスまたは液状物質)による摩擦係数の低下が生じるからである。
【0022】
金属繊維の全質量を12〜20質量%と限定した理由は、全質量が12質量%未満では、金属繊維による摩擦係数の向上が不足して効力試験時の摩擦係数が低くなるからであり、一方、全質量が20質量%を超えると、金属繊維により摩擦材の強度が強くなり過ぎてしまい、その結果、接着面積が低下するからであり、また、ロータとの金属間の摩擦のため、摩擦振動が大きくなり、異音が発生し易くなるからである。
【0023】
チタン酸カリウム板状繊維の平均粒径を10〜20μmと限定した理由は、平均粒径が10μm未満では、粒径に比べて表面積が大きくなるために、表面活性が高くなり、したがって、粒子同士が凝集し易くなるために均一分散が難しくなり、その結果、組成に偏りが生じ、摩擦特性の低下という不具合が生じる虞があるからであり、一方、平均粒径が20μmを越えると、逆に表面積が小さくなり、結合材を構成するフェノール樹脂がチタン酸カリウム板状繊維以外の材料の間に充填されることとなり、気孔率の低下による摩擦特性の低下、異音の発生等の不具合が生じる虞があるからである。
【0024】
さらに、チタン酸カリウム板状繊維の全質量を5〜10質量%と限定した理由は、全質量が5質量%未満では、異音が発生するという不具合があり、また、全質量が10質量%を超えると、強度が低下するという不具合が生じるからである。
【0025】
ロックウールの全質量を5〜10質量%と限定した理由は、ロックウールも、ウォラストナイトよりは劣るものの嵩密度が低く、また、硬質で摩擦係数を向上させる特性を有するために、全質量が5質量%未満では、摩擦材の気孔率が低下し、フェード時に摩擦係数が低下し異音が発生するからであり、全質量が10質量%を超えると、摩擦振動により異音が発生し易くなるからである。
【実施例】
【0026】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
「実施例1〜12」
実施例1〜12のプレーキパッド(ブレーキ摩擦材)を作製した。
まず、溶剤を用いて裏金を充分に洗浄し、この裏金にショットブラストまたはリン酸処理等の化成処理を施した後、摩擦材と接する面に接着剤を塗布し乾燥した。
【0027】
また、ストレート系フェノール樹脂(変性無しのフェノール樹脂)、未加硫のニトリルゴム粉末、銅繊維及びスチール繊維、チタン酸カリウム板状繊維、平均繊維径が6.5μmのウォラストナイト、ロックウール、アラミド繊維(その他の強化繊維)、潤滑材(黒鉛、コークス等)、有機系摩擦調整剤(カシューダスト、加硫済のゴム粉末等)、無機系摩擦調整剤(酸化鉄、錫、珪酸ジルコニウム等の粉末)、充填材として硫酸バリウム、pH調整材として水酸化カルシウムを、所定量秤量し、混合した。
実施例1〜12それぞれの配合量(質量%)を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
その後、この混合物を所定の金型を用いて、50MPaの圧力かつ常温(25℃)にて冷間圧縮成形した。
次いで、この冷間圧縮成形品と上記の接着剤を塗布した裏金を、150℃に加熱した金型内にセットし、この温度にて40MPaの圧力で250秒加熱圧縮成形した。
次いで、この成型品を220℃にて6時間熱処理し、さらに、研磨加工、溝加工を施し、実施例1〜12のプレーキパッドとした。
【0030】
「比較例1〜13」
ストレート系フェノール樹脂をゴム変性フェノール樹脂に替えたものを比較例1、フェノール樹脂の全質量が本発明より少ないものを比較例2、フェノール樹脂の全質量が本発明より多いものを比較例3、未加硫のニトリルゴム粉末の全質量が本発明より少ないものを比較例4、未加硫のニトリルゴム粉末の全質量が本発明より多いものを比較例5、銅繊維及びスチール繊維の全質量が本発明より少ないものを比較例6、銅繊維及びスチール繊維の全質量が本発明より多いものを比較例7、チタン酸カリウム板状繊維の全質量が本発明より少ないものを比較例8、チタン酸カリウム板状繊維の全質量が本発明より多いものを比較例9、ウォラストナイトの全質量が本発明より少ないものを比較例10、ウォラストナイトの全質量が本発明より多いものを比較例11、ロックウールの全質量が本発明より少ないものを比較例12、ロックウールの全質量が本発明より多いものを比較例13とし、上記実施例1〜12と全く同様にして比較例1〜13のプレーキパッド(ブレーキ摩擦材)を作製した。
比較例1〜13それぞれの配合量(質量%)を表2に示す。
