説明

ブレーキ液圧制御装置

【課題】モータを制御するための主制御部を駆動回路とし、副制御部をデジタルコンピュータとする構成を採用した場合において、モータへの電流供給の開始直後に発生する突入電流を小さくことができるブレーキ液圧制御装置を提供する。
【解決手段】アキュムレータのアキュムレータ圧を調整するべくモータ20を制御する制御装置40は、デジタルコンピュータ41と駆動回路42とを有する。デジタルコンピュータ41は、アキュムレータのアキュムレータ圧が圧力下限値未満になった場合にアキュムレータ圧を昇圧すべくPWM制御を開始する。駆動回路42は、デジタルコンピュータによるPWM制御の開始に遅れて駆動回路42によるモータ制御を開始させるための遅延回路80を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドロリックブースタを備えるブレーキ液圧発生装置を制御するブレーキ液圧制御装置に関し、特にブレーキ液圧発生装置に設けられるアキュムレータ内のブレーキ液圧であるアキュムレータ圧を制御するブレーキ液圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハイドロリックブースタ(Hydraulic Booster)を備えるブレーキ液圧発生装置には、モータを駆動源とする液圧ポンプと、該液圧ポンプの駆動によって昇圧されたブレーキ液が貯留されるアキュムレータとが設けられている。そして、ハイドロリックブースタは、運転手によってブレーキペダルが踏み込まれた場合、アキュムレータ内のブレーキ液圧、即ちアキュムレータ圧を利用して運転手によるブレーキペダルの踏力を助勢するようになっている。その結果、車両の車輪には、運転手によるブレーキペダルの踏力に応じた適切な制動力が付与される。
【0003】
ところで、アキュムレータ圧を利用して運転手によるブレーキペダルの踏力を好適に助勢するためには、アキュムレータのアキュムレータ圧を一定圧力範囲内に調圧する必要がある。そのため、ブレーキ液圧発生装置を制御するブレーキ液圧制御装置では、アキュムレータのアキュムレータ圧が所定の下限値を下回った場合には、液圧ポンプの駆動が開始される。そして、液圧ポンプによって昇圧されたアキュムレータ圧が所定の上限値に達した場合には、液圧ポンプの駆動が停止される(特許文献1参照)。
【0004】
液圧ポンプの駆動源であるモータの制御は、CPUがモータ制御用のプログラムを実行することにより実現される。しかしながら、こうしたCPUを有するデジタルコンピュータによるソフトウェア処理では、該デジタルコンピュータの誤作動などによってモータを適切に制御できなくなることがある。この場合、アキュムレータ圧が上記所定の下限値を下回ってもデジタルコンピュータによるモータ制御が開始されないために、アキュムレータ圧が昇圧されないおそれがある。
【0005】
そのため、ブレーキ液圧発生装置を制御するブレーキ液圧制御装置には、図6に示すように、モータ200の駆動を制御するための駆動回路(ハードウェア)210が、CPU及びメモリなどで構成されるデジタルコンピュータ220のバックアップとして設けられている。このデジタルコンピュータ220及び駆動回路210には、アキュムレータのアキュムレータ圧を検出する圧力センサ230が電気的に接続されている。そして、デジタルコンピュータ220及び駆動回路210の何れか一方により、スイッチング素子241,242,243のオン・オフが制御される。なお、これらスイッチング素子241,242,243がオン状態になった場合に、車載のバッテリ244からスイッチング素子241,242,243を介してモータ200に電流が供給される。
【0006】
デジタルコンピュータ220のメモリに記憶されるモータ制御用のプログラムは、図7にて実線で示すように、圧力センサ230によって検出されたアキュムレータ圧Paccが第1の下限値KPmin1を下回った場合に、モータ200に電流が供給されるように設計されている(第1のタイミングt101)。また、駆動回路210は、図7にて一点鎖線で示すように、圧力センサ230によって検出されたアキュムレータ圧Paccが第1の下限値KPmin1よりも小さい第2の下限値KPmin2を下回った場合に、モータ200に電流が供給されるように構成されている(第2のタイミングt102)。
【0007】
これにより、アキュムレータのアキュムレータ圧Paccが第1の下限値KPmin1を下回ってもスイッチング素子241,242,243がオン状態にならない場合には、更なる降圧によってアキュムレータ圧Paccが第2の下限値KPmin2を下回った時点で、駆動回路210によってスイッチング素子241,242,243がオン状態にされる。その結果、デジタルコンピュータ220によってモータ200を制御できない事態が発生しても、駆動回路210によってモータ200に電流が供給されるため、液圧ポンプからアキュムレータにブレーキ液が供給され、該アキュムレータのアキュムレータ圧Paccが昇圧される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−25929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年では、モータ200を制御するための主制御部を駆動回路210とし、副制御部をデジタルコンピュータ220とすることが提案されている。これは、デジタルコンピュータ220の誤動作に起因したアキュムレータ圧Paccの昇圧の未実施の確率よりも、駆動回路210の誤動作又は故障になどに起因したアキュムレータ圧Paccの昇圧の未実施の確率のほうが低いと考えられるためである。
【0010】
主制御部を駆動回路210とし、副制御部をデジタルコンピュータ220とする構成を採用した場合、駆動回路210によるモータ200の制御開始の基準となる第2の下限値KPmin2は、第1の下限値KPmin1と同一値又は第1の下限値KPmin1よりも大きな値に設定されることになる。そして、図8に示すように、アキュムレータのアキュムレータ圧Paccが第2の下限値KPmin2を下回るタイミングt201で、駆動回路210によってスイッチング素子241,242,243が制御されることにより、モータ200が駆動し始める。
【0011】
ところで、モータ200に電圧が急に印加された場合、図8にて破線で囲まれた部分に示すように、モータ200に印加される電圧の急激な変化に起因した過渡現象によってモータ200には非常に大きな電流、即ち突入電流Itが流れてしまう。この突入電流Itが大きいほど、車両に搭載されるバッテリ244にかかる負荷が大きくなり、車両に搭載される他の制御装置の適切な動作に支障をきたすおそれがある。
【0012】
上記突入電流Itは、デジタルコンピュータ220によるモータ制御時にも発生し得る。しかし、この場合においては、モータ200に電圧が印加される期間と、モータ200に電圧が印加されない期間とを繰り返し発生させるPWM(Pulse Width Modulation)制御をデジタルコンピュータ220が行うことにより、モータ200への電流供給の開始直後に発生する突入電流Itを小さくすることが可能である。
【0013】
しかしながら、駆動回路210では、デジタルコンピュータ220とは異なり、PWM制御のような複雑な制御を行うことが困難である。そのため、駆動回路210によるモータ制御時には、PWM制御を行うデジタルコンピュータ220によるモータ制御時とは異なり、モータ200への電流供給の開始直後に発生する突入電流Itを小さくすることができない。したがって、主制御部を駆動回路210とし、副制御部をデジタルコンピュータ220とする構成を採用した場合には、モータ200への電流供給の開始直後に発生する突入電流Itを小さくする点で改善の余地がある。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。その目的は、モータを制御するための主制御部を駆動回路とし、副制御部をデジタルコンピュータとする構成を採用した場合において、モータへの電流供給の開始直後に発生する突入電流を小さくことができるブレーキ液圧制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明のブレーキ液圧制御装置は、モータ(20)を駆動源とする液圧ポンプ(21)と、該液圧ポンプ(21)の駆動によって昇圧されたブレーキ液が貯留されるアキュムレータ(24)と、該アキュムレータ(24)のアキュムレータ圧(Pacc)を利用して車両の運転手によるブレーキ操作力を助勢するハイドロリックブースタ(25)と、を備えるブレーキ液圧発生装置(13)に設けられ、CPU(50)及び該CPU(50)によって実行されるプログラムを記憶するメモリ(51)を有し、前記アキュムレータ(24)のアキュムレータ圧(Pacc)が所定の下限値(Pmin)未満になった場合にアキュムレータ圧(Pacc)を昇圧すべくモータ制御を開始するデジタルコンピュータ(41)と、前記デジタルコンピュータ(41)とは独立して前記アキュムレータ(24)のアキュムレータ圧(Pacc)を昇圧すべくモータ制御を行う駆動回路(42)と、を備えたブレーキ液圧制御装置において、前記デジタルコンピュータ(41)によるモータ制御は、前記モータ(20)に電圧が印加される期間と、該モータ(20)に電圧が印加されない期間とを繰り返し発生させるPWM(Pulse Width Modulation)制御を含み、前記駆動回路(42)は、前記デジタルコンピュータ(41)によるモータ制御の開始に遅れて前記駆動回路(42)によるモータ制御を開始させるための遅延回路(80)を有することを要旨とする。
【0016】
上記構成によれば、アキュムレータのアキュムレータ圧が下限値未満である場合には、デジタルコンピュータによるモータ制御が開始される。このとき、デジタルコンピュータが行うモータ制御には、PWM制御が含まれている。そのため、駆動回路によるモータ制御のみでモータを制御し始める場合と比較して、モータへの電流供給の開始直後に発生する突入電流が小さくなる。そして、デジタルコンピュータによるモータ制御に時間的に遅れて、駆動回路によるモータ制御が開始される。そのため、モータに供給される電流値が所定のモータ制御電流値に収束し始めてから、駆動回路によるモータ制御によってモータに電流を供給させることが可能となる。つまり、主制御部である駆動回路によるモータ制御の弱点でもある「突入電流を小さくすること」を、副制御部であるデジタルコンピュータによるモータ制御(PWM制御)に任せることにより、突入電流を小さくすることができる。したがって、モータを制御するための主制御部を駆動回路とし、副制御部をデジタルコンピュータとする構成を採用した場合において、モータへの電流供給の開始直後に発生する突入電流を小さくしつつ、アキュムレータのアキュムレータ圧を昇圧させることができる。
【0017】
なお、本発明でいう「駆動回路によるモータ制御の開始」とは、モータが駆動回路によって実際に制御され始めたことをいう。
本発明のブレーキ液圧制御装置において、前記デジタルコンピュータ(41)は、該デジタルコンピュータ(41)によってモータ制御が行われている場合には、前記モータ(20)に印加される電圧値(Vm)の変動度合(ΔVm)が規定値(ΔVmth)未満になった後に、前記デジタルコンピュータ(41)によるモータ制御を終了することが好ましい。
【0018】
デジタルコンピュータによるPWM制御では、モータに印加される電圧値が変化するのに対し、駆動回路によるモータ制御では、モータに印加される電圧値の大きさはほとんど変化しない。そのため、デジタルコンピュータによるモータ制御中にモータに印加される電圧値がほとんど変化しなくなった場合には、駆動回路によるモータ制御が実際に開始されたと判断することが可能となる。
【0019】
そこで、本発明では、デジタルコンピュータによるモータ制御が行われている場合には、モータに印加される電圧値の変化度合が規定値未満になった後に、デジタルコンピュータによるモータ制御が終了される。つまり、駆動回路によるモータ制御によってモータに電流が供給されることが確認されてから、副制御部であるデジタルコンピュータによるモータ制御から、主制御部である駆動回路によるモータ制御に切り替えられる。したがって、モータを制御する制御部を、デジタルコンピュータから駆動回路に円滑に切り替えることができる。
【0020】
本発明のブレーキ液圧制御装置において、前記デジタルコンピュータ(41)は、該デジタルコンピュータ(41)によってモータ制御が行われている場合において、前記モータ(20)に印加される電圧値(Vm)の変動度合(ΔVm)が前記規定値(ΔVmth)未満にならないときには、前記アキュムレータ(24)のアキュムレータ圧(Pacc)が前記下限値(Pmin)よりも大きな値に設定された所定の上限値(Pmax)を超えるまで前記モータ制御を継続して行うことが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、故障や誤動作などに起因して主制御部である駆動回路でモータを制御できない場合には、副制御部であるデジタルコンピュータによるモータ制御のみでアキュムレータのアキュムレータ圧が調圧されるようになる。そのため、駆動回路が故障したり誤動作したりする場合であっても、デジタルコンピュータが正常に動作する場合にはアキュムレータのアキュムレータ圧を適切に調圧することができる。
【0022】
本発明のブレーキ液圧制御装置は、前記デジタルコンピュータ(41)によってオン状態又はオフ状態に制御されるスイッチであって、オン状態である場合には電力供給源(45)から前記モータ(20)への電流の供給を許可する第1のスイッチング素子(43)と、前記駆動回路(42)によってオン状態又はオフ状態に制御されるスイッチであって、オン状態である場合には前記電力供給源(45)から前記モータ(20)への電流の供給を許可する第2のスイッチング素子(44)と、をさらに備え、前記デジタルコンピュータ(41)によるモータ制御は、前記第1のスイッチング素子(43)がオン状態である期間と、該第1のスイッチング素子(43)がオフ状態である期間とを繰り返し発生させるPWM制御を含み、前記遅延回路(80)は、前記デジタルコンピュータ(41)によるモータ制御が開始されてから前記第2のスイッチング素子(44)がオン状態になるように構成されていることが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、デジタルコンピュータによるモータ制御時には、第1のスイッチング素子が制御されることにより、該第1のスイッチング素子を介してモータに電流が供給される。このとき、第1のスイッチング素子に対してPWM制御が行われる。そのため、PWM制御をできない駆動回路によってモータへの電流供給を開始する場合と比較して、モータへの電流供給の開始直後に発生する突入電流を小さくすることができる。
【0024】
そして、デジタルコンピュータによるモータ制御(PWM制御)の開始に遅れて、駆動回路によるモータ制御によって第2のスイッチング素子を介してモータに電流が供給されるようになる。そのため、デジタルコンピュータによるモータ制御の開始によってモータに供給される電流値が上記所定のモータ制御電流値に収束し始めてから、第2のスイッチング素子を介したモータへの電流供給を開始することが可能となる。したがって、モータへの電流供給の開始直後に発生する突入電流を小さくしつつ、アキュムレータのアキュムレータ圧を適切に昇圧させることができる。