【0031】
【表2】

【0032】
このようにして作製された実施例1〜12及び比較例1〜13のプレーキパッドについて、剪断強度、接着強度、摩擦特性、実車による鳴き・異音発生頻度をそれぞれ測定した。
剪断強度は、日本工業規格JIS D 4422「自動車用ブレーキシューアッセンブリ及びディスクブレーキパッドの接着強度試験方法」に基づき、剪断強度を測定した。
接着強度は、日本工業規格JIS D 4422「自動車用ブレーキシューアッセンブリ及びディスクブレーキパッドの接着強度試験方法」に基づき、接着強度試験を行い、試験後の母材の接着面積(%)を求めた。
【0033】
摩擦特性は、第2効力試験及び第1フェードリカバリ試験の2項目について、自動車技術会規格JASO C 406「乗用車−ブレーキ装置−ダイナモメータ試験方法」に基づき測定した。
鳴き・異音発生頻度は、ブレーキパッドの温度を所定温度範囲とし、ディスクブレーキキャリパへの供給液圧を所定範囲としたときの、それぞれの組み合わせで所定回数、ダイナモメータにより制動試験を行い、このときに発生する音の大きさのレベルが一定値以上となったときの回数を計数して、その割合を算出した。
実施例1〜12の測定結果を表3に、比較例1〜13の測定結果を表4に、それぞれ示す。
【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
表3、4によれば、実施例1〜12は、比較例1〜13に比べて剪断強度及び接着強度が高く、摩擦特性の変動が小さく安定性に優れ、異音の防止に優れていることが確認された。
また、実施例1〜12は、従来の製造方法をそのまま適用することができるので、製造に格別困難性はなく、製造が容易であることが確認された。
【0037】
さらに、ウォラストナイトについては、平均繊維径を3μmから25μmの範囲で変化させたものそれぞれの試料について、上記実施例1と全く同様にしてプレーキパッド(ブレーキ摩擦材)を作製し、接着強度を測定した。
図1は、ウォラストナイトの平均繊維径と母材の接着面積(%)との関係を示す図である。
【0038】
この図1によれば、ウォラストナイトの平均繊維径が5μmから10μmの範囲にあれば、接着強度試験後の母材の接着面積がほぼ100%となり、接着強度に優れていることが確認され、品質安定性に優れていることが分かった。
以上により、剪断強度、接着強度、摩擦特性、異音の防止等、品質の安定性に優れ、しかも、亀裂や割れ等の不具合が生じる虞の無いブレーキパッドを、低コストで容易に提供することが可能になった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、吸湿性の高いセピオライトに代えて吸湿性の殆ど無いウォラストナイトを用い、さらに、このウォラストナイトの平均繊維径を5〜10μm、その含有量を10〜15質量%とすることにより、剪断強度、接着強度、摩擦特性、異音の防止、亀裂や割れ等の不具合の防止を図ることにより、品質安定性を改善したものであるから、自動車はもちろんのこと、ブレーキ機構を有する動力機械等へも適用可能であり、その工業的意義は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ウォラストナイトの平均繊維径と接着面積との関係を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも強化繊維、結合材、潤滑材、摩擦調整材、及び充填材を含有してなるブレーキ摩擦材において、
前記強化繊維は、その一部に平均繊維径が5〜10μmのウォラストナイトを含有してなることを特徴とするブレーキ摩擦材。
【請求項2】
前記ブレーキ摩擦材を100質量%としたとき、
ウォラストナイト10〜15質量%、変性無しのフェノール樹脂6.0〜6.6質量%及び未加硫のニトリルゴム粉末1〜2質量%を結合材とし、
金属繊維12〜20質量%、チタン酸カリウム板状繊維5〜10質量%、ロックウール5〜10質量%含有してなることを特徴とする請求項1記載のブレーキ摩擦材。
【請求項3】
前記チタン酸カリウム板状繊維の平均粒径は、10〜20μmであることを特徴とする請求項1または2記載のブレーキ摩擦材。
【請求項4】
前記金属繊維は、銅繊維および/またはスチール繊維であることを特徴とする請求項1、2または3記載のブレーキ摩擦材。

【図1】
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