【0025】
本発明のブレーキ液圧制御装置において、前記駆動回路(42)は、前記アキュムレータ(24)のアキュムレータ圧(Pacc)が下限値(Pmin)未満になった場合には、当該アキュムレータ圧(Pacc)が前記下限値(Pmin)よりも大きな上限値(Pmax)を超えるまでの間、前記モータ(20)の駆動を指示する指示信号(Si)を出力する指示回路(60)をさらに有し、前記遅延回路(80)は、前記指示回路(60)と前記第2のスイッチング素子(44)とを繋ぐ電力線(90)に電気的に接続されたコンデンサ(81)を有することが好ましい。
【0026】
上記構成によれば、アキュムレータのアキュムレータ圧が下限値未満になると、指示回路からは指示信号が出力される。すると、指示信号が流れる電力線に接続されるコンデンサには、指示回路から出力された指示信号に基づいた電荷が蓄電される。そして、コンデンサに電荷が蓄えられている間、第2のスイッチング素子には、該第2のスイッチング素子をオン状態にするための信号(「オン信号」ともいう。)が入力されない。つまり、第2のスイッチング素子はオフ状態のままである。
【0027】
その後、コンデンサの蓄電量が当該コンデンサの静電容量に達すると、コンデンサには電荷がこれ以上蓄えることができなくなる。すると、駆動回路からは、第2のスイッチング素子にオン信号が出力されるようになる。その結果、第2のスイッチング素子は、駆動回路からオン信号が入力されたためにオフ状態からオン状態となり、第2のスイッチング素子を介したモータへの電流供給が開始される。
【0028】
このような第2のスイッチング素子を介したモータへの電流供給が行われている間に、アキュムレータのアキュムレータ圧が上限値を超えると、指示回路からは、指示信号が出力されなくなる。すると、遅延回路を構成するコンデンサが放電し始めるため、指示回路からの指示信号の出力が停止されてからのしばらくの間、駆動回路からは、オン信号が第2のスイッチング素子に出力される。その後、コンデンサからの放電が完了又は放電量が少なくなって第2のスイッチング素子にオン信号が入力されなくなると、該第2のスイッチング素子はオン状態からオフ状態になる。その結果、モータの駆動が停止される。
【0029】
したがって、モータに供給される電流値が上記所定のモータ制御電流値に収束し始めてから蓄電量が静電容量に達するようなコンデンサを、遅延回路に設けることにより、モータへの電流供給の開始直後に発生する突入電流を小さくしつつ、アキュムレータのアキュムレータ圧を適切に昇圧させることができる。しかも、アキュムレータのアキュムレータ圧が上限値を超えると、デジタルコンピュータによる指示がなくても、アキュムレータ圧の昇圧が駆動回路によって停止される。そのため、アキュムレータ圧の過度の昇圧を抑制することができる。
【0030】
なお、本発明をわかりやすく説明するために実施形態を示す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明が実施形態に限定されるものではないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のブレーキ液圧制御装置の一実施形態である制御装置によって制御されるブレーキ液圧発生装置を備える制動装置の概略構成を示す構成図。
【図2】本発明のブレーキ液圧制御装置の一実施形態である制御装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】制御装置を構成するデジタルコンピュータが実行するアキュムレータ圧調整処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図4】一実施形態において、アキュムレータのアキュムレータ圧が昇圧される様子を示すタイミングチャート。
【図5】一実施形態において、アキュムレータのアキュムレータ圧が昇圧される様子を示すタイミングチャート。
【図6】従来のブレーキ液圧制御装置の電気的構成を示すブロック図。
【図7】従来において、アキュムレータのアキュムレータ圧が昇圧される様子を示すタイミングチャート。
【図8】従来において、アキュムレータのアキュムレータ圧が昇圧される様子を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明においては、車両の進行方向(前進方向)を前方(車両前方)として説明する。
【0033】
図1に示すように、車両には、該車両に搭載される複数(本実施形態では4つ)の車輪FR,FL,RR,RLに対して制動力を付与するための制動装置11が設けられている。この制動装置11には、運転手によるブレーキペダル12の踏込み量、即ち踏力に応じたブレーキ液圧を発生するブレーキ液圧発生装置13と、各車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力を個別に調整すべく駆動するブレーキアクチュエータ14とが設けられている。
【0034】
ブレーキ液圧発生装置13には、モータ20と、該モータ20を駆動源とする液圧ポンプ21とが設けられている。この液圧ポンプ21は、リザーバ22に貯留されているブレーキ液を吸入し、該吸入したブレーキ液をチェック弁23を介してアキュムレータ24に供給するようになっている。そして、アキュムレータ24には、液圧ポンプ21及びチェック弁23によって昇圧されたブレーキ液が貯留される。
【0035】
こうしたアキュムレータ24には、ブレーキ液をハイドロリックブースタ(Hydraulic Booster)25に供給するためのブースタ用供給路26と、ブレーキ液をブレーキアクチュエータ14に直接供給するためのアクチュエータ用供給路27とが接続されている。そして、ブースタ用供給路26には、アキュムレータ24内のブレーキ液圧であるアキュムレータ圧を検出するための圧力センサSE1が接続されている。この圧力センサSE1は、アキュムレータ圧が高くなるほど電圧値が大きな検出信号を出力するようになっている。
【0036】
また、ブースタ用供給路26には、アキュムレータ24内のアキュムレータ圧が規定圧力以上になった場合に、アキュムレータ24内のブレーキ液の一部をリザーバ22に戻すための還元路28が設けられている。この還元路28には、リリーフ弁29が設けられている。
【0037】
そして、ハイドロリックブースタ25は、運転手によってブレーキペダル12が踏み込まれた場合、アキュムレータ24のアキュムレータ圧を利用して運転手によるブレーキペダル12の踏力を助勢するようになっている。その結果、車輪FR,FL,RR,RLに個別対応する各ホイールシリンダ15には、運転手によるブレーキペダル12の踏力に応じた適量のブレーキ液が供給される。これにより、車輪FR,FL,RR,RLには、ホイールシリンダ15内に発生したホイールシリンダ圧に応じた制動力が付与される。
【0038】
次に、本実施形態のブレーキ液圧発生装置13を制御する制御装置について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、ブレーキ液圧制御装置としての制御装置40には、液圧ポンプ21の駆動源であるモータ20を制御するための制御系が2系統設けられている。第1の系統は、CPU(中央演算処理装置)50及びメモリ51などで構成されるデジタルコンピュータ41であり、第2の系統は、デジタルコンピュータ41とは独立してモータ20を制御可能な駆動回路42である。本実施形態では、駆動回路42が、モータ20を主に制御する主制御部とされ、デジタルコンピュータ41が、モータ20を制御する副制御部とされる。そして、デジタルコンピュータ41及び駆動回路42には圧力センサSE1からの検出信号Sapがそれぞれ入力されるようになっており、デジタルコンピュータ41と駆動回路42との協力によってモータ20の駆動が制御される。
【0039】
デジタルコンピュータ41のメモリ51は、ROM52及びRAM53を有している。ROM52には、CPU50が実行する各種プログラムが予め記憶されている。例えば、ROM52には、アキュムレータ24のアキュムレータ圧を所定の圧力範囲内で維持させるためのプログラムなどが記憶されている。また、RAM53には、車両に搭載される運転スイッチがオンである間、適宜書き換えられる各種の情報などがそれぞれ記憶される。
【0040】
こうしたデジタルコンピュータ41には、第1のスイッチング素子43が接続されている。この第1のスイッチング素子43は、入力される信号の信号レベル(電圧値)が「Low」レベルである場合にはオン状態となり、入力される信号の信号レベルが「High」レベルである場合にはオフ状態となるスイッチング素子である。つまり、デジタルコンピュータ41から第1のスイッチング素子43をオン状態にするために出力されるオン信号Sonsの信号レベルは「Low」レベルである。
【0041】
そして、デジタルコンピュータ41からオン信号Sonsが第1のスイッチング素子43に入力されている場合、車両に搭載されるバッテリ(電力供給源)45からは第1のスイッチング素子43を介してモータ20に電流が供給される。一方、デジタルコンピュータ41から第1のスイッチング素子43にオン信号Sonsが入力されていない場合、第1のスイッチング素子43がオフ状態となるため、第1のスイッチング素子43を介したバッテリ45からモータ20への電流の供給は禁止される。
【0042】
また、デジタルコンピュータ41は、モータ20に印加されている電圧値Vmを監視している。
駆動回路42には、第1のスイッチング素子43とは別に設けられた第2のスイッチング素子44が接続されている。この第2のスイッチング素子44は、上記第1のスイッチング素子43と同一構成の素子である。すなわち、第2のスイッチング素子44は、入力される信号の信号レベルが「Low」レベルである場合にはオン状態となり、入力される信号の信号レベルが「High」レベルである場合にはオフ状態となる。そのため、駆動回路42から第2のスイッチング素子44をオン状態にするために出力されるオン信号Sonhの信号レベルは「Low」レベルである。
【0043】
そして、駆動回路42からオン信号Sonhが第2のスイッチング素子44に入力されている場合、車両に搭載されるバッテリ45からは第2のスイッチング素子44を介してモータ20に電流が供給される。一方、駆動回路42から第2のスイッチング素子44にオン信号Sonhが入力されていない場合、第2のスイッチング素子44がオフ状態となるため、第2のスイッチング素子44を介したバッテリ45からモータ20への電流の供給は禁止される。
【0044】
こうした駆動回路42には、圧力センサSE1からの検出信号Sapが入力される指示回路60が設けられている。この指示回路60は、図6に示す従来の駆動回路(210)と略同一構成の電気回路である。すなわち、指示回路60は、アキュムレータ24のアキュムレータ圧が予め設定された圧力下限値(所定の下限値)未満になった場合に第2のスイッチング素子44の駆動を指示する指示信号Siを出力し始め、アキュムレータ圧が予め設定された圧力上限値(所定の上限値)を超えた場合に指示信号Siの出力を停止する。
【0045】
例えば、指示回路60は、圧力センサSE1からの検出信号Sapが入力されるヒステリシス回路61と、該ヒステリシス回路61から出力された出力信号Shが入力される第1のコンパレータ62とを有している。この第1のコンパレータ62の反転入力端子62aには、ヒステリシス回路61からの出力信号Shが入力される。そして、反転入力端子62aに入力されるヒステリシス回路61からの出力信号Shの電圧値が非反転入力端子62bに入力される信号の判定電圧値未満である場合に、第1のコンパレータ62の出力端子62cからは「High」レベルの信号が出力される。一方、反転入力端子62aに入力されるヒステリシス回路61からの出力信号Shの電圧値が非反転入力端子62bに入力される信号の判定電圧値以上である場合に、第1のコンパレータ62の出力端子62cからは「Low」レベルの信号が出力される。本実施形態では、出力端子62cから出力される「High」レベルの信号のことを、「指示信号Si」という。
【0046】
ヒステリシス回路61は、圧力センサSE1からの検出信号Sapの信号レベル、即ち電圧値が、上記圧力下限値に相当する電圧値以上である場合には、上記判定電圧値以上の電圧値を有する出力信号、即ち「High」レベルの出力信号Shを第1のコンパレータ62に出力する。一方、ヒステリシス回路61は、圧力センサSE1からの検出信号Sapの電圧値が上記圧力下限値に相当する電圧値未満になった場合には、上記判定電圧値未満の電圧値を有する出力信号、即ち「Low」レベルの出力信号Shを第1のコンパレータ62に出力する。
【0047】
また、「Low」レベルの出力信号Shを第1のコンパレータ62に出力している間、ヒステリシス回路61は、圧力センサSE1からの検出信号Sapの電圧値が上記圧力上限値に相当する電圧値を超えるまで、「Low」レベルの出力信号Shを第1のコンパレータ62に出力する。そして、圧力センサSE1からの検出信号Sapの電圧値が上記圧力上限値に相当する電圧値を超えた場合に、ヒステリシス回路61は、「High」レベルの出力信号Shを第1のコンパレータ62に出力する。すなわち、ヒステリシス回路61は、第1のコンパレータ62からの指示信号Siの出力が開始される時点のアキュムレータ24のアキュムレータ圧と、第1のコンパレータ62からの指示信号Siの出力が停止される時点でのアキュムレータ圧との間にヒステリシスが発生するように構成されている。
【0048】
また、駆動回路42には、指示回路60から出力された指示信号Siが入力される反転回路70が設けられている。この反転回路70は、第2のコンパレータ71を有している。そして、この第2のコンパレータ71の反転入力端子71aに、指示回路60からの指示信号Siが入力される。そして、反転入力端子71aに入力される指示信号Siの電圧値が非反転入力端子71bに入力される信号の判定電圧値以上である場合に、第2のコンパレータ71の出力端子71cからは「Low」レベルの信号、即ちオン信号Sonhが出力される。一方、反転入力端子71aに入力される指示信号Siの電圧値が非反転入力端子71bに入力される信号の判定電圧値未満である場合に、第2のコンパレータ71の出力端子71cからは「High」レベルの信号が出力される。
【0049】
本実施形態の駆動回路42には、指示回路60から指示信号Siが出力されるようになってから、反転回路70に実際に指示信号Siが入力されるのにタイムラグを発生させるための遅延回路80が設けられている。この遅延回路80には、第1のコンパレータ62の出力端子62cと、第2のコンパレータ71の反転入力端子71aとを繋ぐ電力線90に接続されるコンデンサ81が設けられている。
【0050】
このコンデンサ81の一端は上記電力線90に接続され、コンデンサ81の他端はグランドに接地されている。そして、指示回路60から指示信号Siが出力され始めると、即ち電力線90に「High」レベルの信号が流れ始めると、コンデンサ81には、電力線90を流れる指示信号Siに基づいた電荷が蓄電される。この間、反転回路70には、指示信号Siが入力されない。そして、コンデンサ81に蓄電された蓄電量が、該コンデンサ81の静電容量に達すると、指示回路60からの指示信号Siが反転回路70に入力されるようになる。つまり、上記タイムラグは、コンデンサ81の静電容量の大きさによって決まる。
【0051】
本実施形態の制御装置40は、アキュムレータ24のアキュムレータ圧が上記圧力下限値未満になった場合に、アキュムレータ圧が昇圧されるように、液圧ポンプ21、即ちモータ20を駆動させる。このようなモータ20の駆動中において、制御装置40は、アキュムレータ圧が上記圧力上限値を超えた場合に、モータ20の駆動を停止させる。なお、本実施形態におけるアキュムレータ圧の調圧時には、駆動回路42及びデジタルコンピュータ41が各々独立して動作するようになっている。
【0052】
そこで次に、本実施形態のデジタルコンピュータ41が実行するアキュムレータ圧調整処理ルーチンについて、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
さて、本実施形態のアキュムレータ圧調整処理ルーチンは、車両の運転スイッチがオンである間、予め設定された所定周期毎に実行される。そして、アキュムレータ圧調整処理ルーチンにおいて、デジタルコンピュータ41は、圧力センサSE1からの検出信号Sapに基づき取得されたアキュムレータ24のアキュムレータ圧Paccが圧力下限値Pmin未満であるか否かを判定する(ステップS10)。アキュムレータ圧上記Paccが圧力下限値Pmin以上である場合(ステップS10:YES)、アキュムレータ圧Paccを昇圧しなくてもよいため、デジタルコンピュータ41は、アキュムレータ圧調整処理ルーチンを一旦終了する。
【0053】
一方、アキュムレータ圧Paccが圧力下限値Pmin未満である場合(ステップS10:YES)、アキュムレータ圧Paccを昇圧する必要があるため、デジタルコンピュータ41は、該デジタルコンピュータ41によるモータ制御としてのPWM(Pulse Width Modulation)制御を開始する(ステップS11)。本実施形態では、第1のスイッチング素子43がオン状態である期間と、第1のスイッチング素子43がオフ状態である期間との割合(デューティ比)が予め設定された割合となるように、第1のスイッチング素子43が制御される。なお、「予め設定された割合」とは、モータ20への電流供給の開始によって生じる「突入電流」を極力小さくするように、実験やシミュレーションなどによって求められた割合である。
【0054】
続いて、デジタルコンピュータ41は、圧力センサSE1からの検出信号Sapに基づき取得されたアキュムレータ24のアキュムレータ圧Paccが上記圧力上限値Pmax以下であるか否かを判定する(ステップS12)。アキュムレータ圧Paccが圧力上限値Pmaxを超えた場合(ステップS12:NO)、アキュムレータ圧Paccをこれ以上昇圧しなくてもよいため、デジタルコンピュータ41は、その処理を後述するステップS19に移行する。
【0055】
一方、アキュムレータ圧Paccが圧力上限値Pmax以下である場合(ステップS12:YES)、デジタルコンピュータ41は、PWM制御が開始されてからの経過時間、即ちステップS11の処理が行われてからの経過時間が第1経過時間Tth1を経過したか否かを判定する(ステップS13)。この第1経過時間Tth1は、駆動回路42が正常に動作するのであれば第2のスイッチング素子44がオン状態になっているはずの時間(即ち、コンデンサ81の静電容量に応じた時間)又は該時間よりも僅かに長い時間に設定されている。
【0056】
第1経過時間Tth1を未だ経過していない場合(ステップS13:NO)、デジタルコンピュータ41は、その処理を後述するステップS15に移行する。一方、第1経過時間Tth1を経過した場合(ステップS13:YES)、デジタルコンピュータ41は、PWM制御を終了し、第1のスイッチング素子43をオン状態で維持させる(ステップS14)。これは、第1経過時間Tth1を経過しても第2のスイッチング素子44がオン状態になっていない場合、駆動回路42が正常に動作していない可能性があるためである。その後、デジタルコンピュータ41は、その処理を次のステップS15に移行する。
【0057】
ステップS15において、デジタルコンピュータ41は、モータ20に印加される電圧値Vmを取得し、該電圧値Vmの単位時間当たりの変化量(変化度合)ΔVmを算出する。そして、デジタルコンピュータ41は、ステップS15で取得した変化量ΔVmが予め設定された規定値ΔVmth未満であるか否かを判定する(ステップS16)。
【0058】
詳しくは後述するが、モータ20には、デジタルコンピュータ41だけではなく、駆動回路42によるモータ制御によっても電流が供給される。このとき、駆動回路42によるモータ制御によってモータ20に電流が供給されていない場合において、デジタルコンピュータ41がPWM制御を行っているときには、第1のスイッチング素子43のオン・オフが繰り返されるため、モータ20に印加される電圧値Vmは、大きく変動している。これに対し、駆動回路42によるモータ制御が行われている場合、第2のスイッチング素子44のオン状態が維持されているため、モータ20に印加される電圧値はほぼ一定電圧となる。そのため、モータ20に印加される電圧値Vmの変化量ΔVmは、駆動回路42によるモータ制御が行われていない場合と比較して小さくなる。そこで、本実施形態では、規定値ΔVmthを、第2のスイッチング素子44を介してモータ20に電流が供給されているか否かの判定基準として設定することにより、駆動回路42によるモータ制御が行われているか否かが判定される。
【0059】
モータ20に印加される電圧値Vmの変化量ΔVmが規定値ΔVm以上である場合(ステップS16:NO)、駆動回路42によるモータ制御が未だ開始されていないため、デジタルコンピュータ41は、その処理を前述したステップS12に移行する。一方、変化量ΔVmが規定値ΔVm未満である場合(ステップS16:YES)、駆動回路42によるモータ制御が開始されたため、デジタルコンピュータ41は、PWM制御を終了し、第1のスイッチング素子43をオン状態で維持させる(ステップS17)。続いて、デジタルコンピュータ41は、ステップS17の処理が行われてからの経過時間が第2経過時間Tth2を経過したか否かを判定する(ステップS18)。
【0060】
第2経過時間Tth2を未だ経過していない場合(ステップS18:NO)、デジタルコンピュータ41は、第2経過時間Tth2を経過するまでステップS18の判定処理を繰り返し行う。一方、第2経過時間Tth2を経過した場合(ステップS18:YES)、デジタルコンピュータ41は、その処理を次のステップS19に移行する。
【0061】
ステップS19において、デジタルコンピュータ41は、第1のスイッチング素子43をオフ状態にする。すなわち、駆動回路42によるモータ制御が開始されてから第2経過時間Tth2の経過後に、デジタルコンピュータ41によるモータ制御が終了される。その後、デジタルコンピュータ41は、アキュムレータ圧調整処理ルーチンを一旦終了する。
【0062】
次に、アキュムレータ24のアキュムレータ圧Paccを昇圧させる際の動作について、図4及び図5に示すタイミングチャートを参照して説明する。
さて、車両の走行中に運転手がブレーキペダル12を踏み込んだ場合などにおいては、図4のタイミングチャートに示すように、アキュムレータ24のアキュムレータ圧Paccが降圧する。そして、アキュムレータ圧Paccが徐々に降圧して圧力下限値Pmin未満になると、デジタルコンピュータ41によるモータ制御(PWM制御)が開始される(第1のタイミングt11)。すると、第1のスイッチング素子43は、オン状態になったり、オフ状態になったりする。
【0063】
このとき、第1のスイッチング素子43のオン状態が継続されたり、このタイミングで駆動回路42によるモータ制御が開始されたりすると、図4にて二点鎖線で示すように、モータ20への電流供給の開始直後における突入電流It(=It1)は大きくなる。これに対し、本実施形態では、PWM制御が行われるため、図4にて実線で示すように、モータ20への電流供給の開始直後における突入電流It(=It2)は小さくなる。そのため、アキュムレータ圧Paccの昇圧開始直後におけるバッテリ45の負荷は、第1のスイッチング素子43のオン状態が継続されたり、このタイミングで駆動回路42によるモータ制御が開始されたりする場合と比較して小さくなる。
【0064】
なお、アキュムレータ圧Paccが圧力下限値Pmin未満になると、駆動回路42は、デジタルコンピュータ41とは独立してモータ20に電流を供給しようと動作し始める。しかし、本実施形態の駆動回路42には遅延回路80が設けられている。そのため、第1のタイミングt11では、駆動回路42の指示回路60からは指示信号Siが出力され始めるものの、駆動回路42からはオン信号Sonhが出力されないため、第2のスイッチング素子44がオン状態にならない。つまり、駆動回路42によるモータ制御は未だ開始されない。
【0065】
第1のタイミングt11以降では、モータ20が駆動しているため、液圧ポンプ21によってアキュムレータ24にブレーキ液が供給される。そのため、アキュムレータ圧Paccが時間の経過とともに昇圧される。そして、デジタルコンピュータ41によるモータ制御が開始された第1のタイミングt11から遅れた第2のタイミングt12では、駆動回路42の遅延回路80を構成するコンデンサ81の蓄電量が静電容量に達するため、駆動回路42の反転回路70には、指示回路60からの指示信号Siが入力される。すると、反転回路70がオン信号Sonhを出力し始め、該オン信号Sonhが入力される第2のスイッチング素子44がオン状態になる。すなわち、駆動回路42によるモータ制御が開始される。その結果、モータ20には、第1のスイッチング素子43を介するだけではなく、第2のスイッチング素子44を介してもバッテリ45から電流が供給されるようになる。なお、第2のタイミングt12では、デジタルコンピュータ41によるモータ制御(PWM制御)が行われており、モータ20には電流が供給されている。そのため、第2のスイッチング素子44を介したモータ20への電流供給が開始されることにより突入電流が発生したとしても、該突入電流の大きさは、デジタルコンピュータ41によるモータ制御が行われていない状態で第2のスイッチング素子44を介したモータ20への電流供給が開始される場合と比較して小さくなる。
【0066】
このように第2のスイッチング素子44がオン状態になると、モータ20に印加される電圧値Vmの変化量ΔVmはほとんど変化しなくなる。そして、電圧値Vmの変化量ΔVmが規定値ΔVmth未満になると、デジタルコンピュータ41によって、駆動回路42によるモータ制御の開始が検知される。すると、第1のスイッチング素子43に対するPWM制御が停止され、第1のスイッチング素子43のオン状態が継続される。そして、第2のタイミングt12から上記第2経過時間Tth2が経過した第3のタイミングt13で、第1のスイッチング素子43がオフ状態にされる。
【0067】
その後、アキュムレータ24のアキュムレータ圧Paccが圧力上限値Pmaxを超えると、駆動回路42はモータ制御を終了させようとする(第4のタイミングt14)。具体的には、駆動回路42の指示回路60からは指示信号Siが出力されなくなる。しかし、駆動回路42に設けられる遅延回路80には電荷が蓄電されているため、反転回路70には、遅延回路80の放電に基づいた信号が入力される。このとき、反転回路70では、遅延回路80からの信号と指示信号Siとの区別が困難であるため、指示信号Siが継続して入力されているものとして処理を行う。すなわち、反転回路70からはオン信号Sonhが第2のスイッチング素子44に入力され続ける。
【0068】
そして、コンデンサ81の蓄電量がほとんど無くなると、反転回路70には、遅延回路80から信号が入力されなくなる。また、遅延回路80から反転回路70に入力される信号の信号レベルが低くなる。その結果、反転回路70からはオン信号Sonhが出力されなくなり、第2のスイッチング素子44にはオン信号が入力されなくなる(第5のタイミングt15)。そのため、第5のタイミングt15で、第2のスイッチング素子44がオフ状態になる。すると、モータ20に電流が供給されなくなり、アキュムレータ24のアキュムレータ圧Paccの昇圧が停止される。
【0069】
また、図5のタイミングチャートに示すように、車両の運転スイッチがオフである場合に、アキュムレータ24のアキュムレータ圧Paccが圧力下限値Pmin未満になっていることがある。これは、運転スイッチのオフ中に、アキュムレータ24からブレーキ液が徐々に漏れ出てしまうことがあるためである。
【0070】
こうした場合、第1のタイミングt21で運転スイッチがオンになる第1のタイミングt21で、アキュムレータ圧Paccが圧力下限値Pmin未満であるため、デジタルコンピュータ41によるモータ制御、即ちPWM制御が開始される。このときも駆動回路42は、モータ20を駆動させようと動作し始めるものの、遅延回路80によって第2のスイッチング素子44にはオン信号Sonhが入力されない。つまり、駆動回路42によるモータ制御が未だ開始されない。
【0071】
その後、第2のタイミングt22を経過すると、第2のスイッチング素子44には、駆動回路42からオン信号Sonhが入力される。すると、モータ20には、第1のスイッチング素子43を介するだけではなく、第2のスイッチング素子44を介してもバッテリ45から電流が供給されるようになる。つまり、第2のタイミングt22で、駆動回路42によるモータ制御が開始される。
【0072】
このように第2のスイッチング素子44がオン状態になる第2のタイミングt22から第2経過時間Tth2が経過した第3のタイミングt23で、デジタルコンピュータ41によるモータ制御が終了され、第1のスイッチング素子43がオフ状態になる。つまり、第3のタイミングt23以降からアキュムレータ圧Paccが圧力上限値Pmaxを超えるまでの間、駆動回路42によるモータ制御のみで、モータ20が駆動することになる。
【0073】
以上説明したように、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)アキュムレータ24のアキュムレータ圧Paccが圧力下限値Pmin未満になると、デジタルコンピュータ41によるモータ制御、即ちPWM制御が開始される。そして、デジタルコンピュータ41によるモータ制御に時間的に遅れて、駆動回路42によるモータ制御が実際に開始される。そのため、デジタルコンピュータ41によるモータ制御(即ち、PWM制御)を行わないで、駆動回路42によるモータ制御によってモータ20に電流を供給し始める制御構成を採用した場合と比較して、モータ20への電流供給の開始直後に発生する突入電流を小さくすることができる。つまり、主制御部である駆動回路42によるモータ制御の弱点でもある「突入電流Itを小さくすること」を、副制御部であるデジタルコンピュータ41によるモータ制御(PWM制御)に任せることにより、突入電流Itを小さくすることができる。
【0074】
(2)その結果、駆動回路42によるモータ制御によってモータ20に電流を供給し始める制御構成を採用した場合と比較して突入電流Itが小さくなる分、アキュムレータ24のアキュムレータ圧Paccの昇圧に要する電力消費量が少なくなる。そのため、バッテリ45の蓄電量不足に起因した他の車載電子制御装置の動作不良の発生を抑制することができる。
【0075】
(3)本実施形態の駆動回路42は、デジタルコンピュータ41とは独立してモータ20を制御することができる。そのため、デジタルコンピュータ41の誤動作などに起因して該デジタルコンピュータ41がモータ制御を行うことができない状況下であっても、駆動回路42が実際に正常であれば、該駆動回路42によってモータ20を駆動させることが可能となる。したがって、デジタルコンピュータ41が正常にモータ制御を行えない場合であっても、アキュムレータ24のアキュムレータ圧Paccを適切に昇圧させることができる。
【0076】
(4)また、駆動回路42を主制御部とすると共にデジタルコンピュータ41を副制御部とする構成としては、駆動回路42が正常にモータ制御を行えない場合にのみデジタルコンピュータ41によってモータ制御を行う方法が考えられる。この場合、デジタルコンピュータ41では、駆動回路42が正常にモータ制御を行えるか否かの判定処理が定期的に行われる。そして、駆動回路42が正常にモータ制御を行えない、又は正常にモータ制御を行えないおそれがあると判定した場合、デジタルコンピュータ41は、駆動回路42によるモータ制御を禁止した上で、モータ制御を行うことになる。
【0077】
しかしながら、上述したように、デジタルコンピュータ41においても、CPU50がプログラムを適切に実行できなくなる状況が発生し得る。このような状態では、デジタルコンピュータ41が正常にモータ制御を行えないだけではなく、駆動回路42が正常にモータ制御を行えるか否かの判定処理の信頼性が低くなる。そのため、デジタルコンピュータ41が正常に動作しない場合には、駆動回路42は実際には正常にモータ制御を行えるにも拘わらず正常にモータ制御を行えないと誤判定されるおそれがある。この場合、駆動回路42によるモータ制御が禁止された上で、さらにデジタルコンピュータ41によるモータ制御も行われないおそれがある。
【0078】
これに対し、本実施形態では、デジタルコンピュータ41は、駆動回路42とは独立してモータ20を制御することができるため、駆動回路42が正常にモータ制御を行えるか否かの判定処理を行わない。そのため、駆動回路42が正常にモータ制御を行えるか否かの判定処理をデジタルコンピュータ41で行う場合とは異なり、デジタルコンピュータ41の誤動作によって、駆動回路42が正常であるにも拘わらず駆動回路42が正常にモータ制御を行うことができないと誤判定され、駆動回路42によるモータ制御が誤って禁止されることを回避できる。したがって、デジタルコンピュータ41がモータ制御を行えない場合であっても、駆動回路42が実際に正常に動作するのであれば該駆動回路42によってモータ20を駆動させることができる。また、駆動回路42が実際に正常に動作する場合に、駆動回路42によるモータ制御が行われないという事態を回避することができる。
【0079】
さらには、上記判定処理を行わなくてもよいため、該判定処理を行うために用いられるパラメータを抽出するための判定用回路、及び駆動回路42の駆動を停止させたり許可したりするための回路を設けなくてもよい。つまり、制御装置40の構成を簡略化させることができる。
【0080】
(5)デジタルコンピュータ41によるPWM制御では、モータ20に印加される電圧値Vmが変化するのに対し、駆動回路42によるモータ制御では、モータ20に印加される電圧値Vmの大きさはほとんど変化しない。そのため、デジタルコンピュータ41によるPWM制御中にモータ20に印加される電圧値Vmがほとんど変化しなくなった場合には、駆動回路42によるモータ制御が開始されたと判断することが可能となる。
【0081】
そこで、本実施形態では、デジタルコンピュータ41によるPWM制御が行われている場合には、モータ20に印加される電圧値Vmの変化量ΔVmが規定値ΔVmth未満になった後に、デジタルコンピュータ41によるモータ制御が終了される。つまり、駆動回路42によるモータ制御によってモータ20に電流が供給されることが確認されてから、デジタルコンピュータ41によるモータ制御から駆動回路42によるモータ制御に切り替えられる。したがって、モータ20を制御する制御部をデジタルコンピュータ41から駆動回路42に円滑に切り替ることができる。
【0082】
(6)駆動回路42が正常に動作しない場合には、該駆動回路42によるモータ制御が行えないことがある。この場合、本実施形態では、デジタルコンピュータ41によるモータ制御のみでアキュムレータ24のアキュムレータ圧Paccが調圧されるようになる。そのため、駆動回路42が故障した場合であっても、デジタルコンピュータ41が正常に動作する場合にはアキュムレータ24のアキュムレータ圧Paccを適切に調圧することができる。
【0083】
また、駆動回路42が正常に動作しても第2のスイッチング素子44がオン状態にならない場合であっても、デジタルコンピュータ41及び第1のスイッチング素子43が正常に動作する場合には、アキュムレータ24のアキュムレータ圧Paccを適切に調圧することができる。
【0084】
(7)また、本実施形態では、モータ20の駆動開始直後に発生する突入電流Itの値が小さくなる。そのため、モータ20に過度に大きな電流が流れることを抑制でき、ひいてはモータ20の長寿命化に貢献することができる。
【0085】
なお、実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・実施形態において、モータ20に供給される電流値を検出するための電流センサを設けてもよい。この場合、デジタルコンピュータ41によるPWM制御では、電流センサからの検出信号に基づき検出される電流値を監視しながら、第1のスイッチング素子43がオン状態である期間と、第1のスイッチング素子43がオフ状態である期間との割合(デューティ比)を逐次設定してもよい。このように構成すると、電流センサを設ける分、制御装置40のコストは上昇するものの、モータ20への電流供給の開始直後における突入電流Itを、上記実施形態の場合よりも小さくすることが可能となる。
【0086】
・実施形態において、ステップS15,S16の各処理を省略してもよい。指示回路60から指示信号Siが出力されるようになってから、第2のスイッチング素子44にオン信号Sonhが入力されるようになるまでに要する時間は、遅延回路80を構成するコンデンサ81の静電容量によって決まる。そこで、デジタルコンピュータ41によるモータ制御が開始されてからの経過時間が所定時間を経過した場合に、駆動回路42によるモータ制御が開始されているはずのため、デジタルコンピュータ41によるモータ制御を終了させてもよい。
【0087】
この場合、所定時間を以下に示すように設定することが好ましい。すなわち、遅延回路80を設けることによって、第2のスイッチング素子44の駆動が開始されるまでの遅延時間を、実験やシミュレーションなどによって予め求めておく。そして、所定時間を、求めた遅延時間よりも僅かに長い時間に設定することが好ましい。
【0088】
・実施形態において、ステップS17,S18の各処理を省略してもよい。この場合、モータ20に印加される電圧値Vmの変化量ΔVmが規定値ΔVmth未満になると、デジタルコンピュータ41によるモータ制御が終了される。すなわち、第1のスイッチング素子43がオフ状態になる。
【0089】
・実施形態では、駆動回路42の指示回路60から指示信号Siが出力され始めるアキュムレータ圧は、デジタルコンピュータ41によるPWM制御によって第1のスイッチング素子43がオン状態になるアキュムレータ圧と略同一圧力となっている。しかし、駆動回路42の指示回路60から指示信号Siが出力され始めるアキュムレータ圧を、デジタルコンピュータ41によるPWM制御によって第1のスイッチング素子43がオン状態になるアキュムレータ圧よりも少し大きな値に設定してもよい。この場合、コンデンサ81の静電容量を、上記実施形態の場合よりも大容量化させることが好ましい。
【0090】
逆に、駆動回路42の指示回路60から指示信号Siが出力され始めるアキュムレータ圧を、デジタルコンピュータ41によるPWM制御によって第1のスイッチング素子43がオン状態になるアキュムレータ圧よりも少し小さな値としてもよい。このように構成しても、デジタルコンピュータ41によるPWM制御が開始されてから、該PWM制御によってアキュムレータ圧Paccが実際に昇圧し始めるまでの間には多少のタイムラグが生じる。このタイムラグの間に、アキュムレータ圧Paccが降圧し続けるため、駆動回路42の指示回路60から指示信号Siが出力され始めるようになる。
【0091】
・実施形態において、デジタルコンピュータ41が制御するスイッチング素子を、駆動回路42でも制御するようにしてもよい。
・実施形態では、第1のコンパレータ62の非反転入力端子62b及び第2のコンパレータ71の非反転入力端子71bには、抵抗63,64,72,73による分圧によって規定される閾値信号が入力されているが、別の方法で発生させた閾値信号を非反転入力端子62b,71bにそれぞれ入力させてもよい。
【0092】
・また、駆動回路42は、ヒステリシス機能を有するコンパレータを、第1のコンパレータ62として用いてもよい。この場合、ヒステリシス回路61を省略してもよい。
・第2のスイッチング素子44は、入力される信号レベルが「High」レベルの場合にオン状態となり、信号レベルが「Low」レベルの場合にはオフ状態となるスイッチング素子であってもよい。この場合、第2のコンパレータ71の非反転入力端子71bに指示信号Siを入力させ、反転入力端子71aには、抵抗72,73による分圧によって規定される閾値信号を入力させるようにしてもよい。
【0093】
・実施形態において、駆動回路42によってモータ20に電流が供給されるようになっても、アキュムレータ24のアキュムレータ圧Paccが圧力上限値Pmaxを超えるまではデジタルコンピュータ41によるモータ制御を継続させてもよい。この際のデジタルコンピュータ41によるモータ制御は、PWM制御であってもよいし、第1のスイッチング素子43をオン状態にし続ける制御であってもよい。このように構成しても、主制御部である駆動回路42でモータ20を制御できない状態になっても、副制御部であるデジタルコンピュータ41でモータ20を駆動させることができる。
【符号の説明】
【0094】
13…ブレーキ液圧発生装置、20…モータ、21…液圧ポンプ、24…アキュムレータ、25…ハイドロリックブースタ、41…デジタルコンピュータ、42…駆動回路、43…第1のスイッチング素子、44…第2のスイッチング素子、45…バッテリ(電力供給源)、50…CPU、51…メモリ、60…指示回路、80…遅延回路、81…コンデンサ、90…電力線、Pacc…アキュムレータ圧、Pmax…圧力上限値、Pmin…圧力下限値、Si…指示信号、Vm…電圧値、ΔVm…電圧値の変化量(変動度合)、ΔVmth…規定値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ(20)を駆動源とする液圧ポンプ(21)と、該液圧ポンプ(21)の駆動によって昇圧されたブレーキ液が貯留されるアキュムレータ(24)と、該アキュムレータ(24)のアキュムレータ圧(Pacc)を利用して車両の運転手によるブレーキ操作力を助勢するハイドロリックブースタ(25)と、を備えるブレーキ液圧発生装置(13)に設けられ、
CPU(50)及び該CPU(50)によって実行されるプログラムを記憶するメモリ(51)を有し、前記アキュムレータ(24)のアキュムレータ圧(Pacc)が所定の下限値(Pmin)未満になった場合にアキュムレータ圧(Pacc)を昇圧すべくモータ制御を開始するデジタルコンピュータ(41)と、
前記デジタルコンピュータ(41)とは独立して前記アキュムレータ(24)のアキュムレータ圧(Pacc)を昇圧すべくモータ制御を行う駆動回路(42)と、を備えたブレーキ液圧制御装置において、
前記デジタルコンピュータ(41)によるモータ制御は、前記モータ(20)に電圧が印加される期間と、該モータ(20)に電圧が印加されない期間とを繰り返し発生させるPWM(Pulse Width Modulation)制御を含み、
前記駆動回路(42)は、前記デジタルコンピュータ(41)によるモータ制御の開始に遅れて前記駆動回路(42)によるモータ制御を開始させるための遅延回路(80)を有することを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
【請求項2】
前記デジタルコンピュータ(41)は、
該デジタルコンピュータ(41)によってモータ制御が行われている場合には、前記モータ(20)に印加される電圧値(Vm)の変動度合(ΔVm)が規定値(ΔVmth)未満になった後に、前記デジタルコンピュータ(41)によるモータ制御を終了することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置。
【請求項3】
前記デジタルコンピュータ(41)は、
該デジタルコンピュータ(41)によってモータ制御が行われている場合において、前記モータ(20)に印加される電圧値(Vm)の変動度合(ΔVm)が前記規定値(ΔVmth)未満にならないときには、
前記アキュムレータ(24)のアキュムレータ圧(Pacc)が前記下限値(Pmin)よりも大きな値に設定された所定の上限値(Pmax)を超えるまで前記モータ制御を継続して行うことを特徴とする請求項2に記載のブレーキ液圧制御装置。
【請求項4】
前記デジタルコンピュータ(41)によってオン状態又はオフ状態に制御されるスイッチであって、オン状態である場合には電力供給源(45)から前記モータ(20)への電流の供給を許可する第1のスイッチング素子(43)と、
前記駆動回路(42)によってオン状態又はオフ状態に制御されるスイッチであって、オン状態である場合には前記電力供給源(45)から前記モータ(20)への電流の供給を許可する第2のスイッチング素子(44)と、をさらに備え、
前記デジタルコンピュータ(41)によるモータ制御は、
前記第1のスイッチング素子(43)がオン状態である期間と、該第1のスイッチング素子(43)がオフ状態である期間とを繰り返し発生させるPWM制御を含み、
前記遅延回路(80)は、前記デジタルコンピュータ(41)によるモータ制御が開始されてから前記第2のスイッチング素子(44)がオン状態になるように構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のブレーキ液圧制御装置。
【請求項5】
前記駆動回路(42)は、前記アキュムレータ(24)のアキュムレータ圧(Pacc)が下限値(Pmin)未満になった場合には、当該アキュムレータ圧(Pacc)が前記下限値(Pmin)よりも大きな上限値(Pmax)を超えるまでの間、前記モータ(20)の駆動を指示する指示信号(Si)を出力する指示回路(60)をさらに有し、
前記遅延回路(80)は、前記指示回路(60)と前記第2のスイッチング素子(44)とを繋ぐ電力線(90)に電気的に接続されたコンデンサ(81)を有することを特徴とする請求項4に記載のブレーキ液圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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